JP4164042B2 - 着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法 - Google Patents

着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法 Download PDF

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本発明は、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法に関する。
従来、天然繊維からなるデニム調製品やダンガリーシャツなどは、その独特の色落ちの自然な着古し外観から巾広い年齢層に受け入れられている。この色落ちの自然な着古し外観は、ストーンウオッシュ加工と呼ばれる洗い工程や消費者が繰り返して着用洗濯することにより布帛が部分的に白化する結果、得られるものである。
これに対し、ポリエステルからなる繊維製品は洗濯などにより色落ちしないという長所を持つ反面、色落ちの自然な着古し外観を表現し難いという短所を有している。
このため、ポリエステルからなる繊維製品に色落ちの自然な着古し外観を付与するため、芯部が鞘部よりも淡色または不染の芯鞘型複合繊維を用いて布帛を構成し、該布帛にアルカリ減量加工を施した後に擦過処理するか、アルカリ減量加工と同時に擦過処理を施すことにより布帛を白化させることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながらかかる方法では、布帛全体においてアルカリ減量加工により鞘部が均一に除去されるため全体的に白化してしまい、その後または同時の擦過処理で部分的にさらに白化できるものの、濃色のまま残っているところが少ないため濃淡のコントラストがつきにくく、デニム調製品やダンガリーシャツなどの特徴である濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を十分には表現できないという問題があった。
特開平7−173766号公報 特開2003−313741号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、縫製品にアルカリ減量加工と擦過処理とを施す際、まず擦過処理を施し、次いでアルカリ減量加工を施すことにより、ポリエステル繊維表面の擦過された個所が選択的に減量・除去され、所望の濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を有するポリエステル縫製品が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「鞘部が芯部よりも濃染された芯鞘型ポリエステル複合繊維を含む布帛を用いてポリエステル縫製品を縫製し、該ポリエステル縫製品に固形物による擦過処理を施し、次いで該ポリエステル縫製品にアルカリ減量加工を施すことを特徴とする着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。」が提供される。
その際、前記のポリエステル芯鞘型複合繊維において、鞘部がカチオン染料可染性ポリエステルで形成され、一方芯部がカチオン染料不染性ポリエステルで形成されることが好ましい。また、前記芯部を形成するカチオン染料不染性ポリエステルに、艶消し剤が0.2重量%以上含まれることが好ましい。さらに、前記の芯鞘型ポリエステル複合繊維が糸長方向に太細断面積比αで0.35〜0.95の太細を有することが好ましい。前記の芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条が、該複合繊維の鞘部を形成するポリエステルと染色性を同一にするポリエステルからなる他のポリエステルマルチフィラメント糸条との複合仮撚加工糸として布帛に含まれていることが好ましい。
本発明において、擦過処理としては、固形物としてストーンを用いたストーンウオッシュ加工や、固形物としてサンドを用いたサンドブラスト加工などが好適に例示される。アルカリ減量率としては、1〜30%の範囲であることが好ましい。さらに、ポリエステル縫製品を縫製する前の布帛および/またはポリエステル縫製品にシワ加工を施してもよい。
本発明において、縫製品の種類は特に限定されないが、ジャンパー、パンツ、スカート、シャツ、ブラウス、ジャケット、帽子、靴、財布、バッグ、携帯ストラップなどが好適に例示される。
本発明によれば、濃淡コントラストのある着古し外観と色落ちの自然さを有するポリエステル縫製品の製造方法が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず本発明において、布帛には鞘部が芯部よりも濃染された芯鞘型ポリエステル複合繊維が含まれる。ここで、芯鞘型ポリエステル複合繊維を形成する濃染された鞘部と淡染または不染の芯部との濃淡差はJIS L0805の変退色用グレースケールで4級以上の濃淡差である。該濃淡差が4級未満では、十分な濃淡コントラストが得られず好ましくない。
前記の鞘部を形成する鞘部用ポリエステルと芯部を形成する芯部用ポリエステルとしては、上記の濃淡差を有しながら染色可能な組合せであれば特に限定されない。
例えば、鞘部用ポリエステルとしては易染性の変性ポリエステルであることが好ましい 。かかる易染性の変性ポリエステルとしては、エチレンテレフタレート単位を主体の骨格として、これに金属−スルホネートイソフタル酸が共重合された変性ポリエステルや、イソフタル酸、アジピン酸、ポリエチレングリコール、ヒドロキシモノカルボン酸などが共重合された変性ポリエステルなどが好適に例示される。なかでも、ナトリウムスルホイソフタル酸が全モル量の1.0〜5.0モル%共重合されているカチオン染料により可染性の変性ポリエステルが特に好ましい。かかるカチオン染料可染性ポリエステルで芯部を形成し、一方芯部はカチオン染料不染性ポリエステルで形成し、カチオン染料を用いて染色すると鞘部と芯部とで明確な濃淡差をもうけることができる。さらに、かかるカチオン染料可染性ポリエステルは、カチオン染料不染性の通常のポリエステルよりもアルカリ減量速度がはやいため、擦過処理で形成された鞘部の傷や亀裂個所の近辺を容易に除去することができる。
一方の芯部用ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートに代表されるカチオン染料に対して不染性の通常のポリエステルであることが好ましい。かかる芯部用ポリエステルには、酸化チタンなどの通常の艶消し剤が0.2重量%以上(好ましくは0.3〜6重量%)含まれていると、芯部がセミダル光沢かダル光沢を有するようになり鞘部と芯部との濃淡コントラストが得られ易く好ましい。
前記の芯鞘型複合繊維において、単芯型であってもよいし多芯型であってもよい。また、正芯(同心)の単芯型でもよいし、偏芯の単芯型であってもよい。さらには、芯部の一部が表面に露呈していても本発明の目的が損なわれない範囲であればさしつかえない。
前記鞘部断面積と芯部断面積との断面積比βとしては0.1〜1.0(より好ましくは0.1〜0.5)であることが好ましい。ここで、該断面積比βは下記の式で示される。
β=(鞘部断面積)/(芯部総断面積)
ただし、鞘部断面積とは、複合繊維(フィラメント)横断面の断面積から芯部の断面積を除いた値である。また、芯部が多芯型の場合、芯部断面の総断面積は、各芯部の断面積を合計したものである。
前記断面積βが0.1より小さいと製糸安定性が損なわれるおそれがある。逆に、該断面積βが1.0よりも大きいと、減量加工が施されたのち糸強度が低下するおそれがある。
前記複合繊維の横断面形状および芯部の横断面形状は、丸、三角、四角、扁平、中空など任意の形状が選定される。その際、複合繊維の断面形状と芯部の断面形状とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
かかる複合繊維は、糸長方向に太細断面積比αで0.35〜0.95(好ましくは0.5〜0.8)の太細を有していると、本発明の製造方法で得られる縫製品にナチュラルな斑外観も付加することができ好ましい。なお、該太細断面積比αは下記の式で示される。
α=(細部断面積)/(太部断面積)
ただし、細部断面積および太部断面積は、繊維軸方向に垂直に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察し、各々n数20で断面積を測定し、その平均値で表す。
該太細断面積比αが0.35よりも糸強度が低下するおそれがある。逆に、該太細断面積比αが0.95よりも大きいとナチュラルな斑外観を十分に付加することができないおそれがある。
また、複合繊維が糸長方向に太細を有する場合、太部の長さは5〜170mm(より好ましくは8〜130mm)、細部の長さは5〜170mm(より好ましくは8〜130mm)であることが好ましい。
かかる太細は、ポリエステル未延伸糸を紡糸の段階または一旦巻き取った後に低倍率延伸・熱処理する通常の斑延伸により得られるシックアンドシン糸と呼ばれるものでもよいし、特公平3−79450号公報に記載された分散斑延伸糸でもよい。
前記芯鞘型ポリエステル複合繊維の繊維形態としては特に限定されず、マルチフィラメント糸条(長繊維)でもよいし紡績糸条(短繊維)でもよい。なかでも風合いの点でマルチフィラメント糸条であることが好ましい。その際、該マルチフィラメント糸条の総繊度、単糸繊度、フィラメント数としては、風合いや生産性の点で、総繊度30〜300dtex、単糸繊度0.6〜10dtex、フィラメント数10〜50本の範囲が好ましい。かかる糸条には通常の撚糸や仮撚捲縮加工が施されていてもよい。なお、該マルチフィラメント糸条の伸度としては、下記の複合仮撚加工の際に容易に芯鞘構造を得る上で80〜220%(より好ましくは120〜180%)であることが好ましい。
特に芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条が、該複合繊維の鞘部を形成するポリエステルと染色性を同一にするポリエステルからなる他のポリエステルマルチフィラメント糸条との複合仮撚加工糸として布帛に含まれていると、本発明の製造方法で得られた縫製品に優れたナチュラルな斑外観が付加され好ましい。ここで、「染色性を同一にする」とは、例えば鞘部を形成するポリエステルがカチオン染料に可染性であれば、他のポリエステルマルチフィラメント糸条もカチオン染料に可染性であるという意味である。
かかる複合仮撚加工糸において、芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条が鞘部に位置し他のポリエステルマルチフィラメント糸条が芯部に位置する芯鞘構造部と両者が引き揃えられた引き揃え構造とが、各々の長さ5〜170mm(より好ましくは8〜130mm)で交互に形成されていると、特に優れたナチュラルな斑外観が付加され好ましい。また、太細を有する芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条の総繊度DAと他のポリエステルマルチフィラメント糸条の総繊度DBとの比
DA/DBとしては、0.2〜3.0(より好ましくは0.5〜1.5)の範囲が適当である。
前記複合仮撚加工糸の仮撚加工方法としては、例えば、糸長方向に太細を有する芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条と他のポリエステルマルチフィラメント糸条とを引き揃えて第1ローラ、セット温度が90〜220℃(より好ましくは100〜190℃)の熱処理ヒータを経由して撚り掛け装置によって施撚する方法が例示される。
その際、複合仮撚加工糸に抱合性を付与して取扱性を向上させるため、仮撚加工前に第1ローラの前または後で、エアー交絡(インターレース加工やタスラン加工)を付与することが好ましい。かかるエアー交絡は仮撚加工後、巻き取るまでに付与してもよい。また、仮撚加工時の延伸倍率は、0.8〜1.5の範囲が好ましく、仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/√dtex)×yの式において、y=0.5〜1.5が好ましく、通常は0.8〜1.2位とするのがよい。用いる撚り掛け装置としては、デイスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。
本発明において、前記芯鞘型ポリエステル複合繊維を含む糸条もしく複合糸を全量用いるか、または他の繊維(ポリエステル繊維、ナイロン繊維、天然繊維など)からなる糸条と交編織して、公知の繊維集合体である織編物や不織布等の布帛の形態とされる。織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織、またはこれらの変化組織などが例示される。編物としては、スムースなどの丸編物、緯編物、経編物などいずれでもよい。特に、本発明では、デニム調のポリエステル縫製品を製造することを目的としているので、平織か綾織の織物が特に好ましく例示される。
次いで、かかる布帛に通常の染色加工を施し、前記芯鞘型ポリエステル複合繊維の鞘部が芯部よりも濃色となるよう染色する。ここで、鞘部がカチオン染料可染性ポリエステルで形成され、一方芯部がカチオン染料不染性ポリエステルで形成される場合、カチオン染料を用いることにより、容易に濃淡差をもうけることができる。
なお、かかる染色加工の前および後において、アルカリ減量加工を施さないことが好ましい。布帛にアルカリ減量加工を施すと、布帛全体において鞘部が均一に除去され全体的に白化してしまい、濃色のまま残っているところが少ないため、濃淡のコントラストがつきにくくなるおそれがある。
次いで、かかる布帛は縫製品に縫製される。縫製品の種類としては特に限定されず、例えば、ジャンパー、パンツ、スカート、シャツ、ブラウス、ジャケット、帽子、靴、財布、バッグ、携帯ストラップなどが例示される。
次いで、かかる縫製品に固形物により擦過処理を施す。かかる擦過処理としては、固形物としてストーン(加工用石)を用いたストーンウオッシュ加工や、固形物としてサンドを用いたサンドブラスト加工が好適に例示される。ストーンウオッシュ加工はドラム式のワッシャー等のなかに1点または数点の縫製品とストーンおよび/またはそれに代わる固形物とを入れ、水(好ましくは温水)とともに撹拌する方法が好適である。その際、ストーンおよび/またはそれに代わる固形物は、角ばったもの、丸みを帯びたものなど所望する外観によって選択すればよく特に限定されるものではない。温水を使用する場合は50〜100℃の温度が好ましく、ストーンウォッシュ加工の処理時間は30分〜3時間程度がよい。一方、サンドブラスト加工は、サンド(砂)状の固形物を圧縮空気によって噴射し縫製品に衝突させるものである。
かかる擦過処理された縫製品は、必要に応じて縫製品に付着したストーンなどの固形物が取り除かれた後、ドラム式のワッシャーなどで水洗される。
次いで、該縫製品にアルカリ減量加工を施す。かかるアルカリ減量加工は通常のアルカリ減量加工でよい。例えば、ワッシャー等の中の水温を50〜100℃(好ましくは、65〜95℃)とし、苛性ソーダをワッシャーのなかに投入する。このときの苛性ソーダの濃度は2〜40g/L(好ましくは4〜25g/L)とする。かかるアルカリ水溶液中に縫製品を入れ、処理時間5〜120分間の範囲で撹拌し、最適な外観となった時点で完了する。その後、必要に応じて、水または湯または低濃度のアルカリ水溶液で汚染した染料などを洗い落とす。なお、アルカリ減量率は特に限定されず最適な外観となるよう適宜選定すればよいが、縫製品の全重量に対して、1〜30%の範囲が適当であるが、1〜20%の方がより好ましい。
本発明において、先に縫製品に擦過処理を施し、しかる後にアルカリ減量加工を施すことが特に重要である。縫製品に含まれる芯鞘型ポリエステル複合繊維の濃染された鞘部に擦過処理で傷や亀裂が入り、その後のアルカリ減量加工により、該傷や亀裂個所において濃染された鞘部が選択的に除去され、淡染または不染の芯部が露呈される。その結果、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観が得られる。
ここで、縫製品に対して先にアルカリ減量加工を施しその後に擦過処理を施すか、アルカリ減量加工と擦過処理とを同時に施すと、アルカリ減量加工により縫製品全体において濃染された鞘部が均一に減量され一様に淡色化してしまうため好ましくない。その後の擦過処理で濃染された鞘部を除去することにより白化することは可能であるが、すでに全体的に淡色しているため濃淡のコントラストがつき難く、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を十分に得ることが困難となる。
本発明のポリエステル縫製品の製造方法において、ポリエステル縫製品を縫製する前の布帛および/または縫製後のポリエステル縫製品にシワ加工を施すと、シワの凸部分の白化により、ナチュラルな斑外観も表現することができる。かかるシワ加工としては通常のものでよく、例えば、液流染色機、ロータリーワッシャーなどによりロープ状で生地にシワをつけ、このシワを残したまま乾燥巾出しする方法、織物をねじり、乾熱または湿熱で固定したのち解撚する方法、型付けローラーで模様をつける方法などが例示される。なお、かかるシワ加工を施す場合、ポリエステル縫製品を縫製する前の布帛にシワ加工を施すとシワの凸部を選択的に白化でき好ましいが、縫製後の縫製品にシワ加工を施してもよい。その際、擦過処理前にシワ加工を施す必要がある。
なお、本発明の目的が損なわれない範囲内であれば、布帛および/またはポリエステル縫製品に常法の撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<伸度>
JIS L 1013−1998 伸び率標準試験に従って破断伸度を測定した。
<着古し外観>
目視判定により、「良好」(濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観)、「普通」、「不良」(あまり濃淡コントラストのない着古し外観)の3段階で評価した。
[実施例1]
まず、カチオン可染剤である5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合した変性ポリエチレンテレフタレートポリマーを鞘部とし、一方、セミダル光沢を有する、通常のカチオン不染性ポリエチレンテレフタレートポリマー(酸化チタンの含有量0.4重量%)を芯部とし、常法のコンジュゲート紡糸法で、正芯断面形態(断面積比β=0.25)の芯鞘型ポリエステル複合繊維未延伸糸145dtex/36filを得た。
一方、カチオン可染剤である5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合した変性ポリエチレンテレフタレートポリマーを用いて、常法の紡糸・延伸方法で、ポリエステルマルチフィラメント(B)延伸糸84dtex/24fil(伸度30%)を得た。
次いで、前記ポリエステルシースコア型複合繊維未延伸糸145dtex/36filに常法のシックアンドシン加工を施し、ポリエステルマルチフィラメント(A)125dtex/36fil(平均伸度140%、該太細断面積比α=0.64、太部の長さ10〜80mm、細部の長さ10〜60mm)となした後、該ポリエステルマルチフィラメント(A)と前記ポリエステルマルチフィラメント(B)と引き揃えて、通常のインターレース加工を施した後、常法の複合仮撚加工(デイスク式撚り掛け装置、熱セット温度160℃、延伸倍率1.0、仮撚数2100T/m)を行い、複合仮撚加工糸を得た。得られた複合仮撚加工糸は、芯鞘構造部(13〜80mm)と引き揃え構造部(10〜60mm)を有するものであった。なお、前記のシックアンドシン加工と複合仮撚加工は一連の工程で行った。
次いで、該複合仮撚加工糸を経糸と緯糸に用いて、平組織の織物(C)(経密度149本/3.79cm、緯密度103本/3.79cm)を得た。
該織物(C)にアルカリ減量加工を施さずに、常法のカチオン染料を用いた染色加工を施すことにより複合繊維の鞘部を濃染した後、パンツ状の縫製品(D)を縫製した。
次いで、ワッシャーに該縫製品(D)をストーン(石)、水とともに入れ、温度70℃で2時間ストーンウオッシュ加工を施した。かかる縫製品(D)に含まれる芯鞘型ポリエステル複合繊維の濃染された鞘部には傷や亀裂がみられた。
そして、縫製品(D)に付着したストーンを除去した後、該縫製品(C)を再度ワッシャーに入れ、ワッシャーの水温を80℃、苛性ソーダの濃度15g/Lとし、処理時間30分間でアルカリ減量加工を施した。
得られた縫製品は、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観(良好)を有するものであった。
[実施例2]
実施例1において、ストーンウオッシュ加工の変わりにサンドブラスト加工すること以外は実施例1と同様にした。
得られた縫製品は、サンドブラスト加工により発生した傷や亀裂個所の近辺が選択的に白化され、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観(良好)を有するものであった。
[実施例3]
実施例1において、縫製前の布帛に、液流染色機によりロープ状で生地にシワをつけ、このシワを残したまま乾燥巾出しする方法でシワ加工を施すこと以外は実施例1と同様にした。
得られた縫製品は、シワの凸部分が選択的に白化されており、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観(良好)とナチュラルな斑外観とを有していた。
[比較例1]
実施例1において、縫製後のストーンウオッシュ加工と減量加工との順序を逆にして、縫製品に減量加工を施した後にストーンウオッシュ加工を施したこと以外は実施例1と同様にした。
得られた縫製品は全体が均一に白化されており、あまり濃淡コントラストがなく、色落ちの自然さの点でも不十分なものであった(不良)。
本発明によれば、濃淡コントラストのある色落ちの自然な着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法を提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (10)

  1. 鞘部が芯部よりも濃染された芯鞘型ポリエステル複合繊維を含む布帛を用いてポリエステル縫製品を縫製し、該ポリエステル縫製品に固形物による擦過処理を施し、次いで該ポリエステル縫製品にアルカリ減量加工を施すことを特徴とする着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  2. 芯鞘型ポリエステル複合繊維において、鞘部がカチオン染料可染性ポリエステルで形成され、一方芯部がカチオン染料不染性ポリエステルで形成される請求項1に記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  3. 芯部を形成するカチオン染料不染性ポリエステルに、艶消し剤が0.2重量%以上含まれる請求項2に記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  4. 芯鞘型ポリエステル複合繊維が糸長方向に太細断面積比αで0.35〜0.95の太細を有する請求項1〜3のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  5. 芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるマルチフィラメント糸条が、該複合繊維の鞘部を形成するポリエステルと染色性を同一にするポリエステルからなる他のポリエステルマルチフィラメント糸条との複合仮撚加工糸として布帛に含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  6. 固形物がストーンであり、擦過処理がストーンウオッシュ加工である請求項1〜5のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  7. 固形物がサンドであり、擦過処理がサンドブラスト加工である請求項1〜5のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  8. アルカリ減量率が1〜30%の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  9. ポリエステル縫製品を縫製する前の布帛および/またはポリエステル縫製品にシワ加工を施す請求項1〜8のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
  10. 縫製品が、ジャンパー、パンツ、スカート、シャツ、ブラウス、ジャケット、帽子、靴、財布、バッグ、および携帯ストラップの群より選択されるいずれか1種である請求項1〜9のいずれかに記載の着古し外観を有するポリエステル縫製品の製造方法。
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