JP4163912B2 - エレベーターの三方枠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、昇降路の階床位置に設けられた乗場に設置されて乗場の出入口縁部を構成するエレベーターの三方枠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4〜図9は、例えば実開平5−19274号公報に示された構成に類似した従来のエレベーターの三方枠装置を示す図で、図4はエレベーター乗場の正面図、図5は図4のA−A線断面拡大図、図6は図4のB−B線断面拡大図、図7は火災による図4の三方枠の変形状態を示す図、図8は図7のC−C線断面拡大図、図9は図7のD−D線断面拡大図である。図において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1に設けられて乗場3を構成する開口部である。
【0003】
4は三方枠で、側枠5及び上枠6からなり開口部2に設置されて乗場3の出入口7縁部を形成する。8は塞ぎ板で、一側が開口部2の縁部に重合して配置され、他側は側枠5の補強材9又は上枠6の縁部に重合して配置されている。10は塞ぎ板8の開口部2との重合部、塞ぎ板8の側枠5部材との重合部、塞ぎ板8の上枠6部材との重合部に挿通されたボルトを主体とした締結具である。
【0004】
従来のエレベーターの三方枠装置は上記のように構成され、昇降路1に設けられた乗場3の出入口7縁部を構成する三方枠4が昇降路1の開口部2に対向して配置される。そして、三方枠4の側枠5又は上枠6と開口部2縁部の間に塞ぎ板8が設けられ、塞ぎ板8は開口部2縁部と側枠5又は上枠6に対して重合して配置される。
【0005】
また、塞ぎ板8の開口部2縁部との対向面、側枠5又は上枠6に対する対向面に挿通された締結具10によって、これらの対向面に対応した部材に塞ぎ板8が固定的に締結される。これにより、昇降路1の開口部2縁部と三方枠4の外周縁部との両者の間に塞ぎ板8が設けられて、上記両者相互間の隙間を閉塞するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のエレベーターの三方枠装置では、昇降路1の開口部2縁部と三方枠4の外周縁部との両者の間に塞ぎ板8が設けられて、上記両者相互間の隙間が閉塞される。このような構成において、昇降路1が設けられた建物の一つの乗場3に火災が発生した場合に、三方枠4が加熱されたときには三方枠4の側枠5等の部材が膨張する。
【0007】
これにより、側枠5等が長手方向、すなわち上下方向に伸びるものの、塞ぎ板8によって側枠5等の縁部が締結具10により開口部2縁部に固定的に締結されている。このため、側枠5等が加熱されて膨張するときの伸びが拘束され反りや捻りが発生する。また、側枠5等の加熱による反りや捻りの発生時に、開口部2縁部、塞ぎ板8、側枠5の間において隙間が生じ、その隙間から火災の炎や煙が昇降路1へ流入して火災災害が他の乗場3に拡大する恐れがあるという問題点があった。
【0008】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、乗場に火災が発生して三方枠が加熱された場合に、側枠等の部材の膨張に伴う変形が少ないエレベーターの三方枠装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーターの三方枠装置においては、昇降路に設けられて乗場を構成する開口部に設置され乗場の出入口縁部を形成する三方枠と、一側が三方枠の外側の縁部に締結され他側は開口部の縁部に配置された塞ぎ板と、塞ぎ板の開口部の縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が塞ぎ板の開口部の縁部との対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、開口部の縁部との対向面を開口部の縁部に締結する締結具とが設けられる。
【0010】
また、この発明に係るエレベーターの三方枠装置においては、塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面を三方枠の外側縁部に締結する締結具が設けられる。
【0011】
また、この発明に係るエレベーターの三方枠装置においては、一側が開口部縁部と塞ぎ板の間に介装され、かつ他側に設けられた屈折面が三方枠の外側縁部の屈折部と空隙を形成し互いに対面して配置された遮蔽板が設けられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1はエレベーター乗場の正面図、図2は図1のE部拡大図である。なお、図1及び図2の他は前述の図4〜図6と同様にエレベーターの三方枠装置が構成されている。図において、1はエレベーターの昇降路、3は昇降路1に設けられた乗場で、前述の図5における昇降路1の開口部2が設けられている。
【0013】
4は三方枠で、側枠5及び上枠6からなり開口部2に設置されて乗場3の出入口7縁部を形成する。8は塞ぎ板で、一側が開口部2の縁部に重合して配置され、他側は側枠5の補強材9又は上枠6の縁部に重合して配置されている。11は長穴で、長手が上下方向に配置されて塞ぎ板8の開口部2の縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられている。10はボルトを主要部材となす締結具で、長穴11に挿通されて塞ぎ板8の開口部2の縁部との対向面を開口部2の縁部に締結する。
【0014】
上記のように構成されたエレベーターの三方枠装置において、昇降路1に設けられた乗場3の出入口7縁部を構成する三方枠4が昇降路1の開口部2に対向して配置される。そして、三方枠4の側枠5又は上枠6と開口部2縁部の間に塞ぎ板8が設けられ、塞ぎ板8は開口部2縁部と側枠5又は上枠6に対して重合して配置される。
【0015】
また、塞ぎ板8の側枠5又は上枠6に対する対向面と、側枠5又は上枠6の縁部が相互に締結され、また塞ぎ板8の開口部2縁部との対向面に設けられた長穴11に挿通された締結具10によって、これらの対向面に対応した部材に塞ぎ板8が締結される。これによって、昇降路1の開口部2縁部と三方枠4の外周縁部との両者の間に塞ぎ板8が設けられて、上記両者相互間の隙間が閉塞される。
【0016】
このような構成において、昇降路1が設けられた建物の一つの乗場3に火災が発生した場合に、三方枠4が加熱されたときには三方枠4の側枠5等の部材が膨張する。これにより、側枠5等が長手方向、すなわち上下方向に伸びが発生するが、塞ぎ板8が長穴11に挿通された締結具10によって開口部2縁部に締結されているので、側枠5等の伸び発生方向に塞ぎ板8が開口部2縁部に対して摺動する。
【0017】
このため、側枠5等が加熱されて膨張するときの伸びが拘束されて発生する反りや捻りを少なくすることができる。したがって、側枠5等の加熱による反りや捻りの発生が減少して、開口部2縁部、塞ぎ板8、側枠5の間において隙間の発生が少なくなる。これにより、開口部2縁部と側枠5等の間の隙間から火災の炎や煙が昇降路1へ流入することによる火災災害の他の乗場3への拡大を未然に防ぐことができる。
【0018】
実施の形態2.
図1及び図2の実施の形態において、塞ぎ板8の三方枠4の側枠5等との対向面に前述の長穴11を設け、この長穴11に挿通された締結具10によって塞ぎ板8の対向面と三方枠4の側枠5等の縁部とを締結する。このような構成において、火災発生により三方枠4が加熱されたときの三方枠4の側枠5等の部材の膨張に対して、側枠5等の伸び発生方向への摺動性が向上する。
【0019】
したがって、側枠5等の加熱による反りや捻りの発生がさらに減少し、開口部2縁部、塞ぎ板8、側枠5の間において隙間の発生が少なくなる。これにより、開口部2縁部と側枠5等の間の隙間から火災の炎や煙が昇降路1へ流入することによる火災災害の他の乗場3への拡大を一層有効に未然に防ぐことができる。
【0020】
実施の形態3.
図3は、この発明の他の実施の形態の一例を示す図で、前述の図9相当図である。図において、前述の図1及び図2と同符号は相当部分を示し、12は遮蔽板で、一側が開口部2縁部と塞ぎ板8の間に介装され締結具10によって、開口部2縁部に塞ぎ板8と共締めされ、他側は屈折されて屈折面13が三方枠4の上枠6の上縁の屈折部の下側において屈折部と空隙を形成し互いに対面して配置される。
【0021】
上記のように構成されたエレベーターの三方枠装置においても、塞ぎ板8の開口部2縁部との対向面が前述の長穴11を介して締結具10によって開口部2縁部に締結される。したがって、詳細な説明を省略するが図3の実施の形態においても図1及び図2の実施の形態と同様な作用が得られる。
【0022】
また、図3の実施の形態において遮蔽板12が設けられるので、火災発生により三方枠4が加熱されたときに上枠6等が変形して上枠6と塞ぎ板8の間に隙間が生じた場合であっても、上枠6の上縁の屈折部と遮蔽板12の屈折面13の間に、屈折したラビリンス状の流路が形成される。このため、上枠6と塞ぎ板8の間に隙間から火災の炎や煙が昇降路1へ流入し難くなり、火災災害の他の乗場3への拡大を未然に防ぐことができる。
【0023】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、昇降路に設けられて乗場を構成する開口部に設置され乗場の出入口縁部を形成する三方枠と、一側が三方枠の外側の縁部に締結され他側は開口部の縁部に配置された塞ぎ板と、塞ぎ板の開口部の縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が塞ぎ板の開口部の縁部との対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、開口部の縁部との対向面を開口部の縁部に締結する締結具とを設けたものである。
【0024】
これによって、昇降路に設けられた乗場の出入口縁部を構成する三方枠が昇降路の開口部に対向して配置され、三方枠の外周縁部と開口部縁部の間に塞ぎ板が設けられて開口部縁部と三方枠の外周縁部に対して重合して配置される。また、塞ぎ板の縁部と三方枠の外周縁部が締結され、塞ぎ板縁部の開口部縁部との対向面に設けられて長手が対向面の長手方向に配置された長穴に挿通された締結具によって、開口部縁部に塞ぎ板縁部が締結される。これにより、昇降路の開口部縁部と三方枠の外周縁部との両者の間が塞ぎ板によって閉塞される。このような構成において、昇降路が設けられた建物の一つの乗場に火災が発生した場合に、三方枠が加熱されて例えば三方枠の側枠等の部材が膨張する。このときに、側枠等が長手方向、すなわち側枠に上下方向の伸びが発生するが、塞ぎ板が長穴を介して締結具によって開口部縁部に締結されているので、側枠等が伸び発生方向に摺動する。このため、側枠等が膨張するときの伸びが拘束されて発生する反りや捻りが減少する。したがって、開口部縁部、塞ぎ板、側枠の間において隙間の発生が少なくなり、開口部縁部と側枠等の間の隙間から火災の炎や煙が昇降路へ流入することによる火災災害の他の乗場への拡大を未然に防止する効果がある。
【0025】
また、この発明は以上説明したように、塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面を三方枠の外側縁部に締結する締結具を設けたものである。
【0026】
これによって、塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面においても、塞ぎ板が長穴を介して締結具によって三方枠の外側縁部に締結されている。このため、三方枠の側枠等が塞ぎ板との締結部においても伸び発生方向に摺動する。このため、側枠等が膨張するときの伸びが拘束されて発生する反りや捻りをさらに減少することができる。したがって、開口部縁部、塞ぎ板、側枠の間において隙間の発生が少なくなり、開口部縁部と側枠等の間の隙間から火災の炎や煙が昇降路へ流入することによる火災災害の他の乗場への拡大を一層有効に未然に防止する効果がある。
【0027】
また、この発明は以上説明したように、一側が開口部縁部と塞ぎ板の間に介装され、かつ他側に設けられた屈折面が三方枠の外側縁部の屈折部と空隙を形成し互いに対面して配置された遮蔽板を設けたものである。
【0028】
これによって、火災発生により三方枠が加熱されて変形し、三方枠部材と塞ぎ板の間に隙間が生じた場合であっても、遮蔽板が設けられるので三方枠部材の屈折部と遮蔽板の屈折面の間に、屈折したラビリンス状の流路が形成される。このため、三方枠部材と塞ぎ板の間に隙間から火災の炎や煙が昇降路へ流入し難くなり、火災災害の他の乗場への拡大を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すエレベーター乗場の正面図。
【図2】 図1のE部拡大図。
【図3】 この発明の実施の形態3を示す図で、後述する図9相当図。
【図4】 従来のエレベーターの三方枠装置を示す図で、エレベーター乗場の正面図。
【図5】 図4のA−A線断面拡大図。
【図6】 図4のB−B線断面拡大図。
【図7】 火災による図4の三方枠の変形状態を示す図。
【図8】 図7のC−C線断面拡大図。
【図9】 図7のD−D線断面拡大図。
【符号の説明】
1 昇降路、 2 開口部、 3 乗場、 4 三方枠、 7 出入口、 8 塞ぎ板、 10 締結具、 11 長穴、 12 遮蔽板、13 屈折面。

Claims (2)

  1. 昇降路に設けられて乗場を構成する開口部に設置され上記乗場の出入口縁部を形成する三方枠と、一側が上記三方枠の外側の縁部に締結され他側は上記開口部の縁部に配置された塞ぎ板と、上記塞ぎ板の上記開口部の縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が上記対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、上記対向面を上記開口部の縁部に締結する締結具と、一側が開口部縁部と塞ぎ板の間に介装され、かつ他側に設けられた屈折面が三方枠の外側縁部の屈折部と空隙を形成し互いに対面して配置された遮蔽板と、を備えたエレベーターの三方枠装置。
  2. 塞ぎ板の三方枠の外側縁部との対向面における長手に沿う方向に互いに離れて設けられて、長手が上記対向面における長手に沿う方向に配置された長穴に挿通され、上記対向面を上記三方枠の外側縁部に締結する締結具を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベーターの三方枠装置。
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