JP4163345B2 - 駆動力配分装置における電磁クラッチ構造 - Google Patents

駆動力配分装置における電磁クラッチ構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2個の電磁クラッチを選択的に作動させることにより2個の軸間でトルクを配分する駆動力配分装置に関し、特に、その電磁クラッチの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
2個のクラッチを備えた駆動力配分装置を介してエンジンの駆動力を左右の駆動輪に配分可能にし、旋回外輪に配分する駆動力を増加するとともに旋回内輪に配分する駆動力を減少させることにより、旋回方向のヨーモーメントを発生させて旋回性能を高める技術は公知である。かかる駆動力配分装置において、前記2個のクラッチを電磁クラッチで構成したものが本出願人により既に提案されている(特願平11−176651号参照)。上記電磁クラッチはコイル、摩擦係合部材およびアマチュアを備えており、励磁したコイルに吸引されるマチュアで摩擦係合部材を係合させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、2個の電磁クラッチを備えた駆動力配分装置では、それら電磁クラッチの部品をできる限り共有化して部品点数を削減することが望まれる。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、駆動力配分装置に設けられた2個の電磁クラッチの機能を損なうことなく部品点数の削減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、一方の軸から他方の軸にトルクを伝達する第1電磁クラッチと、他方の軸から一方の軸にトルクを伝達する第2電磁クラッチとを備え、第1、第2電磁クラッチを選択的に作動させて前記両軸間でトルクを配分すべく、共通のアマチュアの一側に第1電磁クラッチの第1摩擦係合部材および第1コイルを配置するとともに前記アマチュアの他側に第2電磁クラッチの第2摩擦係合部材および第2コイルを配置し、第1コイルの励磁により前記アマチュアを一方向に移動させて第1摩擦係合部材を係合させ、第2コイルの励磁により前記アマチュアを他方向に移動させて第2摩擦係合部材を係合させることを特徴とする駆動力配分装置であって、前記第1、第2電磁クラッチの各々は、前記第1、第2コイルをそれぞれ収納するコアと、前記第1、第2摩擦係合部材をそれぞれ案内するアウターガイドおよびインナーガイドと、前記アマチュアとによって閉じた磁路を構成可能であり、前記コア、前記アウターガイド、前記インナーガイドおよび前記アマチュアは磁性体製であり、前記第1、第2摩擦係合部材は非磁性体製であることを特徴とする、駆動力配分装置における電磁クラッチ構造が提案される。
【0006】
上記構成によれば、第1、第2電磁クラッチの間に共通のアマチュアを配置し、第1コイルを励磁して前記アマチュアを一方向に移動させて第1摩擦係合部材を係合させ、第2コイルを励磁して前記アマチュアを他方向に移動させて第2摩擦係合部材を係合させるので、アマチュアの数を最小限に抑えて部品点数を削減することができる。しかも第1、第2電磁クラッチは同時に係合することがないため、アマチュアの数が1個であっても第1、第2電磁クラッチの作動に支障を来すことがない。
【0007】
また第1、第2電磁クラッチの第1、第2コイルの励磁によりコア、アウターガイド,インナーガイドおよびアマチュアに沿う閉じた磁束が形成されたとき、これらコア、アウターガイド,インナーガイドおよびアマチュアが磁性体製であり、かつアウターディスクおよびインナーディスクが非磁性材製であるため、これらアウターディスクおよびインナーディスクを通しての磁束の短絡を防止してアマチュアを確実に吸引することができる。
【0008】
尚、実施例の左出力軸9L は本発明の一方の軸に対応し、実施例の右出力軸9R は本発明の他方の軸に対応し、実施例のコイル23L は本発明の第1コイルに対応し、実施例のコイル23R は本発明の第2コイルに対応し、実施例アウターディスク30L およびインナーディスク31L は本発明の第1摩擦係合部材に対応し、実施例のアウターディスク30R およびインナーディスク31R は本発明の第2摩擦係合部材に対応し、実施例の左電磁クラッチCL は本発明の第1電磁クラッチに対応し、実施例の右電磁クラッチCR は本発明の第2電磁クラッチに対応する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は駆動力配分装置の構造を示す図、図2は中低車速域での右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図3は中低車速域での左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図4は図1の要部拡大図、図5は図4の5−5線断面図、図6は図4の6−6線断面図である。
【0010】
図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの車両の車体前部に横置きに搭載したエンジンEの右端にトランスミッションMが接続されており、これらエンジンEおよびトランスミッションMの後部に駆動力配分装置Tが配置される。駆動力配分装置Tの左端および右端から左右に延びる左ドライブシャフトAL および右ドライブシャフトAR には、それぞれ左前輪WFLおよび右前輪WFRが接続される。
【0011】
駆動力配分装置Tは、トランスミッションMから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dを備える。差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりなり、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタリギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、一方の出力要素として機能するサンギヤ5が左出力軸9L を介して左前輪WFLに接続され、また他方の出力要素として機能するプラネタリキャリヤ8が右出力軸9R を介して右前輪WFRに接続される。
【0012】
左出力軸9L の外周に回転自在に支持されたキャリヤ部材11は、円周方向に90°間隔で配置された4本のピニオン軸12を備えており、第1ピニオン13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体に形成した3連ピニオン部材16が、各ピニオン軸12にそれぞれ回転自在に支持される。
【0013】
左出力軸9L の外周に回転自在に支持されて前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。また左出力軸9L の外周に固定された第2サンギヤ18は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、左出力軸9L の外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前記第3ピニオン15に噛み合う。
【0014】
実施例における第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下のとおりである。
【0015】
第1ピニオン13の歯数 Z2 =17
第2ピニオン14の歯数 Z4 =17
第3ピニオン15の歯数 Z6 =34
第1サンギヤ17の歯数 Z1 =32
第2サンギヤ18の歯数 Z3 =28
第3サンギヤ19の歯数 Z5 =32
第3サンギヤ19は左電磁クラッチCL を介してハウジング20に結合可能であり、左電磁クラッチCL の係合によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。またキャリヤ部材11は右電磁クラッチCR を介してハウジング20に結合可能であり、右電磁クラッチCR の係合によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。そして前記右電磁クラッチCR および左電磁クラッチCL は、マイクロコンピュータを含む電子制御ユニットUにより制御される。
【0016】
電子制御ユニットUは、エンジントルクTe、エンジン回転数Ne、車速Vおよび操舵角θを所定のプログラムに基づいて演算処理し、前記左電磁クラッチCL および右電磁クラッチCR を制御する。
【0017】
而して、車両の中低車速域での右旋回時には、図2に示すように電子制御ユニットUからの指令により右電磁クラッチCR が係合し、キャリヤ部材11をハウジング20に結合して停止させる。このとき、左前輪WFLと一体の左出力軸9L と、右前輪WFRと一体の右出力軸9R (即ち、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン14、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して連結されているため、左前輪WFLの回転数NL は右前輪WFRの回転数NR に対して次式の関係で増速される。
【0018】
L /NR =(Z4 /Z3 )×(Z1 /Z2
=1.143 …(1)
上述のようにして、左前輪WFLの回転数NL が右前輪WFRの回転数NR に対して増速されると、図2に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達することができる。
【0019】
尚、キャリヤ部材11を右電磁クラッチCR により停止させる代わりに、右電磁クラッチCR の締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速すれば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NL を右前輪WFRの回転数NR に対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達することができる。
【0020】
一方、車両の中低車速域での左旋回時には、図3に示すように電子制御ユニットUからの指令により左電磁クラッチCL が係合し、第3ピニオン15が第3サンギヤ19を介してハウジング20に結合される。その結果、左出力軸9L の回転数に対してキャリヤ部材11の回転数が増速され、右前輪WFRの回転数NR は左前輪WFLの回転数NL に対して次式の関係で増速される。
【0021】
R /NL ={1−(Z5 /Z6 )×(Z2 /Z1 )}
÷{1−(Z5 /Z6 )×(Z4 /Z3 )}
=1.167 …(2)
上述のようにして、右前輪WFRの回転数NR が左前輪WFLの回転数NL に対して増速されると、図3に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達することができる。この場合にも、左電磁クラッチCL の締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれば、その増速に応じて右前輪WFRの回転数NR を左前輪WFLの回転数NL に対して増速し、旋回内輪である左前輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを伝達することができる。而して、車両の中低速走行時には旋回外輪に旋回内輪よりも大きなトルクを伝達して旋回性能を向上させることが可能である。尚、高速走行時には前記中低速走行時に比べて旋回外輪に伝達されるトルクを少なめにしたり、逆に旋回外輪から旋回内輪にトルクを伝達して走行安定性能を向上させることが可能である。
【0022】
(1)式および(2)式を比較すると明らかなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したことにより、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約1.143)と、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率(約1.167)とを略等しくすることができる。
【0023】
次に、図4〜図6に基づいて左右の電磁クラッチCL ,CR の構造を説明する。
【0024】
アルミ合金等の非磁性材で形成されたハウジング20の内部に隣接して配置された左右の電磁クラッチCL ,CR は、左右の出力軸9L ,9R の軸線Lに直交する対称面Pに関して左右対称な構造を有している。
【0025】
左電磁クラッチCL は、磁性材で概略円筒状に形成されたコア21L を備えており、そのコア21L は円筒状のハウジング20の内周面に嵌合してボルト22で円周方向および軸方向に移動不能に固定される。コア21L の内部にはコイル23L が埋設される。コア21L の右側には磁性材で環状に形成されたアウターガイド24L およびインナーガイド25L が同軸に配置される。アウターガイド24L は、その外周面がハウジング20の内周面に円周方向および軸方向に移動不能にスプライン結合26L され、インナーガイド25L は、その内周面が第3サンギヤ19(図1参照)と一体のスリーブ28の左端外周面に円周方向および軸方向に移動不能にスプライン結合27L される。コア21L の右端面には、コイル23L に軸方向の荷重が加わるのを防止すべく、非磁性材で環状に形成されたプレッシャプレート29L が当接する。
【0026】
プレッシャプレート29L の右側に、6枚のアウターディスク30L …がアウターガイド24L の内周面に円周方向移動不能かつ軸方向移動可能にスプライン結合されるとともに、前記6枚のアウターディスク30L …に対して交互に重ね合わされた5枚のインナーディスク31L …がインナーガイド25L の外周面に円周方向移動不能かつ軸方向移動可能にスプライン結合される。そして右端のアウターディスク30L の右側に、磁性材で環状に形成されたアマチュア32が軸方向移動可能に配置される。
【0027】
同様にして、右電磁クラッチCR は、磁性材で概略円筒状に形成されたコア21R を備えており、そのコア21R は円筒状のハウジング20の内周面に嵌合してボルト22で円周方向および軸方向に移動不能に固定される。コア21R の内部にはコイル23R が埋設される。コア21R の左側には磁性材で環状に形成されたアウターガイド24R およびインナーガイド25R が同軸に配置される。アウターガイド24R は、その外周面がハウジング20の内周面に円周方向および軸方向に移動不能にスプライン結合26R され、インナーガイド25R は、その内周面がキャリヤ部材11の左端外周面に円周方向および軸方向に移動不能にスプライン結合27R される。コア21R の左端面には、コイル23R に軸方向の荷重が加わるのを防止すべく、非磁性材で環状に形成されたプレッシャプレート29R が当接する。
【0028】
プレッシャプレート29R の左側に、6枚のアウターディスク30R …がアウターガイド24R の内周面に円周方向移動不能かつ軸方向移動可能にスプライン結合されるとともに、前記6枚のアウターディスク30R …に対して交互に重ね合わされた5枚のインナーディスク31R がインナーガイド25R の外周面に円周方向移動不能かつ軸方向移動可能にスプライン結合される。そして左端のアウターディスク30R の左側に、前記アマチュア32が軸方向移動可能に配置される。即ち、アマチュア32は、対称面P上に配置されて左右の電磁クラッチCL ,CR に対して共有される。
【0029】
前記アウターディスク30L …,30R …およびインナーディスク31L …,31R …はステンレス鋼等の非磁性材で形成されており、その一方(例えば、インナーディスク31L …,31R …)の表面には、その他方(例えば、アウターディスク30L …,30R …)の表面に当接するクラッチフェーシング(図示せず)が張り付けられている。
【0030】
ハウジング20を貫通する2個の磁束密度センサ取付孔201 ,201 に、それぞれ磁束密度センサ41L ,41R が外部から嵌合して固定される。内部にホール素子を収納した検出部411 ,411 が磁束密度センサ41,41の先端に設けられており、この検出部411 ,411 はそれぞれのコア21L ,21R に形成された凹部211 ,211 内に嵌合する。
【0031】
而して、電子制御ユニットUからの指令で左電磁クラッチCL を係合すべくコイル23L に給電すると、図4に破線で示すように、磁性材のコア21L 、アウターガイド24L 、アマチュア32およびインナーガイド25L よりなる閉じた磁路に沿って磁束が形成され、アマチュア32がコイル23L に向けて左方向に吸引される。その結果、アマチュア32に押圧されたアウターディスク30L …およびインナーディスク31L …がプレッシャプレート29L との間に挟まれて相互に密着し、第3サンギヤ19と一体のスリーブ28がハウジング20に結合されて左電磁クラッチCL が係合する。
【0032】
同様にして、電子制御ユニットUからの指令で右電磁クラッチCR を係合すべくコイル23R に給電すると、図4に破線で示すように、磁性材のコア21R 、アウターガイド24R 、アマチュア32およびインナーガイド25R よりなる閉じた磁路に沿って磁束が形成され、アマチュア32がコイル23R に向けて右方向に吸引される。その結果、アマチュア32に押圧されたアウターディスク30R …およびインナーディスク31R …がプレッシャプレート29R との間に挟まれて相互に密着し、キャリヤ部材11がハウジング20に結合されて右電磁クラッチCR が係合する。
【0033】
このように、左電磁クラッチCL のコイル23L の励磁により、あるいは右電磁クラッチCR のコイル23R 励磁により磁束が形成されたとき、アウターディスク30L …,30R …およびインナーディスク31L …,31R …が全て非磁性材で構成されているため、これらアウターディスク30L …,30R …およびインナーディスク31L …,31R …を通しての磁束の短絡を防止してアマチュア32を確実に吸引することができる。
【0034】
左電磁クラッチCL のコイル23L の励磁によりアマチュア32が左動してアウターディスク30L …およびインナーディスク31L …を密着させたとき、アマチュア32の左側面は、アウターガイド24L およびインナーガイド25L の右側面との間に若干に隙間を有している。また右電磁クラッチCR のコイル23R の励磁によりアマチュア32が右動してアウターディスク30R …およびインナーディスク31R …を密着させたとき、アマチュア32の右側面は、アウターガイド24R およびインナーガイド25R の左側面との間に若干に隙間を有している。従って、アウターディスク30L …,30R …およびインナーディスク31L …,31R …にアマチュア32の推力を確実に伝達することができる。
【0035】
長期の使用によりインナーディスク31L …,31R …に張り付けたクラッチフェーシングが摩耗すると前記隙間が次第に減少し、コイル23L の励磁時にアマチュア32の左側面がアウターガイド24L およびインナーガイド25L の右側面に密着し、またコイル23R の励磁時にアマチュア32の右側面がアウターガイド24R およびインナーガイド25R の左側面に密着するようになる。従って、クラッチフェーシングが完全に摩耗する前に前記隙間が消滅するように設定しておけば、クラッチフェーシングが完全に摩耗した状態でアウターディスク30L …,30R …およびインナーディスク31L …,31R …が相互に圧接されて焼き付きを起こすことが防止される。
【0036】
前述したように、左右の前輪WFL,WFR間で配分されるトルクは左右の電磁クラッチCL ,CR の締結力により決定されるため、左右の前輪WFL,WFR間で所望のトルクを配分するには、左右の電磁クラッチCL ,CR が実際に発生している締結力を検出し、この締結力に基づいてコイル23L ,23R に供給する電流のデューティ比をフィードバック制御する必要がある。そして左右の電磁クラッチCL ,CR の締結力はアマチュア32に作用する軸方向の推力に依存し、この軸方向の推力はコイル23L ,23R が発生する磁束密度に依存する。従って、左側のコイル23L が発生する磁束密度を検出することにより左電磁クラッチCL の締結力を検出することができ、右側のコイル23R が発生する磁束密度を検出することにより右電磁クラッチCR の締結力を検出することができる。
【0037】
前記磁束密度は磁束密度センサ41L ,41R によって次のようにして検出される。左電磁クラッチCL について説明すると、コイル23L を励磁して磁性材のコア21L 、アウターガイド24L 、アマチュア32およびインナーガイド25L よりなる閉じた磁路に沿って主磁束が形成されたとき、その磁束密度に相関する大きさの漏れ磁束がコア21L の凹部211 内に発生する。従って、前記凹部211 内に嵌合する磁束密度センサ41L の検出部411 に設けたホール素子で前記漏れ磁束の大きさを検出すれば、前記主磁束の磁束密度を知ることができる。
【0038】
以上のように、隣接して配置した左右の電磁クラッチCL ,CR が1個のアマチュア32を共有するので、左右の電磁クラッチCL ,CR にそれぞれアマチュアを設ける場合に比べて、部品点数およびコストを削減することができる。しかも左右の電磁クラッチCL ,CR は選択的に係合するものであり、両電磁クラッチCL ,CR のコイル23L ,23R が同時に励磁することはないため、アマチュア32を共有しても左右の電磁クラッチCL ,CR の作動に支障を来す虞はない。
【0039】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0040】
例えば、本発明における駆動力配分装置は左右輪間で駆動力を配分するものに限定されず、前後輪間で駆動力を配分するものであっても良い。更に本発明は、制動力を左右輪間あるいは前後輪間で配分するものに対しても適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、第1、第2電磁クラッチの間に共通のアマチュアを配置し、第1コイルを励磁して前記アマチュアを一方向に移動させて第1摩擦係合部材を係合させ、第2コイルを励磁して前記アマチュアを他方向に移動させて第2摩擦係合部材を係合させるので、アマチュアの数を最小限に抑えて部品点数を削減することができる。しかも第1、第2電磁クラッチは同時に係合することがないため、アマチュアの数が1個であっても第1、第2電磁クラッチの作動に支障を来すことがない。
【0042】
また第1、第2電磁クラッチの第1、第2コイルの励磁によりコア、アウターガイド,インナーガイドおよびアマチュアに沿う閉じた磁束が形成されたとき、これらコア、アウターガイド,インナーガイドおよびアマチュアが磁性体製であり、かつアウターディスクおよびインナーディスクが非磁性材製であるため、これらアウターディスクおよびインナーディスクを通しての磁束の短絡を防止してアマチュアを確実に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 駆動力配分装置の構造を示す図
【図2】 中低車速域での右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図
【図3】 中低車速域での左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図
【図4】 図1の要部拡大図
【図5】 図4の5−5線断面図
【図6】 図4の6−6線断面図
【符号の説明】
L 左出力軸(一方の軸)
R 右出力軸(他方の軸)
21 L コア
21 R コア
23L コイル(第1コイル)
23R コイル(第2コイル)
24 L アウターガイド
24 R アウターガイド
25 L インナーガイド
25 R インナーガイド
30L アウターディスク(第1摩擦係合部材)
30R アウターディスク(第2摩擦係合部材)
31L インナーディスク(第1摩擦係合部材)
31R インナーディスク(第2摩擦係合部材)
32 アマチュア
L 左電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)
R 右電磁クラッチ(第2電磁クラッチ)

Claims (1)

  1. 一方の軸(9L )から他方の軸(9R )にトルクを伝達する第1電磁クラッチ(CL )と、他方の軸(9R )から一方の軸(9L )にトルクを伝達する第2電磁クラッチ(CR )とを備え、第1、第2電磁クラッチ(CL ,CR )を選択的に作動させて前記両軸(9L ,9R )間でトルクを配分すべく、
    共通のアマチュア(32)の一側に第1電磁クラッチ(CL )の第1摩擦係合部材(30L ,31L )および第1コイル(23L )を配置するとともに前記アマチュア(32)の他側に第2電磁クラッチ(CR )の第2摩擦係合部材(30R ,31R )および第2コイル(23R )を配置し、第1コイル(23L )の励磁により前記アマチュア(32)を一方向に移動させて第1摩擦係合部材(30L ,31L )を係合させ、第2コイル(23R )の励磁により前記アマチュア(32)を他方向に移動させて第2摩擦係合部材(30R ,31R )を係合させる駆動力配分装置における電磁クラッチ構造であって、
    前記第1、第2電磁クラッチ(C L ,C R )の各々は、前記第1、第2コイル(23 L ,23 R )をそれぞれ収納するコア(21 L ,21 R )と、前記第1、第2摩擦係合部材(30 L ,31 L ;30 R ,31 R )をそれぞれ案内するアウターガイド(24 L ,24 R )およびインナーガイド(25 L ,25 R )と、前記アマチュア(32)とによって閉じた磁路を構成可能であり、前記コア(21 L ,21 R )、前記アウターガイド(24 L ,24 R )、前記インナーガイド(25 L ,25 R )および前記アマチュア(32)は磁性体製であり、前記第1、第2摩擦係合部材(30 L ,31 L ;30 R ,31 R )は非磁性体製であることを特徴とする、駆動力配分装置における電磁クラッチ構造。
JP27072999A 1999-09-24 1999-09-24 駆動力配分装置における電磁クラッチ構造 Expired - Fee Related JP4163345B2 (ja)

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