JP4162921B2 - 鋼片の溶削装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼片の表面を溶削する溶削装置に係り、特に溶削時に生成するフィンを完全に除去することができる鋼片の溶削装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼片の品質を向上する上で、精錬および連鋳分野での改善技術が進歩しているものの、需要者の品質厳格化に対して、鋼片無手入による品質保証は達成できていない。連続鋳造における鋳片表皮下にトラップされるモールドパウダ、スラグ、アルミナ等の介在物は、最終冷延工程まで残り、一般にスリーバー、ヘゲと称する欠陥につながっている。
【0003】
表皮下に存在する製鋼欠陥を鋳片状態で除去するための方法としては、スカーファーと称する鋼片の溶削装置が使用されている。このスカーファー装置は、例えば、図2に示すように、鋼片Wの上面および側面に高圧の酸素ガスおよび燃焼用ガスを噴射するための上面溶削火口列Tと側面溶削火口列Lから構成されている。
【0004】
ところで、このスカーファー装置にあっては、図2に示すように、鋼片Wの表面▲1▼(又は上面)および側面▲3▼を溶削した後、これを反転しスカーフした際に、側面▲3▼および表面▲1▼に溶削時に生成するフィンa、bが残り、このフィンは熱間圧延の際にコイル表面疵として欠陥を生成するため、スカーフ後フィンを除去する精整工程が必要となるという問題があった。
【0005】
これを解決する手段としては、特開平1−154868号に記載されるようなゴールドスカーファが開示されている。この従来技術では、図3に示すように、スカーファ本体Sは、主に鋼片Wの幅方向に配列され鋼片Wの上面を溶削する溶削ノズルtと、この溶削ノズルtの配列方向に移動可能に設けられた酸素ガス噴射ノズルnと、この酸素ガス噴射ノズルnを鋼片Wの幅方向端部の近傍に位置させる配置手段mとを有しており、溶削ノズルtにより鋼片Wの上面を溶削しつつ酸素ガス噴射ノズルnにより鋼片幅方向端部(フィンaの生成部)に酸素ガスを吹き付けるようになっている。さらに鋼片Wの幅方向一端部には、鋼片の一側面に対面して溶削ノズルlが設けられ、この溶削ノズルlにより、鋼片Wの一側面を溶削することが可能になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平1−154868号に記載の従来技術では、酸素ガス噴射ノズルnにより、スカーフ時に生成する側面のフィンaを切ることができるが、下面に生成するフィンbを除去できないという問題が残されている。
なお、鋼片の上面、下面及び両側面を同時に溶削する4面スカーファーでは、このような問題が発生しないが、装置改造等にコストがかかる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、溶削時に生成するフィンを完全に除去することができる鋼片の溶削装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の請求項1は、搬送される鋼片の幅方向に配列され、前記鋼片の上面に対して開口する上面側火口列と、前記鋼片の幅方向一端側に配置され、前記鋼片の一方の側面に対して開口する側面側火口列とを有し、前記上面側火口列及び前記側面側火口列から酸素ガス及び燃焼用ガスを噴射することにより、前記鋼片の表面を溶削する鋼片の溶削装置において、前記鋼片の他方の側面の上端に対向し、かつ前記鋼片の幅方向に移動可能に前記上面側火口列に設けられた酸素ガスを噴射する側面側酸素ガス噴射ノズルと、前記鋼片の下面であって前記鋼片の幅方向一端に対向し、かつ非溶削時に前記鋼片の下面に対向する位置から退避可能に前記側面側火口列に設けられた酸素ガスを噴射する下面側酸素ガス噴射ノズルとを備えていることを特徴とする、鋼片の溶削装置である。
【0010】
本発明の鋼片の溶削装置によれば、上面側酸素ガス噴射ノズルと下面側酸素ガス噴射ノズルを併用して、溶削の際に生成するフィンに酸素ガスを直接吹き付けることにより、フィンが溶融されると共に酸素ガスによって急激に酸化及び冷却されて鋼片への付着が困難となり、このフィンが吹き飛ばされるので、フィンを完全に除去することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鋼片の溶削装置に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る鋼片の溶削装置の実施形態の説明図である。
本発明に係る鋼片の溶削装置Aは、図1に示すように、搬送される鋼片Wの幅方向に配列され、鋼片Wの上面に対して開口する上面側火口列1と、鋼片Wの幅方向一端部に配置され、鋼片Wの一方の側面に対して開口する側面側火口列2と、鋼片Wの他方の側面の上端に対向して設けられた酸素ガスを噴射する側面側酸素ガス噴射ノズル3と、鋼片Wの下面であって前記鋼片の幅方向一端に対向して設けられた酸素ガスを噴射する下面側酸素ガス噴射ノズル4によって主要部が構成される。
【0012】
上面側火口列1と側面側火口列2は、テーブルローラ5等によって搬送されるスラブ等の鋼片Wの上面及び一方の側面に酸素ガスと燃焼用ガスを噴射して、スカーフを行う。なお、上面側火口列1と側面側火口列2の構成は、基本的に公知技術と同様であるので、その説明は省略する。
前記上面側火口列1には、位置決め用シリンダー31が取り付けられると共に、該位置決め用シリンダー31の先端側に側面側酸素ガス噴射ノズル3がシリンダーロッド32を介して連結されている。そして、側面側酸素ガス噴射ノズル3は、鋼片Wの幅に応じて、位置決めシリンダー31によって、鋼片Wの幅方向に移動可能となる。そして、側面側酸素ガス噴射ノズル3は、スカーフ時に鋼片Wの幅寸法に応じて、フィンを除去することができる。
【0013】
一方、前記側面側火口列2の下端側には、駆動シリンダー41が取り付けられている。該駆動シリンダー41の先端側には、シリンダーロッド42を介してアーム43の一端が連結されている。該アーム43の他端には、下面側酸素ガス噴射ノズル4が取り付けられている。ここで、該アーム43は、ヒンジ等を用いて回転自在に設置されている。そして、下面側酸素ガス噴射ノズル4は、駆動シリンダー41によって、退避状態から鋼片Wの下面に向けて約90度に回転可能となる。また、下面側酸素ガス噴射ノズル4は、使用時のみに、駆動シリンダー41により、鋼片Wの下面に配置される。
【0014】
図示していないが、これらのノズル3、4には、溶削作業時に各供給源からのホース或いは管が接続され、所定の酸素ガスが供給される。
次に、本発明の鋼片の溶削装置の動作について説明する。
鋼片Wをローラテーブル5で搬送し、その先端が鋼片の溶削装置Aに達すると、一旦鋼片Wの搬送が停止される。次いで、上面側火口列1と側面側火口列2から、鋼片Wの上面と一方の側面に向かって酸素および燃焼用ガスが噴射され、溶融鉄が吹き飛ばされる。そして、ローラテーブル5によって、搬送方向に沿って所定長さまで鋼片Wを順次溶削する。次に、上記溶削作業が終了すると、被溶削鋼片Wを反転して、残りの2表面を溶削する。この際、フィン除去作業を実施しないと、前述したように、鋼片の一側面の上端部と下面の一端部(以下、フィン生成部という)フィンa、b(図2を参照)が生成される。
【0015】
そこで、鋼片Wの反転後の溶削作業を行う際に、位置決め用シリンダー31のシリンダーロッド32を動かし、鋼片Wの幅に応じて、図1に示すように、側面側火口列2の反対側に位置する鋼片Wの側面の上端部に対向して側面側酸素ガス噴射ノズル3をセットする。引き続き、駆動シリンダー41のシリンダーロッド42を駆動し、アーム43を退避位置から上方へ回転させる。そして、側面側火口列2の下端側に近接した鋼片Wの下面の端部に対向して下面側酸素ガス噴射ノズル4をセットする。次いで、上面側火口列1と側面側火口列2による溶削と同時に、側面側酸素ガス噴射ノズル3と下面側酸素ガス噴射ノズル4により、フィン生成部に高圧酸素ガスのみを吹き付ける。これにより、フィンa、bが高圧酸素ガスにより急激に酸化及び冷却されて、鋼片Wへの付着が困難となり吹き飛ばされるため、完全に除去可能となる。ここで、酸素ガスのみを使用するので、側面側酸素ガス噴射ノズル3と下面側酸素ガス噴射ノズル4の噴射により生成する2次的フィンは発生しない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、側面側酸素ガス噴射ノズルと下面側酸素ガス噴射ノズルを併用することにより、フィン生成部に生成するフィンを完全に除去できると共に、フィン除去作業の省力化及び効率化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋼片の溶削装置の説明図である。
【図2】従来例の鋼片の溶削装置の説明図である。
【図3】従来の他の例の鋼片の溶削装置の説明図である。
【符号の説明】
A 鋼片の溶削装置
W 鋼片
1 上面側火口列
2 側面側火口列
3 側面側酸素ガス噴射ノズル
31 位置決め用シリンダー
32 シリンダーロッド
4 下面側酸素ガス噴射ノズル
41 駆動シリンダー
42 シリンダーロッド
43 アーム

Claims (1)

  1. 搬送される鋼片の幅方向に配列され、前記鋼片の上面に対して開口する上面側火口列と、前記鋼片の幅方向一端側に配置され、前記鋼片の一方の側面に対して開口する側面側火口列とを有し、前記上面側火口列及び前記側面側火口列から酸素ガス及び燃焼用ガスを噴射することにより、前記鋼片の表面を溶削する鋼片の溶削装置において、
    前記鋼片の他方の側面の上端に対向し、かつ前記鋼片の幅方向に移動可能に前記上面側火口列に設けられた酸素ガスを噴射する側面側酸素ガス噴射ノズルと、前記鋼片の下面であって前記鋼片の幅方向一端に対向し、かつ非溶削時に前記鋼片の下面に対向する位置から退避可能に前記側面側火口列に設けられた酸素ガスを噴射する下面側酸素ガス噴射ノズルとを備えていることを特徴とする、鋼片の溶削装置。
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