JP4162793B2 - 農用車輪 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用田植機、湛水直播機等の水田用又は管理機等の畑地用等に利用される農用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用田植機、灌水直播機等の水田用車両に装着される車輪として、従来、実開昭57−185604号公報(以下、第1従来例と言う)や、特開昭63−284004号公報(以下、第2従来例と言う)等に記載のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
第2従来例の車輪は、いわゆる空気入りタイヤの構成を有するものであるので、1年のうち1回又は2回しか使用されない田植え機等に使用するうえでは、空気抜けに関する管理上、耐久性上の問題を避けることができなかった。これに対して第1従来例の車輪は、パイプ製リムをゴムで被覆したいわゆるゴム焼き付け型車輪の構成を有するものであるため、上記のような空気抜けの問題が生じないものであった。
【0004】
以下、図面に基づき第1従来例の車輪について説明する。図10はリヤーマウント方式の乗用四輪田植え機で例示する水田用車両1を示したものであって、この車両1は後部に植え付け装置2を備えており、前輪3及び後輪4によって走行する。
ところで、この種車両1は、水田等の走行時には泥面上に浮かせるフロート5によって植え付け装置2の荷重を支えるようにするが、道路等の走行時には植え付け装置2をフロート5ごと上方へ持ち上げるようになっている。そのため、車両1の重心は前輪3側へ移動するようになる。
【0005】
図11および図12に示すようにこの前輪3は、中央のボス6と、該ボス6に周方向に等配状・放射状に設けられた複数本(図面では3本)のスポーク7と、これらスポーク7の突端部に溶着された丸パイプを素材とするリム8と、該リム8を芯としてこの全体を被覆状とするゴム等の弾性材料からなる弾性輪体9とを備えてなり、いわゆるゴム焼き付け型車輪となっている。
弾性輪体9には、径方向外方へ突出して赤道外周で周方向に延びた周方向リブ10が切欠部10aによって周方向の間隔を有して一体的に突隆形成されており、これにより直進性を確保し、該リブ10の左右両側に、周方向に所定間隔をおいて互いに千鳥配置状(周方向で左右交互に配置)となる側ラグ11が形成されてトラクションを確保している。このように千鳥配置にすれば、周方向リブ10の右側及び左側のそれぞれにおいて、周方向における側ラグ11相互の間隔を広くとれるので、水田走行中のトラクションを充分にしつつ、ラグ間における泥の詰まりを防止し、また排泥効果が効率よく得られるものとなる。
【0006】
側ラグ11は、その側面形状が三角形状(乃至台形状)をしており、前進時(矢符C参照)において路面に先に達する側の斜面を蹴り面11aとし、この蹴り面11aの反対側面であって、路面からの離反を見送る側の斜面を支え面11bとしている。また、これら蹴り面11aとを支え面11bとの中間位置で頂点部を成す直線面を接地面11cとしていて、該接地面11cは回転方向Cに対して後退角を有して延伸され、蹴り面11aと支え面11bとで囲まれる側ラグ11の端面に凹み11bが形成されている。
【0007】
この従来の車輪3について本発明者は、種々実験を重ねた結果、次のような課題があることが解った。
[1]:周方向リブ10は直進性を確保することが主眼であるが、接地面が細幅であることから、左右方向への振れが生じ易いとともに、走行中における突起乗り越し時の衝撃力緩和性能が劣り、このため周方向リブ10の高さ、すなわち、切欠部10aの深さを高くすると、周方向リブ10の剛性が極度に低下し、直進性確保が充分でないという課題があった。
【0008】
[2]:リム8の外周を被覆する弾性材料は、高弾性材料(例えば、JISA硬度62°)であり、しかも、リム8の被覆厚さが大きい(厚い)ことから、結果的に側ラグ11の剛性が過大となって衝撃力緩和性能が劣るとともに、泥土等の付着量が大となるという問題があった。
[3]:以上のことから、機体(田植え機)に対するダメージも大きく、耐久性に悪影響を与えるとともに、振動性能が比較的悪く、乗心地が劣るだけでなく植付装置による植付精度も低下するという課題があった。
【0009】
また、本発明者は、特開平7−47813号において、「ボスと、該ボスに等配状として放射状に付設された複数のスポークと、これらスポークの先端部に固設された環状リムと、該リムを被覆し且つ弾性材からなる輪体とを有し、該輪体に径方向外方に突出する複数個のラグを周方向に隣接して設けた水田用車両の車輪において、
前記輪体は前記リムの左右幅方向に膨出する膨出部を有しており、該膨出部は、前記ラグ間における前記輪体の径方向外方位置と前記膨出部との中間部分、及び、前記輪体の径方向内方位置と前記膨出部との中間部分よりも厚肉とされていることを特徴とする水田用車両の車輪。」を提案しており(第3従来例)、この水田用車両の車輪によれば、「輪体に左右方向に膨出する膨出部が設けられていることから、車輪が泥土中に埋入することが防止される。また、この膨出部は、ラグ間における輪体の径方向外方位置と膨出部との中間部分、及び、輪体の径方向内方位置と膨出部との中間部分よりも厚肉とされており、これら中間部分に余分な弾性材が消費されないので、輪体を構成する弾性材の消費量を抑えられ、また、簡単な構造であるので、低コストで製造できる。」というものであった。
【0010】
しかしながら、この第3従来では、左右方向に膨出する膨出部が弾性輪体における最大幅部分に相当し、圃場内(湿田,畑地を含む)ではこの最大幅部分まで沈下するものであるから、当該最大幅部分(膨出部)をリムの左右側部にしていたため、沈下量が大きくなるという課題[4]があった。
また、第3従来例における周方向リブは、既述した第1従来例と同様に構成であったため、当該第1従来例と同様な課題[1]があった。
更に、第3従来例におけるスポーク形ゴム焼付け車輪を、田植機等の水田走行作業機の前輪として使用した場合、該前輪は舵取りされることから、スポーク間に泥詰まりが発生し易いという不具合があり、この詰まった泥が持廻されて落下すると植付苗を乱したり、植付苗を落下土で埋め込む等の不具合が生じる。
【0011】
このような観点から、本発明者は、特開昭9−207502号公報において、弾性輪体の左右側面に、段差部を形成して、車軸等に固定されたディスクの外周縁を前記段差部に嵌合することで、スポーク間の泥詰まりを防止した農用車輪(水田用車輪)を提案した(第4従来例)。
この第4従来例においては、段差部が左右に形成してあるため、この段差部形成のためのゴム量(リム左右の被覆部の厚さ)が多くなり、このため、ディスクを装着していない側(通常は機体側)での被覆部において泥土の付着、持廻りが激しくなるという課題[5]が発生することを知見した。
【0012】
なお、第4従来例における車輪のラグ部分(周方向リブと側ラグ)の構成は、既述した第1従来例と同様であるため、既述の課題[1]が残存していた。
本発明は、前述した課題[1]〜[5]を解消した農用車輪を提供するとともに、水田、畑地等使用場所を選ばず最適のスリップ率、牽引力を発揮できるとともに対地(泥土,畑土)より抜けるときの抵抗が少なく、馬力消費も節減できる農用車輪(ゴム焼付車輪)を提供することが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車軸取付け用のボス6と、該ボス6まわりに放射状に設けられたスポーク7と、これらスポーク7によって円環状に保持されたリム8と、このリム8を芯としてその全体を弾性材料で被覆した弾性輪体9とを有し、該弾性輪体9の外周に周方向リブ10と側ラグ11とを有するラグ部分を突隆形成している農用車輪において、次の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る農用車輪は、前記ラグ部分を除く弾性輪体9の最大幅部分12が、前記リム8の外径部よりも径外位置にて左右方向に突隆した左右の膨出部12L12Rで形成され、該左右の膨出部12L,12Rの径内部分におけるリム8の左右被覆部13L,13Rは、その一方が被覆厚さが薄く他方が厚くされており、当該厚い被覆部13Rの側の輪体外側面には、スポーク7間の泥詰まりを防止するためのディスク19を嵌める段差部20が前記ボス6軸心を中心とする同心円上に形成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0014】
このような構成を採用したことによって、水田,畑地を問わず車輪の沈下(機体沈下)を抑制できて適正なスリップ率,牽引力を発揮でき、また、衝撃力緩和機能も向上できるのである。
また、機体の沈下量を抑えて対地からの抜け抵抗を小さくできるだけでなく、ディスク19を嵌め込んでいない被覆部13Lの被覆厚さが小さいことから、土等の持ち上げ量も抑制できるし、ゴム使用量も軽減できたのである。
また、請求項1において、左右方向に突隆した左右の膨出部12L,12Rは、断面における外郭形状が曲面によって形成されており、該左右の膨出部12L,12Rの径内部分におけるリム8の左右被覆部13L,13Rは、輪体赤道面と平行な左右平行面14L,14R又はリム8の断面形状に沿う左右傾斜面15L,15Rによって形成されていることを特徴とするものである(請求項2)。
【0015】
このような構成を採用したことによって、前述の作用効果に加えて、対地より抜けるときの抵抗が少なく、馬力消費も節減できるし、また、対地から抜けるときの泥土等の持ち上げ量が少なくなるのである。
また、請求項1において、周方向リブ10と側ラグ11とを有するラグ部分は、周方向リブ10を周方向の間隔を有して列設することで周方向リブ10間に切込部10aが形成され、側ラグ11は蹴り面11aと支え面11bを有して断面台形状に形成されており、前記周方向リブ10の側ラグ11との連接部分18での左右幅が、周方向リブ10の周方向端部の左右幅よりも広幅に形成されていて、該側ラグ11が周方向で左右交互に配置されていることを特徴とするものである(請求項3)。
【0016】
このような構成を採用したことによって、周方向リブ10の左右ふらつきが抑制され直進性が向上できるだけでなく、衝撃力緩和機能も向上できるのである。
更に、請求項3において、側ラグ11の軸方向外端面にはくり抜き凹部11dが形成されており、該凹部11dの径外端縁11eと径方向同一位置もしくは径内位置に切込部10aの底10bが形成されていることを特徴とするものである(請求項4)。
このような構成を採用したことによって周方向リブ10の過剛性を軽減して振動・衝撃を緩和しつつ蹴り面11aによる牽引力向上が図れるのである。
【0017】
また、前記段差部(20)は、周方向に連続する円環形状又は周方向で断続して形成されていることが望ましい(請求項5)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る農用車輪3について、乗用田植機1の前輪に使用した場合として説明する。
ただし、本発明に係る農用車輪3は、ゴム焼付け車輪である限りにおいて、歩行形田植機、湛水直播機等の水田走行作業機のみならず、管理機,防除機等々の畑地走行作業機にも適用可能である。
図1〜図5は、農用車輪3を示しており、該農用車輪3は、中央(中心)の車軸取付け用のボス6と、該ボス6まわりに放射状に設けられた丸パイプ材で例示するスポーク7と、これらスポーク7によって円環状に保持された丸パイプ材で例示するリム8と、このリム8を芯としてその全体をゴム等の弾性材料で被覆した弾性輪体9とを有し、該弾性輪体9の外周に周方向リブ10と側ラグ11とを有するラグ部分を突隆形成しており、ボス6とこのまわりのスポーク7とは互いに補強板6Aが溶着されている。
【0019】
この農用車輪3は、前記ラグ部分を除く弾性輪体9の最大幅部分12が、前記リム8の外径部よりも径外位置にて左右方向に突隆した左右の膨出部12L,12Rで形成されており、ここに、水田,畑地を問わず車輪の沈下(機体沈下)を左右の膨出部12L,12Rによって抑制できて適正なスリップ率,牽引力を発揮でき、また、車輪直下よりの衝撃だけでなく左右からの衝撃に対しても衝撃力緩和機能が向上できるのである。
また、左右方向に突隆した左右の膨出部12L,12Rは、断面における外郭形状が曲面によって形成されており、該左右の膨出部12L,12Rの径内部分におけるリム8の左右被覆部13L,13Rは、輪体赤道面と平行な左右平行面14L,14R又は図8で示すようにリム8の断面形状に沿う左右傾斜面15L,15Rによって形成されている。
【0020】
このような構成を採用したことによって、前述の作用効果に加えて、対地より抜けるときの抵抗が少なく、馬力消費も節減できるし、また、対地から抜けるときの泥土等の持ち上げ量が少なくなるのである。
弾性輪体9には、径方向外方へ突出して赤道外周で周方向に延びた周方向リブ10が切欠部10aによって周方向の間隔を有して一体的に突隆形成されており、これにより直進性を確保し、該リブ10の左右両側に、周方向に所定間隔をおいて互いに千鳥配置状(周方向で左右交互に配置)となる側ラグ11が形成されてトラクションを確保している。このように千鳥配置にすれば、周方向リブ10の右側及び左側のそれぞれにおいて、周方向における側ラグ11相互の間隔を広くとれるので、水田走行中のトラクションを充分にしつつ、ラグ間における泥の詰まりを防止し、また排泥効果が効率よく得られるものとなる。
【0021】
側ラグ11は、その側面形状が三角形状(乃至台形状)をしており、図11で示した前進時(矢符C参照)において路面に先に達する側の斜面を蹴り面11aとし、この蹴り面11aの反対側面であって、路面からの離反を見送る側の斜面を支え面11bとしている。また、これら蹴り面11aとを支え面11bとの中間位置で頂点部を成す直線面を接地面11cとしていて、該接地面11cは図2で示すように車軸方向と平行に延伸され、蹴り面11aと支え面11bとで囲まれる側ラグ11の端面に凹み11bが形成されている。
【0022】
すなわち、周方向リブ10と側ラグ11とを有するラグ部分は、周方向リブ10を周方向の間隔を有して列設することで周方向リブ10間に切込部10aが形成され、側ラグ11は蹴り面11aと支え面11bを有して断面台形状に形成されており、前記周方向リブ10と側ラグ11との連接部分18は周方向で広幅に形成されていて、該側ラグ11が周方向で左右交互に配置されているとともに、側ラグ11の軸方向外端面には断面半円形状のくり抜き凹部11dが形成されており、該凹部11dの径外端縁11eと径方向同一位置もしくは径内位置に切込部10aの底10bが形成されている。
【0023】
このような構成を採用したことによって、周方向リブ10の左右ふらつきが連接部分18により抑制された直進性が向上できるだけでなく、衝撃力緩和機能も向上できるのであり、また、くり抜き凹部11dを形成したことにより、周方向リブ10および側ラグ11の過剛性を軽減して振動・衝撃を緩和しつつ蹴り面11aによる牽引力向上が図れるのである。
更に、リム8全体を弾性材料で被覆する被覆厚さは、リム8の径外被覆部16、リム8の径内被覆部17およびリム8の左右被覆部13L,13Rの順に薄い被覆厚さとされていて、これによって、泥の付着を少なくできるだけでなく、使用ゴム量を節約できてコストダウンを図れるだけでなくゴム焼付け時間も短縮されて生産性が向上できたのである。
【0024】
図4を参照してより具体的に説明すると、この農用車輪3は、外径;650mm、タイヤ幅(ラグ幅,トレッド幅)E;80mm、輪体断面高さA;95mm、リブ深さ(切込部10aの高さ)B;22mm,リブ10の周長C;29mm、リム8の被覆断面高さD;54.5mm、タイヤ最大幅12;70mm、内径側断面幅F;43mmとされている。
すなわち、B/A×100が約23.2%であり、B/C×100が約75.9%とされており、このように、断面高さAに対してリブ10の深さBを深くすることでリブ10の剛性を抑える一方、切込部10aにおける立面10cを高くすることで牽引力を向上しており、F/E×100が約53.8%とされており、径外被覆部16、径内被覆部17、左右被覆部14L,14Rの順で被覆厚さが薄くされているのであり、タイヤ最大幅部分12をリム8の径外位置とすることで、機体の沈下を抑制し、回転後半で車輪3が泥中より抜けるときの抵抗を少なくして馬力消費を少なくするとともに、泥の付着・持廻りを抑制しているのである。
【0025】
なお、F/Eは40〜65%が最適であり、この値が40%以下であればリム8の位置が外径側となって径外被覆部16の厚み(高さ)が小さくなって振動緩和機能が低下するし、一方、65%以上であれば、泥の持上げが大となるのである。
更に、図示省略するけれども、リム8の径外位置にタイヤ最大幅部分12が左右の膨出部12L,12Rによって形成されることを条件として、車輪3は次のように構成できる。
【0026】
外径650mm、タイヤ幅E80mm輪体断面高さAが111mm、リブ深さ(切欠部10aの高さ)Bが22mm、リブ10の周長Cが29mmとされ、B/A×100が19.8%であり、B/C×100が75.9%とすること。
外径600mm、タイヤ幅Eを60mm、断面高さAが95mm、リブ深さBが20mm、リブ周長Cが28mmとされ、B/A×100が21.1%、B/C100が71.4%とすること。
該径550mm、タイヤ幅Eが60mm、断面高さAが80mm、リブ深さBが20mm、リブ周長Cが27mm、とされ、B/A×100が25%、B/C×100が74.1%とすること。
【0027】
外径500mm、タイヤ幅60mm、断面高さAが65mm、リブ深さBが18mm、リブ周長Cが29mmとされ、B/A×100が27.7%、B/C×100が62%とすること。
いずれにおいてもB/A×100が15〜30%で、B/C×100が60%〜80%とすることによって、牽引力を得るための側ラグ11に影響を与えることなくリブ10の部分の剛性を弱めることで振動および衝撃を緩和できるとともに、広幅の連接部18によってリブ10の振れ止めを抑制して直進性を確保し、しかも、リブ深さを高くしたことによって使用ゴム量も軽減されてコストダウンが図れるとともに、生産性が向上し、タイヤ最大幅部分12がリム8の径外位置にあることによって、機体の沈下が抑制されたのである。
【0028】
図6〜図8は農用車輪3の他の形態を示しており、この車輪3は、前記ラグ部分を除く弾性輪体9の最大幅部分12が、前記リム8の外径部よりも径外位置にて左右方向に突隆した左右の膨出部12L,12Rで形成され、該左右の膨出部12L,12Rの径内部分におけるリム8の左右被覆部13L,13Rは、その一方が被覆厚さが薄く他方が厚くされており、当該厚い被覆部13Rの側の輪体外側面には、スポーク7間の泥詰まりを防止するためのディスク19を嵌める段差部20が前記ボス6軸心を中心とする同心円上に形成されているものである。
【0029】
このような構成を採用したことによって、機体の沈下量を抑えて対地からの抜け抵抗を小さくできるだけでなく、ディスク19を嵌め込んでいない被覆部13Lの被覆厚さが小さいことから、土等の持ち上げ量も抑制できるし、ゴム使用量も軽減できて生産性を向上したのである。
更に、前記段差部20は、周方向に連続する円環形状に形成されているが周方向で断続して形成することもでき、このときは、ディスク19の外周に周方向の間隔をおいて段差部20に嵌合する舌片を突出するものとする。
【0030】
なお、図8で示すように、ディスク19は、ボス6に軸着した車軸に対してボルト等の締結手段21を介して取着される。
この形態の農用車輪3においては、段差部20を形成した以外の構成は、図1〜図5を参照して既述した農用車輪3と共通するので、共通部分は共通符号で示している。
また、図9(A)で示すように、トレッド部におけるリブ10と側ラグ11との関係は、回転方向Cに対して左右のラグ11を後退角をもった構成とすることもできるし、また、図9(B)で示すように、左右ラグ11の一方は後退角を有し、他方は直交しており、これを左右交互に配列することもできる。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ゴム焼付車輪において、過度の沈下を確実に防止して、泥持上げを少なくできるので、水田,畑地を問わず車輪形走行装置として有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 農用車輪を示す一部省略正面図である。
【図2】 図1のトレッド部分の一部展開平面図である。
【図3】 図1のT−T拡大断面図である。
【図4】 図1のX−X拡大断面図である。
【図5】 図1のY−Y拡大断面図である。
【図6】 他の農用車輪を示す一部省略正面図である。
【図7】 図6のトレッド部分の一部展開平面図である。
【図8】 図6のT−T拡大断面図である。
【図9】 図2および図6の他の2例(A)(B)を示す平面図である。
【図10】 乗用田植機の全体側面図である。
【図11】 従来例の農用車輪を示す正面図である。
【図12】 図11のトレッド部分を示す一部展開平面図である。
【符号の説明】
3 車輪
6 ボス
7 スポーク
8 リム
9 弾性輪体
10 リブ
11 側ラグ
12 タイヤ最大幅部分
12L,12R 膨出部
Claims (5)
- 車軸取付け用のボス(6)と、該ボス(6)まわりに放射状に設けられたスポーク(7)と、これらスポーク(7)によって円環状に保持されたリム(8)と、このリム(8)を芯としてその全体を弾性材料で被覆した弾性輪体(9)とを有し、該弾性輪体(9)の外周に周方向リブ(10)と側ラグ(11)とを有するラグ部分を突隆形成している農用車輪において、
前記ラグ部分を除く弾性輪体(9)の最大幅部分(12)が、前記リム(8)の外径部よりも径外位置にて左右方向に突隆した左右の膨出部(12L)(12R)で形成され、該左右の膨出部(12L)(12R)の径内部分におけるリム(8)の左右被覆部(13L)(13R)は、その一方が被覆厚さが薄く他方が厚くされており、当該厚い被覆部(13R)の側の輪体外側面には、スポーク(7)間の泥詰まりを防止するためのディスク(19)を嵌める段差部(20)が前記ボス(6)軸心を中心とする同心円上に形成されていることを特徴とする農用車輪。 - 左右方向に突隆した左右の膨出部(12L)(12R)は、断面における外郭形状が曲面によって形成されており、該左右の膨出部(12L)(12R)の径内部分におけるリム(8)の左右被覆部(13L)(13R)は、輪体赤道面と平行な左右平行面(14L)(14R)又はリム(8)の断面形状に沿う左右傾斜面(15L)(15R)によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の農用車輪。
- 周方向リブ(10)と側ラグ(11)とを有するラグ部分は、周方向リブ(10)を周方向の間隔を有して列設することで周方向リブ(10)間に切込部(10a)が形成され、側ラグ(11)は蹴り面(11a)と支え面(11b)を有して断面台形状に形成されており、前記周方向リブ(10)の側ラグ(11)との連接部分(18)での左右幅が、周方向リブ(10)の周方向端部の左右幅よりも広幅に形成されていて、該側ラグ(11)が周方向で左右交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の農用車輪。
- 側ラグ(11)の軸方向外端面にはくり抜き凹部(11d)が形成されており、該凹部(11d)の径外端縁(11e)と径方向同一位置もしくは径内位置に切込部(10a)の底(10b)が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の農用車輪。
- 段差部(20)は、周方向に連続する円環形状又は周方向で断続して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農用車輪。
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