JP4161744B2 - 衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時における乗員(運転者)の二次衝突エネルギーをステアリングコラムの前方への移動によって吸収する衝突エネルギー吸収手段を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のステアリングコラム装置の一つとして、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーをステアリングコラムの前方への移動によって吸収する衝突エネルギー吸収手段を備えるとともに、前記ステアリングコラムの上方部位を車体の一部に対して前方へ移動離脱可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時には前方に移動する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位を車体の一部に対して前方へ摺動可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時にも前方に移動しない下方支持機構を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−62624号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のステアリングコラム装置では、図7および図8に示したように、車両の衝突時において上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット1が車体側ブラケット2から前方へ移動離脱したとき、ステアリングコラム3は、上方支持機構Saの支持部Sa1(上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット1とともに移動するボルト1a、カラー1b等からなり、ステアリングコラム3の前方移動時には前方に移動する)と、下方支持機構Sbの支持部Sb1(下方支持機構Sbにおける車体側ブラケット4に固定されて移動しないボルト4a、カラー4b等からなり、ステアリングコラム3の前方移動時にも前方に移動しない)にて支持された状態で、乗員からの入力Fを受け、モーメントを釣り合わせながら、前方に向けてコラム軸方向に移動し、下方支持機構Sbのコラム側ブラケット5に組付けた衝突エネルギー吸収部材6にてエネルギー吸収荷重fを発生させる。このときの下方支持機構Sbの支持部Sb1を回転中心とするモーメントMの釣合は、図8に示したように、F・x=R・pとなる。但し、xは乗員がステアリングコラム3を傾動させるアーム長であり、Rは各支持部Sa1,Sb1が持つ垂直抗力であり、pは各支持部Sa1,Sb1間の距離である。
【0005】
ところで、従来のステアリングコラム装置では、ステアリングコラム3の前方移動時、図8に示したように、上方支持機構Saの支持部Sa1が車体側ブラケット2に摺動可能に係合しながら前方に移動し、下方支持機構Sbのコラム側ブラケット5が、前方に移動しない下方支持機構Sbの支持部Sb1に支持された状態で、前方に移動する。このため、ステアリングコラム3が前方に移動するにつれて、各支持部Sa1,Sb1間の距離pが徐々に小さくなり、上記した垂直抗力Rが大きくなって、各支持部Sa1,Sb1での摩擦力fa,fbが大きくなる。したがって、ステアリングコラム3の前方移動量(ストローク)が大の領域において、図6の▲1▼にて示したように、エネルギー吸収荷重fに上記した摩擦力fa,fbが付加され、全体として吸収荷重が増大する。
【0006】
また、従来のステアリングコラム装置では、車両の衝突時において上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット1が車体側ブラケット2から前方へ移動離脱したとき、ステアリングコラム3がストロークの途中で車体側ブラケット2と点または線接触して干渉するおそれがある。また、その干渉の衝撃でステアリングコラム3が変形し、食い込むという現象もおこり得る。かかる場合には、ステアリングコラム3の前方への移動速度が変化したり、ステアリングコラム3の変形が生じて、図6の▲2▼にて示したように、上記した摩擦力fa,fbを含む吸収荷重が増大して不安定となる。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、上記した課題に対処すべくなされたものであり、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーをステアリングコラムの前方への移動によって吸収する衝突エネルギー吸収手段を備えるとともに、前記ステアリングコラムの上方部位を車体の一部に対して前方へ移動離脱可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時には前方に移動する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位を車体の一部に対して前方へ摺動可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時にも前方に移動しない下方支持機構を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記上方支持機構の車体側部材と対向する前記ステアリングコラムの上部に、前記上方支持機構のコラム側部材が前記車体側部材から前方へ移動離脱したとき前記車体側部材の支承部と前方に摺動可能に係合して支持される受承部を設けて、前記上方支持機構の前記コラム側部材が前記車体側部材から前方へ移動離脱したときには、前記ステアリングコラムが、前記受承部と前記車体側部材の前記支承部との摺動可能な係合支持部と、前記下方支持機構の前記支持部にて支持された状態で、前方に向けてコラム軸方向に移動することに特徴がある。
【0008】
このようにすれば、車両の衝突時において上方支持機構のコラム側部材が車体側部材から前方へ移動離脱したとき、ステアリングコラムに設けた受承部が上方支持機構の車体側部材の支承部と摺動可能に係合して支持されるようになる。このため、ステアリングコラムは、上記した受承部と車体側部材の支承部との摺動可能な係合支持部と下方支持機構の支持部にて支持された状態で、前方に移動するようになる。
【0009】
ところで、上記した受承部と車体側部材の支承部との摺動可能な係合支持部は、ステアリングコラムの前方移動時にも、前方に移動しないため、ステアリングコラムが前方に移動しても、上記した係合支持部と下方支持機構の支持部との間の距離は略一定で変化しない。このため、上記した係合支持部と下方支持機構の支持部での各垂直抗力が大きくならず、ステアリングコラムの前方移動量(ストローク)が大の領域においても、エネルギー吸収時の全体的な吸収荷重が増大せず安定している。
【0010】
また、車両の衝突時において上方支持機構のコラム側部材が車体側部材から前方へ移動離脱したときには、ステアリングコラムに設けた受承部が上方支持機構の車体側部材の支承部と摺動可能に係合して支持されるため、ステアリングコラム自体がそのストロークの途中で上方支持機構の車体側部材と急激に干渉するおそれがなく、エネルギー吸収荷重が安定して得られる。
【0011】
また、本発明の実施に際して、上記した受承部が上方支持機構の車体側部材の支承部に面接触して係合支持されるように構成した場合には、受承部と車体側部材の支承部との係合支持部での係合面圧を低くすることが可能である。このため、当該係合支持部での変形を抑制することが可能であり、エネルギー吸収時における全体的な吸収荷重の安定化を図ることが可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一実施形態を示していて、この実施形態においては、ステアリングシャフト11を回転自在かつ軸方向移動不能に支持するステアリングコラム12が上方支持機構Saと下方支持機構Sbによって所定の傾斜角θにて車体の一部であるステアリング取付部材20にチルト可能および前方へ移動離脱可能に支持されている。
【0013】
ステアリングシャフト11は、その下方端(前端)にて自在継手を介して伸縮可能かつトルク伝達可能な中間軸(共に図示省略)に連結されるようになっていて、中間軸は自在継手を介してステアリングギヤボックス(共に図示省略)に連結されるようになっている。また、ステアリングシャフト11の上方端(後端)にはエアバッグ装置を装着したステアリングホイール13が一体回転可能に組付けられるようになっている。
【0014】
上方支持機構Saは、ステアリングコラム12の上方部位を上下方向へ移動調整可能(チルト調整可能)かつ前方へ移動離脱可能に支持するものであり、
図1および図2に示したように、下方に延びる左右一対のアーム31a,31bを有してステアリング取付部材20に左右一対の取付ボルト39を用いて一体的に固定された鉄板製の車体側ブラケット31と、上方に延びる左右一対のアーム32a,32bを有してステアリングコラム12に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット32と、このコラム側ブラケット32の両アーム32a,32bを車体側ブラケット31の両アーム31a,31bに対して摩擦係合により固定または解除させる係脱手段40と、この係脱手段40を操作する操作レバー50を備えている。
【0015】
ステアリング取付部材20は、図1および図2に示したように、上方部位に上方支持機構Saの取付部21を有し下方部位に下方支持機構Sbの取付部22を有している。上方支持機構Saの取付部21は、図2に示したように、断面略U字状に形成されていて、下端に略V字状凸面S1を有している。また、この取付部21には、各取付ボルト39が挿通される左右一対のボルト挿通孔(図示省略)が形成されていて、これら各ボルト挿通孔に対応して各取付ボルト39が螺着される左右一対のナット23,24が溶接によって一体的に固着されている。
【0016】
車体側ブラケット31は、図2〜図5に示したように、断面略M字状に形成されて頂部にステアリング取付部材20の略V字状凸面S1に密に接合される略V字状凹面S2を有する基板31Aと、断面略L字状に形成されて左右両端部にて基板31Aの下縁部に溶接によって固着されて基板31Aを補強する補強板31Bによって構成されていて、基板31Aには下方に延びる左右一対のアーム31a,31bが形成されている。
【0017】
また、基板31Aには、各取付ボルト39が挿通される左右一対のボルト挿通孔31c,31d(図3参照)が設けられている。また、各アーム31a,31bには、図2、図4および図5に示したように、前方に向けて開口する一対の支持孔31a1,31b1が形成されている。一方、補強板31Bには、図2、図4、図5および図6にて示したように、ステアリングコラム12に対向する平板状の支承部31eが形成されている。
【0018】
支承部31eは、二次衝突によってステアリングコラム12が前方へ移動することにより、コラム側ブラケット32が車体側ブラケット31から前方へ離脱したとき、ステアリングコラム12の上部に設けた滑り台12aを受承可能である。滑り台12aは、鉄板製であり、補強板31Bの支承部31eに対向するステアリングコラム12の上部に溶接によって固着されていて、その上面にて支承部31eと面接触可能であり、コラム側ブラケット32が車体側ブラケット31から前方へ離脱した状態でステアリングコラム12が僅かに上方へ傾動することによって、支承部31eに面接触して係合支持される。
【0019】
コラム側ブラケット32は、図1、図2〜図5にて示したように、上方に延びて車体側ブラケット31の各アーム31a,31bに外側から摺動可能に係合する左右一対のアーム32a,32bを有していて、各アーム32a,32bには下方支持機構Sbの支持中心O1を中心とする円弧状の長孔32a1,32b1が形成されている。
【0020】
係脱手段40は、図1および図2に示したように、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32bに形成した円弧状長孔32a1,32b1および車体側ブラケット31の両アーム31a,31bに形成した支持孔31a1,31b1をそれぞれ貫通する回転不能のロックボルト41と、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32b間にてロックボルト41の外周に嵌合されて左右両端部にて支持孔31a1,31b1に嵌合するカラー42と、ロックボルト41のねじ部41aに螺着されて操作レバー50によって回転されるナット43と、コラム側ブラケット32の左方のアーム32aと操作レバー50間にてロックボルト41上に組付けられた左右一対のカムプレート44によって構成されている。なお、左右一対のカムプレート44の詳細な構成は、特開2000−62624号公報に記載されているカムプレートの構成と同じであるため、その説明は省略する。
【0021】
この係脱手段40においては、操作レバー50が図1の反時計方向へ回動されることにより、ナット43がロックボルト41に締め付けられるとともに、両カムプレート44によって操作レバー50の回転がロックボルト41の軸方向ストロークに変換されて、両ブラケット31,32の各アーム31a,32a間と各アーム31b,32b間にそれぞれ所定の摩擦係合が得られ、車体側ブラケット31に対してコラム側ブラケット32が固定(ロック)されるように、また操作レバー50が図1の時計方向へ回動されることにより、ナット43が緩められるとともに、上記した各摩擦係合が解除され、車体側ブラケット31に対してコラム側ブラケット32がチルト可能となるようになっている。
【0022】
下方支持機構Sbは、ステアリングコラム12の下方部位を前方へ移動可能かつ傾動(回動)可能に支持するものであり、図1に示したように、下方に延びる左右一対のアーム61aを有してステアリング取付部材20に一体的に固定された鉄板製の車体側ブラケット61と、山形コ字状に形成されてステアリングコラム12の下方上部外周に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット62と、車体側ブラケット61に対してコラム側ブラケット62をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に連結する連結手段70によって構成されている。
【0023】
連結手段70は、コラム側ブラケット62に形成したコラム軸方向に長くて後方に向けて延びる左右一対の長孔62aに嵌合によって組付けられ所定の荷重で破損する左右一対の樹脂製ブッシュ71(図4および図5参照)と、これら両樹脂製ブッシュ71に嵌合されて両端面にて車体側ブラケット61の各アーム61aに係合するカラー73(図4および図5参照)と、このカラー73および車体側ブラケット61の各アーム61aに形成した取付丸孔(図示省略)を貫通して両樹脂製ブッシュ71およびカラー73を車体側ブラケット61に一体的に連結するボルト74(図1、図4および図5参照)と、このボルト74が螺着固定されるナット(車体側ブラケット61の右方のアームに溶接によって予め固着してある)によって構成されている。
【0024】
また、この実施形態においては、図1および図3にて示したように、コラム側ブラケット62にエネルギー吸収部材80が組付けられている。エネルギー吸収部材80は、ステアリングコラム12が前方へ移動する際にカラー73と係合して塑性変形し二次衝突エネルギーを吸収する長板であり、コラム側ブラケット62に一端部80a(図1参照)にて固着されていて、カラー73およびボルト74を包囲した状態で前方に向けて延出している。
【0025】
上記のように構成したこの実施形態においては、上方支持機構Saにおいて操作レバー50を図1の時計方向に回動操作して係脱手段40による固定を解除すれば、両ブラケット31,32における各アーム31a,32a間と各アーム31b,32b間の摩擦係合が解除されて、ステアリングコラム12がコラム側ブラケット32の長孔32a1,32b1に沿って所定量移動可能(チルト可能)となるため、また下方支持機構Sbにおいてコラム側ブラケット62が車体側ブラケット61に対して常に傾動可能であるため、ステアリングコラム12をチルト可能範囲にて上下方向に移動してステアリングホイール13の位置を適宜にチルト調整することが可能である。
【0026】
また、上方支持機構Saにおいて操作レバー50を図1の反時計方向に回動操作して係脱手段40を固定状態とすれば、両ブラケット31,32の各アーム31a,32a間と各アーム31b,32b間にそれぞれ所定の摩擦係合が得られて、車体側ブラケット31に対してコラム側ブラケット32が固定されるため、ステアリングコラム12が、上方支持機構Saの支持部Sa1(上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット32とともに移動するボルト41、カラー42等からなる)と、下方支持機構Sbの支持部Sb1(下方支持機構Sbにおける車体側ブラケット61に固定されて移動しないボルト74、カラー73等からなる)によって、所定の傾斜角θにて車体の一部であるステアリング取付部材20に固定されて支持される。
【0027】
また、この実施形態においては、車両の衝突時、その二次衝突の際に乗員からステアリングホイール13を介してステアリングシャフト11に前方への入力Fが作用し、この入力Fのコラム軸方向分力F1(=F・cosθ)、正確には、ブラケット61,62によって規制される方向の分力が上記した所定の摩擦係合と各ブッシュ71の破損荷重に打ち勝つことにより、ステアリングコラム12がその軸線方向に沿って前方へ移動する。また、ステアリングコラム12がその軸線方向に沿って前方へ移動する際には、下方支持機構Sbにおいてカラー73がエネルギー吸収部材80を塑性変形させるため、二次衝突エネルギーがエネルギー吸収部材80の塑性変形により吸収される。
【0028】
また、この実施形態においては、車両の衝突時において、上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット32が車体側ブラケット31から前方へ移動離脱したとき、図4および図5に示したように、ステアリングコラム12に設けた滑り台12aが上方支持機構Saにおける車体側ブラケット31の支承部31eと摺動可能に係合して支持されるようになる。
【0029】
このため、ステアリングコラム12は、上記した滑り台12aと車体側ブラケット31の支承部31eとの摺動可能な係合支持部Scと、下方支持機構Sbの支持部Sb1にて支持された状態で、乗員からの入力Fを受け、モーメントを釣り合わせながら、前方に向けてコラム軸方向に移動し、衝突エネルギー吸収手段であるエネルギー吸収部材80の塑性変形にてエネルギー吸収荷重fを発生させる。
【0030】
このときの下方支持機構Sbの支持部Sb1を回転中心とするモーメントMの釣合は、図4および図5に示したように、F・x=R・pとなる。但し、xは乗員がステアリングコラム12を傾動させるアーム長であり、Rは各支持部Sc,Sb1が持つ垂直抗力であり、pは各支持部Sc,Sb1間の距離である。なお、このときには、上方支持機構Saの支持部Sa1が車体側ブラケット31から離れた状態にてステアリングコラム12の前方移動に伴って前方に移動する。
【0031】
ところで、上記した滑り台12aと車体側ブラケット31の支承部31eとの摺動可能な係合支持部Scは、ステアリングコラム12が前方に移動していない初期状態(図1の状態)での上方支持機構Saの支持部Sa1の位置と実質的に同じ位置であり、ステアリングコラム12の前方移動時にも、前方に移動しないため、ステアリングコラム12が前方に移動しても、上記した係合支持部Scと下方支持機構Sbの支持部Sb1との間の距離pは略一定で変化しない(図4および図5参照)。
【0032】
このため、ステアリングコラム12が前方に移動しても、上記した係合支持部Scと下方支持機構Sbの支持部Sb1での各垂直抗力Rが大きくならず、ステアリングコラム12の前方移動量(ストローク)が大の領域においても、図6の▲3▼にて示したように、エネルギー吸収部材80の塑性変形によるエネルギー吸収荷重fに各支持部Sa1,Sb1での摩擦力fa,fbが付加された全体的な吸収荷重が増大せず安定している。
【0033】
また、車両の衝突時において上方支持機構Saにおけるコラム側ブラケット32が車体側ブラケット31から前方へ移動離脱したときには、ステアリングコラム12に設けた滑り台12aが上方支持機構Saにおける車体側ブラケット31の支承部31eと摺動可能に係合して支持されるため、ステアリングコラム12自体がそのストロークの途中で上方支持機構Saにおける車体側ブラケット31と急激に干渉するおそれがなく、図6の実線にて示したように、エネルギー吸収荷重fが安定して得られる。
【0034】
また、この実施形態においては、ステアリングコラム12に設けた滑り台12aが上方支持機構Saにおける車体側ブラケット31の支承部31eに面接触して係合支持されるように構成したため、滑り台12aと車体側ブラケット31の支承部31eとの係合支持部Scでの係合面圧を低くすることが可能である。このため、当該係合支持部Scでの変形を抑制することが可能であり、エネルギー吸収時(ステアリングコラム12のストローク時)における全体的な吸収荷重の安定化を図ることが可能である。
【0035】
上記実施形態においては、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーをステアリングコラム12の前方への移動によって吸収する衝突エネルギー吸収手段として、下方支持機構Sbのコラム側ブラケット62に組付けられてカラー73によって塑性変形されるエネルギー吸収部材80を採用して実施したが、乗員の二次衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収手段は他の構成のもの(例えば、ステアリングコラム自体に設けた衝突エネルギー吸収手段)を採用して実施することも可能であり、上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【0036】
また、上記実施形態においては、ステアリングコラム12の上部に設けられて、上方支持機構Saのコラム側部材が車体側部材から前方へ移動離脱したとき、車体側部材(車体側ブラケット31)の支承部31eと摺動可能に係合して支持される受承部として、鉄板製でステアリングコラム12の上部に溶接によって固着された滑り台12a(ステアリングコラムとは別体の滑り台)を採用して実施したが、この滑り台はステアリングコラム自体に一体的に形成して実施することも可能である。
【0037】
また、本発明の受承部は、上記実施形態にて記述したように、ステアリングコラム12が前方に移動しても、上記した係合支持部Scと下方支持機構Sbの支持部Sb1との間の距離pが略一定で変化しないようにするものであればよく、その形状がステアリングコラム12の軸線に対して傾斜していないもの(滑り台形状でないもの)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】 図1の2−2線に沿った上方支持機構の拡大断面図である。
【図3】 図1および図2に示したステアリング取付部材に組付けられる前の衝撃吸収式ステアリングコラム装置の平面図である。
【図4】 図1に示した衝撃吸収式ステアリングコラム装置の車両衝突時における作動初期の状態を示す側面図である。
【図5】 図1に示した衝撃吸収式ステアリングコラム装置の車両衝突時における作動後期の状態を示す側面図である。
【図6】 図1〜図5に示した本発明による衝撃吸収式ステアリングコラム装置および図7,図8に示した従来の衝撃吸収式ステアリングコラム装置によって得られる各エネルギー吸収荷重の特性を示す線図である。
【図7】 従来の衝撃吸収式ステアリングコラム装置の一実施形態を示す側面図である。
【図8】 図7に示した衝撃吸収式ステアリングコラム装置の車両衝突時における作動後期の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
11…ステアリングシャフト、12…ステアリングコラム、12a…滑り台(受承部)、13…ステアリングホイール、20…ステアリング取付部材(車体の一部)、Sa…上方支持機構、Sa1…上方支持機構の支持部、31…車体側ブラケット(車体側部材)、31a1,31b1…支持孔、31e…支承部、32…コラム側ブラケット(コラム側部材)、32a1,32b1…円弧状長孔、40…係脱手段、50…操作レバー、Sb…下方支持機構、Sb1…下方支持機構の支持部、80…エネルギー吸収部材、Sc…滑り台と車体側ブラケットの支承部との係合支持部。

Claims (2)

  1. 車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーをステアリングコラムの前方への移動によって吸収する衝突エネルギー吸収手段を備えるとともに、前記ステアリングコラムの上方部位を車体の一部に対して前方へ移動離脱可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時には前方に移動する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位を車体の一部に対して前方へ摺動可能に支持する支持部を有していて同支持部が前記ステアリングコラムの前方移動時にも前方に移動しない下方支持機構を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
    前記上方支持機構の車体側部材と対向する前記ステアリングコラムの上部に、前記上方支持機構のコラム側部材が前記車体側部材から前方へ移動離脱したとき前記車体側部材の支承部と前方に摺動可能に係合して支持される受承部を設けて、前記上方支持機構の前記コラム側部材が前記車体側部材から前方へ移動離脱したときには、前記ステアリングコラムが、前記受承部と前記車体側部材の前記支承部との摺動可能な係合支持部と、前記下方支持機構の前記支持部にて支持された状態で、前方に向けてコラム軸方向に移動することを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  2. 請求項1に記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記受承部は前記車体側部材の前記支承部に面接触して係合支持されることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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