JP3565037B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装備されるステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に装備されるステアリング装置の一つとして、ステアリングコラムの上方部位を上下方向及び前方へ移動可能に支持する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に支持する下方支持機構とによって、前記ステアリングコラムが所定の傾斜角にて車体に支持されるものがあり、例えば特開昭63−17172号公報に示されている。
【0003】
この公報のステアリング装置においては、上方支持機構が、断面略コ字状に形成されて一対の自由端部を下方とし上端平面部にて車体の一部に一体的に組付けられるサポートブラケットと、ステアリングコラムに一体的に固着され前記サポートブラケットの両自由端部にチルトアンドテレスコ機能部品を介してチルトアンドテレスコ可能に組付けられるコラム側ブラケットを備える構成とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報のステアリング装置においては、サポートブラケットが断面略コ字状に形成されているため、サポートブラケット自体の剛性が十分に得られず、所期のステアリング振動特性が得られないことがある。なお、サポートブラケットの形状に伴う剛性不足はサポートブラケットの板厚を増大することにより可能であるが、サポートブラケットの板厚を増大するとコストがアップするとともに重量が重くなるといった問題が生じる。
【0005】
また、上記した公報のステアリング装置においては、サポートブラケットがその上端平面部にて車体の一部に複数個のボルトを用いて一体的に組付けられていて、各ボルトに近接して各ボルトの軸線上にステアリングコラムが配置されているため、各ボルトの脱着作業(トルクレンチ等を用いて行われる)に際してステアリングコラムが邪魔になるといった問題もある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題に対処するため、ステアリングコラムの上方部位を上下方向と前方へ移動可能に支持する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に支持する下方支持機構とによって、前記ステアリングコラムを所定の傾斜角にて車体側に支持するようにしたステアリング装置において、前記ステアリングコラムの上方支持機構が、前後方向に延在するV字状凸面をその下面に形成した形態にて車体側に固定した支持部材と、該支持部材の前記V字状凸面に対応するV字状凹面をその頂部に形成した断面略M字状のサポートブラケットと、前記ステアリングコラムをその内部に一体的に固定して支持する断面略U字状のコラム側ブラケットを備えて、前記サポートブラケットのV字状凹面を前記支持部材のV字状凸面に接合させた状態にて同サポートブラケットを前記支持部材に固定し、前記コラム側ブラケットの両アーム部を前記サポートブラケットの両アーム部に前方へ離脱可能に組付けたことを特徴とするステアリング装置を提供するものである。このステアリング装置においては、前記サポートブラケットに対する前記コラム側ブラケットの組付部位よりコラム軸方向に離間した部位にて、車体側に固定した前記支持部材に対して前記サポートブラケットを前記V字状凸面とV字状凹面の接合部分を下方から貫通する取付ボルトによって一体的に組付固定することが望ましい。
【0007】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した本発明によるステアリング装置においては、車体側に一体的に組付固定されるサポートブラケットが断面略M字状に形成されていて、その頂部に形成したV字状凹面にて車体側に固定した支持部材に形成したV字状凸面に接合されるため、サポートブラケット自体の剛性を十分に高めることができ、サポートブラケットの小型軽量化を図りながら、所期のステアリング振動特性を得ることができる。
【0008】
また、本発明によるステアリング装置において、サポートブラケットに対するコラム側ブラケットの組付部位よりコラム軸方向に離間した部位にて、車体側に固定した前記支持部材に対して前記サポートブラケットがV字状凸面とV字状凹面の接合部分を下方から貫通する取付ボルトによって一体的に組付固定した場合には、取付ボルトの軸線上にステアリングコラムが配置されない構成とすることができて、取付ボルトの脱着作業に際してステアリングコラムが全く邪魔にならず、取付ボルトの脱着作業を容易に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示した本発明によるステアリング装置においては、ステアリングシャフト11を回転自在に支持するステアリングコラム12が上方支持機構Aと下方支持機構Bによって所定の傾斜角にて車体の一部であるインパネ補強部材20にチルト可能及び前方へ所定量移動可能に支持されている。ステアリングシャフト11は、その下方端にて自在継手(図示省略)を介して伸縮可能かつトルク伝達可能な中間軸(図示省略)に連結されるようになっていて、この中間軸は自在継手(図示省略)を介してステアリングギヤボックス(図示省略)に連結されるようになっている。また、ステアリングシャフト11の上方端にはエアーバッグを装着したステアリングホイール13が一体回転可能に組付けられるようになっている。
【0010】
上方支持機構Aは、ステアリングコラム12の上方部位を上下方向へ移動可能かつ前方へ離脱可能に支持するものであり、図1及び図2に示したように、下方に延びる左右一対のアーム31a,31bを有してインパネ補強部材20に左右一対の取付ボルト39を用いて一体的に固定された鉄板製のサポートブラケット(ブレイクアウェイブラケットということもある)31と、上方に延びる左右一対のアーム32a,32bを有してステアリングコラム12に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット(チルトアタッチメントということもある)32と、このコラム側ブラケット32の両アーム32a,32bをサポートブラケット31の両アーム31a,31bに対して摩擦係合により固定または解除させる係脱手段40と、この係脱手段40を操作する操作レバー50を備えている。
【0011】
インパネ補強部材20は、図1〜図3に示したように、上方部位(図1及び図3の右方部位)に上方支持機構Aの取付部21を有し下方部位(図1及び図3の左方部位)に下方支持機構Bの取付部22を有している。上方支持機構Aの取付部21は、図2に示したように断面略U字状に形成されていて、下端にV字状凸面S1を有している。また、この取付部21には、バネクリップ33の係止孔21aが形成されるとともに、左右一対のボルト挿通孔21b,21c(各取付ボルト39が挿通される)が形成されていて、これら各ボルト挿通孔21b,21cに対応して左右一対のナット23,24(各取付ボルト39が螺着される)が溶接によって一体的に固着されている。
【0012】
サポートブラケット31は、図4〜図8にて詳細に示したように、断面略M字状に形成されて頂部にインパネ補強部材20のV字状凸面S1に密に接合されるV字状凹面S2を有する基板31Aと、この基板31Aの上方部位に溶接によって固着されて基板31Aを補強する補強板31Bによって構成されていて、基板31Aには下方に延びる左右一対のアーム31a,31bが形成されている。また、基板31Aには、バネクリップ33の取付孔31c,31d,31e,31fが設けられるとともに、左右一対のボルト挿通孔31g,31h(各取付ボルト39が挿通される)が設けられている。また、各アーム31a,31bには、前方に向けて開口する切欠31a1,31b1が形成されている。
【0013】
各切欠31a1,31b1は、図4及び図8にて示したように、図示左方に向けて上方に傾斜する形状に形成されていて、これに連続するようにして初期ガイド面G1と後期ガイド面G2が形成されている。初期ガイド部G1は、図示左方に向けて上方に傾斜する形状に形成されていて、切欠31a1,31b1の上側面に対して直線的に形成されている。後期ガイド部G2は、初期ガイド部G1に対して下方へ屈曲した形状に形成されていて、サポートブラケット31のコラム側ブラケット32への取付面(V字状凹面S2)に対して略平行に形成されている。
【0014】
また、サポートブラケット31の各アーム31a,31bにおいては、図6にて示したように、補強板31Bによって補強されている上方部位(図1に示したようにコラム側ブラケット32の各アーム31a,31bが組付けられる部位)の幅Wに比して下方部位の幅が図示左端に向けて順次細くなる形状に形成されている。
【0015】
コラム側ブラケット32は、図1、図2及び図9にて示したように、上方に延びてサポートブラケット31の各アーム31a,31bに外側から摺動可能に係合する左右一対のアーム32a,32bを有していて、各アーム32a,32bには下方支持機構Bの支持中心O1を中心とする円弧状長孔32a1,32b1が形成されている。
【0016】
バネクリップ33は、コラム側ブラケット32にチルト機能部品である係脱手段40等を用いてチルト可能に予め組付けたサポートブラケット31をインパネ補強部材20に仮組する際に使用するものであり、図2及び図10〜図12に示したように、サポートブラケット31の左右一対の取付孔31c,31dに嵌合する左右一対の取付脚33a,33bと、仮組前にはサポートブラケット31の下方側取付孔31eに嵌合し仮組後にはインパネ補強部材20の係止孔21aに弾撥的に係合する係止舌片33cと、サポートブラケット31の上方側取付孔31fに嵌合する係合舌片33dを備えており、各取付脚33a,33bにはサポートブラケット31との係合により抜け止めする係止爪33a1,33b1が設けられていて、サポートブラケット31にワンタッチにて組付けることができるようになっている。
【0017】
係脱手段40は、図1及び図2に示したように、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32bに形成した円弧状長孔32a1,32b1及びサポートブラケット31の両アーム31a,31bに形成した切欠31a1,31b1をそれぞれ貫通する回転不能のロックボルト41と、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32b間にてロックボルト41の外周に嵌合されて左右両端部にて各切欠31a1,31b1に開口側から嵌合するカラー42と、ロックボルト41のねじ部に螺着されて操作レバー50によって回転されるナット43と、コラム側ブラケット32の左方のアーム32aと操作レバー50間にてロックボルト41上に組付けられた左右一対のカムプレート44によって構成されている。
【0018】
この係脱手段40においては、操作レバー50が図1の反時計方向へ回動されることによりナット43がロックボルト41に締め付けられるとともに両カムプレート44によって操作レバー50の回転がロックボルト41の軸方向ストロークに変換されて、両ブラケット31,32の各アーム31a,32a間にそれぞれ所定の摩擦係合が得られ、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32が固定(ロック)されるように、また操作レバー50が図1の時計方向へ回動されることによりナット43が緩められるとともに、上記した各摩擦係合が解除され、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32がチルト可能となるようになっている。
【0019】
両カムプレート44は、同一形状に形成されていて、操作レバー50の回転をロックボルト41の軸方向ストロークに変換する機能を有しており、図2及び図13〜図15に示したように、一側(組付後に対向する側)に4個のストッパ突起44aが周方向にて等間隔に設けられるとともに4個のカム突起44bがストッパ突起44aに対して所定量周方向に変位した位置で周方向にて等間隔に設けられ、他側に回り止め突起44cが設けられている。回り止め突起44cは、コラム側ブラケット32の円弧状長孔32a1または操作レバー50に設けた非円形孔50aに回転不能に嵌合するものであり、コラム側ブラケット32に組み付けられるカムプレート44は円弧状長孔32a1に沿って移動可能であるもののコラム側ブラケット32と一体で回転せず、操作レバー50に組付けられるカムプレート44は操作レバー50と一体的に回転する。なお、図13に示した角度でカム作動角(操作レバー50の回転許容量でもある)を示すと(θ1−θ2)となり、またロック時のカムラップ代を示すと2×θ3となる。
【0020】
下方支持機構Bは、ステアリングコラム12の下方部位をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動(回動)可能に支持するものであり、図1、図9、図16及び図17に示したように、下方に延びる左右一対のアーム61aを有してインパネ補強部材20に取付ボルト(図示省略)を用いて一体的に固定された鉄板製の車体側ブラケット61と、山形コ字状に形成されてステアリングコラム12の下方部外周に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット62と、車体側ブラケット61に対してコラム側ブラケット62をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に連結する連結手段70によって構成されている。
【0021】
連結手段70は、図17に示したように、コラム側ブラケット62に形成したコラム軸方向に長い左右一対の長孔62aに嵌合によって組付けられる左右一対の樹脂製ブッシュ71,72と、これら両樹脂製ブッシュ71,72に嵌合されて両端面にて車体側ブラケット61の各アーム61aに係合するカラー73と、このカラー73及び車体側ブラケット61の各アーム61aに形成した取付丸孔61a1(図1参照)を貫通して両樹脂製ブッシュ71,72及びカラー73を車体側ブラケット61に一体的に連結するボルト74と、このボルト74が螺着固定されるナット75(車体側ブラケット61の右方のアームに溶接によって予め固着しておくのが望ましい)によって構成されている。
【0022】
コラム側ブラケット62に形成した各長孔62aは、コラム側ブラケット62にプレスの打ち抜き加工によって形成されていて、その配設方向(ステアリングコラム12の下方部位移動方向)はステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに下方支持機構Bの支持部に発生する力Fbの方向に向けてコラム軸方向に対して下方へ所定量β偏向させてある。また、各長孔62aの下側面、すなわちステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに各樹脂製ブッシュ71,72が離れる側の長孔面には凸部62a1が一体的に設けられている。各凸部62a1は、各長孔62aの一部を幅狭として各樹脂製ブッシュ71,72の位置決めとステアリングコラム12の前方への離脱荷重を設定する機能を有している。
【0023】
各樹脂製ブッシュ71,72は、図17〜図20にて詳細に示したように、C形形状とされていて縮径可能であり、各長孔62aに嵌合して回り止めするガイド71a,72aが一体的に設けられるとともに、各長孔62aへの外側からの嵌合時にストッパとして機能するフランジ71b,72bと嵌合後に抜け止めするフランジ71c,72cが一体的に設けられている。
【0024】
また、本実施形態においては、コラム側ブラケット62内にカラー73に対応して衝撃吸収板80が組付けられている。衝撃吸収板80は、車両の正面衝突時における二次衝突時において生じ得る両ブラケット61,62の設定値以上の相対移動時に塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する細幅長板であり、カラー73を囲むようにU字状に湾曲形成されていて、図示下方部位にてステアリングコラム12に一体的に固定されている。
【0025】
上記のように構成した本実施形態においては、上方支持機構Aにおいて操作レバー50を操作して係脱手段40による固定を解除すれば、ステアリングコラム12がコラム側ブラケット32の長孔32a1に沿って所定量移動可能(チルト可能)となるため、また下方支持機構Bにおいてコラム側ブラケット62が車体側ブラケット61に対して常に傾動可能であるため、ステアリングコラム12を移動可能範囲にて移動してステアリングホイール13の位置を適宜にチルト調節することが可能である。
【0026】
ところで、本実施形態においては、インパネ補強部材20に左右一対の取付ボルト39を用いて一体的に組付けられるサポートブラケット31の基板31Aが断面略M字状に形成されていて、その頂部に設けたV字状凹面S2にてインパネ補強部材20に形成したV字状凸面S1に接合されるようになっているため、サポートブラケット31自体の剛性を十分に高めることができ、サポートブラケット31の小型軽量化を図りながら、所期のステアリング振動特性を得ることができる。なお、サポートブラケット31自体の剛性は、補強板31Bによっても高められている。
【0027】
また、本実施形態においては、サポートブラケット31に対するコラム側ブラケット32の組付部位よりコラム軸方向に所定量下方へ変位した部位にて、インパネ補強部材20に対してサポートブラケット31がV字状凸面S1とV字状凹面S2の接合部を下方から貫通する左右一対の取付ボルト39にて一体的に組付けられるようになっていて、図2に示したように各取付ボルト39の軸線上にステアリングコラム12が配置されない構成とすることができるため、各取付ボルト39の脱着作業に際してステアリングコラム12が全く邪魔にならず、各取付ボルト39の脱着作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態においては、車両の正面衝突時における二次衝突時においてステアリングホイール13に車両前方への荷重F1が作用し、上方のサポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32が前方へ離脱するとともに、下方の車体側ブラケット61に対してコラム側ブラケット62が前方へ移動すると、衝撃吸収板80がカラー73によって塑性変形されて衝撃エネルギーが吸収される。また、このときには、ステアリングホイール13に装着したエアーバッグが展開してステアリングホイール13への衝突を緩衝する。
【0029】
ところで、本実施形態においては、サポートブラケット31の各アーム31a,31bに形成した各切欠31a1,31b1が、図4及び図8にて示したように、図示左方に向けて上方に傾斜する形状に形成されるとともに、これに対して直線的に連続するようにして初期ガイド面G1が形成されているため、上方のサポートブラケット31に対するコラム側ブラケット32の前方への離脱がスムーズに行われる。また、後期ガイド面G2が初期ガイド部G1に対して下方へ屈曲した形状に形成されているため、サポートブラケット31の各切欠31a1,31b1からコラム側ブラケット32及び係脱手段40等が前方へ離脱した後において、ステアリングコラム12等が後期ガイド面G2にてガイドされる領域ではサポートブラケット31側の各部材(図示省略のインストルメントパネルに組付けられるメーター類も含む)に対してステアリングコラム12が干渉することはなく、ステアリングコラム12等の前方へのスムーズな移動が保証される。
【0030】
また、本実施形態においては、サポートブラケット31の各アーム31a,31bにおいて、図6にて示したように、補強板31Bによって補強されている上方部位の幅Wに比して下方部位の幅が図示左端に向けて順次細くなる形状に形成されているため、サポートブラケット31の各切欠31a1,31b1からコラム側ブラケット32及び係脱手段40等が前方へ離脱した後においては、サポートブラケット31の各アーム31a,31bとコラム側ブラケット32の各アーム32a,32b間にて摩擦係合力は殆ど生じず、これによってもステアリングコラム12等の前方へのスムーズな移動が保証される。
【0031】
また、本実施形態においては、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに各樹脂製ブッシュ71,72が離れる側の各長孔面に、各長孔62aの一部を幅狭として各樹脂製ブッシュ71,72の位置決めとステアリングコラム12の前方への離脱荷重を設定する凸部62a1を設けたため、ステアリングコラム12にコラム軸に沿った前方への荷重F2が入力してステアリングコラム12がコラム軸方向に移動するとき(軸方向入力時)の各凸部62a1による各樹脂製ブッシュ71,72の削り代L1に比して、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力してステアリングコラム12が前方へ移動するとき(水平方向入力時)の各凸部62a1による各樹脂製ブッシュ71,72の削り代L2を少なくすることができて、軸方向入力時の軸方向離脱荷重に比して、水平方向入力時のコラム離脱荷重を小さくすることができる。
【0032】
したがって、ステアリングホイール13に装着されるエアーバッグの展開時に必要な軸方向離脱荷重(エアーバッグの機能に関連する荷重)を確保した上で、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときのコラム離脱荷重(車両正面衝突時における二次衝突時の緩衝作用に関連する荷重)を十分に下げることができて、当該ステアリング装置において必要な所期の性能を的確に確保することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、下方支持機構Bの各樹脂製ブッシュ71,72をC形形状として縮径可能とし、同樹脂製ブッシュ71,72に各長孔62aに嵌合して回り止めするガイド71a,72aを設けるとともに各長孔62aへの嵌合後に抜け止めするフランジ71c,72cを設けたため、各樹脂製ブッシュ71,72の各長孔62aへの嵌合組付に際して、各樹脂製ブッシュ71,72を縮径して各長孔62aに容易に組付けることができるとともに、その後の各樹脂製ブッシュ71,72へのカラー73の貫通組付に際して各樹脂製ブッシュ71,72に設けたフランジ71c,72cによる抜け止め機能によりカラー73を各樹脂製ブッシュ71,72に容易に組付けることができる。
【0034】
また、各樹脂製ブッシュ71,72、カラー73及びボルト(連結軸)74等の組付後においては、各樹脂製ブッシュ71,72に設けたガイド71a,72aによる回転止め機能により、下方支持機構Bでの回転許容部位を各樹脂製ブッシュ71,72の内周面とカラー73の外周面(長孔加工面より容易に加工精度を上げることができる部位)間のみとすることができて、各樹脂製ブッシュ71,72の耐久性を容易に向上させることができ、所期の性能を長期間安定して得ることができるとともに、各樹脂製ブッシュ71,72における合口位置(C形によって形成される周方向隙間の位置)を常に設定位置とすることができて、各樹脂製ブッシュ71,72が各長孔62aに設けた凸部62a1にて削られる場合のコラム離脱荷重を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステアリング装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図1及び図2に示したインパネ補強部材の平面図である。
【図4】図1及び図2に示したサポートブラケットの側面図である。
【図5】図1及び図2に示したサポートブラケットの前面図である。
【図6】図1及び図2に示したサポートブラケットの平面図である。
【図7】図1及び図2に示したサポートブラケットの後面図である。
【図8】図1及び図2に示したサポートブラケットの中央縦断側面図である。
【図9】図1に示したステアリングコラムの側面図である。
【図10】図2に示したバネクリップの側面図である。
【図11】図2に示したバネクリップの平面図である。
【図12】図2に示したバネクリップの後面図である。
【図13】図2に示したカムプレートの一側面図である。
【図14】図2に示したカムプレートの他側面図である。
【図15】図2に示したカムプレートの縦断側面図である。
【図16】図1に示した下方のコラム側ブラケットとこれに組付けられる樹脂製ブッシュとこれを貫通するカラーの関係を示す一部破断側面図である。
【図17】図16に示した下方のコラム側ブラケット、樹脂製ブッシュ及びカラーと樹脂製ブッシュ及びカラーを車体側ブラケットに固定するためのボルト及びナットの分解斜視図である。
【図18】図1、図16及び図17に示した樹脂製ブッシュ単体の正面図である。
【図19】図18に示した樹脂製ブッシュ単体の平面図である。
【図20】図18の20−20線に沿った断面図である。
【符号の説明】
11…ステアリングシャフト、12…ステアリングコラム、13…ステアリングホイール、20…インパネ補強部材(車体の一部)、A…上方支持機構、31…サポートブラケット、31a1…切欠、32…コラム側ブラケット、32a1…円弧状長孔、S1…V字状凸面、S2…V字状凹面、39…取付ボルト、40…係脱手段、50…操作レバー、B…下方支持機構。
Claims (2)
- ステアリングコラムの上方部位を上下方向と前方へ移動可能に支持する上方支持機構と、前記ステアリングコラムの下方部位をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に支持する下方支持機構とによって、前記ステアリングコラムを所定の傾斜角にて車体側に支持するようにしたステアリング装置において、
前記ステアリングコラムの上方支持機構が、前後方向に延在するV字状凸面をその下面に形成した形態にて車体側に固定した支持部材と、該支持部材の前記V字状凸面に対応するV字状凹面をその頂部に形成した断面略M字状のサポートブラケットと、前記ステアリングコラムをその内部に一体的に固定して支持する断面略U字状のコラム側ブラケットを備えて、前記サポートブラケットのV字状凹面を前記支持部材のV字状凸面に接合させた状態にて同サポートブラケットを前記支持部材に固定し、前記コラム側ブラケットの両アーム部を前記サポートブラケットの両アーム部に前方へ離脱可能に組付けたことを特徴とするステアリング装置。 - 前記サポートブラケットに対する前記コラム側ブラケットの組付部位よりコラム軸方向に離間した部位にて、車体側に固定した前記支持部材に対して前記サポートブラケットを前記V字状凸面とV字状凹面の接合部分を下方から貫通する取付ボルトによって一体的に組付固定したことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
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