JP4161474B2 - エアバッグ用布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ等の各種エアバッグを構成する布であるエアバッグ用布に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
エアバッグは、一般に、車両のステアリングホイールの中央部やインストルメントパネル内に配された収納部に折畳まれた状態で収納され、車両衝突時に、インフレータの発するガスにより車両室内に展開膨脹して乗員を受け止めるものである。
【0003】
このようなエアバッグのためのエアバッグ用布として、ポリアミド繊維等の合成繊維製の織布のノンコート布が用いられる場合がある。上記のようにエアバッグはインフレータの発するガスにより膨張して乗員を受け止めるものであるため、エアバッグ用布としてはガスの非透過性が好ましいが、該ノンコート布で通気度を限りなくゼロに近づけるのは現在の織布技術では不可能である。また、エアバッグ製造時における裁断によって形成される裁断端末からの布を構成する糸のほつれを防止する必要もある。
【0004】
そのため、これらに対応するべく、織布にシリコーンゴムのコーティング剤を塗布してなるコート布が用いられる場合があるが、この場合も、一定レベルの難燃性を有することが好ましい。例えば、FMVSS−302項に規定する燃焼試験において燃焼速度100mm/分以下であることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ガスの非透過性と難燃性をともに満足するコート布よりなるエアバッグ用布を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ用布は、燃焼時に溶融落下する合成繊維製の織布にシリコーンゴムのコーティング剤を固形分換算で10g/m2以下塗布してなる自消性もしくは遅燃性を有するコート布であって、前記コーティング剤は、前記シリコーンゴムが前記織布の経糸と緯糸との交絡部分の凸部のみに点在するように塗布されて、塗布された前記シリコーンゴムが前記織布表面に不連続に付着しているものである。
【0007】
本発明のエアバッグ用布によれば、低目付であるもののコーティング剤を塗布したことにより、ノンコート布に対してガスの非透過性が改善される。また、その燃焼時に、コート布の主構成部分である織布を構成する合成繊維が溶融落下するため、自消性もしくは遅燃性を付与でき、従って、燃焼試験において難燃性基準を満足させることができる。さらに、コーティング剤の塗布量が極めて低目付であるため、エアバッグの折畳み作業等においてノンコート布と同様の取り扱いが可能となる。
【0008】
本発明のエアバッグ用布であると、シリコーンゴムが織布の経糸と緯糸との交絡部分の凸部のみに点在するように塗布されることで、塗布されたシリコーンゴムが織布表面に不連続に付着しているので、上記燃焼試験において合成繊維を溶融落下させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0010】
上記織布を構成する合成繊維は、燃焼時に溶融落下するものである必要があり、例として、ポリアミド6,ポリアミド66等のポリアミド繊維が挙げられる。好ましくは、繊度420デニール以下のポリアミド66である。
【0011】
このような織布の好適な具体例としては、繊度420デニールのポリアミド66の平織の織布であって、打込み本数が経緯それぞれ46本/25.4mmのものが挙げられる。
【0012】
上記織布に塗布するシリコーンゴムのコーティング剤は、特に限定されないが、例えば、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを主剤とし、補強充填剤として微粉末状シリカ、更に、オルガノハイドロジェンポリシロキサンや白金系化合物等の硬化剤を配合してなる付加反応加硫型のものを好適な例として挙げることができる。該コーティング剤には、必要に応じて、エポキシ基含有有機ケイ素化合物等の接着性向上剤、カーボンブラック等の難燃助剤を添加してもよい。また、低目付で塗布しやすいように、トルエン等の有機溶剤を添加してもよい。この場合、コーティング剤の25℃での粘度が10,000〜50,000csとなるように、有機溶剤を添加することが好適である。
【0013】
コーティング剤の塗布量は、上記したように、固形分換算で10g/m2以下とする。好ましくは5g/m2以下とする。なお、塗布量の下限は1g/m2であることが好ましい。
【0014】
コーティング剤の塗布方法としては、図1に示すように、塗布されたシリコーンゴムが織布の経糸と緯糸との各交絡部分に点在するように行うことが好ましい。すなわち、シリコーンゴムが各交絡部分に付着し、隣接する交絡部分でシリコーンゴムが互いに連結されないように、コーティング剤を塗布する。なお、必ずしも全ての交絡部分にシリコーンゴムが付着していなくてもよい。例えば、経糸(又は緯糸)が塗布面側に現れている交絡部分のみにシリコーンゴムが付着していてもよい。
【0015】
このようにシリコーンゴムを経糸と緯糸の交絡点に対応して点状に付着させることは、上記のようにコーティング剤の塗布量を極めて低目付とし、グラビアコータ等の転写型のコーティングマシンを用いて、経糸と緯糸との交絡により形成される織布の凹凸に沿ってその凸部のみにコーティング剤を転写させることにより達成することができる。
【0016】
シリコーンゴムを交絡部分に点在させることにより、シリコーンゴムが塗布面全体にわたって連続するコート層を形成する従来のコート布とは異なり、シリコーンゴムが織布表面に不連続に付着した状態となる。そのため、コート布でありながら、燃焼時に合成繊維が溶融落下する。
【0018】
コーティング剤の塗布後に、シリコーンゴムを加硫硬化させるためには、塗布したコート布を適宜の温度条件で加熱処理すればよい。このようにして得られたコート布は、所定の形状に裁断後、縫製されてエアバッグが製造される。
【0019】
なお、本発明のエアバッグ用布においては、JIS L1096.6.27.1.A法のフラジール法(但し、1.27cm水柱圧)による通気度が1.0cm3/cm2/秒以下、好ましくは0.5cm3/cm2/秒以下となるように、上記コーティング剤を塗布することが好ましい。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例と比較例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例
織布として、420デニールのポリアミド66よりなり、打込み本数が経緯それぞれ46本/25.4mmである平織の織布(通気度=0.6cm3/cm2/秒)を用いて、グラビアコータにより、該織布の片面にシリコーンゴムのコーティング剤を固形分換算で5g/m2塗布した。ここで、コーティング剤は、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン23重量部、ヒュームドシリカ7重量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン1重量部、白金系化合物0.5重量部、エポキシ基含有有機ケイ素化合物1重量部、カーボンブラック0.5重量部、及びトルエン70重量部よりなる付加反応加硫型のシリコーンゴムコーティング剤を用いた。塗布後、乾燥機内で180℃、7分間、乾燥処理して、エアバッグ用布を得た。
【0022】
得られたエアバッグ用布の表面を観察したところ、シリコーンゴムは主として織布の経糸と緯糸との各交絡部分に点在した状態に付着していた。
【0023】
このエアバッグ用布について、通気度、燃焼速度、難燃性を評価した。結果を表1に示す。なお、各評価方法は以下の通りである。
【0024】
通気度:フラジール法により測定した。但し、水柱圧を1.27cmとした。
【0025】
燃焼速度:FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standard)−302に規定する燃焼試験により測定した。詳細には、幅100mm×長さ350mmの試料を塗布面を上にして、FMVSS−302に規定する方法に従って燃焼させたとき、標線間隔254mmの燃焼時間を測定して、燃焼速度(mm/分)=254mm/燃焼時間(分)を算出した。但し、標線に達する途中で自己消火する場合は、消火点までの距離及び燃焼時間を測定して算出した。
【0026】
難燃性:燃焼速度がFMVSS−302の難燃性基準(100mm/分以下)に合格するものを「○」とし、不合格のものを「×」とした。
【0027】
【表1】
比較例
実施例と同一の織布及び同一のコーティング剤を用いて、該織布にコーティング剤を12g/m2塗布してエアバッグ用布を得た。
【0028】
得られたエアバッグ用布の表面を観察したところ、シリコーンゴムにより塗布面全体にわたって連続するコート層が形成されていた。
【0029】
上記実施例のエアバッグ用布では、塗布したシリコーンゴムが織布に不連続に付着していたため、FMVSS−302に規定する燃焼試験において、織布を構成するポリアミド66が溶融落下した。そのため、表1に示すように、自消性であり、燃焼速度が0mm/分であり、難燃性基準(100mm/分以下)を満たしていた。また、コーティングによって通気度がコート前の0.6cm3/cm2/秒から0.2cm3/cm2/秒まで改善されており、ガスの非透過性に優れていた。
【0030】
これに対して、比較例のエアバッグ用布では、塗布したシリコーンゴムにより織布表面に連続したコート層が形成されていたため、ポリアミド66が溶融落下せず、そのため、表1に示すように、燃焼速度が120mm/分と大きく、難燃性基準を満たしていなかった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエアバッグ用布であると、コーティング剤を塗布したことにより、ノンコート布に対してガスの非透過性が改善される。また、その燃焼時に、コート布の主構成部分である織布を構成する合成繊維が溶融落下するため、燃焼速度を下げることができ、従って、燃焼試験において自消性もしくは遅燃性のため難燃性基準を満足させることができる。さらに、コーティング剤の塗布量が極めて低目付であるため、エアバッグの折畳み作業等においてノンコート布と同様の取り扱いが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態にかかるエアバッグ用布の表面を模式的に表した拡大平面図である。
Claims (4)
- 燃焼時に溶融落下する合成繊維製の織布にシリコーンゴムのコーティング剤を固形分換算で10g/m2以下塗布してなる自消性もしくは遅燃性を有するエアバッグ用布であって、
前記コーティング剤は、前記シリコーンゴムが前記織布の経糸と緯糸との交絡部分の凸部のみに点在するように塗布されて、塗布された前記シリコーンゴムが前記織布表面に不連続に付着しているエアバッグ用布。 - 前記コーティング剤が、前記織布の経糸と緯糸のうちいずれか一方のみが表出した交絡部分に点在するように塗布された請求項1記載のエアバッグ用布。
- 前記コーティング剤の塗布量が固形分換算で5g/m2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ用布。
- 前記織布が繊度420デニール以下のポリアミド66よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ用布。
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