JP4159133B2 - エレベータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロープトラクション式のエレベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のロープトラクション式のエレベータでは、昇降路の上端の機械室に設置した巻上機のシーブに上端を巻き付けた主索の片側にかごを、他側につり合いおもりを吊り下げている。
【0003】
かごとつり合いおもりは、巻上機の電動機の回転方向を切り替えることによって、昇降路を昇降し、電動機を停止させることで、所定の階床にかごを着床させる。
【0004】
ところで、大都市や主要な貿易都市の一部では、地価の高騰に伴う土地の有効活用を図るために、ビルの高層化が進行し、これに伴いエレベータの昇降階数も増えてきている。
【0005】
このようなビルに設置されたエレベータでは、特に上層階の利用者の輸送力を上げるために、インバータ高速ギヤレス巻上機で高速化するとともに、ビルの設計上許容される限り昇降路を増やして、ユーザの便の向上が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなエレベータでは、上層階の呼び階床に至るまでの着床階数が増えるので、その呼び階に至るまでに時間がかかり、それだけ上層階の利用者の待ち時間も長くなる。
【0007】
そのため、昇降路の数を増やして、中間階から最上階だけに停止するかごと、始発階から中間階までに着床するかごに分ける方法なども採られているが、ビルの高層化が更に進むと、階床の増加はビルの他の室の床面積の減少となるので、ビルの有効活用の面から採用できない。
そこで、本発明の目的は、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明のエレベータは、昇降路の上部に設けられ綱車から垂下した主索がかご側とつり合いおもり側の2列となる複数の巻上機群と、この巻上機群の片側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが上昇する上昇昇降路及び前記巻上機群の他側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが下降する下降昇降路と、この下降昇降路と前記上昇昇降路の両側に縦設されこの上昇昇降路と前記下降昇降路の少なくとも上下に切替ガイドレールを備えたガイドレールと、昇降路に設けた電動機およびこの電動機の回転を前記切替ガイドレールの旋回軸に伝達する動力伝達機構とを備えて前記上昇昇降路及び下降昇降路に片側が固定され前記切替ガイドレールを旋回横転させるガイドレール切替機構と、前記かごとつり合いおもりの上部に横行部を介して立設され俯仰するつり部の先端が前記主索に係合し前記かごとつり合いおもりを前記主索に吊り下げる吊りフックと、前記横行部を介して前記吊りフックを駆動して前記吊りフックの先端部を前記主索に設けられた吊り棒から離脱させ移行先の主索の吊り棒に嵌合させるフック駆動機構と、前記かごとつり合いおもりの上下に旋回自在に設けられ先端の複数のガイドローラが前記ガイドレールに押圧され前記切替ガイドレールの旋回で回転するローラ案内部と、前記上昇昇降路と下降昇降路に横行自在に設けられ前記切替ガイドレールが旋回横転したとき俯仰腕の先端が前記かごに係合して前記かごとつり合いおもりを横行移動させる横行駆動機構とを備え、前記切替ガイドレールを横転状態から縦にする前に主索の張力を増大させて、切替ガイドレールを縦にしたときの主索の伸びに伴うかごとつり合いおもりの降下を防ぐようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、特に請求項2に対応する発明のエレベータは、上昇昇降路と下降昇降路の中層部に、上昇昇降路と下降昇降路の間を切替ガイドレールと横行駆動機構を介してかごが移動する横行路を形成したことを特徴とする。
【0011】
また、特に請求項3に対応する発明のエレベータは、昇降路の上方に乗換え点を介して延長昇降路を設け、この延長昇降路の上部に巻上機群を設置したことを特徴とする。
【0012】
また、特に請求項4に対応する発明のエレベータは、昇降路にかごが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するかご待機路とつり合いおもりが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するおもり待機路を設け、昇降路の中層階にかごが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入する中間待機路を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、特に請求項5に対応する発明のエレベータは、各巻上機群の各巻上機に、横行路又は待機路から切替ガイドレールと横行駆動機構を介して昇降路に移動するかごとつり合いおもりを吊り下げる主索の張力を増加させるジャッキアップ機構を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、特に請求項6に対応する発明のエレベータは、ローラ案内部の旋回軸の軸心と切替ガイドレールの旋回軸を偏心させたことを特徴とする。
また、特に請求項7に対応する発明のエレベータは、ガイドレールのコ字状の溝に遊嵌する内側ガイドローラと、ガイドレールの溝の外面側の上下に押圧される外側ガイドローラとで複数のガイドローラを構成したことを特徴とする。
【0016】
このような手段によって、請求項1に対応する発明においては、各主索にかごを吊設可能とし、昇降路の上下においてガイドレール切替機構で切替ガイドレールを駆動し、フック駆動機構で吊りフックを駆動し、かごを横行駆動機構で横に移動させて、上昇昇降路と下降昇降路の間を横行させる。
【0017】
また、請求項2に対応する発明においては、中層部の横行部を介してかごを上昇昇降路と下降昇降路の間を移動させる。
また、請求項3に対応する発明では、上層階の利用者は、延長昇降路のかごで搬送し、請求項4に対応する発明では、利用者に対応するかごを待機所に出入するかごによって調節する。
【0018】
また、請求項5に対応する発明においては、切替ガイドレールを介して横行移動し主索に吊設されるかごの荷重に伴う主索の伸びに起因するかごの沈みを解消する。
【0019】
また、請求項6に対応する発明においては、切替ガイドレールを介して吊り下げられたかごの横行動作の前の吊りフックの主索との係合部の着脱を容易にし、請求項7に対応する発明では、ガイドレールを挟むガイドローラが昇降路に占める面積を縮小する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータの一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のエレベータの第一の実施形態の概略構成を示す縦断面説明図、図2は、本発明のエレベータの第一の実施形態の概略構成を示す斜視説明図、図3(a)は、本発明のエレベータの第一の実施形態を示す部分斜視図、(b)は(a)の平面図である。
【0021】
図1,図2及び図3において、このエレベータが従来のロープトラクション式のエレベータと大きく異なるところは、昇降路の縦断面形状と巻上機の設置形態で、主索に対するかごとつり合いおもりの吊り下げ構造も異なっている。
【0022】
すなわち、図1及び図2に示すように、昇降路1は、略L字形に形成され、昇降路1は中央の右側がかご上昇専用の昇降路1a,左側が下降専用の昇降路1bとなっている。このうち、昇降路1bの中層階には待機所4Aが形成され、ピットの右側には、後述するかご用の待機所4Bが形成され、待機所4Aの下方には、左右の昇降路の間をかごが移動する移動場所4Dが後述するように設けられている。
【0023】
なお、図2の破線で示すつり合いおもり7も昇降路1a,1bを昇降路とし、昇降路1aの右側の上端には、最上階に上昇したつり合いおもり7の右側の位置に対して、図2の矢印aに示すようにつり合いおもり7が出入する図1の破線で示すつり合いおもり用の待機所4Cが形成され、昇降路1bの中間部の後部の左側にも、図2の矢印fで示すようにつり合いおもりが進退する待機所が形成されている。
【0024】
また、かご3は、図1及び図2で示すように、右側の昇降路1aを最上階まで上昇すると、図2の矢印Cに示すように、図2及び図3で後述するガイドレールの旋回動作による横倒しによって左側の昇降路1bに移り、この昇降路1bを図2の矢印Dに示すように下降して、同じく矢印Gに示すようにピットを経て右側の昇降路1aに移動する。
【0025】
したがって、つり合いおもり7は、図2の矢印bに示すように下降すると、同じく矢印cに示すように昇降路1b側に移動し、この昇降路1bを矢印dに示すように上昇した後、矢印gに示すように昇降路1a側に戻る。
【0026】
図2においては、昇降路1aの下部の前方に乗場6Aが示され、左側の昇降路1bの下部の前方には乗場6Bが示され、この乗場6Bの左端の乗場壁には、後述する運行状況表示装置8が示されている。
【0027】
また、図1において待機所4Bの右端には、後述する作業室5が示され、待機所4Bの壁の紙面直交方向の両側には、作業足場9が上下に示されている。なお、各階床の乗場及びピットの緩衝器や調速機などは省略している。
【0028】
図3(a),(b)において、昇降路1aの上端に形成された機械室には、昇降路1aに横設された図3(b)に示すマシンビーム21Aに固定された油圧のジャッキアップ装置27を介して巻上機10Aが設けられている。この巻上機10Aの下側には、同じくマシンビーム21Aに固定されたジャッキアップ装置27を介して巻上機10Bが僅かに左側にずれて設けられ、さらにこの巻上機10Bの下側には、マシンビーム21Aに固定されたジャッキアップ装置27を介して巻上機10Cが更に左側に等間隔にずれて設けられている。これらの巻上機10A,10B,10Cの出力軸の先端に圧入された綱車10a,10b,10cは、図3(b)に示すように同一軸心線上に位置している。
【0029】
各綱車10a,10b,10cに対して、無端状の複数本の主索11A,11B,11Cの上端が巻装され、各主索11A,11B,11Cの下端は、ピットに立設された張り車42A,42B,42Cに巻装されている。なお、昇降路1b側も、図3と同様となっている。
【0030】
各主索11A,11B,11Cは、後述する図4(f)で示すように、ロープの両端に接続されたロープソケット24の端部にピンを介して連結された接続金具によって無端状に接続され、接続金具の中心には、高張力鋼の丸棒から製作された吊り棒13が横に貫挿されている。
【0031】
昇降路1a,1bの左右には、前後に垂下した主索11A,11Bの横の位置に対して、ガイドレール12A,12B,12C,12Dが図3(a),(b)に示すように縦設されている。
【0032】
これらのガイドレール12A,12B,12C,12Dのうち、昇降路1a,1bの上端と下端及び前述した移動場所4Dの両側のガイドローラ17と対置する部分のガイドレールは、図3(b)と図4(d)に示すように、左側のガイドレール12A,12Cと右側のガイドレール12B,12Dの間隔と同一長さのガイドレール12Rとなっている。
【0033】
これらのガイドレール12Rは、昇降路1の中央部に横設された図示しない梁(注;図3(b)で示したマシンビーム21Aの下方に位置している。)に対して、このガイドレール12Rの中心を支える図7で後述する支軸と軸受を介して回転自在に縦設されている。
【0034】
これらの梁には、図4(a),(d)で示す詳細省略したラック22が歯面を上向きにして横に設けられている。これらのラック22には、平面図においてはL字形のアーム20aを備えた横行駆動機構20の基端の図示しないピニオンが噛み合っている。
【0035】
これらの横行駆動機構20の基部には、図示しない一対の電動機が組み込まれ、片側の電動機の出力軸には、前述したピニオンの軸が連結され、他側の出力軸は、アーム20aを俯仰動作させる詳細省略したアーム駆動機構に連結されている。
【0036】
かご3の上部の後部には、図3の部分右側面拡大詳細図を示す図4(c)及びこの図4(c)の左前方拡大斜視図を示す図5に示すように、一対のリニヤガイド14dのレール側が平行に固定されている。
【0037】
このリニヤガイド14dの左右端には、逆T字状の支え23が立設されている。リニヤガイド14dの可動側には、図4(c)において台形状で、図5ではL字形のフック台14aが載置され、このフック台14aの下部やや前方には、ボールねじ14cが横に貫挿されている。このボールねじ14cの両端は、支え23に軸受を介して支持され、右端は六角柱に形成されている。
【0038】
フック台14aの上端には、右端が六角柱に形成されたリニヤスプライン軸14bの一対の外筒部が図示しない軸受を介して貫挿され支持されている。この外筒部には、一対のトグル腕(注;図5では図形の錯綜を避けて左側のみ示す。)14eの基端が図示しないキーを介して連結され、これらのトグル腕14eの先端には、トグル14gの基端が軸を介して連結されている。
【0039】
フック台14aの下端の後部には、一対のフック腕14fの基端が軸を介して連結され、このフック腕14fの先端の片側には、前述したトグル14gの先端部が軸を介して連結され、フック腕14fの先端の他側には、図4(f)及び図5で示すフック部14hが形成されている。
【0040】
図4(c)及び図5においては、フック部14hのなかに吊り棒13が嵌合し、かご3は、フック台14aに組み込まれたリニヤスプライン軸14b,ボールねじ14c,リニヤガイド14d,フック腕14f及びトグル14gなどで構成する吊りフック14によって、吊り棒13を介して図3に示すように右端の主索11Aに吊り下げられている。
【0041】
かご3の上部の右側後方には、図5及び図6に示すフック駆動機構18が横梁21Bに設けられている。この横梁21Bには、駆動機構の台18aが固定され、この台18aには、軸18bが図示しない上下の軸受を介して縦に設けられている。
この軸18bの上部には、旋回板18cの基端の軸部が連結され、この旋回板18cの基端の下端は、図示しないスラスト軸受を介して台18aに載置されている。
【0042】
台18aには、電動機25Aが収納され、この電動機25Aの出力軸の端部にはピニオンギヤ25aが挿入され、このピニオンギヤ25aは、軸18bに圧入されたギヤ25 bと噛み合っている。
【0043】
旋回板18cの先端には、電動機25B,25Cの基端側が固定され、この電動機25B,25Cの出力軸の先端には、雌形の工具26が挿入され固定されている。
かご3の後端の上下の両側には、図3(b)で示し、図7で詳細後述する軸15が後方に突設されている。この軸15には、略円板状のベース16がこのベース16の中心部に挿入された図7で後述する軸受を介して挿入されている。
【0044】
各ベース16の後方には、ガイドレール切替用の電動機が、図7で後述するように横梁21Bに固定されている。
各ベース16の背面の片側には、L字形に形成されたローラ支持軸の基端が図示しない軸受を介して貫通している。このローラ支持軸には、コイルばねがそれぞれ挿入され、これらのコイルばねの基端は、各ベース16に係止されている。
【0045】
ローラ支持軸の先端には、ガイドローラ17が挿入され、これらのガイドローラ17は、昇降路1aのかご3の後方に縦設された溝形鋼製のガイドレール12A,12Bの溝に遊嵌している。
【0046】
かごの上下のローラ支持軸に挿入されたコイルばねのうち、かごの下側のローラ支持軸に挿入されたコイルばねは、所定の設定圧力で圧縮され、上側のローラ支持軸に挿入されたコイルばねの先端は、このローラ支持軸の先端に係止され、所定の設定圧力に伸長されている。
【0047】
したがって、下側のローラ支持軸の先端に挿入されたガイドローラ17は、圧縮コイルばねの復帰力によって、ガイドレール12A,12Bの溝の後部側に押圧され、上側のローラ支持軸のローラは溝の前部側に押圧されている。
【0048】
各ベース16の他側には、一対の軸受支えが突設され、これらの軸受支えには、ローラ支持軸の基端側が貫通している。ローラ支持軸には圧縮コイルばねが挿入され、ローラ支持軸の先端に挿入されたガイドローラ17は、ガイドレール12A,12Bの溝の底の背面に対して、圧縮コイルばねの復帰力によって押圧されている。
【0049】
なお、つり合いおもり7の上端の前面側にも、図3(a)の前方に二点鎖線で示すようにかご3の上端に固定された吊りフック14と同一の吊りフック14が設けられ、この吊りフック14のフック腕14fのフック部14hは、後側の主索11Aに吊り棒13を介して吊り下げられている。
【0050】
同様に、つり合いおもり7の前端の上下の両側にも、かご3に設けられた軸15と同一品の軸15を介してベース16がそれぞれ設けられ、これらのベース16の前面側に対して、ローラ支持軸が突設され、これらのローラ支持軸の先端にはガイドローラ17が設けられ、これらのガイドローラ17はつり合いおもり7の両側の前方に縦設されたガイドレール12C,12Dの溝に嵌合している。
【0051】
同じく、つり合いおもり7の各ベース16の他側にも、かご3と同様に図示しない軸受支えが突設され、これらの軸受支えには、ローラ支持軸の基端側が貫通している。ローラ支持軸には圧縮コイルばねが挿入され、ローラ支持軸の先端に挿入された図3(b)に示すガイドローラ17は、ガイドレール12A,12Bの溝の背面に対して、圧縮コイルばねの復帰力によって押圧されている。
【0052】
同様に、つり合いおもり7の各ベース16の前方にも、ガイドレール切替用の電動機が、図7で後述するように横梁21Bに固定されている。同じく、つり合いおもり7の上部の右側の前方にも、かご側と同一品の図示しないフック駆動機構が横梁21Bに設けられている。
【0053】
図7は、図4(a)で示したガイドレール切替機構19とかごの上部のベース16の支持構造などを示す縦断面拡大詳細図で、図3(b)の右側前方の場合を示し、かご3が図4(a)で示すガイドレール12Rの位置にある場合を示す。
【0054】
図7において、かご3の背面側の右側には、環状の取付板3aが溶接で固定され、この取付板3aの背面側の内周には、クロスローラ軸受35Aが圧入されている。このクロスローラ軸受35Aの背面側の外輪は、取付板3aの背面側にボルトで固定された環状の軸受押え3bで固定されている。
【0055】
クロスローラ軸受35Aには、段付き軸15があらかじめ圧入され、この段付き軸15の背面側には、環状のベース16が前面側の座ぐり穴を介して挿入され、段付き軸15の背面側の細目おねじ部に背面側から螺合された軸受座金と軸受ナットを介して締め付けられている。
【0056】
昇降路に横設された一対(注;上側のみを示す)横梁21Bの中央部の前面側には、取付板21aが溶接で添設されている。この上下の取付板21aの間には、山形鋼製の一対の縦梁28の上下端がボルトで固定されている。
【0057】
これらの縦梁28の上部の前面側の間には、円筒状の軸受筒34Aが挿入され固定されている。この軸受筒34Aの位置は、かご3の後方に突き出た軸15の中心に対して、僅かに上方に位置している(注;図7では、軸受筒34Aの位置は、軸15の中心に対する上方への偏心量を過大に示している)。
【0058】
軸受筒34Aの内周の前端には、大径の軸受36Cが挿入され、後端には小径の軸受36Dが挿入されている。このうち、前方の軸受36Cは、縦梁28の前面に固定された軸受押え34aによって外輪が固定されている。
【0059】
これらの軸受36C,36Dには、歯車支え33の後方に突き出た軸部33aの前後が圧入され、この軸部33aの後端には、図示しない軸受座金と軸受ナットが挿入され、軸受36Dの内輪を後方から締め付けている。
【0060】
歯車支え33の軸部33aの中間部から前端は、筒状となっており、この筒状部には、固定筒12bの後部が圧入され溶接されている。この固定筒12bの前端に対して、ガイドレール12Rの中心部が溶接で固定されている。
したがって、ガイドレール12Rは、歯車支え33と軸受36C,36D及び軸受筒34A並びに縦梁28を介して、横梁21Bに対して回転自在となっている。
【0061】
歯車支え33の外周の背面側に形成された嵌合部には、環状に形成された旋回用の平歯車30Dが圧入され、複数のボルトと図示しないノックピンで固定されている。
【0062】
軸受筒34Aの下側には、小径の軸受筒34Bが縦梁28に挿入され、軸受筒34Bの内周には、小径のクロスローラ軸受35Bが圧入されている。このクロスローラ軸受35Bの中間部には、ピニオン歯車30Cの軸部が圧入され、このピニオン歯車30Cは平歯車30Dと噛み合っている。
【0063】
このクロスローラ軸受35Bは、縦梁28の前面側の軸受押え34bによって、前面側外輪が固定されている。ピニオン歯車30Cの軸部には、クロスローラ軸受35Bの後部に対して、間隔管が挿入され、この間隔管の後方にスプロケット31Bが図示しないキーを介して圧入されている。このスプロケット31Bは、ピニオン歯車30Cの後端に挿入された図示しない軸受座金と軸受ナットによって後方から締め付けられている。
【0064】
縦梁28には、軸受筒34Bの下方に対して、図示しない平面図では門形の軸受支え37の前端がフランジ部37aを介して固定されている。このフランジ部37aには、下方に垂下した延長部37bが形成されている。
【0065】
この軸受支え37の上部の門形部分の内周には、軸受36A,36Bが前後に挿入され、これらの軸受36A,36Bには、軸付き平歯車30Bの軸部30bが圧入され、この軸部30bの後端に挿入された図示しない軸受座金と軸受ナットで支持されている。
【0066】
軸部30bの中間部には、4連のスプロケット31Aが図示しないキーを介して圧入されている。
軸受支え37の延長部37bの背面側には、ブレーキ付電動機29がフランジ部を介して添設され、複数のボルトと図示しないノックピンを介して固定されている。
【0067】
このブレーキ付電動機29の前方に突き出た軸端には、小形の平歯車30Aが図示しないキーを介して圧入され、この平歯車30Aは上部の軸付平歯車30Bの下端と噛み合っている。
【0068】
これらのガイドレール切替機構19の構成要素のうち、下部に示したブレーキ付電動機29及び平歯車30A,軸付き平歯車30Bとスプロケット31A並びに軸受支え37の上部に組み込まれたピニオン歯車30C,平歯車30D及びスプロケット31Bとこれらの歯車,スプロケットを支持する支持機構は、図4(a)で示した各ガイドレール切替機構に組み込まれている。
【0069】
スプロケット31Aの4枚のスプロケットのうち、図7において左端のスプロケットとその上方のスプロケット31Bにはチェーン32Bが巻装され、図4(a)の右側下部のガイドレール切替機構19に組み込まれた図7に示すスプロケット31Bとこの下方の右側から2列目のスプロケット31Bとも、チェーン32Bが巻装されている。
【0070】
図4(a)の左側下部のガイドレール切替機構19に組み込まれたスプロケット31Bと図7の左から3列目のスプロケット31Aにもチェーン32Bが、同様に図4(a)の左側上部のガイドレール切替機構19に組み込まれたスプロケット31Bと図7の4列目のスプロケット31Aにもチェーン32Bがたすき掛けに巻装されている。
【0071】
この結果、ブレーキ付電動機29を平歯車30A側から見て反時計方向に駆動すると、図4(a)の右側のガイドレール切替機構19に組み込まれた平歯車30Dと歯車支え33も図4(a)の矢印で示すように反時計方向に同時に旋回し、左側のガイドレール切替機構19に組み込まれた平歯車30Dと歯車支え33は時計方向に同時に旋回する。
【0072】
次に、このように構成されたエレベータの作用を説明する。
図1において、昇降路1aを上昇して最上階の乗場で利用者を降ろし、又は乗り込ませると、制御盤から出力された昇降路1b側への移動指令によって、昇降路1a,1bの上端の前後のガイドレール12Rの支軸に隣接して横梁に固定された図7で示すガイドレール切替用の電動機29が起動され、この電動機29の軸端に挿入された平歯車30Aによって、図7で示した歯車支え33を図4(a)の矢印で示すように90°回転させる。
【0073】
この歯車支え33の90°の回転に伴って、歯車支え33とともにガイドレール12Rが回転し、ベース16に支持軸を介してその先端に設けられたガイドローラ17も軸15を軸に90°揺動し、かご3とつり合いおもり7は、上下のベース16に組み込まれたガイドローラ17によって上下のガイドレール12Rに支持される。
【0074】
このとき、かご3は、図7に示す固定筒12bの中心がかご側の軸15と比べて上方に偏心していることによって、ガイドローラ17や軸15を介して上方に持ち上げられ、主索11Aの張力が減少する。
【0075】
ガイドレール12Rが90°回転すると、この位置を検出したリミットスイッチの信号によって、横行駆動機構20のアーム20aがアーム駆動機構によって駆動されて、図4(a)の垂直状態から図4(d)の水平状態に倒され、このアーム20aの先端に形成された逆U字状の溝部に対して、ガイドローラ17の軸を嵌合させる。
【0076】
次に、フック駆動機構18に組み込まれた旋回用の電動機25Aを駆動して、旋回板18cを約90°揺動させ、この旋回板18cの先端の電動機25Bの工具26をスプライン軸14bの端部に嵌合させた後、スプライン駆動用の電動機25Bを駆動して、スプライン軸14bを図4(c)において反時計方向に約90°回転させ、トグル腕14e,フック腕14f及びトグル14gを図4(f)に示すように揺動させて、フック腕14fの先端のフック部14hを吊り棒13から引き抜く。
【0077】
このとき、前述したように主索11Aの張力はかごの僅かな上昇によって減少しているので、容易にフック腕14fのフック部14hを吊り棒13から引き抜くことができ、揺動させることができる。
【0078】
次に、横行駆動機構20の片側の電動機が駆動され、この電動機の軸端のピニオンギヤを駆動して、ラック22上を走行させて、かご3とつり合いおもり7を図1の矢印Cに示すように昇降路1b側に移動させる。
【0079】
かご3とつり合いおもり7が昇降路1b側に移動すると、昇降路1b側のフック駆動機構18用電動機25Cが駆動され、旋回板18cが90°揺動されて、この旋回板18cの先端の電動機25Bの工具26をスプライン軸14bの端部に嵌合させる。
【0080】
次に、ボールねじ14cが電動機25Cで駆動されて、フック台14aが所定の位置に駆動され、さらにスプライン軸14bが駆動されて、トグル腕14e,フック腕14f及びトグル14gを図4(f)の状態から図4(c)の状態に駆動してフック腕14fのフック部14hを空いた主索の吊り棒13に嵌合させる。
【0081】
この結果、かご3とつり合いおもり7は昇降路1b側の主索に吊り下げられるが、荷重は左右のガイドレール12Rに印加されており、このガイドレール12Rを図4(d)の状態から(a)の状態に立てる前に、機械室のジャッキアップ装置11をかごの床下の荷重検出器の検出値に対応した高さだけ持ち上げて、主索の張力を増す。
【0082】
次に、ガイドレール12Rを縦にすることで、かごの荷重を吊りフック14を介して主索に印加することで、主索の伸びに伴うかごとつり合いおもりの降下を防ぎ、この降下に伴う乗客の不安感のおそれを解消する。
【0083】
なお、昇降路1bを下降して、図2の矢印Gに示すように昇降路1a側にかごを移動させる場合も、上記昇降路1aの上端から昇降路1bの上端に移動させるときと同じステップとなる。
【0084】
また、昇降路1aの下端に移動したかごが上昇し、ビルの下層階の利用者のために、かご3を移動場所4Dを経て昇降路1b側に移動させる場合も同様のステップとなる。
【0085】
また、図1の昇降路1bの中間部に設けた待機所4Aは、昇降路1bの利用者が少ない場合に、空箱となったかご3を待機させる場所であり、この待機所4Aにかごを導く場合も同様である。
【0086】
同様に、ピットの横の待機所4Bにかご3を導く場合も同様であるが、休日などにおいてビルの利用者が少ない場合には、この待機所4Bと昇降路1b側の待機所4Aにかごを待機させることで、運転する巻上機の稼動台数を減らすこともできる。
したがって、例えばウィークデーにおいても、朝・昼・夕のラッシュ時の利用者の少ない時間には、同様に巻上機の稼動台数を減らすことができる。
【0087】
また、待機所4Bのかごは、作業足場9や作業室5を利用して、保守・点検や補修などを行うが、かごの待機時間が長い場合には、待機中や定期点検以外の休日などでも行うことができる。
さらに、巻上機を増やし、主索を増やすことで、共通の昇降路に複数のかごを上下に連続して運行することができる。
【0088】
上記実施形態では、ガイドレールを溝形とすることにより、図3(d)で示した従来のT形のガイドレールと比べて、これと対比した図3(c)で示す配置のガイドローラは3個のガイドレールを平面図において三角形の配置とする必要がないので、ガイドローラの配置のために要する昇降路の平面図上における占有空間を減らすことができる。
【0089】
また、待機所4Bには、内部意匠が高級なかごや、救急設備を備えたかご,非健常者対応のかご並びに図8で示す保守・点検用のかご40などを待機させるようにしてもよい。
このうち、内部意匠が高級なかごには、監視カメラを天井などに設けて、警備室や秘書室などから監視可能にしてもよい。
【0090】
また、保守・点検用のかご40には、側板の代りに四隅に柱44aを設け、下部にのみ柵44bを設け、測定器41Bや工具箱41Aの他に天井部の上面に上るための梯子43や保守装置44なども備えて、任意の場所の保守・点検ができるようにしてもよい。
【0091】
さらに、昇降路の内壁に碍子を介してトロリ線を配設し、このトロリ線から受電した電力でかごの照明やドアの開閉を行うとともに、トロリ線を介してかご呼びなどの信号の授受をしてもよい。
【0092】
図9は、本発明のエレベータの第2の実施形態を示す概略斜視説明図で、第1の実施形態で示した図1,図2及び図3に対応する図であるが、図形の錯綜を防ぐために、巻上機を始めすべて簡略化している。
【0093】
図9において、第1の実施形態で示した図1〜図7と大きく異なるところは、高層ビルに形成されたかご上昇専用の昇降路1aとこの左側に形成されたかご下降専用の昇降路1bは、ビルの中層階までに形成され、右側の昇降路1aの上方に対してかご上下用の昇降路1cを設けたことである。
【0094】
したがって、後述するように中層階以下の階床が上層階と比べて輸送力が大きくなるように配慮されている。昇降路1aと昇降路1cの間は、この間を通過するかごの後述する乗換え点45となる。
【0095】
すなわち、昇降路1a,1bの上端に形成された図示しない機械室には、前述した第1の実施形態と同様に、図3で示した巻上機10A,10B,10Cがジャッキアップ装置27を介して同様に設置されている。
【0096】
前述したように、図9では左側の巻上機10A,10B,10Cや右側の巻上機10B,10Cは、各シーブは同一軸心線上に示したが、図形の錯綜を避けたためで、各巻上機10A,10B,10Cが上下に且つ図3(b)に示すように左右にずれて配置されている。
同様に、ピットに立設された左側の張り車42A,42B,42C及び右側の張り車42B,42Cも同様である。
【0097】
なお、昇降路1aのピットの右側の張り車42Dは、その上方の張り車42B,42Cに対して、下方に位置している。これで、昇降路1aと待機所4Bの間を移動するかごとの干渉を防いでいる。
【0098】
昇降路1aの上端にも、ピットの張り車42B,42Cと対となる巻上機10B,10Cが上下に設けられている。このうち巻上機10Bの上方には、昇降路1cの下端に対して、ピットの張り車42Dに対応する巻上機10Dが図示しない平面図では、その下方の巻上機10Bの右側の同一軸心線上に設置されている。
【0099】
昇降路1cの上端の巻上機10E,10Fは、図示しない平面図では昇降路1aの巻上機10B,10Cと同一位置の巻上機10Dより下側にあり、したがって昇降路1cの下端の張り車42E,42Fも、図示しない平面図では上下の巻上機10E,10F及び巻上機10B,10Cと平面図では同一位置となる。
【0100】
また、昇降路1のピットに示した矢印G1は、図2で示した矢印Gと同様に、左側の昇降路1bのピットを右側の昇降路1aのピットに図2と同様に移動するかごの進行方向を示す。
【0101】
同様に、矢印A1,B1,C1,D1,E1,F1も、昇降路や待機所を図2と同様に横に移動するかごの進行方向を示す。なお、昇降路1cの中間部の左側にも待機所4Dに出入するかごの移動方向を示す矢印H1が示され、昇降路1aの上端の右側の矢印a1も、図2の矢印aと対応し、つり合いおもり用の待機所に出入するつり合いおもり7の移動方向を示す。
同様に、矢印b1,c1,e1,f1,g1も、昇降路間や待機所を移動するつり合いおもり7の移動方向を示す。
【0102】
さらに、符号12J,12K,12Lは矢印C1,E1,G1に示すように横に移動するかごの上下のガイドローラが転動しかごの荷重をガイドローラを介して支える図4で示すガイドレール12E,12F,12G,12Hと回転するガイドレール12Rを示し、上下で対となるガイドレールを図形の錯綜を防ぐために1本の線で示している。
【0103】
次に、このように構成されたエレベータの作用を説明する。ただし、下側の昇降路1a,1b内におけるかごの移動や待機及びこれらの動作のためのフック駆動機構18,ガイドレール切替機構19並びに横行駆動機構 20の動作は、第1の実施形態で示した図1〜図7と同様であるので省略し、昇降路1aと昇降路1cとの間のかごの移動について説明する。
【0104】
全体の巻上機を制御する統括制御部からの信号で、待機所4Bのかご3と待機所4Cのつり合いおもり7の横行駆動機構が駆動されると、かごとつり合いおもり7は待機所4B,4Cの入口に設けられたガイドレール12Rを経て昇降路1aに移動される。
【0105】
すると、これらのかご3とつり合いおもり7の天井面に組み込まれた図4及び図5で示す吊りフック14が図5及び図6で示すフック駆動機構18によって駆動されて、それぞれ主索11Aに吊り棒13を介して吊り下げられる。
【0106】
このかご3に対して、昇降路1cの乗場からかご呼びが発生すると、巻上機10Bが駆動され、かご3は巻上機10Bの下側の位置まで上昇し、所定の位置で停止する。
【0107】
すると同時に、巻上機10Bの下方に設けられたガイドレール12Rがガイドレール切替機構19によって駆動され、さらにフック駆動機構18が駆動されて、符号12Zで示す上下で対となるガイド12Zを僅かに左側に移動し、主索11Bに吊り下げられるとともに、待機所4Cのつり合いおもり7も昇降路1cに移動して主索11Eに吊り下げられる。
【0108】
次に、巻上機10Eが駆動されてかご3が上昇し、かご呼びが発生した階床で停止する。
このように構成されたエレベータにおいては、下層階と比べて利用者の少ない中層階には、昇降路1cのみを形成することで、図9において左側の昇降路1bの上方を業務用の部屋とすることができるので、昇降路の占める床面積の合計値を減らすことができる。
【0109】
さらに、上層階とピット間の長さの主索を使わないので、主索の呼び径と伸びを減らすことができるので、寿命が長く保守・点検の頻度を減らすこともできる。
さらに、下層階と比べて利用者の少ない上層階の昇降路と巻上機などを減らすことで、設備の稼動率の低下を防ぐこともできる。
【0110】
また、上記実施形態では、各切替ガイドレールを共通のブレーキ付電動機で駆動した例で説明したが、各切替ガイドレールに個別に電動機を設けてもよく、更に、ブレーキ付でなくてギヤ比の高いウォームギヤを動力伝達機構に組み込んでもよい。なお、上記実施形態では、昇降路1a,1bを形成した場合で説明したが、昇降路1aだけとし、複数の巻上機の主索毎にかごを吊り下げて昇降させてもよい。
【0112】
【発明の効果】
また、請求項1に対応する発明によれば、昇降路の上部に設けられ綱車から垂下した主索がかご側とつり合いおもり側の2列となる複数の巻上機群と、この巻上機群の片側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが上昇する上昇昇降路及び前記巻上機群の他側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが下降する下降昇降路と、この下降昇降路と前記上昇昇降路の両側に縦設されこの上昇昇降路と前記下降昇降路の少なくとも上下に切替ガイドレールを備えたガイドレールと、昇降路に設けた電動機およびこの電動機の回転を前記切替ガイドレールの旋回軸に伝達する動力伝達機構とを備えて前記上昇昇降路及び下降昇降路に片側が固定され前記切替ガイドレールを旋回横転させるガイドレール切替機構と、前記かごとつり合いおもりの上部に横行部を介して立設され俯仰するつり部の先端が前記主索に係合し前記かごとつり合いおもりを前記主索に吊り下げる吊りフックと、前記横行部を介して前記吊りフックを駆動して前記吊りフックの先端部を前記主索に設けられた吊り棒から離脱させ移行先の主索の吊り棒に嵌合させるフック駆動機構と、前記かごとつり合いおもりの上下に旋回自在に設けられ先端の複数のガイドローラが前記ガイドレールに押圧され前記切替ガイドレールの旋回で回転するローラ案内部と、前記上昇昇降路と下降昇降路に横行自在に設けられ前記切替ガイドレールが旋回横転したとき俯仰腕の先端が前記かごに係合して前記かごとつり合いおもりを横行移動させる横行駆動機構とを備え、前記切替ガイドレールを横転状態から縦にする前に主索の張力を増大させて、切替ガイドレールを縦にしたときの主索の伸びに伴うかごとつり合いおもりの降下を防ぐようにすることで、各主索にかごを吊設し、昇降路の上下においてガイドレール切替機構で切替ガイドレールを駆動し、フック駆動機構で吊りフックを駆動し、かごを横行駆動機構で横に移動させて、上昇昇降路と下降昇降路の間を横行させたので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者に不安感を与えず、輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0113】
また、特に請求項2に対応する発明によれば、上昇昇降路と下降昇降路の中層部に、上昇昇降路と下降昇降路の間を切替ガイドレールと横行駆動機構を介してかごが移動する横行路を形成することで、中層部の横行部を介してかごを上昇昇降路と下降昇降路の間を移動させたので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0114】
また、特に請求項3に対応する発明によれば、昇降路の上方に乗換え点を介して延長昇降路を設け、この延長昇降路の上部に巻上機群を設置することで、上層階の利用者は、延長昇降路のかごで搬送したので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0115】
また、特に請求項4に対応する発明によれば、昇降路にかごが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するかご待機路とつり合いおもりが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するおもり待機路を設け、昇降路の中層階にかごが切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入する中間待機路を設けることで、利用者に対応するかごを待機所に出入するかごによって調節したので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0116】
また、特に請求項5に対応する発明によれば、各巻上機群の各巻上機に、横行路又は待機路から切替ガイドレールと横行駆動機構を介して昇降路に移動するかごとつり合いおもりを吊り下げる主索の張力を増加させるジャッキアップ機構を設けることで、切替ガイドレールを介して横行移動し主索に吊設されるかごの荷重に伴う主索の伸びに起因するかごの沈みを解消したので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0117】
また、特に請求項6に対応する発明によれば、ローラ案内部の旋回軸の軸心と切替ガイドレールの旋回軸を偏心させることで、切替ガイドレールを介して吊り下げられたかごの横行動作の前の吊りフックの主索との係合部の着脱を容易にしたので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【0118】
また、特に請求項7に対応する発明によれば、ガイドレールのコ字状の溝に遊嵌する内側ガイドローラと、ガイドレールの溝の外面側の上下に押圧される外側ガイドローラとで複数のガイドローラを構成することで、ガイドレールを挟むガイドローラが昇降路に占める面積を縮小したので、昇降路の占める床面積を増やすことなく、利用者の輸送力を上げることのできるエレベータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレベータの一実施例を示す昇降路の縦断面説明図。
【図2】本発明のエレベータの一実施例を示す斜視説明図。
【図3】(a)は、本発明のエレベータの一実施例を示すかご,つり合いおもりと巻上機及び張り車の周りの概略配置と構成を示す斜視図。(b)は、(a)の平面図。(c)は、本発明のエレベータのガイドローラの配置を示す部分平面図。(d)は、(c)に対応する従来のエレベータのガイドローラの配置を(c)と対比して示す部分平面図。
【図4】(a)は、本発明のエレベータの一実施例のガイドレールの切替機構,フック駆動機構,横行駆動機構及び吊りフックの配置を示す部分斜視図。(b)は、切替部のガイドレール12Rとその周辺のガイドレールを示す説明図で、切替前の状態を示す説明図。(c)は、吊りフックの右側面図で作動状態を示す図。(d)は、(a)で示したガイドレールの切替機構が動作した状態を示す部分斜視図。(e)は、切替後のガイドレール12Rとその周辺を示す説明図。(f)は、吊りフックの動作前の状態を示す右側面図。
【図5】動作状態の吊りフック14と動作前のフック駆動機構18とこれらの取付状態を示す詳細斜視図。
【図6】動作前の吊りフック14と動作中のフック駆動機構18とこれらの周辺を示す詳細斜視図。
【図7】図4で示したガイドレール切替機構とその周辺を示す縦断面詳細図。
【図8】本発明のエレベータの他の実施例を示す概略斜視図。
【図9】本発明のエレベータの第2の実施形態を示す概略斜視説明図。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c…昇降路、2…壁、3,40…かご、4A,4B,4C…待機所、4D…移動場所、5…作業室、6A,6B…乗場、7…つり合いおもり、8…運行状況表示装置、9…作業足場、10A,10B,10C…巻上機、10a,10b,10c…綱車、11…ジャッキアップ装置、12A,12B,12C,12D,12R…ガイドレール、13…吊り棒、14…吊りフック、14a…フック台、14b…リニヤスプライン軸、14c…ボールねじ、14d…リニヤガイド、14e…トグル腕、14f…フック腕、14g…トグル、14h…フック部、15…段付き軸、16…ベース、17…ガイドローラ、18…フック駆動機構、19…ガイドレール切替機構、20…横行駆動機構、21A…マシンビーム、21B…横梁、22…ラック、23…支え、24…ロープソケット、25A,25B,25C…電動機、26…工具、27…ジャッキアップ装置、28…縦梁、29…ブレーキ付電動機、30A,30D…平歯車、30B…軸付き平歯車、30C…ピニオン歯車、31A,31B…スプロケット、32A,32B…チェーン、33…歯車支え、34A,34B…軸受筒、35A,35B…クロスローラ軸受、36A,36B,36C,36D…軸受、37…軸受支え、41A…工具箱、41B…測定器、42A,42B,42C…張り車、43…梯子、44…保守装置、45…乗換え点。
Claims (7)
- 昇降路の上部に設けられ綱車から垂下した主索がかご側とつり合いおもり側の2列となる複数の巻上機群と、この巻上機群の片側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが上昇する上昇昇降路及び前記巻上機群の他側の巻上機群の下方の前記昇降路に形成されかごが下降する下降昇降路と、この下降昇降路と前記上昇昇降路の両側に縦設されこの上昇昇降路と前記下降昇降路の少なくとも上下に切替ガイドレールを備えたガイドレールと、昇降路に設けた電動機およびこの電動機の回転を前記切替ガイドレールの旋回軸に伝達する動力伝達機構とを備えて前記上昇昇降路及び下降昇降路に片側が固定され前記切替ガイドレールを旋回横転させるガイドレール切替機構と、前記かごとつり合いおもりの上部に横行部を介して立設され俯仰するつり部の先端が前記主索に係合し前記かごとつり合いおもりを前記主索に吊り下げる吊りフックと、前記横行部を介して前記吊りフックを駆動して前記吊りフックの先端部を前記主索に設けられた吊り棒から離脱させ移行先の主索の吊り棒に嵌合させるフック駆動機構と、前記かごとつり合いおもりの上下に旋回自在に設けられ先端の複数のガイドローラが前記ガイドレールに押圧され前記切替ガイドレールの旋回で回転するローラ案内部と、前記上昇昇降路と下降昇降路に横行自在に設けられ前記切替ガイドレールが旋回横転したとき俯仰腕の先端が前記かごに係合して前記かごとつり合いおもりを横行移動させる横行駆動機構とを備え、前記切替ガイドレールを横転状態から縦にする前に主索の張力を増大させて、切替ガイドレールを縦にしたときの主索の伸びに伴うかごとつり合いおもりの降下を防ぐようにしたエレベータ。
- 前記上昇昇降路と下降昇降路の中層部に、前記上昇昇降路と下降昇降路の間を前記切替ガイドレールと横行駆動機構を介して前記かごが移動する横行路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
- 前記昇降路の上方に乗換え点を介して延長昇降路を設け、この延長昇降路の上部に前記巻上機群を設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のエレベータ。
- 前記昇降路に前記かごが前記切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するかご待機路と前記つり合いおもりが前記切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入するおもり待機路を設け、前記昇降路の中層階に前記かごが前記切替ガイドレールと横行駆動機構を介して出入する中間待機路を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエレベータ。
- 前記各巻上機群の各巻上機に、前記横行路又は待機路から前記切替ガイドレールと前記横行駆動機構を介して前記昇降路に移動する前記かごと前記つり合いおもりを吊り下げる前記主索の張力を増加させるジャッキアップ機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータ。
- 前記ローラ案内部の旋回軸の軸心と前記切替ガイドレールの旋回軸を偏心させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータ。
- 前記複数のガイドローラを、前記ガイドレールのコ字状の溝に遊嵌する内側ガイドローラと、前記ガイドレールの溝の外面側の上下に押圧される外側ガイドローラとで構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のエレベータ。
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