JP4157689B2 - 給紙装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、印刷機等に用いられる給紙装置および画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置に用いられる給紙装置において、用紙を1枚ずつ送るため、種々の分離方式が提案されており、その代表的なものに摩擦分離方式がある。この摩擦分離(以下、FRRという。)方式を採用した給紙装置は、給紙方向に回転するフィードローラと、そのフィードローラに圧接され、給紙方向と逆方向へ回転駆動されるトルクリミッタを介した分離ローラと有し、その両ローラ間に1枚の用紙が挟持されたときには分離ローラはトルクリミッタにより連れ回りし、2枚以上の用紙を挟持したときには分離ローラが給紙方向と逆回転することで、用紙を1枚ずつ分離搬送することのできる給紙装置である。
【0003】
上記したFRR給紙装置は、フィードローラと分離ローラが同一駆動源によって駆動され、フィードローラは電磁クラッチを介して駆動の連断が行われるものの、分離ローラは常時回転駆動させている。常時回転する分離ローラは、静電気等によって搬送すべき用紙の一部分に後続の用紙が密着していても、その後続の用紙も同時に給紙してしまうという連れ送り給紙等を防止でき、分離性能が高めるための非常に有効な手段となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、分離ローラを常時回転駆動していると、分離ローラはトルクリミッタを介しているため、逆方向のトルクが常に作用しており、トルクリミッタのトルクのばらつきが駆動系に振動となって伝達される。しかも、電磁クラッチと一体となっているギヤは、クラッチ自体の連結性能を確保するために、クラッチOFF状態ではアーマチュアとロータの間にギャップを設けている。さらに、ギヤはロータと間に板バネを介在させており、振動に共振しやすい構造になっている。このため、OFF状態になっている電磁クラッチのギヤはトルクリミッタからの振動を拾ってしまい、騒音を発生させ、ユーザーに不快感を与えていた。
【0005】
このような騒音の対策には、ギヤ連結部に提起的にグリスを塗布することが有効であるが、かかる作業は面倒であり、しかも定期的なメンテナンスが必要とするため、根本的な解決とならない。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、トルクリミッタからのトルク変動による電磁クラッチと一体のギヤの騒音をメンテナンス無しで長期に渡って防止することができる給紙装置および画像形成装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙を送り出す方向に回転駆動されるフィードローラと、該フィードローラと圧接され、トルクリミッタを介して用紙を戻す方向に回転駆動される分離ローラとを有し、前記フィードローラが該分離ローラに駆動を伝達する駆動伝達部とギヤ付き電磁クラッチを介して回転駆動される給紙装置において、前記ギヤ付きクラッチの外周に当接して振動を抑える振動抑制手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
なお、本発明は、前記振動抑制手段が前記ギヤ付き電磁クラッチに当接する当接部材と、該当接部材へ押し当て力を付勢する押し当て力付勢部材とを有し、前記当接部材が前記ギヤ付き電磁クラッチの回転により従動回転されるコロを備えていると、効果的である。
【0009】
さらに、本発明は、前記押し当て力付勢部材が、前記当接部材に前記ギヤ付き電磁クラッチへ接する方向の弾性力を付勢する板バネ材で構成されていると、効果的である。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記押し当て力付勢部材が、金属製バネ材で構成し、その一部は前記分離ローラの軸および分離ローラの駆動伝達経路中に設けられた中間軸を枢支する導電性軸受けとそれぞれ接触するとともに、アースのとれた構造体に接触すると、効果的である。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、請求項1ないし4の何れか一項に記載の給紙装置を具備することを特徴とする画像形成装置を提供することである。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る給紙装置を具備する画像形成装置の概略説明図である。図1において、符号1は画像形成装置本体であり、該装置本体内の上部には像担時体としての感光体ドラム3を有し、周知の電子写真プロセスに基づいて画像形成を行う画像形成部2が設けられている。この画像形成部2の下方には、多段の給紙装置10が設けられ、該給紙装置10から上記画像形成部に向けて用紙が給送される。なお、本例の画像形成装置本体1には手差し給紙装置4と両面用の反転ユニット5とが設けられている。
【0013】
上記した画像形成装置は、給紙装置10もしくは手差し給紙装置4から給紙された用紙がレジストローラ6に送られ、該レジストローラ6によって画像形成部2で感光体ドラム3の表面に形成されるトナー像とタイミングを合わせて転写部に給送される。転写部には、転写ベルト7が設けられており、転写部に送られた用紙は未定着トナー像が転写されるとともに、転写ベルト7の走行によって搬送され、定着装置8に搬送される。定着装置8に搬送された用紙は、例えば加熱、加圧の作用によって未定着トナー像が永久画像として定着され、定着後、排紙部9と反転ユニット5の何れかに選択されて搬送される。
【0014】
図2は、本発明に係る給紙装置10の主要部を示す説明図である。
図2において、符号21は用紙を送り出す方向に回転駆動されるフィードローラ、22は該フィードローラ21に圧接され、トルクリミッタ25(図3参照)を介して用紙を戻す方向に回転駆動される分離ローラであって、本実施形態の給紙装置10は各給紙段がFRR方式を採用している。この給紙装置10は、給紙動作が開始されると、用紙束上に配置され用紙搬送方向に回転駆動されるピックアップローラ23によって用紙が矢印A方向に送り出され、そしてフィードローラ21と分離ローラ22のニップに挟持される。このとき、送り込まれた用紙が1枚であれば、フィードローラ21の搬送力によって分離ローラ22が連れ回りし、用紙がそのまま給送され、搬送部材としての搬送ローラ24によってレジストローラ7へ搬送される。また、送り込まれた用紙が複数であっても、分離ローラ22には戻し方向に所定のトルクが与えられているので、分離ローラ22が戻し方向に回転してそれに接している用紙を戻し、最上用紙のみがフィードローラ21によって分離給送される。
【0015】
図3は、本発明に係る給紙装置10の駆動部を示す斜視図である。
図3において、本実施形態の給紙装置10は各ローラを回転駆動するための駆動源としてのモータ(図示せず)に駆動される駆動ギヤ31に中間軸32の一端側に固定された中間駆動ギヤ33が噛み合っている。中間軸32は、軸受34を介してケース50に回転自在に支持されており、その他端には分離ローラ中間ギヤ35が固定されている。分離ローラ中間ギヤ35は、トルクリミッタ25を介して分離ローラ22が連結されている分離ローラ軸22aに固定された分離従動ギヤ36と噛み合っている。
【0016】
また、上記中間駆動ギヤ33はフィードローラ軸21aに設けられた電磁クラッチ40のクラッチギヤ41と噛み合っており、電磁クラッチ40がONするとフィードローラ21および該ローラとギヤ列を介して駆動連結されたピックアップコロ23が回転駆動される。電磁クラッチ40は、図4に示すように、クラッチギヤ41と一体の円筒部42がフィードローラ軸21aに固定された中空シャフト43に遊嵌されており、円筒部42内には板バネ44を介してアーマチュア45が設けられている。また、中空シャフト43にはアーマチュア45に対向してロータ46、電磁コイル47が固定されており、この電磁コイル47に電流が流されると、アーマチュア45が磁力によってロータ46に引き付けられ、クラッチギヤ41の駆動がフィードローラ軸21aに伝達される。
【0017】
このようにして駆動される給紙装置は、分離ローラ22が常時回転されるのに対し、フィードローラ21は電磁クラッチ40によって駆動のON・OFFが切り替えられる。そして、フィードローラ21がOFFのとき、分離ローラ22はトルクリミッタ25を介しているため、そのトルクリミッタ25のトルクのばらつきが駆動系に振動となって伝達される。しかも、電磁クラッチ40と一体となっているクラッチギヤ41は、OFF状態ではアーマチュア45とロータ46の間にギャップを設けており、さらにクラッチギヤ41はロータ46と間に板バネ44を介在させているため、振動に共振しやすくトルクリミッタ25からの振動を拾って騒音を発生させるという問題があった。
【0018】
そこで、本実施形態ではかかる問題を解消するため、電磁クラッチ40に振動を抑える振動抑制手段を設けている。振動抑制手段は、電磁クラッチ40に当接させる当接部材と、その当接部材に適度な押し当て力を付勢する押し当て力付勢部材とで構成されている。
【0019】
本実施形態の当接部材として、図3および図4に示すように、クラッチギヤ41の一体の円筒部42上に接するように設けられたコロ51が設けられている。このコロ51は円筒部42の回転によって従動回転するように、支持部52に回転自在に装着されるとともに、コロ51の回転軸線がフィードローラ軸21aの軸線と平行になるように配設されている。また、押し付け力付勢部材として板バネ53が設けられており、板バネ53の支え部材54がケース50と軸受け34,56のフランジで挟みつけて固定している。なお、本実施形態では支持部52、板バネ53、支え部材54が一体であって、導電性の金属板で作られている。また、支え部材54は延設されていて装置全体におけるアースのとれた構造体に接触させている。
【0020】
上記のような構成により、トルクリミッタ25からの振動が、分離従動ギヤ36、分離中間ギヤ35、中間駆動ギヤ33を経てクラッチギヤ41に伝達されても、コロ51がクラッチギヤ41をラジアル方向に所定の圧力にて押さえ込んでいるので、共振(騒音)の発生を防止できる。また、コロ51は回転自在に支持されているので、クラッチギヤ41の回転を阻害することなく、クラッチの停止動作連結動作に何ら支障を来さない。また、板バネ53は導電性軸受け34,55のフランジ部とケース50に挟まれることで支持されているので、分離ローラ軸22aと中間軸32のアースをとれるとともに、板バネ53の保持部を軸受け部と共有できるので省スペースを達成できる。なお、コロ51の当接力は大きいほど振動による騒音を防止できるが、あまり大きすぎると接触部の摩耗が発生するので、20gfから100gf程度に設定すると、良好である。
【0021】
また、上記実施形態ではクラッチギヤ41と中間駆動ギヤ33とが直接噛み合っている場合を示しているが、本発明は両ギヤの間にアイドラギヤ等が挟まれている場合等の電磁クラッチとトルクリミッタが実質的に駆動連結されている給紙装置に適用されるものである。
【0022】
【発明の効果】
請求項1の構成によれば、振動抑制手段は当接部材をギヤ付き電磁クラッチに適当な圧力で押し当てているので、トルクリミッタからの振動がギヤ付き電磁クラッチに伝達されても共振(騒音)の発生を防止することができる。
【0023】
請求項2の構成によれば,当接部材がギヤ付き電磁クラッチの回転で従動回転するので、ギヤ付き電磁クラッチの回転を阻害することなく、クラッチの停止動作連結動作に支障を来さない。
【0024】
請求項3の構成によれば、押し当て力付勢部材が板バネであるので、当接部材を支持して適当な当接力で押し当てることができる。
請求項4の押し当て力付勢部材は、金属製であり、且つ分離軸及び中間駆動軸を枢支する導電性軸受けとアースのとれた構造体に接触しているので、分離コロ部で発生した静電気を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給紙装置を具備する画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る給紙装置の構成の一例を示す説明図である。
【図3】給紙装置の駆動部の構成を示す斜視説明図である。
【図4】図3の駆動部の電磁クラッチ部分の断面説明図である。
【符号の説明】
10 給紙装置
21 フィードローラ
22 分離ローラ
40 電磁クラッチ
41 クラッチギヤ
51 コロ
53 板バネ
Claims (5)
- 用紙を送り出す方向に回転駆動されるフィードローラと、該フィードローラと圧接され、トルクリミッタを介して用紙を戻す方向に回転駆動される分離ローラとを有し、前記フィードローラが該分離ローラに駆動を伝達する駆動伝達部とギヤ付き電磁クラッチを介して回転駆動される給紙装置において、
前記ギヤ付きクラッチの外周に当接して振動を抑える振動抑制手段を設けたことを特徴とする給紙装置。 - 請求項1に記載の給紙装置において、前記振動抑制手段が前記ギヤ付き電磁クラッチに当接する当接部材と、該当接部材へ押し当て力を付勢する押し当て力付勢部材とを有し、前記当接部材が前記ギヤ付き電磁クラッチの回転により従動回転されるコロを備えていることを特徴とする給紙装置。
- 請求項2に記載の給紙装置において、前記押し当て力付勢部材が、前記当接部材に前記ギヤ付き電磁クラッチへ接する方向の弾性力を付勢する板バネ材で構成されていることを特徴とする給紙装置。
- 請求項2に記載の給紙装置において、前記押し当て力付勢部材が、金属製バネ材で構成し、その一部は前記分離ローラの軸および分離ローラの駆動伝達経路中に設けられた中間軸を枢支する導電性軸受けとそれぞれ接触するとともに、アースのとれた構造体に接触することを特徴とする給紙装置。
- 請求項1ないし4の何れか一項に記載の給紙装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
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