JP4072470B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置において、シートを一枚ずつ画像形成部へ供給するシート給送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシート給送装置の一例について図6をもとに説明する。
【0003】
シートに画像を形成する画像形成部にシートを供給するためのシート給送装置には、シートSを積載収容する給紙トレイ100と、給紙トレイ100からシートを一枚ずつ分離して供給するためのシート給送部102とが備えられている。
【0004】
給紙トレイ100は画像形成装置本体に着脱自在に配設されていて、後端側が回動自在に支持された中板104と、中板104を後述する給紙ローラ106に向けて付勢するためのばね108とを有している。そして、中板104上にはシートSが複数枚積載され、ばね108によって給紙ローラ106に所定の圧で当接されている。
【0005】
シート給送部102は、給紙ローラ106と、給紙ローラ106と同軸上に給紙ローラの両側で回転自在に支持された給紙コロ110と、給紙ローラ106に圧接し、その間でシートを一枚ずつ分離するための分離パッド112とを有している。
【0006】
給紙ローラ106は外周に円弧部と切欠き部とを有する略半月形状をしており、シート給送時のみ図6中で反時計回りに一回転してシートを一枚給送するよう制御され、円弧部の摩擦力によってシートを給送する。
【0007】
分離パッド112は、パッドホルダ114に貼り付けられており、パッドホルダ114は給紙トレイ100に回動自在に支持され、ばね116によって所定の加圧力で分離パッド112が給紙ローラ106へ圧接するように構成されている。
【0008】
給紙コロ110は、図6に示すように給紙ローラ106が待機位置で停止しているとき(切欠き部がシートS及び分離パッド112と対向しているとき)にはシートSの上面及び分離パッド112と当接している。
【0009】
ここで、シートの給送を開始するために給紙ローラ106が回転すると、シートは給紙ローラ106との摩擦力によって分離パッド112へ向けて送られる。
このとき、シートはシート間の摩擦力のために複数枚が、分離パッド112と給紙ローラ106のニップに向けて送られる場合があるが、複数枚送られたシートは、ニップにおいてシートよりも摩擦係数の高い分離パッド112によって2枚目以降のシートは止められ、分離パッド112よりもさらに摩擦係数の高い給紙ローラ106と当接して強い搬送力を与えられている最上部の一枚のシートのみが下流側に配置されている搬送ローラ118へ送られる。
【0010】
下流側の搬送ローラ118へシートが送られた後は、給紙ローラ106は切欠き部を積載されているシートS及び分離パッド112に向けた待機状態で停止し、分離されたシートは搬送ローラ118によって画像形成部へと搬送されていく。
【0011】
しかしながら、上記従来例においては図7に示すように、分離パッド112と給紙ローラ106とのニップ方向と、給紙トレイ100上のシート束先端との間に段差Gができてしまうために、給送されたシートS1後端が給紙トレイ100に積載されているシート束を抜ける際に跳ねて、給紙トレイ100に当たって跳ね音を発生させることになり、装置の静寂性を損ねてしまうという問題点があった。
【0012】
そこで、この問題を解決するための技術の一例として、シートを一枚給紙する動作ごとに中板104を押し下げてシートSと給紙ローラ106とを離間する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、この問題を解決する他の例として、段差Gを埋めるためのガイドを給紙トレイの装着に連動させる構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
【特許文献1】
特開平04−66425号公報
【特許文献2】
特開平05−116800号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シートを一枚送る動作ごとに中板を押し下げる構成のものでは、250枚、500枚といった大容量のシートを積載する給紙トレイにおいては、中板を押し下げる押し下げ幅が大きくなり、押し下げるための力も大きくなるため、大掛かりな機構や、広いスペースが必要となるほか、機構自体の騒音が大きくなってしまうという問題点があった。
【0016】
また、段差Gを埋めるガイドを連動させる構成においては、大掛かりな機構が必要であり、装置の大型化やコストが高くなる等の問題があった。
【0017】
本発明の目的は、装置が大型化することがなく簡単な構成で、給送されるシートの後端がシート束を抜けた際に発生するシートの跳ね音の発生を防いで静寂性の高いシート給送装置を提供するところにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、給紙時に回転する給紙ローラと、複数枚のシートを積載可能なシート支持手段と、前記シート支持手段に積載されたシートを前記給紙ローラへ向けて付勢する付勢手段と、を有するシート給送装置において、前記給紙ローラは、前記給紙ローラは円弧部と切欠き部と備えた形状に形成されており、前記シート支持手段に積載されているシート束の先端よりも後方で圧接してシートを送り出すように設けられ、前記給紙ローラと同軸上に回転自在に配置され、該給紙ローラの外径よりも小さい外径を有し、外周面が高摩擦部材で形成された給紙コロを有し、前記給紙コロは、前記給紙ローラの1回転により送り出されたシートの後端が前記シート支持手段に積載されたシート束と前記給紙コロとが圧接するニップ部を抜けるときに、前記シート支持手段上の次のシートに圧接して送り出すことを特徴とする。
又、本発明は、給紙時に回転する給紙ローラと、複数枚のシートを積載可能なシート支持手段と、前記シート支持手段に積載されたシートを前記給紙ローラへ向けて付勢する付勢手段と、を有するシート給送装置において、前記給紙ローラのシート給送方向上流側の近傍に設けられ、前記給紙ローラにより送り出されたシートの後端が前記シート支持手段に積載されたシート束の先端に至るまでに、前記シート支持手段上の次のシートを所定量だけ送り出すように回転する補助給紙ローラを備えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、従来の技術で説明した構成と同等の構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0020】
(第一の実施の形態)
図5は本発明に係る画像形成装置(レーザービームプリンタ)1の全体構成を示し、まずこれを説明する。
【0021】
画像形成装置本体1Aには、給紙トレイ2が図5中のA方向から装着可能に設けられている。給紙トレイ2には、複数枚のシートSを積載する揺動可能なシート支持手段としての中板4と、中板4の先端側を上方に付勢するばね6とが配置されている。
【0022】
シート給送部8は、円弧部と切欠き部とを備え高摩擦部材で構成された給紙ローラ10と、給紙ローラ10が固定された給紙駆動軸10aに回転可能に取り付けられているコロ12と、給紙トレイ2に取り付けられている分離パッド14とを備えている。給紙ローラ10は給紙時のみ図5中の反時計回りに回転するように制御され、当接したシートSを摩擦力によって給送する。
【0023】
図1に示すように、給紙コロ12は、外周が本発明の補助給紙手段としてのゴム、エラストマ等の高摩擦部材12aで形成されている。
【0024】
分離パッド14は揺動自在に支持されたホルダ15に貼り付けられており、給紙ローラ10へ向けてばね16により付勢され、給紙ローラ10との間で送り出される複数枚のシートを捌いて、最上位の一枚のシートS1以外を画像形成装置本体1A内へ送り出させないよう働いている。
【0025】
シート給送部8により一枚だけ分離給紙されたシートは下流側に配置されている搬送ローラ対18によって画像形成部Fに送られる。
【0026】
図5において、画像形成部Fは、感光ドラム20と、帯電器22と、現像器24とを備えたプロセスカートリッジ26を備えている。また、感光ドラム20と対向する位置には転写ローラ28が設けられている。さらに、感光ドラム20にレーザー光を照射するためのレーザースキャナ30を備えている。画像形成部Fの上流側にはレジストローラ対32が配置されており、レジストローラ対32はレーザー光の感光ドラム20への書き込みタイミングに合わせてシートの搬送を開始する。
【0027】
感光ドラム20は図中時計回りに回転しており帯電器22によって一様に帯電されたのち、画像信号に基づいてレーザースキャナー30より発射された選択的なレーザー光によって露光され静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器24によって顕像化(トナー像化)される。
【0028】
感光ドラム20上に形成されたトナー像は転写ローラ28によって電気的に引きつけられることによって、感光ドラム20と転写ローラ28との間を通過するシートの印字面(上面)に順次転写され、シートに画像が形成される。
【0029】
画像の形成されたシートは、画像形成部Fの下流側に設けられている定着装置34に送られる。画像形成部Fで画像形成されたシートは定着装置34の加熱手段36とこれに圧接する加圧ローラ38とのニップへ導かれ、ニップを通過する過程でトナー像は加熱及び加圧されてシートに定着される。
【0030】
定着装置34を通過したシートは、排紙ローラ対40,42によって搬送されて排紙トレイ44上へ排出される。
【0031】
図1乃至図3を用いて本発明の第一実施の形態の特徴部分の構成を説明する。
【0032】
図1は本発明の第一実施の形態に係るシート給送装置の要部の断面図、図2は図1に示す構成を通紙方向から見た図、図3は給紙ローラを回転させるための機構を示す図である。
【0033】
図3に示すように、給紙ローラ10が固定されている給紙駆動軸10aには欠け歯ギア50が同軸上に固定されている。駆動ギア列52は画像形成装置の動作時には常に回転しているが、給紙時以外は、欠け歯ギア50のストッパ部50aにソレノイド54のアーム部54aが掛かり、欠け歯ギア50欠け歯部50bが駆動ギア列52の前段のギアに向いた駆動が伝わらない位置で停止している。
【0034】
プリントを開始する際には不図示のコントローラからソレノイド54へ信号が送られ、アーム部54aが一定時間引かれる。すると欠け歯ギア50はばね56に引かれて図示の矢印の向きへ回転し、駆動ギア列52の前段のギアと噛み合って駆動が伝達され、欠け歯ギア50が一回転したところで再びソレノイド54のアーム部54aが掛かって停止する。従って、略半月形状の給紙ローラ10は給紙時に一回転してシートをシート給送方向の下流にある搬送ローラ対18まで送って停止することになる(一回転制御)。
【0035】
搬送ローラ対18は、給紙ローラ10から受け取ったシートを画像形成装置本体1Aへ送り込む。このとき、給紙動作を終えた給紙ローラ10は図1に示す待機位置(切欠き部がシートS及び分離パッド14と対向している位置)で停止しており、給紙されたシートS1は給紙コロ12の外周に沿った状態で搬送される。
【0036】
図1(a)に示すように、送り出されるシートS1は、積載されているシートSと給紙ローラ10又は給紙コロ12とが圧接するニップ点N1及び分離パッド14と給紙ローラ10又は給紙コロ12とが圧接するN2において給紙コロ12とシート束S及び分離パッド14との間に挟まれ、加圧されているため、N1とN2との間で上述のシートS1が搬送されているときには給紙コロ12はシートS1との摩擦力によって回転させられる。
【0037】
つづいて、図1(b)に示すように、シートS1が給紙コロ12とシート束Sとのニップ点N1を通過したところで、給紙コロ12は次のシートS2と当接する。このとき、給紙コロ12は、その外周がゴム、エラストマ等の高摩擦部材12aで形成されているため、高摩擦部材12aの摩擦力によってシートS2はシートS1と同じ速度で通紙方向に搬送される。そして、一枚目のシートS1の後端と二枚目のシートS2の先端とが一部重なりあった状態を保ちながら進行する。そのため、従来のシートの跳ね音の要因となっていたシート束S先端と給紙トレイ2の下流側の壁との隙間GはシートS2の先端によって埋められ、シートS1の後端の跳ねを抑えて給紙トレイ2に当たることを防止できる。
【0038】
また、図1(c)に示すように、二枚目のシートS2は分離パッド14或いはその上流のホルダの傾斜面と当接したところで進行方向に抵抗を受けるためその進行は妨げられて重送が防止される。さらに、シートS1の後端がニップ点N2を通過した時点で給紙コロ12の回転は停止するため、シートS2を搬送させる力は働かなくなる。従ってシートS2がそのまま装置本体に送られて重送を引き起こすことはない。
【0039】
以上のような構成をとることにより、従来のシート給送装置の構成を大きく変えることなく、また、分離性能を低下させることなく、シート後端の跳ね音を効果的に抑えることができる。
【0040】
(第二の実施の形態)
図4を用いて本発明の第二実施の形態の構成を説明する。なお、第一の実施の形態で説明した部材と同一若しくは相当する部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。また、給紙ローラ10の給紙動作は第一の実施の形態と同じである。
【0041】
本実施の形態の特徴は、本発明の補助給紙手段としての略半月形状の補助給紙ローラ60を給紙ローラ10の近傍に配置したことである。この補助給紙ローラ60は、シートに当接可能な円周部とこの円周部の外径より小さい形の円弧部とを備えている。
【0042】
そして、補助給紙ローラ60は前述した図3の給紙ローラ10の駆動系と同様の駆動系にクラッチ等の駆動の伝達を制御する機構を介して連結されており、不図示のコントローラからソレノイドに信号が送られると一回転して再び後述する待機位置で停止するよう制御される。
【0043】
また、給紙トレイ1は積載されているシートのサイズを検知する手段(不図示)を有しており、不図示のコントローラはシートサイズに応じた給紙動作開始から、給紙されたシートS1の後端がシート束Sの先端を抜けるまでの時間を予め知ることができる。
【0044】
給紙前は、補助給紙ローラ60は、図4(a)に示す待機位置で停止している。
【0045】
一枚目のシートS1の後端が補助給紙ローラ60を通過し、シート束Sの先端に至るまでの間の適当なタイミングで補助給紙ローラ60は回転動作を開始するよう制御され、図4(b)に示すように、補助給紙ローラ60によって二枚目のシートS2が給送され、一枚目のシートS1の後端と二枚目のシートS2の先端とが一部重なった状態を保ちながら下流方向へ送られる。そのため、従来の跳ね音の要因となっていたシート束S先端と給紙トレイ2の下流側の壁との隙間GはシートS2の先端によって埋められ、シートS1の後端が跳ねることを抑えることができる。
【0046】
図4(c)に示すように、二枚目のシートS2は分離パッド14或いはその上流のホルダの傾斜面と当接したところで進行方向に抵抗を受けるその進行は妨げられる。また、補助給紙ローラ60は一回転した時点で停止するため、シートS2は所定の距離のみ進んで停止する。従ってシートS2がそのまま装置本体に送られて重送を引き起こすことはない。
【0047】
以上のような構成をとることにより、簡単な構成で分離性能を低下させることなくシート後端の跳ね音を効果的に抑えることができる。
【0048】
また、補助給紙ローラ60を設けたことで二枚目のシートS2の動き出すタイミング、動く量を自由に設定できるという本実施の形態の特有の利点がある。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、給紙されたシート後端が積載されているシート束先端を通過する直前に二枚目のシートを送り出すことで跳ね音を発生する隙間が埋められため、複雑な構成をとることなく跳ね音を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第一実施の形態を通紙方向から見た図である。
【図3】本発明の第一実施の形態に係る給紙駆動系を示す断面図である。
【図4】本発明の第二実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図6】従来の分離パッド方式のシート給送装置を示す断面図である。
【図7】従来の分離パッド方式のシート給送装置におけるシート分離部を拡大した図である。
【符号の説明】
2 給紙トレイ
4 中板
10 給紙ローラ
12 給紙コロ
12a 高摩擦部材
14 分離パッド
60 補助給紙ローラ

Claims (4)

  1. 給紙時に回転する給紙ローラと、
    複数枚のシートを積載可能なシート支持手段と、
    前記シート支持手段に積載されたシートを前記給紙ローラへ向けて付勢する付勢手段と、
    を有するシート給送装置において、
    前記給紙ローラは、前記給紙ローラは円弧部と切欠き部と備えた形状に形成されており、前記シート支持手段に積載されているシート束の先端よりも後方で圧接してシートを送り出すように設けられ、
    前記給紙ローラと同軸上に回転自在に配置され、該給紙ローラの外径よりも小さい外径を有し、外周面が高摩擦部材で形成された給紙コロを有し、
    前記給紙コロは、前記給紙ローラの1回転により送り出されたシートの後端が前記シート支持手段に積載されたシート束と前記給紙コロとが圧接するニップ部を抜けるときに、前記シート支持手段上の次のシートに圧接して送り出すことを特徴とするシート給送装置。
  2. 前記給紙コロは、積載されたシート束の先端側にある隙間よりも長い距離の所定量でシートを送り出すことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
  3. 給紙時に回転する給紙ローラと、
    複数枚のシートを積載可能なシート支持手段と、
    前記シート支持手段に積載されたシートを前記給紙ローラへ向けて付勢する付勢手段と、
    を有するシート給送装置において、
    前記給紙ローラのシート給送方向上流側の近傍に設けられ、前記給紙ローラにより送り出されたシートの後端が前記シート支持手段に積載されたシート束の先端に至るまでに、前記シート支持手段上の次のシートを所定量だけ送り出すように回転する補助給紙ローラを備えることを特徴とするシート給送装置。
  4. 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
    前記シート給送装置から供給されるシートに画像を形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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