JP3907536B2 - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート等の記録媒体上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタ、あるいは、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関し、特に、これらの装置に備えられるシートを給送するためのシート給送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ、ファクシミリあるいは複写機等の画像形成装置には、用紙等のシートを給送するためのシート給送装置が備えられている。
【0003】
例えば、図11に示したレーザービームプリンタの場合には、シートPを積載しておくシート積載装置(カセット)109または手差し用シート積載装置108から、給送ローラ101によって最上部のシートに給送力を付与して、摩擦分離手段106によってシートPを1枚ずつに分離して給送を行っている。
【0004】
ところで、近年プリンタの高速化が加速していくに従い、摩擦分離方式においても変化が見られてきている。
【0005】
図6において、(a)は従来から用いられてきたタイプの給紙装置部正面図、(b)は給送ローラ101による給紙動作終了後、シートPが搬送されている瞬間を示した側面図、図7において、(a)は最近使用頻度が上がってきているタイプの給紙装置部正面図、(b)は給送ローラ101による給紙時瞬間を示した側面図、(c)は給紙動作終了後、シートが搬送されている瞬間をそれぞれ表した図である。
【0006】
図6,図7を参照して、両者の摩擦分離手段の説明をする。
【0007】
図6には、従来から用いられているタイプの摩擦分離手段が示されており、(b)が示すようにシート搬送時常に分離パッド106のゴム部106aがシートPを給紙コロ103に押圧することによってつれ重送を防止している。
【0008】
このタイプは、常時シートPと分離パッド106のゴム部106aが当接しているため、シートPの搬送スピードが上がるにしたがって、ゴム部106aの摩耗が促進するという問題点があった。
【0009】
それに対して、図7は、近年良く使用されているタイプで、(b)が示すように給紙時にのみゴム部106aとシートPが当接し、シート搬送時は(c)が示すように分離パッド106を解除してゴム部106aとシートPとの距離をとる構成にしてある。また、給紙ローラ101が回転し終わった後、サブパッド123が矢印方向に動作することで、つれ重送を防止する構成をとっている。
【0010】
このため、従来のようにシートPが常に分離パッド106のゴム部に106aに当接していないためにゴム部の摩耗に対して有利になっているという違いがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0012】
以下に、図8及び図9,図10を参照して、上記摩擦分離方式を用いたシート給送装置について説明する。
【0013】
図8は、手差し給紙部108からシートPをセットした時の主要構成図で、(a)は給送ローラ101による給紙時瞬間を示した側面図であり、(b)は(a)中S2−S2断面図である。なお、図8(a),(b)においては、給紙動作開始時の中板104が揺動して回転部材103のフランジ部103aに接触した瞬間の状態を示している。
【0014】
図9は従来技術に係るシート給送装置の主要構成図であり、(a)は手差し給紙部108からシートPをセットした時の給紙コロ103を用いて常時分離パッド106を給紙コロ103に突き当てているタイプの側面図であり、(b)は手差し給紙部108からシートPをセットした時の側面図で、給紙動作以外のときは分離パッド106を解除するタイプのものである。
【0015】
図10は従来技術に係るシート給送装置におけるシート給送状態を示す模式図であり、(a)は給送ローラ101による給紙時瞬間を示し、(b),(c)はその後の状態を示している。なお、図10では、給送ローラ1がシートPに接触し、給送される時にシートPにかかる力についても示している。
【0016】
給送時、給送ローラ101が回転をはじめると同時に、中板104はホームポジションから開放され、給送ローラ101方向に揺動する。揺動した中板104は回転部材103のフランジ部103aに接触することで静止し、中板104上、又は手差し用シート積載装置108に積載されていたシートPは、中板104とフランジ部103aに挟まれた状態になる。
【0017】
その時、図8(b)に示すように、中板104には下方からの付勢力Fが働き、その反作用力として中板104上のシートPには、回転部材103から力F’が働く。中板104上に配設された分離シート105には弾性力があるために、シートPの位置がフランジ部103aとの接触部のみ若干下方に下がる。
【0018】
従って、図8(b)に示すように、シートPにおけるフランジ部103aよりも外側に位置する部分は、逆に上方に反りあがる状態になる。
【0019】
続いて、給送ローラ101の回転によって、シートPは給送ローラ101から摩擦搬送力を受ける。すなわち、図10(a)に示すように、シートPには給送ローラ101から給送力Dが加わる。
【0020】
そして、シートPの先端が分離手段106上に配設されたゴム部106aに突入すると、シートPはゴム部106aから反力Eを受けることになる。通常、反力EはシートPの先端部稜線あるいはゴム部106aとの接触面全体にて受けるため、図10(b)に示すように、シートPはゴム部106aの曲面にならうようにして給送される。
【0021】
しかしながら、シートPが分離手段106に突入する際に、図8(b)に示すC部のような変曲点を持っている場合には、C部が極端に剛性が高い状態になるため、C部のみにゴム部106aからの反力Eを受けることになり、図10(c)に示すように、シートPのC部がめくれてしまうという問題が起っていた。
【0022】
特に、図9(a)に示す給紙コロを用いるタイプの場合は、図が示すようにシートセット時に、シート先端が分離パッド106上のゴム部106aに届かない状態にあるので、シートのめくれが発生しにくいが、図9(b)に示す分離パッドを解除するタイプにおいては、シートセット時に常時シート先端がゴム部106aにすでに接触していることから、シートのコバ折れ発生率が高かった。また、その問題は低温環境においてシートの剛性が通常よりも高くなった場合や、シートの分離角度が比較的大きい構成の給送装置に顕著に発生していた。
【0023】
このように、従来技術に係るシート給送装置の場合には、シート先端に生じる変曲点の部分が分離手段を通過する際に悪影響を与えていて、これにより、シート給送不良が生じるなどの問題を生じさせていた。
【0024】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シートの給送動作の安定化を図ったシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
シートを積載するシート積載部材と、
前記シート積載部材に積載されたシートを給送する給送回転部材と、
駆動源からの動力を前記給送回転部材に伝達するために回転可能に支持された給送軸の回転と同期するように該給送軸に保持されて、シート給送方向に略直交するシート幅方向に1対設けられ、該給送回転部材が所定量シートを給送した後、該給送回転部材に代わってシートに当接することにより、該給送回転部材によるシートの送り量を規定するフランジ部を有する回転部材と、
前記シート積載部材上であって前記シート給送部材に対向して設けられ、該シート積載部材の表面上に接するシートの重送を防止する分離部材と、
を備えたシート給送装置において、
前記分離部材は、前記回転部材の前記フランジ部と前記シート積載部材とが当接した場合に、該フランジ部が当接する領域以外の前記シート積載部材上の領域内に設けられ、
前記シート積載部材を前記給送回転部材から離間させ、前記給送回転部材による給送動作に伴い、その離間状態を解除する離間手段と、
前記シート積載部材を前記給送回転部材に向けて付勢する付勢手段と、
前記離間手段が前記給送回転部材による給送動作に伴って前記シート積載部材を該給送回転部材から離間させた状態を解除した場合に、前記付勢手段により付勢されて該給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材の移動動作を緩和させる緩和手段と、
を備えることを特徴とする。
【0026】
前記分離部材は、対となって設けられる前記フランジ部間に少なくとも配設されていることも好適である。
【0027】
前記分離部材は、シート積載方向において、前記シート積載部材表面と略同じ高さであるか又は該表面よりも低く設けられていることも好適である。
【0028】
前記給送軸に軸支され、該給送軸の回転と同期させて前記給送回転部材を回転可能に保持する保持部材を備え、
前記保持部材と前記回転部材とは、一体的に設けられていることも好適である。
【0029】
手差し用のシートを載置する手差し用シート載置手段を備え、
前記手差し用シート載置手段に載置されたシートのシート給送方向下流側先端部は、前記分離部材と前記給送回転部材とのニップ部を介して該給送回転部材により給送されることも好適である。
【0031】
前記緩和手段は、前記給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材に係合する係合部材を備え、
前記係合部材の、前記シート積載部材の移動に伴う係合状態を維持するための係合動作は粘性抵抗を利用して行われることも好適である。
【0032】
前記給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材が、該給送回転部材または前記回転フランジ部材に当接する直前に、前記係合部材と前記シート積載部材との係合状態を解除する解除手段を備えることも好適である。
【0033】
画像形成装置にあっては、上記記載のシート給送装置を備え、該シート給送装置により給送されたシートに画像を形成することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0035】
まず、本発明の実施の形態に係るシート給送装置を備える画像形成装置について図4及び図5を参照して説明する。ここでは、画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタを例にして説明する。
【0036】
図4は本発明の実施の形態に係る画像形成装置(レーザービームプリンタ)の模式的断面図である。図5は本発明の実施の形態に係る画像形成装置に備えられたシート給送装置の正面図(図4中矢印A方向から見た部分に相当する図)である。まず、レーザービームプリンタ本体10の構成について説明する。
【0037】
レーザービームプリンタ本体10には、シートを積載するシート積載装置(カセット)9と、シート積載装置9に積載されたシート以外のサイズのシートを積載する手差し用シート積載手段としての手差し用シート積載装置8が備えられている。
【0038】
また、レーザービームプリンタ本体10には、これらに積載されているシートを給送する給送回転部材としての給送ローラ1と、給送されたシートを1枚ずつに分離する摩擦分離手段としての分離手段6と、分離手段6に分離されたシートを搬送する搬送手段である搬送ローラ対11が備えられている。
【0039】
ここで、これらシート積載装置9,手差し用シート積載装置8,給送ローラ1及び分離手段6は、シート給送装置の主要構成部材(装置)である。
【0040】
また、レーザービームプリンタ本体10には、画像情報に応じた光像を像担持体としての感光ドラム12に照射するためのレーザ走査光学手段13と、感光ドラム12を有するプロセスカートリッジ14と、感光ドラム12上で現像剤(以下、トナーと称す)によって現像されたトナー像をシートに転写するための転写ローラ15を有している転写手段と、シート上の未定着トナー画像を定着する定着ローラ16と加圧ローラ17で構成された定着手段と、定着画像をプリンタ本体の外に排出する排紙ローラ対18とが設けられている。
【0041】
ここで、感光ドラム12,レーザ走査光学手段13,プロセスカートリッジ14,転写手段及び定着手段は、画像形成装置の画像形成手段の主要構成部材である。
【0042】
次に、シート給送装置の構成について更に詳しく説明する。
【0043】
シート給送装置は、シート積載装置9又は手差し用シート積載装置8と、これらに積載されているシートの少なくとも給送方向先端領域を載置してシートに一定の圧力をかけるシート積載部材としての中板4と、積載されたシートを給送する給送ローラ1と、中板4の表面上かつ給送ローラ1と接触する位置に設けられた分離部材としての分離シート5と、駆動源19からの駆動をシート給送装置に伝える給送ギア20(図5参照)と、給送ギア20の回転と連動して回転し、給送ローラ1に駆動を伝達するための給送軸2と、給送軸2に固定されて、給送ローラ1と共に回転する一対の回転部材3と、シートを一枚に分離するための分離手段6と、分離手段6上に配設された摩擦分離部としてのパッドゴム部6aと、を備える。
【0044】
ここで、分離シート5は、弾性体で構成されており、中板4の表面上に接するシートの重送を防止する機能を備えたもので、シート分離の補助を行うためのものである。また、中板4は、付勢手段により付勢されることによりシートを給送ローラ1に付勢する。
【0045】
回転部材3は、給送ローラ1の両端側にそれぞれ設けられている。この回転部材3は、シートの送り量を規定するための機能を備えたものである。この機能について以下に説明する。
【0046】
回転部材3は、給送ローラ1の有効径部の反対側に半円状のフランジ部3aを備えている。従って、給紙動作開始直後、フランジ部3aにシートPが接している間は、給送ローラ1の表面はシート表面に接していなく、シートPに対して給送ローラ1から給送力(摩擦力)を与えることはできない。
【0047】
そして、給紙動作が進んでいくうちに、給送ローラ1の表面がシートPの表面に接するため、シートPに対して給送ローラ1から給送力を付与することができる。
【0048】
そして、給送開始時において、中板4が揺動して、シートPの先端を給送ローラ1側に付勢すると、シートの積載量にかかわらず、最上部のシートの先端が、回転部材3のフランジ部3aに当接するように設定されている。
【0049】
このように構成することによって、最上部のシートの先端が当接する相手側の位置は、積載されたシートの量に応じて変化することになるが、始めのうちは回転部材3のフランジ部3aに当接しているため、シートPは給送されない。そして、その後、給送ローラ1の表面がシートPに当接して、再び、給送ローラ1の表面がシートPから離間されるまで、シートPに対して給送力が付与される。
【0050】
このように、回転部材3のフランジ部3aを設けることによって、シート積載量にかかわらず、給送ローラ1によって給送力を付与する区間(給送力を付与する距離)を一定とすることができ、シートの送り量を規定することが可能となる。
【0051】
また、回転部材3については、本実施の形態では、給送ローラ1を給送軸2に固定して保持するための機能を備えている。これにより、部品点数の削減化を可能としている。ただし、シートの送り量を規定するための部材と給送ローラ1を保持するための部材とを、それぞれ別体として設けてもよい。
【0052】
次に、上記シート給送装置を備えた画像形成装置(レーザービームプリンタ)の動作について説明する。
【0053】
給送ローラ1が回転をはじめると同時に、給送軸2に設けられて中板4を保持している離間手段としてのカム26が解除され、中板4は、付勢手段としてのバネの付勢力によって図4中矢印B方向に揺動する。従って、シート積載装置9又は手差し用シート積載装置8に積載されたシートPは、給送ローラ1と分離シート5とのニップ部において、中板4による一定の圧力により発生する給送ローラ1とシートPとの摩擦により給送される。
【0054】
そして、中板4の先端よりもシート搬送方向下流側に設けられた分離手段6によって、最上部のシート1枚だけが分離された上で、搬送ローラ対11に搬送される。
【0055】
ここで、分離手段6は、シートPに対する摩擦力の大きなパッドゴム部(摩擦分離部)6aを備えている。このゴム部6aによって、シートが重送されてきた場合に、下側のシートに摩擦力を与えることで、この下側のシートの給送を阻止して、シートの分離を行う。
【0056】
離されたシートPは、記録手段となるプロセスカートリッジ14内に配置された電子写真感光体としての感光体ドラム12の回転に合わせて搬送ローラ対11により搬送される。そして、感光体ドラム12上のトナー像が、転写ローラ15によって、搬送されるシートP上に転写される。
【0057】
その後、シートPは定着ローラ16および加圧ローラ17のローラ対により加熱かつ加圧されてシートP上のトナー像が永久像として定着される。その後、シートPは、排紙ローラ対18により受け部上に排出され、積載される。
【0058】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置について、いくつかの実施の形態を説明する。なお、上述した図4及び図5に示す構成と同様の構成については同一の符号を付して説明する。また、図4及び図5に示す構成と同様の機能を持つ構成であっても、本実施の形態特有の機能を有する部材については異なる符合を付して説明する。
【0059】
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置について説明する。
【0060】
図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図であり、給送ローラの軸に垂直な面で切断した断面図である。なお、図1においては、中板4上にシートを積載していない状態で、手差し用シート積載装置8からの給紙を示した図であり、中板4が揺動して中板4の先端が回転部材3のフランジ部3aに接触した瞬間の様子を示している。
【0061】
図1(b)は本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図であり、給送ローラの軸を通るように切断した断面図である。なお、図1(b)は図1(a)中S1−S1断面に相当する。図中、給送ローラ1,給送軸2,回転部材3、中板4、分離手段6,パッドゴム部6a,手差し用シート積載装置8についての機能等については上述のとおりである。
【0062】
本実施の形態においては、図1(b)に示すように、分離シート5は中板4上において回転部材3のフランジ部3aが当接する領域以外の領域内に設けられるものであり、特に、分離シート5はフランジ部3aの間に設けられて、シート搬送方向に略直交するシート幅方向において、分離シート5の左右幅Xがフランジ部3aの幅(外側)Yよりも狭くなるような配置構成を採ることを特徴としている。
【0063】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置の動作及び作用について説明する。
【0064】
給送ローラ1の回転を司るソレノイド(不図示)が励磁され、アマーチャが解除されると、給送ローラ1は図1(a)中矢印F方向に回転を始める。給送ローラ1が回転を始めると同時に、給送軸2に配設されているカム(不図示)が解除され、中板4はバネ等の付勢手段による付勢力により揺動を開始する。
【0065】
ここで、本実施の形態の場合には、上述のように、分離シート5の幅Xがフランジ部3aの幅Yよりも狭く配置されていることより、シートPは中板4と回転部材3のフランジ部3aによって挟まれる。
【0066】
このことにより、従来分離シートの弾性によって発生していた変曲点を抑えることが可能となり、シートPは図1(b)が示すように、まっすぐな状態で給紙されることになる。また、この時、シート積載方向において分離シート5の表面高さが中板4よりも同等、もしくは低いことにより、分離シート部におけるシートの状態も良好(まっすぐ)である。従って、従来発生していたシート先端部でのめくれや、傷・折れ目等を防止できる。
【0067】
以上のように、本実施の形態では、シートの送り量を規定する機能と給送ローラを保持する機能を兼備する回転部材に、半円状のフランジ部を形成し、フランジ部における外側端部幅よりも分離シートの幅を狭く構成した。
【0068】
これにより、回転部材のフランジ端部付近でシートに発生していた変曲点を起因とする、シートのめくれ・傷・折れ目や、それに伴うジャム等の給送不良を防止でき、簡素な構成かつ信頼性の高い給送装置の提供が可能となった。
【0069】
なお、以上の説明では、回転部材にシートの送り量を規定する機能と給送ローラを保持する機能を持たせていたが、それぞれ専用の部材を設けても良い。この場合には、シートの送り量を規定する機能を持たせた部材に、上記フランジ部を形成することになる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図2には、第2の実施の形態が示されている。
【0071】
上記第1の実施の形態では、分離シート5全体の幅において、回転部材3のフランジ幅よりも狭くしている場合の構成を示した。しかし、分離シート5の幅を狭くするのは、分離シート5とフランジ部3aが当接する箇所のみでよく、フランジ部3aが当接しない部分には、特に規定する必要はない。なぜならば、給紙時にシート先端部で発生する変曲部は、シートが分離シート5とフランジ部3aに挟まれたときに起こるからである。
【0072】
そこで、本実施の形態では、分離シートの幅を狭くする領域を限定する構成とした。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同様なので、同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0073】
図2は本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図であり、(a)は給送ローラ1の軸に垂直な面で切断した断面図であり、(b)は(a)の中板4の上面図の一部を示したものである。
【0074】
なお、図2においては、中板4上にシートを積載していない状態で、手差し用シート積載装置8からの給紙を示した図であり、中板4が揺動して中板4の先端が回転部材3のフランジ部3aに接触した瞬間の様子を示している。
【0075】
図中、給送ローラ1,給送軸2,中板4,分離手段6,パッドゴム部6a,手差し用シート積載装置8、分離シート5aについての機能等については上述のとおりである。
【0076】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置の動作及び作用について説明する。
【0077】
給送ローラ1の回転を司るソレノイド(不図示)が励磁され、アマーチャが解除されると、給送ローラ1は図2中矢印G方向に回転を始める。給送ローラ1が回転を始めると同時に、給送軸2に配設されているカム(不図示)が解除され、中板4はバネ等の付勢力により揺動を開始する。
【0078】
ここで、本実施の形態の場合には、上述のように、分離シート5aにおいて中板4とフランジ部3aとの接触する部分間に設けられた領域5bにおける幅Xが、フランジ部3aの幅Yよりも狭く配置されていることより、シートPは中板4と回転部材3のフランジ部3aによって挟まれる。
【0079】
このことにより、従来分離シートの弾性によって発生していた変曲点を抑えることが可能となり、シートPはまっすぐな状態で給紙されることになる。従って、従来発生していたシート先端部でのめくれや、傷・折れ目等を防止できる。さらに、幅を狭くする範囲を限定したことにより、その他の部分では従来と同様の分離性能が期待できるのも特徴である。
【0080】
以上のように、本実施の形態では、シートの送り量を規定する機能と給送ローラを保持する機能を兼備する回転部材に、半円状のフランジ部を形成し、フランジ部における外側端部幅よりも分離シートの幅を狭く構成した。
【0081】
これにより、上記第1の実施の形態の場合と同様に、回転部材のフランジ端部付近でシートに発生していた変曲点を起因とする、シートのめくれ・傷・折れ目や、それに伴う給送不良を防止でき、簡素な構成かつ信頼性の高い給送装置の提供が可能となった。
【0082】
また、本実施の形態の場合には、分離シートの幅をフランジ部の範囲のみ制限することで、第1の実施の形態よりも分離性能を向上させた上で、上記対策を行うことが可能となった。なお、回転部材にシートの送り量を規定する機能と給送ローラを保持する機能を持たせていたが、それぞれ専用の部材を設けても良いことは上記第1の実施の形態と同じである。
【0083】
(第3の実施の形態)
図3には、第3の実施の形態が示されている。
【0084】
上記第1,2の実施の形態では、分離シートの幅における制限を示したものであるが、これらの構成によると、特に低温環境において、給紙時に中板と回転部材のフランジ部が当接する瞬間に、衝撃音が増加する可能性がある。
【0085】
そこで、本実施の形態では、上記衝撃音の発生を防ぎ、かつ上記第1,2の実施の形態と同等の効果が得られるように、分離シートの構成は第1又は第2の形態を用い、給紙機構に粘性抵抗を用いたダンパーを用いることで、中板の付勢動作のスピードを制御しようとするものである。
【0086】
図3は本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図であり、(a)は給紙動作開始前の状態を示した(ホームポジション)側面図であり、(b)は給紙動作を開始した瞬間の状態を示した側面図であり、(c)は給紙動作終了後(a)の状態に戻るところを示した側面図である。
【0087】
図3において、7は緩和手段として係合部材としての粘性抵抗を用いたダンパー、24は中板、24aは中板に設けられたラック、25はダンパーの位置を解除するためのコイルバネ、27はダンパー7の位置制御をつかさどるソレノイド(不図示)のアマーチャを示している。
【0088】
ここで、粘性抵抗を用いたダンパー7とは、例えば、ラック24aに係合する歯車と、歯車を支持する軸との間に粘性部材(粘性流体)を設けたもので、歯車等の係合部の回動動作を粘性抵抗により緩和して、ラック24aにより該係合部に係合する中板24の移動動作を緩和するものである。
【0089】
なお、コイルバネ25,アマーチャ27及び不図示のソレノイドは、解除手段を構成している。
【0090】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置の動作及び作用について説明する。
【0091】
給送ローラ(不図示)が回転を始めると同時に、給送軸(不図示)に配設されている離間手段としてのカム(不図示)が解除され、中板24はバネ等の付勢力により矢印H方向に揺動を開始する(図3(a))。
【0092】
この時点では、ダンパー7がラック24aに係合して噛み合っていることより、中板24の給送ローラに向けて移動するスピードはダンパー7により制御されている状態にある。そして、中板24が揺動し続け、回転部材のフランジ部(不図示)に当接する直前に、アマーチャ27が矢印I方向に解除され、ダンパー7がコイルバネ25によって矢印J方向に解除される(図3(b))。
【0093】
よって、中板24は、ダンパー7による負荷がかからず、給紙性能には影響することなくかつスピード制御された上で、回転部材のフランジ部(不図示)に当接する。
【0094】
また、この時中板24上のシート積載量によって中板24又は中板24上のシートが回転部材のフランジ部に当接するストロークが変わってくるため、アマーチャ27を解除する時間が異なってくる。よって、中板24上のシート積載量を検知する手段によって得られた情報から、アマーチャ27の解除するタイミングをはかる必要がある。
【0095】
その後、給送軸(不図示)に配設されているカム(不図示)により中板24が矢印K方向に揺動し始め、ダンパー7の腕部7aに接触する。このとき、ダンパー7の腕部7aには矢印L方向に力が働き、ダンパー全体が矢印N方向に揺動し始め、最終的にアマーチャ27が矢印M方向に揺動し、ダンパー7の腕部7aに引っかかることで、ホームポジションに戻る(図3(c))。
【0096】
以上のように、本実施の形態では、給紙機構に粘性抵抗を用いたダンパーを用いることで、中板の付勢動作のスピードを制御することで、従来の目的である回転部材のフランジ端部付近でシートに発生していた変曲点を起因とする、シートのめくれ・傷・折れ目や、それに伴う給送不良を防止すると同時に、中板とフランジ部が当接するときに発生する虞のある衝撃音を緩和することができ、信頼性の高い給送装置の提供が可能となった。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、給送動作時において、従来発生していたようなシート先端の変曲点の発生を防ぐことができ、シートの給送動作を安定化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の模式的断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置に備えられたシート給送装置の模式的正面図である。
【図6】従来技術に係るシート給送装置の主要構成図である。
【図7】従来技術に係るシート給送装置の主要構成図である。
【図8】従来技術に係るシート給送装置の主要構成図である。
【図9】従来技術に係るシート給送装置におけるシート給送状態を示す模式図である。
【図10】従来技術に係るシート給送装置におけるシート給送状態を示す模式図である。
【図11】従来技術に係る画像形成装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 給送ローラ
2 給送軸
3 回転部材
3a フランジ部
4 中板
5 分離シート
6 分離手段
6a パッドゴム部
7 ダンパー
8 手差し用シート積載装置
9 シート積載装置
10 レーザービームプリンタ本体
Claims (8)
- シートを積載するシート積載部材と、
前記シート積載部材に積載されたシートを給送する給送回転部材と、
駆動源からの動力を前記給送回転部材に伝達するために回転可能に支持された給送軸の回転と同期するように該給送軸に保持されて、シート給送方向に略直交するシート幅方向に1対設けられ、該給送回転部材が所定量シートを給送した後、該給送回転部材に代わってシートに当接することにより、該給送回転部材によるシートの送り量を規定するフランジ部を有する回転部材と、
前記シート積載部材上であって前記シート給送部材に対向して設けられ、該シート積載部材の表面上に接するシートの重送を防止する分離部材と、
を備えたシート給送装置において、
前記分離部材は、前記回転部材の前記フランジ部と前記シート積載部材とが当接した場合に、該フランジ部が当接する領域以外の前記シート積載部材上の領域内に設けられ、
前記シート積載部材を前記給送回転部材から離間させ、前記給送回転部材による給送動作に伴い、その離間状態を解除する離間手段と、
前記シート積載部材を前記給送回転部材に向けて付勢する付勢手段と、
前記離間手段が前記給送回転部材による給送動作に伴って前記シート積載部材を該給送回転部材から離間させた状態を解除した場合に、前記付勢手段により付勢されて該給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材の移動動作を緩和させる緩和手段と、
を備えることを特徴とするシート給送装置。 - 前記分離部材は、対となって設けられる前記フランジ部間に少なくとも配設されていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
- 前記分離部材は、シート積載方向において、前記シート積載部材表面と略同じ高さであるか又は該表面よりも低く設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
- 前記給送軸に軸支され、該給送軸の回転と同期させて前記給送回転部材を回転可能に保持する保持部材を備え、
前記保持部材と前記回転部材とは、一体的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 手差し用のシートを載置する手差し用シート載置手段を備え、
前記手差し用シート載置手段に載置されたシートのシート給送方向下流側先端部は、前記分離部材と前記給送回転部材とのニップ部を介して該給送回転部材により給送されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 前記緩和手段は、前記給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材に係合する係合部材を備え、
前記係合部材の、前記シート積載部材の移動に伴う係合状態を維持するための係合動作は粘性抵抗を利用して行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 前記給送回転部材に向けて移動する前記シート積載部材が、該給送回転部材または前記回転フランジ部材に当接する直前に、前記係合部材と前記シート積載部材との係合状態を解除する解除手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置を備え、該シート給送装置により給送されたシートに画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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