JP4157321B2 - 樹脂付きキャリアフィルム及び多層プリント回路板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂付きキャリアフィルムおよび多層プリント回路板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型パーソナルコンピューターや携帯電話等の携帯型電子機器は、より軽量かつ小型化が求められている。そのため電子機器内部のCPUやLSI等を実装するプリント回路板についても、小型軽量化が自ずと求められる。小型軽量化を実現するためには、絶縁樹脂層厚さやプリント配線幅及び配線間距離を小さくすること、スルーホール径を小さくしスルーホールのメッキ厚を薄くすることが必要である。ここで、メッキ厚を薄くすると熱衝撃時にメッキ金属にクラックが発生するおそれがあり、絶縁樹脂に耐熱性や耐クラック性が要求される。さらに、プリント配線のファインピッチ化に伴い、絶縁樹脂層の低誘電率、低誘電正接が重要となってくる。
また、同時にこれらの情報処理用機器の高速化も要求されており、CPUの高クロック周波数化が進んでいる。このため信号伝搬速度の高速化が要求されており、これを実現するために低誘電率、低誘電正接、インピーダンス制御、樹脂層の平面平滑性に優れたプリント回路板が必要とされる。
【0003】
耐熱性に優れ、誘電特性に優れた樹脂として、ベンゾシクロブテン樹脂が用いられる(例えば特開2000−21872号公報)。ベンゾシクロブテン樹脂は硬化反応により水酸基等の分極率の大きな官能基が生じないため、誘電特性が非常に優れている。
【0004】
しかし、ベンゾシクロブテン樹脂はその骨格構造により機械的特性において脆く、ベンゾシクロブテン樹脂を樹脂付き金属箔に用いた場合には、冷熱衝撃における耐クラック性に問題が生じる。また、電子回路のファインピッチ化に対応する安定なインピーダンスを制御するためには、高度の平滑性が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、誘電特性、耐クラック性、平面平滑性に優れた樹脂付きキャリアフィルムおよび多層プリント回路板を提供することである。
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(8)に記載の本発明により達成される。
(1)ベンゾシクロブテン樹脂を含む第1層と、ベンゾシクロブテン樹脂を含む第2層とを有する樹脂層を有し、前記第1層または第2層の少なくとも一層が熱可塑性エラストマーを含み、かつ第2層に比べ、第1層の反応率が高い樹脂付きキャリアフィルムであって、前記樹脂付きキャリアフィルムを、内層回路基板の片面、または両面に重ね合わせて加熱、加圧後の樹脂層表面の厚さのバラツキが2μm以内であることを特徴とする樹脂付きキャリアフィルム。
(2)前記ベンゾシクロブテン樹脂は、式(I)で表されるものである(1)に記載の樹脂付きキャリアフィルム。
【化1】
(3)前記熱可塑性エラストマーは、スチレン−ポリブタジエンの共重合体である(1)または(2)に記載の樹脂付きキャリアフィルム。
(4)前記熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、10,000〜150,000である(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
(5)前記熱可塑性エラストマーは、エポキシ基を有するものである(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
(6)前記熱可塑性エラストマーは、下記式(II)で表されるものである(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
【化2】
(7)前記熱可塑性エラストマーの含有量は、ベンゾシクロブテン樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
(8)(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルムを内層回路板の片面または両面に重ね合わせて加熱、加圧してなることを特徴とする多層プリント回路板。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂付きキャリアフィルムおよび多層プリント回路板について詳細に説明する。
本発明の樹脂付きキャリアフィルムは、ベンゾシクロブテン樹脂および熱可塑性エラストマーを含む樹脂層を有することを特徴とするものである。
また、本発明の多層プリント回路板は、上述の樹脂付きキャリアフィルムを内層回路板の片面または両面に重ね合わせて加熱、加圧してなることを特徴とするものである。
【0008】
まず、本発明の樹脂付きキャリアフィルムについて説明する。
本発明の樹脂付きキャリアフィルムは、ベンゾシクロブテン樹脂および熱可塑性エラストマーを含む樹脂層を有する。これにより、誘電特性に優れ、耐クラック性を向上することができる。
前記ベンゾシクロブテン樹脂は、特に限定されるものではなく、シクロブテン骨格を含む樹脂であればよい。これらの中でも式(I)で表されるベンゾシクロブテン樹脂を含むこと好ましい。これにより、ガラス転移温度が高くでき、硬化後の樹脂特性(具体的には、誘電特性、耐熱性等)を向上することができる。
【化3】
ベンゾシクロブテン樹脂は硬化反応によって水酸基などの分極率の大きな官能基が生じないため、誘電特性が非常に優れており、かつ低吸水率である。また、剛直な化学構造を有するため耐熱性に優れている。
【0009】
前記ベンゾシクロブテン樹脂をBステージ化したものも成形性を調整するために好ましく使用され、本発明のベンゾシクロブテン樹脂に含まれるものである。Bステージ化は加熱溶融して行われる。Bステージ化したベンゾシクロブテン樹脂とは、数平均分子量が500以上のものをいう。
【0010】
また、前記式(I)を有するベンゾシクロブテン樹脂をBステージ化したものも成形性、流動性を調整するために好ましく使用され、本発明に含まれるものである。Bステージ化は加熱溶融して行われる。Bステージ化したベンゾシクロブテン樹脂の数平均分子量は、通常3,000〜1,000,000である。
数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0011】
本発明において、樹脂成分として前記ベンゾシクロブテン樹脂のみでもよく、その他の樹脂を配合することもできる。この場合、前記ベンゾシクロブテン樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分(ベンゾシクロブテン樹脂およびその他の樹脂)100重量部中、20重量部〜95重量部が好ましく、特に30〜80重量部が好ましい。ベンゾシクロブテン樹脂の含有量が前記下限値未満であると誘電特性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂の流動性が低下する場合がある。
【0012】
本発明の樹脂付きキャリアフィルムでは、熱可塑性エラストマーを含む。これにより、ベンゾシクロブテン樹脂の耐クラック性を向上することができる。熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントのジエン部位を含むためゴム弾性に優れているからである。
前記熱可塑性エラストマーは、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。これらの中でもスチレン−ブタジエン共重合体が好ましく、特に式(II)で示される熱可塑性エラストマーが好ましい。
【化4】
これらの熱可塑性エラストマーは、ベンゾシクロブテン樹脂との相溶性に優れるからである。ベンゾシクロブテン樹脂と熱可塑性エラストマーとの相溶性に優れると、耐クラック性を向上する効果に加え、低吸水性を低下させないことが可能である。前記式(II)で示される熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントのジエン部位を含むためゴム弾性に優れ、またエポキシ基を含むことにより金属との密着性を特に高くできる。さらに骨格中に極性基が少ない化学構造を有しているため、双極子モーメントが小さく誘電特性を低下させない。従って、式(II)で示される熱可塑性エラストマーをベンゾシクロブテン樹脂と併用することで誘電特性、耐クラック性、金属箔との密着性等の特性の優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0013】
前記熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、特に限定されないが、10,000〜150,000が好ましく、特に50,000〜100、000が好ましい。数平均分子量が前記下限値未満であると耐クラック性を向上する効果が低下する場合が有り、前記上限値を超えるとベンゾシクロブテン樹脂との相溶性が低下する場合が有る。
なお、前記数平均分子量は、例えばGPCを用いて測定することができる。
【0014】
前記熱可塑性エラストマーの含有量は、ベンゾシクロブテン樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、特に1〜10重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐クラック性を向上する効果が低下する場合が有り、前記上限値を超えるとベンゾシクロブテン樹脂との相溶性が低下する場合が有る。
【0015】
前記熱可塑性エラストマーの曲げ弾性率は、特に限定されないが、100〜600MPaが好ましく、特に200〜400MPaが好ましい。曲げ弾性率が前記範囲内であると、樹脂付き金属箔および多層プリント回路板の耐クラック性に特に優れることができる。
曲げ弾性率は、例えばJIS K7203の測定規格で測定することができる。
【0016】
本発明の樹脂付き金属箔は、特に限定されないが、ベンゾシクロブテン樹脂を含む第1層と、ベンゾシクロブテン樹脂を含む第2層とを有する樹脂層であって、前記第1層または第2層の少なくとも一層に熱可塑性エラストマーを含む樹脂層を有することが好ましい。これにより、上述の優れた誘電特性、耐クラック性に加え、成形性(特に、樹脂層の厚さをより均一にすることができる)を向上することができる。樹脂層の厚さをより均一にできると、誘電特性をより向上することができるからである。
なお、熱可塑性エラストマーは、前記第1層および第2層の少なくとも一方に含まれればよいが、両方の層に含まれることが好ましい。これにより、耐クラック性をより向上することができる。
【0017】
前記第1層は、キャリアフィルム面に形成されるのが好ましく、前記第2層は、前記第1層の上に形成されるのが好ましい。
第1層と第2層の樹脂成分として異なるものを使用することもできるが、同じものを使用することが好ましい。これにより、製品の特性をより均一にすることができる。前記第1層の反応率は、特に限定されないが、前記第2層の反応率よりも高いことが好ましい。これにより、樹脂付き金属箔の成形性を特に向上することができる。前記反応率は、例えば、示差走査熱量計(DSC)によって求めることができる。
【0018】
前記第1層の厚さは、特に限定されないが10〜100μmが好ましく、特に20〜80μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特にキャリアフィルムに塗工乾燥後ロールに巻いた際、樹脂層のヒビ割れを防ぐことができる。
また、前記第2層の厚さは、特に限定されないが10〜100μmが好ましく、特に20〜80μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特にキャリアフィルムに塗工乾燥後ロールに巻いた際、樹脂層のヒビ割れを防ぐことができる。
【0019】
本発明のベンゾシクロブテン樹脂を含む層、およびベンゾシクロブテン樹脂および熱可塑性エラストマーを含む層は、本発明の目的に反しない範囲において、硬化促進剤、カップリング剤、難燃剤、フィラー、その他の成分を添加することは差し支えない。
【0020】
樹脂付きキャリアフィルムを、内層回路基板の片面または両面に重ね合わせて加熱、加圧後の樹脂層表面の厚さのバラツキは、2μm以内(±2μm)であり、特に1.5μm以内が好ましい。これにより、安定なインピーダンスを供給することができる。
前記樹脂層の厚さのバラツキが前記上限値を超えるとインピーダンスの安定性を向上する効果が低下する場合がある。
【0021】
前記ベンゾシクロブテン樹脂と熱可塑性エラストマーを含む層は、種々の方法で得ることができるが、通常各樹脂および添加剤を溶剤に溶解したワニスの形で使用することが製膜性の点で好ましい。用いられる溶媒は組成に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、ワニスを調製する場合、樹脂組成物の固形分は、特に限定されないが20〜90重量%が好ましく、特に30〜70重量%が好ましい。
【0022】
本発明では通常用いられる金属箔に変えて、キャリアフィルムを用いる。これにより、樹脂層の厚さバラツキを向上することができる。
また、前述したベンゾシクロブテン樹脂と、熱可塑性エラストマーを含む樹脂層を有することにより、絶縁樹脂の製膜性が向上し、特に耐クラック性を向上することができるものである。
前記キャリアフィルムを構成する樹脂としてはフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが好ましい。これにより、キャリアフィルムを塗工乾燥後の樹脂層から容易に取り除くことができる。
前記キャリアフィルムの厚さは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、特に20〜70μmが好ましい。
【0023】
本発明では、上述の樹脂等を溶剤に溶解して得られる樹脂ワニスを、キャリアフィルムに塗工させ、例えば80〜200℃で乾燥させることにより樹脂付きキャリアフィルムを得ることが出来る。また、上記作業を複数繰り返すことにより、前記第1層および第2層を形成することができる。
塗工、乾燥後の樹脂厚さは10〜100μmが好ましく、特に20〜80μmが好ましい。これにより、樹脂層の割れ発生が無く裁断時の粉落ちも少なくすることができる。
【0024】
次に、多層プリント回路板について説明する。
本発明の多層プリント回路板は、上記樹脂付きキャリアフィルムを内層回路板の片面又は両面に重ね合わせて加熱、加圧してなる多層プリント回路板である。前述の樹脂付きキャリアフィルムを内層回路板の片面又は両面に重ね合わせて加熱、加圧して積層板を得る。ここで、キャリアフィルムは、積層後に剥離または加熱、加圧前に剥離する。加熱する温度は、特に限定されないが、140〜240℃が好ましい。加圧する圧力は、特に限定されないが、10〜40kg/cm2が好ましい。
また、内層回路板は、例えば銅張積層版の両面に回路を形成し、黒化処理したものを挙げることができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
▲1▼樹脂ワニスの調製
ベンゾシクロブテン樹脂として、ジビニルシロキサン−ビスベンゾシクロブテン(プレポリマー化したもの。数平均分子量140,000、ダウケミカル社製サイクロテンXUR)100重量部、熱可塑性エラストマーとしてエポキシ化SBR樹脂(数平均分子量100,000、ダイセル化学工業(株)製エポフレンドA1005)10重量部をメシチレンに溶解して不揮発分濃度50重量%となるように樹脂ワニスを調製した。
【0026】
▲2▼樹脂付きキャリアフィルムの製造
上述の樹脂ワニスに部分架橋剤として1,2−ビス(アジドベンジル)エチレンを3重量部溶解させ調整したワニスを用いて、キャリアフィルム(厚さ50μm、PET)に樹脂ワニスを厚さ70μmで塗工し、150℃の乾燥機炉で10分、170℃の乾燥機炉で10分乾燥させ第1層目の樹脂層を形成し、引き続き、上述の樹脂ワニスに1,2−ビス(アジドベンジル)エチレンを0.5重量部溶解させ調整したワニスを用いて、第1層の樹脂層上に樹脂ワニスを厚さ70μmで塗工し、150℃の乾燥機炉で10分、170℃の乾燥機炉で10分乾燥させることで第2層を形成し、合計樹脂厚さ70μmの樹脂付きキャリアフィルムを作成した。
【0027】
▲3▼多層プリント回路板の製造
銅箔を両面に張った両面銅張積層板の銅箔表面を黒化処理(酸化銅形成)した後還元したものをコアとして、その両面に上述の樹脂付きキャリアフィルムを170℃、1時間、200℃、2時間加熱加圧接着し、熱硬化後表面のキャリアフィルムを取り除き、170℃、1時間、200℃、2時間加熱加圧接着することにより多層プリント回路板を製造した。
【0028】
(実施例2)
熱可塑性エラストマーの添加量を5重量部にした以外は、実施例1と同様にした。
【0029】
(実施例3)
熱可塑性エラストマーの添加量を12重量部とした以外は、実施例1と同様にした。
【0030】
(実施例4)
熱可塑性エラストマーの添加量を0.5重量部にした以外は、実施例1と同様にした。
【0031】
(実施例5)
熱可塑性エラストマーとしてポリブタジエン(日本石油化学社製、品番B−3000)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0033】
(比較例1)
熱可塑性エラストマーを添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。
【0034】
(比較例2)
樹脂付きキャリアフィルムの製造において、樹脂層を以下のように1層塗りとした以外は、実施例1と同様にした。
前述の第1層の樹脂ワニスに部分架橋剤として1,2−ビス(アジドベンジル)エチレンを3重量部溶解させ調整した樹脂ワニスを用いて、キャリアフィルム(厚さ50μm、PET)に樹脂ワニスを厚さ140μmで塗工し、150℃の乾燥機炉で10分、170℃の乾燥機炉で10分乾燥させ、樹脂厚さ70μmの樹脂付きキャリアフィルムを作成した。
【0035】
実施例および比較例で得られた多層プリント回路板について、以下の評価を行った。なお、各評価の方法を併せて示す。得られた結果を表1に示す。
(1)誘電率
誘電率は、空隙測定法によってA状態で測定した。
【0036】
(2)耐クラック性
耐クラック性は、液相冷熱試験(−65℃と125℃で30分間処理/300サイクル)で評価した。測定は、タバイエスペック製液槽冷熱衝撃装置TSB−2型、フロリナート液を用いた。
なお、クラックの有無は目視で判断した。各記号は以下の事項を示す。
◎:クラック全く発生せず。
○:クラック一部発生するが実用上問題なし。
△:クラックが一部発生し、実用不可。
×:クラック発生する。
【0037】
(3)成形性
成形性は、多層プリント回路板を作成後におけるボイドの発生の有無で評価した。なお、ボイドの有無は目視で判断した。各記号は以下の事項を表す。
◎:ボイド発生なし。
○:ボイド一部発生するが実用上問題なし。
△:ボイド一部発生し、実用上使用不可。
×:ボイド発生する。
【0038】
(4)厚さ精度
厚さ精度は、多層プリント回路板の断面を光学顕微鏡で観察した。各記号は以下の事項を示す。
◎:厚さのバラツキが15μm未満である。
○:厚さのバラツキが15〜20μmで一部有るが、実用上問題なし。
△:厚さのバラツキが20〜25μm一部有り、実用上使用不可。
×:厚さのバラツキが25μmを超え、実用上使用不可。
【0039】
(5)平面平滑性
平面平滑性は、実施例1〜5、及び比較例1で作製した樹脂付きキャリアフィルムを、内層回路基板の片面にプレス成形後の樹脂断面を光学顕微鏡で観察し、その樹脂層表面の厚さバラツキを測定した。
◎:樹脂層表面の厚さのバラツキが2μm未満である。
○:樹脂表面の厚さのバラツキが2〜5μmで一部有るが、実用上問題無し。
△:樹脂層表面の厚さのバラツキが6〜10μmで一部有り、実用上使用不可。
×:樹脂表面の厚さのバラツキが10μmを超え、実用上使用不可。
【0040】
(6)機械物性
機械物性は、多層プリント回路板の銅箔をエッチングにて除去したものの弾性率、引張強度、伸び率を測定した。弾性率、引張強度、伸び率は、引張モードで荷重フルスケール20kgf、速度5mm/min.で測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
表から明らかなように実施例1〜5は、誘電率、耐クラック性および平面平滑性に優れていた。
また、特定の層構成を有する樹脂付きキャリアを形成した場合、特に成形性および厚さ精度にも優れていた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、誘電特性、耐クラック性および平面平滑性に優れ樹脂付きキャリアフィルムおよび多層プリント配線板を得ることができる。
また、特定の樹脂層を有する樹脂付きキャリアとすれば、特に成形性および厚さ精度に優れた樹脂付きキャリアおよび多層プリント配線板を得ることができる。
Claims (8)
- ベンゾシクロブテン樹脂を含む第1層と、ベンゾシクロブテン樹脂を含む第2層とを有する樹脂層を有し、前記第1層または第2層の少なくとも一層が熱可塑性エラストマーを含み、かつ第2層に比べ、第1層の反応率が高い樹脂付きキャリアフィルムであって、前記樹脂付きキャリアフィルムを、内層回路基板の片面、または両面に重ね合わせて加熱、加圧後の樹脂層表面の厚さのバラツキが2μm以内であることを特徴とする樹脂付きキャリアフィルム。
- 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン−ポリブタジエンの共重合体である請求項1または2に記載の樹脂付きキャリアフィルム。
- 前記熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、10,000〜150,000である請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
- 前記熱可塑性エラストマーは、エポキシ基を有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
- 前記熱可塑性エラストマーの含有量は、ベンゾシクロブテン樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルム。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の樹脂付きキャリアフィルムを内層回路板の片面または両面に重ね合わせて加熱、加圧してなることを特徴とする多層プリント回路板。
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