JP4157241B2 - ジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体の製造方法 - Google Patents

ジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有用な有機製品の原料となるジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明で言うジクロロアセトキシプロパンとは、2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパン、1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパン、またはその両者の混合物を意味する。また、本発明で言うジクロロプロパノールとは、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、またはその両者の混合物を意味する。
【0003】
液相で、アリルアセテートと塩素を反応させてジクロロアセトキシプロパンを製造する方法は公知であり、例えばKhim.Prom.,No.5 277 〜280(1981)、Khim.Prom.,No.6 328 〜335(1982)、特公昭52−16091号公報等が挙げられる。
【0004】
これらの従来技術は、すべて液相での反応であり、触媒として金属ハロゲン化物等の金属塩を使用している。しかし、金属塩を触媒として使用することは、反応後に触媒の分離、回収が必要となる。また、金属塩が反応液に溶出し、その分離、回収等の問題も生じる。そこで、特公昭52−16091号公報においては、金属塩の溶出を抑制するために、これらの金属塩を担体に担持した担持型触媒も提案されているが、やはり担体上からの金属塩の溶出を抑制することは困難である。
【0005】
また、上記従来技術は、いずれも有機溶媒の存在下でアリルアセテートと塩素を反応させている。しかし、有機溶媒を使用することは、その回収工程が必要になることや回収時の有機溶媒の損失等の問題を生じる。
【0006】
さらに、アリルアセテートと塩素との反応によるジクロロアセトキシプロパンの製造は発熱反応であり、効率よくジクロロアセトキシプロパンを得るには、外部からの冷却等が必要であり、エネルギーの損失等の問題が生じる。
【0007】
そこで、塩素化工程に関するこれらの問題点を解決する方法の一つとして、アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させる方法が考えられる。しかし、気相での塩素付加の従来技術としては、エチレンと塩素との反応(例えば米国特許2099231号)等は知られているが、気相でアリルアセテートと塩素を反応させることによるジクロロアセトキシプロパンの製造方法は、いまだ報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明は、従来のジクロロアセトキシプロパンの製造方法である液相法の欠点、すなわち触媒の分離と回収工程の必要性、有機溶媒の使用による有機溶媒回収工程の必要性および有機溶媒回収時のロス、外部からの冷却に伴うエネルギーの損失等の問題を解決し、ジクロロアセトキシプロパンを工業的に一層有利に製造する方法を提供すること、およびこの方法を用いる事により、その誘導体、例えばジクロロプロパノール、エピクロロヒドリン等を、工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とするジクロロアセトキシプロパンの製造方法がその目的に適合することを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とするジクロロアセトキシプロパンの製造方法である。
【0010】
また本発明は、気相でアリルアセテートと塩素を反応させてジクロロアセトキシプロパンを効率的に製造し、次いでその誘導体を効率的に製造する方法、例えば得られたジクロロアセトキシプロパンからジクロロプロパノールを効率的に製造する方法、更にはエピクロロヒドリンを効率的に製造する方法である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるアリルアセテートとしては、市販、または、工業的に入手できるものなら何でもよく、特に制限はない。また、本発明で用いる塩素としては、市販、または、工業的に入手できるものなら何でもよく、特に制限はない。
【0012】
本発明のジクロロアセトキシプロパンの製造に用いる触媒としては、長周期律表16族元素であり、そのなかでもTeが好適に用いられる。
【0013】
また、金属化合物の具体例としては、上記金属のハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、オキシハロゲン化物、塩基性炭酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、及び有機金属錯体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ハロゲン化物または酸化物が適している。
【0014】
さらに、上記ハロゲン化物、オキシハロゲン化物のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。中でも塩素が適している。
【0015】
本発明の触媒は、公知のいかなる形態で使用することも可能であり、特に制限はない。好ましくは担持型、共沈型、イオン交換型、より好ましくは長周期律表16族の元素を担体に担持した、担持型が適している。
【0016】
本発明の触媒に使用される、長周期律表16族の元素の濃度は、質量%で、触媒全体に対して、0.01質量%〜100質量%、好ましくは、0.1質量%〜50質量%が適している。
【0017】
触媒を担持型とした場合の担体の具体例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ニオビア、シリカ、マグネシア等の単独酸化物、シリカアルミナ等の複合酸化物、ゼオライト、ヘテロポリ酸、活性炭、または、ポリマー等が挙げられるが、特に制限はない。
【0018】
本発明の担持型触媒は、すでに公知の方法、例えば、担体に金属化合物を含浸する方法等で調製できる。具体的には、金属化合物を担持させる場合は、まず、金属化合物を担体が吸収することのできる量の、適当な溶媒、例えば水、アルコール、塩酸、アンモニア水等に溶解させる。次に、この溶液に適当な粒径の担体を加え、含浸させた後、乾燥させる。乾燥は、常圧下、または減圧下において可能である。例えば、減圧下に乾燥させる場合は、20℃〜300℃で真空乾燥器等により、乾燥させることが可能である。この乾燥は、触媒が恒量になるまで行うのが好ましい。
【0019】
上記の乾燥した担持型触媒は、そのまま反応に使用することも可能である。また、焼成して使用することも可能である。焼成の雰囲気としては、窒素、炭酸ガス、空気、酸素、水素等が挙げられるが、その目的にあったものであれば何でもよく、特に制限はない。
【0020】
また、長周期律表16族の元素を含む触媒の調製方法としては、公知のいかなる方法で行うことも可能である。例えば、長周期律表16族の元素を含む触媒を、水素、パラフィン、オレフィン等の還元剤を含む雰囲気で焼成して還元することによっても調製できるが、これに限定されるものではない。
【0021】
焼成温度には、特に制限はない。好ましくは、反応温度よりも高い温度が適している。また、焼成時間には、特に制限はない。好ましくは、触媒が恒量になるまで行うことが適している。
【0022】
本発明の触媒の形状は、タブレット、リング、球、微少球、押し出し品等、いずれでもよく特に制限はない。成形法は、圧縮成形、押し出し成形、噴霧乾燥造粒等、公知のいずれの方法で行うことも可能である。さらに、本発明の触媒は、不活性な充填剤と混合して使用することも可能である。
【0023】
本発明の充填剤としては、不活性な固体物質であれば特に制限はなく、例えば、ガラスビーズ、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の反応を行った場合、外部温度が一定であっても触媒層の一部で反応が起こること等により、局部的な発熱による局部的な温度上昇が認められる場合がある。この結果、副生物の増加および触媒寿命の短縮等の問題が生じてくる可能性がある。この様な場合に、触媒を上記充填剤と混合して希釈することにより、局部的発熱を抑制することが可能となる。
【0025】
触媒と充填剤の混合の方法としては、均一に混合する方法や反応ガスの流動方向に対して、触媒と充填剤の混合比を変える方法等、公知のいかなる方法によって行うことができ、これらに限定されるものではない。
【0026】
また、上記充填剤の形状としては、タブレット、リング、球、微少球、押し出し品等、いずれでもよく特に制限はない。また、触媒と同じ形状でも違う形状でもよく、特に制限はない。
【0027】
本発明においては、生成するジクロロアセトキシプロパン(2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパン(沸点191〜192℃/100.7kPa)、1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパン(沸点195℃/101.3kPa))が気体状態であるような条件が、気相反応を円滑に行うために好ましい。そして、反応成績、反応熱の除熱、反応後の生成物と原料の分離および実施形態を考えると、希釈剤を添加することが、より好ましい。
【0028】
希釈剤としては、ジクロロアセトキシプロパンの製造を阻害しなければ、特に制限はない。好ましくは、不活性ガスが適している。不活性ガスとしては、特に制限はなく、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは窒素が適している。本発明のジクロロアセトキシプロパンの製造に使用する原料ガスの組成は、アリルアセテートが0.01モル%〜99.99モル%、塩素が0.0001モル%〜60モル%、希釈剤が0モル%〜99.99モル%からなる組成の、任意の範囲から選ぶことが好ましい。
【0029】
上記原料ガスの組成は、生成するジクロロアセトキシプロパンが気体状態を保てるように設定することが、気相反応を円滑に行うために好ましい。すなわち、生成するジクロロアセトキシプロパンの分圧が、反応温度でのジクロロアセトキシプロパンの飽和蒸気圧よりも低くなるように、原料ガスの組成を設定することが好ましい。
【0030】
本発明の塩素とアリルアセテートとのモル比は、塩素/アリルアセテート=0.001〜1.5、好ましくは0.01〜1.0が適している。塩素/アリルアセテートのモル比が、1.5より大きいと、過剰の塩素による置換反応等の副反応が起きたり、多くの未反応塩素の回収が必要となる問題が生じてくる可能性がある。また、塩素/アリルアセテートのモル比が、0.001より小さいと、大量のアリルアセテートの回収が必要になる等の問題が生じてくる可能性がある。本発明の希釈剤と塩素とのモル比は、希釈剤/塩素=0〜2000、好ましくは0〜1000が適しているが、これに限定されるものではない。また、本発明のジクロロアセトキシプロパンの製造に使用する原料ガスの空間速度は、100hr−1〜12000hr−1、好ましくは、300hr−1〜8000hr−1が適しているが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明の方法において、ジクロロアセトキシプロパンを製造する際の反応温度は、70℃〜300℃、好ましくは、80℃〜250℃が適している。反応温度が300℃より高いと、塩素による置換反応生成物の増加及び高沸点化合物の副生または蓄積による触媒寿命の短縮等の問題が生じてくる可能性がある。一方、反応温度が70℃より低いと、気相状態を保つ為の希釈剤の使用量の増加による大量の希釈剤のリサイクルの必要性や、生産性低下をまねいたり、安定した気相での反応が困難になる等の問題が生じてくる可能性がある。
【0032】
アリルアセテートと塩素との反応に伴い発生する熱は、温水または熱媒により系外に排出することにより、反応温度を一定範囲に保つことが可能である。また、温水または熱媒により取り出された熱を他の設備の熱源として利用することが可能であり、有益である。
【0033】
本発明の方法において、ジクロロアセトキシプロパンを製造する際の圧力は、10kPa〜1000kPa、好ましくは、50kPa〜500kPaが適している。反応圧力が10kPaより低くても、1000kPaより高くても工業的に実施が困難であり、好ましくない。
【0034】
本発明を実施する、アリルアセテートと塩素の気相反応の反応方式としては、公知のいずれの方式で行うことも可能であり、特に制限はされない。好ましくは、連続流通方式が適している。
【0035】
本発明の反応器の形態としては、特に制限はされない。好ましくは、固定床反応器または流動床反応器等が適している。
【0036】
また、本発明の原料ガスの反応器への導入方法は、公知のいずれの方法で行うことも可能であり、特に制限はされない。例えば、アリルアセテートは、予め気化器で気化させてから導入する方法が可能である。また、塩素の導入方法は、予めアリルアセテートと併せて反応器に導入する方法でも、別々に反応基に導入する等のいかなる方法でも可能である。例えば、スタティックミキサー(化学装置、5月号、74〜78(1994))で、予めアリルアセテートと塩素を混合してから、触媒へと導入する方法等のように、アリルアセテートと塩素が、触媒上で効率よく接触するように導入する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明の希釈剤を添加する形式としては、アリルアセテートに添加する形式でも、塩素のみに添加する形式でも、または、アリルアセテートおよび塩素の両方を添加する等の形式でも、特に制限はなく、公知のいかなる方法で行うことも可能である。
【0038】
上記反応器で生成したジクロロアセトキプロパンを含むガスから、ジクロロアセトキシプロパンを捕集する方法は、公知のいかなる方法によっても行うことが可能である。例えば、反応器出口を冷却することにより、気体成分と生成物であるジクロロアセトキシプロパンを含む液体成分を分離することが可能である。このジクロロアセトキシプロパンを含む液体成分を蒸留、精製することにより、ジクロロアセトキシプロパンを得ることが可能となる。
【0039】
また、希釈剤として不活性ガスを使用した場合は、ジクロロアセトキシプロパンを分離した不活性ガスをそのまま循環して、あるいは精製して再使用することが可能である。アリルアセテートを塩素に対して過剰に用いた場合には、冷却温度により液体成分中にアリルアセテートの未反応分が含まれるが、これは蒸留によりジクロロアセトキシプロパンと分離し、再使用することが可能である。また、冷却温度を高く設定し、目的物であるジクロロアセトキシプロパンのみを凝縮させ、未反応アリルアセテートは、気体状態でそのまま循環して、あるいは、精製して再使用することが可能である。
【0040】
なお、本発明により製造されるジクロロアセトキシプロパンは、2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパンと1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパンの混合物である。製造されたジクロロアセトキシプロパンの組成比は、モル%で、2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパンは5モル%〜100モル%、1,3ジクロロ−1−アセトキシプロパンは、0モル%〜95モル%の範囲である。この2種の異性体は、公知の方法で分離可能であり、精留等により分離が可能であるが、分離の方法としては、これに限定されるものではない。
【0041】
また、ジクロロアセトキシプロパンの用途によっては、例えばその誘導体、例えばジクロロプロパノールやエピクロロヒドリンの製造に用いる場合には、2種の異性体を分離することなく、前記反応により得られたジクロロアセトキシプロパンを次工程原料として用いることができる。
【0042】
次に、本発明により製造されるジクロロアセトキシプロパンを用いた、ジクロロプロパノール及びエピクロロヒドリンの製造方法について説明する。ジクロロプロパノール、エピクロロヒドリンは、各種化合物製造用原料、溶剤、エポキシ樹脂原料、合成ゴム原料、あるいは塩素化ゴム安定剤等として有用な化合物である。
【0043】
ジクロロプロパノールの製造方法は、以下の第1工程〜第2工程からなり、エピクロロヒドリンの製造方法は、以下の第1工程〜第3工程からなる。
第1工程
アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジクロロアセトキシプロパンを製造する工程。
第2工程
第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水分解、または加アルコール分解により、ジクロロプロパノールを製造する工程。
第3工程
第2工程で得られたジクロロプロパノールの脱塩化水素により、エピクロロヒドリンを製造する工程。
【0044】
第1工程については、前記のジクロロアセトキシプロパンの製造方法において詳述した。以下、第2工程、第3工程について、より詳しく説明する。
【0045】
第2工程は、本発明により製造したジクロロアセトキシプロパンを加水分解、または加アルコール分解することにより、ジクロロプロパノールを製造する工程である。
【0046】
上記ジクロロアセトキシプロパンの加水分解または加アルコール分解は、公知の方法で行うことができ、特に制限はされない。例えば、好ましくはKhim.Prom.,No.6 328 〜335(1982)記載の方法を例示することができ、ジクロロアセトキシプロパンの加水分解または加アルコール分解を塩酸、硫酸、陽イオン交換樹脂等の酸触媒等により行い、ジクロロプロパノールを製造することができる。
【0047】
加水分解の際の水とジクロロアセトキシプロパンのモル比は、水/ジクロロアセトキシプロパン=0.5〜20.0の範囲であり、好ましくは1.0〜10.0が適している。
【0048】
加アルコール分解の際のアルコールとジクロロアセトキシプロパンのモル比は、アルコール/ジクロロアセトキシプロパン=0.5〜20の範囲であり、好ましくは1.0〜10が適している。
【0049】
また、加アルコール分解に用いるアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等のアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましくは、アリルアルコールが適している。
【0050】
加アルコール分解にアリルアルコールを使用すると、ジクロロプロパノールと共にアリルアセテートが生成する。このジクロロプルロパノールは第3工程でエピクロロヒドリンに転換することが出来る。一方、アリルアセテートは、第1工程へ戻し、ジクロロアセトキシプロパンの原料としての使用が可能である。アリルアルコール以外のアルコールを加アルコール分解に使用するとジクロロプロパノール或いはエピクロロヒドリンと同時に併産される酢酸エステルとの需給バランス等が問題になる恐れがある。例えば、ブタノールを使用するとジクロロプロパノール或いはエピクロロヒドリンと酢酸ブチルとの需給バランス等が問題になるが、アリルアルコールを使用することでこれらの問題を避けることが可能になる。
【0051】
本発明の加アルコール分解に用いるアリルアルコールとしては、無水アリルアルコールまたは含水アリルアルコールのいづれでもよく、特に制限はない。
【0052】
含水アリルアルコールによる加アルコール分解の場合には、生成したアリルアセテートは、アリルアセテート、未反応アリルアルコールおよび水と数種の共沸成分を形成する。また、含水アリルアルコール中の水により、ジクロロアセトキシプロパンの加水分解が起こり、酢酸も生成する。アリルアセテート、未反応アリルアルコール、水および酢酸は、蒸留により、反応系からの軽沸点成分として、ジクロロプロパノールおよび未反応ジクロロアセトキシプロパンから分離することが可能である。そして、軽沸点成分からのアリルアセテート、含水アリルアルコールおよび酢酸の分離・精製は、公知のいかなる方法で行うこともできる。例えば、特公平1−20137号公報記載の蒸留および2相分離等によって、分離・精製できる。分離・精製されたアリルアセテートは、第1工程へ、含水アリルアルコールおよび酢酸は第2工程へと戻すことができる。
【0053】
第2工程の反応温度には、特に制限はない。好ましくは40℃〜200℃の範囲であり、より好ましくは、60℃〜180℃が適している。
【0054】
第2工程の反応形式は、公知のいかなる形式で行うことも可能である。具体的には好ましくは回分式、半連続式、連続式等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
また、第2工程により製造したジクロロプロパノールの分離・精製は、公知のいかなる方法で行うことも可能である。例えば、好ましくは特公平7−25711号公報記載の方法と同様、蒸留により行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
第3工程は、上記第2工程で得たジクロロプロパノールを、脱塩化水素することにより、エピクロロヒドリンを製造する工程である。
この第3工程は、公知のいかなる方法で行うことことも可能である。例えば、好ましくは特開昭60−258172号公報記載の方法等と同様、ジクロロプロパノールをアルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液と反応させて、エピクロロヒドリンを製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
第3工程に使用されるアルカリ性化合物には、特に制限はない。例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液または懸濁液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
上記アルカリ性化合物の使用量に、特に制限はない。好ましくは、ジクロロプロパノール1モルについて、アルカリ性化合物を1.0〜1.5当量、より好ましくは1.03〜1.3当量が用いられる。
【0059】
また、第3工程の反応形式は、公知のいずれの方法で行うことも可能である。例えば、好ましくは
(1)棚段の蒸留塔上部から原料のジクロロプロパノールおよびアルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液を供給し、下部からスチームを吹き込んで反応により生成したエピクロロヒドリンを水と共沸(沸点88℃)させながらストリッピングする方法。この方法では、スチーム以外に窒素などの不活性ガスを同伴させてストリッピングの効果を高めることができる。
(2)液相中でジクロロプロパノールまたはその水溶液と、アルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液を混合し、撹拌しながら反応させる方法。
(3)水に本質的に不溶性の不活性溶媒を共存させて、生成したエピクロロヒドリンを溶媒中に抽出させながら反応させる方法。
等が挙げられる。
【0060】
(2)、(3)の方法については、反応はバッチ式で行っても、連続式で行ってもよい。更に連続式の場合には、混合槽型反応、塔型反応器による流通式反応等が可能である。塔型反応器による流通式反応の場合には、ジクロロプロパノールまたはその溶液と、アルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液とを並流で流しても良いし、向流で接触させながら反応させても良い。(2)、(3)の反応は、いずれか一方の方法によりある程度反応させた後、他の方法で更に反応を進める等の組み合わせも可能である。
【0061】
第3工程により生成するエピクロロヒドリンをストリッピングする場合に使用するスチーム量は、塔頂留出組成が、重量比で水/エピクロロヒドリン=0.5〜3.5、好ましくは1.0〜2.5が適している。スチーム量が、多いほどエピクロロヒドリンの選択率は、向上するが、多すぎるとスチーム原単位が悪くなるので、実際の使用量には限度がある。また、スチーム量が少なすぎると、ストリッピング効果が悪くなり、エピクロロヒドリンの選択率が低下する恐れがある。
【0062】
第3工程の反応温度には、特に制限はない。好ましくは40℃〜110℃、より好ましくは60℃〜100℃が適してる。反応温度が低い方が、エピクロロヒドリンの選択率は高くなるが、反応速度が小さくなるので反応時間が長くなる。また、第3工程の反応圧力には、特に制限はない。好ましくは10kPa〜200kPaが適している。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(触媒調製法1)
化合物2.25gをメタノール18gに溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添加し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3時間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で3時間焼成することにより得た触媒を化合物(5質量%)/担体(95質量%)とした。
(触媒調製法2)
化合物A2.25gと化合物A2.25gに対して1モル等量の化合物Bをメタノール18gに溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添加し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3時間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で3時間焼成することにより得た触媒を化合物A+化合物B/担体とした。
(触媒調製法3)
化合物A2.25gと化合物A2.25gに対して1モル等量の化合物B、化合物A2.25gに対して0.5モル等量の化合物Cをメタノール18gに溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添加し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3時間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で3時間焼成することにより得た触媒を化合物A+化合物B+化合物C/担体とした。
(実施例1)
化合物をTeCl4 、担体をAl23 (粒径1.6mm)として触媒調製法1により触媒を調製した。
【0064】
触媒16mlを温度測定用ガラス細管を備えた内径14mm、長さ15cmの直立ガラス製の反応器に充填した。
【0065】
上記反応器を熱媒で140℃に加熱し、圧力を101kPaとして、塩素1.3モル%、アリルアセテート3.3モル%、窒素95.4モル%からなる原料ガスを空間速度4131h-1で反応器に導入し、反応させた。アリルアセテートは、140℃に設定した気化器を通じて、予め気化させた。
【0066】
そして、反応器出口を冷却し凝縮した留出物を捕集した。この留出物をガスクロマトグラフィーにて分析し、ジクロロアセトキシプロパンの収率(原料塩素基準)とその組成比(モル%)を求めた。また、反応器の触媒層の最高温度を反応温度として測定した。この結果を表1に示す。尚、表中、ジクロロアセトキシプロパンは、DCAP、2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパンは、2,3−体、1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパンは、1,3−体と記した。
(実施例2)
化合物AをZnCl2、化合物BをTeCl4、担体をAl23(粒径1.6mm)とし、触媒調製法2により調製した触媒を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
化合物AをZnCl2、化合物BをMgCl2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
化合物AをZnCl2、化合物BをMgCl2、化合物CをTeCl4、担体をZrO2(粒径0.5〜2.0mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004157241
(実施例5)
化合物AをZnCl2、化合物BをMgCl2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒を反応器に充填し、塩素4.8モル%、アリルアセテート5.3モル%、窒素89.9モル%からなる原料ガスを、空間速度1137h-1 で反応器に導入した以外は、実施例3と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
化合物AをZnCl2、化合物BをMgCl2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒5.3mlと充填剤としてガラス玉(粒径 0.99〜1.4 mm)10.7mlをできるだけ均一になるように混合し、反応器に充填し、塩素4.8モル%、アリルアセテート5.3モル%、窒素89.9モル%からなる原料ガスを、触媒と充填剤(計16ml)に対して、空間速度1137h-1 で反応器に導入した以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
充填剤として炭化ケイ素(粒径 2.0mm)10.7mlを使用した以外は、実施例6と同様に反応を行った。反応結果を表2に示す。
(実施例8)
触媒を反応器に充填せずに、実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0004157241
(実施例9)
ジクロロプロパノールの製造:ジクロロアセトキシプロパンの加水分解によるジクロロプロパノールの製造
実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン500g(2.92モル)、水158g(8.77モル)、35質量%塩酸9.3gとをガラス製反応器に仕込み、常圧で90℃で5時間加熱した。この反応液を蒸留塔で蒸留して水とジクロロプロパノールの共沸成分、水及び酢酸を塔頂から留出させ、塔底からジクロロプロパノールを含む塔底液を回収した。この塔底液を更に蒸留して、ジクロロプロパノール268g(2.08モル)を得た。ジクロロプロパノールの収率は71.1%であり、その組成比は2,3−ジクロロ−1−プロパノール73.5モル%、1,3−ジクロロ−2−プロパノール26.5モル%であった。
(実施例10)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロアセトキシプロパンのn−ブタノールを用いた加アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造
実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン500g(2.92モル)、n−ブタノール650g(8.77モル)、35質量%塩酸9.3gとをガラス製反応器に仕込み、常圧で90℃で5時間加熱した。この反応液を蒸留塔で蒸留して、ジクロロプロパノール343g(2.66モル)を得た。ジクロロプロパノールの収率は91.0%であり、その組成比は2,3−ジクロロ−1−プロパノール75.0モル%、1,3−ジクロロ−2−プロパノール25.0モル%であった。
(実施例11)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロアセトキシプロパンの70質量%アリルアルコール水溶液を用いた加アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造
実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン75.0g、アリルアルコール(市販品)50.9g、水21.8g(70質量%アリルアルコール水溶液に相当。アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル比=2.0)、および触媒として35質量%塩酸1.39gをジムロート冷却管を備えたフラスコに仕込み、攪拌しながら、105℃に加熱して還流させ、3時間反応を行った。反応後の反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。生成物組成は未反応ジクロロアセトキシプロパン5.3g、生成ジクロロプロパノール52.3g、生成アリルアセテート24.2g、未反応アリルアルコール35.7g、水22.8gであった。また、アリルアセテートの加水分解による酢酸7.0gの生成が認められた。この結果より、ジクロロアセトキシプロパンの転化率は92.9%、ジクロロプロパノールの収率は92.5%、選択率は99.5%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であり、また、アリルアセテートの収率は55.1%、選択率は59.3%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であった。
(実施例12)
アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル比を1.0とした以外は、実施例11と同様の反応を行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析結果より、ジクロロアセトキシプロパンの転化率は84.1%、ジクロロプロパノールの収率は82.5%、選択率は98.1%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であった。
(実施例13)
触媒を濃硫酸とした以外は実施例12と同様に行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグラフィー分析結果より、ジクロロアセトキシプロパンの転化率は83.5%、ジクロロプロパノールの収率は81.9%、選択率は98.1%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であった。
(実施例14)
ジクロロプロパノールの製造:ジクロロアセトキシプロパンの無水アリルアルコールを用いた加アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造
無水アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル比、1.0で加アルコール分解反応を下記の様に行った。
【0069】
実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン40.0g、無水アリルアルコール13.6gおよび触媒として粒径0.42〜0.57mmの粒状の陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−118(H)型)15mlをジムロート冷却管を備えたフラスコに仕込み、攪拌しながら、80℃に加熱し、3時間反応を行った。反応液のガスクロマトグラフィー分析結果より、未反応ジクロロアセトキシプロパン12.3g、生成ジクロロプロパノール20.6g、生成アリルアセテート16.0g、未反応アリルアルコール3.9gであった。反応系が無水のため、酢酸の生成は認められなかった。この結果より、ジクロロアセトキシプロパンの転化率は69.3%、ジクロロプロパノール収率は68.3%、選択率は98.7%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であり、またアリルアセテート収率は68.2%、選択率は98.6%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であった。
(実施例15)
ジクロロプロパノールの製造:ジクロロアセトキシプロパンの70質量%アリルアルコール水溶液を用いた連続的加アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造
アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル比=1.0での固定床式連続加アルコール分解反応を下記の様に行った。
陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−118(H)型)10mlを内径、14mm、長さ15cm、容量約18mlの上部側管付き直立ガラス管に充填し、該当管を油浴を用いて85℃に加熱する。なお、反応器出口は油浴外に出る様に設置する。1時間当たり、70質量%アリルアルコール水溶液3.27g、実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン6.73gを定量ポンプで、上記反応器の上部側管より導入する。反応器出口にテフロンチューブを接続し、流出反応液を受け器のフラスコ中に導く。この際、テフロンチューブ先端部の高さが反応管中の液面の高さと同じになる様に設定し、反応管液面を一定に保つ様にする。
【0070】
受け器の反応液を1時間毎にガスクロマトグラフィーで経時的に分析した。定常状態での1時間当たりの流出液重量は9.96gで、組成は未反応ジクロロアセトキシプロパン1.36g、生成ジクロロプロパノール3.76gであった。この結果より、ジクロロアセトキシプロパン転化率は84.3%、ジクロロプロパノール収率は74.1%、選択率は92.8%(原料ジクロロアセトキシプロパン基準)であった。
(実施例16)
ジクロロプロパノールの製造:70質量%アリルアルコール水溶液を用いた加アルコール分解反応液の蒸留
実施例15をスケールアップして得られた反応液の蒸留を以下のように行った。滴下流量調節コック付き、還流冷却装置付き分留塔を備えた500mlの三つ口フラスコに実施例15をスケールアップして得られた反応液300gを仕込み、全還流状態で減圧蒸留を行った。
【0071】
蒸留は、2.4〜22kPaの減圧下で塔頂から低沸点成分を抜き出し、これが留出しなくなった時点で終了した。
【0072】
この低沸点成分と高沸点成分(フラスコ残留液)について、ガスクロマトグラフィーおよびカールフィッシャー水分計で分析した。低沸点成分はアリルアセテート、アリルアルコール、水および酢酸が主で、ジクロロプロパノールおよびジクロロアセトキシプロパンは微量であった。
【0073】
一方、残留液はジクロロプロパノールと未反応ジクロロアセトキシプロパンが主であり、両成分を併せると残留液の99.5質量%であった。
(実施例17)
ジクロロプロパノールの製造:無水アリルアルコールを用いた加アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造およびその分離
実施例14をスケールアップし、触媒の陽イオン交換樹脂を濾別した後、反応液からのジクロロプロパノールの分離を以下の様に行った。
【0074】
実施例14とほぼ同じ組成の反応液2000gを実施例16と同様の装置を用い、減圧下、塔頂から低沸点成分を抜き出した。低沸点成分は726.0gの均一溶液であり、残留液(高沸点成分)は1233.4gであった。尚、回収率は98.0%であった。
【0075】
この両成分について、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、低沸点成分は、極く微量のジクロロプロパノールを含むアリルアセテートおよび未反応のアリルアルコールであった。
【0076】
一方、残留液(高沸点成分)は極く微量のアリルアセテートを含むジクロロプロパノールおよび未反応のジクロロアセトキシプロパンであった。
得られた低沸点成分684.0gをオルダーショウ型蒸留装置を用いて、常圧下に蒸留を行った。塔頂からの低沸点成分は、240.1gのアリルアセテートとアリルアルコールの共沸成分であった。これは第2工程(ジクロロプロパノール製造工程)へ戻す。一方、低沸点成分の残留液は436.0gのアリルアセテートであった。これは第1工程(ジクロロアセトキシプロパン製造工程)へ戻す。尚、回収率は、98.8%であった。
【0077】
更に高沸点成分の残留液1110.0gをオルダーショウ型蒸留装置を用いて13.3kPaの減圧下に蒸留を行った。
留出液は極く微量のアリルアセテートを含むジクロロプロパノール687.5gであった。これは第3工程(エピクロロヒドリン製造工程)へ送る。一方、残留液は410.0gの未反応のジクロロアセトキシプロパンであった。これは、第1工程(ジクロロアセトキシプロパン製造工程)へ戻す。尚、回収率は98.9%であった。
(実施例18)
エピクロロヒドリンの製造
ジクロロプロパノールの脱塩化水素反応と生成するエピクロロヒドリンを直ちに反応液から分離するストリッピングを行う脱塩化水素塔として次のものを使用した。脱塩化水素塔本体は、内径55mmφ、高さ1500mmのガラス製で、径1mmの穴280個を有する多孔板が100mm間隔に10段あり、各々多孔板は深さ5mmのダウンカマーを有する。最下段の下側にはスチーム吹き込みノズルがあり、流量計を通して一定量のスチームがフィードできる。最上段の上側には液フィードノズルがあり、ジクロロプロパノールとアルカリの水溶液をフィードする。ジクロロプロパノール溶液とアルカリ水溶液とは、定量ポンプで送給し、液フィードノズルの直前で混合される。塔頂からは、冷却器を通して留出液を捕集する。塔底には、500mlの丸底フラスコがとりつけてあり、定量ポンプにて、塔底液が40mlとなるよう一定量抜き出す。
上記装置を使用して、実施例17と同様に得たジクロロプロパノール83g/h、9.5質量%Ca(OH)2スラリー水溶液323g/hを液フィードノズルより供給しながら、スチーム吹き込みノズルよりスチームを吹き込んだ。供給中のジクロロプロパノ−ル濃度は、20質量%である。塔底から廃液を抜き出しながら、約2時間連続運転し、反応系を安定化した。この1時間後に塔頂留出液と塔底液をサンプリングして、組成を分析した結果、ジクロロプロパノールの転化率は90.1%、エピクロロヒドリンの選択率は、98.0%であった。尚、塔中段の温度は99℃であった。
(実施例19)
エピクロロヒドリンの製造
実施例9と同様に得たジクロロプロパノールを使用した以外は、実施例17と同様に反応を行った。結果は、ジクロロプロパノールの転化率は90.8%、エピクロロヒドリンの選択率は、97.7%であった。

Claims (9)

  1. アリルアセテートと塩素を、テルルを含む触媒の存在下、または無触媒で、気相反応させることを特徴とするジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  2. アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させる際に、希釈剤を添加することを特徴とする、請求項1に記載のジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  3. 反応温度が70℃〜300℃の範囲で、アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とする、請求項1または 2に記載のジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  4. 反応圧力10kPa〜1000kPaの範囲で、アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  5. 塩素とアリルアセテートのモル比が、塩素/アリルアセテート=0.001〜1.5の範囲で、アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  6. 以下の第1工程〜第2工程を含むことを特徴とするジクロロプロパノールの製造方法。
    第1工程アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジクロロアセトキシプロパンを製造する工程。
    第2工程第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水分解、または加アルコール分解によりジクロロプロパノールを製造する工程。
  7. 第2工程で加アルコール分解に用いるアルコールが、アリルアルコールであることを特徴とする請求項6に記載のジクロロプロパノールの製造方法。
  8. 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とするエピクロロヒドリンの製造方法。
    第1工程アリルアセテートと塩素をテルルを含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジクロロアセトキシプロパンを製造する工程。
    第2工程第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水分解、または加アルコール分解によりジクロロプロパノールを製造する工程。
    第3工程第2工程で得られたジクロロプロパノールの脱塩化水素により、エピクロロヒドリンを製造する工程。
  9. 第2工程で加アルコール分解に用いるアルコールが、アリルアルコールであることを特徴とする請求項8に記載のエピクロロヒドリンの製造方法。
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