JP2001122829A - ジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体の製造方法 - Google Patents

ジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体の製造方法

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JP2001122829A JP30069199A JP30069199A JP2001122829A JP 2001122829 A JP2001122829 A JP 2001122829A JP 30069199 A JP30069199 A JP 30069199A JP 30069199 A JP30069199 A JP 30069199A JP 2001122829 A JP2001122829 A JP 2001122829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の液相反応の問題点である触媒の分離、回
収工程の必要性、冷却に伴うエネルギーの損失、有機溶
媒回収工程の必要性および回収による有機溶媒のロス等
の問題がないジクロロアセトキシプロパン及びその誘導
体であるジクロロプロパノール、エピクロロヒドリンの
新規な製造方法を提供すること。 【解決手段】長周期律表15族の元素を含む触媒の存在
下もしくは無触媒で、アリルアセテートと塩素を気相反
応させることにより、効率よくジクロロアセトキシプロ
パンを製造し、またこの方法を第1工程として、その誘
導体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有用な有機製品の
原料となるジクロロアセトキシプロパン及びその誘導体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明で言うジクロロアセトキシプロパ
ンとは、2,3−ジクロロ−1−アセトキシプロパン、
1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパン、またはそ
の両者の混合物を意味する。また、本発明で言うジクロ
ロプロパノールとは、2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、またはそ
の両者の混合物を意味する。
【0003】液相で、アリルアセテートと塩素を反応さ
せてジクロロアセトキシプロパンを製造する方法は公知
であり、例えばKhim.Prom.,No.5 27
7〜280(1981)、Khim.Prom.,N
o.6 328 〜335(1982)、特公昭52−
16091号公報等が挙げられる。
【0004】これらの従来技術は、すべて液相での反応
であり、触媒として金属ハロゲン化物等の金属塩を使用
している。しかし、金属塩を触媒として使用すること
は、反応後に触媒の分離、回収が必要となる。また、金
属塩が反応液に溶出し、その分離、回収等の問題も生じ
る。そこで、特公昭52−16091号公報において
は、金属塩の溶出を抑制するために、これらの金属塩を
担体に担持した担持型触媒も提案されているが、やはり
担体上からの金属塩の溶出を抑制することは困難であ
る。
【0005】また、上記従来技術は、いずれも有機溶媒
の存在下でアリルアセテートと塩素を反応させている。
しかし、有機溶媒を使用することは、その回収工程が必
要になることや回収時の有機溶媒の損失等の問題を生じ
る。
【0006】さらに、アリルアセテートと塩素との反応
によるジクロロアセトキシプロパンの製造は発熱反応で
あり、効率よくジクロロアセトキシプロパンを得るに
は、外部からの冷却等が必要であり、エネルギーの損失
等の問題が生じる。
【0007】そこで、塩素化工程に関するこれらの問題
点を解決する方法の一つとして、アリルアセテートと塩
素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしく
は無触媒で、気相反応させる方法が考えられる。しか
し、気相での塩素付加の従来技術としては、エチレンと
塩素との反応(例えば米国特許2099231号)等は
知られているが、気相でアリルアセテートと塩素を反応
させることによるジクロロアセトキシプロパンの製造方
法は、いまだ報告されていない。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、従来の
ジクロロアセトキシプロパンの製造方法である液相法の
欠点、すなわち触媒の分離と回収工程の必要性、有機溶
媒の使用による有機溶媒回収工程の必要性および有機溶
媒回収時のロス、外部からの冷却に伴うエネルギーの損
失等の問題を解決し、ジクロロアセトキシプロパンを工
業的に一層有利に製造する方法を提供すること、および
この方法を用いる事により、その誘導体、例えばジクロ
ロプロパノール、エピクロロヒドリン等を、工業的に有
利に製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、アリルアセ
テートと塩素を長周期律表16族の元素を含む触媒の存
在下もしくは無触媒で、気相反応させることを特徴とす
るジクロロアセトキシプロパンの製造方法がその目的に
適合することを見いだし、本発明を完成させるに至っ
た。すなわち、本発明は、アリルアセテートと塩素を長
周期律表16族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触
媒で、気相反応させることを特徴とするジクロロアセト
キシプロパンの製造方法である。
【0010】また本発明は、気相でアリルアセテートと
塩素を反応させてジクロロアセトキシプロパンを効率的
に製造し、次いでその誘導体を効率的に製造する方法、
例えば得られたジクロロアセトキシプロパンからジクロ
ロプロパノールを効率的に製造する方法、更にはエピク
ロロヒドリンを効率的に製造する方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるアリルアセテートとしては、市販、または、工業
的に入手できるものなら何でもよく、特に制限はない。
また、本発明で用いる塩素としては、市販、または、工
業的に入手できるものなら何でもよく、特に制限はな
い。
【0012】本発明のジクロロアセトキシプロパンの製
造に用いる触媒としては、長周期律表16族元素であ
り、そのなかでもTeが好適に用いられる。
【0013】また、金属化合物の具体例としては、上記
金属のハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、燐酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、オキシハロゲン化物、塩基性炭酸塩、水酸
化物、カルボン酸塩、及び有機金属錯体等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。好ましくは、ハ
ロゲン化物または酸化物が適している。
【0014】さらに、上記ハロゲン化物、オキシハロゲ
ン化物のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素が挙げられる。中でも塩素が適している。
【0015】本発明の触媒は、公知のいかなる形態で使
用することも可能であり、特に制限はない。好ましくは
担持型、共沈型、イオン交換型、より好ましくは長周期
律表16族の元素を担体に担持した、担持型が適してい
る。
【0016】本発明の触媒に使用される、長周期律表1
6族の元素の濃度は、質量%で、触媒全体に対して、
0.01質量%〜100質量%、好ましくは、0.1質
量%〜50質量%が適している。
【0017】触媒を担持型とした場合の担体の具体例と
しては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ニオビア、
シリカ、マグネシア等の単独酸化物、シリカアルミナ等
の複合酸化物、ゼオライト、ヘテロポリ酸、活性炭、ま
たは、ポリマー等が挙げられるが、特に制限はない。
【0018】本発明の担持型触媒は、すでに公知の方
法、例えば、担体に金属化合物を含浸する方法等で調製
できる。具体的には、金属化合物を担持させる場合は、
まず、金属化合物を担体が吸収することのできる量の、
適当な溶媒、例えば水、アルコール、塩酸、アンモニア
水等に溶解させる。次に、この溶液に適当な粒径の担体
を加え、含浸させた後、乾燥させる。乾燥は、常圧下、
または減圧下において可能である。例えば、減圧下に乾
燥させる場合は、20℃〜300℃で真空乾燥器等によ
り、乾燥させることが可能である。この乾燥は、触媒が
恒量になるまで行うのが好ましい。
【0019】上記の乾燥した担持型触媒は、そのまま反
応に使用することも可能である。また、焼成して使用す
ることも可能である。焼成の雰囲気としては、窒素、炭
酸ガス、空気、酸素、水素等が挙げられるが、その目的
にあったものであれば何でもよく、特に制限はない。
【0020】また、長周期律表16族の元素を含む触媒
の調製方法としては、公知のいかなる方法で行うことも
可能である。例えば、長周期律表16族の元素を含む触
媒を、水素、パラフィン、オレフィン等の還元剤を含む
雰囲気で焼成して還元することによっても調製できる
が、これに限定されるものではない。
【0021】焼成温度には、特に制限はない。好ましく
は、反応温度よりも高い温度が適している。また、焼成
時間には、特に制限はない。好ましくは、触媒が恒量に
なるまで行うことが適している。
【0022】本発明の触媒の形状は、タブレット、リン
グ、球、微少球、押し出し品等、いずれでもよく特に制
限はない。成形法は、圧縮成形、押し出し成形、噴霧乾
燥造粒等、公知のいずれの方法で行うことも可能であ
る。さらに、本発明の触媒は、不活性な充填剤と混合し
て使用することも可能である。
【0023】本発明の充填剤としては、不活性な固体物
質であれば特に制限はなく、例えば、ガラスビーズ、炭
化珪素、窒化珪素等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0024】本発明の反応を行った場合、外部温度が一
定であっても触媒層の一部で反応が起こること等によ
り、局部的な発熱による局部的な温度上昇が認められる
場合がある。この結果、副生物の増加および触媒寿命の
短縮等の問題が生じてくる可能性がある。この様な場合
に、触媒を上記充填剤と混合して希釈することにより、
局部的発熱を抑制することが可能となる。
【0025】触媒と充填剤の混合の方法としては、均一
に混合する方法や反応ガスの流動方向に対して、触媒と
充填剤の混合比を変える方法等、公知のいかなる方法に
よって行うことができ、これらに限定されるものではな
い。
【0026】また、上記充填剤の形状としては、タブレ
ット、リング、球、微少球、押し出し品等、いずれでも
よく特に制限はない。また、触媒と同じ形状でも違う形
状でもよく、特に制限はない。
【0027】本発明においては、生成するジクロロアセ
トキシプロパン(2,3−ジクロロ−1−アセトキシプ
ロパン(沸点191〜192℃/100.7kPa)、
1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパン(沸点19
5℃/101.3kPa))が気体状態であるような条
件が、気相反応を円滑に行うために好ましい。そして、
反応成績、反応熱の除熱、反応後の生成物と原料の分離
および実施形態を考えると、希釈剤を添加することが、
より好ましい。
【0028】希釈剤としては、ジクロロアセトキシプロ
パンの製造を阻害しなければ、特に制限はない。好まし
くは、不活性ガスが適している。不活性ガスとしては、
特に制限はなく、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウ
ム、アルゴン等を使用することができるが、これらに限
定されるものではない。好ましくは窒素が適している。
本発明のジクロロアセトキシプロパンの製造に使用する
原料ガスの組成は、アリルアセテートが0.01モル%
〜99.99モル%、塩素が0.0001モル%〜60
モル%、希釈剤が0モル%〜99.99モル%からなる
組成の、任意の範囲から選ぶことが好ましい。
【0029】上記原料ガスの組成は、生成するジクロロ
アセトキシプロパンが気体状態を保てるように設定する
ことが、気相反応を円滑に行うために好ましい。すなわ
ち、生成するジクロロアセトキシプロパンの分圧が、反
応温度でのジクロロアセトキシプロパンの飽和蒸気圧よ
りも低くなるように、原料ガスの組成を設定することが
好ましい。
【0030】本発明の塩素とアリルアセテートとのモル
比は、塩素/アリルアセテート=0.001〜1.5、
好ましくは0.01〜1.0が適している。塩素/アリ
ルアセテートのモル比が、1.5より大きいと、過剰の
塩素による置換反応等の副反応が起きたり、多くの未反
応塩素の回収が必要となる問題が生じてくる可能性があ
る。また、塩素/アリルアセテートのモル比が、0.0
01より小さいと、大量のアリルアセテートの回収が必
要になる等の問題が生じてくる可能性がある。本発明の
希釈剤と塩素とのモル比は、希釈剤/塩素=0〜200
0、好ましくは0〜1000が適しているが、これに限
定されるものではない。また、本発明のジクロロアセト
キシプロパンの製造に使用する原料ガスの空間速度は、
100hr−1〜12000hr−1、好ましくは、3
00hr−1〜8000hr−1が適しているが、これ
に限定されるものではない。
【0031】本発明の方法において、ジクロロアセトキ
シプロパンを製造する際の反応温度は、70℃〜300
℃、好ましくは、80℃〜250℃が適している。反応
温度が300℃より高いと、塩素による置換反応生成物
の増加及び高沸点化合物の副生または蓄積による触媒寿
命の短縮等の問題が生じてくる可能性がある。一方、反
応温度が70℃より低いと、気相状態を保つ為の希釈剤
の使用量の増加による大量の希釈剤のリサイクルの必要
性や、生産性低下をまねいたり、安定した気相での反応
が困難になる等の問題が生じてくる可能性がある。
【0032】アリルアセテートと塩素との反応に伴い発
生する熱は、温水または熱媒により系外に排出すること
により、反応温度を一定範囲に保つことが可能である。
また、温水または熱媒により取り出された熱を他の設備
の熱源として利用することが可能であり、有益である。
【0033】本発明の方法において、ジクロロアセトキ
シプロパンを製造する際の圧力は、10kPa〜100
0kPa、好ましくは、50kPa〜500kPaが適
している。反応圧力が10kPaより低くても、100
0kPaより高くても工業的に実施が困難であり、好ま
しくない。
【0034】本発明を実施する、アリルアセテートと塩
素の気相反応の反応方式としては、公知のいずれの方式
で行うことも可能であり、特に制限はされない。好まし
くは、連続流通方式が適している。
【0035】本発明の反応器の形態としては、特に制限
はされない。好ましくは、固定床反応器または流動床反
応器等が適している。
【0036】また、本発明の原料ガスの反応器への導入
方法は、公知のいずれの方法で行うことも可能であり、
特に制限はされない。例えば、アリルアセテートは、予
め気化器で気化させてから導入する方法が可能である。
また、塩素の導入方法は、予めアリルアセテートと併せ
て反応器に導入する方法でも、別々に反応基に導入する
等のいかなる方法でも可能である。例えば、スタティッ
クミキサー(化学装置、5月号、74〜78(199
4))で、予めアリルアセテートと塩素を混合してか
ら、触媒へと導入する方法等のように、アリルアセテー
トと塩素が、触媒上で効率よく接触するように導入する
方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0037】本発明の希釈剤を添加する形式としては、
アリルアセテートに添加する形式でも、塩素のみに添加
する形式でも、または、アリルアセテートおよび塩素の
両方を添加する等の形式でも、特に制限はなく、公知の
いかなる方法で行うことも可能である。
【0038】上記反応器で生成したジクロロアセトキプ
ロパンを含むガスから、ジクロロアセトキシプロパンを
捕集する方法は、公知のいかなる方法によっても行うこ
とが可能である。例えば、反応器出口を冷却することに
より、気体成分と生成物であるジクロロアセトキシプロ
パンを含む液体成分を分離することが可能である。この
ジクロロアセトキシプロパンを含む液体成分を蒸留、精
製することにより、ジクロロアセトキシプロパンを得る
ことが可能となる。
【0039】また、希釈剤として不活性ガスを使用した
場合は、ジクロロアセトキシプロパンを分離した不活性
ガスをそのまま循環して、あるいは精製して再使用する
ことが可能である。アリルアセテートを塩素に対して過
剰に用いた場合には、冷却温度により液体成分中にアリ
ルアセテートの未反応分が含まれるが、これは蒸留によ
りジクロロアセトキシプロパンと分離し、再使用するこ
とが可能である。また、冷却温度を高く設定し、目的物
であるジクロロアセトキシプロパンのみを凝縮させ、未
反応アリルアセテートは、気体状態でそのまま循環し
て、あるいは、精製して再使用することが可能である。
【0040】なお、本発明により製造されるジクロロア
セトキシプロパンは、2,3−ジクロロ−1−アセトキ
シプロパンと1,3−ジクロロ−2−アセトキシプロパ
ンの混合物である。製造されたジクロロアセトキシプロ
パンの組成比は、モル%で、2,3−ジクロロ−1−ア
セトキシプロパンは5モル%〜100モル%、1,3ジ
クロロ−1−アセトキシプロパンは、0モル%〜95モ
ル%の範囲である。この2種の異性体は、公知の方法で
分離可能であり、精留等により分離が可能であるが、分
離の方法としては、これに限定されるものではない。
【0041】また、ジクロロアセトキシプロパンの用途
によっては、例えばその誘導体、例えばジクロロプロパ
ノールやエピクロロヒドリンの製造に用いる場合には、
2種の異性体を分離することなく、前記反応により得ら
れたジクロロアセトキシプロパンを次工程原料として用
いることができる。
【0042】次に、本発明により製造されるジクロロア
セトキシプロパンを用いた、ジクロロプロパノール及び
エピクロロヒドリンの製造方法について説明する。ジク
ロロプロパノール、エピクロロヒドリンは、各種化合物
製造用原料、溶剤、エポキシ樹脂原料、合成ゴム原料、
あるいは塩素化ゴム安定剤等として有用な化合物であ
る。
【0043】ジクロロプロパノールの製造方法は、以下
の第1工程〜第2工程からなり、エピクロロヒドリンの
製造方法は、以下の第1工程〜第3工程からなる。 第1工程 アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含
む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジ
クロロアセトキシプロパンを製造する工程。 第2工程 第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水
分解、または加アルコール分解により、ジクロロプロパ
ノールを製造する工程。 第3工程 第2工程で得られたジクロロプロパノールの脱塩化水素
により、エピクロロヒドリンを製造する工程。
【0044】第1工程については、前記のジクロロアセ
トキシプロパンの製造方法において詳述した。以下、第
2工程、第3工程について、より詳しく説明する。
【0045】第2工程は、本発明により製造したジクロ
ロアセトキシプロパンを加水分解、または加アルコール
分解することにより、ジクロロプロパノールを製造する
工程である。
【0046】上記ジクロロアセトキシプロパンの加水分
解または加アルコール分解は、公知の方法で行うことが
でき、特に制限はされない。例えば、好ましくはKhi
m.Prom.,No.6 328 〜335(198
2)記載の方法を例示することができ、ジクロロアセト
キシプロパンの加水分解または加アルコール分解を塩
酸、硫酸、陽イオン交換樹脂等の酸触媒等により行い、
ジクロロプロパノールを製造することができる。
【0047】加水分解の際の水とジクロロアセトキシプ
ロパンのモル比は、水/ジクロロアセトキシプロパン=
0.5〜20.0の範囲であり、好ましくは1.0〜1
0.0が適している。
【0048】加アルコール分解の際のアルコールとジク
ロロアセトキシプロパンのモル比は、アルコール/ジク
ロロアセトキシプロパン=0.5〜20の範囲であり、
好ましくは1.0〜10が適している。
【0049】また、加アルコール分解に用いるアルコー
ルの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソ
ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等のア
ルコールが挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。より好ましくは、アリルアルコールが適してい
る。
【0050】加アルコール分解にアリルアルコールを使
用すると、ジクロロプロパノールと共にアリルアセテー
トが生成する。このジクロロプルロパノールは第3工程
でエピクロロヒドリンに転換することが出来る。一方、
アリルアセテートは、第1工程へ戻し、ジクロロアセト
キシプロパンの原料としての使用が可能である。アリル
アルコール以外のアルコールを加アルコール分解に使用
するとジクロロプロパノール或いはエピクロロヒドリン
と同時に併産される酢酸エステルとの需給バランス等が
問題になる恐れがある。例えば、ブタノールを使用する
とジクロロプロパノール或いはエピクロロヒドリンと酢
酸ブチルとの需給バランス等が問題になるが、アリルア
ルコールを使用することでこれらの問題を避けることが
可能になる。
【0051】本発明の加アルコール分解に用いるアリル
アルコールとしては、無水アリルアルコールまたは含水
アリルアルコールのいづれでもよく、特に制限はない。
【0052】含水アリルアルコールによる加アルコール
分解の場合には、生成したアリルアセテートは、アリル
アセテート、未反応アリルアルコールおよび水と数種の
共沸成分を形成する。また、含水アリルアルコール中の
水により、ジクロロアセトキシプロパンの加水分解が起
こり、酢酸も生成する。アリルアセテート、未反応アリ
ルアルコール、水および酢酸は、蒸留により、反応系か
らの軽沸点成分として、ジクロロプロパノールおよび未
反応ジクロロアセトキシプロパンから分離することが可
能である。そして、軽沸点成分からのアリルアセテー
ト、含水アリルアルコールおよび酢酸の分離・精製は、
公知のいかなる方法で行うこともできる。例えば、特公
平1−20137号公報記載の蒸留および2相分離等に
よって、分離・精製できる。分離・精製されたアリルア
セテートは、第1工程へ、含水アリルアルコールおよび
酢酸は第2工程へと戻すことができる。
【0053】第2工程の反応温度には、特に制限はな
い。好ましくは40℃〜200℃の範囲であり、より好
ましくは、60℃〜180℃が適している。
【0054】第2工程の反応形式は、公知のいかなる形
式で行うことも可能である。具体的には好ましくは回分
式、半連続式、連続式等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0055】また、第2工程により製造したジクロロプ
ロパノールの分離・精製は、公知のいかなる方法で行う
ことも可能である。例えば、好ましくは特公平7−25
711号公報記載の方法と同様、蒸留により行うことが
できるが、これに限定されるものではない。
【0056】第3工程は、上記第2工程で得たジクロロ
プロパノールを、脱塩化水素することにより、エピクロ
ロヒドリンを製造する工程である。この第3工程は、公
知のいかなる方法で行うことことも可能である。例え
ば、好ましくは特開昭60−258172号公報記載の
方法等と同様、ジクロロプロパノールをアルカリ水溶液
またはアルカリ懸濁液と反応させて、エピクロロヒドリ
ンを製造することができるが、これに限定されるもので
はない。
【0057】第3工程に使用されるアルカリ性化合物に
は、特に制限はない。例えば、水酸化カルシウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム等の水溶液または懸濁液が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0058】上記アルカリ性化合物の使用量に、特に制
限はない。好ましくは、ジクロロプロパノール1モルに
ついて、アルカリ性化合物を1.0〜1.5当量、より
好ましくは1.03〜1.3当量が用いられる。
【0059】また、第3工程の反応形式は、公知のいず
れの方法で行うことも可能である。例えば、好ましくは (1)棚段の蒸留塔上部から原料のジクロロプロパノー
ルおよびアルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液を供給
し、下部からスチームを吹き込んで反応により生成した
エピクロロヒドリンを水と共沸(沸点88℃)させなが
らストリッピングする方法。この方法では、スチーム以
外に窒素などの不活性ガスを同伴させてストリッピング
の効果を高めることができる。 (2)液相中でジクロロプロパノールまたはその水溶液
と、アルカリ水溶液またはアルカリ懸濁液を混合し、撹
拌しながら反応させる方法。 (3)水に本質的に不溶性の不活性溶媒を共存させて、
生成したエピクロロヒドリンを溶媒中に抽出させながら
反応させる方法。等が挙げられる。
【0060】(2)、(3)の方法については、反応は
バッチ式で行っても、連続式で行ってもよい。更に連続
式の場合には、混合槽型反応、塔型反応器による流通式
反応等が可能である。塔型反応器による流通式反応の場
合には、ジクロロプロパノールまたはその溶液と、アル
カリ水溶液またはアルカリ懸濁液とを並流で流しても良
いし、向流で接触させながら反応させても良い。
(2)、(3)の反応は、いずれか一方の方法によりあ
る程度反応させた後、他の方法で更に反応を進める等の
組み合わせも可能である。
【0061】第3工程により生成するエピクロロヒドリ
ンをストリッピングする場合に使用するスチーム量は、
塔頂留出組成が、重量比で水/エピクロロヒドリン=
0.5〜3.5、好ましくは1.0〜2.5が適してい
る。スチーム量が、多いほどエピクロロヒドリンの選択
率は、向上するが、多すぎるとスチーム原単位が悪くな
るので、実際の使用量には限度がある。また、スチーム
量が少なすぎると、ストリッピング効果が悪くなり、エ
ピクロロヒドリンの選択率が低下する恐れがある。
【0062】第3工程の反応温度には、特に制限はな
い。好ましくは40℃〜110℃、より好ましくは60
℃〜100℃が適してる。反応温度が低い方が、エピク
ロロヒドリンの選択率は高くなるが、反応速度が小さく
なるので反応時間が長くなる。また、第3工程の反応圧
力には、特に制限はない。好ましくは10kPa〜20
0kPaが適している。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるも
のではない。 (触媒調製法1)化合物2.25gをメタノール18g
に溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添加
し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3時
間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で3
時間焼成することにより得た触媒を化合物(5質量%)
/担体(95質量%)とした。 (触媒調製法2)化合物A2.25gと化合物A2.2
5gに対して1モル等量の化合物Bをメタノール18g
に溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添加
し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3時
間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で3
時間焼成することにより得た触媒を化合物A+化合物B
/担体とした。 (触媒調製法3)化合物A2.25gと化合物A2.2
5gに対して1モル等量の化合物B、化合物A2.25
gに対して0.5モル等量の化合物Cをメタノール18
gに溶解または懸濁させ、これに担体42.75gを添
加し、室温で30分間含浸させた。その後、30℃で3
時間送風乾燥させた。乾燥物を窒素気流下で200℃で
3時間焼成することにより得た触媒を化合物A+化合物
B+化合物C/担体とした。 (実施例1)化合物をTeCl4 、担体をAl23
(粒径1.6mm)として触媒調製法1により触媒を調
製した。
【0064】触媒16mlを温度測定用ガラス細管を備
えた内径14mm、長さ15cmの直立ガラス製の反応
器に充填した。
【0065】上記反応器を熱媒で140℃に加熱し、圧
力を101kPaとして、塩素1.3モル%、アリルア
セテート3.3モル%、窒素95.4モル%からなる原
料ガスを空間速度4131h-1で反応器に導入し、反応
させた。アリルアセテートは、140℃に設定した気化
器を通じて、予め気化させた。
【0066】そして、反応器出口を冷却し凝縮した留出
物を捕集した。この留出物をガスクロマトグラフィーに
て分析し、ジクロロアセトキシプロパンの収率(原料塩
素基準)とその組成比(モル%)を求めた。また、反応
器の触媒層の最高温度を反応温度として測定した。この
結果を表1に示す。尚、表中、ジクロロアセトキシプロ
パンは、DCAP、2,3−ジクロロ−1−アセトキシ
プロパンは、2,3−体、1,3−ジクロロ−2−アセ
トキシプロパンは、1,3−体と記した。 (実施例2)化合物AをZnCl2、化合物BをTeC
4、担体をAl23(粒径1.6mm)とし、触媒調
製法2により調製した触媒を使用した以外は、実施例1
と同様に反応を行った。結果を表1に示す。 (実施例3)化合物AをZnCl2、化合物BをMgC
2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.
6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒を使用
した以外は、実施例1と同様に反応を行った。結果を表
1に示す。 (実施例4)化合物AをZnCl2、化合物BをMgC
2、化合物CをTeCl4、担体をZrO2(粒径0.
5〜2.0mm)とし、触媒調製法3により調製した触
媒を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行った。
結果を表1に示す。
【0067】
【表1】 (実施例5)化合物AをZnCl2、化合物BをMgC
2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.
6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒を反応
器に充填し、塩素4.8モル%、アリルアセテート5.
3モル%、窒素89.9モル%からなる原料ガスを、空
間速度1137h-1 で反応器に導入した以外は、実施
例3と同様に反応を行った。結果を表2に示す。 (実施例6)化合物AをZnCl2、化合物BをMgC
2、化合物CをTeCl4、担体をAl23(粒径1.
6mm)とし、触媒調製法3により調製した触媒5.3
mlと充填剤としてガラス玉(粒径 0.99〜1.4
mm)10.7mlをできるだけ均一になるように混
合し、反応器に充填し、塩素4.8モル%、アリルアセ
テート5.3モル%、窒素89.9モル%からなる原料
ガスを、触媒と充填剤(計16ml)に対して、空間速
度1137h-1 で反応器に導入した以外は、実施例1
と同様に反応を行った。結果を表2に示す。 (実施例7)充填剤として炭化ケイ素(粒径 2.0m
m)10.7mlを使用した以外は、実施例6と同様に
反応を行った。反応結果を表2に示す。 (実施例8)触媒を反応器に充填せずに、実施例1と同
様に反応を行った。反応結果を表2に示す。
【0068】
【表2】 (実施例9)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロア
セトキシプロパンの加水分解によるジクロロプロパノー
ルの製造 実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン5
00g(2.92モル)、水158g(8.77モ
ル)、35質量%塩酸9.3gとをガラス製反応器に仕
込み、常圧で90℃で5時間加熱した。この反応液を蒸
留塔で蒸留して水とジクロロプロパノールの共沸成分、
水及び酢酸を塔頂から留出させ、塔底からジクロロプロ
パノールを含む塔底液を回収した。この塔底液を更に蒸
留して、ジクロロプロパノール268g(2.08モ
ル)を得た。ジクロロプロパノールの収率は71.1%
であり、その組成比は2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール73.5モル%、1,3−ジクロロ−2−プロパノ
ール26.5モル%であった。 (実施例10)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロ
アセトキシプロパンのn−ブタノールを用いた加アルコ
ール分解によるジクロロプロパノールの製造 実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン5
00g(2.92モル)、n−ブタノール650g
(8.77モル)、35質量%塩酸9.3gとをガラス
製反応器に仕込み、常圧で90℃で5時間加熱した。こ
の反応液を蒸留塔で蒸留して、ジクロロプロパノール3
43g(2.66モル)を得た。ジクロロプロパノール
の収率は91.0%であり、その組成比は2,3−ジク
ロロ−1−プロパノール75.0モル%、1,3−ジク
ロロ−2−プロパノール25.0モル%であった。 (実施例11)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロ
アセトキシプロパンの70質量%アリルアルコール水溶
液を用いた加アルコール分解によるジクロロプロパノー
ルの製造 実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン7
5.0g、アリルアルコール(市販品)50.9g、水
21.8g(70質量%アリルアルコール水溶液に相
当。アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンの
モル比=2.0)、および触媒として35質量%塩酸
1.39gをジムロート冷却管を備えたフラスコに仕込
み、攪拌しながら、105℃に加熱して還流させ、3時
間反応を行った。反応後の反応液をガスクロマトグラフ
ィーで分析した。生成物組成は未反応ジクロロアセトキ
シプロパン5.3g、生成ジクロロプロパノール52.
3g、生成アリルアセテート24.2g、未反応アリル
アルコール35.7g、水22.8gであった。また、
アリルアセテートの加水分解による酢酸7.0gの生成
が認められた。この結果より、ジクロロアセトキシプロ
パンの転化率は92.9%、ジクロロプロパノールの収
率は92.5%、選択率は99.5%(原料ジクロロア
セトキシプロパン基準)であり、また、アリルアセテー
トの収率は55.1%、選択率は59.3%(原料ジク
ロロアセトキシプロパン基準)であった。 (実施例12)アリルアルコール/ジクロロアセトキシ
プロパンのモル比を1.0とした以外は、実施例11と
同様の反応を行った。3時間反応後の反応液のガスクロ
マトグラフィー分析結果より、ジクロロアセトキシプロ
パンの転化率は84.1%、ジクロロプロパノールの収
率は82.5%、選択率は98.1%(原料ジクロロア
セトキシプロパン基準)であった。 (実施例13)触媒を濃硫酸とした以外は実施例12と
同様に行った。3時間反応後の反応液のガスクロマトグ
ラフィー分析結果より、ジクロロアセトキシプロパンの
転化率は83.5%、ジクロロプロパノールの収率は8
1.9%、選択率は98.1%(原料ジクロロアセトキ
シプロパン基準)であった。 (実施例14)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロ
アセトキシプロパンの無水アリルアルコールを用いた加
アルコール分解によるジクロロプロパノールの製造無水
アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル
比、1.0で加アルコール分解反応を下記の様に行っ
た。
【0069】実施例5により製造したジクロロアセトキ
シプロパン40.0g、無水アリルアルコール13.6
gおよび触媒として粒径0.42〜0.57mmの粒状
の陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−118
(H)型)15mlをジムロート冷却管を備えたフラス
コに仕込み、攪拌しながら、80℃に加熱し、3時間反
応を行った。反応液のガスクロマトグラフィー分析結果
より、未反応ジクロロアセトキシプロパン12.3g、
生成ジクロロプロパノール20.6g、生成アリルアセ
テート16.0g、未反応アリルアルコール3.9gで
あった。反応系が無水のため、酢酸の生成は認められな
かった。この結果より、ジクロロアセトキシプロパンの
転化率は69.3%、ジクロロプロパノール収率は6
8.3%、選択率は98.7%(原料ジクロロアセトキ
シプロパン基準)であり、またアリルアセテート収率は
68.2%、選択率は98.6%(原料ジクロロアセト
キシプロパン基準)であった。 (実施例15)ジクロロプロパノールの製造:ジクロロ
アセトキシプロパンの70質量%アリルアルコール水溶
液を用いた連続的加アルコール分解によるジクロロプロ
パノールの製造 アリルアルコール/ジクロロアセトキシプロパンのモル
比=1.0での固定床式連続加アルコール分解反応を下
記の様に行った。陽イオン交換樹脂(アンバーライトI
R−118(H)型)10mlを内径、14mm、長さ
15cm、容量約18mlの上部側管付き直立ガラス管
に充填し、該当管を油浴を用いて85℃に加熱する。な
お、反応器出口は油浴外に出る様に設置する。1時間当
たり、70質量%アリルアルコール水溶液3.27g、
実施例5により製造したジクロロアセトキシプロパン
6.73gを定量ポンプで、上記反応器の上部側管より
導入する。反応器出口にテフロンチューブを接続し、流
出反応液を受け器のフラスコ中に導く。この際、テフロ
ンチューブ先端部の高さが反応管中の液面の高さと同じ
になる様に設定し、反応管液面を一定に保つ様にする。
【0070】受け器の反応液を1時間毎にガスクロマト
グラフィーで経時的に分析した。定常状態での1時間当
たりの流出液重量は9.96gで、組成は未反応ジクロ
ロアセトキシプロパン1.36g、生成ジクロロプロパ
ノール3.76gであった。この結果より、ジクロロア
セトキシプロパン転化率は84.3%、ジクロロプロパ
ノール収率は74.1%、選択率は92.8%(原料ジ
クロロアセトキシプロパン基準)であった。 (実施例16)ジクロロプロパノールの製造:70質量
%アリルアルコール水溶液を用いた加アルコール分解反
応液の蒸留 実施例15をスケールアップして得られた反応液の蒸留
を以下のように行った。滴下流量調節コック付き、還流
冷却装置付き分留塔を備えた500mlの三つ口フラス
コに実施例15をスケールアップして得られた反応液3
00gを仕込み、全還流状態で減圧蒸留を行った。
【0071】蒸留は、2.4〜22kPaの減圧下で塔
頂から低沸点成分を抜き出し、これが留出しなくなった
時点で終了した。
【0072】この低沸点成分と高沸点成分(フラスコ残
留液)について、ガスクロマトグラフィーおよびカール
フィッシャー水分計で分析した。低沸点成分はアリルア
セテート、アリルアルコール、水および酢酸が主で、ジ
クロロプロパノールおよびジクロロアセトキシプロパン
は微量であった。
【0073】一方、残留液はジクロロプロパノールと未
反応ジクロロアセトキシプロパンが主であり、両成分を
併せると残留液の99.5質量%であった。 (実施例17)ジクロロプロパノールの製造:無水アリ
ルアルコールを用いた加アルコール分解によるジクロロ
プロパノールの製造およびその分離 実施例14をスケールアップし、触媒の陽イオン交換樹
脂を濾別した後、反応液からのジクロロプロパノールの
分離を以下の様に行った。
【0074】実施例14とほぼ同じ組成の反応液200
0gを実施例16と同様の装置を用い、減圧下、塔頂か
ら低沸点成分を抜き出した。低沸点成分は726.0g
の均一溶液であり、残留液(高沸点成分)は1233.
4gであった。尚、回収率は98.0%であった。
【0075】この両成分について、ガスクロマトグラフ
ィーで分析したところ、低沸点成分は、極く微量のジク
ロロプロパノールを含むアリルアセテートおよび未反応
のアリルアルコールであった。
【0076】一方、残留液(高沸点成分)は極く微量の
アリルアセテートを含むジクロロプロパノールおよび未
反応のジクロロアセトキシプロパンであった。得られた
低沸点成分684.0gをオルダーショウ型蒸留装置を
用いて、常圧下に蒸留を行った。塔頂からの低沸点成分
は、240.1gのアリルアセテートとアリルアルコー
ルの共沸成分であった。これは第2工程(ジクロロプロ
パノール製造工程)へ戻す。一方、低沸点成分の残留液
は436.0gのアリルアセテートであった。これは第
1工程(ジクロロアセトキシプロパン製造工程)へ戻
す。尚、回収率は、98.8%であった。
【0077】更に高沸点成分の残留液1110.0gを
オルダーショウ型蒸留装置を用いて13.3kPaの減
圧下に蒸留を行った。留出液は極く微量のアリルアセテ
ートを含むジクロロプロパノール687.5gであっ
た。これは第3工程(エピクロロヒドリン製造工程)へ
送る。一方、残留液は410.0gの未反応のジクロロ
アセトキシプロパンであった。これは、第1工程(ジク
ロロアセトキシプロパン製造工程)へ戻す。尚、回収率
は98.9%であった。 (実施例18)エピクロロヒドリンの製造 ジクロロプロパノールの脱塩化水素反応と生成するエピ
クロロヒドリンを直ちに反応液から分離するストリッピ
ングを行う脱塩化水素塔として次のものを使用した。脱
塩化水素塔本体は、内径55mmφ、高さ1500mm
のガラス製で、径1mmの穴280個を有する多孔板が
100mm間隔に10段あり、各々多孔板は深さ5mm
のダウンカマーを有する。最下段の下側にはスチーム吹
き込みノズルがあり、流量計を通して一定量のスチーム
がフィードできる。最上段の上側には液フィードノズル
があり、ジクロロプロパノールとアルカリの水溶液をフ
ィードする。ジクロロプロパノール溶液とアルカリ水溶
液とは、定量ポンプで送給し、液フィードノズルの直前
で混合される。塔頂からは、冷却器を通して留出液を捕
集する。塔底には、500mlの丸底フラスコがとりつ
けてあり、定量ポンプにて、塔底液が40mlとなるよ
う一定量抜き出す。上記装置を使用して、実施例17と
同様に得たジクロロプロパノール83g/h、9.5質
量%Ca(OH)2スラリー水溶液323g/hを液フ
ィードノズルより供給しながら、スチーム吹き込みノズ
ルよりスチームを吹き込んだ。供給中のジクロロプロパ
ノ−ル濃度は、20質量%である。塔底から廃液を抜き
出しながら、約2時間連続運転し、反応系を安定化し
た。この1時間後に塔頂留出液と塔底液をサンプリング
して、組成を分析した結果、ジクロロプロパノールの転
化率は90.1%、エピクロロヒドリンの選択率は、9
8.0%であった。尚、塔中段の温度は99℃であっ
た。 (実施例19)エピクロロヒドリンの製造 実施例9と同様に得たジクロロプロパノールを使用した
以外は、実施例17と同様に反応を行った。結果は、ジ
クロロプロパノールの転化率は90.8%、エピクロロ
ヒドリンの選択率は、97.7%であった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 67/287 C07C 67/287 67/303 67/303 C07D 301/26 C07D 301/26 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 石上 春樹 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社川崎工場内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC30 BA06 BA07 BA15 BA29 BA32 BA34 BA35 BA37 BA55 BA71 BA75 BA81 BA90 BC10 BC11 BC31 BE53 BM10 BM72 BT12 FE71 FE75 4H039 CA52 CA63 CF10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アリルアセテートと塩素を無触媒で、気相
    反応させることを特徴とするジクロロアセトキシプロパ
    ンの製造方法。
  2. 【請求項2】長周期律表16族の元素を含む触媒の存在
    下、アリルアセテートと塩素を気相反応させることを特
    徴とするジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  3. 【請求項3】アリルアセテートと塩素を長周期律表16
    族の元素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反
    応させる際に、希釈剤を添加することを特徴とする、請
    求項1または2のいずれかに記載のジクロロアセトキシ
    プロパンの製造方法。
  4. 【請求項4】反応温度が70℃〜300℃の範囲で、ア
    リルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む
    触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のジクロロ
    アセトキシプロパンの製造方法。
  5. 【請求項5】反応圧力10kPa〜1000kPaの範
    囲で、アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元
    素を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させ
    ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の
    ジクロロアセトキシプロパンの製造方法。
  6. 【請求項6】反応温度が70℃〜300℃の範囲であ
    り、且つ反応圧力10kPa〜1000kPaの範囲
    で、アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素
    を含む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させる
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のジ
    クロロアセトキシプロパンの製造方法。
  7. 【請求項7】塩素とアリルアセテートのモル比が、塩素
    /アリルアセテート=0.001〜1.5の範囲で、ア
    リルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含む
    触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させることを
    特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のジクロロ
    アセトキシプロパンの製造方法。
  8. 【請求項8】長周期律表16族を含む金属化合物が、金
    属ハロゲン化物または金属酸化物である、請求項2〜7
    のいずれかに記載のジクロロアセトキシプロパンの製造
    方法。
  9. 【請求項9】触媒が、担持型触媒であることを特徴とす
    る請求項2〜7のいずれかに記載のジクロロアセトキシ
    プロパンの製造方法。
  10. 【請求項10】触媒を充填剤と混合して使用することを
    特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のジクロロア
    セトキシプロパンの製造方法。
  11. 【請求項11】以下の第1工程〜第2工程を含むことを
    特徴とするジクロロプロパノールの製造方法。 第1工程 アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含
    む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジ
    クロロアセトキシプロパンを製造する工程。 第2工程 第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水
    分解、または加アルコール分解によりジクロロプロパノ
    ールを製造する工程。
  12. 【請求項12】第2工程で加アルコール分解に用いるア
    ルコールが、アリルアルコールであることを特徴とする
    請求項11記載のジクロロプロパノールの製造方法。
  13. 【請求項13】以下の第1工程〜第3工程を含むことを
    特徴とするエピクロロヒドリンの製造方法。 第1工程 アリルアセテートと塩素を長周期律表16族の元素を含
    む触媒の存在下もしくは無触媒で、気相反応させて、ジ
    クロロアセトキシプロパンを製造する工程。 第2工程 第1工程で得られたジクロロアセトキシプロパンの加水
    分解、または加アルコール分解によりジクロロプロパノ
    ールを製造する工程。 第3工程 第2工程で得られたジクロロプロパノールの脱塩化水素
    により、エピクロロヒドリンを製造する工程。
  14. 【請求項14】第2工程で加アルコール分解に用いるア
    ルコールが、アリルアルコールであることを特徴とする
    請求項13記載のエピクロロヒドリンの製造方法。
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