JP4156259B2 - 多層塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄いプライマーサーフェーサー代替層、ベースコート層、およびクリアトップコート層から多層塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車塗膜は、ほとんど電着塗料プライマー、プライマーサーフェーサー層、ならびに色および/または特殊効果を付与するベースコート/クリアコートトップ塗膜を含む。
【0003】
例えば、国際公開WO96/13537号および米国特許第5,976,343号から、通常比較的厚い膜厚で塗布されるプライマーサーフェーサー層を、例えば、わずか10μmから25μmの乾燥膜厚で塗布できるいわゆるプライマーサーフェーサー代替層で置き換える方法が知られている。
【0004】
国際公開WO00/71596号は、たれ防止用尿素化合物およびシリカの組合せを含有するクリアコートを開示している。ここには、尿素化合物の含有量は0.1から5質量%、好ましくは0.2から2.5質量%、最も好ましくは0.6から1.8質量%と示され、シリカの含有量は0.1から10質量%、好ましくは0.2から2.5質量%、最も好ましくは0.6から2.0質量%と示されている。どちらの場合も固形分含有量合計を基準としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
薄いプライマーサーフェーサー代替層、ベースコート層、およびクリアコート層から多層塗膜を形成するための改良方法を見出すことが要望されている。この方法によって、たれ抵抗性が良好で同時にクリアコートぬれ限界が低いクリアコートから、光学的表面品質の点で完全に満足のいくクリアコート層を塗布することができることを可能ならしめるべきである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、クリアコート層形成用のこのような方法において、非常に低含有量の少なくとも1種のたれ防止用尿素化合物を非常に低含有量の高分散シリカとともに含むクリアコートを用いると、これを実現することができる。
【0007】
本発明は、支持体に厚み10μmから25μmのプライマーサーフェーサー代替層を提供し、このプライマーサーフェーサー代替層を焼付けずにまたは焼付けた後に多層塗膜の色調を決めるベースコート層を塗布し、そこにクリアコート層を塗布して硬化させる多層塗膜の形成方法であって、各々クリアコート固形分を基準にして、0.1から0.3質量%の少なくとも1種のたれ防止用尿素化合物と、0.1から0.4質量%の高分散シリカとを含有する溶剤含有クリアコートをクリアコート層の調製に用いる方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の方法で多層塗膜を施す支持体は、好ましくは金属の支持体、特に通常は焼付け電着塗膜プライマー層を有する自動車車体またはその部品である。
【0009】
プライマーサーフェーサー代替層は、これらの支持体にスプレーによって塗布されて、厚みが10μmから25μm、好ましくは15μmから23μmの乾燥層を形成する。未焼付けの状態でこれにベースコート層を上塗りすることができるが、例えば120℃から160℃の温度で初めに焼付けることが好ましい。
【0010】
プライマーサーフェーサー代替層を調製するためには、慣用の水系または溶剤系のコーティング剤、例えば当業者に知られた慣用のプライマーサーフェーサー、または、特に当業者に知られた本目的および同様の目的に慣用的に用いられるコーティング剤を用いることができる。例としては、国際公開WO96/13537号に開示されたコーティング剤が含まれる。特に、多層塗膜の色調を決める実際のベースコートから、例えば米国特許第5,968,655号または米国特許第5,976,343号記載の適当な成分、例えば充填剤ペーストまたはバインダーを添加することによって製造されるコーティング剤を用いて、例えば第1のベースコート層の形でプライマーサーフェーサー代替層を塗布することもできる。
【0011】
多層塗膜の色調を決めるベースコート層は、焼付け済みまたは未焼付けのプライマーサーフェーサー代替層を設けた支持体にスプレーによって塗布する。このベースコート層は、当業者に知られた慣用の色および/または特殊効果を付与する水系または溶剤系ベースコートであり、色調に応じて例えば8μmから30μmの乾燥膜厚で塗布する。
【0012】
ベースコート層は、後続のクリアコート塗布前に焼付けることもできるが、好ましくは公知のウエットインウエット法によって、例えば、ベースコートに例えば20℃から80℃で短時間のフラッシュオフを行った後に、クリアコートをベースコート層に塗布する。クリアコートは、一般に30μmから50μmの乾燥膜厚にスプレーによって塗布し、任意選択で短時間フラッシュオフする。次いで支持体を硬化工程、特に焼付工程へ送る。ここで、ベースコート層とともにクリアコート層を、高温、例えば80℃から160℃で焼付ける。
【0013】
本発明の方法で用いるクリアコートは、有機溶剤系の液状クリアコートである。これには、樹脂固形分を形成する成分として、1種または複数の通常のバインダーが含まれ、任意選択でさらに1種または複数の反応性シンナー(硬化時にクリアコートに化学的に組み込まれる化合物)、およびバインダーが自己架橋型でない場合は、1種または複数の架橋剤が含まれる。
【0014】
樹脂固形分を構成するクリアコート架橋システムは、ベースコート/クリアコート2層塗膜形成時に使用されるようなラジカル重合によって、および/または好ましくは付加反応および/または縮合反応によって硬化させることができるクリアコート用架橋システムとすることができる。したがって、クリアコートは、化学線照射および/または加熱によって硬化することができる。
【0015】
クリアコートは、所望の架橋度に調整された化学量論比を伴う、一般に、バインダー50から90質量%、反応性シンナー0から20質量%、および架橋剤10から50質量%、合計100質量%とした外部架橋システムであることが好ましい。
【0016】
バインダーも反応性シンナーも基本的にはいかなる制限も受けない。好ましい膜形成バインダーの例には、ポリエステル、ポリウレタン、および/または(メタ)アクリル系コポリマー樹脂が含まれる。架橋剤の選択に制限はないが、バインダーの官能性に左右される。すなわち、架橋剤がバインダーの官能性を補完する反応性の官能性を有するように架橋剤を選択する。
【0017】
ラジカル重合可能な架橋システムを含むクリアコートは、熱的および/または光化学的手段によって硬化させるクリアコートである。クリアコートには、熱ラジカル開始剤および/または光開始剤のほかに、ラジカル重合可能なオレフィン系不飽和基を有するバインダー、および任意選択でさらにラジカル共重合可能なその他の化合物が含まれる。例としては、ラジカル重合可能なオレフィン系二重結合を有するポリマーまたはオリゴマーが含まれ、特に(メタ)アクリル官能性(メタ)アクリル系コポリマー、エポキシ樹脂(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基、不飽和ポリエステルまたは不飽和ポリウレタンで、例えば、数平均分子量が500から10,000のものが挙げられる。反応性シンナーの例には、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、マレイン酸およびそのハーフエステル、ビニルエステル、ビニルエーテル、エチレンおよびプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリセロールトリ−、ジ−およびモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ−、ジ−およびモノ(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリ−およびテトラ(メタ)アクリレート、ジ−およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0018】
付加反応によって硬化させることができるクリアコート架橋システムを架橋させるための適当な付加反応の例には、カルボキシル基へのエポキシ基の付加、イソシアネート基への水酸基および/またはアミノ基の付加、α,β−不飽和カルボニル基、特に(メタ)アクリロイル基へのアミノ基および/またはCH−酸性基の付加、およびエポキシ基へのアミノ基の付加が含まれる。
【0019】
縮合反応によって硬化させることができるクリアコート架橋システムを架橋させるための適当な縮合反応の例には、水酸基および/またはアミノ基とブロックドイソシアネート基との反応、水酸基とN−メチロール基との反応、水酸基とN−メチロールエーテル基との反応、水酸基とエステル基とのエステル交換を伴う反応、水酸基とカルバメート基とのウレタン交換を伴う反応、およびカルバメート基とN−メチロールエーテル基との反応が含まれる。
【0020】
ラジカル重合によって、および/または好ましくは付加反応および/または縮合反応によって硬化させることができるクリアコートは、1成分系または多成分系クリアコートである。
【0021】
クリアコートは、いずれの場合も水酸基官能性バインダーをベースにした、外部架橋型の1成分系またはより好ましくは2成分系クリアコートであることが好ましい。例えば、クリアコートには、水酸基官能性(メタ)アクリル系コポリマー、ポリエステル樹脂および/またはポリウレタン樹脂、および任意選択でさらに水酸基官能性反応性シンナー、およびトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン、アミノプラスチック樹脂特にメラミン樹脂、および/またはブロックドポリイソシアネート、または2成分系クリアコートの場合、遊離のポリイソシアネート架橋剤などの、バインダーの水酸基と架橋する少なくとも1成分が含まれる。
【0022】
水酸基官能性バインダーは、数平均分子量が500から10,000、および水酸基価が30から450mgKOH/gであることが好ましい。
【0023】
例としては、数平均分子量が500から5,000、好ましくは1,000から3,000で、水酸基価が30から450mgKOH/g、好ましくは50から280mgKOH/gの慣用の水酸基官能性ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂、および数平均分子量が1,000から10,000で、水酸基価が30から300mgKOH/g、好ましくは50から250mgKOH/gの水酸基官能性(メタ)アクリル系コポリマー樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル系コポリマーは、例えばポリエステルおよび/またはポリウレタン樹脂のオリゴマーまたはポリマー例えば上記のものの存在下に製造することができる。
【0024】
水酸基官能性反応性シンナーの例には、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、水酸基価が250から700mgKOH/gの範囲の低分子量化合物が含まれる。ポリエーテルポリオール、オリゴエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、オリゴウレタンポリオールなどのポリオールオリゴマーまたは高分子ポリオールが好ましい。
【0025】
遊離の形またはブロックされた形で用いられるポリイソシアネート架橋剤の例には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサン1,6−ジイソシアネート、ドデカン1,12−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはこれらの混合物などの脂肪族(または脂環式)ジイソシアネート、こうしたジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート、例えばイソシアネート基に結合する基にヘテロ原子を含有するものが含まれる。その例には、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレチジオン基、ウレタン基、および/またはビウレット基を含有するポリイソシアネートが含まれる。
【0026】
慣用の塗料用ポリイソシアネート架橋剤、特にトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレット、イソホロンジイソシアネートまたはヘキサンジイソシアネートイソシアヌレートが好ましい。
【0027】
上記のポリイソシアネート架橋剤の好ましい封止剤には、慣用の、例えばCH−酸性、NH−、SH−またはOH−官能性の封止剤が含まれる。例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、脂肪族または脂環式アルコール、オキシム、ラクタム、イミダゾール、ピラゾールが挙げられる。
【0028】
塗布に適当な状態では、クリアコートは、樹脂固形分、尿素化合物および高分散シリカ、および任意選択でその他の不揮発性成分から形成された固形分を40から70質量%含む。クリアコートには、揮発成分として、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;酢酸エチルグリコール、酢酸ブチルグリコール、酢酸ブチルジグリコール、酢酸メトキシプロピルなどのグリコールエーテルエステル;酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール;キシレン、Solvesso(登録商標)100(沸点155℃から185℃の芳香族炭化水素の混合物)、Solvesso(登録商標)150(沸点182℃から202℃の芳香族炭化水素の混合物)などの芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの有機溶剤が含まれる。
【0029】
クリアコートに含まれる尿素化合物は、ジイソシアネートおよび/またはそれから誘導されるポリイソシアネートとモノアミンおよび/またはポリアミンとの付加生成物である。この付加生成物は、分子式によって定義できる低分子化合物、またはオリゴマー状または高分子の付加生成物と定義することができる。用いられる尿素化合物は、ジイソシアネート、好ましくは脂肪族または脂環式ジイソシアネート、特に対称構造を有するものと第1級アミン、好ましくは第1級モノアミンとの付加生成物であることが好ましい。
【0030】
これらは、粒子サイズが好ましくは0.1μmから20μmの、好ましくは固体状の、特に好ましくは結晶性の尿素化合物である。固体状または結晶性尿素化合物は、凝固点または融点が高いことが好ましく、例えばクリアコートを焼付ける焼付温度より高く、特に80℃より高く、例えば80℃から250℃であることが好ましい。特に好ましい尿素化合物は、ヘキサン1,6−ジイソシアネート1モルとベンジルアミン2モルから形成される付加物である。
【0031】
尿素化合物は、通常の方法で、第1級および/または第2級アミノ基を有するアミンをポリイソシアネートに加えることによって調製することができる。この調製は、例えば20℃から80℃の温度で、例えば溶剤なしに、バルクで、好ましくは不活性溶剤中で、または特に好ましくは反応条件で不活性なバインダーまたは架橋剤の存在下で、例えば不活性バインダーまたは架橋剤溶液中で行われる。クリアコートが2種以上のバインダーまたは2種以上の架橋剤を含有する場合は、この調製は、例えば前記バインダーの1種の中または前記架橋剤の1種の中で行うことができる。
【0032】
クリアコート調製時の尿素化合物の添加は、尿素化合物を調合剤として、例えば溶剤中の分散液として、あるいは特に好ましくは例えば液体または溶解したバインダーまたは架橋剤の一部の中に分散液として、他のクリアコート成分と混ぜるようにして行うことが好ましい。
【0033】
クリアコートに用いられる尿素化合物についてのその他の詳細、尿素化合物調製の出発材料、プロセス、およびプロセスパラメータ、および尿素化合物のコーティング剤中への組み込みについては、米国特許第4,311,622号、米国特許第4,677,028号、および米国特許第4,851,294号から得ることができる。本明細書ではこれらを明示的に参照するが、これに限定されるものではない。
【0034】
クリアコートに含有させる高分散シリカは、当業者に公知のシリカであって合成により製造されるものであり、例えば熱分解法シリカまたは沈降シリカである。高分散シリカは、BET表面が広く、例えば100から400、好ましくは200から400平方メートル/gである。様々なメーカーが様々な種類を供給している。熱分解法シリカの方が多く用いられる。高分散シリカを疎水性にすると有利である。
【0035】
高分散シリカは、クリアコート形成時に、樹脂固形分の成分特にバインダーまたは架橋剤の一部に高分散シリカを分散または粉砕することによって調製されるシリカペーストとして添加することが好ましい。
【0036】
さらに、クリアコートに、通常の塗料添加剤、例えば透明顔料または充填剤、レベリング剤、染料、光保護剤、酸化防止剤、ミクロゲルなどのポリマーミクロ粒子、および/またはホルムアルデヒド放出物質を、例えば全コーティング剤を基準として5質量%までの量で含有させることができる。
【0037】
下記の実施例は、本発明の方法を説明する役割を果たし、本発明の方法が、薄いプライマーサーフェーサー代替層、ベースコート層、およびクリアコート層から多層塗膜を形成することを可能にし、光学的表面品質の点で十分満足なクリアコート層を得ることができ、このクリアコート層は、たれ抵抗性が高く同時にクリアコートぬれ限界が低いクリアコートコーティング剤を用いて塗布することができることを示すものである。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 多層塗膜の形成方法であって、
(1)厚み10μmから25μmのプライマーサーフェーサー代替層を支持体に塗布するステップと、
(2)多層塗膜の色調を決めるベースコート層をプライマーサーフェーサー代替層に塗布するステップと、
(3)クリアコート層をベースコート層に塗布するステップであって、クリアコート層が、少なくとも1種のたれ防止用尿素化合物0.1から0.3質量%と高分散シリカ0.1から0.4質量%とを含有し、たれ防止用尿素および分散シリカはクリアコートの固形分を基準にするステップと、
(4)ステップ(1)から(3)で塗布した層を硬化するステップと
を含むことを特徴とする方法。
2. プライマーサーフェーサー代替層、ベースコート層、およびクリアトップコート層を、焼付けによって同時に硬化することを特徴とする1.に記載の方法。
3. ベースコート層を塗布する前にプライマーサーフェーサー代替層を焼付け、次いでベースコート層とクリアトップコート層を塗布して焼付けによって硬化することを特徴とする1.に記載の方法。
4. ベースコート層を塗布する前にプライマーサーフェーサー代替層を焼付け、次いでベースコート層を塗布して焼付けによって硬化し、次いでクリアトップコート層を塗布して焼付けによって硬化することを特徴とする1.に記載の方法。
5. ベースコート層を未焼付けのプライマーサーフェーサー代替層に塗布し、ベースコート層とプライマーサーフェーサー代替層を焼付けによって硬化し、次いでクリアコートを塗布して焼付けによって硬化することを特徴とする1.に記載の方法。
6. たれ防止用尿素化合物が、ジイソシアネート、ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートと、モノアミン、ポリアミン、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のアミンとの付加生成物であることを特徴とする1.〜5.のいずれか一項に記載の方法。
7. 高分散シリカが、熱分解法シリカおよび沈降シリカからなる群から選択される合成シリカであることを特徴とする1.〜6.のいずれか一項に記載の方法。
8. たれ防止用尿素化合物が、ジイソシアネートと第1級アミンとの付加生成物であることを特徴とする6.に記載の方法。
9. クリアコートが、ラジカル重合、付加反応、縮合反応、およびこれらの組合せからなる群から選択される反応によって硬化させることができる架橋システムを有することを特徴とする1.〜8.のいずれか一項に記載の方法。
10. クリアコートが、1成分系クリアコートおよび多成分系クリアコートからなる群から選択されることを特徴とする1.〜9.のいずれか一項に記載の方法。
11. クリアコートが、少なくとも1種の水酸基官能性バインダーおよび少なくとも1種の架橋剤を含有することを特徴とする1.〜10.のいずれか一項に記載の方法。
12. 多層塗膜を、自動車車体および自動車車体部品からなる群から選択される支持体に塗布することを特徴とする1.〜11.のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
【実施例】
実施例1
下記の成分を混合することによってベースを調製した。
Solvesso(登録商標)100と酢酸ブチルの2:1混合物中65質量%メタクリル系コポリマー(酸価5mgKOH/g、水酸基価147mgKOH/g)溶液 61.6部
Solvesso(登録商標)100中65質量%分枝ポリエステル(酸価41mgKOH/g、水酸基価198mgKOH/g、数平均分子量1000)溶液 6.7部
酢酸エトキシプロピル 5.3部
Solvesso(登録商標)150 6.8部
Ciba製Tinuvin(登録商標)292(光保護剤) 1.2部
Ciba製Tinuvin(登録商標)384(紫外線吸収剤) 1.2部
酢酸ブチル 2.0部
酢酸ブチルジグリコール 4.3部
酢酸ブチルグリコール 4.4部
Solvesso(登録商標)100 6.5部
ベース100部を、68質量%ポリイソシアネート硬化剤混合物(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートとヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを重量比で2:1)溶液50部とSolvesso(登録商標)100と酢酸ブチルの2:1混合物中で混ぜることによってクリアコートを調製した。
【0039】
実施例2
580部の実施例1の65質量%メタクリル系コポリマー溶液を270部のSolvesso(登録商標)100で希釈し、次いで70部の熱分解法シリカ(BET表面220平方メートル/g)を入れて混ぜ、予備分散した。60部のSolvesso(登録商標)100と20部のブタノールを添加した後、混合物をパールミルで粉砕してシリカペーストとした。
【0040】
実施例3
ベースの調製時に、61.6部のメタクリル系コポリマー溶液および6.5部のSolvesso(登録商標)100の代わりに、実施例1のメタクリル系コポリマー溶液40.0部、実施例1のメタクリル系コポリマー溶液中で調製した、ベンジルアミン2モルおよびヘキサンジイソシアネート1モルから生成したジウレアの懸濁液(Solvesso(登録商標)100と酢酸ブチルの2:1混合物35質量%、ジウレア3.7質量%、実施例1のメタクリル系コポリマー61.3質量%の組成)18.0部、Solutia製Maprenal(登録商標)MF590(メラミン樹脂)2.0部、実施例2のシリカペースト4.0部、および4.1部のSolvesso(登録商標)100を用いた以外は実施例1と同じように作業を行った。
【0041】
実施例4から7
実施例3と同様な方法で、しかし実施例1のメタクリル系コポリマー溶液とジウレア懸濁液の量的比率を適当に変化させて、実施例3と本質的に同じであるがジウレア含有量の異なるクリアコートを調製した(表1参照)。
【0042】
実施例8および9
実施例1と同様な方法で、しかし実施例1のメタクリル系コポリマー溶液の量を変化させ、実施例2のシリカペーストの適当量を添加して、実施例1と本質的に同じであるが各々のケースでシリカ含有量の異なるクリアコートを調製した(表1参照)。
【0043】
実施例10
実施例1のメタクリル系コポリマー溶液を40.0部のかわりに49.6部、ジウレア懸濁液を18.0部のかわりに12.0部、シリカペーストなし、およびSolvesso(登録商標)100を4.1部のかわりに4.5部とした以外は実施例3と同じように作業を行った。
【0044】
実施例11および12
実施例10と同様な方法で、しかし実施例1のメタクリル系コポリマー溶液とジウレア懸濁液の量的比率を適当に変化させて、実施例10と本質的に同じであるがジウレア含有量の異なるクリアコートを調製した(表1参照)。
【0045】
実施例13および14
実施例3と同様な方法で、しかし実施例1のメタクリル系コポリマー溶液と、ジウレア懸濁液と、シリカペーストの量的比率を適当に変化させて、実施例3と本質的に同じであるがジウレア含有量とシリカ含有量の異なるクリアコートを調製した(表1参照)。
【0046】
電着プライマーを設け、ここへ厚み35μmのハイドロプライマーサーフェーサー層を塗布して焼付けた金属パネルに、黒色の水系ベースコートを乾燥膜厚15μmにスプレーコートし、70℃で5分間フラッシュオフし、次いで垂直位置で楔形にして乾燥膜厚10μmから70μmの膜厚勾配をもって実施例1および3から14のクリアコートをスプレーコートし、10分後室温でフラッシュオフし、130℃(目標温度)で30分間焼付けを行った。クリアコート表面の外観は、すべてのケースで満足できるものであった。
【0047】
各ケースでハイドロプライマーサーフェーサー層の膜厚を15μmとした以外は同様な方法でコーティング試験を繰り返した。クリアコート1および3から14で得られた結果を表1にまとめて示した。クリアコート6および7を用いた場合だけ、クリアコートぬれ限界が低く、クリアコートたれ限界が高く、クリアコート表面の光学的外観が良好なバランスの取れた結果が得られた。
【0048】
【表1】
Figure 0004156259
【0049】
実施例15
下記の成分を混合することによってクリアコートを調製した。
Solvesso(登録商標)100とブタノール4:1混合物中65質量%メタクリル系コポリマー(酸価20mgKOH/g、水酸基価119mgKOH/g)溶液 53.3部
BASF製Luwipa(登録商標)1018(メラミン樹脂) 28.0部
Solvesso(登録商標)150 11.8部
Ciba製Tinuvin(登録商標)1130(紫外線吸収剤) 0.9部
Ciba製Tinuvin(登録商標)144(光保護剤) 0.9部
King製Nacure(登録商標)5225(触媒) 0.9部
Solvesso(登録商標)100 4.2部
【0050】
実施例16
実施例15のメタクリル系コポリマー溶液を53.3部のかわりに41.3部とし、実施例15のメタクリル系コポリマー溶液で調製した、ベンジルアミン2モルおよびヘキサメチレンジイソシアネート1モルから生成したジウレアの懸濁液(Solvesso(登録商標)100と酢酸ブチルの4:1混合物35質量%、ジウレア3.7質量%、実施例15のメタクリル系コポリマー61.3質量%の組成)12部を用いた以外は実施例15と同じように作業を行った。
【0051】
実施例17
実施例15のメタクリル系コポリマー溶液を41.3部のかわりに50.3部、実施例16のジウレア懸濁液を12.0部のかわりに3.0部とした以外は実施例16と同じように作業を行った。
【0052】
実施例18
580部の実施例15の65質量%メタクリル系コポリマー溶液を270部のSolvesso(登録商標)100で希釈し、次いで70部の熱分解シリカ(BET表面220平方メートル/g)を入れて混ぜ、予備分散した。60部のSolvesso(登録商標)100と20部のブタノールを添加した後、混合物をパールミルで粉砕してシリカペーストとした。
【0053】
実施例19から22
実施例15と同様な方法で、しかし実施例15のメタクリル系コポリマー溶液と、実施例18のシリカペーストと、実施例16のジウレア懸濁液との量的比率を適当に変化させて、実施例15と本質的に同じであるが各ケースでジウレア含有量とシリカ含有量の異なるクリアコートを調製した(表2参照)。
【0054】
電着プライマーを設け、ここへ厚み35μmのハイドロプライマーサーフェーサー層を塗布して焼付けた金属パネルに、黒色の水系ベースコートを乾燥膜厚15μmにスプレーコートし、70℃で5分間フラッシュオフし、次いで垂直位置で楔形にして乾燥膜厚10μmから70μmの膜厚勾配をもって実施例15から17および19から22のクリアコートをスプレーコートし、10分後室温でフラッシュオフし、130℃(目標温度)で30分間焼付けを行った。クリアコート表面の外観は、すべてのケースで満足できるものであった。
【0055】
各ケースでハイドロプライマーサーフェーサー層の膜厚を15μmとした以外は同様な方法でコーティング試験を繰り返した。クリアコート15から17および19から22で得られた結果を表2にまとめて示した。クリアコート20を用いた場合だけ、クリアコートぬれ限界が低く、クリアコートたれ限界が高く、クリアコート表面の光学的外観が良好なバランスの取れた結果が得られた。
【0056】
【表2】
Figure 0004156259

Claims (10)

  1. 多層塗膜の形成方法であって、
    (1)厚み10μmから25μmのプライマーサーフェーサー代替層を支持体に塗布するステップと、
    (2)多層塗膜の色調を決めるベースコート層をプライマーサーフェーサー代替層に塗布するステップと、
    (3)クリアコート層をベースコート層に塗布するステップであって、クリアコート層が、少なくとも1種のたれ防止用尿素化合物0.1から0.3質量%と高分散シリカ0.1から0.4質量%とを含有し、たれ防止用尿素および分散シリカはクリアコートの固形分を基準にするステップと、
    (4)ステップ(1)から(3)で塗布した層を硬化するステップとを含むことを特徴とする方法。
  2. プライマーサーフェーサー代替層、ベースコート層、およびクリアトップコート層を、焼付けによって同時に硬化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. ベースコート層を塗布する前にプライマーサーフェーサー代替層を焼付け、次いでベースコート層とクリアトップコート層を塗布して焼付けによって硬化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. ベースコート層を未焼付けのプライマーサーフェーサー代替層に塗布し、ベースコート層とプライマーサーフェーサー代替層を焼付けによって硬化し、次いでクリアコートを塗布して焼付けによって硬化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. たれ防止用尿素化合物が、ジイソシアネート、ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のポリイソシアネートと、モノアミン、ポリアミン、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のアミンとの付加生成物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 高分散シリカが、熱分解法シリカおよび沈降シリカからなる群から選択される合成シリカであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. たれ防止用尿素化合物が、ジイソシアネートと第1級アミンとの付加生成物であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. クリアコートが、ラジカル重合、付加反応、縮合反応、およびこれらの組合せからなる群から選択される反応によって硬化させることができる架橋システムを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. クリアコートが、少なくとも1種の水酸基官能性バインダーおよび少なくとも1種の架橋剤を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 多層塗膜を、自動車車体および自動車車体部品からなる群から選択される支持体に塗布することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
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