JP4156143B2 - 押出成形ダイおよび中空成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性樹脂成形材料の押出成形装置に用いられる押出成形ダイに関し、ダイ出口近傍での溶融樹脂に、押出樹脂の押出方向に対して垂直方向の振動を与えながら押出成形を行なうための押出成形ダイに関する。
【0002】
【従来の技術】
押出成形装置は、熱可塑性樹脂成形材料を溶融,混練して所望の断面形状をした押出成形ダイより押出すことにより、各種製品の製造に巾広く利用されている。押出成形方法としては、フィルム、シート、パイプ、異型製品、中空成形品などの成形がある。これらの、押出成形方法の中でも、インフレーションフィルム成形、パイプ成形、中空異型成形、中空(ブロー)成形などでは、環状の溶融樹脂押出口(ダイリップ)を有する押出成形ダイが用いられる。
【0003】
中でも、中空(ブロー)成形による容器などの成形は、成形圧力が低く、成形金型の強度が、射出成形などに比較して著しく低くでき、成形品の大型化が容易であること、成形金型コストが安価なことなどの特徴がある。このため、中空成形方法は、熱可塑性樹脂の中空成形用としての改良を含めて、従来の容器を主体とした中空成形品に止まらず、バンパー、エアスポイラー、ホイールキャップなどの自動車部品などの成形品分野の成形に用いられるようになってきている。
【0004】
この中空成形方法は、環状(一般的には円形)のダイリップを有する押出成形ダイから溶融樹脂が円筒状のパリソンとして下向きに押し出される。この中空成形方法では、一般にパリソンのドローダウンが生じ易い問題点がある。このドローダウンの解消のために、中空成形用樹脂としては、一般的に比較的高い溶融粘度で溶融張力の大きな樹脂が用いられる。しかし、これらの樹脂は、溶融樹脂が押出成形ダイを出た後に膨張する、所謂ダイスウェルが生じ易い。このため、パリソンの肉厚を、ある厚みにするためには、押出成形ダイのダイリップ間隔を狭くする必要がある。このため、溶融樹脂のダイでの流動抵抗が増し、押出速度を早くできない問題点がある。
【0005】
また、環状ダイリップからの押出成形では、成形速度を早くすると、押出成形ダイ内部での流動性の悪化などから、メルトフラクチャーと呼ばれる成形品の表面荒れの発生やダイラインの発生など、最終成形品の外観を悪化させる問題点がある。このため、成形品外観品質を基に、押出速度を決めるため生産性が犠牲になっているのが実情である。
【0006】
これらの問題点の解決方法として、樹脂温度を高めに設定することも考えられるが、押出後の成形品の賦形、成形品の冷却が困難になる。さらに、パリソンのドローダウンが激しく、成形品の成形が困難になったり、成形品の肉厚分布が悪化し、商品価値のある成形品が成形できなくなるなどの問題もある。
押出成形において、押出成形ダイでの樹脂の溶融流動性を改良する方法として、超音波を用いる方法が提案されている。たとえば、▲1▼特開平2−141222号公報には、成形材料が押出口から流出方向に対して垂直な方向に振動が伝達するように、超音波を印加する成形方法が提案されている。この方法では、押出速度をかなり高めても、メルトフラクチャーの発生を抑制でき、生産性の向上を図ることができる。しかし、この方法では、超音波振動を押出ダイ出口の溶融樹脂に均一に伝達するためには、押出ダイリップの形状が直線状(シート状)または点状(ストランド状)に限定されることになる。
【0007】
このため、インフレーションフィルム成形などの環状ダイリップを有する押出成形ダイに適用することは困難である。このため、▲2▼特開平8−47960号公報には、環状ダイスの外環部材の一部を構成し、前記環状ダイスから押出される成形材料に、その流れに対して、垂直方向の振動を与える径振動共振体と、この径振動共振体の外周面に接合し、超音波振動子からの超音波を伝達する縦振動ホーンとを具備した押出成形装置が提案されている。この方法は、インフレーションフィルム成形において、メルトフラクチャーの発生する押出速度を大巾に向上できるすぐれた成形装置である。
【0008】
しかし、この明細書にはメルトフラクチャーの解消については、記載されているが、他の効果についての具体的な記載はない。また、径振動共振体の詳細についての具体的な記載もない。
また、▲3▼特開平3−253323号公報、特開平4−163020号公報には、未加硫ゴム組成物の押出成形において、押出成形用口金の偏平な断面形状まで連続的に断面形状を変化、縮小させるとともに、吐出ヘッド内面に吐出方向に略垂直な方向の超音波振動あるいは5〜100Hzの低周波振動を印加することにより、成形したゴム部材のスウェルを小さくする方法が提案されている。しかしながら、この押出成形方法は、偏平なダイリップであること、図面から明らかなように超音波の印加は、吐出ヘッド内面であり、またダイリップ部は、その出口において断面積が縮小するように、逆勾配が設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
超音波を印加する押出成形ダイにおいて、特に、中空(ブロー)成形方法に用いる場合に、溶融樹脂のダイ出口でのダイスウェルを解消し、同一中空成形品の成形において、押出速度を高めることができ、生産性を向上することが可能な押出成形装置が求められている。
【0010】
本発明は、中空成形方法などの環状ダイリップを有する成形において、超音波を用いてダイスウェルを抑制し、各種中空成形品などを高速成形することができる押出成形ダイおよび中空成形品の成形方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは上記目的を達成すべく、超音波の押出成形ダイへの印加による成形性の改良について、超音波の印加方法、押出成形ダイの形状、構造について、さらに鋭意検討を重ねた。その結果、径振動共振体の形状を変更することにより、特に、中空成形においてダイスェルが著しく解消できることを見いだし本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1) 環状の溶融樹脂流路を有する押出成形ダイにおいて、押出成形ダイ本体の樹脂押出口に、ダイリップ外周を形成する内周面を有する環状部材からなる径振動共振体が結合され、該内周面が押出方向に対して拡がる、1〜10度の角度を有することを特徴とする押出成形ダイ。
(2) 径振動共振体の外周面に、超音波振動子からの超音波振動を伝達する縦振動ホーンが設けられている(1)記載の押出成形ダイ。
(3) 前記径振動共振体の内周部分が、押出成形ダイ本体に金属接触で接合されている(1)または(2)記載の押出成形ダイ。
(4) 前記径振動共振体が振動の節部において、結合部材によりダイ本体に結合されている(1)〜(3)のいずれかに記載の押出成形ダイ。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の押出成形ダイより、環状の溶融樹脂パリソンを成形金型間に押出し、型締、気体吹き込みにより賦形する中空成形品の成形方法に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の押出成形ダイは、環状の溶融樹脂流路を有する押出成形ダイにおいて、押出成形ダイ本体の樹脂押出口に、ダイリップ外周を形成する内周面を有する環状部材からなる径振動共振体が結合され、該内周面が押出方向に対して拡がる、1〜10度の角度を有することを特徴とするものである。この構成をとることにより、溶融熱可塑性樹脂の押出方向に対し垂直方向の振動を付与するとともに、前記の勾配との相乗効果により、押出がよりスムースとなり、溶融樹脂のダイスウェルを著しく抑制することを可能にしたものである。その結果として、環状ダイリップからの押出成形をより高速にすることを可能としたものである。
【0014】
次に、本発明の押出成形ダイを、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態である押出成形ダイの概念断面図を示す。図2は、図1の、X−X線断面図を示す。各図において、1は押出成形ダイ、、2は外環部材、3はマンドレル、4は押出成形ダイ本体、5は環状樹脂流路、6は径振動共振体、6Aは内周面傾斜部、6Bは本体接合部、7は取り付け用穴、8は取り付けボルト、9は環状ダイリップ、10は押出成形機ヘツド、11はダイ取り付けボルト、12は縦振動ホーン、13は超音波振動子、14は超音波発振器をそれぞれ示す。
【0015】
本発明の押出成形ダイ1は、外環部材2とマンドレル3から押出成形ダイ本体4が構成される。これによって、環状の樹脂流路5が形成される。本発明では、この押出成形ダイ本体4の溶融樹脂出口に、ダイリップに対応したリップを確保するように、径振動共振体6が結合されている。この径振動共振体6は、径振動共振体6に設けられた、取り付け穴7により、結合部材である取り付けボルト8を用いて締めつけることにより結合される。
【0016】
すなわち、径振動共振体6は、ドウナツ状部材の内周部に環状の突起を設け、本体接合部6Bとする。この本体接合部において、ダイ本体の外環部材2の端部と接合し、溶融樹脂の漏洩が防止される。本発明では、径振動共振体6の内周部6Aが押出方向に対して拡がるように、角度αが1〜10度、好ましくは2〜8度、より好ましくは3〜6度とされる。この径振動共振体6の内周面とマンドレル3の先端部によって、環状ダイリップ9が形成され、このダイリップから溶融樹脂が押し出される。また、13は超音波振動子であり、超音波発振器14によって発生された超音波振動を縦振動ホーン12を介して径振動共振体6に伝達される。
【0017】
次に、各構成部材について詳述する。
径振動共振体6としては、径方向の幅を狭くして振動の節部(振動しない部分を有しないようにした共振体と、径方向の幅を広くして振動の節部を有するようにした共振体(図1に示すもの)とのいずれかの共振体を用いることができる。ここで、振動の節部を有しない径振動共振体は、振幅の大きな振動がその径方向に表われ、その振幅は共振体の中心軸に対して軸対称である。また、振動の節部を有する共振体も、振幅の大きな振動がその径方向に表われ、またその振幅は共振体の中心軸に対して軸対称である。
【0018】
径振動共振体6の共振周波数は、振動節部を有しない共振体の場合には共振体外周の円周の長さによってほぼ決定され、振動の節部を有する共振体の場合には共振体の径方向の幅(外径と内径の幅)によって決定される。したがって、振動の節部を有する共振体の方が、振動の節部を有しない共振体に比べ共振周波数の選択の自由度が大きい。
【0019】
径振動共振体6と縦振動ホーン12は、あらかじめ、使用する超音波振動子13と押出成形ダイ1の必要とされる押出口径、及び共振周波数を考慮して設計,製作される。
また、径振動共振体6と振動ホーン12としては金属,セラミックス,グラファイト等を用いることができるが、振動の伝達損失の観点からすると、伝達損失の小さいアルミ合金,チタン合金が好ましい。
【0020】
径振動共振体6の固定は、共振をできるだけ妨げないようにして行なう必要がある。したがって、径振動共振体6が振動の節部を有しないものであるときは、振動ホーン12の中間部にフランジを設け、このフランジを別途設ける固定部材とボルトで外環部材2に固定し、径振動共振体6が振動の節部を有するものであるときは、図1に示すように、径振動共振体6の節部に取り付け用の穴7を設け、この穴を用いて、取り付けボルト8で外環部材2に固定する。
【0021】
超音波発振器14によって超音波振動子13に超音波振動を発生させ、縦振動ホーン12,径振動共振体6を振動させる。超音波発振器14は、温度変化に伴う共振周波数の変化、あるいは成形条件の変化に伴う音響的な負荷変動に対応するため、振幅制御回路付自動周波数追尾型の発振器を使用することが望ましい。また、必要な超音波出力が一個の超音波振動子では要求される値に達しない場合には、振動子を複数個使用することも可能である。その際には、同じ振動特性をもつ振動子を必要な本数用意し、径振動共振体6の外周面に、径振動共振体6の中心軸と軸対称に取付ければよい。
【0022】
また、超音波出力合成器を用いることもできる。例えば、振動特性を損なわないように多角形(八角形以上)に形成した振動板の各辺に超音波振動子13を接合し、これら超音波振動子13を同一位相で振動させ、その出力を中央部に集めて径振動共振体6に付与する構成とした超音波出力合成器を用いることもできる。このような超音波出力合成器を用いると大きな振動を径振動共振体6に付与できる。
【0023】
なお、径振動共振体6の外環部材2への接合に当たっては、接合面からの溶融樹脂の漏洩を防止することが必要である。また、径振動共振体6の共振を妨げないようにし、かつ、振動の損失を最小にするために、径振動共振体6の接触部が線接触となるような形状、例えばOリングとすることもできる。この場合のOリングの材質としては、成形温度に耐えられるシリコーンゴム、ふっ素含有樹脂等を用いることができるが、径振動共振体6の共振を妨げないようにし、かつ、振動の損失を最小にするために、自己潤滑性の高いふっ素含有樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
しかしながら、本発明にあっては、径振動共振体の溶融樹脂出口に押出方向への勾配を設けてある。このため、ダイ出口での溶融樹脂の流動抵抗が低下すること、ダイ出口近傍の溶融樹脂に超音波が集中的に印加されることから、ダイ出口の溶融樹脂圧力は比較的低くなる。したがって、接合部からの溶融樹脂の漏洩性は低下する。このため、前記の樹脂製のOリングの使用を避け、直接金属接合とすることが可能である。したがって、超音波による樹脂の発熱による、Oリングの熱劣化による溶融樹脂の漏洩という問題が解消できる。
【0025】
本発明の押出成形ダイを、熱可塑性樹脂からなる成形原料の押出成形装置に設ければ、成形原料を溶融して押出すときに、超音波発振器14によって超音波振動子13から押出成形ダイ1の一部を構成する径振動共振体6に超音波振動を付与することができる。これにより、押出成形ダイ1から押出される溶融樹脂に、その流れに対して垂直方向に振動を与えることができ、成形材料の押出しをより円滑ならしめることができる。したがって、メルトフラクチャー等の外観悪化を抑制できるとともに、ダイスウェルを著しく小さくでき、その結果高速度の押出成形が可能となる。
【0026】
なお、上記押出成形時に径振動共振体6に付与する振動の共振周波数は、超音波振動子13や径振動共振体6の材質,形状及び使用温度等を考慮に入れて決定されるが、溶融流動状態の樹脂に振動効果を有効に作用させるためには10〜100KHz、好ましくは15〜50KHzの周波数とすることが好ましい。
また、振動の振幅(径振動共振体の内周面の振幅)は、超音波振動を有効に作用させるために0.1〜50μm、好ましくは1〜30μmとすることが好ましい。
【0027】
なお、本発明の押出成形ダイは、環状のダイリップを有する押出成形を伴う、熱可塑性樹脂の成形に用いることができる。具体的には、中空(ブロー)成形、インフレーションフィルム成形、バイプ押出成形などの成形に応用することができる。中でも、中空成形は、ダイスウェルとドローダウンの問題があり、これらの問題解決に本発明の押出成形ダイを適用することにより、著しい効果をもたらせために好ましく用いられる。
【0028】
以下中空成形品の成形方法について、詳細に述べる。
本発明の中空成形品の成形方法は、前記の本発明の押出成形ダイを中空成形機ヘッドに装着し、環状の溶融樹脂パリソンを成形金型間に押出し、型締、気体吹き込みにより賦形する中空成形品の成形方法である。本発明の中空成形品の成形方法では、各種の中空成形品が成形できる。たとえば、容器類、カバン類、楽器、電子・電気機器ケース、事務機器部品、バンパー、スポイラーなどの自動車部品などを例示できる。
【0029】
中空成形品の成形方法に用いられる熱可塑性樹脂は、押出ダイより押し出されるパリソンのドローダウンの少ない樹脂が用いられる。したがって、射出成形などに比較して、溶融粘度の高い樹脂、すなわち比較的高分子量の樹脂が用いられる。また、ドローダウンの少ない樹脂としては、溶融張力の高い樹脂が用いられる。このため、中空成形用の樹脂は、押出成形ダイからのパリソンの押出時に、メルトフラクチャー、すなわち、パリソン表面に不規則な微小な凹凸が発生する。この凹凸が、中空成形品の外観不良となる。
【0030】
このため、メルトフラクチャーの発生を抑制するためには、樹脂温度を高くしたり、押出速度を低く保つなどのことが必要となる。しかし、温度を高くするとドローダウンが激しくなり、成形性が悪化する。また、押出速度を遅くすると、生産性が低下し、コスト上昇を招くことになる。
中空成形に於ける他の問題点としては、溶融張力の高い樹脂を用いることから、ダイスウェルが大きいことである。すなわち、押出成形ダイを出た後に、溶融樹脂が膨張して、パリソンの厚みが増大するとともに、径が拡大する現象である。このダイスウェルが大きいと、成形品の肉厚との関係で、押出ダイリップ間隔を大きくできない場合が多々生じる。すなわち、ダイリップ間隔が小さいと溶融樹脂の流動抵抗が大きくなり、押出速度を早くできないと言うことである。本発明の押出成形ダイを用いることにより、後記の実施例より明らかなように、ダイスウェルを著しく改善でき、結果として押出速度を大幅に向上できる。
【0031】
本発明の中空成形品の成形方法で用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などを例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;3−メチルペンテン−1;4−メチルペンテン−1などのオレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン,アイソタクチックポリプロピレンや、プロピレン−エチレンランダム共重合体又はブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1などのを挙げることができる。
【0032】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロンや12−ナイロンなど、環状脂肪族ラクタムを開環重合したもの、6,6−ナイロン;6,10−ナイロン;6,12−ナイロンなど、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、m−キシレンジアミンとアジピン酸との縮重合物など、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸との縮重合物やm−フェニレンジアミンとイソフタル酸との縮重合物など、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させたもの、11−ナイロンなど、アミノ酸を縮重合させたものなどを挙げることができる。
【0033】
ポリエステル系樹脂としては、芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとを縮重合させたものが挙げられ、具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどがある。ポリアセタール系樹脂としては、例えば、単独重合体のポリオキシメチレン及びトリオキサンとエチレンオキシドから得られるホルムアルデヒド−エチレンオキシド共重合体などが挙げられる。
【0034】
本発明においては、上記熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。さらには、他の低結晶性樹脂、非晶性樹脂や後述のエラストマーなどの樹脂類、無機充填剤、各種添加剤類を必要に応じて配合してもよい。また、上記の熱可塑性樹脂の中で、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとのブロック共重合体、ランダム共重合体あるいはこれらの混合物などのポリプロピレン系樹脂や高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。また、これらの樹脂には不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有するポリプロピレン系樹脂や高密度ポリエチレンであってもよい。
【0035】
ここにおいて、ポリプロピレン系樹脂としては、メルトインデックス:MI(JIS K7210に準拠、230℃、2.16kg荷重)が、0.1〜5.0g/10分、好ましくは0.2〜2.0g/10分の範囲のものが、耐ドローダウン性などのブロー成形性の点で好ましく用いられる。また、高密度ポリエチレン樹脂としては、例えば、MI(JIS K7210に準拠、190℃、2.16kg荷重)が、0.001〜5g/10分、好ましくは0.01〜2.0g/10分の範囲のものが好ましく用いられる。また、ポリプロピレン系樹脂には、前記の高密度ポリエチレン樹脂を、0.5〜50重量%の範囲で配合することにより成形性などを改善することもできる。また、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が10〜120のエチレン−プロピレン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合エラストマーなどのエラストマーを成形品中0〜30重量%加えることもできる。
【0036】
本発明の中空成形品の成形方法では、中空成形品の剛性、強度、耐熱性などの向上や冷却特性改良のために無機充填剤を、成形品中0〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で加えることもできる。ここで無機充填剤としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維ミルドファイバー、炭素繊維、硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、酸化チタン繊維、マグネシウムオキシサルフェート繊維、あるいは有機充填剤、有機繊維などを例示することができ、中でもタルク、マイカ、ガラス繊維が好ましく用いられる。
【0037】
さらに、必要により酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、分散剤、核剤などを添加することもできる。
また、中空成形品としては、単層であってもよく、多層にすることもできる。この多層の場合には、結晶性熱可塑性樹脂同士、非晶性樹脂との多層、これらの樹脂で、粘度、結晶性の異なるものや着色剤、添加剤、充填剤の配合の有無などが異なる樹脂からなる、多層であってもよい。
【0038】
以下、実施例、比較例をもとに詳細に説明するが、これらの実施例により、何ら制限されるものではない。
実施例1
図1に示す押出成形ダイを取り付けた中空成形機〔株式会社プラコー製、機種:DAC−50型)を用い、下記ので中空成形実験を行った。
▲1▼.押出成形機:スクリュー径=50mm
▲2▼.押出成形ダイ:ダイリップ径=85mm、ダイリップクリアランス=1.0mm
▲3▼.径振動共振体:アルミ合金(A2024)製、一般部厚み=32mm、本体接合部厚み=35mm、開口広がり角度(α)=4.5度
▲4▼.マンドレル:先端台錐型
▲5▼.印加超音波:周波数=22KHz、設定振幅=11μm
▲6▼.成形原料:高密度ポリエチレン〔IDEMITSU HD 520MB 密度=0.964g/cm3 、MI=0.25g/10分(190℃、2.16kg荷重)〕
▲7▼.中空成形品形状:500×400×50mmの箱、平均肉厚=約2mm
▲8▼.成形条件:樹脂温度=215℃、ダイ温度=180℃、押出速度=280kg/時間
得られた箱状成形品は、平均肉厚が約2mmであり、外観良好であった。
【0039】
実施例2
実施例1において、図1の径振動共振体のダイ本体との接合部を金属接合に代えて、ふっ素含有樹脂(ポリテトラフロロエチレン)製Oリングを介して接合した以外は、実施例1に準じて中空成形品を成形した。その結果、成形サイクルの経過とともに、樹脂洩れがわずかに観察された。
【0040】
比較例1
実施例1において、超音波を印加しなかった以外は、実施例1に準じて中空成形品を成形した。得られた箱状成形品は、平均肉厚が約3.5mmで、パリソンにメルトフラクチャーが発生し、成形品の外観も不良であった。
比較例2
中空成形品の肉厚を実施例1に合わせるために、実施例1において、リップクリアランスを0.5mm、押出速度を70kg/時間として成形した以外は、実施例1に準じて中空成形品を成形した。得られた成形品は、実施例1と実質同一であった。しかしながら、押出速度が1/4となり、生産性が大幅に低下した。
【0041】
比較例3
実施例1において、径振動共振体の内周壁の勾配を設けなかった他は実施例1に準じて中空成形品を成形した。得られた成形品の平均肉厚が、約2mmとなるためには、押出速度を200kg/時間以下とすることが必要であった。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の押出成形ダイを用いることにより、例えば、中空(ブロー)成形において、ダイスウェルを著しく抑制することが可能になる。したがって、超音波を印加しない場合に比較して、著しく押出速度を高めることが可能となる。このことは、単なる生産性の向上に加えて、短時間にパリソンを形成できるのでドローダウンの抑制にも貢献するものである。さらに、系振動共振体のダイリップに勾配を設けることにより、ダイ先端での樹脂圧力の低減と相まって、更なる押出速度の改善、樹脂シール性の改善が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出成形ダイの一例である中空成形用押出成形ダイの概念断面図を示す。
【図2】図1のX−X線断面図を示す。
【符号の説明】
1:押出成形ダイ
2:外環部材
3:マンドレル
4:押出成形ダイ本体
5:環状樹脂流路
6:径振動共振体
6A:内周面傾斜部
6B:本体接合部
7:取り付け用穴
8:取り付けボルト
9:環状ダイリップ
10:押出成形機ヘッド
11:ダイ取り付けボルト
12:縦振動ホーン
13:超音波振動子
14:超音波発振器
Claims (5)
- 環状の溶融樹脂流路を有する押出成形ダイにおいて、押出成形ダイ本体の樹脂押出口に、ダイリップ外周を形成する内周面を有する環状部材からなる径振動共振体が結合され、該内周面が押出方向に対して拡がる、1〜10度の角度を有することを特徴とする押出成形ダイ。
- 径振動共振体の外周面に、超音波振動子からの超音波振動を伝達する縦振動ホーンが設けられている請求項1記載の押出成形ダイ。
- 前記径振動共振体の内周部分が、押出成形ダイ本体に金属接触で接合されている請求項1または2記載の押出成形ダイ。
- 前記径振動共振体が振動の節部において、結合部材によりダイ本体に結合されている請求項1〜3のいずれかに記載の押出成形ダイ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の押出成形ダイより、環状の溶融樹脂パリソンを成形金型間に押出し、型締、気体吹き込みにより賦形する中空成形品の成形方法。
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