前記特許文献3の簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとすると、できるだけ軽量であることが好ましい。このためには、重量の大半を占めるフレーム部分をできるだけ小さいものとするのが望ましい。しかしながら、その場合には、前記簡易風呂は、耐水袋の外周にフレーム部分を設けているため、同袋内の入浴スペースはさらに狭くなってしまうといった問題がある。
また、前記特許文献3の簡易風呂では、フレームの高さは一定であるので、被介護者の体格の如何にかかわらず、湯面の高さは耐水袋内の湯量でしか調整できない。したがって、介護者が耐水袋外から被介護者を支えながら入浴させるときに、その耐水袋を吊り下げた上部横フレームが邪魔になって使い勝手が悪いといった問題がある。
さらに、前記特許文献3の簡易風呂では、耐水袋の底部に直接椅子を載せているため、椅子の脚部で耐水袋の底部を傷めるため、耐水袋の寿命が短くなるといった問題もある。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、安価でかつ持ち運びできる程度の軽量な構成でありながら、風呂内の入浴スペースが従来例に比べてより広くなり、かつ使い勝手のよい、長寿命の簡易風呂を提供することを目的としている。
本発明は、少なくとも旅行先に持ち運び可能で、かつ被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能な簡易風呂であって、上部が開放され、かつ折り畳み自在な耐水性の袋体と、この袋体内の底部に敷設される平面視で四角形状の底板と、この底板の四隅に立設されることにより前記袋体内に配置され、かつ前記袋体を伸展させたときの、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に該袋体を係止可能な支柱とを備えたことを特徴とする簡易風呂として構成されている。なお、この袋体を係止可能な支柱の前記設定された高さ位置は、1つである場合のみならず、複数である場合をも含むものとする。
本発明によれば、上部が開放され、かつ折り畳み自在な耐水性の袋体と、この袋体内の底部に敷設される平面視で四角形状の底板と、この底板の四隅に立設されることにより前記袋体内に配置され、かつ前記袋体を伸展させたときの、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に該袋体を係止可能な支柱とが備えられたので、従来例(特許文献1,2)のようにアームや水密ファスナーを使用し、或いはブロアを使用するといった複雑な構造ではなくなり、安価なものとなる。
また、簡易風呂を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは底板と支柱とを袋体内に設けているため、それらを小型化できる。したがって、従来例(特許文献3)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例(特許文献3)と同程度の入浴スペースであるとすると、底板と支柱とをより小型化して、さらなる軽量化を図ることができる。
また、本発明によれば、袋体を伸展させたときの支柱に係止させる前記設定された高さ位置を変えることにより、被介護者の体格の如何に応じて風呂自体の高さを調整することができるので、介護者が風呂外から被介護者を支えながら入浴させるときに、前記従来例(特許文献3)のように風呂自体の高さが邪魔にならず、使い勝手が良いものとなる。
さらに、本発明によれば、前記従来例(特許文献3)のように袋体内の底部に置いた底板上に椅子を載せたとしても、椅子の脚部が直接袋体内の底部に接触しないので、その椅子の脚部が袋体内の底部を傷めることがなくなり、袋体の寿命が長くなる。
また、袋体の材料や形状によっては、その底部内が滑りやすくなっていることから、前記従来例(特許文献2)では、その風呂の設置スペースが大きくなるものの、被介護者を寝かせた状態で入浴させるようになっており、また前記従来例(特許文献1,3)では、その風呂の設置スペースが小さくて済むように、風呂外又は風呂内に設置した椅子に被介護者を座らせることとしているが、被介護者を入浴させる際には、介護者がその被介護者を袋体の底部内で足を滑らさないようにして椅子まで支えていくことから、介護者の負担が大きい。
これに対して、本発明によれば、仮に介護者が支えた状態で被介護者を袋体内の底部の底板上に立たせたとしても、その被介護者の足には袋体内の底部が直接接触して滑りやすくなるおそれがなく、安全である。したがって、前記従来例(特許文献2)に比べて風呂の設置スペースが小さくて済むとともに、前記従来例(特許文献1,3)に比べて被介護者を入浴させる際の介護者の負担が大幅に軽減される。
請求項2記載の発明は、少なくとも旅行先に持ち運び可能で、かつ被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能な簡易風呂であって、上部が開放され、かつ折り畳み自在な耐水性の袋体と、この袋体内の底部に敷設される平面視で四角形状の底板と、この底板の四隅に立設されることにより前記袋体内に配置され、かつ前記袋体を伸展させたときの、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に該袋体を係止可能な支柱とを備え、前記支柱は該支柱を立設したときの高さ方向に段階的に伸縮可能であり、前記支柱が伸張されて最上部が前記設定された高さ位置付近となった状態で該支柱の高さを固定可能な伸縮調整部を備えたことを特徴とする簡易風呂として構成されている。なお、この袋体を係止可能な支柱の前記設定された高さ位置は、1つである場合のみならず、複数である場合をも含むものとする。
請求項2記載の発明によれば、上部が開放され、かつ折り畳み自在な耐水性の袋体と、この袋体内の底部に敷設される平面視で四角形状の底板と、この底板の四隅に立設されることにより前記袋体内に配置され、かつ前記袋体を伸展させたときの、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に該袋体を係止可能な支柱とを備え、前記支柱は該支柱を立設したときの高さ方向に段階的に伸縮可能であり、前記支柱が伸張されて最上部が前記設定された高さ位置付近となった状態で該支柱の高さを固定可能な伸縮調整部を備えたので、前記本発明による作用効果に加えて、さらに支柱とともに袋体の高さを可変として、被介護者の体格の如何に応じて風呂自体の高さを段階的に調整することができる。これにより、介護者が風呂外から被介護者を支えながら入浴させるときに、風呂自体の高さが邪魔にならず、使い勝手がさらに良いものとなる。
請求項3記載の発明のように、前記袋体は断面略四角形状に形成されるとともに、前記底板はこの袋体の断面積よりも小さい四角形状に形成されており、前記底板の各隅にそれぞれ立設された支柱に対して係止可能な係止部を、前記袋体の前記断面における各隅に備えることが好ましい。
請求項3記載の発明によれば、前記袋体は断面略四角形状に形成されるとともに、前記底板はこの袋体の断面積よりも小さい四角形状に形成されており、前記底板の各隅にそれぞれ立設された支柱に対して係止可能な係止部を、前記袋体の前記断面における各隅に備えたので、支柱の上端同士が袋体で連結される。これにより、袋体にお湯を漲ったときの水圧に耐えて、袋体内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
請求項4記載の発明のように、前記係止部は前記支柱を挿通可能なループであり、かつ該係止部は前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部、又は最上部と該最上部の下位の高さ位置とに形成されていることが好ましい。
請求項4記載の発明によれば、前記係止部は前記支柱を挿通可能なループであり、かつ該係止部は前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部、又は最上部と該最上部の下位の高さ位置とに形成されているので、支柱の少なくとも上端同士が前記ループを介して袋体で連結される。これにより、袋体を支柱に挿通させるだけで容易に係止することができ、しかも袋体にお湯を漲ったときの水圧に耐えて、袋体内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
請求項5記載の発明のように、前記支柱は該支柱を立設したときの高さ方向の最上部、最上部と中間部、又は最上部と中間部と最下部において、前記底板の外縁に沿って隣り合う支柱同士を着脱自在に連結する連結体を備えていることが好ましい。
請求項5記載の発明によれば、前記支柱は該支柱を立設したときの高さ方向の最上部、最上部と中間部、又は最上部と中間部と最下部において、前記底板の外縁に沿って隣り合う支柱同士を着脱自在に連結する連結体が備えられているので、適当な高さ位置で支柱同士が連結体で連結される。これにより、袋体にお湯を漲ったときの水圧により確実に耐えて、袋体内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
請求項6記載の発明のように、前記袋体は、前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部のループの下位の高さ位置において、該袋体の外周を囲むように取付け可能な帯状体又は板状体を備えていることが好ましい。
請求項6記載の発明によれば、前記袋体には、前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部のループの下位の高さ位置において、該袋体の外周を囲むように取付け可能な帯状体又は板状体が備えられているので、適当な高さ位置で支柱同士が袋体と帯状体又は板状体とで連結される。これにより、袋体にお湯を漲ったときの水圧により確実に耐えて、袋体内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
請求項7記載の発明のように、前記袋体は、前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部のループの下位の高さ位置において、該袋体の外周を囲むように取付け可能な帯状体を備えるとともに、前記袋体と前記帯状体との間に挿通可能な板状体をさらに備えていることが好ましい。
請求項7記載の発明によれば、前記袋体は、前記支柱を立設したときの高さ方向の最上部のループの下位の高さ位置において、該袋体の外周を囲むように取付け可能な帯状体を備えるとともに、前記袋体と前記帯状体との間に挿通可能な板状体をさらに備えたので、袋体が板状体で補強される。これにより、袋体にお湯を漲ったときの水圧により確実に耐えて、袋体内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
請求項8記載の発明は、少なくとも旅行先に持ち運び可能で、かつ被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能な簡易風呂の組み立て方法であって、上部が開放された耐水性の袋体を折り畳んだ状態で、該袋体内の底部に平面視で四角形状の底板を敷設し、この底板の四隅に支柱を立設することにより該支柱を前記袋体内に配置し、前記袋体を伸展させた状態で、該袋体を前記支柱の、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に係止するように構成したことを特徴とするものである。
請求項8記載の発明によれば、上部が開放された耐水性の袋体を折り畳んだ状態で、該袋体内の底部に平面視で四角形状の底板が敷設され、この底板の四隅に支柱が立設されることにより該支柱が前記袋体内に配置され、前記袋体を伸展させた状態で、該袋体が前記支柱の、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に係止されるように構成されたので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
本発明によれば、上部が開放され、かつ折り畳み自在な耐水性の袋体と、この袋体内の底部に敷設される平面視で四角形状の底板と、この底板の四隅に立設されることにより前記袋体内に配置され、かつ前記袋体を伸展させたときの、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に該袋体を係止可能な支柱とが備えられたので、従来例(特許文献1,2)のようにアームや水密ファスナーを使用し、或いはブロアを使用するといった複雑な構造ではなくなり、安価なものとなる。
また、旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは底板と支柱とを袋体内に設けているため、それらを小型化できる。したがって、従来例(特許文献3)と同程度の重量であるとすると、袋体内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例(特許文献3)と同程度の入浴スペースであるとすると、底板と支柱とをより小型化して、さらなる軽量化を図ることができる。
また、本発明によれば、袋体を伸展させたときの支柱に係止させる前記設定された高さ位置を変えることにより、被介護者の体格の如何に応じて風呂自体の高さを調整することができるので、介護者が風呂外から被介護者を支えながら入浴させるときに、前記従来例(特許文献3)のように風呂自体の高さが邪魔にならず、使い勝手が良いものとなる。
さらに、本発明によれば、前記従来例(特許文献3)のように袋体内の底部に置いた底板上に椅子を載せたとしても、椅子の脚部が直接袋体内の底部に接触しないので、その椅子の脚部が袋体内の底部を傷めることがなくなり、袋体の寿命が長くなる。
また、袋体の材料や形状によっては、その底部内が滑りやすくなっていることから、前記従来例(特許文献2)では、その風呂の設置スペースが大きくなるものの、被介護者を寝かせた状態で入浴させるようになっており、また前記従来例(特許文献1,3)では、その風呂のスペースが小さくて済むように、風呂外又は風呂内に設置した椅子に被介護者を座らせることとしているが、被介護者を入浴させる際には、介護者がその被介護者を袋体の底部内で足を滑らさないようにして椅子まで支えていくことから、介護者の負担が大きい。
これに対して、本発明によれば、仮に介護者が支えた状態で被介護者を袋体内の底部の底板上に立たせたとしても、その被介護者の足には袋体内の底部が直接接触して滑りやすくなるおそれがなく、安全である。したがって、前記従来例(特許文献2)に比べて風呂の設置スペースが小さくて済むとともに、前記従来例(特許文献1,3)に比べて被介護者を入浴させる際の介護者の負担が大幅に軽減される。
請求項8記載の発明によれば、上部が開放された耐水性の袋体を折り畳んだ状態で、該袋体内の底部に平面視で四角形状の底板が敷設され、この底板の四隅に支柱が立設されることにより該支柱が前記袋体内に配置され、前記袋体を伸展させた状態で、該袋体が前記支柱の、前記被介護者が風呂外の介護者により支えられた状態で入浴可能となるように設定された高さ位置に係止されるように構成されたので、簡易風呂を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。また、このようにして組み立てられた簡易風呂は、前記本発明による作用効果を奏する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る簡易風呂の概略構成を示す斜視図、図2はこの簡易風呂の組み立て中の様子を示す斜視図、図7はリングの構造を示す説明図であって、(a)は左右のリング本体の結合時、(b)は切り離し時をそれぞれ示すものである。また、図8(a)は伸縮調整部の構造を示す説明図である。
図1,図2に示すように、本実施形態1に係る簡易風呂100は、使用者としての例えば高齢者や身体障害者等の被介護者(図示省略)が椅子2に腰掛けた状態で入浴可能なものであって、上部が開放され、かつ折り畳み自在な袋体1と、この袋体1内の底部に敷設され、前記椅子2を載置可能な底板3と、この底板3の外縁の所定部位に立設され、かつ前記袋体1を伸展させたときの所定高さ位置に該袋体1を係止可能な支柱4とを備えている。なお、この袋体1を係止可能な支柱4の所定高さ位置は、1つである場合のみならず、複数である場合をも含むものとする。
袋体1は、市販のナイロン製やポリエステル製の防水シート(布に防水加工を施したものを含む。)、或いはゴムやスポンジジャージーなどを適宜形状にカットしたものを貼り合わせ、或いは縫い合わせてなり、その組み立て形状は、例えば底部が500×600mm程度で、高さが900〜1100mm程度の上部が開放された箱状のものであって、その底部からの高さが50mm程度までを二重にして補強した補強部8aを備えている(図5,6参照)。なお、袋体1の各部の厚さは、介護者や被介護者によって加えられうる物理的な力と、内部にお湯を漲ったときの水圧とに十分に耐えうる程度のものとされる。
この補強部8aのできるだけ下側には、排水栓11が取り付けられており、これにより入浴後の排水を速やかに行うことができるようになっている。袋体1の上縁部には、ほつれを防止するために図略の折り返し等によるいわゆる縁取り加工が施されている。この上縁部の四隅には、それぞれリング6を挿通することのできるループ7が取り付けられている。
リング6は、例えば市販の金属製スナップリングであって、図7(b)に示すように、そのリング6を支点61を中心として、左右のリング本体62,63をそれぞれの係合部64,65で一時的に切り離してループ7と支柱4の長孔5とを挿通した後に、図7(a)に示すように、再度結合させて袋体1の上縁部の四隅を支柱4の上端に固定するものである。このリング6としては、数巻き程度の金属コイルを使用してもよい。その場合には、リング6に有意な力が加わったとしても、前記係合部64,65でひとりでに切り離されるおそれがなくなるので、より安全なものとなる。
なお、ループ7の形状はもともと帯状のものを、袋体1の四隅において各支柱4を挿通可能に取り付けたものであるが、図1、図2に示すように、リング6を引っ掛けた状態では、そのループ7はリング6により上方に引っ張られて大きく変形している。ただし、後述するループ12と異なり、このループ7はリング6に引っ掛けさえすればよいので、必ずしも支柱4を挿通する必要はない。
底板3は、例えば木製やプラスチック製の軽量のスノコ状のものであり、その断面は前記袋体1の底部の断面よりも若干小さい四角形状に形成されている。なお、底板3はその表面や裏面を適当に粗すか、或いは凹凸状や波形状とするなどして、いわゆる滑り止め加工を施していることが望ましい。これにより、底板3を袋体1内の底部に敷設し、この底板3上に前記椅子2を安定して載置することができるようになるとともに、被介護者を入浴させる際に、介護者がその被介護者を袋体1の底部内で足を滑らさないようにして椅子2まで支えていくことが容易となる。底板3の四隅には、それぞれ支柱4の雄螺子9aをねじ込むことにより、支柱4を底板3上に立設するための螺子穴9が形成されている。
なお、図では明らかでないが、この底板3は二分割されており、各分割部分間がヒンジ止めされて折り畳めるようになっている。これにより、底板3を後述するバッグに収納して持ち運びやすくしている。
支柱4としては、例えばアルミニウムパイプ製やステンレスパイプ製の市販の伸縮ポールを4本揃えており、それらの上端部に前記袋体1のループ7にリング6を介して取り付けるための長孔5が形成されるとともに、中間部に長手方向に伸縮自在とし、或いはその伸縮させた状態の支柱4を所定位置で固定するための伸縮調整部8を備えており、底部には前記したように底板3の螺子穴9に螺子締めできる雄螺子9aが切られている。なお、支柱4の上端部の長孔5に代えて丸穴等他の形状の穴を設けてもよい。
また、伸縮調整部8は、図8(a)に示すように、例えば支柱4の上下部分41,42間に嵌め込んだ楔体81を、該楔体81の周りに設けられたナット82の回転により進退させることで、支柱4の上下部分41,41をかしめてその伸縮を規制し、或いは、このかしめ状態を解除してその伸縮をフリーとするものである。また、底板3の螺子穴9と支柱4の底部の雄螺子9aとの組み合わせに代えて、底板3に植設されたスリーブに支柱4を螺合し、或いは、同スリーブに支柱4を嵌め込むようにしてもよい。
以下、本簡易風呂100の組み立て・分解方法について説明する。図3は本簡易風呂を分解した状態を示す説明図、図4は本簡易風呂を組み立てる途中の様子を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。図5は本簡易風呂の組み立てが完了したときの様子を示す図であって、(a)は(b)のA−A断面図、(b)はその一部を切り欠いた正面図である。なお、説明の便宜上、図3中の袋体1と支柱4とは正面図、底板3は平面図をそれぞれ示している。
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と底板3と4本の支柱4とからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は2.6kg(発明者が実施モデルにて実測した値である。)程度と軽量であるがゆえに、旅行時に容易に持ち運びできる。ここでは、椅子2は持参することなく、旅行先等で用意されたものを使用することとしたが、別途椅子2を持参してもよいし、例えば介護の程度によっては、まったく椅子2を使用せずともよい場合があるのはもちろんである。
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図3に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100の転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100の少なくとも一側面をもたせ掛けるようにすることが望ましい。ついで、二つ折りした状態の底板3を取り出し、それを伸展させて袋体1内の底部に敷設する。ついで、縮小した状態の4本の支柱を取り出し、それらを回転させて各支柱4の底部の雄螺子9aを、前記底板3の四隅の螺子穴9にそれぞれ螺合させる。
すると、図4(a)(b)に示すように、袋体1内の底部に敷設した底板3上の四隅に、各支柱4を立設することができる。各支柱4の上端部の長孔5には、それぞれリング6が予め挿通されているが、未だリング6を挿通していない場合は、この段階でリング6を挿通すればよい。そして、椅子2を底板3上に載せた状態が前記図2に示したとおりである。このときには、排水栓11は閉塞状態となっている。
ついで、介護者が被介護者を支えて前記椅子2に座らせた状態で、一旦袋体1を中間位置にまで伸展させる。その袋体1の最上部のループ7をリング6に引っ掛けることにより、そのループ7を各支柱4の上端部にそれぞれ係止させる。介護者がその伸縮調整部8を所定方向に回転させて各支柱4の伸縮をフリーにした上で、該各支柱4を引っ張り上げることにより、図5(a)(b)に示すように、これらの支柱4とともに袋体1もさらに伸展させる。なお、図5(a)(b)及び後述する図6(a)(b)では、いずれも説明の便宜上、椅子2の表示を省略している。
本簡易風呂100では、袋体1を伸展させる高さ位置を、被介護者の体格に応じて最適となるように設定することができる。そして、この設定した高さ位置で、介護者が袋体1の上端の開口部から手を入れて、各支柱4の伸縮調整部8を前記所定方向と逆方向に回転させて各支柱4の伸縮を規制する。これにより、各支柱4とともに、前記設定した高さ位置に袋体1を伸展させた状態で固定させることができる。
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、図1に示すように、湯面10が被介護者の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、水圧により若干外側に膨らんだ状態となるが、これにより、被介護者は椅子2に座ったままゆったりとしたスペースで入浴することができるようになる。被介護者の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すが、残りのお湯は排水栓11を開放して袋体1内のお湯を前記風呂場の床上等に完全に排出させることができる。
引き続き、上記と略逆順で簡易風呂100の分解を行う。すなわち、介護者は袋体1の上部のループ7を、各支柱4の長孔5に係止してリング6から取り外す。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、介護者は椅子2に座ったままの被介護者を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。
そして、各支柱4の伸縮調整部8を前記所定方向に回転させて該各支柱4の伸縮の規制を解除することにより、これらの支柱4を縮小させる。さらに、この縮小させた状態の各支柱4を回転させることにより、それらの底部の雄螺子9aを底板3の螺子穴9から取り外す。ついで、底板3を袋体1から取り出して、二つに折り畳む。それぞれもとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100を持ち運ぶことができるようになる。このようにして、本簡易風呂100を旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
以上説明したように、本簡易風呂100によれば、上部が開放された耐水性の袋体1と、この袋体1内の底部に敷設される底板3と、この底板3の四隅に立設され、かつ前記袋体1を伸展させたときの所定高さ位置に該袋体1を係止可能な支柱4とが備えられたので、従来例(特許文献1,2)のようにアームや水密ファスナーといった複雑な構造ではなくなり、安価なものとなる。
また、本簡易風呂100を旅行先等に持ち運ぼうとしたときには、できるだけ軽量であることが好ましいが、ここでは底板3と支柱4とを袋体1内に設けているため、それらを小型化できる。したがって、従来例(特許文献3)と同程度の重量であるとすると、袋体1内の入浴スペースをより広くとることができる一方、前記従来例(特許文献3)と同程度の入浴スペースであるとすると、底板3と支柱4とをより小型化して、さらなる軽量化を図ることができる。
また、本簡易風呂100によれば、袋体1を伸展させたときの支柱4に係止させる所定高さ位置を変えることにより、被介護者の体格の如何に応じて風呂自体の高さを調整することができるので、介護者が風呂外から被介護者を支えながら入浴させるときに、前記従来例(特許文献3)のように風呂自体の高さが邪魔にならず、使い勝手が良いものとなる。
さらに、本簡易風呂100によれば、袋体1内の底部に置いた底板3上に椅子2を載せているが、椅子2の脚部が直接袋体1内の底部に接触しないので、その椅子2の脚部で袋体1内の底部を傷めることがなくなり、袋体1の寿命が長くなる。
また、本簡易風呂100によれば、仮に介護者が支えた状態で被介護者を袋体1内の底部の底板3上に立たせたとしても、その被介護者の足には袋体1内の底部が直接接触して滑りやすくなるおそれがなく、安全である。したがって、前記従来例(特許文献2)のように被介護者を寝かせた状態で入浴させる場合に比べて風呂の設置スペースが小さくて済むとともに、前記従来例(特許文献1,3)に比べて被介護者を入浴させる際の介護者の負担が大幅に軽減される。
なお、上記実施形態1では、袋体1の断面形状を略四角形としているが、被介護者にとって広い入浴スペースを提供することができるのであれば、その他の多角形や円形であってもよい。また、底板3は二つ割のヒンジ止め構造にして折り畳みできるようにしているが、さらに細かく分割できるようにしてもよいし、前記ヒンジ構造の代わりに、嵌め込み構造としてもよく、さらに持ち運びに支障がなければ、特に折り畳む必要もない。
また、上記実施形態1では、介護者が袋体1を各支柱4とともに伸展させることにより、被介護者の体格に応じた高さ位置に設定するようにしているが、各支柱4を先に前記高さ位置まで伸張させた後に、袋体1を同高さ位置にまで伸展させて、そのループ7を、リング6を介して支柱4の上部の長孔5に係止させるようにしてもよい。その場合には、支柱4の伸縮調整部8が袋体1で邪魔されず、外部から容易に視認できるので、その操作がより簡単になる。
また、上記実施形態1では、支柱4をその伸縮調整部8を所定方向に回転させることにより各支柱4の伸縮をフリーとし、所定方向と逆方向に回転させることにより各支柱4の伸縮を規制するようにしているが、この伸縮調整部8に代えて、各支柱4を半自動的に伸縮させる伸縮調整部80を備えても良い。
図8(b)はそのような伸縮調整部の構造を示すものである。この伸縮調整部80は、図8(b)に示すように、支柱4の上下部分41,42間に設けられ、その下側部分41に形成された穴85内に埋設されたスプリング84の弾性付勢力でもって出没自在に突出するボール83を備えており、このボール83を支柱4に形成された上側部分42の複数の穴86のいずれかに向けて移動させることにより、支柱4の上下部分41,42間を段階的に伸縮させるものである。このボール83の移動を容易にするために、各穴86の縁部には適当なアールやスロープが設けられている。
そして、この伸縮調整部80では、介護者が各支柱4の上側部分42を上方に引っ張り上げると、ボール83がスプリング84の弾性付勢力に抗して穴85内に自動的に没入し、より下側の穴86内に移動するので、該各支柱4を段階的に伸張させることができる。一方、介護者が各支柱4の上側部分42を下方に押し下げると、この場合もボール83がスプリング84の弾性付勢力に抗して穴85内に自動的に没入し、より上側の穴86に移動するので、各支柱4を段階的に縮小させることができる。なお、スプリング84の弾性付勢力は、介護者が各支柱4に力を加えないときには、各支柱4自身の重さや、お湯を漲った状態の袋体1の重さだけで勝手に縮小等しないように設定される。
したがって、この場合には、介護者が袋体1に都度手を入れて伸縮調整部80を直接操作することなく、半自動的に各支柱4の伸縮動作を行うことができて非常に便利である。あるいは、伸縮調整部8,80をまったく設けることなく、支柱全体の曲げ強度等が確保できれば、短い支柱を複数本つなぎ合わせるようにすれば、より簡単で安価な構成となる。
また、上記実施形態1では、袋体1の上部のループ7を、リング6を介して支柱4の上部の長孔5に係止させているだけであるが、袋体1の高さによっては、お湯を漲ったときの水圧による袋体1の膨らみが過大となる場合がある。そのような膨らみをできるだけ抑えるためには、次のような方法がある。なお、図6は本発明の変形例に係る簡易風呂の組み立てが完了したときの様子を示す図であって、(a)は(b)のB−B断面図、(b)はその一部を切り欠いた正面図である。
すなわち、本発明の変形例に係る簡易風呂100aでは、図6(a)(b)に示すように、袋体1の前記ループ7の下位の高さ位置に、該ループ7と同様の複数のループ12を設けておき、各ループ12を支柱4に挿通することにより、水圧による袋体1の膨らみを小さくすることができる。ただし、各ループ12のピッチは必ずしも等間隔とする必要はなく、前記水圧を考慮すると、下位になるほど密な配置にするのが好ましい。
また、この簡易風呂100bでは、同図に示すように、袋体1の前記ループ7の下位の高さ位置における、該袋体1の外周に1又は複数のバンド(帯状体に相当する。)13を巻き付けてマジックテープ(登録商標)などで固定することにより、袋体1の膨らみをさらに小さくすることができる。ただし、各バンド13の幅とピッチとは必ずしも同じとする必要はなく、袋体1内にお湯を漲ったときの水圧を考慮すると、下位になるほど幅広にし、或いはピッチを密にするのが好ましい。
また、上記実施形態1では、各支柱4は底板3上に片持ち支持されており、それらの上部同士が離間しないように袋体1で連結されているのみであるので、連結部材14を前記リング6内に挿通させることにより、各支柱4の上部同士がより離間しにくくなるようにすることができる。
この連結部材14は、各支柱4の上部同士を全て連結するものであってもよいし、そのうちの一部のみを連結するものであってもよい。この連結部材14の両端には、それぞれストッパ15を設けて、連結部材14が脱落しないようにするのが好ましい。
さらに、上記実施形態1およびその変形例では、本簡易風呂100,100aの使用者として、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者を例示しているが、健常者が本簡易風呂100,100aを使用することとしてもよいことはもちろんである。
(実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、袋体1の上部のループ7を、リング6を介して支柱4の上部の長孔5に係止させているだけであるが、袋体1の高さによっては、お湯を漲ったときの水圧による袋体1の膨らみが過大となる場合がある。そのような膨らみをできるだけ抑えるための方法として、すでに図8(a)(b)に示すような変形例を説明した。ここでは、さらに膨らみを抑えるための方法を説明することとする。なお、図12は本実施形態2に係る簡易風呂の組み立てが完了したときの様子を示す図であって、(a)は(b)のB−B断面図、(b)はその一部を切り欠いた正面図である。図13は連結体の詳細構造を示す説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C矢視図である。
本実施形態2に係る簡易風呂100bでは、上記実施形態1の構成に加え、図12(a)(b)に示すように、支柱4を立設したときの高さ方向の所定箇所において、底板3の外縁に沿って隣り合う支柱4同士を着脱自在に連結する連結体16と、袋体1の外周を囲むように取付け可能なバンド(帯状体に相当する。)13と、連結部材14と、袋体1とバンド13との間に挿通可能な板状体17とをさらに備えている。
連結体16は、図13(a)(b)に示すように、例えばアルミニウムパイプ製やステンレスパイプ製の市販のポールであって、その両端に形成されC字状の開口を有する係止部16aと、係止部16aの基部に形成され該係止部16aの開口を広げるように弾性変形する爪部16bとを備えている。前記開口は、支柱4が連結体16の係止部16aに嵌め込まれる前には、その支柱4の断面よりも若干小さく設定されており、支柱4が連結体16の係止部16aに嵌め込まれる最中には、爪部16bが弾性変形されることにより広がって支柱4を通し、支柱4が連結体16の係止部16aに嵌め込まれた後には、爪部16bの弾性復帰されることにより狭まるようになっている。これにより、連結体6が支柱4の連結位置から自然にずれたり、外れたりすることのないようになっている。ここでは、例えば3段構成の場合を示しているので、合計12本の連結体16が用意されているが、1段或いは4段以上の構成であってもよい。
ただし、複数段の場合の各段間のピッチは必ずしも同じとする必要はなく、袋体1内にお湯を漲ったときの水圧を考慮すると、下位になるほどピッチを密にするのが好ましい。また、図12(a)(b)では明らかでないが、同一の支柱4に連結される連結体16の係止部16a同士や連結体16と伸縮調整部8とが物理的に重ならないように、それらを若干ずらせて配置していることはいうまでもない(後述する図10(a)(b),図11(a)(b)についても同様である)。
板状体17は、図9に示すように、底板3の四辺の長さと風呂高さとに対応した寸法を有する4枚の略四角形状の板からなり、例えばアクリル板やベニヤ板などの安価で軽量なものが用意されている。
バンド13および連結部材14については、上記実施形態1の変形例で述べた通りのものである。ただし、水圧による力の受け具合から、バンド13のピッチは、前記連結体16のピッチとできるだけ合わせるのが好ましい。
以下、本簡易風呂100bの組み立て・分解方法について説明する。図9は本簡易風呂を分解した状態を示す説明図、図10は本簡易風呂を組み立てる途中の第一段階の様子を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。図11は本簡易風呂を組み立てる途中の第二段階の様子を示す図であって、(a)は(b)のA−A断面図、(b)はその一部を切り欠いた正面図である。本簡易風呂100bの組み立てが完了したときの様子は上記図12に示した通りである。なお、説明の便宜上、図9中の袋体1と支柱4と連結体16とは正面図、底板3は平面図、板状体17とバンド13とは部分展開図をそれぞれ示している。
それぞれ折り畳み或いは縮小させた状態の袋体1と底板3と4本の支柱4と12本の連結体16と4枚の板状体17と3本のバンド13と連結部材14とからなる各パーツは、すべて図略のバッグ内に収められており、その全体の重量は上記実施形態1よりも連結体16と板状体17とバンド13と連結部材14の分だけ重くなるが、旅行時に容易に持ち運びできる程度のものに抑えている。ここでは、前記図1および図2に示したような椅子2は持参することなく、旅行先等で用意されたものを使用することとしたが、別途椅子2を持参してもよいし、例えば介護の程度によっては、まったく椅子2を使用せずともよい場合があるのはもちろんである。
旅行先で、そのバッグから介護者が各パーツを取り出す。具体的には図9に示すように、袋体1を折り畳んだ状態のまま前記バッグから取り出し、その開放端を上向きにして例えば風呂場の床上に置く。その際、組み立て中又は組み立て後の簡易風呂100bの転倒を防止するために、できれば同風呂場の壁などを利用して、簡易風呂100bの少なくとも一側面をもたせ掛けるようにすることが望ましい。ついで、二つ折りした状態の底板3を取り出し、それを伸展させて袋体1内の底部に敷設する。ついで、縮小した状態の4本の支柱を取り出し、それらを回転させて各支柱4の底部の雄螺子9aを、前記底板3の四隅の螺子穴9にそれぞれ螺合させる。
すると、図10(a)(b)に示すように、袋体1内の底部に敷設した底板3上の四隅に、各支柱4を立設することができる。また各支柱4の上端部の長孔5には、それぞれリング6が予め挿通されているが、未だリング6を挿通していない場合は、この段階でリング6を挿通すればよい。そして、椅子2を底板3上に載せた状態が前記図2に示したとおりである。このときには、排水栓11は閉塞状態となっている。
ついで、介護者が被介護者を支えて前記椅子2に座らせた状態で、各支柱4の最下部と中間部の2段において、それぞれ隣り合う支柱4同士を着脱自在に連結するように連結体16を取り付ける。具体的には、図13(a)(b)において、前記支柱4に連結体16の係止部16aの開口を押し付けて、爪部16bをその開口の内側に弾性変形させることにより当該開口を広げて、支柱4に連結体16の係止部16aが嵌め込まれる。このようにして支柱4に嵌め込まれた連結体16は、弾性復帰した爪部16bの働きにより、その支柱4の連結位置から自然にずれたり、抜け落ちたりすることが防止される。
一旦袋体1を中間位置にまで伸展させる。袋体1の最上部のループ7をリング6に引っ掛けることにより、そのループ7を各支柱4の上端部にそれぞれ係止させる。介護者がその伸縮調整部8を所定方向に回転させて各支柱4の伸縮をフリーにした上で、該各支柱4を引っ張り上げることにより、図11(a)(b)に示すように、これらの支柱4とともに袋体1もさらに伸展させる。なお、図11(a)(b)及び後述する図12(a)(b)では、いずれも説明の便宜上、椅子2の表示を省略している。
本簡易風呂100bでも、上記実施形態1の簡易風呂100やその変形例の簡易風呂100aと同様に、袋体1を伸展させる高さ位置を、被介護者の体格に応じて最適となるように設定することができる。そして、この設定した高さ位置で、介護者が袋体1の上端の開口部から手を入れて、各支柱4の伸縮調整部8を前記所定方向と逆方向に回転させて各支柱4の伸縮を規制する。これにより、各支柱4とともに、前記設定した高さ位置に袋体1を伸展させた状態で固定させることができる。このときの各支柱4の最上部において、隣り合う支柱同士を連結するように連結体16を取り付けて、合計3段構成の連結体16とする。
そして、袋体1の外周の各面に板状体17をそれぞれ沿わせることで、当該袋体1の外周の全面を板状体17で被覆する。そして、これらの板状体17の上から、バンド13を適宜高さ位置にて巻き付けてマジックテープ(登録商標)などで固定すると、図12(a)(b)に示したような簡易風呂100bが完成する。
ついで、前記風呂場の図示しない浴槽や給湯栓にホースで接続したポンプ等を使用して、袋体1内に給湯する。そして、上記図1と同様に、湯面が被介護者の体格に応じた適当な高さ位置となったところで、給湯を停止する。給湯した状態の袋体1は、上記実施形態1とは異なり、水圧によりほとんど膨らまないが、このときでも袋体1は支柱4の外側にあるので、被介護者は比較的ゆったりとしたスペースで入浴することができるようになる。被介護者の入浴が終わった後、介護者は前記ポンプを再度使用して、袋体1内のお湯を前記風呂場の図示しない浴槽等に汲み出すが、残りのお湯は排水栓11を開放して袋体1内のお湯を前記風呂場の床上等に完全に排出させることができる。
引き続き、上記と略逆順で本簡易風呂100bの分解を行う。すなわち、介護者はバンド13と板状体17とをそれぞれ取り外した後、袋体1の上部のループ7を、各支柱4の長孔5に係止してリング6から取り外す。すると、袋体1は重力落下して、もとの折り畳んだ状態に戻るので、手前側の各支柱4の最下部と中間部と最上部の連結体16だけを取り外す。具体的には、図13(a)(b)において、前記連結体16を押圧することで、この連結体16の係止部16aの開口から支柱4を相対的に押し出し、その爪部16bを弾性変形させることによりその開口を広げて、支柱4から連結体16を取り外す。手前の連結体16だけを全段取り外せば、介護者は椅子2に座ったままの被介護者を支えて袋体1から容易に外側に連れ出すことができる。その後に、残りの連結体16を取り外せばよい。
そして、各支柱4の伸縮調整部8を前記所定方向に回転させて該各支柱4の伸縮の規制を解除することにより、これらの支柱4を縮小させる。さらに、この縮小させた状態の各支柱4を回転させることにより、それらの底部の雄螺子9aを底板3の螺子穴9から取り外す。ついで、底板3を袋体1から取り出して、二つに折り畳む。それぞれもとの状態に戻した各パーツを前記バッグに収納することにより、本簡易風呂100bを持ち運ぶことができるようになる。このようにして、この簡易風呂100bを旅行先等で容易に組み立てることができ、或いはこの組み立てたものを容易に分解することができる。
以上説明したように、本簡易風呂100bによれば、上記実施形態1の作用効果に加えて、適当な高さ位置で支柱4同士が連結体16で着脱自在に連結され、袋体1が板状体17で補強され、その板状体17がさらにバンド13で固定されることにより、袋体1にお湯を漲ったときの水圧により確実に耐えて、袋体1内の入浴スペースをできるだけ広くすることができる。
なお、上記実施形態2では、板状体17は、底板3の四辺の長さと風呂高さとに対応した寸法を有する4枚の略四角形状の板材からなるものとしているが、底板3の形状等によっては、より少ない枚数、或いは、より多くの枚数の板材からなるものとしてもよい。また、その高さは前記風呂高さよりも低くしてもよい。板状体17の形状についても、略四角形に限定されない。さらに、簡易風呂100bの使用者として、例えば高齢者や身体障害者等の被介護者を例示しているが、健常者が本簡易風呂100bを使用することとしてもよいことはもちろんである。
また、上記実施形態2では、隣り合う支柱4同士を連結する連結体16を設けた上で、袋体1の外周の四面をすべて板状体17で被覆し、さらにその上にバンド13を巻き付けて各板状体17を固定しているが、板状体17同士をヒンジや留め金等で連結することとしてもよい。これにより、バンド13と連結体16の少なくとも一方を省略し、少なくとも板状体17で袋体1を補強して、この袋体1の膨らみを少なくすることができる。或いは、板状体17を省略して、連結体16とバンド13の少なくとも一方で袋体1を補強して、この袋体1の膨らみを少なくすることもできる。