JP4154566B2 - ヒートシール蓋付きキャップとそのキャップ本体へのヒートシール蓋装着方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、容器口部と蓋とをヒートシールにて密封するヒートシール蓋を有するキャップ、特にヒートシール蓋をネジキャップ本体に容易に挿入して組立てることができるようにしたヒートシール蓋付きキャップとその装着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、先に、容器口部にヒートシールして容器口部を密封するヒートシール蓋と外蓋であるネジキャップ本体の2ピースの組合せからなり、ネジキャップ本体と一体にヒートシール蓋を容器口部に装着し、その後外部より加熱することによって容器口部をヒートシール蓋で自動的に密封することができ、且つ開栓時にはキャップ本体を回転させるだけで、ヒートシール蓋を容器口部から剥離して1動作で開封できるヒートシール蓋付きキャップを提案した(特願2001−325184号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記提案したヒートシール蓋付きキャップの改良に係り、特にヒートシール蓋をネジキャップ本体に装着してキャップを組立てる場合における、ヒートシール蓋のネジキャップ本体への装着性を改良したものである。前記提案したヒートシール蓋付きキャップは、キャップ天面の内径にほぼ等しい径を有するヒートシール蓋をキャップ内部に装着し、該蓋が外れないようにスカート壁内側面に設けた突起で支える構造となっている。そのため、例えば図7に示すヒートシール蓋付きキャップ40のように、キャップ本体41の突起部42とキャップ天壁43が接近している場合、ヒートシール蓋44を挿入する際に、図7(a)に示すように、ヒートシール蓋の一部が突起部42と天壁43との間に挿入されても、残りの部分は無理に押し込んで突起部を乗り越えて装着しなければならない。そのため、図7(b)に示すように、天壁43が邪魔になりヒートシール蓋44の外周端部付近に局所的な変形45を起こしてしまう場合がある。一方、ヒートシール蓋に大きなダメージを与えずに装着するには、ネジキャップ本体の突起のアンダーカット量や周方向の突起長さの低減、あるいは突起と天面との距離を離す等しなければならず、ネジキャップ本体形状の制約が大きくなり、密封性、開栓性、材料使用量を満足するネジキャップ本体の設計が困難となる問題点がある。また、従来のヒートシール蓋付きキャップの場合、使用後の廃棄に際して、ヒートシール蓋とキャップ本体が分離しにくいため、材質の相違する両部材を資源再利用のために分別廃棄することが困難であった。
【0004】
そこで、本発明は容器口部にヒートシールして容器口部を密封するヒートシール蓋と外蓋であるネジキャップ本体の2ピースの組合せからなるヒートシール蓋付きキャップにおいて、突起部とキャップ天壁面が接近している場合であってもヒートシール蓋の外周端部付近に局所的な変形を起こすことなく、ヒートシール蓋をネジキャップ本体に容易に装着でき、しかも、ネジキャップ本体の突起のアンダーカット量や周方向の突起長さの低減、あるいは突起と天壁との距離を離す等のネジキャップ本体形状に制限を受けることなく形成でき、且つ使用後の廃棄に際してヒートシール蓋とキャップ本体が容易に分離できるヒートシール蓋付キャップを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決する本発明のヒートシール蓋付きキャップは、容器口部に螺合するネジキャップ本体と容器口部をヒートシールで密封するヒートシール蓋との2ピースからなるヒートシール蓋付きキャップであって、前記ネジキャップ本体は、スカート壁内周面に前記ヒートシール蓋の脱落を防止する突起部を有し、且つ天壁中央部が開口しており、前記ヒートシール蓋は、少なくともシール層とサポート層からなり、該シール層と前記サポート層の厚みt(mm)と曲げ弾性率M(Mpa)が、30<t×M<3000の範囲内にある弾性体からなり、前記キャップ本体を容器口部に螺着して加熱することにより、容器口頂部にヒートシール蓋の前記シール層が熱溶着され、開栓時にキャップ本体の螺合を解くことにより前記突起部が前記ヒートシール蓋を容器口から剥離できるようにしてなることを特徴とするものである。
【0006】
従って、前記ヒートシール蓋は、前記キャップ本体を容器口部に螺着して加熱することにより、容器口頂部に熱溶着され、開栓時にキャップ本体の螺合を解くことにより前記突起部がヒートシール蓋を容器口から剥離できるようにして、一動作で容器口の密封及び開栓ができるようになっている。前記ヒートシール蓋は、シール層とサポート層の厚みt(mm)と曲げ弾性率M(Mpa)が、t×Mが30以下の場合、剥離する際にシール蓋の剛性が小さくて変形してしまうために、シール部を破壊する力を発揮できない。逆に3000以上であると、シール蓋を剥離する際に蓋の変形が殆どなく、シール部を破壊する力がシール面全体に対して必要となり、開封強度を高めることになるので、上記範囲が望ましい。
【0007】
また、前記請求項1に記載のヒートシール蓋付きキャップにおける前記ネジキャップ本体内に前記ヒートシール蓋を装着する本発明のヒートシール蓋装着方法は、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の前記突起部を通過させる際、前記ヒートシール蓋の中央部をキャップ本体の天壁開口部より外方に突出させて弾性変形させることにより、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の突起部と天壁との間に挿入することを特徴とするものである。また、本発明の他のヒートシール蓋装着方法は、キャップ本体の底部側に位置する工具とキャップ本体の天壁開口部を通した工具とで前記ヒートシール蓋を挟み、該ヒートシール蓋の径方向の距離が縮小するように弾性変形させながら、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の突起部と天壁との間に挿入することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るネジキャップ本体の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明に係るネジキャップ本体の一実施形態を示し、本実施形態は広口ボトル用のキャップに適用した場合を示している。
本発明に係るヒートシール蓋付きキャップ1は、図1に示すように、キャップ本体2と該キャップ本体2の内部に装着されるヒートシール蓋3の2部材から構成されている。キャップ本体2の材質としては、閉栓時に加えられる力で、キャップが大きく変形しないように剛性のある弾性材料であればよく、金属、セラミック、合成樹脂等の中から任意の材料を用いることができる。
【0009】
一方、本発明のヒートシール蓋付きキャップ1を装着する対象となる容器は、該キャップが螺合する容器口部を有していれば良く、ボトル形状、パウチ形状等容器本体の形状と材質は特に問わないが、少なくとも容器口部のシール面が、ヒートシール性を有する樹脂、あるいはヒートシール性樹脂をコーティング又はヒートシール性樹脂フィルムを積層してなる合成樹脂製容器、金属製容器、ガラス製容器、紙製容器、あるいはセラミック製容器に適用可能である。しかしながら、必ずしも容器口部のシール面がヒートシール性を有する樹脂に限らず、ヒートシール蓋がヒートシール可能であれば、容器を構成する材質が直接露出していても構わない。ヒートシール性を有する樹脂としては、熱可塑性樹脂であればよく、特にその材質は限定されない。
【0010】
キャップ本体2は、天壁5と該天壁から垂下し内周面に容器口部20の雄ネジと螺合する雌ネジ6を有するスカート壁7を備えている。スカート壁7の内周面には、雌ネジ6の上端部と天壁5内面との間に位置するように、容器への装着前はヒートシール蓋3のキャップ本体からの脱落を防止し、且つ開栓時にはヒートシール蓋3の剥離手段となる突起部として環状突起9が突出形成され、該環状突起9と天壁5との間にヒートシール蓋3が装着されている。環状突起9は、必ずしも水平ではなく天壁面に対し所定角度傾斜して形成され、後述するように、開栓時にキャップ本体2を回すことによってその上面のみがヒートシール蓋3の突出部16の下面に当たって、回転に応じて円周方向に沿って容器口部外周側から内周側に向かって次第に剥離するようになっている。それにより開栓トルクの軽減化を図っている。なお、環状突起9の断面形状は、下面をテーパー状の傾斜部にして、キャップ組立に際してはヒートシール蓋3が装着し易いようになっており、上面が平坦状の係止部となって、開栓時にはヒートシール蓋3の突出部16と係合し易いように形成されている。
【0011】
そして、本発明では、ヒートシール蓋3をネジキャップ本体内に装着する際に天壁がヒートシール蓋の邪魔にならず、容易に挿入することができるように、キャップ本体の天壁5には、中央部分がほぼ容器口内径より小さい径の円形に繰り抜いて天壁開口部10が形成されている。このように天壁開口部10を形成することによって、ヒートシール蓋3をネジキャップ本体の下端開口から挿入してネジキャップ本体内に装着する際に、図4に示すように、ヒートシール蓋3の外周部が環状突起9下面に当たって上昇を阻止されるが、天壁開口部10が形成されているので、その中央部を下方より押し込むことによって、中央部を天壁開口部10から突出させて外側に湾曲させることができる。その結果、ネジキャップ本体の外周部が環状突起9を乗り越えて環状突起と天壁との間に嵌ることができる。したがって、環状突起と天壁との間が狭くてもヒートシール蓋を容易にネジキャップ本体内に装着することができる。
【0012】
ヒートシール蓋3は、基本的には、少なくとも下面が容器口部20とヒートシール可能な材料から形成され、且つ開栓時にキャップ本体2の回転に伴って環状突起9の一端が該ヒートシール蓋3の突出部16の下面に係合して、ネジのリード角に応じて上昇することによって、ヒートシール蓋3の突出部16が上方に押し上げられる際に、その周縁が弾性変形して容器口部外周側から内周側に向かって剥がす力が作用するような剛性を有する材料で形成されていることを必要とし、シール層とサポート層から構成されている。
【0013】
図3に、ヒートシール蓋3の代表的な3つの実施形態が模式的に示されている。図3(a)に示す実施形態のヒートシール蓋31は、上層部に剛性のあるサポート層111と下層部にヒートシール可能なシール層121から構成され、層間が接着して一体になっている多層構造である。図3(b)に示すヒートシール蓋32は、前記サポート層112とシール層122との間に金属箔層13が介在して一体になっている多層構造となっている。また、図3(c)に示すヒートシール蓋33は、サポート層113の下面に通常のキャップにおけるインナーリングに相当する円筒状の中足14が形成され、該中足より外側のサポート層下面に容器口部とヒーシール可能なシール層123を有し、層間が接着されて一体となっている。なお、これらの3つの実施形態における添字を付した引出符号で示す何れの部材も含む場合は、添字を省いた引出符号で表す。
【0014】
前記ヒートシール蓋3において、シール層12は、単層又は2層以上の多層から構成されている。単層構成の場合は、パラフィン系ワックスを用いたシール層や容器口部のシール面を構成する樹脂とは異種の樹脂でシール層を構成することによって、ヒ−トシールされたシール部のヒートシール強度が小さく、易剥離性シールとなることを利用する。例えば、容器口部20のシール面を構成する樹脂がポリプロピレンのとき、シール層に線状低密度ポリエチレンを用いる。他方、容器口部20のシール面を構成する樹脂が線状低密度ポリエチレンのとき、シール層にポリプロピレンを用いる。
【0015】
あるいは、容器口部20のシール面を構成する樹脂と同種の樹脂に、非相溶性樹脂を加えたブレンド系樹脂でシール層を構成することによって、ヒートシールされたシール部は、ブレンドする非相溶性樹脂の種類と配合比によって、易界面剥離性、或いは、易凝集破壊性を有する易剥離性シールとなることを利用する。この場合、例えば、容器口部20のシール面を構成する樹脂がポリエチレン系樹脂の場合、シール層を構成するブレンド系樹脂としては、ポリエチレンとポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンとポリブテン系樹脂、ポリエチレンとプロピレン−αオレフィン共重合体等のフレンド系樹脂が挙げられる。他方、容器口部20のシール面を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、シール層を構成するブレンド系樹脂としては、ポリプロピレンとポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンとエチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレンと環状オレフィンコポリマー等のブレンド系樹脂が挙げられる。
【0016】
しかしながら、以上の例に限らず、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、ポリブテン、ブテン−αオレフィン共重合体、酸変性オレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリスチレン系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ピニル共重合、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂の中から、容器口部20のシール面を構成する樹脂と非相溶な樹脂を選び、これらと容器口部20のシール面を構成する樹脂との配合比を調整しながらブレンドした樹脂系でシール層を構成することで、容器口部20と易剥離性シールを形成できるシール層とすることができる。
【0017】
また、ヒートシール蓋3のサポート層11は、高周波誘導加熱時に、溶けたり変形したりしないように、シール層12より耐熱性のあるものを使用する。開栓時にヒートシール蓋3が持ち上げられる時に、ヒートシール蓋3が撓むことでシール部が剥離する。このため、サポート層11は可撓性を有する材料で構成する。具体的には、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン系樹脂、セロハン、ポリエステル乃至コポリエステル系樹脂、ポリアミド乃至コポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト、ポリステレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、メタクリル酸樹脂等が用いられる。あるいはこれらの樹脂に、剛性、寸法安定性、耐熱性等を付与するために、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボン等の無機系充填材が混合されても良い。
【0018】
さらに、ヒートシール蓋3に金属箔層13を設けた場合、金属箔層13は高周波加熱時に発熱体として作用するもので、具体的にはアルミ箔、スチール箔、ブリキ箔等の金属箔が採用できる。
【0019】
以上のような材料からなるヒートシール蓋3は、容器口部20の材料との接着が実質的にTピール剥離強度で15mm幅当たり0.5〜25Nの範囲にあり、且つ前記ヒートシール層12と前記サポート層11の厚みt(mm)、曲げ弾性率M(Mpa)が、30<t×M<3000の範囲にある弾性体である条件を満たすように構成する。ヒートシール力は、開封性と密封性を両立するものでなければならず、接着部のTピール強度が上記範囲にあることが望ましく、下限より小さいと密封性能に不安が生じ、上限より大きいと開栓に際し、剥離強度が高くネジキャップの開栓トルクが大きくなり開栓性が悪くなる。一方、t×Mが30以下の場合、剥離する際にシール蓋3の剛性が小さくて変形してしまうために、シール部を破壊する力を発揮できない。逆に3000以上であると、ヒートシール蓋3を剥離する際に蓋の変形が殆どなく、シール部を破壊する力がシール面全体に対して必要となり、開封強度を高めることになる。
【0020】
本実施形態のヒートシール蓋付キャップ1は以上の構成からなり、ネジキャップ本体2内にヒートシール蓋3を装着してキャップを組立てるには、図4に示すように、ヒートシール蓋の外周部が環状突起下面に当たって上昇を阻止されるが、天壁開口部10が形成されているので、その中央部を矢印15で示すように下方より押し込むことによって、中央部を天壁開口部10から突出させて外側に湾曲させることができる。その結果、ヒートシール蓋3の外周部(突出部16)が環状突起9を乗り越えて環状突起9と天壁5との間に嵌ることができる。したがって、環状突起と天壁との間が狭くてもヒートシール蓋に損傷や変形を与えることなく容易にネジキャップ本体内に装着することができる。上記ヒートシール蓋付キャップの組立作業は、図示しない適宜の組立装置によって自動的に行われるか、勿論手動でも可能である。
【0021】
以上のようにして組立てられたヒートシール蓋付キャップ1は、充填密封ラインの密封工程において、キャップ本体2をボトル口に螺着して外部より加熱することにより、図2に示すように、ヒートシール蓋3が容器口20の頂部に熱溶着され容器口部を密封する。そして、開栓時にはキャップ本体の螺合を解くことにより環状突起9がヒートシール蓋3の突出部16に係合して容器口から剥離する。したがって、キャップ本体の螺合を解く一動作でヒートシール蓋の剥離を同時に行うことができる。
【0022】
そして、以上のように構成された本発明のヒートシール蓋付キャップ1は、ネジキャップ本体に天壁開口部10が設けられているので、使用後にヒートシール蓋3とネジキャップ本体2を分離するに際して、図5に示すように、天壁開口部を通して適宜の工具17又はキャップ径が大きい場合は直接指でを押圧することができ、簡単に分離することがてきる。したがって、材質の相違するヒートシール蓋とネジキャップ本体を分別廃棄が容易となり、資源の再利用性を高めるキャップを得ることができる。さらに、ネジキャップ本体の天壁開口部10を設けることによって、ネジキャップ本体の天壁の材料を節約することができると共にヒートシール蓋付キャップの軽量化を図ることができる。さらにまた、ヒートシール蓋付キャップを装着したボトルをボイル又はレトルト殺菌した場合、通常ヒートシール蓋とネジキャップ本体の天壁との間に水分が入り込み、その後もそのまま残ることがあるが、本発明のキャップの場合天壁に開口部があるので、殺菌後の水分はそこから排出されるからそのような現象が生じる恐れはない。
【0023】
ヒートシール蓋3をネジキャップ本体2内に装着する方法として、図4では、ヒートシール蓋3を下方から押し込んでいたが、その方法に限らず、種々の方法が採用できる。図6は、ヒートシール蓋をネジキャップ本体内に装着する方法の他の方法の実施形態における装着工程を模式的に示している。
本実施形態でのヒートシール蓋付キャップ組立装置は、底部側に位置する工具であるヒートシール蓋支持リング25とキャップ本体の天壁開口部10を通って上下動する工具である押圧工具26の組合せにより、ヒートシール蓋3を挟み、該ヒートシール蓋の径方向の距離が縮小するように弾性変形させながらネジキャップ本体2の内部に自動的に装着するようにしたものである。ヒートシール蓋支持リング25はネジキャップ本体2の環状突起9の内径よりも小さい外径を有し、押圧工具26はその最大外径がネジキャップ本体2の天壁開口部10の内径よりも小さく、且つ下端面がヒートシール蓋3の中央部を押圧するように形成されている。ヒートシール蓋支持リング25及び押圧工具26は、それぞれキャップの軸線方向に適宜の駆動手段で変位可能に構成されている。
【0024】
上記装置により、ヒートシール蓋3をネジキャップ本体2の内部に装着するには、組立工程において、ヒートシール蓋支持リング25上にその中心を合わせてヒートシール蓋3が供給され、所定位置に供給保持されているネジキャップ本体2と軸方向に相対移動して、同図(a)に示すように、ヒートシール蓋をネジキャップ本体2内に位置させる。この状態で押圧工具26が下降してネジキャップ本体の天壁開口部10を通ってその下端面がヒートシール蓋の表面中央部に当たる(同図(a))。この状態からさらに押圧工具26が降下することによって、ヒートシール蓋3は弾性変形して次第に中央部が下側に凸状態となり、ヒートシール蓋保持リング25から外側部分は上方に反り返り次第に縮径状態となる。押圧工具26の下降をヒートシール蓋3の外径がネジキャップ本体2の環状突起9内径よりも小さくなるまで弾性変形させる(同図(b))。したがって、その状態を保持したまま、ヒートシール蓋保持リング26を押圧工具と一体に上昇させるとヒートシール蓋3の外周部はネジキャップ本体の環状突起9の位置を通過して、その外周端が天壁5に当たったところで、ヒートシール蓋保持リング25の上昇を停止し、押圧工具26のみ上昇させる(同図(c)〜(d))。それにより、ヒートシール蓋3は開放され弾性により元の平板状態に復帰し、その外周縁部が環状突起9の上方に位置し、ヒートシール蓋3はネジキャップ本体2の環状突起9と天壁5の間に装着される(e)。さにら、押圧具が上昇することによってヒートシール蓋が工具から完全に開放され、組立てられたヒートシール蓋付キャップは組立装置から排出される。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限るものでなく、その技術思想において種々の設計変更が可能である。例えば、ヒートシール蓋3の剥離手段としてキャップ本体2に設ける突起部として環状突起9を設けたが、必ずしも環状突起に限らず、間欠的に形成された複数個の突起であってもよい。また、環状突起の上面の形状は平坦でなく、凸状突起部や隆起部分を備えた形状であってもよい。さらには、スカート壁内周面に形成されたネジ部終端部が剥離手段を兼ねるようにしてもよい。また、上記実施形態では広口キャップに適用した場合であるが、広口キャップに限らず、通常のPETボトル等の合成樹脂ボトル用キャップやスパウト用の小径キャップ、あるいはボトル形状の金属製容器用のキャップ等にも適用できることは言うまでもない。また、キャップ本体に、タンパーエビデントバンドを有するものと有しないもの、何れのキャップにも適用することができる。
【0026】
従来ガラス瓶と金属キャップを組合せた容器において、例えば壜詰ジャム等のように、内容品を充填密封後に熱殺菌されて容器内が減圧状態になった際、金属キャップの中央部が凹んでいることで密封が保たれていることが確認できるという機能を金属キャップに持たせている。本発明のヒートシール蓋付きキャップを、例えば、耐熱PETボトルやガラスボトル等と組合せ、その容器を、内容品を充填密封後に熱殺菌処理をし、冷却後に減圧状態になるような減圧容器に適用した場合、キャップ天面をくり抜いてあるので、シール蓋の中央部が減圧状態になって凹んでいる場合は、それを直接目で確認することができる。したがって、本発明のキャップは、減圧容器に適用した場合は、金属キャップと同様にその密封性能の保証機能を有している。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明のヒートシール蓋付きキャップ及びそのキャップ本体へのヒートシール蓋装着方法によれば、ヒートシール蓋の支持及び剥離手段であるキャップ本体の突起部と、キャップ天壁が接近している場合であっても、天壁開口部が設けられているので、ヒートシール蓋の中央部を中心に変形させて縮径させることができ、ヒートシール蓋の外周端部付近に局所的な変形や損傷を与えることなく、ヒートシール蓋をネジキャップ本体内に容易に装着できる。したがって、ネジキャップ本体の突起のアンダーカット量や周方向の突起長さの低減、あるいは突起と天壁との距離を離す等のネジキャップ本体形状に制限を受けることなく形成できる。
【0028】
また、使用後の廃棄に際してヒートシール蓋とキャップ本体が容易に分離でき、材質の相違するヒートシール蓋とネジキャップ本体を分別廃棄することが容易となり、資源の再利用性を高めるキャップを得ることができる。さらに、ネジキャップ本体の天壁開口部を設けることによって、ネジキャップ本体の天壁の材料を節約することができると共にヒートシール蓋付キャップの軽量化を図ることができる。さらにまた、ヒートシール蓋付キャップを装着したボトルをボイル又はレトルト殺菌した場合、本発明のキャップの場合天壁に開口部があるので、殺菌後の水分はそこから排出されるからそのような現象が生じる恐れはない等の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るヒートシール蓋付キャップを示し、(a)は正面断面図、(b)は平面図である。
【図2】上記実施形態に係るヒートシール蓋付キャップを容器口に装着した状態を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明に係るヒートシール蓋の種々の実施形態を示す拡大断面模式図である。
【図4】上記実施形態に係るヒートシール蓋付キャップにおいて、キャップ本体にヒートシール蓋を装着する模式図である。
【図5】上記実施形態に係るヒートシール蓋付キャップにおいて、キャップ本体からヒートシール蓋を分離する模式図である。
【図6】本発明のヒートシール蓋付キャップにおいてキャップ本体へのヒートシール蓋装着方法の実施形態に係る工程図である。
【図7】(a)〜(b)は従来のヒートシール蓋付キャップにおけるヒートシール蓋の装着方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ヒートシール蓋付キャップ
2 キャップ本体
3 ヒートシール蓋
5 天壁
7 スカート壁
9 環状突起
10 天壁開口部
11 サポート層
12 シール層
13 金属箔
16 突出部
20 容器口部
25 ヒートシール蓋支持リング
26 押圧工具
Claims (3)
- 容器口部に螺合するネジキャップ本体と容器口部をヒートシールで密封するヒートシール蓋との2ピースからなるヒートシール蓋付きキャップであって、
前記ネジキャップ本体は、スカート壁内周面に前記ヒートシール蓋の脱落を防止する突起部を有し、且つ天壁中央部が開口しており、
前記ヒートシール蓋は、少なくともシール層とサポート層からなり、該シール層と前記サポート層の厚みt(mm)と曲げ弾性率M(Mpa)が、30<t×M<3000の範囲内にある弾性体からなり、
前記キャップ本体を容器口部に螺着して加熱することにより、容器口頂部にヒートシール蓋の前記シール層が熱溶着され、
開栓時にキャップ本体の螺合を解くことにより前記突起部が前記ヒートシール蓋を容器口から剥離できるようにしてなることを特徴とするヒートシール蓋付きキャップ。 - 請求項1に記載のヒートシール蓋付きキャップにおける前記ネジキャップ本体内に前記ヒートシール蓋を装着するヒートシール蓋装着方法であって、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の前記突起部を通過させる際、前記ヒートシール蓋の中央部をキャップ本体の天壁開口部より外方に突出させて弾性変形させることにより、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の突起部と天壁との間に挿入することを特徴とするヒートシール蓋装着方法。
- 請求項1に記載のヒートシール蓋付きキャップにおける前記ネジキャップ本体内に前記ヒートシール蓋を装着するヒートシール蓋装着方法であって、キャップ本体の底部側に位置する工具とキャップ本体の天壁開口部を通した工具とで前記ヒートシール蓋を挟み、該ヒートシール蓋の径方向の距離が縮小するように弾性変形させながら、前記ヒートシール蓋をキャップ本体の突起部と天壁との間に挿入することを特徴とするヒートシール蓋装着方法。
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