JP4154034B2 - 車両用操向ハンドル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両、主として自動二・三輪車の操向用ハンドルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来自動二輪用では、前輪を懸架する操向軸の上部に、金属パイプよりなる棒状の操向ハンドルが取り付けられ、この操向ハンドルの握り部を除く中央部分を、その操向ハンドルとは別体に形成される前、後カバーよりなるトップカバーにより覆い、それらのカバー内の空間にメータ等の機器類を納めるようにするのが一般的である(たとえば実用新案登録第2547379号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記従来のものでは、操向ハンドルと、トップカバーとが別材料により別体に構成されており、それらをネジ等の固着具により固着するようにしているので、部品点数が多くなるばかりでなく組立工数が増加し、その結果コスト高を招くという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、操向ハンドルは、操向軸の上方に配設される機器類を覆うカバー部と、運転者の把持するハンドル部とを合成樹脂材により一体に成形して構成し、部品点数の削減、組付工数の低減を図り、もって大幅なコストダウンを達成できるようにした、新規な車両の操向用ハンドルを提供することを主な目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明によれば、車体フレームに回動可能に支持される操向軸の上端に取り付けられる、車両用操向ハンドルであって、前記操向軸の上方に配設される機器類を覆う中空のカバー部と、そのカバー部の左右両端壁より左右方向外方にそれぞれ延出した、運転者が把持可能な左、右ハンドル部と、前記カバー部の内面より該カバー部の内部空間に張出す複数のリブとを備えると共に、それらリブの一部が該カバー部の左右両端壁相互を一体に接続してなり、前記カバー部、左、右ハンドル部及びリブが合成樹脂材により一体に成形されることを特徴としており、かかる特徴によれば、部品点数が削減されると共に組付工数が大幅に低減され、その結果コストダウンに寄与することができ、その上ハンドル部に対するメータ等の機器類の取付精度を高めることができ、さらに操向ハンドルが軽量化される。
【0006】
また前記目的達成のため、本請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載のものにおいて、前記カバー部は、前記機器類を覆うトップカバー組立体の一部であることを特徴としており、かかる特徴によれば、部品点数が削減されると共に組付工数が大幅に低減され、その結果コストダウンに寄与することができ、その上ハンドル部に対するメータ等の機器類の取付精度を高めることができ、さらに操向ハンドルが軽量化され、その上操向ハンドルの成形も容易になる。
【0007】
また前記目的達成のため、本請求項3記載の発明によれば、前記請求項1又は2記載のものにおいて、前記カバー部は、車両前方側に開口する凹部を有して器状に形成されるリヤカバーを構成しており、前記複数のリブは、前記凹部の内面に縦横に配置、突設され、前記凹部の開口部は、前記カバー部に着脱可能に結合されると共にヘッドライト組立体が取付けられるフロントカバーで覆われることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
以下の第1,2実施例は、本発明操向ハンドルを、スクータ型の自動二輪車に実施した場合であり、以下の説明において、「前後」、「左右」および「上下」は、自動二輪車の進行方向を基準にしていう。
【0010】
まず図1〜6を参照して本発明の実施例について説明する。
【0011】
図1は本発明車両用操向ハンドルを備えたスクータ型自動二輪車の側面図、図2は、図1の2線矢視に沿う、自動二輪車の上部の前面図、図3は、図2の3線矢視に沿う、自動二輪車の上部の一部破断側面図、図4は、図2の4−4線に沿う自動二輪車の上部の縦断側面図、図5は、図4の5−5線に沿う拡大横断面図、図6は、操向ハンドル部の分解斜視図である。
【0012】
図1において、スクータ型自動二輪車Vは、通常のように車体フレームFの前端のヘッドパイプに、前輪Wfを懸架した、Fe、Al等の金属製操向軸1が操向可能に支持され、また車体フレームFの後部には、後輪Wrを懸架したパワーユニットUpが上下に揺動可能に支持される。車体フレームFは、ボデイBにより被覆され、そのボデイBの後部上に乗員の座乗するシートSが載設される。
【0013】
次に図2〜6を参照してこの自動二輪車の操向部の構造について説明すると、操向軸1の上端には、本発明の操向ハンドルHが固着、支持される。この操向ハンドルHは、ポリカーボネート、補強材により補強したABS樹脂、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材をもって、射出成形等の成形手段により一体に形成され、その成形にあたってはガスアシスト成形方法すなわち金型のキヤビテイ内に溶融樹脂を充填した後、窒素ガス等の不活性ガスを溶融樹脂内に吹き込み、キヤビテイの形状に倣った形状の樹脂成形品を得て、成形品にひけ、そり等の変形が生じないようにする成形方法を採用するのが望ましい。そしてこの操向ハンドルHは、中央部のカバー部2と、そのカバー部2の左右両端壁より左右方向に一体に延出される左、右ハンドル部3l,3rとより構成されている。
【0014】
前記カバー部2は、自動二輪車のトップカバー組立体Aのリヤカバーを構成しており、図3,4および6に明瞭に示すように、運転者と対面する胴部分21 と、その胴部分21 の左右両側より左右に略水平に延びる左、右張出部22 ,23 とより、前後方向からみてT字状に形成されていて、運転者と対面する上下方向に延びる主壁Wmより上、下壁Wu,Wdおよび左、右壁Wl,Wrが前方に向けて延びていて、その内部には前方に開放する凹部Dを有して全体として器状に形成されている。そして前記凹部Dには、胴部分21 および左、右張出部22 ,23 の全域にわたり複数条の縦リブ4…および横リブ5…が格子状に一体に形成されており、操向ハンドルHの剛性、強度が確保されていると共に経年変形を生じないようになっている。また前記胴部分21 の凹部Dの上部には、メータ収納部6が形成され、このメータ収納部6に、速度メータ、燃料メータ等のメータ機器7が収容され、このメータ機器7は、胴部分21 の上壁Wuに、そこに設けた取付部8,8を介して一体に取り付けられる。メータ機器7に接続されるケーブル71 は、ボデイB内を通って図示しないスピードメータギヤに接続される。
【0015】
前記カバー部2の胴部分21 は、上から下に向かってその横幅が漸次狭くなっており、その底壁Wdには、下向きに取付ボス10が一体に形成されており、図5に示すように、この取付ボス10に、操向軸1の上端が嵌合され、この取付ボス10と操向軸1とは連結ボルト11により一体に固着される。
【0016】
また前記左、右張出部22 ,23 の端壁からは、運転者の把持する、棒状の前記左、右ハンドル部3l,3rが外側方に向かって一体に突設されている。また図6に示されるように左、右張出部2 2 ,2 3 の端壁間は、一部の横リブ5で一体に接続されている。
【0017】
図6に明瞭に示すように、前記トップカバー組立体Aのリヤカバーを構成する、前記カバー部2の前面には、後述するフロントカバー15を着脱可能に取り付けるための複数の取付部12,12および13が一体に設けられている。
【0018】
トップカバー組立体Aのフロントカバー15は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ホリプロピレン等の硬質の合成樹脂材をもって射出成形等の成形手段により一体に成形されている。そしてフロントカバー15の後面には、リヤカバーを構成する前記カバー部2の前記取付部12,12,13に対応して複数の取付孔17,18が形成されており、リヤカバーとなるカバー部2と、フロントカバー15とは、複数のタップネジ等の固着具19…により着脱可能に結合されるようになっている。
【0019】
なお、フロントカバー15は、リヤカバーに較べて要求強度が低くてもよいので、比較的強度の低い合成樹脂であるABS樹脂等により構成することも可能であり、これによりその軽量化を図ることができる。
【0020】
図4に示すように、フロントカバー15の内部にはヘッドライト組立体22が着脱可能に取り付けられる。このヘッドライト組立体22は、ヘッドライト23を支持したハウジング24の開口前面にレンズ25を取り付けて構成されており、前記レンズ25は、フロントカバー15の前面に開口した開口部151 に臨んでいる。
【0021】
なお、前記ヘッドライト組立体22およびそのヘッドライト組立体22の、フロントカバー15への取付手段は従来公知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0022】
ところで前記操向ハンドルHは、トップカバー組立体Aのリヤカバーを構成するカバー部2と、運転者の把持する左、右ハンドル部3l,3rとを合成樹脂材により一体に成形して構成されるので、従来のものすなわち金属製のハンドルと合成樹脂製のトップカバーとを別体に形成してそれらを固着具で一体に結合するようにしたものに較べて部品点数を削減できるとともに操向部周りの組立工数を低減することができて大幅なコストダウンを達成することができ、またハンドル部3l,3rに対するメータ等の機器類の取付精度を高めることができ、さらにカバー部2とハンドル部3l,3rとを合成樹脂材により一体化した操向ハンドルHは大幅に軽量化される。
【0023】
次に図7〜12を参照して参考例について説明する。
【0024】
図7は、スクータ型自動二輪車の上部の前面図、図8は、図7の8−8線に沿う断面図、図9は、図7の9−9線に沿う拡大断面図、図10は、図8の10−10線に沿う拡大断面図、図11は、図10の11−11線に沿う断面図、図12は操向ハンドルの分解斜視図であり、図中、前記実施例と同じ部材には同じ符号が付される。
【0025】
この参考例では、操向ハンドルH′のカバー部102は、フロントカバーとリヤカバーとを一体に成形したトップカバーA′として構成されており、ヘッドライト123は、このトップカバーA′には設けられず、車体B′の前面上部に設けられる。
【0026】
操向ハンドルH′は、トップカバーA′となるカバー部102と、左、右ハンドル部103l,103rとが、前記実施例と同じ合成樹脂材料により射出成形等の成形手段により一体成形されるものであって、その成形手段は、上下方向に分割可能な上型と、下型が用いられる。そしてこの成形手段にも前記実施例と同じくガスアシスト成形方法が採用される。
【0027】
前記カバー部102は、胴部1021 と、左、右張出部1022 ,1023 とよりなり、それらの左、右張出部1022 ,1023 の外端面に、それぞれ前記左、右ハンドル部103l,103rが一体に突設されている。左、右ハンドル部103l,103rは、ストレートな中空円筒状に形成される。
【0028】
胴部1021 は、円筒状の外壁部分130の中心部に、操向軸1を固定するための中空軸部131が縦方向に一体に形成され、この中空軸部131と外壁部分130との間は放射状の複数の補強リブ132…により連結されている。また胴部1021 の上壁の中央部には取付孔126が形成され、この取付孔126にメータ等の機器類107が取り付けられる。そして前記中空軸部131の下部には、後に詳述する固定手段Lにより操向軸1の上部が固定される。またカバー部102の左、右張出部1022 ,1023 は、図9に示すようにその断面が、下面の開放された半筒状に形成されており、それらの内部には上下方向に延びる複数条の補強用の縦リブ127が一体に形成されている。
【0029】
なお、カバー部102の下面は、図示しないロアーカバーにより被覆するようにしてもよい。
【0030】
次に前記カバー部102の胴部1021 の下端部と、操向軸1との取付構造について主に図10〜12を参照して説明する。
【0031】
カバー部102の胴部1021 の中空軸部131の下端部には、金属製操向軸1の上端部が嵌合され、それらは以下に説明する固定手段Lにより固定される。
【0032】
胴部1021 の下端部および操向軸1の上部には、径方向に一致する、胴部側の第1、第2ボルト孔1331 ,1332 およびパイプ側のボルト孔134が穿設されており、これらのボルト孔1331 ,1332 および134に連結ボルト135が貫通される。この連結ボルト135の端部には、胴部1021 の外周座面にワッシャ137を介して係合するナット136が螺合される。胴部側の第1ボルト孔1331 (第2ボルト孔1332 よりも大径)と連結ボルト135との間には、金属製の第1カラー138が介在されており、この第1カラー138の内端は操向軸1の外面に直接係合され、またその外端にはアジャストナット1391 とロックナット1392 とよりなるダブルナット139が螺合されており、アジャストナット1391 は胴部1021 の外周座面に係合される。また前記第2ボルト孔1332 と連結ボルト135との間には、金属製の第2カラー140が介在されており、この第2カラーの内端は操向軸1の外面に直接係合され、またその外端はワッシャ137を介して前記ナット136に係合される。以上により胴部1021 の中空軸部131の下端部は操向軸1の上端部に固定されるが、その際ナット136の締付力は、第1,第2カラー138,140の存在により、合成樹脂製の胴部1021 に、それを変形させるほどの余分な力を及ぼさない。またダブルナット139の締付力は、操向軸1の外周面と、胴部1021 の中空軸部131の内周面間のガタを吸収することができる。したがってその胴部1021 には、前記ナット136およびダブルナット139の締付によっても余分な締付応力が作用しないようにしてそのへたりや変形を防止し、しかも合成樹脂製カバー部102と、金属製の操向軸1との間にガタが生じることなくそれらを堅固に固定することができる。
【0033】
而して前記固定手段Lは、連結ボルト135、ナット136、ワッシャ137、第1カラー138、第2カラー140およびダブルナット139より構成される。
【0034】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実施例では、本発明操向ハンドルを、スクータ型自動二輪車に実施した場合を説明したが、これを他の型式の自動二・三輪車等の車両にも実施することができることは勿論であり、ハンドル部と一体に形成されるカバー部は、リヤカバーの外、トップカバー組立体の全部、あるいはフロントカバー等他の一部であってもよく、さらに前記実施例ではトップカバー組立体は、フロントカバーとリヤカバーとより構成されるが、これを3つ以上のカバー体により構成してもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、機器類を覆うカバー部と、そのカバー部の左右両端壁より左右方向外方にそれぞれ延出した左、右ハンドル部と、カバー部の内面より該カバー部の内部空間に張出す複数のリブとを、合成樹脂材により一体に成形したので、部品点数が削減されると共に組付工数が低減され、その結果コストダウンに寄与することができ、またハンドル部に対するメータ等の機器類の取付精度を高めることができ、さらにハンドル部とカバー部よりなる操向ハンドルの軽量化が可能になる等の諸効を奏する。
【0036】
また本請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載のものにおいて、前記カバー部は、前記機器類を覆うトップカバー組立体の一部であるので、前記諸効に加えて、操向ハンドルの成形も比較的容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 操向ハンドルを備えたスクータ型自動二輪車の側面図(実施例)
【図2】 図1の2線矢視に沿う、自動二輪車の上部の前面図
【図3】 図2の3線矢視に沿う、自動二輪車の上部の一部破断側面図
【図4】 図4は、図2の4−4線に沿う自動二輪車の上部の縦断側面図
【図5】 図4の5−5線に沿う拡大横断面図
【図6】 操向ハンドル部の分解斜視図(実施例)
【図7】 スクータ型自動二輪車の上部の前面図(参考例)
【図8】 図7の8−8線に沿う断面図
【図9】 図7の9−9線に沿う拡大断面図
【図10】 図8の10−10線に沿う断面図
【図11】 図10の11−11線に沿う断面図
【図12】 操向ハンドル部の分解斜視図(参考例)
【符号の説明】
1・・・・操向軸
2・・・・カバー部(リヤカバー)
3l・・・左ハンドル部
3r・・・右ハンドル部
15・・・フロントカバー
22・・・ヘッドライト組立体
A・・・・トップカバー組立体
D・・・・凹部
F・・・・車体フレーム
Claims (3)
- 車体フレーム(F)に回動可能に支持される操向軸(1)の上端に取り付けられる、車両用操向ハンドルであって、
前記操向軸(1)の上方に配設される機器類を覆う中空のカバー部(2)と、そのカバー部(2)の左右両端壁より左右方向外方にそれぞれ延出した、運転者が把持可能な左、右ハンドル部(3l,3r)と、前記カバー部(2)の内面より該カバー部(2)の内部空間に張出す複数のリブ(4,5)とを備えると共に、それらリブ(4,5)の一部が該カバー部(2)の左右両端壁相互を一体に接続してなり、
前記カバー部(2)、左、右ハンドル部(3l,3r)及びリブ(4,5)が合成樹脂材により一体に成形されることを特徴とする、車両用操向ハンドル。 - 前記カバー部(2)は、前記機器類を納めるトップカバー組立体(A)の一部であることを特徴とする、前記請求項1に記載の車両用操向ハンドル。
- 前記カバー部(2)は、車両前方側に開口する凹部(D)を有して器状に形成されるリヤカバーを構成しており、前記複数のリブ(4,5)は、前記凹部(D)の内面に縦横に配置、突設され、前記凹部(D)の開口部は、前記カバー部(2)に着脱可能に結合されると共にヘッドライト組立体(22)が取付けられるフロントカバー(15)で覆われることを特徴とする、前記請求項1又は2に記載の車両用操向ハンドル。
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JP2529827B2 (ja) | 不整地走行用鞍乗型車両の車体構造 |
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