JP4153682B2 - 温排水熱回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室、洗面化粧室又は台所等の湯を用いる設備から排出される暖かい排水(以下、温排水という)から排熱を回収し、回収した排熱で給水を加熱する温排水熱回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴室等から延設された排水路は、排水勾配を利用して自然排水するようにしてある。そのため排水路には、円滑な排水を阻害する水路抵抗の大きな熱交換器を設けて排熱を回収することは難しいとされていた。
【0003】
しかるに、この難点を克服して排熱を回収し得るものとして、例えば、特開平5−99501号公報には、排水路に排水タンクと、この排水タンク内の温排水を圧送するポンプとを設け、このポンプより下流側の途中を排熱回収用熱交換器の高温側流路で形成し、その循環路の一部を排熱回収用熱交換器の低温側流路と回収熱放出用熱交換器の高温側流路とで構成すると共に、循環路の適所に循環ポンプを設け、回収熱放出用熱交換器の低温側流路を給水路の一部で形成した排水熱の回収装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−99501号公報に開示された排水熱の回収装置は、排水タンクの温排水の温度を検出しないまま排水していたため、確実な熱回収運転ができず、結果的に利用可能なエネルギーの損失が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、温排水の熱を確実に回収すると共に、回収効率をより高めることのできる温排水熱回収装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、
給湯器の給水経路に設けられ、湯の使用量に応じた水を給湯器に供給すると共に、温湯を貯えることが可能な貯湯タンクと、
暖かい排水を一時的に蓄える排水バッファタンクと、
排水バッファタンクに蓄えられた排水の熱を吸収し、貯湯タンク内の水を加熱するヒートポンプサイクルと、
排水バッファタンク内の水位を検出する水位センサと、
排水バッファタンク内の水温を検出する水温センサと、
水位センサによって検出された水位が所定値以上で、かつ、水温センサによって検出された水温が所定値以上であるとき、ヒートポンプサイクルの運転を開始し、水温センサによって検出された水温が所定値より低下したとき、ヒートポンプサイクルの運転を停止する制御装置と、
を備え、
排水バッファタンク内の水を排水する排水バルブと、
排水の水温を検出する排水温度センサ及び排水流量を検出するフローセンサの少なくとも一方と、
をさらに備え、制御装置は、ヒートポンプサイクルの運転停止時に排水バルブを開き、排水温度センサによって検出される排水の温度が所定値以上であるか、又は、
フローセンサによって検出される排水流量が略ゼロになったとき排水バルブを閉じるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る温排水熱回収装置の一実施形態の構成を示す系統図である。同図において、給湯器18の上流側に貯湯タンク1が設けられている。この貯湯タンク1には、上水道から給水すると共に、ポンプ2を介して貯湯タンク1内の水を循環させる水循環サイクル3が設けられている。給湯器18の出湯管は食堂などの厨房に導かれ、蛇口と呼ばれる出湯栓19を介して、洗い場に給湯される。洗い場の排水経路に、温排水を一時的に蓄える排水バッファタンク9が設けられ、この排水バッファタンク9の底部に排水管12が接続されると共に、この排水管12の排水バッファタンク9に近接した部位に排水バルブ13が設けられている。また、排水バッファタンク9の上端に近い側部にオーバーフロー管11の一端が接続され、その他端が排水バルブ13の下流の排水管12に接続されている。
【0009】
一方、コンプレッサ5、水熱交換器4、膨張機構6及び熱回収熱交換器10が順に管接続されてなるヒートポンプサイクル7が設けられている。このうち、水熱交換器4にはポンプ2から貯湯タンク1に給水する配管と、コンプレッサ5から冷媒を循環させる冷媒配管とが通され、その内部に水が充填されたものでなり、熱回収熱交換器10は排水バッファタンク9の中間的な深さ位置に設置されている。このヒートポンプサイクル7は、コンプレッサ5から吐出したガス冷媒を水熱交換器4で凝縮させ、熱回収熱交換器10で蒸発させるように循環させることにより、排水バッファタンク9の温排水の熱を吸収し、水熱交換器4にその熱を放出する。これによって、ポンプ2を介して貯湯タンク1に供給される水を加熱することになる。
【0010】
また、ポンプ2、コンプレッサ5及び排水バルブ13を適切に制御するために、貯湯タンク1の底部に貯湯タンク水温センサ8が設けられ、排水バッファタンク9の熱回収熱交換器10よりも僅か上方の位置にバッファタンク水位センサ14が設けられ、その近傍の下部にバッファタンク水温センサ15が設けられている。また、排水バッファタンク9と排水バルブ13とを接続する経路に排水温度センサ16及びフローセンサ17が設けられている。
【0011】
なお、上記の構成要素のうち、貯湯タンク1、ポンプ2、水循環サイクル3、水熱交換器4及びコンプレッサ5が熱回収ユニット20を構成しており、排水バッファタンク9、熱回収熱交換器10、オーバーフロー管11、排水管12及び排水バルブ13が排水バッファタンクユニット30を構成している。
【0012】
図2はこれら両ユニットの制御を実施する制御系統図であり、マイクロコンピュータを含んで構成された制御装置100が、貯湯タンク水温センサ8の温度信号Ts、バッファタンク水位センサ14の水位信号Hb、バッファタンク水温センサ15の温度信号Tb、排水温度センサ16の温度信号Td及びフローセンサ17の流量信号Qdに基づいてポンプ2に運転指令Pdrを、コンプレッサ5に運転指令Cdrを、排水バルブ13に開放指令Vopをそれぞれ与えてこれらを運転するように構成されている。
【0013】
上記のように構成された本実施形態の概略動作を説明し、その後で制御装置100の動作について説明する。先ず、出湯栓19を開くと給湯器18が給湯を開始し、洗い場で使用された後の温排水が排水バッファタンク9に蓄えられる。貯湯タンク1には湯の使用量に対応して水道水が供給される。
【0014】
次に、湯又は水の使用量に応じて排水バッファタンク9の水位が上昇しバッファタンク水位センサ14の設置位置を越えるようになる。この状態でバッファタンク水温センサ15によって排水バッファタンク9内の温排水の温度が検出される。そして、バッファタンク水温センサ15の検出温度が、貯湯タンク水温センサ8と図示省略の外気温度センサとの相関関係で決められる所定温度を超えた段階で、ヒートポンプサイクル7による熱回収運転が行われる。これによって、排水バッファタンク9の水温は低下し、逆に、貯湯タンク1の水温は上昇する。
【0015】
次に、排水バッファタンク9の水温が所定値よりも低下するか、あるいは、貯湯タンク1の水温が所定値以上になると、熱回収運転を終了する。なお、このとき、排水バッファタンク9内の熱回収熱交換器10より下の部分は冷却されるが、これより上の部分に温排水が残ることになる。従って、熱回収熱交換器10よりも下の部分に存在する温排水の量と温度の積に対応した熱量の減少分に応じて貯湯タンク1の水温が高められる。
【0016】
次に、上述した1回目の熱回収運転が終了すると、排水バルブ13が開かれて排水が開始される。排水運転は、排水温度センサ16によって検出される排水温度が所定値を超えるか、あるいは、フローセンサ17によって検出される排水量が所定値以下になったとき中止され、排水バルブ13は閉じられる。
【0017】
その後も、上述したと同様にして、洗い場で使用された後の温排水が排水バッファタンク9に蓄えられると、ヒートポンプサイクル7による2回目の熱回収運転が行われる。そして、 排水バッファタンク9の水温が所定値よりも低下するか、あるいは、貯湯タンク1の水温が所定値以上になると、熱回収運転を終了し、その後、排水運転が行われる。これにより貯湯タンク1の水温は1回目の熱回収運転より上昇する。
【0018】
以上説明したように、給湯器18からの給湯運転、ヒートポンプサイクル7による熱回収運転、排水バルブ13を開放する排水運転を順次繰り返すことによって、温排水の熱量を排水温度レベルから給水温度レベルまで利用すれば、基本的には貯湯タンク1の水温を排水バッファタンク9の温排水温度レベルまで加熱することができる。
【0019】
図2に示した制御装置100は上記の制御を実行するもので、その具体的な動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。ここで、最初のステップ101にて貯湯タンク水温センサ8の温度信号Ts、バッファタンク水位センサ14の水位信号Hb、バッファタンク水温センサ15の温度信号Tb、排水温度センサ16の温度信号Td及びフローセンサ17の流量信号Qdを読取る。次にステップ102でバッファタンク水温センサ15の温度信号Tbが予め設定した基準値Tref1以上であるか否かを判定し、基準値Tref1以上であればステップ103にてバッファタンク水位センサ14の水位信号Hbが予め設定した基準値Href以上であるか否かを判定し、基準値Href以上であればステップ104にて、ポンプ2及びコンプレッサ5を運転して上記の熱回収運転を開始する。 なお、ステップ102にてバッファタンク水温センサ15の温度信号Tbが基準値Tref1よりも小さいと判定した場合、あるいは、ステップ103にてバッファタンク水位センサ14の水位信号Hbが基準値Hrefより小さいと判定した場合にはステップ101以下の処理を繰り返す。
【0020】
次に、ステップ105にてバッファタンク水温センサ15の温度信号Tbが基準値Tref1よりも小さいか否かの判定を繰り返し、温度信号Tbが基準値Tref1よりも小さいことが確認されたとき、ステップ106にて、ポンプ2及びコンプレッサ5を運転して熱回収運転を終了し、続いて、ステップ108で排水バルブ13を開放して排水運転を実行する。
【0021】
次に、ステップ108で排水温度センサ16の温度信号Tdが予め設定した基準値Tref2(<Tref1)よりも大きいか否かを判定し、大きい場合にはステップ110で排水バルブ13を閉じる。一方、ステップ108で排水温度センサ16の温度信号Tdが基準値Tref2よりも大きくないと判定したとき、ステップ109でフローセンサ17の流量信号Qdが予め設定したゼロに近い基準値Qref以下か否かを判定し、基準値Qref以下である場合にはステップ110で排水バルブ13を閉じる。これによって、排水の温度が所定値以上であるか、又は、排水流量が略ゼロになったとき排水バルブを閉じる制御が行われる。 次に、ステップ111で外部から排熱回収運転の停止指令が与えられたか否かを判定し、与えられておれば制御動作を停止し、与えられていなければステップ101〜111の処理により排熱回収運転を繰り返す。
【0022】
なお、図3に示した処理手順では、貯湯タンク水温センサ8の温度信号Tsに関する処理を省略したが、もし必要であれば、温度信号Tsが予め設定した基準値を超えたときに排熱回収運転を停止するようにすることもできる。
【0023】
かくして、本実施形態によれば、温排水の熱を確実に回収すると共に、従来装置と比較して回収効率を格段に高めることができる。
【0024】
ところて゛、上記の実施形態では給湯器18から出湯され、これを使用した温排水のみが排水バッファタンク9に流れ込む場合について説明したが、排水バッファタンク9に他の温排水が流れ込むものにも本発明を適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、温排水の熱を確実に回収すると共に、従来装置よりも回収効率を高めることのできる温排水熱回収装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る温排水熱回収装置の一実施形態の構成を示す系統図。
【図2】図1に示した一実施形態の制御系統を示すブロック図。
【図3】図2に示した制御装置の具体的な処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 貯湯タンク
2 ポンプ
3 水循環サイクル
4 水熱交換器
5 コンプレッサ
7 ヒートポンプサイクル
9 排水バッファタンク
10 熱回収熱交換器
12 排水管
13 排水バルブ
18 給湯器
20 熱回収ユニット
30 排水バッファタンクユニット
100 制御装置
Claims (1)
- 給湯器の給水経路に設けられ、湯の使用量に応じた水を前記給湯器に供給すると共に、温湯を貯えることが可能な貯湯タンクと、
暖かい排水を一時的に蓄える排水バッファタンクと、
前記排水バッファタンクに蓄えられた排水の熱を吸収し、前記貯湯タンク内の水を加熱するヒートポンプサイクルと、
前記排水バッファタンク内の水位を検出する水位センサと、
前記排水バッファタンク内の水温を検出する水温センサと、
前記水位センサによって検出された水位が所定値以上で、かつ、前記水温センサによって検出された水温が所定値以上であるとき、前記ヒートポンプサイクルの運転を開始し、前記水温センサによって検出された水温が所定値より低下したとき、前記ヒートポンプサイクルの運転を停止する制御装置と、
を備え、
前記排水バッファタンク内の水を排水する排水バルブと、
排水の水温を検出する排水温度センサ及び排水流量を検出するフローセンサの少なくとも一方と、
をさらに備え、前記制御装置は、前記ヒートポンプサイクルの運転停止時に前記排水バルブを開き、前記排水温度センサによって検出される排水の温度が所定値以上であるか、又は、前記フローセンサによって検出される排水流量が略ゼロになったとき前記排水バルブを閉じる温排水熱回収装置。
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