JP4152428B1 - 車椅子用の車輪駆動装置および車椅子 - Google Patents

車椅子用の車輪駆動装置および車椅子 Download PDF

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Abstract

【課題】レバーを揺動させたときに、いずれの方向に車輪が回転するのかを即座に把握できる車椅子用の車輪駆動装置および車椅子を提供する。
【解決手段】車輪に対して揺動するレバー12を備える。車椅子に用いられたときにレバー12と車輪との間に力伝達機構40が備えられる。この力伝達機構40は、レバー12がX方向に揺動したときに車輪に回転力を付与する一方でY方向に空転する第1の態様、または、レバー12がY方向に揺動したときに車輪に回転力を付与する一方でX方向に空転する第2の態様、となりうる。力伝達機構40の態様は、力伝達切替機構70によって切り替えられる。レバー12の把持部121の近傍には、押圧したときに、力伝達機構40の態様を切り替えることが可能な操作部122を備える。操作部122が押圧されると、力伝達切替機構70によって力伝達機構40の態様が切り替えられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車輪の回転によって走行する車椅子に用いられ、車輪に対してレバーを揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車椅子用の車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置を備える車椅子に関する。
近年、車椅子を、レバー操作によって走行させることができる技術が開示されている。車輪に対してレバーを揺動させることによって走行できる車椅子の従来例が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の車椅子は、レバーおよび力伝達機構を有する車輪駆動装置を備えている。力伝達機構は、レバーと車輪との間に備えられており、レバーを揺動させると、当該レバーの揺動力が力伝達機構を介して車輪に伝達され、車椅子が前進または後退する。
力伝達機構は、第1の態様と第2の態様とに切り替え可能に構成されている。力伝達機構が第1の態様であるとき、レバーを前方向に揺動させると、車輪に対して前進方向の回転力が付与される。一方、力伝達機構が第2の態様であるときには、レバーを後方向に揺動させると、車輪に対して後退方向の回転力が付与される。なお、レバーは、第1の態様であるときは後方向に空転し、第2の態様であるときは前方向に空転する。
また、この車椅子用の車輪駆動装置には、車輪の回転方向を切り換えるための駆動方向切換部が設けられている。この駆動方向切換部を車椅子の着座者が操作することによって、力伝達機構の態様を、第1の態様または第2の態様に切り換え可能とされている。
特許第3689101号公報
ところが、駆動方向切換部を操作することによって車輪の回転方向が切り換えられるような車椅子にあっては、レバーを揺動させたいときに、いずれの方向に車輪が回転するのかを即座に把握することが困難な場合がある。ひいては、着座者によるレバー操作に混乱をきたし、車椅子を着座者の意思通りに操作できない事態を招く虞があった。また、例えば自動車が車椅子に向かって走行してくるような危険が差し迫る場合もありえ、このような場合には着座者が駆動方向切換部を見て車輪の回転方向を確認する余裕があるはずもないため、着座者の意思通りに(即ち安全な場所に)車椅子を迅速に移動させることができるようにする必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車輪の回転方向を切り替えることができる場合において、レバーを揺動させたときに、いずれの方向に車輪が回転するのかを即座に把握できる車椅子用の車輪駆動装置および車椅子を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明において、以下の特徴は単独で、若しくは、適宜組合わされて備えられている。
前記課題を解決するための本発明に係る車輪駆動装置は、車輪の回転によって移動する車椅子に用いられ、当該車輪の略中央から径外側に向けて延在すると共に把持部を有するレバーを含み、当該レバーを前記車輪に対して揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車椅子用の車輪駆動装置であって、前記車椅子に用いられたときに前記レバーと前記車輪との間に配置され、前記レバーが一の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方で当該一の方向とは反対の他の方向に空転する第1の態様、または、前記レバーが前記他の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方で前記一の方向に空転する第2の態様、となりうる力伝達機構と、前記力伝達機構を、前記第1の態様と前記第2の態様との間で切り替え可能な力伝達切替機構と、前記レバーの把持部の近傍に設けられ、押圧されたときに、前記力伝達切替機構を介して、前記力伝達機構の態様を切り替えることが可能な操作部と、を備え、前記力伝達切替機構は、前記操作部が押圧されたときに、前記力伝達機構の態様を、前記第1の態様と前記第2の態様との間で切り替えることを特徴とする。
上記構成によれば、本発明にかかる車輪駆動装置が車輪の回転によって走行する車椅子に用いられたとき、車輪の略中央から径外側に向けてレバーが延在する。そして、このレバーを車輪に対して揺動させると車輪が回転し、車椅子が前進または後退する。この車輪駆動装置は、レバーと車輪との間に力伝達機構を備えており、レバーを揺動させたときに、力伝達機構を介して車輪に回転力を付与することが可能となる。力伝達機構は、少なくとも第1の態様または第2の態様となりうる。第1の態様は、レバーを一の方向に揺動したときに、車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方、当該一の方向とは反対の他の方向には空転する態様である。第2の態様は、レバーを一の方向とは反対の他の方向に揺動したときに、車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方、一の方向に空転する態様である。この力伝達機構は、力伝達切替機構によって、第1の態様と第2の態様との間で切り替え可能となっている。また、レバーの把持部の近傍には、力伝達切替機構を介して力伝達機構の態様を切り替えることが可能な操作部が備えられている。この操作部を押圧すると、力伝達機構の態様が、第1の態様と前記第2の態様との間で切り替えられる。
上記構成の車輪駆動装置によれば、操作部を押圧したときに、力伝達機構の態様が第1の態様と第2の態様との間で切り替えられるので、車椅子の利用者によるレバー操作に混乱をきたす虞が軽減され、車椅子を利用者の意思通りに移動させることが可能となる。
なお、上記構成において、力伝達機構を第1の態様に保持する力伝達保持部材が備えられていることが好ましい。このとき、操作部が押圧されることによって、力伝達切替機構は、第1の態様に保持される力伝達機構を、当該保持される第1の態様から第2の態様に切り替えることができる。そして、力伝達切替機構は、操作部が押圧されたときは、力伝達機構の態様を、力伝達保持部材によって保持される第1の態様から第2の態様に切り替えると共に、当該操作部が押圧されている限り当該第2の態様に保持する一方、操作部に対する押圧が解除されたときは、力伝達機構の態様を、第2の態様から力伝達保持部材によって保持される態様に切り替えることとなる。このような構成においては、操作部は、一つのレバーに対して単一の操作部(即ち、操作部が一つだけ)であることが好ましい。これにより、力伝達機構は、常には(即ち操作部が押圧されない限り)第1の態様に保持されることとなり、操作部が押圧されたときに第2の態様に切り替えられることとなる。そして、操作部に対する押圧が解除されると、力伝達機構の態様が、第2の態様から第1の態様に切り替えられる。従って、力伝達機構の態様が、常には力伝達保持部材によって保持される第1の態様である一方、レバー毎に設けられた単一の操作部を押圧しているときにのみ第2の態様になるといった、現在の態様が非常に分かり易くなる。しかも、操作部を押し続けるには車椅子の着座者の意思が必要であるから、現在の力伝達機構の態様(即ち、レバーを揺動すると前進するのかまたは後退するのか)が分からなくなるといったことを回避できる。これにより、車椅子の着座者によるレバー操作に混乱をきたす虞を回避でき、車椅子を着座者の意思通りに操作できるようになる。また、例えば休憩等により、暫くの間車椅子を移動しなかった場合であっても、操作部の態様を確認することなく力伝達機構の現在の態様をすぐに把握できる。
また、上述の力伝達保持部材を備える場合、一の方向は車椅子が前進する方向であると共に、他の方向は車椅子が後退する方向であることが好ましい。これによると、力伝達機構が第1の態様に保持されるので、操作部を押圧することなく単にレバーの把持部を把持しているだけのときは、レバーを揺動させると、車椅子が前進する。一般的に、車椅子を後退させる頻度よりも車椅子を前進させる頻度の方が多い。従って、相対的に頻度が高いとき(車椅子を前進させるとき)に操作部を押圧する必要がなく、相対的に頻度が低いとき(車椅子を後退させるとき)に操作部を押圧する必要がある構成とすることで、車椅子の着座者の負担を軽減できる。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子用の車輪駆動装置において、前記操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうることが好ましい。
上記構成によれば、操作部は、常には(即ち押圧されない限り)第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位するので、力伝達機構の現在の態様を、車椅子の着座者が明確に把握できる。例えば、操作部を押圧していたとしても、操作部の位置が変位しなければ、力伝達機構の態様が実際に変位したかどうかを把握し難い場合がある。そこで、操作部を押圧したときに、操作部の位置が変位することで、力伝達機構の態様を明確に把握できるようにしたものである。
なお、上記構成において、レバー毎に設けられた単一の操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうると共に、当該操作部に対する押圧が解除されたときに当該第2の位置から第1の位置に変位することが好ましい。これによると、操作部を押すと操作部が第2の位置となり、操作部に対する押圧を解除すると第1の位置となる。「操作部に対する押圧を解除する」とは、操作部を例えば親指で押して第2の位置に変位させたときであれば、当該親指を操作部から離すことである。これにより、操作部を押しているときのみ車椅子が後退し、操作部を押圧しない限り車椅子が前進するといった、現在の力伝達機構の態様が非常に分かり易いものとなる。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子用の車輪駆動装置において、前記力伝達機構が、略円形の中空部を有する外挿体と、前記外挿体の中空部に配置され、前記レバーに固定される多角形の内挿体と、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転可能な台座、当該台座に載置され且つ前記外挿体と前記内挿体との間に配置されると共にいずれも略同じ径の複数のローラ、前記台座から一体的に立設すると共に互いに隣接するローラとの間に配置されて各ローラを支持する支持部材、および、前記複数のローラのそれぞれに対して前記外挿体または前記内挿体に向けて付勢する弾性部材、を有する楔締要素と、を備え、前記内挿体が、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも小さい最大径部、および、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも大きい最小径部、がそれぞれ複数形成される多角形に形成されており、複数の前記最大径部のうち一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間には、前記ローラが一つずつ配置されると共に、前記力伝達切替機構が、前記操作部と前記台座との間に連結されるリンク部材を備えており、前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が移動(所定位置を回転中心として回転)することによって前記台座が前記内挿体の略中心を回転中心として当該内挿体に対して周方向に回転し、当該台座の回転に伴って前記一の最大径部の近傍から前記他の最大径部の近傍まで前記各ローラが移動することによって、前記力伝達機構が前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えられることが好ましい。
上記構成によれば、レバーを揺動させると内挿体が回転する。ここで、最大径部では、内挿体の外周から外挿体の内周までの距離がローラの直径よりも小さく、最小径部では、内挿体の外周から外挿体の内周までの距離がローラの直径よりも大きい。また、互いに隣接する二つの最大径部のうち、他の方向側の最大径部を一の最大径部とし、一の方向側の最大径部を他の最大径部としたとき、ローラが一の最大径部の近傍に配置されているときが、力伝達機構の第1の態様となる。一方、ローラが他の最大径部の近傍に配置されているときが、力伝達機構の第2の態様となる。詳述すると、一の最大径部の近傍にローラが配置されているときに一の方向に向けてレバーを揺動させると、これに伴って内挿体が他の方向に回転する。このとき、楔締め効果(ローラが内挿体と外挿体との間に噛みこまれた効果)により、内挿体と外挿体とが連結状態となる。一方、一の最大径部の近傍にローラが配置されているときに他の方向に向けてレバーを揺動させると、内挿体と外挿体とが非連結状態となり、内挿体が外挿体に対して空転する。ここで、内挿体と外挿体とが非連結状態となるのは、ローラが内挿体に向けて付勢されていればローラと外挿体との間に間隙が生じ、ローラが外挿体に向けて付勢されていればローラと内挿体との間に間隙が生じるからである。そして、操作部が第1の位置から第2の位置に変位すると、これに伴って、リンク部材が移動する。このとき、リンク部材は、所定の位置を回転中心として回転することが好ましい。そして、このリンク部材の移動(回転)に伴って台座が回転し、内挿体に対してローラが移動することとなる。例えば、一の最大径部の近傍にローラがあるとき(力伝達機構が第1の態様)、当該ローラが他の最大径部の近傍に位置するように台座を回転させると、力伝達機構が第2の態様となる。
上記構成の車椅子用の車輪駆動装置によれば、力伝達切替機構としてリンク部材を用いることにより、操作部が変位する方向(第1の位置と第2の位置とを結ぶ方向)と台座が移動する方向(内挿体の略中心を回転中心とする周方向)とが同じ方向である必要がなくなる。これにより、操作部の操作性が向上する。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子用の車輪駆動装置において、前記力伝達切替機構が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて前記台座に取り付けられ、前記リンク部材が移動することによって当該台座を前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転させる台座回転部材を有すると共に、前記台座が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて延在する板部材と、前記内挿体の略中心から径外側に向かう方向に沿って当該板部材から立設された壁部と、を有しており、前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が前記壁部に当接することによって、前記台座回転部材を介して、前記台座が、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転することが好ましい。
上記構成によれば、操作部が第1の位置から第2の位置に変位したとき、リンク部材が台座回転部材の壁部に当接する。このとき、リンク部材は、操作部が変位することに伴って移動(回転)する一方で、台座回転部材は、リンク部材の移動方向とは異なる方向(内挿体の略中心を回転中心とする回転方向)に回転するので、リンク部材と台座回転部材とが当接する部位において両者が摺動することとなる。従って、操作部が第1の位置から第2の位置に変位したときに、リンク部材と台座回転部材の壁部とが当接するようにすることで(言い換えると、リンク部材と台座回転部材の壁部とが当接する前は、リンク部材と台座回転部材の壁部との間には間隙がある)、リンク部材と台座回転部材ひいては台座との間に無理な負荷が生じることなく、台座をスムーズに回転させることが可能となる。
なお、上記構成において、力伝達態様保持部材が、内挿体と台座回転部材との間に配置され、当該台座回転部材を一の最大径部に向けて付勢する付勢部材であって、力伝達機構は、台座回転部材が、力伝達態様保持部材により一の最大径部に向けて付勢されてローラが当該一の最大径部の近傍に配置されることによって、第1の態様に保持されることが好ましい。ここで、複数のローラは全て、任意の一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間に一つずつ配置される。そして、台座回転部材が力伝達態様保持部材により一の最大径部に向けて付勢されると、全てのローラが、対応する一の最大径部の近傍に配置されることとなる。これによると、台座回転部材を一の最大径部に向けて付勢するだけといった非常に簡易な構成により、力伝達機構を第1の態様に保持することが可能となる。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子は、座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪と、前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に揺動自在に設けられ、当該車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在すると共に、当該車輪の径外側の端部に把持部を有する一または複数のレバーと、前記レバーと当該レバーが設けられた車輪との間に配置され、当該レバーが一の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方で当該一の方向とは反対の他の方向に空転する第1の態様、または、当該レバーが前記他の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方で前記一の方向に空転する第2の態様、となりうる力伝達機構と、前記力伝達機構を、前記第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な力伝達切替機構と、前記レバーの把持部の近傍に設けられ、押圧されたときに、前記力伝達切替機構を介して、前記力伝達機構の態様を切り替えることが可能な操作部と、を備え、前記力伝達切替機構は、前記操作部が押圧されたときに、前記力伝達機構の態様を、前記第1の態様と前記第2の態様との間で切り替えることを特徴とする。
上記構成によれば、車輪の略中央から径側側に向けてレバーが延在する。そして、このレバーを車輪に対して揺動させると車輪が回転し、車椅子が前進または後退する。この車椅子は、レバーと車輪との間に力伝達機構を備えており、レバーを揺動させたときに、力伝達機構を介して車輪に回転力を付与することが可能となる。力伝達機構は、少なくとも第1の態様または第2の態様となりうる。第1の態様は、レバーを一の方向に揺動したときに、車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方、当該一の方向とは反対の他の方向には空転する態様である。第2の態様は、レバーを一の方向とは反対の他の方向に揺動したときに、車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方、一の方向に空転する態様である。この力伝達機構は、力伝達切替機構によって、第1の態様と第2の態様との間で切り替え可能となっている。また、レバーの把持部の近傍には、力伝達切替機構を介して力伝達機構の態様を切り替えることが可能な操作部が備えられている。この操作部を押圧すると、力伝達機構の態様が、第1の態様と前記第2の態様との間で切り替えられる。
上記構成の車椅子によれば、操作部を押圧したときに、力伝達機構の態様が第1の態様と第2の態様との間で切り替えられるので、現在の態様がいずれであるのかを把握できる。しかも、レバーの把持部の近傍に操作部が備えられているため、レバーを把持しつつ力伝達機構の態様を切り替えることが可能となる。
なお、上記構成において、力伝達機構を第1の態様に保持する力伝達保持部材が備えられていることが好ましい。このとき、操作部が押圧されることによって、力伝達切替機構は、第1の態様に保持される力伝達機構を、当該保持される第1の態様から第2の態様に切り替えることができる。この操作部は、一または複数のレバーのうち各レバーに対応し且つ当該対応するレバーの把持部の近傍に一つだけ設けられる。そして、力伝達切替機構は、操作部が押圧されたときは、力伝達機構の態様を、力伝達保持部材によって保持される第1の態様から第2の態様に切り替えると共に、当該操作部が押圧されている限り当該第2の態様に保持する一方、操作部に対する押圧が解除されたときは、力伝達機構の態様を、第2の態様から力伝達保持部材によって保持される態様に切り替えることとなる。これにより、力伝達機構は、常には(即ち操作部が押圧されない限り)第1の態様に保持されることとなり、操作部が押圧されたときに第2の態様に切り替えられることとなる。そして、操作部に対する押圧が解除されると、力伝達機構の態様が、第2の態様から第1の態様に切り替えられる。従って、力伝達機構の態様が、常には力伝達保持部材によって保持される第1の態様である一方、レバー毎に設けられた単一の操作部を押圧しているときにのみ第2の態様になるといった、現在の態様が非常に分かり易くなる。しかも、操作部を押し続けるには車椅子の着座者の意思が必要であるから、現在の力伝達機構の態様(即ち、レバーを揺動すると前進するのかまたは後退するのか)が分からなくなるといったことが回避できる。これにより、車椅子の着座者によるレバー操作に混乱をきたす虞を回避でき、車椅子を着座者の意思通りに操作できるようになる。また、例えば休憩等により、暫くの間車椅子を移動しなかった場合であっても、操作部の態様を視認することなく力伝達機構の現在の態様をすぐに把握できる。
また、上述の力伝達保持部材を備える場合、一の方向は車椅子が前進する方向であると共に、他の方向は車椅子が後退する方向であることが好ましい。これによると、力伝達機構が第1の態様に保持されるので、操作部を押圧することなく単にレバーの把持部を把持しているだけのときは、レバーを揺動させると、車椅子が前進する。一般的に、車椅子を後退させる頻度よりも車椅子を前進させる頻度の方が多い。従って、相対的に頻度が高いとき(車椅子を前進させるとき)に操作部を押圧する必要がなく、相対的に頻度が低いとき(車椅子を後退させるとき)に操作部を押圧する必要がある構成とすることで、車椅子の着座者の負担を軽減できる。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子において、前記操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうることが好ましい。
上記構成によれば、操作部は、常には(即ち押圧されない限り)第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位するので、力伝達機構の現在の態様を、車椅子の着座者が明確に把握できる。例えば、操作部を押圧していたとしても、操作部の位置が変位しなければ、力伝達機構の態様が実際に変位したかどうかを把握し難い場合がある。そこで、操作部を押圧したときに、操作部の位置が変位することで、力伝達機構の態様を明確に把握できるようにしたものである。
なお、上記構成において、レバー毎に設けられた単一の操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうると共に、当該操作部に対する押圧が解除されたときに当該第2の位置から第1の位置に変位することが好ましい。これによると、操作部を押すと操作部が第2の位置となり、操作部に対する押圧を解除すると第1の位置となる。「操作部に対する押圧を解除する」とは、操作部を例えば親指で押して第2の位置に変位させたときであれば、当該親指を操作部から離すことである。これにより、操作部を押しているときのみ車椅子が後退し、操作部を押圧しない限り車椅子が前進するといった、現在の力伝達機構の態様が非常に分かり易いものとなる。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子において、前記力伝達機構が、略円形の中空部を有する外挿体と、前記外挿体の中空部に配置され、前記レバーに固定される多角形の内挿体と、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転可能な台座、当該台座に載置され且つ前記外挿体と前記内挿体との間に配置されると共にいずれも略同じ径の複数のローラ、前記台座から一体的に立設すると共に互いに隣接するローラとの間に配置されて各ローラを支持する支持部材、および、前記複数のローラのそれぞれに対して前記外挿体または前記内挿体に向けて付勢する弾性部材、を有する楔締要素と、を備え、前記内挿体が、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも小さい最大径部、および、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも大きい最小径部、がそれぞれ複数形成される多角形に形成されており、複数の前記最大径部のうち一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間には、前記ローラが一つずつ配置されると共に、前記力伝達切替機構が、前記操作部と前記台座との間に連結されるリンク部材を備えており、前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が移動することによって前記台座が前記内挿体の略中心を回転中心として当該内挿体に対して周方向に回転し、当該台座の回転に伴って前記一の最大径部の近傍から前記他の最大径部の近傍まで前記各ローラが移動することによって、前記力伝達機構が前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えられることが好ましい。
上記構成によれば、レバーを揺動させると内挿体が回転する。ここで、最大径部では、内挿体の外周から外挿体の内周までの距離がローラの直径よりも小さく、最小径部では、内挿体の外周から外挿体の内周までの距離がローラの直径よりも大きい。また、互いに隣接する二つの最大径部のうち、他の方向側の最大径部を一の最大径部とし、一の方向側の最大径部を他の最大径部としたとき、ローラが一の最大径部の近傍に配置されているときが、力伝達機構の第1の態様となる。一方、ローラが他の最大径部の近傍に配置されているときが、力伝達機構の第2の態様となる。詳述すると、一の最大径部の近傍にローラが配置されているときに一の方向に向けてレバーを揺動させると、これに伴って内挿体が他の方向に回転する。このとき、楔締め効果(ローラが内挿体と外挿体との間に噛みこまれた効果)により、内挿体と外挿体とが連結状態となる。一方、一の最大径部の近傍にローラが配置されているときに他の方向に向けてレバーを揺動させると、内挿体と外挿体とが非連結状態となり、内挿体が外挿体に対して空転する。ここで、内挿体と外挿体とが非連結状態となるのは、ローラが内挿体に向けて付勢されていればローラと外挿体との間に間隙が生じ、ローラが外挿体に向けて付勢されていればローラと内挿体との間に間隙が生じるからである。そして、操作部が第1の位置から第2の位置に変位すると、これに伴って、リンク部材が移動する。このとき、リンク部材は、所定の位置を回転中心として回転することが好ましい。そして、このリンク部材の移動(回転)に伴って台座が回転し、内挿体に対してローラが移動することとなる。例えば、一の最大径部の近傍にローラがあるとき(力伝達機構が第1の態様)、当該ローラが他の最大径部の近傍に位置するように台座を回転させると、力伝達機構が第2の態様となる。
上記構成の車椅子によれば、力伝達切替機構としてリンク部材を用いることにより、操作部が変位する方向(第1の位置と第2の位置とを結ぶ方向)と台座が移動する方向(内挿体の略中心を回転中心とする周方向)とが同じ方向である必要がなくなる。これにより、操作部の操作性が向上する。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子において、前記力伝達切替機構が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて前記台座に取り付けられ、前記リンク部材が移動することによって当該台座を前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転させる台座回転部材を有すると共に、前記台座が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて延在する板部材と、前記内挿体の略中心から径外側に向かう方向に沿って当該板部材から立設された壁部と、を有しており、前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が前記壁部に当接することによって、前記台座回転部材を介して、前記台座が、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転することが好ましい。
上記構成によれば、操作部が第1の位置から第2の位置に変位したとき、リンク部材が台座回転部材の壁部に当接する。このとき、リンク部材は、操作部が変位することに伴って移動(回転)する一方で、台座回転部材は、リンク部材の移動方向とは異なる方向(内挿体の略中心を回転中心とする回転方向)に回転するので、リンク部材と台座回転部材とが当接する部位において両者が摺動することとなる。従って、操作部が第1の位置から第2の位置に変位したときに、リンク部材と台座回転部材の壁部とが当接するようにすることで(言い換えると、リンク部材と台座回転部材の壁部とが当接する前は、リンク部材と台座回転部材の壁部との間には間隙がある)、リンク部材と台座回転部材ひいては台座との間に無理な負荷が生じることなく、台座をスムーズに回転させることが可能となる。
なお、上記構成において、力伝達態様保持部材が、内挿体と台座回転部材との間に配置され、当該台座回転部材を一の最大径部に向けて付勢する付勢部材であって、力伝達機構は、台座回転部材が、力伝達態様保持部材により一の最大径部に向けて付勢されてローラが当該一の最大径部の近傍に配置されることによって、第1の態様に保持されること好ましい。ここで、複数のローラは全て、任意の一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間に一つずつ配置される。そして、台座回転部材が力伝達態様保持部材により一の最大径部に向けて付勢されると、全てのローラが、対応する一の最大径部の近傍に配置されることとなる。これによると、台座回転部材を一の最大径部に向けて付勢するだけといった非常に簡易な構成により、力伝達機構を第1の態様に保持することが可能となる。
以下、本発明に係る車椅子用の車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の好適な実施形態の例について、各図を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、車椅子が前進する場合における車輪の回転方向をX方向、車椅子が後退する場合における車輪の回転方向をY方向と称する。なお、X方向は本発明の「一方向」に相当し、Y方向は本発明の「他方向」に相当する。
図1は、本発明に係る車椅子用の車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。
この車椅子用の車輪駆動装置10は、複数の車輪が回転することによって走行する車椅子に用いられ、車椅子に取り付けられたときに車輪に対して揺動自在となる手動式のレバー12と、回転部20と、固定部30と、力伝達機構40と、力伝達切替機構70とを備えている。
なお、図1に図示される車輪駆動装置10は、車椅子に用いられたときに、車椅子の座部に着座した着座者からみて右側に配置される車輪駆動装置である。また、車椅子の座部に着座した着座者からみて左側に配置される車輪駆動装置は、図1に図示される車輪駆動装置10とは左右対称となる。
レバー12は、湾曲して延びる棒状のものであり、端部に把持部121を有している。また、このレバー12は、後述する各車輪に対応して一つずつ備えられている。
また、レバー12の把持部121側の先端には、力伝達切替機構70を作用させるための釦式の操作部122が設けられている。この釦式の操作部122は、把持部121を把持しつつ例えば親指で下方に向けて(レバー12の長手方向に沿って)押すことができる。なお、この釦式の操作部122は、一つのレバー12に対して一つ設けられている。
回転部20は、車輪駆動装置10が車椅子に備えられたときに、レバー12の揺動に伴って車椅子に対して回転する部分であり、カップ体22と、ハブ24とを有している。
カップ体22は、レバー12の基端部(即ち、把持部121が設けられる側とは反対側の端部)に固定して取り付けられており、盆状または椀状に形成された略円形の部材である。ハブ24は、中央部に略円形の円板部が形成された長手部材であって、一方の端部がT字状に形成されている。そして、ハブ24の円板部の中心とカップ体22の中心部とが同心となるように、ハブ24の両端部がカップ体22と一体的に取り付けられている。
固定部30は、車輪駆動装置10が車椅子に備えられたときに、レバー12の揺動に伴って回転しない部分、即ち、レバー12が揺動したとしてもX方向またはY方向についての回転が制限されるようにして車椅子に固定される部分であり、軸部材32と、軸基材34とを有している。
軸部材32は、後述する車椅子の車輪を貫通して車椅子のフレームに固定される。軸基材34は、板状の長手部材であって、板状の平面部が軸部材32に対して略直交しており、一方の端部には、後述する第2ギヤ44が固定的に取り付けられる。
力伝達機構40は、盆状または椀状に形成されたカップ体22の凹部に収納される。言い換えると、力伝達機構40は、レバー12と、後述する車椅子の車輪との間に配置される。この力伝達機構40は、第1の態様、第2の態様および第3の態様のうちいずれかの態様に切替可能となっている。
車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合において、力伝達機構40が第1の態様または第2の態様である場合には、レバー12を揺動させると、車輪に対していずれかの方向に回転力が付与される。第3の態様である場合には、レバー12を揺動させても、当該レバー12が車輪に対して空転し、いずれの方向にも回転力が付与されない。なお、第1の態様、第2の態様および第3の態様についての詳細は後述する。
力伝達機構40は、中空部421が形成された第1ギヤ42、第2ギヤ44、第3ギヤ46、第4ギヤ48、第1ギヤ42の中空部421に内挿される内挿体50および楔締要素52を備えている。第1ギヤ42は、本発明の「外挿体」に相当する。
力伝達機構40の構成について、図1および図2を参照しつつ説明する。図2は、力伝達機構40の一例を示す正面図である。
第1ギヤ42は、略円形の中空部421を有しており、軸基材34に固定して取り付けられる第2ギヤ44(図1参照)と螺合するように配置されている。また、第3ギヤ46が、第2ギヤ44と同心であって且つ第2ギヤ44と一体的に重ね合わせて配置されている。さらに、第4ギヤ48(図1参照)が、第1ギヤ42と同心であって且つ第3ギヤ46と螺合するように配置されている。この第4ギヤ48は、後述する車輪に固定される。
これにより、第1ギヤ42が回転すると、当該第1ギヤ42と螺合する第2ギヤ44(図1参照)が回転する。そして、第2ギヤ44が回転すると、当該第2ギヤ44と同心且つ一体的である第3ギヤ46が回転する。さらに、第3ギヤ46が回転すると、当該第3ギヤ46と螺合する第4ギヤ48(図1参照)が回転する。ここで、第4ギヤ48は車輪に固定されているので、第1ギヤ42が回転すると、この第1ギヤ42の回転力が、第2ギヤ44、第3ギヤ46および第4ギヤ48を介して車輪に伝達される。
また、第1ギヤ42の中空部421には楔締要素52および内挿体50が配置される。より具体的には、第1ギヤ42の径内側に楔締要素52が配置され、さらにこの楔締要素52の径内側に内挿体50が配置される。即ち、楔締要素52は、第1ギヤ42と内挿体50との間に配置されることとなる。
また、内挿体50の中心O(図2参照)には、軸部材32が内挿体50に対して回転自在に貫通している。ここで、内挿体50は、ハブ24の円板部と同心であって且つハブ24と一体的に固定して取り付けられている。さらに、上述したとおり、ハブ24はカップ体22(図1参照)に一体的に取り付けられている。これにより、レバー12(図1参照)を車椅子に対して揺動させると、内挿体50は、当該レバー12の揺動方向に、カップ体22およびハブ24と伴に回転する。
一方、軸部材32は車椅子のフレームに固定される。従って、車輪駆動装置10(図1参照)が車椅子に取り付けられた状態でレバー12(図1参照)を揺動させたとき、内挿体50が軸部材32に対して回転することとなる。
ここで、内挿体50の形状について、図3を参照しつつ説明する。図3は、ハブ24に固定的に取り付けられた内挿体50の一例を示す外観斜視図である。
内挿体50は、平面視で多角形に形成された部材である。この多角形の角部は、中心Oからの距離が最も大きい最大径部501となっている。ここで、中心Oから各多角形の角部までの距離は全て略同じである(即ち、多角形の角部の数と最大径部501の数とが同じである)。
一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間には、中心O側に凹む弧が形成されており、中心Oから内挿体50の外周までの距離が最も小さい部位が最小径部502となる。
次に、楔締要素52の構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、楔締要素52の一例を示す外観斜視図である。
楔締要素52は、台座54、複数のローラ56、複数の支持柱58および複数の弾性部材としての板バネ60から構成されている。
台座54は、略真円の中空部542を有する略円形の形状をしている。なお、この台座54は、外周側面の一部に、力伝達切替機構70(図1参照)を構成する後述の台座回転部材74に連結される孔541が形成されている。
台座54には、いずれも略同じ直径rである円柱形の複数のローラ56が、中空部542の周囲に沿って配列して載置されている。より具体的には、楔締要素52の径内側に内挿体50が配置されたときに、一の最大径部501(図3参照)と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間にローラ56が一つずつ配置されるように、台座54に配列して載置される。従って、内挿体50の最大径部501の数とローラ56の数とが同じとなる。また、各ローラ56間のピッチは、各最大径部501間のピッチと略同じである。
また、台座54からは、ローラ56が載置される側に向けて支持柱58が立設している。この支持柱58は、台座54と一体的に構成されている。また、支持柱58は、互いに隣接する各ローラ56の間(即ち、一のローラと他のローラとの間)に一つずつ立設されており、各ローラ56を支持している。さらに、互いに隣接する各ローラ56の間には、各ローラ56を、台座54の径内側に向けて付勢する弾性部材としての板バネ60が配置されている。
なお、台座54の径内側には内挿体50(図3参照)が配置されるので、上述の「台座54の径内側に向けて」は、「内挿体50に向けて」と同じ意味である。
次に、力伝達機構40の作用について、図5〜7を参照しつつ説明する。図5は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第1の態様にあるときを示す図である。図6は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第2の態様にあるときを示す図である。図7は、図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第3の態様にあるときを示す図である。
なお、図5〜7に図示されるように、内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離は、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σが最も小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξが最も大きい。また、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σはローラ56の直径rよりも小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξはローラ56の直径rよりも大きい。即ち、σとξとrとの間には、「ξ>r>σ」の関係が成立する。
また、内挿体50は、最小径部502の近傍では、内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離に大きな変化を伴うことなく相対的になだらかな形状となっているのに対し、最大径部501の近傍では、内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離に大きな変化を伴っている。言い換えると、最大径部501の両脇から当該最大径部501にかけて山型となっており、最大径部501の先端が尖った形状となっている。
図5に示す第1の態様では、Y方向側の最大径部501aと、当該最大径部501aに隣接するX方向側の最大径部501bと、の間に配置されているローラ56が、Y方向側の最大径部501aの近傍に配置されている。このとき、各ローラ56間のピッチと各最大径部501間のピッチとが略同じなので、全てのローラ56が、Y方向側の最大径部501の近傍に配置されることとなる。
なお、本実施形態の「Y方向側の最大径部501a」は本発明の「一の最大径部」に相当し、本実施形態の「X方向側の最大径部501b」は本発明の「他の最大径部」に相当する。
力伝達機構40が第1の態様にあるとき(図5参照)、レバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、ハブ24およびカップ体22(図1参照)を介してレバー12と一体的である内挿体50がX方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、X方向について内挿体50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内挿体50と第1ギヤ42とが一体となってX方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内挿体50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、Y方向側の最大径部501aから第1ギヤ42の内周面までの距離σがローラ56の直径rよりも小さいからである。即ち、内挿体50がX方向に回転したときに、Y方向側の最大径部501aの近傍において内挿体50の外周面と第1ギヤ42の内周面との間にローラ56が噛み込むからである。これにより、X方向へのレバー12の揺動力ひいてはX方向への内挿体50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して後述する車輪に伝達される。
一方、力伝達機構40が第1の態様にあるときにレバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、レバー12ひいては内挿体50が第1ギヤ42に対して空転し、Y方向について内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。ここで、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となるのは、最大径部501aから最小径部502(X方向)に沿って内挿体50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。即ち、内挿体50がY方向に回転すると、内挿体50の外周面と第1ギヤ42の内周面との間へのローラ56の噛み込みが解除されて、板バネ60によって内挿体50に向けて付勢されるローラ56と第1ギヤ42の内周面との間に間隙が生じるからである。
図6に示す第2の態様では、Y方向側の最大径部501aと、当該Y方向側の最大径部501aに隣接するX方向側の最大径部501bと、の間に配置されているローラ56が、X方向側の最大径部501bの近傍に配置されている。このとき、各ローラ56間のピッチと各最大径部501間のピッチとが略同じなので、全てのローラ56が、対応するX方向側の最大径部501の近傍に配置されることとなる。
力伝達機構40が第2の態様にあるとき(図6参照)、レバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、ハブ24およびカップ体22(図1参照)を介してレバー12と一体的である内挿体50がY方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、Y方向について内挿体50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内挿体50と第1ギヤ42とが一体となってY方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内挿体50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、X方向側の最大径部501bから第1ギヤ42の内周面までの距離σがローラ56の直径rよりも小さいからである。即ち、内挿体50がY方向に回転したときに、X方向側の最大径部501bの近傍において内挿体50の外周面と第1ギヤ42の内周面との間にローラ56が噛み込むからである。これにより、Y方向へのレバー12の揺動力ひいてはY方向への内挿体50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して後述する車輪に伝達される。
一方、力伝達機構40が第2の態様にあるときにレバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、レバー12ひいては内挿体50が第1ギヤ42に対して空転し、X方向について内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。ここで、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となるのは、最大径部501bから最小径部502(Y方向)に沿って内挿体50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。即ち、内挿体50がX方向に回転すると、内挿体50の外周面と第1ギヤ42の内周面との間へのローラ56の噛み込みが解除されて、板バネ60によって内挿体50に向けて付勢されるローラ56と第1ギヤ42の内周面との間に間隙が生じるからである。
図7に示す第3の態様では、Y方向側の最大径部501aと、当該Y方向側の最大径部501aに隣接するX方向側の最大径部501bと、の間に配置されているローラ56が、最小径部502の近傍に配置されている。このとき、各ローラ56間のピッチと各最大径部501間のピッチとが略同じなので、全てのローラ56が、対応する最小径部502の近傍に配置されることとなる。
力伝達機構40が第3の態様にあるとき(図7参照)、レバー12(図1参照)をX方向およびY方向のいずれに向けて揺動させても、レバー12ひいては内挿体50が第1ギヤ42に対して空転する。即ち、X方向およびY方向のいずれについても、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。ここで、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となるのは、最小径部502における内挿体50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離がローラ56の直径rよりも大きいためである。即ち、板バネ60によって内挿体50に向けて付勢されるローラ56と第1ギヤ42の内周面との間に間隙が生じるからである。
なお、レバー12(図1参照)をX方向およびY方向のいずれに向けて揺動させても、レバー12ひいては内挿体50が第1ギヤ42に対して空転するのは、力伝達機構40が第3の態様にあるとき(即ち、ローラ56が最小径部502に位置しているとき)に限定されない。最小径部502における内挿体50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離がローラ56の直径rよりも大きい位置にローラ56が配置されていれば、レバー12をX方向およびY方向のいずれに向けて揺動させても、レバー12ひいては内挿体50が第1ギヤ42に対して空転することになる。
ところで、内挿体50が第1ギヤ42に対して空転するとき、内挿体50と第1ギヤ42との間には間隙が形成されているので、内挿体50は、第1ギヤ42からの衝撃を受けることなく或いは衝撃が軽減されて空転する。即ち、レバー12を揺動させたときに、ラチェットタイプの場合のような衝撃を感じることがない。
このように、内挿体50が第1ギヤ42に対して空転するときに、内挿体50が第1ギヤ42からの衝撃を受けることなく或いは衝撃が軽減されて空転するのは、各ローラ56が板バネ60によって台座54の径内側に向けて付勢されているからである。即ち、内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離がローラ56の直径rよりも大きい部位にローラ56が配置されていれば、内挿体50が回転したとしても、板バネ60の付勢作用によってローラ56と第1ギヤ42との間に間隙が生じるからである。
また、各ローラ56の配置位置(即ち力伝達機構40の態様)については、台座54(図4参照)を、内挿体50の中心O(図3参照)を回転中心として周方向に回転させることによって切り替えることができる(以下、内挿体50の中心Oを回転中心として回転させることを「内挿体50に対して周回させる」と称する)。
具体的には、台座50を内挿体50に対してY方向(時計周り)に周回させると、これに伴ってローラ56も内挿体50に対してY方向に周回し、ローラ56をY方向側の最大径部501aの近傍に配置させることができる(第1の態様)。一方、台座50を内挿体50に対してX方向に周回させると、これに伴ってローラ56も内挿体50に対してX方向に周回し、ローラ56をX方向側の最大径部501bの近傍に配置させることができる(第2の態様)。また、力伝達機構40(図1参照)が第1の態様にあるときは、台座54を内挿体50に対してX方向(反時計周り)に周回させることによってローラ56を最小径部502の近傍に配置させることができ、力伝達機構が第2の態様にあるときは、台座54を内挿体50に対してY方向に周回させることによってローラ56を最小径部502の近傍に配置させることができる(いずれも第3の態様)。
このように、台座54(図4参照)を内挿体50に対して周回させることによって各ローラ56の配置位置(即ち力伝達機構40の態様)を切り替えることができるのは、台座54から立設された支持柱58(図4参照)にローラ56が支持されているからである。
なお、台座54(図4参照)の内挿体50に対する周方向への回転は、一定の範囲内に限定される。即ち、Y方向側の最大径部501aとX方向側の最大径部501bとの間に配置された1個のローラ56は、当該Y方向側の最大径部501aまたは当該X方向側の最大径部501bを乗り越えることはあり得ない。最大径部501における内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離σがローラ56の直径rよりも小さいからである。
次に、力伝達切替機構70の構成について、図8を参照しつつ説明する。この力伝達切替機構70は、力伝達機構40の態様を切り替えるための機構であり、図8は、回転部20、固定部30、力伝達機構40および力伝達切替機構70を含む平面図の一例である。ただし、力伝達機構40については、便宜上、第4ギヤ48を図示していない。
力伝達切替機構70は、ワイヤ72と、台座回転部材74と、ワイヤ72と台座回転部材74とを連結するリンク部材76と、リンク部材76をカップ体22に固定するピン78と、を有している。
ワイヤ72は、金属製であり、一方の端部が釦式の操作部122(図1参照)に連結されている。そして、釦式の操作部122を例えば親指で押圧すると、ワイヤ72は、押圧された方向(即ちワイヤ72の長手方向であって図8に図示される方向)に沿って移動する。なお、釦式の操作部122を押圧したときにワイヤ72の撓みを極力軽減するために、レバー12(図1参照)に沿ってワイヤ72を支持するガイド部材が設けられていることが好ましい。
台座回転部材74は、中心Oから台座54(図4参照)の径外側に向けて伸びる部材であって、台座54の外周面に形成された孔541(図4参照)に連結されている。この台座回転部材74は、中心Oから台座54の径外側に向けて伸びる長方形状の底部741と、当該底部741の長辺に沿って当該底部741に略直交して立設されたX方向側の第1壁部742と、当該底部741から立設されたY方向側の第2壁部743と、を有している。これによると、中心Oから台座54の径外側に向かう方向に沿って、第1壁部742と第2壁部743とが互いに平行となる。台座回転部材74の形状について言い換えると、台座回転部材74は、中心Oから台座54の径外側に向かう方向に直交する断面が、コ字状に形成されていることとなる。
なお、「底部741」は本発明の「板部材」に相当し、「第1壁部742」は本発明の「壁部」に相当する。
リンク部材76は、ワイヤ72の端部に摺動自在に連結される第1片761と、台座回転部材74の底部741の端部に摺動自在に連結される第2片762と、を有すると共に、第1片761と第2片762とが一体的に形成された略L字状の部材である。そして、このリンク部材76は、略L字状の角部(即ち第1片761と第2片762との境界部)において、ピン78によってカップ体22に回転自在に取り付けられている。
なお、リンク部材76の第2片762は、台座回転部材74の第1壁部742と第2壁部743との間に配置されている。
また、リンク部材76の第2片762の先端には、台座回転部材74の第1壁部742または第2壁部743に当接したときに、第2片762と第1壁部742または第2壁部743と間に生じうる摺動抵抗を軽減するために、ローラ763が設けられている。
さらに、本実施形態の車輪駆動装置10は、台座回転部材74ひいては台座54(図4参照)をY方向側に向けて付勢するコイルバネ80を備えている。このコイルバネ80は、一方の端部がハブ24に固定して取り付けられており、他方の端部が台座回転部材74の第1壁部742に固定して取り付けられている。このコイルバネ80は、台座回転部材74を、ハブ24ひいては内挿体50に対してY方向に向けて常に付勢しており、これにより、台座54ひいてはローラ56が、内挿体50に対してY方向に向けて常に付勢されることとなる。その結果、ローラ56がY方向側の最大径部501a(図5〜図7参照)の近傍に配置されることとなり、ひいては、力伝達機構40が第1の態様に保持されることとなる。
なお、コイルバネ80は、台座回転部材74を、ハブ24ひいては内挿体50に対してY方向に向けて常に付勢することに限られず、ハブ24ひいては内挿体50に対してX方向に向けて常に付勢するものであっても良い。このとき、ローラ56がX方向側の最大径部501b(図5〜図7参照)の近傍に配置されることとなり、ひいては、力伝達機構40が第2の態様に保持されることとなる。また、「コイルバネ80」は、本発明の「力伝達態様保持部材」としての「付勢部材」に相当する。
なお、本実施形態では、台座回転部材74を、コイルバネ80によって内挿体50に対してY方向に向けて常に付勢しているが、台座回転部材74を内挿体50に対してY方向に向けて常に付勢できる弾性部材であればコイルバネに限られない。
次に、力伝達切替機構70の作用について、図8および図9を参照しつつ説明する。図9は、図8と同様に、回転部20、固定部30、力伝達機構40および力伝達切替機構70を含む平面図の一例である。
なお、図8は、力伝達機構40が第1の態様にあるときを示す図であるのに対し、図9は、力伝達機構40が第2の態様にあるときを示す図である。また、図8では、釦式の操作部122(図1参照)が押圧されておらず、図9では、釦式の操作部122が押圧されている。
図8に示すように、釦式の操作部122(図1参照)が押圧されていないとき、リンク部材76の第2片762は、台座回転部材74の第1壁部742と第2壁部743との間に位置している。このとき、第2片762は、第1壁部742および第2壁部743のいずれに対しても負荷を与えていない。なお、ローラ56は、Y方向側の最大径部501a(図5〜図7参照)に位置している。
そして、釦式の操作部122(図1参照)が押圧されると、図9に示されるように、釦式の操作部122の押圧方向(図8に図示される方向)にワイヤ72が移動し、これに伴ってリンク部材76がピン78を支点として時計周りに回転する。このとき、第2片762が第1壁部742を押圧し、その結果、台座回転部材74が内挿体50に対して反時計周りに周回する。これにより、台座54が内挿体50に対して反時計周りに周回し、これに伴ってローラ56も内挿体50に対して反時計周りに周回する。そして、ローラ56がX方向側の最大径部501bまで周回移動すると、力伝達機構40が第2の態様となる。
このようにして、釦式の操作部122を押圧してレバー12の長手方向(釦式の操作部122の押圧方向)に沿って押し込まれると釦式の操作部122が押圧位置に変位し(この押し込まれた押圧位置が、本発明の「第2の位置」に相当する)、力伝達切替機構70によって、コイルバネ80により第1の態様に保持される力伝達機構40が、第1の態様から第2の態様に切り替えられる。
第2の態様に切り替えられた力伝達機構40は、釦式の操作部122(図1参照)を押圧している限りにおいては第2の態様に保持されるものの、釦式の操作部122から指を離す等して押圧を解除すると、台座回転部材74が中心Oを回転中心として時計周りに回転する。これは、台座回転部材74ひいては台座54が、コイルバネ80によって内挿体50に対してY方向側に向けて付勢されているからである。その結果、力伝達機構40は、コイルバネ80によって再び第1の態様に切り替えられ、釦式の操作部122が押圧されない限り、第1の態様に保持されることとなる。
そして、台座回転部材74が内挿体50に対して時計周りに周回すると、第1壁部742が第2片762を押圧し、その結果、リンク部材76がピン78を支点として反時計周りに回転する。すると、釦式の操作部122の押圧方向とは反対の方向にワイヤ72が移動し、釦式の操作部122(図1参照)は、押圧される前の位置に戻る(即ち、図8の態様に戻る)。
なお、釦式の操作部122から指を離す等して押圧を解除したとき、コイルバネ80により台座回転部材74が内挿体50に対してY方向に向けて付勢されることによって、力伝達切替機構70を介して、操作部122が押圧位置から突出位置に戻るものの、釦式の操作部122が押圧位置から突出位置にスムーズに戻るように、操作部の近傍にコイルバネ等の付勢部材が設けられていることが好ましい。
このように釦式の操作部122(図1参照)は、押圧していないときは、力伝達切替機構70を介して、コイルバネ80によって、常に押圧方向とは反対の方向に負荷が与えられている。このとき、釦式の操作部122は、レバー12(図1参照)の端部から突出した突出位置にある(この突出位置が、本発明の「第1の位置」に相当する)。
次に、上述の車輪駆動装置10を、車椅子に取り付ける方法について、図10を参照しつつ説明する。図10は、車輪駆動装置10、車椅子の車輪102およびフレーム106の一例を示す外観斜視図である。なお、図10では、車輪102が一つのみ図示されているが、車輪102は、座部104(図11参照)を挟む両側に少なくとも一つずつ配置されているのが一般的であるから、車輪駆動装置10は、座部104を挟む両側に配置される各車輪に対応して二つの車輪駆動装置10が設けられるのが一般的である。
車輪駆動装置10を車椅子に取り付けるとき、先ず、軸部材32を、車輪102の中央部に形成された貫通孔1021に貫通させる。なお、車輪102の中央部には、この車輪102と同心となるように第4ギヤ48が取り付けられているので、軸部材32は、貫通孔1021および第4ギヤ48の中央部に形成された貫通孔481の両方に貫通させる。
貫通孔481,1021を貫通した軸部材32は、フレーム106に支持される。より具体的には、フレーム106に固定された固定プレート112に、軸部材固定部114によって軸部材32が固定される。
なお、「軸部材固定部114によって軸部材32が固定される。」とは、軸部材32の軸心を中心とする方向への回転が制限されることを意味する。
また、貫通孔1021の内側には軸受が設けられているので、車輪102は、軸部材32に回転自在に支持されることとなる。即ち、車輪102は、軸部材32を介してフレーム106に回転自在に支持される。
さらに、軸部材固定部114には、軸部材32を誘導するための軸部材誘導孔116が形成されている。例えば、軸部材32を多角柱とし、軸部材誘導孔116の内側を、軸部材32に対応する多角孔とすることによって、軸部材32を、軸部材誘導孔116に容易に導くことが可能となる。
このように、軸部材32を貫通孔481,1021に貫通させてフレーム106に支持させるだけで、車輪駆動装置10を車椅子に容易に取り付けることが可能となる。このようにして車輪駆動装置10が取り付けられた車椅子を、図11に示す。図11は、車輪駆動装置10が取り付けられた車椅子の一例を示す外観斜視図である。
なお、この車椅子100は、一般的な車椅子と同様に、背もたれ部108およびキャスター110をも備えている。
車輪駆動装置10は、車輪102の略中心からこの車輪102の径外側に向けて延在し、且つ車椅子100に対して揺動自在に設けられている。着座者が、この車輪駆動装置10のレバー12をX方向またはY方向に揺動させることによって、車椅子100を前進または後退させることが可能となる。
より具体的には、釦式の操作部122が押圧されていないとき、力伝達機構40(図1参照)が第1の態様(図5に図示される態様)となるので、着座者がレバー12をX方向に揺動させると車輪102がX方向に回転して車椅子100が前進する。一方、レバー12をY方向に揺動させても、空転するのみである。
また、着座者が、例えば親指で釦式の操作部122を押圧した状態(力伝達機構40が図6に図示される第2の態様の状態)でレバー12をY方向に揺動させると、車輪102がY方向に回転して車椅子100が後退する。一方、レバー12をX方向に揺動させても、空転するのみである。
なお、着座者が例えば親指で押圧した釦式の操作部122が半押状態であると、力伝達機構40(図1参照)が第3の態様(図7に図示される態様)となる。従って、着座者がレバー12をX方向およびY方向のいずれに揺動させても、車輪102は前進も後退もすることなく、レバー12が車輪102に対して空転するのみである。
以上のように、本実施形態の車輪駆動装置10は、以下の構成を備えている。具体的には、この車輪駆動装置10は、車輪102の回転によって移動(走行)する車椅子100に用いられ、車輪102の略中央から径外側に向けて延在すると共に把持部121を有するレバー12を含んでいる。そして、レバー12を車輪102に対して揺動させることによって車輪102を回転させることができるものである。
また、この車輪駆動装置10は、車椅子に用いられたときに、レバー12と車輪102との間に配置され、レバー12がX方向に揺動したときに当該車輪102に対してX方向に回転力を付与する一方でX方向とは反対のY方向に空転する第1の態様、または、レバー12がY方向に揺動したときに当該車輪102に対してY方向に回転力を付与する一方でX方向に空転する第2の態様、となりうる力伝達機構40と、力伝達機構40を、第1の態様に保持するコイルバネ80と、第1の態様に保持される力伝達機構40を、当該第1の態様から第2の態様に切り替え可能な力伝達切替機構70と、レバー12の把持部121の近傍に設けられ、押圧されたときに、力伝達切替機構70を介して、力伝達機構40の態様を切り替えることが可能な単一の操作部122と、を備え、力伝達切替機構70は、操作部122が押圧されたときは、力伝達機構40の態様を、コイルバネ80によって保持される第1の態様から第2の態様に切り替えると共に、操作部122が押圧されているときに限り第2の態様に保持する一方、操作部122に対する押圧が解除されたときは、力伝達機構40の態様を、第2の態様から第1の態様に切り替える。
これによれば、レバー12を車輪102に対して揺動させると、力伝達機構40を介して車輪102に回転力が付与され、車椅子が前進または後退する。力伝達機構40は、コイルバネ80によって第1の態様に保持されている。レバー12の把持部121の近傍に設けられた釦式の操作部122を押圧すると、力伝達切替機構70によって、力伝達機構40が第1の態様から第2の態様に切り替えられる。そして、この操作部122を押圧操作を行い続けているときに限り、力伝達機構40が第2の態様に保持され、操作部122に対する押圧が解除されると、力伝達機構40が、コイルバネ80からの作用によって、第2の態様から第1の態様に切り替えられる。ここで、操作部122は単一の操作部なので、操作部122に対する押圧の解除は、押圧している指を離すことで行われる。これにより、力伝達機構40は、常には(即ち操作部122が押圧されない限り)第1の態様に保持されることとなり、操作部122が押圧されたときに第2の態様に切り替えられることとなる。そして、操作部122に対する押圧が解除されると、力伝達機構40の態様が、第2の態様からコイルバネ80によって保持される第1の態様に切り替えられる。従って、力伝達機構40の態様が、常にはコイルバネ80によって第1の態様に保持される一方、レバー12毎に設けられた単一の操作部122の押圧操作を行っているときにのみ第2の態様になるといった、力伝達機構40の今現在の態様ひいては車輪の回転方向が非常に分かり易くなる。しかも、操作部122を押し続けるには車椅子の着座者の意思が必要であるから、現在の力伝達機構の態様(即ち、レバー12を揺動すると前進するのかまたは後退するのか)が分からなくなるといったことが回避できる。これにより、車椅子の着座者によるレバー操作に混乱をきたす虞を回避でき、着座者の意思通りに車椅子を操作できるようになる。また、例えば休憩等により、暫くの間車椅子を移動しなかった場合であっても、操作部122の態様を視認することなく力伝達機構40の現在の態様をすぐに把握できる。よって、例えば自動車が車椅子に向かって走行してくるような危険が差し迫った場合であっても、車椅子の着座者が所望する方向に、車椅子を迅速に移動させることができる。
また、操作部122は、押圧されていないときはレバー12から突出する突出位置に保持される一方で、押圧されたときにレバー12の長手方向に沿って凹み、レバー12の先端と操作部122の先端とが略面一となる押圧位置に変位する。そして、操作部122に対する押圧が解除されたときに、押圧位置から突出位置に変位する。
これによれば、力伝達機構40の現在の態様を、車椅子の着座者が明確に把握できる。例えば、操作部122を押圧したときに、操作部122が押圧されたことをセンサによって検知し、それに基づいて力伝達機構40の態様が切り替わるような場合であれば、実際にセンサが検知しているか否かを把握し難い。これに対し、操作部122を押圧したときに、操作部122の位置が変位するようにすることで、力伝達機構40の態様を明確に把握できる。これにより、操作部122を押すことによって当該操作部122が押圧位置にあるときにのみ車椅子が後退し、操作部122が突出位置にある限り、レバー12を揺動すると車椅子が前進するといった、現在の力伝達機構40の態様が非常に分かり易いものとなる。
また、力伝達機構40は、略円形の中空部421を有する第1ギヤ42と、第1ギヤ42の中空部421に配置され、レバー12に固定される多角形の内挿体50と、内挿体50の略中心Oを回転中心として周方向に回転可能な台座54、当該台座54に載置され且つ第1ギヤ42と内挿体50との間に配置されると共にいずれも略同じ径の複数のローラ56、台座54から一体的に立設すると共に互いに隣接するローラ56との間に配置されて各ローラ56を支持する支持柱58、および、複数のローラ56のそれぞれに対して内挿体50に向けて付勢する板バネ60、を有する楔締要素52と、を備え、内挿体50が、当該内挿体50の外周から第1ギヤ42の内周までの距離ξがローラ56の直径rよりも小さい最大径部501、および、当該内挿体50の外周から第1ギヤ42の内周までの距離σがローラ56の直径rよりも大きい最小径部502、がそれぞれ複数形成される多角形に形成されており、複数の最大径部501のうちY方向側の最大径部501aと当該Y方向側の最大径部501aに隣接するX方向側の最大径部501bとの間には、ローラ56が一つずつ配置されると共に、力伝達切替機構70が、操作部122と台座54との間に連結されるリンク部材76を備えており、操作部122が突出位置から押圧位置に変位したとき、リンク部材76が所定位置としてのピン78を支点(回転中心)として回転することによって台座54が内挿体50の略中心O(所定位置)を回転中心として当該内挿体50に対して周方向に回転し、当該台座54の回転に伴ってY方向側の最大径部501aの近傍からX方向側の最大径部501bの近傍まで各ローラ56が移動することによって、力伝達機構40が第1の態様から第2の態様に切り替えられる。
これによれば、レバー12を揺動させると内挿体50が回転する。ここで、最大径部501では、内挿体50の外周から第1ギヤ42の内周までの距離σがローラ56の直径rよりも小さく、最小径部502では、内挿体50の外周から第1ギヤ42の内周までの距離ξがローラ56の直径rよりも大きい。また、互いに隣接する二つの最大径部のうち、ローラがY方向側の最大径部501aの近傍に配置されているときが、力伝達機構40の第1の態様となる。一方、ローラ56がX方向側の最大径部501bの近傍に配置されているときが、力伝達機構40の第2の態様となる。詳述すると、Y方向側の最大径部501aの近傍にローラ56が配置されているときにX方向に向けてレバー12を揺動させると、これに伴って内挿体50がX方向に回転する。このとき、楔締め効果(ローラ56が内挿体50と第1ギヤ42との間に噛みこまれた効果)により、内挿体50と第1ギヤ42とが連結状態となる。一方、Y方向側の最大径部501aの近傍にローラが配置されているときにY方向に向けてレバー12を揺動させると、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となり、内挿体50が第1ギヤ42に対して空転する。ここで、内挿体50と第1ギヤ42とが非連結状態となるのは、ローラ56が内挿体50に向けて付勢されていることから、ローラ56と第1ギヤ42との間に間隙が生じるからである。そして、操作部122が突出位置から押圧位置に変位すると、これに伴って、リンク部材76が移動する。このとき、リンク部材76は、ピン78を支点として回転し、これに伴って台座54が回転し、内挿体50に対してローラ56が移動することとなる。例えば、Y方向側の最大径部501aの近傍にローラ56があるとき(力伝達機構40が第1の態様)、当該ローラ56がX方向側の最大径部501bの近傍に位置するように台座54を回転させると、力伝達機構40が第2の態様となる。
これによれば、力伝達切替機構70としてリンク部材76を用いることにより、操作部122が変位する方向(突出位置と押圧位置とを結ぶ方向)と台座54が移動する方向(内挿体50の略中心Oを回転中心とする周方向)とが同じ方向である必要がなくなる。これにより、操作部122の操作性が向上する。
また、力伝達切替機構70が、内挿体50の略中心Oから第1のギヤ42の径外側に向かう方向に台座54に取り付けられ、ピン78を支点としてリンク部材76が回転移動することによって当該台座54を内挿体50の略中心Oを回転中心として周方向に回転させる台座回転部材74を有している。台座54は、内挿体50の略中心Oから径外側に向けて延在する底部741と、内挿体50の略中心Oから径外側に向かう方向に沿って底部741から立設された第1壁部742と、を有しており、操作部122が突出位置から押圧位置に変位したとき、リンク部材76が第1壁部742に当接することによって、台座回転部材74を介して、台座54が、内挿体50の略中心Oを回転中心として周方向に回転する。
これによれば、操作部122が突出位置から押圧位置に変位したとき、リンク部材76が台座回転部材74の第1壁部742に当接する。このとき、リンク部材76は、操作部122が変位することに伴ってピン78を支点として回転移動する一方で、台座回転部材74は、リンク部材76が回転移動する方向とは異なる方向(内挿体50の略中心Oを回転中心とする回転方向)に回転するので、リンク部材76と台座回転部材74とが当接する部位において両者が摺動することとなる。従って、操作部122が突出位置から押圧位置に変位したときに、リンク部材76と台座回転部材74の第1壁部742とが当接するようにすることで(言い換えると、リンク部材76と台座回転部材74の第1壁部742とが当接する前は、リンク部材76と台座回転部材74の第1壁部742との間には間隙がある)、リンク部材76と台座回転部材74ひいては台座54との間に無理な負荷が生じることなく、台座54をスムーズに回転させることが可能となる。
また、コイルバネ80が、内挿体50と台座回転部材74との間に配置され、台座回転部材74をY方向側の最大径部501aに向けて付勢しており、力伝達機構40は、台座回転部材74が、コイルバネ80によりY方向側の最大径部501aに向けて付勢されてローラ56がY方向側の最大径部501aの近傍に配置されることによって、第1の態様に保持される。ここで、複数のローラ56は全て、互いに隣接する任意の二つの最大径部501のうち、一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間に一つずつ配置される。そして、台座回転部材74がコイルバネ80により一の最大径部に向けて付勢されると、全てのローラ56が、対応する一の最大径部の近傍に配置されることとなる。これによると、台座回転部材74を一の最大径部に向けて付勢するだけといった非常に簡易な構成により、力伝達機構40を第1の態様に保持することが可能となる。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、上述の実施形態において、コイルバネ80は、台座回転部材74をY方向側に付勢することによって力伝達機構40が第1の態様に保持されるように構成されているが、これに限られず、台座回転部材74をX方向側に付勢することによって力伝達機構40が第2の態様に保持されるようにしても良い。このとき、力伝達機構40は、常には第2の態様に保持され、釦式の操作部122が押圧されたときに、力伝達切替機構70によって、第2の態様から第1の態様に切り替えられる。ただし、車椅子が後退する頻度よりも前進する頻度の方が明らかに高い場合であれば、力伝達機構40が第1の態様に保持されるようにした方が良い。
また、上述の実施形態において、釦式の操作部122を押圧すると、当該操作部122が押圧される方向に沿ってワイヤ72が移動し、これに伴って台座回転部材74が、内挿体50の略中心を回転中心として反時計周りに回転するが、これに限られない。例えば、操作部122とワイヤ72との間にリンク部材を設け、操作部122を押圧したときに、当該操作部122が押圧される方向と反対の方向に沿ってワイヤ72が移動する構成であっても良い。このとき、力伝達機構40が第1の態様に保持される構成であれば、操作部122を押圧したときに力伝達機構40が第2の態様となる一方、力伝達機構40が第2の態様に保持される構成であれば、操作部122を押圧したときに力伝達機構40が第1の態様となる。
また、上述の実施形態において、楔締要素52の板バネ60は、ローラ56を、台座54の径内側(即ち内挿体50)に向けて付勢しているが、これに限られず、台座54の径外側(即ち第1ギヤ42)に向けて付勢する態様であっても良い。内挿体50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離がローラ56の直径よりも大きい部位(例えば最小径部502周辺)にローラ56が配置されているとき、ローラ56と第1ギヤ42または内挿体50との間に間隙が発生すれば良い。この間隙により、第1ギヤ42まで伝達される内挿体50の回転に伴って発生する衝撃を軽減できるからである。
また、上述の実施形態において、この車椅子100は、全体の骨格をなすフレーム106に、着座可能な座部104が支持されている。この座部104の挟む両側には、フレーム106に対して回転自在な車輪102が一つずつ配置されている。ただし、車輪102の数はこれに限られず、例えば座部104を挟む両側に二つずつの車輪が一対となって配置されていても良い。
また、上述の実施形態において、車椅子100は、一つの車輪102に対して車輪駆動装置10が一つずつ設けられているが、これに限られず、いずれか一方の車輪102についてのみ車輪駆動装置10が設けられていても良い。この場合、座部104を挟む両側の車輪102を連結することによって、車輪駆動装置10が設けられた側の車輪102を駆動輪、他の車輪102を従動輪とすることが好ましい。これにより、座部104を挟む両側の車輪102のうちいずれか一方の車輪102についてのみ車輪駆動装置10を設けた場合であっても、車椅子100を前進または後退させることが可能となる。
また、上述の実施形態において、「レバー12」は、車輪102を回転させるといった機能は同じであるものの、一般的に「アーム」や「ハンドル」と称される場合もある。
本発明に係る車輪駆動装置の一例を示す外観斜視図である。 力伝達機構の一例を示す正面図である。 ハブに固定して取り付けられた内挿体の一例を示す外観斜視図である。 楔締要素の一例を示す外観斜視図である。 図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第1の態様にあるときを示す図である。 図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第2の態様にあるときを示す図である。 図2に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第3の態様にあるときを示す図である。 回転部、固定部、力伝達機構および力伝達切替機構を含む平面図の一例であって、力伝達機構が第1の態様にあるときを示す図である。 回転部、固定部、力伝達機構および力伝達切替機構を含む平面図の一例であって、力伝達機構が第2の態様にあるときを示す図である。 車輪駆動装置、車椅子の車輪およびフレームの一例を示す外観斜視図である。 車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の一例を示す外観斜視図である。
符号の説明
10 車輪駆動装置
12 レバー
40 力伝達機構
42 第1ギヤ(外挿体)
50 内挿体
52 楔締要素
54 台座
56 ローラ
58 支持柱
60 板バネ(弾性部材)
70 力伝達切替機構
74 台座回転部材
76 リンク部材
80 コイルバネ(力伝達態様保持部材)
100 車椅子
102 車輪
121 把持部
122 操作部
421 中空部
481 貫通孔
501a Y方向側の最大径部(一の最大径部)
501b X方向側の最大径部(他の最大径部)
502 最小径部
542 中空部
741 底部
742 第1壁部(壁部)

Claims (10)

  1. 車輪の回転によって走行する車椅子に用いられ、当該車輪の略中央から径外側に向けて延在すると共に把持部を有するレバーを含み、当該レバーを前記車輪に対して揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車椅子用の車輪駆動装置であって、
    前記車椅子に用いられたときに前記レバーと前記車輪との間に配置され、前記レバーが一の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方で当該一の方向とは反対の他の方向に空転する第1の態様、または、前記レバーが前記他の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方で前記一の方向に空転する第2の態様、となりうる力伝達機構と、
    前記力伝達機構を、常には前記第1の態様に保持する力伝達態様保持部材と、
    前記第1の態様に保持される前記力伝達機構を、当該第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な力伝達切替機構と、
    前記レバーの把持部の近傍に設けられ、押圧されたときに、前記力伝達切替機構を介して、前記力伝達機構の態様を切り替えることが可能な単一の操作部と、を備え、
    前記力伝達切替機構は、
    前記操作部が押圧されたときは、前記力伝達機構の態様を、前記力伝達態様保持部材によって保持される前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えると共に、当該操作部が押圧されているときに限り当該第2の態様に保持する一方、
    前記操作部に対する押圧が解除されたときは、前記力伝達機構の態様を、前記第2の態様から前記力伝達態様保持部材によって保持される前記第1の態様に切り替え
    前記力伝達機構は、
    常には、前記レバーが一の方向に揺動すると前記車輪に対して当該一の方向に回転力を付与することで、前記車椅子を前進する方向に移動させるとともに、
    前記操作部が押圧されているときにのみ、前記レバーが他の方向に揺動すると前記車輪に対して当該他の方向に回転力を付与することで、前記車椅子を後退する方向に移動させる
    ことを特徴とする車椅子用の車輪駆動装置。
  2. 前記操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうると共に、当該操作部に対する押圧が解除されたときに当該第2の位置から前記第1の位置に変位することを特徴とする請求項に記載の車椅子用の車輪駆動装置。
  3. 前記力伝達機構が、
    略円形の中空部を有する外挿体と、
    前記外挿体の中空部に配置され、前記レバーに固定される多角形の内挿体と、
    前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転可能な台座、当該台座に載置され且つ前記外挿体と前記内挿体との間に配置されると共にいずれも略同じ径の複数のローラ、前記台座から立設すると共に互いに隣接するローラとの間に配置されて各ローラを支持する支持部材、および、前記複数のローラのそれぞれに対して前記外挿体または前記内挿体に向けて付勢する弾性部材、を有する楔締要素と、を備え、
    前記内挿体が、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも小さい最小径部、および、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも大きい最大径部、がそれぞれ複数形成される多角形に形成されており、
    複数の前記最大径部のうち一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間には、前記ローラが一つずつ配置されると共に、
    前記力伝達切替機構が、前記操作部と前記台座との間に連結されるリンク部材を備えており、
    前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が移動することによって前記台座が前記内挿体の略中心を回転中心として当該内挿体に対して周方向に回転し、当該台座の回転に伴って前記一の最大径部の近傍から前記他の最大径部の近傍まで前記各ローラが移動することによって、前記力伝達機構が前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えられることを特徴とする請求項に記載の車椅子用の車輪駆動装置。
  4. 前記力伝達切替機構が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて前記台座に取り付けられ、前記リンク部材が移動することによって当該台座を前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転させる台座回転部材を有すると共に、
    前記台座が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて延在する板部材と、前記内挿体の略中心から径外側に向かう方向に沿って当該板部材から立設された壁部と、を有しており、
    前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が前記壁部に当接することによって、前記台座回転部材を介して、前記台座が、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転することを特徴とする請求項に記載の車椅子用の車輪駆動装置。
  5. 前記力伝達態様保持部材が、前記内挿体と前記台座回転部材との間に配置され、当該台座回転部材を前記一の最大径部に向けて付勢する付勢部材であって、
    前記力伝達機構は、前記台座回転部材が、前記力伝達態様保持部材により前記一の最大径部に向けて付勢されて前記ローラが当該一の最大径部の近傍に配置されることによって、前記第1の態様に保持されることを特徴とする請求項に記載の車椅子用の車輪駆動装置。
  6. 座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪を有する車椅子であって、
    前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に揺動自在に設けられ、当該車輪の略中心から当該車輪の径外側に向けて延在すると共に、当該車輪の径外側の端部に把持部を有する一または複数のレバーと、
    前記レバーと当該レバーが設けられた車輪との間に配置され、当該レバーが一の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該一の方向に回転力を付与する一方で当該一の方向とは反対の他の方向に空転する第1の態様、または、当該レバーが前記他の方向に揺動したときに当該車輪に対して当該他の方向に回転力を付与する一方で前記一の方向に空転する第2の態様、となりうる力伝達機構と、
    前記力伝達機構を、常には前記第1の態様に保持する力伝達態様保持部材と、
    前記第1の態様に保持される前記力伝達機構を、当該第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な力伝達切替機構と、
    前記一または複数のレバーのうち各レバーに対応し且つ当該対応するレバーの把持部の近傍に一つだけ設けられ、押圧されたときに、前記力伝達切替機構を介して、前記力伝達機構の態様を切り替えることが可能な操作部と、を備え、
    前記力伝達切替機構は、
    前記操作部が押圧されたときは、前記力伝達機構の態様を、前記力伝達態様保持部材によって保持される前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えると共に、当該操作部が押圧されているときに限り当該第2の態様に保持する一方、
    前記操作部に対する押圧が解除されたときは、前記力伝達機構の態様を、前記第2の態様から前記力伝達態様保持部材によって保持される前記第1の態様に切り替え
    前記力伝達機構は、
    常には、前記レバーが一の方向に揺動すると前記車輪に対して当該一の方向に回転力を付与することで、前記車椅子を前進する方向に移動させるとともに、
    前記操作部が押圧されているときにのみ、前記レバーが他の方向に揺動すると前記車輪に対して当該他の方向に回転力を付与することで、前記車椅子を後退する方向に移動させる
    ことを特徴とする車椅子。
  7. 前記操作部が、常には第1の位置に保持される一方で、押圧されたときに第2の位置に変位しうると共に、当該操作部に対する押圧が解除されたときに当該第2の位置から前記第1の位置に変位することを特徴とする請求項に記載の車椅子。
  8. 前記力伝達機構が、
    略円形の中空部を有する外挿体と、
    前記外挿体の中空部に配置され、前記レバーに固定される多角形の内挿体と、
    前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転可能な台座、当該台座に載置され且つ前記外挿体と前記内挿体との間に配置されると共にいずれも略同じ径の複数のローラ、前記台座から立設すると共に互いに隣接するローラとの間に配置されて各ローラを支持する支持部材、および、前記複数のローラのそれぞれに対して前記外挿体または前記内挿体に向けて付勢する弾性部材、を有する楔締要素と、を備え、
    前記内挿体が、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも小さい最小径部、および、当該内挿体の外周から前記外挿体の内周までの距離が前記ローラの直径よりも大きい最大径部、がそれぞれ複数形成される多角形に形成されており、
    複数の前記最大径部のうち一の最大径部と当該一の最大径部に隣接する他の最大径部との間には、前記ローラが一つずつ配置されると共に、
    前記力伝達切替機構が、前記操作部と前記台座との間に連結されるリンク部材を備えており、
    前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が移動することによって前記台座が前記内挿体の略中心を回転中心として当該内挿体に対して周方向に回転し、当該台座の回転に伴って前記一の最大径部の近傍から前記他の最大径部の近傍まで前記各ローラが移動することによって、前記力伝達機構が前記第1の態様から前記第2の態様に切り替えられることを特徴とする請求項に記載の車椅子。
  9. 前記力伝達切替機構が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて前記台座に取り付けられ、前記リンク部材が移動することによって当該台座を前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転させる台座回転部材を有すると共に、
    前記台座が、前記内挿体の略中心から径外側に向けて延在する板部材と、前記内挿体の略中心から径外側に向かう方向に沿って当該板部材から立設された壁部と、を有しており、
    前記操作部が前記第1の位置から前記第2の位置に変位したとき、前記リンク部材が前記壁部に当接することによって、前記台座回転部材を介して、前記台座が、前記内挿体の略中心を回転中心として周方向に回転することを特徴とする請求項に記載の車椅子。
  10. 前記力伝達態様保持部材が、前記内挿体と前記台座回転部材との間に配置され、当該台座回転部材を前記一の最大径部に向けて付勢する付勢部材であって、
    前記力伝達機構は、前記台座回転部材が、前記力伝達態様保持部材により前記一の最大径部に向けて付勢されて前記ローラが当該一の最大径部の近傍に配置されることによって、前記第1の態様に保持されることを特徴とする請求項に記載の車椅子。
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