JP2008073262A - 車輪駆動装置および車椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切替操作部がレバーに対して回転自在であることを保持しつつ、移動体の利用者の意に反して力伝達機構の態様が切り替わってしまうことを防止する車輪駆動装置および車椅子を提供する。
【解決手段】 レバー12が揺動したとき、力伝達機構40が第1の態様である場合には主車輪にX方向に回転力を付与すると共にY方向に遊転し、第2の態様である場合には主車輪にY方向に回転力を付与すると共にX方向に遊転する。力伝達機構40の態様は、力伝達態様切替機構70によって切り替えられる。この力伝達態様切替機構70は、切替部材72、切替操作部74および仮係止部材を有している。仮係止部材は、切替操作部74が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるときに、切替操作部74とレバー12とを切替操作部74の回転方向に仮係止する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車輪の回転によって走行する移動体に用いられ、当該車輪に対して揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置を備える車椅子に関する。
この明細書において、移動体の一例として車椅子を採用し、以下、車輪駆動装置が車椅子に用いられた場合について説明する。
近年、車椅子に代表される移動体を、レバー操作によって移動させることができるようにとの要望が高まってきている。車輪を回転させるためのレバーが設けられた車椅子の従来例が、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の車椅子は、レバーを揺動させたときに車輪に対して第1の方向または第2の方向に回転力を付与する力伝達機構を、レバーと車輪との間に備えている。
力伝達機構は第1の態様と第2の態様とに切り替え可能に構成されており、第1の態様である場合には、レバーの揺動によって車輪に対して第1の方向に回転力が付与される。一方、第2の態様である場合には、レバーの揺動によって車輪に対して第2の方向に回転力が付与される。
さらに、この車椅子は、力伝達機構の態様を切り替えるための切替部材を有している。この切替部材は、レバーに対して回転自在に設けられた切替操作部をレバーに対して回転させることで、力伝達機構の態様を切り替えることができる。力伝達機構の態様が切り替えられると、車輪に対して付与される回転力の方向、即ち、車椅子の走行方向が変更される。
特許第3689101号公報
ところが、移動体の走行中等に、移動体の利用者(移動体が車椅子であれば車椅子の着座者)の意に反して力伝達機構の態様が切り替わってしまうことがある。切替操作部(即ち切替部材)がレバーに対して回転自在に設けられているからである。また、力伝達機構の態様が切り替わるほどでなくても、車輪に対して効率良く回転力を付与できる程度に力伝達機構の態様を維持できなくなってしまう虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、切替操作部がレバーに対して回転自在であることを保持しつつ、移動体の利用者の意に反して力伝達機構の態様が切り替わってしまうことを防止する車輪駆動装置および車椅子を提供することを目的とする。
なお、本発明を適用できる移動体は、電気的駆動手段を伴うことなく例えば手動で車輪を回転させる非電動式の移動体であって、自走式の車椅子の他、例えば自転車に代表される非電動式の二輪車、非電動式の三輪車およびこれらを模した玩具等が考えられる。
本発明において、以下の特徴は単独で、若しくは、適宜組合わされて備えられている。
前記課題を解決するための本発明に係る車輪駆動装置は、車輪の回転によって走行する移動体に用いられ、当該車輪に対して揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置であって、前記車輪に対して揺動自在に設けられるレバーと、前記レバーと当該レバーが設けられる車輪との間に配置され、少なくとも第1の態様または第2の態様に切り替え可能であり、前記移動体に設けられた場合において、前記レバーが揺動したとき、前記第1の態様である場合には前記車輪に対して一方向に回転力を付与すると共に当該一方向とは反対の他方向に遊転する一方、前記第2の態様である場合には前記車輪に対して前記他方向に回転力を付与すると共に前記一方向に遊転する力伝達機構と、前記レバーに沿って設けられる軸状のものであって、軸心を回転中心とする第1の回転方向位置から第2の回転方向位置まで回転させることによって前記力伝達機構の態様を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な切替部材、および、前記レバーに対して回転自在に設けられ、当該切替部材を回転させるための切替操作部、を含む力伝達態様切替機構と、を備えており、前記力伝達態様切替機構は、前記切替操作部が前記第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるときに、当該切替操作部と前記レバーとを当該切替操作部の回転方向に仮係止する仮係止部材を、さらに含むことを特徴とする。
上記構成の車輪駆動装置によれば、本発明にかかる車輪駆動装置が車輪の回転によって走行する移動体に用いられたとき、レバーが車輪に対して揺動自在となる。このレバーを一方向に揺動させると力伝達機構を介して車輪に回転力が付与され、車椅子が走行する。力伝達機構は、少なくとも、車椅子の前進方向に車輪に回転力が付与される第1の態様と、車椅子の後退方向に車輪に回転力が付与される第2の態様と、の間で切替可能に構成されている。力伝達機構の態様は、力伝達態様切替機構によって切り替えられる。この力伝達態様切替機構は、切替操作部が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるとき、切替操作部と切替部材とが、仮係止部材によって切替操作部の回転方向に仮係止される。
前記課題を解決するための本発明に係る車椅子は、座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪と、前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に揺動自在に設けられたレバーと、前記レバーと当該レバーが設けられた車輪との間に配置され、少なくとも第1の態様または第2の態様に切り替え可能であり、前記レバーが揺動したとき、前記第1の態様である場合には前記車輪に対して一方向に回転力を付与すると共に当該一方向とは反対の他方向に遊転する一方、前記第2の態様である場合には前記車輪に対して前記他方向に回転力を付与すると共に前記一方向に遊転する力伝達機構と、前記レバーに沿って設けられる軸状のものであって、軸心を回転中心とする第1の回転方向位置から第2の回転方向位置まで回転させることによって前記力伝達機構の態様を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な切替部材、および、前記レバーに対して回転自在に設けられ、当該切替部材を回転させるための切替操作部、を含む力伝達態様切替機構と、を備えており、前記力伝達態様切替機構は、前記切替操作部が前記第1の位置または第2の位置にあるときに、当該切替操作部と前記レバーとを当該切替操作部の回転方向に仮係止する仮係止部材を、さらに含むことを特徴とする。
上記構成の車椅子によれば、レバーが車輪に対して揺動自在に設けられている。このレバーを一方向に揺動させると力伝達機構を介して車輪に回転力が付与され、車椅子が走行する。力伝達機構は、少なくとも、車椅子の前進方向に車輪に回転力が付与される第1の態様と、車椅子の後退方向に車輪に回転力が付与される第2の態様と、の間で切替可能に構成されている。力伝達機構の態様は、力伝達態様切替機構によって切り替えられる。この力伝達態様切替機構は、切替操作部が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるとき、切替操作部と切替部材とが、仮係止部材によって切替操作部の回転方向に仮係止される。
本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、前記仮係止部材が、少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、当該溝形成面と前記切替操作部の回転方向とが実質的に平行となるように前記レバーに固定された溝形成部材と、前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、係合球が第1の溝または第2の溝に係合したとき、係合球と各溝とが当接することに起因する当接音が発生すると共に、これらが当接した感触が着座者の手に伝わる。
本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、前記レバーが、前記切替操作部の回転方向と実質的に平行であって且つ少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、前記仮係止部材が、前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えていても良い。
上記構成のように、必ずしも仮係止部材が溝形成部材を備えている必要はなく、切替操作部の回転方向と実質的に平行な溝形成面がレバーに形成されていても良い。
本発明に係る車輪駆動装置または車椅子において、前記弾性部材が、凹部が形成された板バネであると共に前記切替操作部に取り付けられており、前記係合球が、前記弾性部材の凹部に配置されて挟持されることによって、前記弾性部材を介して前記切替部材に保持されていることが好ましい。
上記構成によれば、弾性部材としての板バネが切替操作部に取り付けられているので、切替部材を軸心とする回転方向に切替操作部が回転したとき、これに伴って板バネも、切替部材を軸心とする回転方向に回転する。また、係合球が弾性部材に挟持されているので、係合球が溝と係合した場合であっても、切替操作部の回転に伴って係合球がスムーズに回転する。
請求項1または請求項5に記載の発明によれば、切替操作部が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるとき、切替操作部74と切替部材72とが切替操作部74の回転方向に仮係止されるので、切替操作部がレバーに対して回転自在であることを保持しつつ、移動体の利用者の意に反して力伝達機構の態様が切り替わってしまうことを防止することが可能となる。
請求項2または請求項6に記載の発明によれば、係合球が第1の溝または第2の溝に係合したとき、係合球と各溝とが当接することに起因する当接音が発生すると共に、これらが当接した感触が着座者の手に伝わるので、着座者が切替操作部を必要以上に回転させることを防止できるといったさらなる効果を奏する。なお、切替操作部を必要以上に回転させると、力伝達機構のトラブルの原因となる。
請求項3および請求項7に記載の発明によれば、請求項2または請求項6に記載の発明と同様の効果を奏するものの、係合球と係合する溝が形成された溝形成面を有する溝形成部材を必ずしも備えている必要はない。例えば、レバーに溝形成面が形成されていても良い。
請求項4および請求項8に記載の発明によれば、係合球が溝と係合した場合であっても、切替操作部の回転に伴って、溝形成面上を係合球がスムーズに移動するので、切替操作部を回転させたときに係合球が溝に係合したままで空回りするといったトラブルを回避できる。
以下、本発明に係る車輪駆動装置、および、この車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の好適な実施形態の例について、各図を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、車椅子が前進する場合における車輪の回転方向をX方向、車椅子が後退する場合における車輪の回転方向をY方向と称する。なお、X方向は本発明の「一方向」に相当し、Y方向は本発明の「他方向」に相当する。
図1は、本発明に係る車輪駆動装置10が取り付けられた車椅子100の実施形態の一例を示す斜視図である。
この車椅子100は、車輪駆動装置10の他、本体部110と、この本体部110に回転自在に支持される主車輪120とを有している。この主車輪120は、本発明における「車輪」に相当する。
本体部110は、全体の骨格をなすフレーム112と、車椅子100の利用者が着座できるようにフレーム112に支持された座部114とを有している。
さらに、この本体部110は、一般的な車椅子に見られるように、キャスター116および背もたれ部118をも有している。
主車輪120は、座部114の両側に一つずつ(計二つ)、本体部110(より具体的にはフレーム112)に回転自在に支持されて配置されている。
なお、主車輪120の数はこれに限られず、座部114の両側に、少なくとも一つずつの主車輪120が配置されていれば良い。
車輪駆動装置10は、揺動により主車輪120を回転駆動させるためのものであり、各主車輪120に対応して設けられる。本実施形態では、二つの主車輪120に対して、それぞれ一つずつの車輪駆動装置10が設けられている。また、車輪駆動装置10は、対応する主車輪120に対して本体部110と反対側に設けられている。即ち、主車輪120が、本体部110と車輪駆動装置10とに挟まれて配置されることとなる。
この車輪駆動装置10の構成について、各図を参照しつつ説明する。
図2は、車輪駆動装置10の一例を示す斜視図である。なお、図2に図示される車輪駆動装置10は、図1に図示される車椅子100に着座した場合における右側の車輪駆動装置10である。
この車輪駆動装置10は、移動体としての例えば車椅子に取り付けられた場合に主車輪120(図1参照)に対して揺動自在となる手動式のレバー12と、回転部20と、固定部30と、力伝達機構40と、力伝達態様切替機構70とを備えている。
レバー12は、湾曲状に延在しており、端部に把持部121を有している。このレバー12が湾曲状に形成されているのは、審美性の観点、および、着座者が把持部121を把持しやすくする観点からである。
回転部20は、車輪駆動装置10が車椅子100(図1参照)に取り付けられた場合に、レバー12の揺動に伴って車椅子100に対して回転する部分であり、カップ体22と、ハブ24とを有している。
カップ体22は、レバー12の端部(より詳しくは、把持部121とは反対側の端部)に固定して取り付けられており、盆状または椀状に形成された略円形の部材である。ハブ24は、中央部に略円形の円板部が形成された長手部材であって、一方の端部がT字状に形成されている。そして、円板部がカップ体22の中心部に配置されるようにして、両端部がカップ体22と一体的に取り付けられている。
固定部30は、車輪駆動装置10が車椅子100(図1参照)に取り付けられた場合に、レバー12の揺動に伴って回転しない部分、即ち、X方向またはY方向についての回転が制限されるようにして車椅子100に固定される部分である。この固定部30は、軸部材32と、制限部材34とを有している。
軸部材32は、車椅子100(図1参照)のフレーム112に固定される部材である。制限部材34は、回転部20が回転したときにハブ24と当接することによって、回転部20の回転範囲ひいてはレバー12の揺動範囲を制限するための部材である。
ハブ24の円板部近傍には、後述する切替部材72に連結された傘歯車76が配置されている。
力伝達機構40は、カップ体22の盆状または椀状に形成された凹部に収納される。言い換えれば、レバー12と、車椅子100(図1参照)の主車輪120との間に配置される。この力伝達機構40は、第1の態様、第2の態様および第3の態様のうちいずれかの態様に切替可能となっている。
車輪駆動装置10が車椅子に取り付けられた場合において、力伝達機構40が第1の態様または第2の態様である場合には、レバー12を揺動させることによって主車輪120に対してX方向またはY方向に回転力を付与することができる。第3の態様である場合には、レバー12を揺動させても車輪に対して遊転(空転)し、いずれの方向にも回転力を付与することができない(即ち第3の態様は「中立」となる)。なお、第1の態様、第2の態様および第3の態様についての詳細は後述する。
力伝達機構40は、第1ギヤ42、第2ギヤ44、第3ギヤ46、第4ギヤ48、内側レース50および楔締要素52を備えている。
第1ギヤ42は、略円形の中空部421を有しており、制限部材34に固定して取り付けられる第2ギヤ44と螺合するように配置されている。また、第3ギヤ46が、第2ギヤ44と同心であって且つ第2ギヤ44と一体的に重ね合わせて配置される。さらに、第4ギヤ48が、第1ギヤ42と同心であって且つ第3ギヤ46と螺合するように配置される。この第4ギヤ48は、後述するが主車輪120に固定されている。
これにより、第1ギヤ42が回転するとこれに螺合する第2ギヤ44が回転する。そして、第2ギヤ44が回転するとこれと一体的である第3ギヤ46が回転する。さらに、第3ギヤ46が回転するとこれに螺合する第4ギヤ48が回転する。第4ギヤ48は車輪に固定されているので、第1ギヤ42が回転すると、この回転力が、第2ギヤ44、第3ギヤ46および第4ギヤ48を介して車輪に伝達される。
ここで、力伝達機構40の詳細について、図3を参照しつつ説明する。図3は、力伝達機構40の一例を示す正面図である。なお、説明の便宜上、ハブ24も図示している。
第1ギヤ42の中空部421には楔締要素52および内側レース50が配置される。より具体的には、第1ギヤ42の径内側に楔締要素52が配置され、さらにこの楔締要素52の径内側に内側レース50が配置される。即ち、楔締要素52は、第1ギヤ42と内側レース50との間に配置されることとなる。
また、内側レース50の中心Oには、軸部材32が、内側レース50に対して回転自在に貫通している。ここで、内側レース50は、ハブ24の円板部と同心であって且つハブ24と一体的に固定して取り付けられているので、レバー12を揺動させるとこれに伴って回転する。
一方、軸部材32は車椅子100のフレーム112(いずれも図1参照)に固定される。即ち、車輪駆動装置10が車椅子100に取り付けられた場合、レバー12を揺動させると、内側レース50が軸部材32に対して回転することとなる。
なお、内側レース50は、多角形に形成された板状の部材である。この多角形の角部は、中心Oから外周までの距離が最も大きい最大径部501となっている。
一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間には、中心O側に凹む弧が形成されている。これにより、一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間には、中心Oから外周までの距離が最も小さい最小径部502が形成されることとなる。
次に、楔締要素52の構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、楔締要素52の一例を示す外観斜視図である。
楔締要素52は、台座54、複数のローラ56、複数の支持柱58および複数の弾性部材60から構成されている。
台座54は、中空部542を有する略円形の形状をしており、外周側面の一部には、傘歯車76と螺合する切欠部541が外周方向に沿って形成されている。
この台座54には、いずれも略同じ直径rである円柱形の複数のローラ56が、中空部542の周囲に配列して載置されている。より具体的には、楔締要素52の径内側に内側レース50が配置された場合に、一の最大径部501と、この一の最大径部501に隣接する他の最大径部501との間にローラ56が一つずつ配置されるように、台座54に配列して載置される。
また、台座54からは、ローラ56が載置される側に向けて支持柱58が立設している。支持柱58は、互いに隣接する各ローラ56の間(即ち、一のローラと他のローラとの間)に一つずつ立設されており、各ローラ56を支持している。さらに、互いに隣接する各ローラ56の間には、各ローラ56を、台座54の径内側に向けて(即ち内側レース50(図2参照)に向けて)付勢する弾性部材60としての板バネが配置されている。
次に、力伝達機構40の作用について、図5〜7を参照しつつ説明する。図5は、図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第1の態様の場合を示す図である。図6は、図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第2の態様の場合を示す図である。図7は、図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構40が第3の態様の場合を示す図である。
なお、図5〜7に図示されるように、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離は、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σが最も小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξが最も大きい。また、最大径部501から第1ギヤ42の内周面までの距離σはローラ56の直径rよりも小さく、最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξはローラ56の直径rよりも大きい。
図5に示す第1の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、Y方向側最大径部501b近傍に配置されている。
力伝達機構40が第1の態様の場合において、レバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、これに伴って内側レース50がX方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、X方向について内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内側レース50および第1ギヤ42が一体となってX方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、最小径部502からY方向側最大径部501bにかけて、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離が次第に小さくなっているからである。これにより、内側レース50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して主車輪120(図1参照)に伝達される。
一方、レバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転する。即ち、Y方向について内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。Y方向側最大径部501bから最小径部502にかけて、内側レース50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が次第に大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。
図6に示す第2の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、X方向側最大径部501a近傍に配置されている。
力伝達機構40が第2の態様の場合において、レバー12(図1参照)をY方向に向けて揺動させると、これに伴って内側レース50がY方向に回転する。このとき、ローラ56の楔締め効果により、Y方向について内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となり、内側レース50および第1ギヤ42が一体となってY方向に回転する。ここで、ローラ56の楔締め効果が発揮されて内側レース50と第1ギヤ42とが連結状態となるのは、最小径部502からX方向側最大径部501aにかけて、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離が次第に小さくなっているからである。これにより、内側レース50の回転力が各ギヤ42,44,46,48を介して主車輪120(図1参照)に伝達される。
一方、レバー12(図1参照)をX方向に向けて揺動させると、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転する。即ち、X方向について内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。X方向側最大径部501aから最小径部502にかけて、内側レース50の外周面と第1ギヤ42の外周面との距離が次第に大きくなっているために、楔締め効果が発揮されないからである。
図7に示す第3の態様では、X方向側最大径部501aと、このX方向側最大径部501aに隣接するY方向側最大径部501bとの間に配置されているローラ56が、最小径部502付近に配置されている。
力伝達機構40が第3の態様の場合において、レバー12(図1参照)をX方向およびY方向のいずれに向けて揺動させても、ハブ24および内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転する。即ち、X方向およびY方向のいずれについても、内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態となる。最小径部502から第1ギヤ42の内周面までの距離ξがローラ56の直径rよりも大きいために、楔締め効果が発揮されないからである。
また、内側レース50が第1ギヤ42に対して遊転するとき、内側レース50と第1ギヤ42との間には間隙が形成されているので、内側レース50が第1ギヤ42に対して無段で遊転する。即ち、レバー12を揺動させたときに、ラチェットタイプの場合のような衝撃を受けることがない。
ここで、内側レース50と第1ギヤ42とが非連結状態であるとき、レバー12を揺動させても衝撃を受けないのは、各ローラ56が、弾性部材60によって台座54の径内側に向けて付勢されているからである。即ち、内側レース50の外周面から第1ギヤ42の内周面までの距離がローラ56の直径よりも大きい部位にローラ56が配置されているとき、内側レース50が回転したとしても、弾性部材60の付勢作用によってローラ56と第1ギヤ42との間に間隙が発生し、第1ギヤ42まで伝達される内側レース50の回転に伴って発生する衝撃を軽減することができるからである。
なお、各ローラ56の配置位置(即ち力伝達機構40の態様)については、台座54(図4参照)を周方向に回転させることによって切り替えることができる。この台座54を周方向に回転させる(即ち力伝達機構40の態様を切り替える)ための力伝達態様切替機構70について、図8を参照しつつ説明する。図8は、力伝達態様切替機構70の一例を示す分解斜視図である。
力伝達態様切替機構70は、切替部材72、切替操作部74、前述の傘歯車76および仮係止部材80を有している。
切替部材72は、軸状のものであって、レバー12に沿って設けられている(図2参照)。具体的には、レバー12の長手方向に沿って図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔の内部に切替部材72が配置されている。本実施形態では、切替部材72として撓曲性を有すると共に、一方の端部の捩れ角と他方の端部の捩れ角との差が例えば5度以内の極めて小さいワイヤが用いられている。
この切替部材72が軸心720を回転中心として回転したとき、傘歯車76を介して台座54(図4参照)が周方向に回転し、これに伴ってローラ56が内側レース50に対して周方向に移動する。これにより、力伝達機構40(図2参照)の態様が切り替えられる。
切替操作部74は、レバー12(図2参照)の把持部121近傍、より具体的には把持部121よりもさらにレバー12の端部側に備えられている。この切替操作部74は、α方向およびβ方向に回転自在となっている。なお、α方向およびβ方向は、切替部材72の軸心720を回転中心とする回転方向であって、レバー12の長手方向(即ちレバー12が延在する方向)の仮想線を回転中心とする回転方向と実質的に同じ方向である。また、α方向およびβ方向は、互いに反対の方向である。
また、切替操作部74は、操作本体部741と、この操作本体部741に一体的に固定される頭部742と、を有している。操作本体部741には、操作本体部741をα方向およびβ方向に容易に回転させることができるように、摘み部が形成されている。頭部742には切替部材72が固定して取り付けられており、α方向またはβ方向への操作本体部741の回転に伴って切替部材72も回転する。
仮係止部材80は、溝が形成された溝形成部材82、溝形成部材82に形成された溝に係合する係合球84、および、この係合球84を保持する板バネ86を有している。
本実施形態では、把持部121が筒状の柔軟部材で構成されており、この把持部121には鋼製の筒部材122が内挿されている。把持部121が柔軟部材で構成されているのは把持部121の触り心地を良くするためであり、この把持部121に筒部材122を内挿することによって把持部121の剛性が保たれている。
溝形成部材82は、筒部材122の中空部を塞ぐ栓であり、図9(a)に示すように、切替部材72の軸心720に対して略直交する面に複数の溝が形成された溝形成面825を有している。この溝形成面825は、切替操作部74の回転方向(α方向およびβ方向)と実質的に平行となっている。なお、図9は、溝形成部材82の一例を示す図であって、(a)が斜視図、(b)が(a)に示されるB矢視の拡大図である。
図9(a)に示すように、溝形成面825には、軸心720から放射状に伸びる複数の溝821,822,823が形成されている。なお、いずれの溝も、軸心720を対称に、それぞれ、2つずつ形成されている。
溝形成面825に形成された溝823の形状は、図9(b)に示すように、係合球84の球面に対応している(即ち、溝823の曲率半径と係合球84の半径とが実質的に同じ寸法となっている)。本実施形態では、溝823の曲率半径および係合球84の半径は、いずれも1.75mmであり、溝823の深さは0.25mmである。なお、溝821,822についても、溝823と同様の形状に形成されている。
板バネ86は、溝形成部材82の溝形成面825に向けて付勢する態様で、切替操作部74(より詳しくは操作本体部741)に固定して取り付けられている。係合球84は、板バネ86と溝形成部材82の溝形成面825との間に配置されている。これにより、係合球84は、溝形成部材82によって溝形成面825に向けて付勢される。
板バネ86には、図10(a)および(b)に示すように曲率を有する凹部861が形成されており、この凹部861の曲率半径は1.5mmである。係合球84はこの凹部861に配置される。ここで、図10は、板バネ86の一例を示す図であって、(a)が斜視図、(b)が(a)に示されるC矢視図である。
上述のように、板バネ86の凹部861の曲率半径は係合球84の半径よりも小さくなっており、凹部861に係合球84が配置されたとき、係合球84は、両側から挟まれるようにして保持される(挟持される)。
ここで、上述のとおり板バネ86は切替操作部74に固定して取り付けられているため、係合球84は、板バネ86を介して切替操作部74に保持されることとなる。なお、本実施形態における「板バネ86」は、本発明の「弾性部材」に相当する。
次に、仮係止部材80の作用について、図11を参照しつつ説明する。図11は、切替操作部74を上方から見た平面図と溝形成部材82を上方から見た平面図とを並べて示す図であって、力伝達機構40が第3の態様(中立)である場合を(a)に、力伝達機構40が第1の態様である場合を(b)に、力伝達機構40が第2の態様である場合を(c)に示す。なお、図11(b)に示される切替操作部74の位置が、本発明の「第1の回転方向位置」に相当し、図11(c)に示される切替操作部74の位置が、本発明の「第2の回転方向位置」に相当する。
力伝達機構40が第3の態様であるとき、係合球84は溝822に係合する(図11(a)参照)。この態様から切替操作部74をβ方向に回転させると、これに伴って溝形成面825(図9参照)上を、係合球84がβ方向に移動する(即ち、軸心720(図8または図9参照)を中心として回転する)。これは、係合球84が板バネ86ひいては切替操作部74に保持されると共に、溝822の深さが板バネ86の曲率半径と比較して極めて小さいことによるものである。
そして、切替操作部74をβ方向に回転させることによって係合球84が溝821の位置まで移動すると、係合球84は溝821に係合する。このとき、力伝達機構40は第1の態様となる。
同様にして、力伝達機構40が第3の態様であるときに切替操作部74をα方向に回転させると、これに伴って溝形成面825(図9参照)上を係合球84がα方向に移動し、いずれ、係合球84が溝823に係合する。このとき、力伝達機構40は第2の態様となる。
係合球84が各溝821,822,823に係合したとき、切替操作部74は、把持部121ひいてはレバー12(図1または図2参照)に対してα方向およびβ方向に仮係止される。「仮係止」とは、操作本体部741をα方向およびβ方向に回転させる等の外的負荷が作用した場合には操作本体部741が回転すると共に、かかる外的負荷が作用しない場合には、力伝達機構40の態様が変わるほど操作本体部741が回転しないことを意味する。
係合球84が各溝821,822,823に係合することによって切替操作部74とレバー12とが仮係止されたとき、係合球84と各溝821,822,823とが当接することに起因する“カチ”といった当接音が発生する。また、係合球84と各溝821,822,823とが当接する感触が着座者の手に伝わる。
次に、上述の車輪駆動装置10を、車椅子100に取り付ける方法について、図12を参照しつつ説明する。図12は、車輪駆動装置10、車椅子の主車輪120およびフレーム112の一例を示す外観斜視図である。
車輪駆動装置10を車椅子に取り付けるとき、先ず、軸部材32を、主車輪120の中央部に形成された貫通孔1201に貫通させる。なお、主車輪120の中央部には、この主車輪120と同心となるように第4ギヤ48が取り付けられているので、軸部材32は、貫通孔1201および第4ギヤ48の中央部に形成された貫通孔481の両方に貫通させる。
貫通孔481,1201を貫通した軸部材32は、フレーム112に支持される。より具体的には、フレーム112に固定された固定プレート122に、軸部材固定部124によって軸部材32が固定される。
なお、「軸部材固定部124によって軸部材32が固定される。」とは、軸部材32の軸心を中心とする方向への回転が制限されることを意味する。
また、貫通孔1201の内側には軸受が設けられているので、主車輪120は、軸部材32に回転自在に支持されることとなる。即ち、主車輪120は、軸部材32を介してフレーム112に回転自在に支持される。
このようにして組み立てられた車輪駆動装置10は、図1に示すように主車輪120の略中心からこの主車輪120の径外側に向けて延在し、且つ車椅子100に対して揺動自在に設けられる。着座者が、この車輪駆動装置10のレバー12を揺動させることによって、車椅子100を、X方向またはY方向に移動させることが可能となる。
より具体的には、力伝達機構40が第1の態様であるとき、着座者がレバー12をX方向に揺動させると主車輪120がX方向に回転して車椅子100が前進する。一方、レバー12をY方向に揺動させても、遊転するのみである。
また、力伝達機構40が第2の態様であるとき、着座者がレバー12をY方向に揺動させると主車輪120がY方向に回転して車椅子100が後退する。一方、レバー12をX方向に揺動させても、遊転するのみである。
さらに、力伝達機構40が第3の態様であるとき、着座者がレバー12をX方向およびY方向のいずれに揺動させても主車輪120は前進も後退もすることなく、レバー12が遊転するのみである。
以上のように、本実施形態の車輪駆動装置10は、主車輪120の回転によって走行する車椅子100に用いられる。本実施形態にかかる車輪駆動装置10またはこの車輪駆動装置10が設けられた車椅子100は、レバー12を備えており、このレバー12は、主車輪120に対して揺動自在に設けられる。レバー12と当該レバー12が設けられる主車輪120との間には、力伝達機構40が備えられている。この力伝達機構40は、第1の態様、第2の態様または第3の態様に切り替え可能となっている。車輪駆動装置10が車椅子100に設けられた場合において、レバー12が揺動したとき、第1の態様である場合には主車輪120に対してX方向に回転力を付与すると共に当該X方向とは反対のY方向に遊転する。一方、第2の態様である場合には主車輪120に対してY方向に回転力を付与すると共にX方向に遊転する。また、第3の態様である場合には、レバー12を揺動させても主車輪120に回転力を付与することなく、X方向およびY方向のいずれにも遊転する。力伝達機構40の態様は、力伝達態様切替機構70によって切り替えられる。この力伝達態様切替機構70は、切替部材72および切替操作部74を有している。切替部材72は、レバー12に沿って設けられる軸状のものであって、軸心720を回転中心として、図11(b)に示す位置(第1の回転方向位置)から図11(a)に示す位置(第2の回転方向位置)まで回転させることによって力伝達機構40の態様を第1の態様から第2の態様に切り替え可能となっている。切替操作部74は、レバー12に対して回転自在に設けられており、切替部材72を回転させるためのものである。力伝達態様切替機構70は、さらに仮係止部材80を有している。この仮係止部材80は、切替操作部74が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるときに、切替操作部74とレバー12とを切替操作部74の回転方向に仮係止する。
従って、切替操作部74が第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるとき、切替操作部74と切替部材72とが切替操作部74の回転方向に仮係止されるので、切替操作部74がレバー12に対して回転自在であることを保持しつつ、車椅子100の着座者の意に反して力伝達機構40の態様が切り替わってしまうことを防止することが可能となる。
また、本実施形態にかかる車輪駆動装置10またはこの車輪駆動装置10が設けられた車椅子100において、仮係止部材80が、溝821,822,823が形成された溝形成面825を有すると共に、この溝形成面825と切替操作部74の回転方向(α方向およびβ方向)とが実質的に平行となるようにレバー12に固定された溝形成部材82と、切替操作部74に保持されると共に、溝821、溝822および溝823のいずれかに係合する係合球84と、溝形成面825に向けて係合球84に対して付勢する板バネ86と、を備えている。
これによれば、係合球84が各溝821,822,823に係合したとき、係合球と各溝821,822,823とが当接することに起因する当接音が発生すると共に、これらが当接した感触が着座者の手に伝わる。
従って、係合球と各溝821,822,823とが当接することに起因する当接音または着座者の手に伝わった感触により、車椅子100の着座者によって切替操作部74が必要以上に回転させられることを防止できる。これにより、切替操作部74を必要以上に回転させることに起因する力伝達機構40のトラブルを防止できる。即ち、切替操作部74を必要以上に回転させると、傘歯車76を介して楔締要素52の台座54が必要以上に周方向に回転しようとする。しかしながら、楔締要素52のローラ56はX方向側最大径部501aとY方向側最大径部501bとの間に配置されているので、切替操作部74を必要以上に回転させても、周方向における台座54の回転が制限される。よって、切替操作部74を必要以上に回転させると、台座54の切欠部541が欠損したり、傘歯車76の歯が欠けたりするといったトラブルの原因となるが、本実施形態によればこれを防止できる。
また、本実施形態にかかる車輪駆動装置10またはこの車輪駆動装置10が設けられた車椅子100において、板バネ86には凹部861が形成されており、この板バネ86は、切替操作部74に取り付けられている。そして、係合球84が、板バネ86の凹部861に配置されて挟持されることによって、板バネ86を介して切替操作部74に保持されている。
これによれば、係合球84と各溝821,822,823とが係合した場合であっても、係合球84が板バネ86の凹部861に挟持されているので、切替操作部74の回転に伴って溝形成面825上を係合球84がスムーズに移動する。従って、切替操作部74を回転させたときに係合球84が溝821,822,823に係合したままで空回りするといったトラブルを回避できる。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、上述の実施形態において、溝形成面825が形成された溝形成部材82は仮係止部材80を構成しているが、必ずしもこれに限られなず、例えば、レバー12に溝形成面825が形成されていても良い。具体的には、本実施形態によれば、溝形成部材82は中空部を有する筒部材122に内挿されているが(図8参照)、この筒部材122の端部(溝形成部材82が内挿される端部)が塞がれた面となっており、この面に、溝821,822,823と同様の溝が形成されていても良い。このような場合であっても、本発明の目的を達成することができる。
また、上述の実施形態において、この車椅子100は、全体の骨格をなすフレーム112に、着座可能な座部114が支持されている。この座部114の挟む両側には、フレーム112に対して回転自在な主車輪120が一つずつ配置されている。ただし、主車輪120の数はこれに限られず、例えば座部114を挟む両側に二つずつの車輪が一対となって配置されていても良い。
また、上述の実施形態において、この車椅子100は、一つの主車輪120に対して車輪駆動装置10が一つずつ設けられているが、これに限られず、いずれか一方の主車輪120についてのみ車輪駆動装置10が設けられていても良い。この場合、座部114を挟む両側の主車輪120を連結することによって、車輪駆動装置10が設けられた側の主車輪120を駆動輪、他の主車輪120を従動輪とすることが好ましい。これにより、座部114を挟む両側の主車輪120のうちいずれか一方の主車輪120についてのみ車輪駆動装置10を設けた場合であっても、車椅子100を前進または後退させることが可能となる。
また、上述の実施形態において、「レバー12」は、主車輪120を回転させるといった機能を有している限り、一般的に「アーム」や「ハンドル」と称される場合もある。
本発明に係る車輪駆動装置が取り付けられた車椅子の実施形態の一例を示す斜視図である。 車輪駆動装置の一例を示す斜視図である 力伝達機構の一例を示す正面図である。 楔締要素の一例を示す外観斜視図である。 図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第1の態様の場合を示す図である。 図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第2の態様の場合を示す図である。 図3に図示されるA部の詳細図であって、力伝達機構が第3の態様の場合を示す図である。 力伝達態様切替機構の一例を示す分解斜視図である。 溝形成部材の一例を示す図であって、(a)が斜視図、(b)が(a)に示されるB矢視の拡大図である。 板バネの一例を示す図であって、(a)が斜視図、(b)が(a)に示されるC矢視図である。 切替操作部の平面図と溝形成部材の平面図とを並べて示す図であって、(a)力伝達機構が第3の態様(中立)である場合、(b)力伝達機構が第1の態様である場合、(c)力伝達機構が第2の態様である場合、を示している。 車輪駆動装置、車椅子の主車輪およびフレームの一例を示す外観斜視図である。
符号の説明
10 車輪駆動装置
12 レバー
40 力伝達機構
70 力伝達態様切替機構
72 切替部材
720 軸心
74 切替操作部
80 仮係止部材
82 溝形成部材
821,822,823 溝
825 溝形成面
84 係合球
86 板バネ(弾性部材)
861 凹部
100 車椅子
120 主車輪(車輪)

Claims (8)

  1. 車輪の回転によって走行する移動体に用いられ、当該車輪に対して揺動させることによって当該車輪を回転させることが可能な車輪駆動装置であって、
    前記車輪に対して揺動自在に設けられるレバーと、
    前記レバーと当該レバーが設けられる車輪との間に配置され、少なくとも第1の態様または第2の態様に切り替え可能であり、前記移動体に設けられた場合において、前記レバーが揺動したとき、前記第1の態様である場合には前記車輪に対して一方向に回転力を付与すると共に当該一方向とは反対の他方向に遊転する一方、前記第2の態様である場合には前記車輪に対して前記他方向に回転力を付与すると共に前記一方向に遊転する力伝達機構と、
    前記レバーに沿って設けられる軸状のものであって、軸心を回転中心とする第1の回転方向位置から第2の回転方向位置まで回転させることによって前記力伝達機構の態様を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な切替部材、および、前記レバーに対して回転自在に設けられ、当該切替部材を回転させるための切替操作部、を含む力伝達態様切替機構と、を備えており、
    前記力伝達態様切替機構は、前記切替操作部が前記第1の回転方向位置または第2の回転方向位置にあるときに、当該切替操作部と前記レバーとを当該切替操作部の回転方向に仮係止する仮係止部材を、さらに含むことを特徴とする車輪駆動装置。
  2. 前記仮係止部材が、
    少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、当該溝形成面と前記切替操作部の回転方向とが実質的に平行となるように前記レバーに固定された溝形成部材と、
    前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、
    前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車輪駆動装置。
  3. 前記レバーが、前記切替操作部の回転方向と実質的に平行であって且つ少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、
    前記仮係止部材が、
    前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、
    前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車輪駆動装置。
  4. 前記弾性部材が、凹部が形成された板バネであると共に前記切替操作部に取り付けられており、
    前記係合球が、前記弾性部材の凹部に配置されて挟持されることによって、前記弾性部材を介して前記切替部材に保持されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車輪駆動装置。
  5. 座部を有するフレームに回転自在に支持され、前記座部を挟む両側に少なくとも一つずつ配置される複数の車輪と、
    前記複数の車輪のうち少なくとも一つの車輪に揺動自在に設けられたレバーと、
    前記レバーと当該レバーが設けられた車輪との間に配置され、少なくとも第1の態様または第2の態様に切り替え可能であり、前記レバーが揺動したとき、前記第1の態様である場合には前記車輪に対して一方向に回転力を付与すると共に当該一方向とは反対の他方向に遊転する一方、前記第2の態様である場合には前記車輪に対して前記他方向に回転力を付与すると共に前記一方向に遊転する力伝達機構と、
    前記レバーに沿って設けられる軸状のものであって、軸心を回転中心とする第1の回転方向位置から第2の回転方向位置まで回転させることによって前記力伝達機構の態様を前記第1の態様から前記第2の態様に切り替え可能な切替部材、および、前記レバーに対して回転自在に設けられ、当該切替部材を回転させるための切替操作部、を含む力伝達態様切替機構と、を備えており、
    前記力伝達態様切替機構は、前記切替操作部が前記第1の位置または第2の位置にあるときに、当該切替操作部と前記レバーとを当該切替操作部の回転方向に仮係止する仮係止部材を、さらに含むことを特徴とする車椅子。
  6. 前記仮係止部材が、
    少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、当該溝形成面と前記切替操作部の回転方向とが実質的に平行となるように前記レバーに固定された溝形成部材と、
    前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、
    前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の車椅子。
  7. 前記レバーが、前記切替操作部の回転方向と実質的に平行であって且つ少なくとも第1の溝および第2の溝が形成された溝形成面を有すると共に、
    前記仮係止部材が、
    前記切替操作部に保持されると共に、前記第1の溝および前記第2の溝のいずれかに係合する係合球と、
    前記溝形成面に向けて前記係合球に対して付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の車椅子。
  8. 前記弾性部材が、凹部が形成された板バネであると共に前記切替操作部に取り付けられており、
    前記係合球が、前記弾性部材の凹部に配置されて挟持されることによって、前記弾性部材を介して前記切替部材に保持されていることを特徴とする請求項6または7に記載の車椅子。
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