JP4152091B2 - 適応アンテナ受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は適応アンテナ受信装置に関し、特にCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群で適応的な指向性形成を行い、それぞれの信号をダイバーシチ合成する適応アンテナ受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式は加入者容量を増大できる可能性があり、移動通信セルラシステムの無線アクセス方式として期待されている。しかしながら、基地局の受信側では同時アクセスする他ユーザ信号が干渉となる問題がある。
【0003】
これらの干渉を除去しながら希望信号のみを受信する方法に適応アレーアンテナがある。適応アレーアンテナは複数のアンテナで信号を受信し、複素数の重み付け合成を行うことで、各アンテナの受信信号の振幅及び位相を制御して指向性ビームを形成し、希望ユーザ信号を受信するとともに、他ユーザ信号の干渉を抑圧している。
【0004】
適応アレーアンテナの受信特性はアレーアンテナの配置やアレー間隔に大きく依存し、様々な配置や間隔が考えられている。一般に、アレー間隔を狭くすると、受信信号のフェージング相関が高くなるので、指向性を狭くすることができるが、ダイバーシチ効果が低下するという欠点がある。移動通信のようなフェージングが厳しい環境では指向性を狭く制御するよりも、ダイバーシチ合成を行い、フェージングを補償した方が受信特性を改善することができる場合がある。
【0005】
指向性制御効果とダイバーシチ効果とを併せ持つアレーアンテナ配置にサブアレー化配置がある。このサブアレー化したアレーアンテナ配置を図4に示す。図4において、アレーアンテナはサブアレー31−1−1〜31−1−Nとサブアレー31−2−1〜31−2−Nとからなる。各サブアレーのアレー間隔は指向性制御を行えるように狭く設定され、一般には0.5波長間隔が選ばれる。各サブアレーの間隔はダイバーシチ効果が得られるように広く設定され、一般には10波長以上の間隔が選ばれる。
【0006】
このサブアレー化配置で用いられる従来の適応アンテナ受信装置の構成例を図5に示す。図5において、従来の適応アンテナ受信装置はCDMA信号をサブアレー化したアレーアンテナで受信し、各サブアレーで適応的な指向性形成を独立に行い、それぞれの信号をダイバーシチ合成して復調信号を出力する。
【0007】
2群のサブアレーに対応した2組の受信復調部のそれぞれは、マルチパス伝搬路に対応してパス数に相当するL個(Lは1以上の整数)のパス受信手段41−1−1〜41−1−L,41−2−1〜41−2−Lと、合成器49−1,49−2と、判定器50−1,50−2と、スイッチ51−1,51−2と、減算器52−1,52−2と、2組の受信復調部の出力を合成する加算器53とから構成されている。
【0008】
パス受信手段41−1−1〜41−1−L,41−2−1〜41−2−Lはビームフォーマ42−1−1〜42−1−L,42−2−1〜42−2−L(ビームフォーマ42−1−2〜42−1−L,42−2−2〜42−2−Lは図示せず)と、伝送路推定手段43−1−1〜43−1−L,43−2−1〜43−2−L(伝送路推定手段43−1−2〜43−1−L,43−2−2〜43−2−Lは図示せず)と、複素共役操作44−1−1〜44−1−L,44−2−1〜44−2−L(複素共役操作44−1−2〜44−1−L,44−2−2〜44−2−Lは図示せず)と、乗算器45−1−1〜45−1−L,45−2−1〜45−2−L(乗算器45−1−2〜45−1−L,45−2−2〜45−2−Lは図示せず)と、正規化手段46−1−1〜46−1−L,46−2−1〜46−2−L(正規化手段46−1−2〜46−1−L,46−2−2〜46−2−Lは図示せず)と、乗算器47−1−1〜47−1−L,47−2−1〜47−2−L(乗算器47−1−2〜47−1−L,47−2−2〜47−2−Lは図示せず)と、アンテナ重み適応制御手段48−1−1〜48−1−L,48−2−1〜48−2−L(アンテナ重み適応制御手段48−1−2〜48−1−L,48−2−2〜48−2−Lは図示せず)とから構成されている。
【0009】
ビームフォーマ42−1−1〜42−1−L,42−2−1〜42−2−Lは適応的に生成したユーザ固有のアンテナ重みを用い、アンテナ指向性で各パスの逆拡散信号を受信する。伝送路推定手段43−1−1〜43−1−L,43−2−1〜43−2−Lは各パスのビームフォーマ出力から伝送路情報を推定する。複素共役操作44−1−1〜44−1−L,44−2−1〜44−2−Lは各パスの伝送路推定値の複素共役操作を行う。
【0010】
乗算器45−1−1〜45−1−L,45−2−1〜45−2−Lは各パスのビームフォーマ出力に複素共役操作44−1−1〜44−1−L,44−2−1〜44−2−Lの出力を乗じ、各パスの位相変動を補正するとともに、最大比合成の重み付けを行う。最大比合成とは合成後のSINR(信号電力対干渉雑音電力比)が最大となる重み付け合成方法である。
【0011】
合成器49−1,49−2は乗算器45−1−1〜45−1−L,45−2−1〜45−2−Lの出力を加算し、パス合成を行うことで復調結果を出力する。判定器50−1,50−2は復調信号を送られた可能性の高い送信信号に判定する。スイッチ51−1,51−2は既知参照信号がある場合に既知参照信号を、既知参照信号がない場合に判定器50−1,50−2の出力をそれぞれ参照信号に用いるように切替える。
【0012】
減算器52−1,52−2は参照信号から復調信号を減算して誤差信号を生成する。誤差信号はパス受信手段41−1−1〜41−1−L,41−2−1〜41−2−Lにそれぞれ分配される。正規化手段46−1−1〜46−1−L,46−2−1〜46−2−Lは伝送路推定手段43−1−1〜43−1−L,43−2−1〜43−2−Lで推定された伝送路推定値に対して正規化処理を行う。ここで、正規化手段46−1−1〜46−1−L,46−2−1〜46−2−Lは演算量削減のために省略することができる。
【0013】
乗算器47−1−1〜47−1−L,47−2−1〜47−2−Lは誤差信号に正規化した伝送路推定値を乗じる。アンテナ重み適応制御手段48−1−1〜48−1−L,48−2−1〜48−2−Lは各パスの逆拡散信号と乗算器47−1−1〜47−1−L,47−2−1〜47−2の出力を用いてアンテナ重みを適応的に更新する。アンテナ重み適応制御手段48−1−1〜48−1−L,48−2−1〜48−2−Lとしては、一般に、最小二乗平均誤差制御(MMSE:Minimum Mean Squared Error)が用いられ、MMSE制御では希望ユーザにビームを向けるだけでなく、受信SINRを最大にする制御を行うことができる。
【0014】
上記の判定誤差信号を用いた適応更新アルゴリズムにはLMS(Least Mean Square)、RLS(Recursive Least Square)アルゴリズムが知られている。例えば、LMSアルゴリズムを用いた場合の各サブアレーのアンテナ重みw1 (l,n),w2 (l,n)(lはパス番号、nはシンボル番号)は、
1 (l,n+1)=w1 (l,n)+μr1 (l,n)e1 * (l,n)w2 (l,n+1)=w2 (l,n)+μr2 (l,n)e2 * (l,n)という式で更新される。
【0015】
1 (l,n)及びr2 (l,n)は各サブアレー、各パスの逆拡散信号、e1 (l,n)及びe2 (l,n)は各サブアレー、各パスの位相変動の逆補正を行った判定誤差信号である。μはLMSのステップサイズである。加算器53は合成器49−1,49−2の出力を加算し、ダイバーシチ合成を行う。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示す従来の適応アンテナ受信装置では各サブアレーで適応的な指向性形成を独立に行い、それぞれの信号をダイバーシチ合成して復調信号を出力している。各サブアレーでは受信信号のフェージング相関は低いものの、その間隔は数mしか離れていないため、マルチパスの到来方向や遅延時間は同様となる。
【0017】
従来の適応アンテナ受信装置は伝送路の位相補正機能、すなわち伝送路推定手段43−1−1〜43−1−L,43−2−1〜43−2−Lをビームフォーマ42−1−1〜42−1−L,42−2−1〜42−2−Lから分離して配置しているため、ビームフォーマ42−1−1〜42−1−L,42−2−1〜42−2−Lはフェージングを追従する必要がなく、マルチパスの到来方向変化へのみ適応的に指向性を制御すればよい。
【0018】
したがって、各サブアレーでは同様な指向性パターンが形成されると考えられる。しかしながら、従来の適応アンテナ受信装置ではサブアレー毎に異なるアンテナ重みを用いているため、適応制御において判定誤差情報を有効に活用していないという問題がある。
【0019】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、優れた適応制御特性を実現することができる適応アンテナ受信装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明による適応アンテナ受信装置は、符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行うとともに、前記複数のアレーアンテナ群各々に関する判定誤差信号を全て用いて前記共通なアンテナ重みを制御するようにしている。
【0021】
本発明による他の適応アンテナ受信装置は、符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行う手段と、前記複数のアレーアンテナ群各々に関する判定誤差信号を全て用いて前記共通なアンテナ重みを制御する手段とを備えている。
【0022】
すなわち、本発明の第1の適応アンテナ受信装置は、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重アクセス)信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の逆拡散信号に対して各アレーアンテナ群で共通なアンテナ重みで指向性形成を行い、アレーアンテナ群毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、アレーアンテナ群毎に位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いてアンテナ重みを適応更新している。
【0023】
本発明の第2の適応アンテナ受信装置は、CDMA信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の各パスの逆拡散信号に対してパス毎に各アレーアンテナ群で共通なアンテナ重みで指向性形成を行い、アレーアンテナ群毎及びパス毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、アレーアンテナ群毎及びパス毎に位相変動の逆補正を施した判定誤差信号をパス毎に全て用いてアンテナ重みを適応更新している。
【0024】
本発明の第3の適応アンテナ受信装置は、CDMA信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の各パスの逆拡散信号に対して各アレーアンテナ群及び各パスで共通なアンテナ重みで指向性形成を行い、アレーアンテナ群毎及びパス毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、アレーアンテナ群毎及びパス毎に位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いてアンテナ重みを適応更新している。
【0025】
本発明の第4の適応アンテナ受信装置は、CDMA信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の各パスの逆拡散信号に対してパス毎に各アレーアンテナ群で共通なアンテナ重みで指向性形成を行うビームフォーマと、アレーアンテナ群毎及びパス毎に指向性形成出力の伝送路情報を推定する伝送路推定手段と、伝送路推定手段の出力の複素共役値でビームフォーマの出力の位相変動を補正するとともに最大比合成の重み付けを行う乗算器と、乗算器の出力を全て加算する合成器と、アレーアンテナ群毎及びパス毎に位相変動の逆補正を施した判定誤差信号をパス毎に全て用いてビームフォーマのアンテナ重みを適応更新するアンテナ重み適応制御手段とを有している。
【0026】
本発明の第5の適応アンテナ受信装置は、CDMA信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の各パスの逆拡散信号に対して各アレーアンテナ群及び各パスで共通なアンテナ重みで指向性形成を行うビームフォーマと、アレーアンテナ群毎及びパス毎に指向性形成出力の伝送路情報を推定する伝送路推定手段と、伝送路推定手段の出力の複素共役値でビームフォーマの出力の位相変動を補正するとともに最大比合成の重み付けを行う乗算器と、乗算器の出力を全て加算する合成器と、アレーアンテナ群毎及びパス毎に位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いてビームフォーマのアンテナ重みを適応更新するアンテナ重み適応制御手段とを有している。
【0027】
上記のように、本発明はアレーアンテナ群(各サブアレー)の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みで指向性形成を行うとともに、アレーアンテナ群(各サブアレー)に関する判定誤差情報を全て用いて共通なアンテナ重みを制御することによって、優れた適応制御特性を実現することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による適応アンテナ受信装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による適応アンテナ受信装置はCDMA(Code Division Multipule Access:符号分割多重アクセス)信号を、サブアレー化したアレーアンテナで受信し、各サブアレーで適応的な指向性形成を共通に行い、それぞれの信号をダイバーシチ合成して復調信号を出力している。この場合、各サブアレーでは共通のアンテナ重みを用い、各サブアレーに関する判定誤差情報を全て用いて共通のアンテナ重みを制御している。
【0029】
本発明の一実施例による適応アンテナ受信装置の受信復調部は2群のサブアレー受信信号を入力とし、マルチパス伝搬路に対応してパス数に相当するL個(Lは1以上の整数)のパス受信手段1−1〜1−Lと、合成器9と、判定器10と、スイッチ11と、減算器12とから構成されている。
【0030】
パス受信手段1−1〜1−Lはサブアレー毎のビームフォーマ2−1−1〜2−1−L,2−2−1〜2−2−L(ビームフォーマ2−1−2〜2−1−L,2−2−2〜2−2−Lは図示せず)と、伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−L(伝送路推定手段3−1−2〜3−1−L,3−2−2〜3−2−Lは図示せず)と、複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−L(複素共役操作4−1−2〜4−1−L,4−2−2〜4−2−Lは図示せず)と、乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−L(乗算器5−1−2〜5−1−L,5−2−2〜5−2−Lは図示せず)と、正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−L(正規化手段6−1−2〜6−1−L,6−2−2〜6−2−Lは図示せず)と、乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−L(乗算器7−1−2〜7−1−L,7−2−2〜7−2−Lは図示せず)と、各サブアレーで共通なアンテナ重み適応制御手段8−1〜8−L(アンテナ重み適応制御手段8−2〜8−Lは図示せず)とから構成されている。
【0031】
ビームフォーマ2−1−1〜2−1−L,2−2−1〜2−2−Lは適応的に生成したユーザ固有のアンテナ重みを各サブアレーに共通に用い、アンテナ指向性で各パスの逆拡散信号を受信する。伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−Lは各パスのビームフォーマ出力から伝送路情報を推定する。
【0032】
複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−Lは各パスの伝送路推定値の複素共役操作を行う。乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−Lは各パスのビームフォーマ出力に複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−Lの出力を乗じ、各パスの位相変動を補正するとともに、最大比合成の重み付けを行う。最大比合成とは合成後のSINR(信号電力対干渉雑音電力比)が最大となる重み付け合成方法である。
【0033】
合成器9は乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−Lの出力を全て加算してパス合成を行うとともに、各サブアレー間のダイバーシチ合成を行うことで復調結果を出力する。判定器10は復調信号を、送られた可能性の高い送信信号に判定する。スイッチ11は既知参照信号がある場合に既知参照信号を、既知参照信号がない場合に判定器10の出力をそれぞれ参照信号に用いるように切替える。減算器12は参照信号から復調信号を減算して誤差信号を生成する。減算器12で生成された誤差信号はパス受信手段1−1〜1−Lにそれぞれ分配される。
【0034】
正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−Lは伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−Lで推定した伝送路推定値に対して正規化処理を行う。ここで、正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−Lは演算量削減のために省略することができる。
【0035】
乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−Lは誤差信号に、正規化した伝送路推定値を乗じる。アンテナ重み適応制御手段8−1〜8−Lは各パスの逆拡散信号と、乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−Lの出力を全て用いて共通なアンテナ重みを適応的に更新する。
【0036】
アンテナ重み適応制御手段8−1〜8−Lとしては一般に、最小二乗平均誤差制御(MMSE:Minimum Mean Squared Error)が用いられ、MMSE制御では希望ユーザにビームを向けるだけでなく、受信SINRを最大にする制御を行うことができる。本実施例に示される判定誤差信号を用いた適応更新アルゴリズムにはLMS(Least Mean Square)、RLS(Recursive Least Square)アルゴリズムが知られている。
【0037】
例えば、LMSアルゴリズムを用いた場合の各サブアレーで共通なアンテナ重みw(l,n)(lはパス番号、nはシンボル番号)は、
Figure 0004152091
という式で更新される。
【0038】
ここで、r1 (l,n)及びr2 (l,n)は各サブアレーや各パスの逆拡散信号であり、e1 (l,n)及びe2 (l,n)は各サブアレーや各パスの位相変動の逆補正を行った判定誤差信号である。μはLMSのステップサイズである。本実施例ではこれらの適応更新アルゴリズムが任意である。
【0039】
図2は図1のパス#1のビームフォーマ2−1−1の構成を示すブロック図である。図2において、ビームフォーマ2−1−1はパス#1のアンテナ重みの複素共役操作を行う複素共役操作31−1−1〜31−1−Nと、パス#1の逆拡散信号とアンテナ重みの複素共役とを乗じる乗算器32−1−1〜32−1−Nと、乗算器32−1−1〜32−1−Nの各出力を加算する合成器33−1とから構成されている。尚、図示していないが、ビームフォーマ2−1−2〜2−1−L,2−2−1〜2−2−Lの構成も上記のビームフォーマ2−1−1と同様である。
【0040】
図3は本発明の他の実施例による適応アンテナ受信装置の構成を示すブロック図である。図3において、本発明の他の実施例による適応アンテナ受信装置は合成前のパス毎の信号を用いて誤差信号を検出する構成とした以外は図1に示す本発明の一実施例による適応アンテナ受信装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0041】
本発明の他の実施例による適応アンテナ受信装置の受信復調部は2群のサブアレー受信信号を入力とし、マルチパス伝搬路に対応してパス数に相当するL個のパス受信手段1−1〜1−Lと、合成器9と、判定器10と、スイッチ11とから構成されている。
【0042】
パス受信手段1−1〜1−Lはサブアレー毎のビームフォーマ2−1−1〜2−1−L,2−2−1〜2−2−L(ビームフォーマ2−1−2〜2−1−L,2−2−2〜2−2−Lは図示せず)と、伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−L(伝送路推定手段3−1−2〜3−1−L,3−2−2〜3−2−Lは図示せず)と、複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−L(複素共役操作4−1−2〜4−1−L,4−2−2〜4−2−Lは図示せず)と、乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−L(乗算器5−1−2〜5−1−L,5−2−2〜5−2−Lは図示せず)と、正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−L(正規化手段6−1−2〜6−1−L,6−2−2〜6−2−Lは図示せず)と、乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−L(乗算器7−1−2〜7−1−L,7−2−2〜7−2−Lは図示せず)と、減算器13−1−1〜13−1−L,13−2−1〜13−2−L(減算器13−1−2〜13−1−L,13−2−2〜13−2−Lは図示せず)と、各サブアレーで共通なアンテナ重み適応制御手段8−1〜8−L(アンテナ重み適応制御手段8−2〜8−Lは図示せず)とから構成されている。
【0043】
ビームフォーマ2−1−1〜2−1−L,2−2−1〜2−2−Lは適応的に生成したユーザ固有のアンテナ重みを各サブアレーに共通に用い、アンテナ指向性で各パスの逆拡散信号を受信する。伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−Lは各パスのビームフォーマ出力から伝送路情報を推定する。
【0044】
複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−Lは各パスの伝送路推定値の複素共役操作を行う。乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−Lは各パスのビームフォーマ出力に複素共役操作4−1−1〜4−1−L,4−2−1〜4−2−Lの出力を乗じて各パスの位相変動を補正するとともに、最大比合成の重み付けを行う。最大比合成とは合成後のSINRが最大となる重み付け合成方法である。
【0045】
合成器9は乗算器5−1−1〜5−1−L,5−2−1〜5−2−Lの出力を全て加算してパス合成を行うとともに、各サブアレー間のダイバーシチ合成を行うことで復調結果を出力する。判定器10は復調信号を、送られた可能性の高い送信信号に判定する。スイッチ11は既知参照信号がある場合に既知参照信号を、既知参照信号がない場合に判定器10の出力をそれぞれ参照信号に用いるように切替える。この参照信号はパス受信手段1−1〜1−Lにそれぞれ分配される。
【0046】
正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−Lは伝送路推定手段3−1−1〜3−1−L,3−2−1〜3−2−Lで推定された伝送路推定値に対して正規化処理を行う。ここで、正規化手段6−1−1〜6−1−L,6−2−1〜6−2−Lは演算量削減のために省略することができる。
【0047】
乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−Lは参照信号に、正規化した伝送路推定値を乗じる。減算器13−1−1〜13−1−L,13−2−1〜13−2−Lは乗算器7−1−1〜7−1−L,7−2−1〜7−2−Lの出力からビームフォーマ2−1−1〜2−1−L,2−2−1〜2−2−Lの出力を減算して誤差信号を生成する。
【0048】
アンテナ重み適応制御手段8−1〜8−Lは各パスの逆拡散信号と減算器13−1−1〜13−1−L,13−2−1〜13−2−Lの出力とを全て用いて共通なアンテナ重みを適応的に更新する。アンテナ重み適応制御手段8−1〜8−Lとしては一般に、MMSE制御が用いられ、MMSE制御では希望ユーザにビームを向けるだけでなく、受信SINRを最大にする制御を行うことができる。
【0049】
本実施例に示される判定誤差信号を用いた適応更新アルゴリズムにはLMS、RLSアルゴリズムが知られている。LMSアルゴリズムを用いた場合の各サブアレーで共通なアンテナ重みを更新する方法は図1に示す本発明の一実施例と同様である。
【0050】
本発明の一実施例及び他の実施例では各パスに対して固有のアンテナ重みを用いているが、各パスに対して共通なアンテナ重みを用いるように適応制御を行う方法も考案されている。この構成については、特開平11−055216号公報に詳細に記載されており、この構成においても本発明を適用することができる。
【0051】
例えば、LMSアルゴリズムを用いた場合の各サブアレー及び各パスで共通なアンテナ重みw(n)(nはシンボル番号)は、
Figure 0004152091
という式で更新される。
【0052】
ここで、r1 (l,n)及びr2 (l,n)は各サブアレーや各パスの逆拡散信号であり、e1 (l,n)及びe2 (l,n)は各サブアレーや各パスの位相変動の逆補正を行った判定誤差信号であり、μはLMSのステップサイズであり、Σはl=1〜Lの総和を示している。
【0053】
また、本発明の一実施例及び他の実施例では2群のサブアレーに対する構成例について述べたが、任意の数(2以上の整数)のサブアレーに対して本発明を適用することもできる。さらに、図4に示すアレーアンテナ配置ではサブアレーの間隔を離すことで、フェージングが独立なアレーアンテナ群を形成しているが、他にも両偏波アレーアンテナを用いることで、垂直偏波アレーと水平偏波アレーとでフェージングが独立なアレーアンテナ群を形成することもできる。このような場合にも構成や効果は本実施例と同様であり、本発明に含まれるものである。
【0054】
このように、CDMA信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信し、各アレーアンテナ群の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みで指向性形成を行うとともに、各アレーアンテナ群に関する判定誤差情報を全て用いて共通なアンテナ重みを制御することによって、優れた適応制御特性を実現することができる。
【0055】
特に、フェージングの厳しい環境において、あるアレーアンテナ群の信号が減衰して判定誤差情報が得られない場合でも、他の信号が大きいアレーアンテナ群の判定誤差情報を合成している効果によって、フェージングに強い安定した適応制御を実現することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置において、各アレーアンテナ群の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みで指向性形成を行うとともに、アレーアンテナ群に関する判定誤差信号を全て用いて共通なアンテナ重みを制御することによって、優れた適応制御特性を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による適応アンテナ受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のパス#1のビームフォーマの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の他の実施例による適応アンテナ受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】サブアレー化したアレーアンテナ配置を示す図である。
【図5】従来の適応アンテナ受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1−1〜1−L パス受信手段
2−1−1,2−2−1 ビームフォーマ
3−1−1,3−2−1 伝送路推定手段
4−1−1,4−2−1 複素共役操作
5−1−1,5−2−1,
7−1−1,7−2−1,
22−1−1〜22−1−N 乗算器
6−1−1,6−2−1 正規化手段
8−1 アンテナ重み適応制御手段
9,23−1 合成器
10 判定器
11 スイッチ
12,
13−1−1,13−2−1 減算器
31−1−1〜31−1−L,
31−2−1〜31−2−L アレーアンテナ

Claims (8)

  1. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行うとともに、前記複数のアレーアンテナ群各々に関する判定誤差信号を全て用いて前記共通なアンテナ重みを制御するようにしたことを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  2. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して前記複数のアレーアンテナ群各々共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行い、前記アレーアンテナ群毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、前記アレーアンテナ群毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いて前記アンテナ重みを適応更新するようにしたことを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  3. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の各パスの逆拡散信号に対して前記パス毎に前記複数のアレーアンテナ群各々共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行い、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を前記パス毎に全て用いて前記アンテナ重みを適応更新するようにしたことを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  4. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の各パスの逆拡散信号に対して前記複数のアレーアンテナ群各々及び前記パス各々に共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行い、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成し、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いて前記アンテナ重みを適応更新するようにしたことを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  5. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行う手段と、前記複数のアレーアンテナ群各々に関する判定誤差信号を全て用いて前記共通なアンテナ重みを制御する手段とを有することを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  6. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の逆拡散信号に対して前記複数のアレーアンテナ群各々に共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行う手段と、前記複数のアレーアンテナ群毎に指向性形成出力の位相変動を補正した後に全てを合成する手段と、前記アレーアンテナ群毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いて前記アンテナ重みを適応更新する手段とを有することを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  7. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の各パスの逆拡散信号に対して前記パス毎に前記複数のアレーアンテナ群各々共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行うビームフォーマと、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に指向性形成出力の伝送路情報を推定する伝送路推定手段と、前記伝送路推定手段の出力の複素共役値で前記ビームフォーマの出力の位相変動を補正するとともに最大比合成の重み付けを行う乗算器と、前記乗算器の出力を全て加算する合成器と、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を前記パス毎に全て用いて前記ビームフォーマのアンテナ重みを適応更新するアンテナ重み適応制御手段とを有することを特徴とする適応アンテナ受信装置。
  8. 符号分割多重アクセス信号を、フェージングが独立な複数のアレーアンテナ群で受信する適応アンテナ受信装置であって、
    前記複数のアレーアンテナ群各々の各パスの逆拡散信号に対して前記複数のアレーアンテナ群各々及び前記パス各々共通なアンテナ重みを用いて指向性形成を行うビームフォーマと、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に指向性形成出力の伝送路情報を推定する伝送路推定手段と、前記伝送路推定手段の出力の複素共役値で前記ビームフォーマの出力の位相変動を補正するとともに最大比合成の重み付けを行う乗算器と、前記乗算器の出力を全て加算する合成器と、前記アレーアンテナ群毎及び前記パス毎に前記位相変動の逆補正を施した判定誤差信号を全て用いて前記ビームフォーマのアンテナ重みを適応更新するアンテナ重み適応制御手段とを有することを特徴とする適応アンテナ受信装置。
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