JP4150910B2 - 耐火構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐火構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物、土木構築物等の構造物が火災等により高温に晒された場合には、これら構造物の基材である鉄骨、コンクリート等の機械的強度が急激に低下するという問題がある。これに対して、例えば、特許文献1には、火災等の高温時に発泡して炭化層を形成することにより基材の温度上昇を遅延させ、基材の物理的強度の低下を一時的に抑える発泡性耐火シートが開示されている。
【0003】
このような発泡性耐火シートの利点としては、一般的な耐火被覆材に比べて膜厚を薄くできる点、施工時の膜厚管理が容易である点等が挙げられる。また発泡性耐火シートの施工において、シートの継ぎ目部分にパテ、シーリング剤等を充填することにより平滑なシート仕上げ面を得ることも可能である。
【0004】
しかしながら、角鋼管、丸鋼管、H型鋼等のように、平面以外の湾曲面を有する基材に発泡性耐火シートを貼着した場合には、多くの場合にシートに歪みが生じる。そのため、火災等による高温時にシートが発泡した際には、図1に示すようにシート内部に応力が生じ、継ぎ目部分に充填されたパテ、シーリング剤等が両側のシートに引っ張られ、最終的に亀裂、割れ等が生じる場合がある。
【0005】
継ぎ目部分に亀裂、割れ等が生じた場合には、いかに発泡性耐火シートの耐火性能が優れていても、亀裂、割れ等の部分から基材温度が急激に上昇し、基材の物理的強度は著しく低下する。従って、平面以外の湾曲面を有する基材に発泡性耐火シートを貼着した場合には、実用上、高温時に亀裂、割れ等の発生を効果的に防止できる継ぎ目処理を行うことが重要である。
【0006】
ところで、発泡性耐火シートでは、シートの膜厚を調整することにより、耐火性能を変化させることができる。一般的にシートの膜厚を大きくすれば、耐火性能を高めることができる。しかしながら、シートの膜厚を大きくすれば、可撓性が低下して折り曲げ加工が困難となる。そのため、特に湾曲面を有する基材に発泡性耐火シートを貼着する場合には、施工性に問題が生じ易くなる。即ち、施工性を考慮すると、発泡性耐火シートの膜厚を大きくして耐火性能を高めるには限界がある。従って、これらの従来技術を更に改良することにより、湾曲面を有する基材に対しても優れた耐火性能を発揮し、しかも施工が容易な耐火構造の開発が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−60763号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、湾曲面を有する基材に対しても優れた耐火性能を発揮し、しかも施工が容易な耐火構造を提供することを主な目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の耐火構造が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記の耐火構造に係るものである。
1.耐火性を付与すべき基材に2層以上の発泡性耐火層が積層された耐火構造であって、
(1)基材と接する発泡性耐火層は、発泡性耐火シートのシート端部どうしを突き合わせることにより形成されており、
(2)基材と接する発泡性耐火層のシート端部どうしの突き合わせ部は、いずれも他の発泡性耐火層の発泡性耐火シートにより跨がれており、
(3)基材と接する発泡性耐火シートが、繊維質シートを有する発泡性耐火シートであり、繊維質シートが接着剤又は粘着剤を介して基材と接しており、
(4)繊維質シートは、有機繊維及び無機繊維を組み合わせてなる複合シートであって、無機繊維が網目状に配列されており、無機繊維の少なくとも片面に有機繊維の織布又は不織布が積層され、無機繊維の網目の一部又は全部を有機繊維が塞いでいる、
ことを特徴とする耐火構造。
2.耐火性を付与すべき基材が、角鋼管、丸鋼管及びH型鋼の少なくとも1種である上記項に記載の耐火構造。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の耐火構造は、耐火性を付与すべき基材に2層以上の発泡性耐火層が積層された耐火構造であって、
(1)基材と接する発泡性耐火層は、発泡性耐火シートのシート端部どうしを突き合わせることにより形成されており、
(2)基材と接する発泡性耐火層のシート端部どうしの突き合わせ部は、いずれも他の発泡性耐火層の発泡性耐火シートにより跨がれている
ことを特徴とする。
【0012】
耐火性を付与すべき基材
耐火性を付与すべき基材としては、建築物・土木構築物等の構造物において耐火性が求められる部分が該当する。例えば、壁、柱、床、梁、屋根、階段等が挙げられる。基材の材質としては特に限定されず、例えば、金属、コンクリート、木材、樹脂等が挙げられる。基材の表面形状も特に限定されず、平面でもよく、湾曲面を有していてもよい。
【0013】
湾曲面を有する基材としては、例えば、金属で形成された湾曲面を有する角鋼管、丸鋼管、H型鋼等が挙げられる。このような金属で形成された基材には、予め防錆塗料等により防錆処理を施しておいてもよい。
【0014】
発泡性耐火層
発泡性耐火層は、発泡性耐火シート(以下「シート」とも言う)から形成されるものであり、特に基材と接する1層目の発泡性耐火層は、発泡性耐火シートの端部どうしを突き合わせることにより形成される。これに対して、基材と接しない2層目以降の発泡性耐火層は、発泡性耐火シートの端部どうしを突き合わせて形成してもよいし、シート端部どうしを重ね合わせて形成してもよい。
【0015】
例えば、図2に示される発泡性耐火層では、基材と接する第1層も、基材と接しない第2層も、いずれも3枚のシートの端部どうしを突き合わせて形成されている。なお、図2では各層に3枚のシートを用いているが、勿論、1枚のシートにより各層を形成してもよい。
【0016】
突き合わせ部分には、必要に応じて、パテ、シーリング剤等を充填して継ぎ目処理を行ってもよい。又は細幅の発泡性耐火シートを突き合わせ部に重ねて、熱融着処理することにより継ぎ目処理を行ってもよい。シート端部どうしを重ね合わせて発泡性耐火層を形成する場合には、重ね合わせ部分を熱融着して厚みを均せばよい。
【0017】
基材と接する発泡性耐火層(第1層)のシート端部どうしの突き合わせ部は、いずれも他の発泡性耐火層の発泡性耐火シートにより跨がれている。シートを2層積層する場合には、図2に示すように、当該突き合わせ部は2層目のシートにより跨がれる。シートを3層以上積層する場合には、当該突き合わせ部は、2層目以降のいずれかのシートにより跨がれていればよい。即ち、1層目と2層目のシートを突き合わせ部が重なるように積層し、3層目のシートにより1層目(この場合には2層目も含む)のシート突き合わせ部を跨いでもよい。
【0018】
このような構成により、第1層の突き合わせ部から基材が直接露出することを防止でき、火災等の高温時にも、基材の物理的強度の低下を確実に抑制できる。第1層の突き合わせ部にパテ、シーリング剤等を充填した場合において、火災時にパテ、シーリング剤等に亀裂、割れ等が発生しても、当該構成であれば、亀裂、割れ等の部分から基材が露出しないため、耐火性能の低下を確実に抑制できる。
【0019】
発泡性耐火層を3層以上積層する場合には、2層目以降のシート端部の突き合わせ部又は重ね合わせ部は、必ずしも外側(即ち、基材と逆側)の発泡性耐火シートにより跨がれる必要はないが、耐火性能をより高めるためには、跨がれる方が好ましい。
【0020】
最外層の発泡性耐火層の上には、必要に応じて、化粧層を形成できる。化粧層の形成により、美観を付与することができ、発泡性耐火層の耐久性を高めることもできる。化粧層は、公知の施工方法で形成すればよく、例えば、各種塗料を塗装する方法、化粧フィルム、化粧シート等を積層する方法等が挙げられる。その他、公知の石材調貼り仕上材等を用いて施工することもできる。
【0021】
また、上記化粧層の保護を主目的としてさらにクリヤー塗料を塗付して上塗り層を形成することもできる。クリヤー塗料としては特に限定されず、公知のもの又は市販品を使用できる。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリルシリコン系、フッ素系等の塗料を使用できる。クリヤー塗料は水系又は溶剤系のいずれでもよいが、特に内装部分に塗装する場合には、水系の方が望ましい。クリヤー塗料は、非汚染タイプの方が好ましい。また塗料は、艶消しタイプ又は艶ありタイプのいずれでもよい。クリヤー塗料の塗装方法は、公知の方法に従えばよく、例えば、吹き付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等の塗装方法により実施できる。
【0022】
発泡性耐火シート
発泡性耐火シートとしては、火災等により周辺温度が所定の発泡温度に達すると発泡し、炭化断熱層を形成するものであれば特に限定されない。
【0023】
このようなシートとしては、例えば、▲1▼発泡性耐火塗料を公知の方法により塗膜化してシート状としたもの、▲2▼発泡性耐火塗料を不織布、織布等の繊維質シートに含浸したもの、▲3▼前記含浸体を積層したもの、▲4▼前記含浸体を不燃性網状物上に積層したもの、▲5▼前記含浸体を断熱性板状物上に積層したもの、等が挙げられる。発泡性耐火塗料としては特に限定されないが、例えば、特開平5−220879号公報、特開平7−276552号公報等に開示されるような発泡性耐火塗料が好適なものとして挙げられる。
【0024】
具体的には、特開平5−220879号公報には、有機性発泡剤、合成樹脂、りん又は硫黄を含有する化合物、これに必要に応じて、りん又は硫黄を含有する化合物以外の無機化合物微粉末を組み合わせてなる発泡性耐火塗料が開示されている。特開平7−276552号公報には、固形分換算で、バインダー100重量部に対して、難燃剤200〜600重量部、発泡剤40〜150重量部、炭化剤40〜150重量部及び充填剤50〜160重量部を組み合わせて構成される発泡性耐火塗料が開示されている。
【0025】
シートの厚みは、好適な可撓性が得られる範囲において、シートの性能、適用部位等に応じて適宜設定できるが、通常0.2〜6mm、好ましくは0.5〜3mm程度である。0.2mm未満の場合には、耐火性能が不十分となるおそれがある。6mmを超える場合には、可撓性が低下して折り曲げ加工が困難となるおそれがある。シートの厚みを好適な可撓性が得られる範囲とすることにより、湾曲面を有する基材、特に角鋼管、丸鋼管、H型鋼等に積層する場合にも、良好な施工性が得られる。
【0026】
このようなシートの種類は、適用部位、基材の材質等に応じて適宜選択でき、また必要に応じて、公知のもの又は市販品が使用できる。
【0027】
基材に第1層目の発泡性耐火層を形成する方法としては、シート端部どうしを突き合わせて形成するのであれば特に限定されない。例えば、▲1▼基材及びシートの少なくとも一方に公知の接着剤又は粘着剤(以下「接着剤等」とも言う)を塗布して貼着する方法、▲2▼接着剤等を用いずに、熱融着により直接貼着する方法、▲3▼基材及び/又はシートの一部に接着剤等を塗布してシートを仮固定し、次いで熱融着により貼着する方法、等が挙げられる。当該突き合わせ部には、必要に応じて、前記した継ぎ目処理を行ってもよい。
【0028】
上記の形成方法の中でも、特に接着剤等を介してシートを基材に貼着する場合(上記▲1▼の場合)には、繊維質シートを有する発泡性耐火シートを用いて、かつ繊維質シートが接着剤等を介して基材と接する構成とすることが好ましい。このような構成では、繊維質シートが熱による溶融成分を効率よく付着するため、基材からのシートの脱落、ズレ落ち等を防止又は抑制できる。
【0029】
繊維質シートを有する発泡性耐火シートとしては、例えば、発泡性耐火塗料と繊維質シートとを組み合わせたシートが挙げられる。繊維質シートとしては、例えば、有機繊維及び/又は無機繊維からなるシートが挙げられる。
【0030】
有機繊維としては、例えば、パルプ繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、セルロース繊維等及びこれら繊維の織布、不織布等が挙げられる。このような有機繊維は、熱による溶融成分を効率よく付着するため、基材からのシート(炭化断熱層を含む)の脱落、ズレ落ち等を抑制する効果が高い。有機繊維としては、特に150℃程度では溶融しないものが好ましい。
【0031】
有機繊維シート(有機繊維の織布又は不織布)の目付は特に限定されないが、通常5〜300g/m2、好ましくは8〜200g/m2程度である。有機繊維シートの厚さも特に限定されないが、通常30〜1000μm、好ましくは50〜800μm程度である。
【0032】
無機繊維としては、例えば、ロックウール、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カーボン繊維、炭化珪素繊維等が挙げられる。また鉄、銅等の金属細線も挙げられる。このような無機繊維は、熱により溶融せず、かつ補強材としても作用するため、炭化断熱層を確実に保持し、基材からのシートの脱落、ズレ落ち等を抑制する効果が高い。特に無機繊維が網目状に配列されている場合には、炭化断熱層をより強固に補強でき、基材からの脱落、ズレ落ち等を確実に防止又は抑制できる。
【0033】
無機繊維の太さは特に限定されないが、通常0.01〜1.5mm、好ましくは0.05〜1mm程度である。無機繊維の太さとは、網目構造を形成する1本の太さのことであり、無機繊維1本又は2本以上からなる糸状の束の太さである。特に無機繊維が網目状に配列される場合には、無機繊維が2〜30mmの間隔で配列されているのが好ましい。
【0034】
このような繊維質シートの中でも、特に有機繊維及び無機繊維を組み合わせてなる複合シートであって、無機繊維が網目状に配列されており、無機繊維の少なくとも一方(片面)に有機繊維の織布又は不織布が積層され、無機繊維の網目の一部又は全部を有機繊維が塞いでいる構造のものが好ましい。このような構造では、無機繊維が網目状に配列することにより、炭化断熱層を確実に補強する効果が得られるとともに、有機繊維による溶融成分の付着効果により、炭化断熱層の基材からの脱落、ズレ落ち等を相乗的に防止又は抑制できる。また無機繊維の網目の一部又は全部を有機繊維が塞ぐことにより、無機繊維の網目構造が壊れにくいという効果も得られる。
【0035】
第2層目以降の発泡性耐火層は、いずれかの発泡耐火性シートが基材と接する発泡性耐火層のシート端部どうしの突き合わせ部を跨ぐように配置すればよい。例えば、▲1▼少なくとも一方のシートに接着剤等を塗布して貼着する方法、▲2▼熱融着により直接に貼着する方法、▲3▼接着剤等によりシートを仮固定し、次いで熱融着により貼着する方法、等が挙げられる。第2層目以降のシートの端部どうしは突き合わせてもよいし、重ね合わせてもよい。また必要に応じて、前記した継ぎ目処理を行ってもよい。
【0036】
このように第1層目のシート端部どうしの突き合わせ部を跨ぐように第2層目以降のシートを配置することにより、第1層目の突き合わせ部から基材が露出することを防止でき、火災等の高温時にも、基材の物理的強度の低下を確実に抑制できる。第1層の突き合わせ部にパテ、シーリング剤等により継ぎ目処理をした場合において、火災時にパテ、シーリング剤等に亀裂、割れ等が発生しても、当該構成であれば、亀裂、割れ等の部分から基材が露出しないため、耐火性能の低下を確実に抑制できる。湾曲面を有する基材に積層した場合にも、同様に基材の露出を防止できるため、湾曲面を有する基材に対しても優れた耐火性能を付与することができる。
【0037】
第2層目を発泡性耐火層の最外層とする場合には、2層目のシートとしては、特に熱反射性を有するシート、発泡開始温度が低いシート等が好ましい。熱反射性を有するシートとしては、例えば、アルミニウム、ステンレス、銀、鉄等の金属箔及び金属蒸着膜、並びにこれらの金属を含む塗料をシート化したもの等が挙げられる。発泡開始温度が低いシートは、例えば、発泡性耐火シートを構成する発泡剤の種類、その配合比率等を調整することにより作製できる。なお2層目のシートには、繊維質シートが含まれないことが好ましい。
【0038】
このようなシートを最外層の発泡性耐火層とすることにより、耐火性能をより高められる。また繊維質シートを含まないことにより、炭化断熱層の高い発泡性(発泡倍率)が得られる。
【0039】
第2層目を発泡性耐火層の最外層としない場合には、2層目から最外層までの間に複数の発泡性耐火層を積層できる。発泡性耐火層の積層数を調整することにより、所望の耐火性能を発揮するように調整できる。この場合にも、最外層の発泡性耐火層を形成するシートとしては、前記した熱反射性を有するシート、発泡開始温度が低いシート等が好ましい。2層目から最外層までの間に積層される発泡性耐火層には、繊維質シートは含まれないことが好ましい。2層目以降のシートに繊維質シートを含まない構成により、炭化断熱層の高い発泡性(発泡倍率)が得られる。
【0040】
【発明の効果】
本発明の耐火構造は、基材と接する発泡性耐火層のシート突き合わせ部が、いずれも他の発泡性耐火層の発泡性耐火シートにより跨がれているため、火災等の高温時に突き合わせ部から基材が露出することが防止できる。突き合わせ部にパテ、シーリング剤等を充填した場合において、火災時にパテ、シーリング剤等に亀裂、割れ等が発生しても、亀裂、割れ等の部分から基材が露出しないため、耐火性能の低下を確実に抑制できる。
【0041】
また、基材上に発泡性耐火層を少なくとも2層積層するため、積層数を調整することにより、所望の耐火性能を発揮させることができる。各層を構成するシートの厚みを、良好な可撓性が得られる範囲に設定することにより、施工性を高められる。
【0042】
このような本発明の耐火構造は、平面基材に対して好適に適用できるだけでなく、湾曲面を有する基材、特に角鋼管、丸鋼管及びH型鋼の少なくとも1種に対しても好適に適用できる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
(発泡性耐火シートの製造)
(1)発泡性耐火シートA
アクリル樹脂100重量部、メラミン75重量部、ジペンタエリスリトール75重量部、ポリリン酸アンモニウム370重量部及び酸化チタン105重量部を含む原料混合物を、ニーダーを用いて充分に混練した。次いで、繊維質シートとともに、カレンダーロールで圧延することにより、膜厚1.5mmの発泡性耐火シートAを作製した。
【0044】
なお、繊維質シートとしては、ガラスメッシュ(太さ0.18mm、網目の間隔10mm×10mm)にポリエステル繊維の不織布を積層したものを用いた。
(2)発泡性耐火シートB
アクリル樹脂100重量部、メラミン75重量部、ジペンタエリスリトール75重量部、ポリリン酸アンモニウム370重量部及び酸化チタン105重量部を含む原料混合物を、ニーダーを用いて充分に混練した。次いで、カレンダーロールで圧延することにより、膜厚1.5mmの発泡性耐火シートBを作製した。
(3)発泡性耐火シートC
アクリル樹脂100重量部、メラミン75重量部、ジペンタエリスリトール75重量部、ポリリン酸アンモニウム370重量部及び酸化チタン105重量部を含む原料混合物を、ニーダーを用いて充分に混練した。次いで、カレンダーロールで圧延することにより、膜厚3.0mmの発泡性耐火シートCを作製した。
【0045】
実施例1
基材として、錆止め塗装された角鋼管(断面150mm×150mm、長さ200mm)を用いた。基材にアクリル樹脂粘着剤をローラーで全面塗布後、発泡性耐火シートA3枚を、図2に示されるように、シート端部どうしを突き合わせることにより貼着した。
【0046】
次いで、発泡性耐火シートAの外周面にアクリル樹脂粘着剤をローラーで全面塗布後、発泡性耐火シートA3枚を、図2に示されるように、シート端部どうしを突き合わせることにより貼着して試験体を作製した。図2に示されるように、外層シートは内層シートのシート突き合わせ部を跨ぐようにして貼着した。
【0047】
試験体について加熱試験を行った。加熱試験は、建築構造物の耐火試験方法JIS A1304の「4.加熱等級;付図1」に規定する標準曲線に基づいて、電気炉で試験体を60分間加熱することにより実施した。
【0048】
加熱試験後、試験体の外観、発泡倍率及び基材温度を評価した。評価方法及び評価基準については、下記の通りである。
・加熱後の外観
評価方法は、加熱後の外観を目視にて確認した。評価基準は、
○:異常なし
×:異常あり(亀裂・割れ等が発生)
とした。
・発泡倍率
加熱後の発泡炭化層の厚みを測定し、発泡倍率を算出した。
・基材温度
加熱中の基材温度測定データからその最高値を確認した。評価基準は、
◎:550℃未満
○:550℃以上600℃未満
△:600℃以上650℃未満
×:650℃以上
とした。
【0049】
次いで、脱落・ズレ試験を実施した。試験方法は、次の通りである。
【0050】
225mm×450mm×1.6mmの鉄板を用意し、鉄板の上端から150mmまでアクリル樹脂粘着剤をローラーで塗布し、鉄板の上端から150mmまでを覆うように発泡性耐火シートAを貼着した。更にそのシートA表面にアクリル樹脂粘着剤をローラーで塗付後、発泡性耐火シートAを重ねて貼着した。
【0051】
次いで、発泡性耐火シート表面をプロパンガスバーナーの炎(約1000℃)で約5分間加熱し、加熱による脱落及びズレを目視にて確認した。脱落・ズレ試験の評価基準は、
○:異常なし
×:異常あり(脱落又はズレが発生)
とした。
【0052】
外観、発泡倍率、基材温度及び脱落・ズレ試験の評価結果を下記表1に示す。
【0053】
実施例2
内層として発泡性耐火シートAを用いて、外層として発泡性耐火シートBを用いた他は、実施例1と同様にして試験体を作製した。実施例1と同様にして、試験体について加熱試験を行った。また脱落・ズレ試験を実施した。外観、発泡倍率、基材温度及び脱落・ズレ試験の評価結果を下記表1に示す。
【0054】
比較例1
基材として、錆止め塗装された角鋼管(断面150mm×150mm、長さ200mm)を用いた。基材にアクリル樹脂粘着剤をローラーで全面塗付後、発泡性耐火シートC3枚を、図3に示されるように、シート端部どうしの突き合わせ部分の目地幅が約3mmとなるように貼着した。
【0055】
次いで、シート突き合わせ部の目地に、湿気硬化型ウレタン系シーリング材を図3に示されるように、へらを用いて充填した。
【0056】
試験体について、実施例1と同様にして加熱試験を行った。
【0057】
また脱落・ズレ試験を実施した。脱落・ズレ試験は、225mm×450mm×1.6mmの鉄板にアクリル樹脂粘着剤をローラーで塗布し、鉄板の上端から150mmまでを覆うように発泡性耐火シートCを貼着した。次いで、発泡性耐火シートCの表面をプロパンガスバーナーの炎(約1000℃)で約5分間加熱し、加熱による脱落及びズレを目視にて確認することにより行った。評価基準は実施例1と同じである。外観、発泡倍率、基材温度及び脱落・ズレ試験の評価結果を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004150910

【図面の簡単な説明】
【図1】シート内部に応力が生じて、継ぎ目部分のパテ、シーリング剤等が両側のシートに引っ張られ、亀裂、割れ等が生じていることを示す図である。
【図2】実施例1及び2で作製した試験体を示す図である。
【図3】従来技術におけるシート突き合わせ部の継ぎ目処理を示す図である。

Claims (2)

  1. 耐火性を付与すべき基材に2層以上の発泡性耐火層が積層された耐火構造であって、
    (1)基材と接する発泡性耐火層は、発泡性耐火シートのシート端部どうしを突き合わせることにより形成されており、
    (2)基材と接する発泡性耐火層のシート端部どうしの突き合わせ部は、いずれも他の発泡性耐火層の発泡性耐火シートにより跨がれており、
    (3)基材と接する発泡性耐火シートが、繊維質シートを有する発泡性耐火シートであり、繊維質シートが接着剤又は粘着剤を介して基材と接しており、
    (4)繊維質シートは、有機繊維及び無機繊維を組み合わせてなる複合シートであって、無機繊維が網目状に配列されており、無機繊維の少なくとも片面に有機繊維の織布又は不織布が積層され、無機繊維の網目の一部又は全部を有機繊維が塞いでいる、
    ことを特徴とする耐火構造。
  2. 耐火性を付与すべき基材が、角鋼管、丸鋼管及びH型鋼の少なくとも1種である請求項に記載の耐火構造。
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