JP4148144B2 - 近似直線機構を有するピストン機関 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関や外燃機関などのピストン機関に用いられるピストン・クランク機構に関する。
一般的に、ピストンとシリンダとの間の摩擦は、ピストン機関の摩擦全体の半分以上を占めている。そこで、従来から、ピストンとシリンダとの間の摩擦を低減するために種々の工夫がなされている。例えば、下記の特許文献1に記載されたピストン・クランク機構では、ピストンピンとクランクピンとの間をフリーリンクで連結した構成が開示されている。この機構は、ピストンの往復運動の中間点において、フリーリンクの軸線のピストン中心軸線に対する傾斜が少なく維持されるように構成されている。
特開2001−50362号公報
しかし、従来知られている機構では、摩擦を充分に低減するには構成が大型化してしまうため、ピストンとシリンダとの間の摩擦を充分に低減できないという問題があった。また、従来の機構ではピストンへの組み付けがかなり複雑になるという問題もあった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、ピストンとシリンダとの間の摩擦を低減するための機構であって、ピストンへの組み付けが過度に複雑にならないような構成を有する機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による第1のピストン機関は、
シリンダと、
前記シリンダ内を往復運動するピストンと、
駆動軸を中心に回転するクランクシャフトと、
前記ピストンと前記クランクシャフトとを連結するコネクティングロッドと、
前記ピストンと前記コネクティングロッドとの連結部に連結され、前記連結部が前記シリンダの軸方向中心線に沿って近似直線運動するように前記連結部の動きを規制する近似直線機構と、
を備え、
前記近似直線機構は、複数の直線近似リンクを有しており、
前記複数の直線近似リンクの相互の係合端部、および、前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部と係合する1つの直線近似リンクの係合端部は、それぞれ所定の一方向から係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有することを特徴とする。
この構成では、2つの係合端部がそれぞれ片持ち構造を有しており、組み付けの際に一方向から嵌め合わせればよいので組み付けが容易である。
本発明による第2のピストン機関は、
シリンダと、
前記シリンダ内を往復運動するピストンと、
駆動軸を中心に回転するクランクシャフトと、
前記ピストンと前記クランクシャフトとを連結するコネクティングロッドと、
前記ピストンと前記コネクティングロッドとの連結部に連結され、前記連結部が前記シリンダの軸方向中心線に沿って近似直線運動するように前記連結部の動きを規制する近似直線機構と、
を備え、
前記近似直線機構は、第1と第2の横方向リンクと、縦方向リンクとを有するグラスホッパの近似直線機構であり、
前記第1の横方向リンクの第1の端部は、前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部に所定の第1の方向から係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有しており、
前記第1の横方向リンクの第2の端部は、前記縦方向リンクの第1の端部と回動可能に連結されており、
前記縦方向リンクの第2の端部は、前記ピストン機関の所定の位置に回動可能に固定されており、
前記第2の横方向リンクの第1の端部は、前記第1の横方向リンクの中間に設けられた係合部に所定の第2の方向から係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有しており、
前記第2の横方向リンクの第2の端部は、前記ピストン機関の所定の位置に回動可能に固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1と第2の横方向リンクの第1の端部が片持ち構造を有しており、組み付けの際に一方向から嵌め合わせればよいので組み付けが容易である。
なお、前記第1の横方向リンクの前記第1の端部と前記第2の横方向リンクの前記第1の端部とは、いずれも先端部が分岐しない未分岐構造を有するようにしてもよい。
この構成では、片持ち構造を容易に形成することができ、また、分岐構造に比べて高い強度を得ることができる。
前記第2の横方向リンクの前記第1の端部および前記第1の横方向リンクの係合部は、一方が回動軸を構成し他方が軸受け部を構成するようにしてもよい。
この構成によれば、連結ピンが不要なので、部品点数を低減でき、構成も単純になる。
前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部は、前記ピストンの往復方向から見たとき、前記第1の横方向リンクと前記第2の横方向リンクとの間に配置されていてもよい。
この構成は、第1と第2の横方向リンクの力学的なバランスが良好である。
前記第1の横方向リンクの前記第1の端部が前記連結部に係合する前記第1の方向と、前記第2の横方向リンクの前記第1の端部が前記係合部に係合する前記第2の方向とが、互いに逆平行であるものとしてもよい。
この構成では、第1と第2の横方向リンクの間に、ピストンとコネクティングロッドとの連結部を配置する構造を容易に実現することができる。
前記ピストンの往復方向から見たとき、
前記第1の横方向リンクの前記第2の端部と前記縦方向リンクの前記第1の端部との間の連結位置と、
前記第1の横方向リンクの前記係合部の位置と、
前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部の位置と、
前記第2の横方向リンクの前記第2の端部と前記ピストン機関の前記所定の位置との間の連結位置と、
の4つの位置が一直線上に配列されているようにしてもよい。
この構成は、近似直線機構の力学的なバランスが良好である。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ピストン・クランク機構、ピストン機関、そのピストン機関を備える移動体等の態様で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.ピストン・クランク機構の概要:
B.具体的形状例:
C.変形例:
A.ピストン・クランク機構の概要:
図1(A),(B)は、従来の内燃機関におけるピストン・クランク機構と本発明の一実施例の内燃機関におけるピストン・クランク機構とを比較して示す説明図である。図1(A)に示すように、従来の機構は、シリンダ110と、ピストン120と、コネクティングロッド130と、クランクシャフト140とを備えている。ピストン120とコネクティングロッド130は、ピストン120の中央部付近においてピストンピン160で互いに連結されている。コネクティングロッド130とクランクシャフト140は、クランクピン162で連結されている。ピストン120が上下に往復運動すると、クランクシャフト140がその軸142(「駆動軸」とも呼ぶ)を中心に回転する。ピストン120の下部にはスカート121が設けられている。このスカート121は、ピストン120の上死点付近において燃料が爆発したときに、ピストン120に掛かる横方向の力(スラスト)を受けるためのものである。
図1(B)は、本発明の一実施例としてのピストン・クランク機構の概略構成を示している。この機構は、シリンダ10と、ピストン20と、コネクティングロッド30と、クランクシャフト40とを備えており、さらに、近似直線機構50も備えている。
ピストン20は、略板状のピストンヘッド部22と、ピストンヘッド部22の下方に伸びるピストン支柱部24とを有している。ピストンヘッド部22とピストン支柱部24とは一体として形成されていてもよい。ピストン20とコネクティングロッド30は、ピストン支柱部24の下端において互いに連結されている。コネクティングロッド30とクランクシャフト40は、クランクピン62で連結されている。ピストン20が上下に往復運動すると、クランクシャフト40がその軸42(「駆動軸」とも呼ぶ)を中心に回転する。なお、後述するように、このピストン20にはスラストがほとんど掛からないので、従来のピストン120に設けられていたスカート121は不要である。
近似直線機構50は、2つの横方向リンク52,54と、1つの縦方向リンク56とを有している。第1の横方向リンク52の一端は、ピストン支柱部24の下端に回動可能に連結されている。第2の横方向リンク54の一端は、第1の横方向リンク52の中間の所定の位置において第1の横方向リンク52に回動可能に連結されている。第2の横方向リンク54の他端は、ピストン・クランク機構の所定の固定位置に回動可能に固定されている。縦方向リンク56の一端は、第1の横方向リンク52と回動可能に連結されている。縦方向リンク56の他端は、ピストン・クランク機構の所定の固定位置に回動可能に固定されている。
図1(A),(B)において、黒丸で表されている連結部(駆動軸42など)は、その軸を中心に回転または回動するが、シリンダ10との相対位置が変化しない連結点(以下「支点」と呼ぶ)である。また、白丸で表されている連結部は、その軸を中心に回転または回動するとともに、シリンダ10との相対位置が変化する連結点(以下「移動連結点」と呼ぶ)である。ここで、「回転」とは360度以上の範囲で回ることを意味しており、「回動」とは360度未満の範囲で回ることを意味している。
なお、本実施例の内燃機関は、通常の内燃機関と同じ種々の構成要素(バルブや吸気管、排気管等)を含んでいるが、図1(A),(B)ではピストン・クランク機構とシリンダ10以外は図示が省略されている。
図2(A)〜(C)は、実施例のピストン・クランク機構のリンク構成を示す説明図である。図2(A)は、シリンダ10と、ピストン20と、コネクティングロッド30と、クランクシャフト40のみを示している。また、図2(B)は、近似直線機構50のみを示している。図2(C)は、図1(B)に示した機構と同じものであり、図2(A),(B)の構成を組み合わせたものである。なお、本実施例の近似直線機構50は、グラスホッパの近似直線機構と呼ばれている。
図2(A)〜(C)においては、以下のように各種の連結点が表されている。
(1)移動連結点A:ピストン20とコネクティングロッド30の連結点。
(2)移動連結点B:第1の横方向リンク52の移動連結点Aとは反対側の端部にある連結点。
(3)移動連結点C:コネクティングロッド30の移動連結点Aとは反対側の端部にある連結点。
(4)移動連結点M:第1の横方向リンク52の中間点にある連結点。
(5)支点P:クランクシャフト40の中心軸(駆動軸)。
(6)支点Q:第2の横方向リンク54の移動連結点Mと反対側の端部にある連結点。
(7)支点R:縦方向リンク56の移動連結点Bと反対側の端部にある連結点。
移動連結点Aは、ピストン20の往復運動に伴って上下方向Z(図2(B))に沿って移動する。本明細書において、上下方向Zとは、シリンダ10の軸方向中心線(「軸中心」とも呼ぶ)に沿った方向を意味する。移動連結点A,Bは、第1の横方向リンク52の両端の連結点である。移動連結点Bは、縦方向リンク56が支点Rを中心に回動するのに従って、円弧状の軌跡上を移動する。また、この移動連結点Bは、第2の横方向リンク54の支点Qの上下方向位置Xとほぼ同じ上下方向位置を取るように設定されている。
なお、仮想的に縦方向リンク56の長さを無限大に設定し、移動連結点Bが、支点Qと同一の上下方向位置X上を直線的に移動するようにすれば、移動連結点Aは上下方向Zに沿って完全な直線に近い運動を行う。現実には、縦方向リンク56の長さは有限なので、移動連結点Aは直線運動からわずかにずれた軌跡上を移動する(これについては後述する)。ほぼ完全な直線運動機構は、縦方向リンク56の代わりに、移動連結点Bを直線的に案内するガイド部を採用すれば実現可能であるが、このガイド部と移動連結点Bとの摩擦が増大する。従って、摩擦の低減の観点からは、本実施例の近似直線機構50の方が完全な直線運動機構よりも好ましい。
第1の横方向リンク52の中間にある移動連結点Mの位置は、以下の関係を満足するように設定されている。
AM×QM=BM2
ここで、AMは連結点A,M間の距離を意味し、QMは連結点Q,M間の距離、BMは連結点B,M間の距離をそれぞれ意味している。
図3(A)〜(D)は、ピストン20の移動に伴うピストン・クランク機構の形状変化を示している。近似直線機構50の3つの移動連結点A,B,Mのうちで、移動連結点A,Mはピストン20の移動に伴ってかなり大きく移動するが、縦方向リンク56の上端の移動連結点Bはあまり移動しないことが解る。図3(A)には、近似直線機構50の形状変化の程度を表す指標として利用できる2つの角度θ、φが示されている。第1の角度θは、横方向Xから測った第2の横方向リンク54の角度∠MQXである。また、第2の角度φは、上下方向Zからの縦方向リンク56の傾き角で∠BRZである。これらの角度θ,φの値が取る範囲は、移動連結点Aの移動範囲(すなわちピストン20のストローク)の設定と、近似直線機構50の各リンクの長さとに依存する。
図4(A),(B)は、実施例におけるピストン・クランク機構の具体的な寸法の一例と、移動連結点Aの軌跡とを示す説明図である。図4(A)に示されている寸法は、上述した関係(AM×QM=BM2 )を満足していることが解る。図4(B)に示されているように、移動連結点Aの軌跡は、近似的な直線部分を含んでおり、この近似的な直線部分がピストン20のストロークの範囲として利用される。このとき、ピストン20のストロークの範囲は、上死点における直線からのズレ量が、下死点における直線からのズレ量よりも小さくなるように設定されることが好ましい。ここで、「直線からのズレ量」の「直線」とは、シリンダ10の軸方向中心線を意味している。図4(B)の例では、上死点におけるズレ量は約5μmであり、下死点におけるズレ量は約20μmである。なお、この数値は常温で測定したものである。
上死点における移動連結点Aの直線からのズレ量が、下死点におけるズレ量よりも小さくなるように設定する理由は、上死点近傍では燃料の爆発力がピストン20に掛かるためである。すなわち、上死点におけるズレ量が小さければ、爆発力によってピストン20に掛かるスラスト(横方向の力)が小さくなるので、ピストン20とシリンダ10との摩擦を低減することができる。一方、下死点では爆発力が掛からないので、多少のズレがあっても上死点に比べて摩擦への影響は小さい。なお、移動連結点Aの軌跡における近似的直線部分は、各リンク52,54,56の長さを大きくすることによって大きくすることが可能であるが、リンクを長くすると近似直線機構50のサイズが大きくなるという問題がある。換言すれば、上死点や下死点における直線からのズレ量と、近似直線機構50のサイズとは、トレードオフの関係にある。これらの点を考慮すると、ピストン20の上死点における移動連結点Aの直線からのズレ量は、常温で測定して約10μm以下になるように近似直線機構50を構成することが好ましい。また、下死点におけるズレ量は、約20μm以下になるようすることが好ましい。
図4(B)に示すようにピストン20のストロークの範囲を設定した場合には、横方向リンク54の角度θは、8.8°〜−17.9°の範囲の値を取る(図4(A))。角度θの最大値(8.8°)はピストン20が上死点にある場合(図3(A))に相当し、最小値(−17.9°)はピストン20が下死点にある場合(図3(C))に相当する。縦方向リンク56の角度φは、0°〜2.2°の範囲の値を取る。角度φの最小値(0°)は、連結点Q,A,M,Bがほぼ一直線上に並ぶ場合に相当し、最大値(2.2°)は、角度θの絶対値が最も大きくなる場合(この例では下死点)に相当する。なお、これらの角度θ、φの値の範囲は、近似直線機構50の各リンクの寸法と、ピストン20のストローク範囲の設定に依存する。
B.具体的形状例:
図5は、本実施例におけるピストン・クランク機構の具体的な形状の一例を示している。ピストンヘッド部22は全体として皿状の形状を有しており、凹状の上面を有する略板状の上面部22aと、この上面部22aの周囲に一体として設けられたリング取り付け部22bとを有している。よく知られているように、ピストン20の頂面の形状は、単純な凹状以外の種々の形状が採用可能である。リング取り付け部22bは、略円環状の形状を有しており、その外周面にはピストンリング(図示せず)用の溝25が形成されている。このリング取り付け部22bには、従来のスカートは設けられていない。この理由は、上死点付近においてスラストがほとんど掛からないので、スラストを受けるためのスカートが無くても良いからである。
このリング取り付け部22bは、その横断面が常温でほぼ真円となるように形成されている。本明細書において、ある物が「ほぼ真円となるように形成されている」という文言は、その物の製造誤差を含む設計値が真円を含んでいることを意味している。リング取り付け部22bの横断面をほぼ真円にできる理由は、上述したようにピストン20に掛かるスラストが小さいためである。また、ピストン20とコネクティングロッド30との連結点は、ピストン20の頂部からかなり離れた位置(ピストン支柱部24の下端)に設けられているので、ピストン20の頂部近傍が従来のピストンに比べて単純な形状を有している。従来は、ピストンが複雑な形状を有していたため、高温時の膨張に伴う複雑な変形を考慮して、常温ではピストンの横断面を楕円形状にするのが普通である。一方、本実施例のピストン20は、その頂部近傍が従来のピストンに比べて単純な形状を有しているので、温度上昇に伴う複雑な変形を考慮する必要がなく、常温においてもリング取り付け部22bの横断面をほぼ真円に設定することが可能である。リング取り付け部22bの横断面をほぼ真円にすれば、シール性が向上するので、ピストンリングの張力を従来よりも弱くすることができる。この結果、ピストンリングによる摩擦も低減することが可能である。また、リング取り付け部22bの横断面をほぼ真円にすれば、ピストン20の製造がより容易になるという利点もある。
ピストン支柱部24の上端近傍には、ピストン支柱部24から外側に向けてサポート部26が伸びている。本実施例では、90度間隔で放射状に設けられた4本のサポート部26が、シリンダ10の内壁面近傍まで伸びている。これらのサポート部26は、ピストン20が直立姿勢を保ちながらシリンダ内壁面に沿って滑らかに移動するのを案内するためのものである。但し、近似直線機構50によって、ピストン20とコネクティングロッド30の連結点移動連結点A)の軌跡が充分直線に近いものに規制されている場合には、サポート部26を省略できる場合もある。但し、サポート部26を設けた方が、ピストン20をより円滑に移動させることができる。
ピストン支柱部24の長さは、ピストン20の上端からコネクティングロッド30との連結点までの長さが、ピストン20のストロークの約1/2倍以上で1倍未満の範囲の値になるように設定されていることが好ましい。この理由は、ピストン支柱部24の長さが過度に短いと、上死点において近似直線機構50がシリンダ10に衝突する可能性があるためである。また、ピストン支柱部24の長さが過度に長いと、ピストン20の重量が増加してエネルギ損失が増すためである。
シリンダ10の下部には、サポート用タブ12が設けられている。このサポート用タブ12は、ピストン20が下死点に到達したときにサポート部26に対向する位置にあるシリンダ内壁面部分である。また、サポート用タブ12以外のシリンダ内壁面部分は、不要なので切除されている。このように、本実施例の機構では、不要なシリンダの内壁面部分を切除することができるので、切除部分の間にグラスホッパー機構のリンク52,54を配置することができ、小型・軽量化が可能である。このようにシリンダ10の内壁面の一部を削除しなくても良いが、軽量化の観点からは、シリンダ10の内壁面の下端部においてサポート部26に対向しない内壁面の少なくとも一部が削除されていることが好ましい。
図6は、比較例としての近似直線機構50pを用いたピストン・クランク機構の要部横断面図である。この比較例の近似直線機構50pは、主要な連結部に二股構造を採用しており、一方、後述する各種の実施例の近似直線機構は主要な連結部に片持ち構造を採用している点でこの比較例と異なっている。
この比較例では、ピストン支柱部24pと、コネクティングロッド30pと、水平方向リンク52p,54pとは、ピストンが上下動したときにも互いに干渉しないように構成されている。具体的には、ピストン支柱部24pはシリンダ10の軸方向中心に設けられており、ピストン支柱部24pの両側が、コネクティングロッド30pの2枚の板状部材で挟まれている。コネクティングロッド30pの外側には、第1の横方向リンク52pの2枚の板状部材が配置されている。これらの3種類の部材24p,30p,52pは、ピストンピン60で連結されている。また、第1の横方向リンク52pの更に外側には、第2の横方向リンク54pの2枚の板状部材が設置されている。このように、比較例では、コネクティングロッド30と2つの横方向リンク52p,54pとは、端部が2つの板状部材に分かれた二股構造をそれぞれ有しており、中央のピストン支柱部24pを両側から挟むような位置にそれぞれ配置されている。
図7は、本発明の第1実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図であり、図6に対応するものである。但し、図7では図示の便宜上、ピストンのサポート部26とシリンダ10の図示が省略されており、また、第1と第2の横方向リンク52,54のハッチングが省略されている。
第1の横方向リンク52は、その両端に、第1の連結端部210と第2の連結端部218とを有している。第1の連結端部210は、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部に連結されている。第2の連結端部218は、縦方向リンク56の端部に連結されている。本実施例では、第1の連結端部210は段付きの回動軸(「係合凸部」とも呼ぶ)として構成されており、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30は、第1の連結端部210が挿入される軸受け部(「係合凹部」とも呼ぶ)として構成されている。また、第2の連結端部218と縦方向リンク56の端部のそれぞれは軸受け部として構成されており、連結ピン84によって互いに連結されている。第1と第2の連結端部210,218の間には、屈曲部212(「湾曲部」とも呼ぶ)と直線部216とが設けられている。直線部216には、連結穴214(軸受け部)が設けられている。この連結穴214には、第2の横方向リンク54の連結端部230が挿入される。直線部216は、ピストン往復方向視(図の紙面に垂直な方向から見たとき)において、第1と第2の連結端部210,218を結ぶ直線上に配置されている。また、第1の連結端部210は、図の上から下に向かう方向に沿って、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部に挿入されている。そこで、この第1の連結端部210と直線部216とを接続するために、屈曲部212が設けられている。
第2の横方向リンク54は、その両端に、第1の連結端部230と第2の連結端部238とを有している。第1の連結端部230は、段付きの回動軸として構成されており、第1の横方向リンク52の連結穴214に挿入されている。第2の連結端部238は、軸受け部として構成されており、ピストン機関の所定の位置に設けられた回動固定部70とともに、連結ピン82によって貫通されて連結されている。第1と第2の連結端部230,238の間には、第1の屈曲部232と、直線部234と、第2の屈曲部236とが設けられている。直線部234は、第1の横方向リンク52の直線部216と異なり、ピストン往復方向視において、第1と第2の連結端部230,238を結ぶ直線からオフセットした位置に配置されている。また、第1の連結端部230は、図の下から上に向かう方向に沿って、第1の横方向リンク52の連結穴214に挿入されている。そこで、この第1の連結端部230と直線部234とを接続するために、90度で屈曲する第1の屈曲部232が設けられている。また、第1の直線部234は、2つの連結端部230,238を結ぶ直線からオフセットしているので、第1の直線部234と第2の連結端部238とを接続するために、第2の屈曲部236が設けられている。
第1実施例では、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30の先端部が、軸受け部を構成している。コネクティングロッド30の先端部は、さらに、二股構造を有しており、ピストン支柱部24の先端部を両側から挟み込むように構成されている。但し、ピストン支柱部24の先端部とコネクティングロッド30の先端部の構造と位置関係は、図7と逆の構造および位置関係にすることも可能である。すなわち、ピストン支柱部24の先端部を二股構造にして、コネクティングロッド30の先端部を両側から挟み込むようにしてもよい。いずれの構造でも、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30がピストンの往復方向視において対称な形になるので、非対称な形状とすることによりサイドフォースが発生することを防止できる。
図7に示す第1実施例の構造は、以下のような種々の特徴と利点を有している。第1の特徴点は、第1の横方向リンク52の第1の連結端部210が、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部に、所定の一方側から係合する片持ち構造を有している点である。同様に、第2の横方向リンク54の第1の連結端部230も、第1の横方向リンク52の連結穴214に、所定の一方側から係合する片持ち構造を有している。このような片持ち構造を採用すると、近似直線機構の組み付けが容易になるという利点がある。特に、第1実施例では、第1と第2の横方向リンク52の第1の連結端部210,230は、いずれも先端部が分岐しない未分岐構造を有している。このような未分岐構造を採用すれば、近似直線機構の組み付けがさらに容易である。図6に示した比較例では、第1と第2の横方向リンク52p,54pが両方ともに二股構造を有していたので、組み付けがかなり困難である。これに対して、第1実施例では、第1と第2の横方向リンク52,54の第1の連結端部210,230が未分岐構造を有しているので、比較例に比べて組み付けが容易である。また、未分岐構造では、二股構造などのような分岐構造に比べて高い強度が得られるという利点もある。
第2の特徴点は、第1と第2の横方向リンク52,54の第1の連結端部210,230が、回動軸として構成されている点である。この構成により、これらの連結部においては連結ピンが不要になる。この結果、比較例に比べて近似直線機構の部品点数を低減でき、構造もより単純となっている。
第3の特徴点は、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部が、ピストン往復方向視において、第1と第2の横方向リンク52,54との間に配置されている点である。より具体的に言えば、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部は、第1の横方向リンク52の屈曲部212と、第2の横方向リンク54の直線部234との間に配置されている。このような配置を採用することにより、力学的な釣り合いが取れるので、各部材を軽量化でき、また、摩擦を低減することができる。なお、この第3の特徴点を実現するために、第1と第2の横方向リンク52,54の第1の連結端部210,230は、逆平行な方向からそれぞれの連結部に係合している。すなわち、第1の横方向リンク52の第1の連結端部210は、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部に、図中の上から下に向かう方向に挿入されている。一方、第2の横方向リンク54の第1の連結端部230は、第1の横方向リンク52の連結穴214に、図中の下から上に向かう方向に挿入されている。2つの連結端部210,230の係合方向を逆平行にする必然性は無いが、逆平行にすれば、「ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部を、ピストン往復方向視において、第1と第2の横方向リンク52,54との間に配置する」という構成を容易に実現することができるという利点がある。
第4の特徴点は、近似直線機構の4つの連結部(連結位置)が、ピストン往復方向視において一直線上に配置されている点である。具体的には、第1の横方向リンク52と縦方向リンク56との間の連結部と、第1と第2の横方向リンク52,54の間の連結部と、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30と第1の横方向リンク52との間の連結部と、第2の横方向リンク54とピストン機関の回動固定部70との間の連結部と、の4つの連結部が一直線上に配置されている。このような構成を採用すれば、力学的な釣り合いが取れるので、部材を軽量化でき、摩擦を低減することができる。なお、図7および後述する他の実施例の図では、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30と第1の横方向リンク52との間の連結部の軸を通る直線L−Lを示している。
図8は、本発明の第2実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。図7に示した第1実施例との違いは、第1の横方向リンク52aと縦方向リンク56aとの連結部の構造、および、第2の横方向リンク54aとピストン機関の回動固定部70aとの連結部の構造にあり、他の構造は第1実施例と同じである。
第1の横方向リンク52aの第2の連結端部218aは、回動軸として構成されており、縦方向リンク56aの端部は軸受け部として構成されている。これらの連結部では連結ピンが不要なので、第1実施例よりも部品点数が少なくなる点で好ましい。また、連結端部218aは、図の下から上に向かう方向に縦方向リンク56aに挿入されており、片持ち構造を有している。そこで、この連結端部218aと直線部216aとを接続するために屈曲部220が設けられている。この点では、第1の横方向リンク52aは第1実施例よりも複雑な形状を有している。
第2の横方向リンク54aの第2の連結端部238aも、回動軸として構成されている。この連結端部238aとピストン機関の回動固定部70aとの間の連結部では、連結ピンが不要なので、第1実施例よりも部品点数が少なくなる点で好ましい。また、この第2の連結端部238aは、第1の連結端部230と同じ方向から軸受け部に挿入される片持ち構造を有している。この結果、第2の連結端部238aと直線部216aとを接続するための屈曲部236aは、90度に曲がる単純な形状となっている。この第2実施例も、上述した第1実施例とほぼ同様な効果を得ることができる。
図9は、本発明の第3実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。この第3実施例の第1の横方向リンク52は図7に示した第1実施例と同じであり、第2の横方向リンク54aは図8に示した第2実施例と同じである。但し、縦方向リンク56bの連結端部の形状は、第1,第2実施例と異なっている。すなわち、縦方向リンク56bの連結端部は、先端に回動軸86bが突出した構造を有しており、この回動軸84bが第1の横方向リンク52の連結端部218(軸受け部)に挿入されている。従って、第1の横方向リンク52と縦方向リンク56bとの間の連結部における連結ピンが不要である。この第3実施例も、第1実施例や第2実施例とほぼ同様な効果を得ることができる。
図10は、本発明の第4実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。この第4実施例は、第1と第2の横方向リンク52c,54cが、上述したいずれの実施例とも異なる形状を有している。第1の横方向リンク52cの直線部216cは、4つの連結部を結ぶ直線からオフセットした位置に配置されている。また、直線部216cの中間位置には、第2の横方向リンク54cと連結する連結軸215cが突出している。この連結軸215cと、第1および第2の連結端部210c,218cは、いずれも図中の上から下向きに突出する回動軸である。第2の連結端部218cは、縦方向リンク56cの連結端部(軸受け部)に挿入されている。第2の横方向リンク54cは、その第1の連結端部230cが軸受け部として構成されている点で図8に示した第2実施例と異なる。この第4実施例も、第1〜第3実施例とほぼ同様な効果を得ることができる。また、第4実施例では、第1と第2の横方向リンク52c,54cの直線部216c,234cが、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30の連結部を挟んで互いに反対側にオフセットしているので、第1〜第3実施例よりも全体のバランスが良いという利点がある。
図11は、本発明の第5実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。この第5実施例の第1の横方向リンク52および縦方向リンク56bは図9に示した第3実施例と同じであり、第2の横方向リンク54dが第3実施例と異なっている。第2の横方向リンク54bの第1の連結端部230bは、軸受け部として構成されており、第1の横方向リンク52の連結穴214とともに連結ピン86で貫通されて連結されている。この第5実施例も、第1〜第4実施例とほぼ同様な効果を得ることができる。
図12は、本発明の第6実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。この第6実施例は、第1と第2の横方向リンク52e,54eのそれぞれの第2の連結端部218e,238eの構成が、図10に示した第4実施例と異なる。すなわち、第1の横方向リンク52eの第2の連結端部218eは、直線部216eの先端に設けられた軸受け部として構成されている。この第2の連結端部218eと縦方向リンク56との連結部の構造は、図7に示した第1実施例と同じであり、連結ピン84によって連結されている。第2の横方向リンク54eの第2の連結端部238eも、直線部234eの先端に設けられた軸受け部として構成されている。この第2の連結端部238eとピストン機関の回動固定部70eとの連結部の構造も、図7に示した第1実施例と同じであり、連結ピン82eによって連結されている。第6実施例が他の実施例と大きく異なる点は、4つの連結位置が一直線上に存在していない点である。このような配置は、全体の力学的なバランスを取るのがやや困難な場合があるので、前述した第1〜第5実施例における一直線状の配置の方が好ましい。但し、第6実施例では、第4実施例と同様に、2つの横方向リンク52e,54eが、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30の連結部を挟んで互いに反対側にオフセットしている点では好ましい。
図13は、本発明の第7実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す要部横断面図である。この第7実施例の第2の横方向リンク54および縦方向リンク56bは図7に示した第1実施例と同じであり、第1の横方向リンク52fが第1実施例と異なっている。第1の横方向リンク54fの第1の連結端部210fは段付きの回動軸として構成されており、ピストン支柱部24およびコネクティングロッド30の連結部に対して下から上向きの方向に挿入される。このため、直線部216fと第1の連結端部210fとを接続する屈曲部212fは、90度に曲がる形状となっている。この第7実施例では、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30と第1の横方向リンク52fとの間の連結位置が、他の3つの連結位置を結ぶ直線からオフセットしている点で第1ないし第6実施例とは異なる。換言すれば、第7実施例では、2つの横方向リンクが、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30の間の連結位置から見て同じ方向にオフセットしている。従って、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30に対する2つの横方向リンクの力学的なバランスの点からは第7実施例よりも第1〜第6実施例の方が好ましい。
図14(A)〜(C)は、ピストン・クランク機構の変形例を示す説明図である。図14(A)の機構は、図2(A)〜(C)に示した機構の縦方向リンク56を連結点Bの上側に配置したものであり、他の構成は図2(A)〜(C)の機構と同じである。図14(A)の機構によっても、図2(A)〜(C)の機構と同一の効果が得られる。
図14(B)の機構は、図2(A)〜(C)に示した機構の支点Qを移動連結点B側に移動して、移動連結点A(ピストンピン)と支点P(クランク軸)とを結ぶ直線上に配置したものであり、他の構成は図2(A)〜(C)の機構と同じである。図14(C)の機構は、支点Qをさらに右側に配置したものである。図14(B)、(C)の機構では、第2の横方向リンク54の長さが図2(A)〜(C)の機構よりも短くなっており、よりコンパクトであるという利点がある。図14(B)の機構は、図14(A),(C)の機構に比べて直線性が良いという利点がある。図14(B)や図14(C)の機構を採用する場合には、上述した図12のように、ピストン支柱部24とコネクティングロッド30の間の連結位置に対して、第2の横方向リンク54eとピストン機関の連結部70eとの間の連結位置がオフセットしているような構成が採用される。
図15は、ピストン・クランク機構の他の変形例を示す説明図である。図1(B)の機構ではピストンヘッド部22とピストン支柱部24とが一体に形成されていたのに対して、図15の機構では、ピストンヘッド部22aとピストン支柱部24とが別体として形成されている点が異なる。このピストンヘッド部22aの下端部とピストン支柱部24の上端部は、ピン23によって互いに回動可能に連結されている。図15の構成では、ピストン支柱部24aの下端の軌跡が直線から多少ずれた場合にも、そのズレが、ピストンヘッド部22aを傾かせる力として働かない(すなわち、ピストン支柱部24aの下端のズレがピストンヘッド部22aにほとんど影響を与えない)という利点がある。また、ピストンヘッド部とピストン支柱部とが一体に形成されている場合に比べて、ピストンを直線近似機構およびコネクティングロッドと組み付ける作業が容易になるという利点もある。一方、図1(B)の機構では、仮に何らかの原因でピストンヘッド部22がシリンダ10に対して傾きかけた場合にも、ピストン支柱部24が近似直線運動を行うときに、その傾きが矯正されるという利点がある。
以上のように、上述した実施例やその変形例では、ピストン・クランク機構に近似直線機構50を設けることによって、ピストン20の下端がシリンダ10の軸中心に沿った近似的な直線状軌跡を移動するようにしたので、ピストン20とシリンダ10との間の摩擦を大幅に低減することが可能である。
C.その他の変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
本発明は、グラスホッパの近似直線機構に限らず、他の任意の近似直線機構を採用することが可能であり、例えばワットの近似直線機構を採用することも可能である。この場合にも、近似直線機構が、複数の直線近似リンクを有することが好ましい。また、図7〜図13に示した各実施例と同様に、複数の直線近似リンク相互の係合端部(例えば図7の連結端部230に相当する部分)、および、ピストンおよびコネクティングロッドの連結部と係合する1つの直線近似リンクの係合端部(図7の連結端部210に相当する部分)が、それぞれ所定の一方向から係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有することが好ましい。また、上死点におけるシリンダ中心軸からのズレ量が下死点におけるズレ量よりも小さくなるように近似直線機構の構成が設定されることが好ましい。なお、上記実施例で説明したグラスホッパの近似直線機構は、近似直線上を移動する点(移動連結点A)が機構の一方の端部近傍に偏っているので、内燃機関のピストンの運動を規制するのに特に適しており、また、コンパクトな機構で良好な直線性を得ることが可能である。
C2.変形例2:
上記実施例では、ピストンヘッド部22とピストン支柱部24とを有するピストン20を利用するものとしていたが、従来のピストン120(図1(A))と同様な構成のピストンを用いることも可能である。但し、ピストンヘッド部22とピストン支柱部24とを有するピストン20を利用すれば、近似直線機構50とシリンダ10との干渉を防止し易いので、近似直線機構50をよりコンパクトにできるという利点がある。
C3.変形例3:
上記実施例では、サポート部26がピストン支柱部24に接続されていたが、この代わりに、ピストンの他の部分(例えばピストンヘッド部22の下端)にサポート部26が接続されるようにしても良い。換言すれば、ピストンの横方向の位置ずれ防止用のサポート部は、シリンダ内壁近傍に設けられていればよい。なお、サポート部の代わりに、従来よりも小さなスカート部を設けるようにしても良い。このようなスカート部としては、同一のシリンダ内部寸法を有する同一種類のピストン機関に用いられる従来のピストン設計(直線近似機構を用いないピストン設計)におけるスカート部よりも、スラスト(サイドフォース)への耐圧能力が小さいもの(例えばサイドフォースへの耐圧能力が約1/2以下のもの)を使用することができる。具体的には、例えば、従来のピストン設計におけるスカート部の面積の約1/2以下の面積を有するスカート部を使用することが可能である。
C4.変形例4:
本発明のピストン・クランク機構は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの種々の内燃機関や、スターリングエンジンなどの外燃機関を含む任意のピストン機関に利用可能である。また、本発明は、このようなピストン機関を備える車両や移動体としても実現可能である。
従来のピストン・クランク機構と本発明の一実施例のピストン・クランク機構とを比較して示す説明図。 実施例のピストン・クランク機構のリンク構成を示す説明図。 ピストンの移動に伴うピストン・クランク機構の形状変化を示す説明図。 実施例におけるピストン・クランク機構の具体的な寸法の一例と、移動連結点Aの軌跡とを示す説明図。 実施例におけるピストン・クランク機構の具体的な形状の一例を示す要部縦断面図。 比較例の近似直線機構を用いたピストン・クランク機構を示す図。 本発明の第1実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第2実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第3実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第4実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第5実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第6実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 本発明の第7実施例における近似直線機構の連結部の構成を示す図。 ピストン・クランク機構の他の変形例を示す説明図。 ピストン・クランク機構の他の変形例を示す説明図。
符号の説明
10…シリンダ
12…サポート用タブ
20…ピストン
22…ピストンヘッド部
23…リング溝
24…ピストン支柱部
25…ピン
26…サポート部
30…コネクティングロッド
40…クランクシャフト
42…駆動軸
50…近似直線機構
52…第1の横方向リンク
52…第2の横方向リンク
56…縦方向リンク
62…クランクピン
70…回動固定部
82…連結ピン
84…連結ピン
86…連結ピン
110…シリンダ
120…ピストン
121…スカート
130…コネクティングロッド
140…クランクシャフト
160…ピストンピン
162…クランクピン
210…第1の横方向リンク52の第1の連結端部
212…屈曲部
214…連結穴
215c…連結軸
216…直線部
218…第1の横方向リンク52の第2の連結端部
220…屈曲部
230…第2の横方向リンク54の第1の連結端部
232…屈曲部
234…直線部
236…屈曲部
238…第2の横方向リンク54の第2の連結端部

Claims (4)

  1. ピストン機関であって、
    シリンダと、
    前記シリンダ内を往復運動するピストンと、
    駆動軸を中心に回転するクランクシャフトと、
    前記ピストンと前記クランクシャフトとを連結するコネクティングロッドと、
    前記ピストンと前記コネクティングロッドとの連結部に連結され、前記連結部が前記シリンダの軸方向中心線に沿って近似直線運動するように前記連結部の動きを規制する近似直線機構と、
    を備え、
    前記ピストンの往復方向を縦方向として定義したとき、
    前記近似直線機構は、第1と第2の横方向リンクと、縦方向リンクとを有するグラスホッパの近似直線機構であり、
    前記第1の横方向リンクの第1の端部は、前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部に係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有しており、
    前記第1の横方向リンクの第2の端部は、前記縦方向リンクの第1の端部と回動可能に連結されており、
    前記縦方向リンクの第2の端部は、前記ピストン機関の所定の位置に回動可能に固定されており、
    前記第2の横方向リンクの第1の端部は、前記第1の横方向リンクの中間に設けられた係合部に係合しつつ回動可能に連結された片持ち構造を有しており、
    前記第2の横方向リンクの第2の端部は、前記ピストン機関の所定の位置に回動可能に固定されており、
    前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部は、前記ピストンの往復方向から見たとき、前記第1の横方向リンクと前記第2の横方向リンクとの間に配置されている、ピストン機関。
  2. 請求項記載のピストン機関であって、
    前記第1の横方向リンクの前記第1の端部と前記第2の横方向リンクの前記第1の端部とは、いずれも先端部が分岐しない未分岐構造を有する、ピストン機関。
  3. 請求項1又は2記載のピストン機関であって、
    前記第2の横方向リンクの前記第1の端部および前記第1の横方向リンクの係合部は、一方が回動軸を構成し他方が軸受け部を構成する、ピストン機関。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のピストン機関であって、
    前記ピストンの往復方向から見たとき、
    前記第1の横方向リンクの前記第2の端部と前記縦方向リンクの前記第1の端部との間の連結位置と、
    前記第1の横方向リンクの中間に設けられた前記係合部の位置と、
    前記ピストンと前記コネクティングロッドとの前記連結部の位置と、
    前記第2の横方向リンクの前記第2の端部と前記ピストン機関の前記所定の位置との間の連結位置と、
    の4つの位置が一直線上に配列されている、ピストン機関。
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