JP4888273B2 - 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造 - Google Patents

複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造 Download PDF

Info

Publication number
JP4888273B2
JP4888273B2 JP2007202518A JP2007202518A JP4888273B2 JP 4888273 B2 JP4888273 B2 JP 4888273B2 JP 2007202518 A JP2007202518 A JP 2007202518A JP 2007202518 A JP2007202518 A JP 2007202518A JP 4888273 B2 JP4888273 B2 JP 4888273B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pin
diameter
link
small
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007202518A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009036146A (ja
Inventor
誠 小林
俊一 青山
研史 牛嶋
秀昭 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2007202518A priority Critical patent/JP4888273B2/ja
Publication of JP2009036146A publication Critical patent/JP2009036146A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4888273B2 publication Critical patent/JP4888273B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、複リンク式ピストン−クランク機構のアッパリンクとロアリンクとを回転可能に連結するアッパピンの連結構造に関する。
内燃機関のピストンとクランクシャフトのクランクピンとを連結する主運動系として複リンク式のピストン−クランク機構を用い、ピストンストローク特性の適正化や圧縮比の可変制御を実現することを本出願人は検討している。このような複リンク式ピストン−クランク機構においては、ピストンに連結されるアッパリンクとクランクピンに取り付けられるロアリンクとをアッパピンにより回転可能に連結しているが、このアッパピン連結部分は、クランクシャフトの回転に伴ってクランクピンとともにクランクシャフトの周囲を回転・旋回しつつ、燃焼荷重等に起因する大きな荷重が繰り返し作用するために、軽量・小型化と耐久性・信頼性との両立が重要な課題であり、本出願人は以前にも様々な連結構造を提案している。
例えば特許文献1では、アッパピンが挿通するピン孔が形成されたアッパリンクのアッパ側ピンボス部とロアリンクのロア側ピンボス部のうち、アッパ側ピンボス部をロア側ピンボス部を挟み込む二股形状とし、この二股状のアッパ側ピンボス部にアッパピンを圧入等により固定し、ロア側ピンボス部のピン孔にアッパピンが所定の隙間をもって回転可能に嵌合、つまり遊嵌する構成としている。
特開2005−30288号公報
しかしながら、上記特許文献1のようにアッパ側ピンボス部がロア側ピンボス部を挟み込む二股形状となっているものでは、ロア側ピンボス部がアッパ側ピンボス部を挟み込む二股形状のものに比して、その重量配分として比較的重量の大きい二股部分が回転体より遠くになる傾向となり、慣性力が増加してしまう。このため、ロア側ピンボス部がアッパ側ピンボス部を挟み込む二股形状のものの方が慣性力を軽減(実質的に軽量化)できる点で有利である。
また、アッパピンをロア側ピンボス部及びアッパ側ピンボス部の双方に回転可能な、いわゆるフルフロート式の連結構造とした場合、潤滑性能等の面では有利であるものの、スナップリングや抜け止めクリップ等を用いてアッパピンの軸方向の抜け止めを行う必要があり、部品点数の増加や重量の増加や寸法の増加を招いてしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備える複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造に関する。上記アッパリンクには、上記アッパピンが回転可能に遊嵌するアッパ側ピン孔が形成されたアッパ側ピンボス部が設けられるとともに、上記ロアリンクには、上記アッパ側ピンボス部を両側から挟み込む二股状をなし、上記アッパピンが圧入固定される2つのロア側ピン孔が形成されたロア側ピンボス部が設けられている。
本発明によれば、ロア側ピンボス部がアッパ側ピンボス部を挟み込む二股形状としているために、上述したようにアッパ側ピンボス部が二股形状のものに比して回転質量を実質的に軽量化して慣性力を低減することができる。また、ロア側ピンボス部にアッパピンが圧入固定されているために、ロア側ピンボス部にアッパピンに対する軸受摺動面が不要になるとともに、アッパピンの抜け止めのために別途クリップやスナップリング等を必要とせず、アッパピン連結構造の簡素化,軽量化及び小型化、特にクランクシャフト軸方向寸法の短縮化を図ることができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図6は、この発明に係る複リンク式ピストン−クランク機構を簡略的に示している。シリンダブロック1には、ピストン3が摺動可能に嵌合する複数のシリンダ(気筒)2が形成されるとともに、クランクシャフト4のクランクジャーナル15が回転自在に支持されている。クランクシャフト4には、各気筒毎にクランクピン8が設けられるとともに、クランクピン8とは反対側に延びたカウンタウェイト16が設けられている。
複リンク式ピストン−クランク機構は、ピストン3にピストンピン5を介して一端が連結されたアッパリンク6と、このアッパリンク6の他端にアッパピン7を介して連結されるとともに、クランクシャフト4のクランクピン8に回転可能に取り付けられたロアリンク9と、このロアリンク9にコントロールピン10を介して一端が連結されるとともに、他端が内燃機関本体つまりシリンダブロック1に揺動可能に支持されたコントロールリンク11と、を備えている。上記偏心カム12は、多気筒に連続したコントロールシャフト13が図示せぬ支持部材を介してシリンダブロック1に回転可能に支持されており、このコントロールシャフト13に各気筒毎に設けられる偏心カム12に、上記のコントロールリンク11の他端が回転可能に取り付けられている。従って、機関運転状態に応じてコントロールシャフト13の回転位置を変更することで、コントロールリンク11の揺動支持位置となる偏心カム12の位置が変化して、機関圧縮比を変更することができる。このように複リンク式ピストン−クランク機構を利用して機関圧縮比の可変制御を容易に実現可能である。
また、上記の複リンク式ピストン−クランク機構では、ピストンピンとクランクピンとを一本のリンクにより連結した単リンク式のものに比して、ピストンストローク特性の設定の自由度が高く、このピストンストローク特性を適正なもの(例えば、単振動に近い特性)とすることによって、振動や騒音の大幅な低減化等を図ることができる。
図7は、アッパピン7によるアッパリンク6とロアリンク9との連結構造を簡略的に示し、図1はアッパリンク連結部分の断面図である。これら図7及び図1を参照して、後述する全実施例に共通する特徴的な構成及びその作用効果について説明する。
アッパリンク6には、アッパピン7が嵌合するアッパ側ピン孔22が形成されたアッパ側ピンボス部21が設けられているとともに、ロアリンク9には、アッパピン7が嵌合するロア側ピン孔26,27が形成されたロア側ピンボス部23が設けられている。また、ロアリンク9には、クランクシャフト1のクランクピン8が回転可能に嵌合するクランクピンボス部32と、コントロールピン10が嵌合するコントロールピンボス部40と、が設けられている。
上記のロア側ピンボス部23は、二股状でない一つのアッパ側ピンボス部21を両側から挟み込む一対の脚部24,25を備えた二股形状をなし、各脚部24,25にそれぞれ上記のロア側ピン孔26,27が形成されている。アッパピン7は、アッパ側ピン孔22に隙間を介して緩く嵌合、つまり遊嵌しており、アッパ側ピンボス部21に対して回転可能である一方、ロア側ピン孔26,27に圧入により強固に固定されており、ロア側ピンボス部23に対して相対回転することなく回転方向及び軸方向に固定されている。また、ロア側ピンボス部23は、軸方向寸法の短縮化のためにアッパピン7と実質的に同一軸方向寸法に設定されている。
このような構成により、アッパピンが両方のリンクに対して回転可能な所謂フルフロート形式の連結構造に比して、ロアリンク側に軸受摺動面を必要としないこと、アッパピンの抜け止めのためのピン抜けクリップやスナップリング等の部品やその配置スペースが不要であることから、簡素化,軽量化及び小型化、特にクランクシャフト軸方向寸法の短縮化を図ることができる。また、ロア側ピンボス部23がアッパ側ピンボス部21を挟み込む二股形状としているために、アッパ側ピンボス部が二股形状のものに比して、重量の重い部分である二股部分がクランクシャフト回転中心に近づくかたちとなり、慣性力を低減することができる。
図1は、本発明の第1実施例に係るアッパピン連結構造を示す断面図である。この第1実施例においては、アッパピン7Aが全長にわたって均一断面形状の円柱又は円筒形状をなしている。また、ロアリンク9Aにおけるロア側ピン孔26,27の内径は、アッパピン7Aの外径よりも小さい同一寸法に設定されており、これらのピン孔26,27にアッパピン7Aが圧入により固定されている。アッパ側ピン孔22の内径はアッパピン7Aの外径よりも大きく設定されており、アッパピン7Aはアッパ側ピンボス部21に対して回転可能に緩く嵌合つまり遊嵌している。このような第1実施例によれば、単純で簡素な円柱(又は円筒)形状のアッパピン7Aを用いた簡素な構造で上記の作用効果を得ることができる。
図2は、本発明の第2実施例に係るアッパピン連結構造を示す断面図である。この第2実施例では、ロアリンク9Bにおける一方の脚部24に形成される大径ピン孔26の内径が、他方の脚部25に形成される小径ピン孔27の内径よりも大きく設定されている。これに応じて、アッパピン7Bが、大径ピン孔26に嵌合する大径ピン部28と、アッパ側ピン孔22に回転可能に遊嵌しつつ小径ピン孔27に圧入固定される小径ピン部29と、を有している。大径ピン部28は小径ピン部29よりも外径が大きく設定されおり、両者28,29を接続する段差面30が設けられている。大径ピン部28は大径ピン孔26よりもわずかに大径に設定され、この大径ピン孔26に圧入固定される。小径ピン部29は、その外径が小径ピン孔27の内径よりも僅かに大きく設定され、この小径ピン孔27に圧入固定される。また、小径ピン部29はアッパ側ピン孔22よりも小さな径に設定され、このアッパ側ピン孔22に隙間を介して回転可能に遊嵌・挿通している。
更に、小径ピン部29の先端周縁の隅角部(コーナー部)には、傾斜又は湾曲する面取り部31が設けられている。アッパピン組付時には、アッパピン7Bの小径ピン部29が大径ピン孔26側(図2の右側)より挿入されて、小径ピン部29の先端部が大径ピン孔26,アッパ側ピン孔22を通過した後、小径ピン孔27へ圧入・固定されるとともに、大径ピン部28が大径ピン孔26へ圧入・固定される。この作業の際、小径ピン部29の先端に面取り部31が形成されているとともに、この小径ピン部29が通過するピン孔26,22が小径ピン部29よりも大きな内径となっているので、小径ピン部29によりピン孔26,22の内周面を傷つけることなく小径ピン部29を容易に挿入させていくことができ、作業性に優れている。
図3に示す第3実施例では、上記の第2実施例に対し、アッパピン7Cの大径部28と小径ピン部29とを接続する段差面を、アッパピン軸直交面に対して傾斜しつつ、大径ピン部28の外周面と小径ピン部29の外周面とを滑らかに接続する傾斜面30Aとしている。これにより、不連続な段差形状を緩和・解消し、組立て作業性の向上と応力集中の緩和とを図ることができる。
図4(A)はアッパピン連結構造の断面図であり、(B)はアッパピンのみを(A)の左方より見た平面図である。この第4実施例では、大径ピン孔26の軸心と小径ピン孔27の軸心とをオフセットさせており、これに応じて、アッパピン7Cの大径ピン部28の軸心P2と小径ピン部29の軸心P3とをオフセットさせている。このようなオフセットによって、ロアリンク9Cに対してアッパピン7Cが組み付けられる回転位置が一義的に規制・限定される。従って、アッパ側ピン孔22の中で、大きな荷重(典型的には最大荷重)が作用する領域33を容易に特定可能であり、このように大きな荷重が作用する領域33、具体的にはクランクピン8が回転可能に嵌合するクランクピン軸受部32(図7参照)から遠い側の領域33にのみ、DLC(Diamonnd Like Carbon)加工のような耐荷重性を向上する処理を部分的に施すことで、必要最小限の加工範囲で効果的に耐荷重性を向上することができる。
また、アッパピン7Cには加工の容易な同一内径の円柱状の中空孔34が軸方向に貫通形成されている。そして、中空孔34の軸心P1を大径ピン部28の軸心P2及び小径ピン部29の軸心P3に対して偏心させることによって、肉厚分布を円周方向で適宜に異ならせている。この第4実施例では、中空孔34の軸心P1を大径ピン部28や小径ピン部29の軸心P2,P3に対して(最)大荷重の作用方向F1と反対側、つまりクランクピン軸受部32(図7参照)と反対側にオフセットさせて、荷重を大きく受ける反クランクピン側の領域33の肉厚を薄くしている。これによって、アッパピン7の小径ピン部29の中でも大きな荷重が作用する領域33で変形し易くなり、その荷重を低減・吸収することにより、軸受部分での片当たりや摩耗等が緩和・吸収され、軸受耐久性を向上することができる。また、主に引張り応力の作用するクランクピン軸受部32に近い側の領域35で肉厚が大きくなるので、この部分の耐久性に優れたものとなる。
更に、偏心する小径ピン部29と大径ピン部28とが一箇所、具体的にはクランクピン軸受部32と反対側の箇所36で内接するように設定されている。これによって、特に応力集中が問題となる部位であるクランクピン軸受部32と反対側の箇所36において、アッパピン7Cのたわみによって生じる段差部分が解消されることとなり、応力集中が緩和され、アッパピン7Cの耐久性が向上する。
図5に示す第5実施例では、アッパピン7Dにおける中空孔34の軸心P1を、大径ピン部28の軸心P2及び小径ピン部29の軸心P3に対して、(最)大荷重の作用方向F1と同じ側、つまりクランクピン軸受部32(図7参照)の側にオフセットさせて、荷重を大きく受ける反クランクピン側の領域33の肉厚を厚くしている。この構成によれば、荷重を大きく受ける反クランクピン側に段差面30が生じるものの、この反クランクピン側の領域33の肉厚が大きく、全体の変形を小さくすることで、アッパピン7Dの強度・剛性を有効に向上することができる。
次に、本発明の特徴的な技術思想について、上記実施例を参照しつつ説明する。但し、本発明は参照符号を付した実施例の構成に限定されるものではなく、種々の変形・変更を含むものである。
(1)ピストン3にピストンピン5を介して一端が連結されたアッパリンク6と、このアッパリンク6の他端にアッパピン7を介して連結され、かつクランクシャフト4のクランクピン8に回転可能に取り付けられたロアリンク9と、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンク9にコントロールピン10を介して連結されたコントロールリンク11と、を備える複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造であって、上記アッパリンク6には、上記アッパピン7が回転可能に遊嵌するアッパ側ピン孔22が形成されたアッパ側ピンボス部21が設けられるとともに、上記ロアリンク9には、上記アッパ側ピンボス部21を両側から挟み込む二股状をなし、上記アッパピン7が圧入固定される2つのロア側ピン孔26,27が形成されたロア側ピンボス部23が設けられている。
このような構成により、アッパピン7が両方のリンク6,9に対して回転可能な所謂フルフロート形式の連結構造に比して、ロアリンク9側に軸受・摺動面を必要としないこと、アッパピン7の抜け止めのためのピン抜けクリップやスナップリング等の部品やその配置スペースが不要であることから、簡素化,軽量化及び小型化、特にクランクシャフトの軸方向に沿う寸法の短縮化を図ることができる。また、ロア側ピンボス部23がアッパ側ピンボス部21を挟み込む二股形状であるため、アッパ側ピンボス部21が二股形状のものに比して、重量の重い部分である二股部分がクランクシャフトの回転中心に近づくかたちとなり、慣性力を低減することができる。
(2)好ましくは上記第2〜5実施例のように、二股状をなすロア側ピンボス部23の一方の脚部24に形成される大径ピン孔26の内径が、他方の脚部25に形成される小径ピン孔27の内径よりも大きく設定され、アッパ側ピン孔22の内径が少なくとも小径ピン孔27の内径よりも大きく設定されている。また、アッパピン7は、大径ピン孔26に圧入固定される大径ピン部28と、アッパ側ピン孔22を遊嵌しつつ小径ピン孔27に圧入固定される小径ピン部29と、を有している。
このような構成により、圧入作業時には、まず、アッパピン7における小径ピン部29を、ロアリンク9における大径ピン孔26へ挿入し、アッパ側ピン孔22を通して小径ピン孔27へ嵌合することで、小径ピン部29が小径ピン孔27へ圧入されるとともに、大径ピン部28が大径ピン孔26へ圧入される。小径ピン部29は大径ピン孔26やアッパ側ピン孔22よりも大径であるために、上記の圧入作業における小径ピン部29を、大径ピン孔26やアッパ側ピン孔22の内周面に強く接触させることなく容易に挿入することができ、作業性に優れている。
(3)更に好ましくは図2,図3の第2,第3実施例のように、小径ピン孔27に嵌合する小径ピン部29の先端周縁の隅角部分に、傾斜又は湾曲する面取り部31を形成する。これにより、アッパピンの挿入作業性を一段と向上することができる。
(4)図3に示す第3実施例では、小径ピン部29と大径ピン部28とを接続する段差面を、アッパピン7の軸直交面に対して傾斜(又は湾曲)する傾斜面(又は湾曲面)30Aとしている。これにより、段差面における応力集中を低減し、アッパピン7の耐久性を向上させることができる。
(5)図4,図5に示す第4,第5実施例では、大径ピン孔26と小径ピン孔27とを偏心させるとともに、これに対応して、大径ピン部28と小径ピン部29とを偏心させている。これによって、ロアリンク9に対して、アッパピン7の嵌合角度、つまり周方向位置を一義的に定められる。このため、最大荷重の作用する位置等に応じて肉厚を周方向で適切に設定することが可能となる。
(6)例えば図4に示す第4実施例では、アッパ側ピン孔22の中で大きな荷重が作用する領域33にのみ、DLCコーティング加工を施している。これにより、少ない加工範囲で耐久性・耐荷重性を有効に向上することができる。
(7)また、図4の第4実施例では、偏心する小径ピン部29と大径ピン部28とを所定箇所36で内接させている。このように、アッパピン7のたわみによって応力集中を招き易い部分36で段差を解消することで、応力集中の発生を有効に低減・回避し、アッパピン7の耐久性を向上することができる。
(8)図4の第4実施例のように、クランクピン軸受部32から遠い側の部分の剛性が低い場合、好ましくは、大径ピン部28と大径ピン孔26との圧入部において、クランクピン軸受部32から遠い側の部分の圧入代を、クランクピン軸受部32に近い側の部分の圧入代よりも大きく設定する。このように、周方向の中で剛性の低い部分の圧入代を大きくすることで、より安定した圧入が可能となる。
(9)図4,図5の第4,第5実施例では、アッパピン7に断面円形の中空孔34が貫通形成されており、この中空孔34の軸心P1を、大径ピン部28の軸心P2と小径ピン部29の軸心P3の少なくとも一方に対して偏心させている。このように、断面円形の中空孔34を形成することによって、大径ピン部28や小径ピン部29の肉厚を周方向で容易に変化させることができる。
(10)具体的には、図4の第4実施例においては、中空孔34の軸心P1を、大径ピン部28の軸心P2と小径ピン部29の軸心P3に対し、クランクピン軸受部32と反対方向、つまり大きな荷重F1の作用方向と反対方向へ偏心させている。これによって、アッパピン7の中でも大きな荷重が作用する領域33を薄肉化して、アッパピン7をたわみ易くし、軸受部分のエッジあたり等を緩和し、軸受耐久性を向上することができる。
(11)あるいは図5の第5実施例のように、中空孔34の軸心P1を、大径ピン部28の軸心P2と小径ピン部29の軸心P3に対し、クランクピン軸受部32の側、つまり、大きな荷重F1の作用側へ偏心させる。これにより、大きな荷重が作用する領域33の肉厚が大きくなり、その剛性を上げて変形量を小さくし、発生する応力を低減することができる。
(12)大径ピン部と小径ピン部との偏心量が小さく、その周方向位置の特定が難しいような場合、好ましくは、ロアリンク9における大径ピン孔26が形成された脚部24の側面と、大径ピン部28の端面とに、圧入時の位置決め用のマーキングを設ける。これによって、アッパピンの周方向の嵌合位置を容易に確認でき、作業効率を一層向上させることができる。
本発明の第1実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造を示す断面図。 本発明の第2実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造を示す断面図。 本発明の第3実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造を示す断面図。 本発明の第4実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造を示す断面図(A)及びアッパリンクの平面図(B)。 本発明の第5実施例に係る複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造を示す断面図。 上記実施例が適用される複リンク式ピストン−クランク機構の一例を示す構成図。 図6の複リンク式ピストン−クランク機構におけるアッパリンクとロアリンクとの連結部分を示す斜視対応図。
符号の説明
3…ピストン
4…クランクシャフト
5…ピストンピン
6…アッパリンク
7…アッパピン
8…クランクピン
9…ロアリンク
10…コントロールピン
11…コントロールリンク
21…アッパ側ピンボス部
22…アッパ側ピン孔
23…ロア側ピンボス部
24,25…脚部
26…大径ピン孔(ロア側ピン孔)
27…小径ピン孔(ロア側ピン孔)

Claims (9)

  1. ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備える複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造であって、
    上記アッパリンクには、上記アッパピンが回転可能に遊嵌するアッパ側ピン孔が形成されたアッパ側ピンボス部が設けられるとともに、上記ロアリンクには、上記アッパ側ピンボス部を両側から挟み込む二股状をなし、上記アッパピンが圧入固定される2つのロア側ピン孔が形成されたロア側ピンボス部が設けられ
    二股状をなす上記ロア側ピンボス部の一方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の一方である大径ピン孔の内径が、他方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の他方である小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパ側ピン孔の内径が、少なくとも小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパピンは、上記大径ピン孔に圧入固定される大径ピン部と、上記アッパ側ピン孔を遊嵌しつつ小径ピン孔に圧入固定される小径ピン部と、を有し、
    上記大径ピン孔と小径ピン孔とを偏心させるとともに、上記大径ピン部と小径ピン部とを偏心させたことを特徴とする複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  2. 上記アッパ側ピン孔の中で大きな荷重が作用する領域にのみ、DLCコーティング加工を施したことを特徴とする請求項に記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  3. 偏心する小径ピン部と大径ピン部とを所定箇所で内接させたことを特徴とする請求項又はに記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  4. ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備える複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造であって、
    上記アッパリンクには、上記アッパピンが回転可能に遊嵌するアッパ側ピン孔が形成されたアッパ側ピンボス部が設けられるとともに、上記ロアリンクには、上記アッパ側ピンボス部を両側から挟み込む二股状をなし、上記アッパピンが圧入固定される2つのロア側ピン孔が形成されたロア側ピンボス部が設けられ
    二股状をなす上記ロア側ピンボス部の一方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の一方である大径ピン孔の内径が、他方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の他方である小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパ側ピン孔の内径が、少なくとも小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパピンは、上記大径ピン孔に圧入固定される大径ピン部と、上記アッパ側ピン孔を遊嵌しつつ小径ピン孔に圧入固定される小径ピン部と、を有し、
    上記大径ピン部と大径ピン孔との圧入部において、上記ロアリンクのクランクピン軸受部から遠い側の部分の圧入代が、クランクピン軸受部に近い側の部分の圧入代よりも大きく設定されていることを特徴とする複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  5. ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備える複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造であって、
    上記アッパリンクには、上記アッパピンが回転可能に遊嵌するアッパ側ピン孔が形成されたアッパ側ピンボス部が設けられるとともに、上記ロアリンクには、上記アッパ側ピンボス部を両側から挟み込む二股状をなし、上記アッパピンが圧入固定される2つのロア側ピン孔が形成されたロア側ピンボス部が設けられ
    二股状をなす上記ロア側ピンボス部の一方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の一方である大径ピン孔の内径が、他方の脚部に形成される上記ロア側ピン孔の他方である小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパ側ピン孔の内径が、少なくとも小径ピン孔の内径よりも大きく設定され、
    上記アッパピンは、上記大径ピン孔に圧入固定される大径ピン部と、上記アッパ側ピン孔を遊嵌しつつ小径ピン孔に圧入固定される小径ピン部と、を有し、
    上記アッパピンに断面円形の中空孔が貫通形成されており、この中空孔の軸心を、上記大径ピン部の軸心と小径ピン部の軸心の少なくとも一方に対して偏心させたことを特徴とする複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  6. 上記中空孔の軸心を、上記大径ピン部の軸心と小径ピン部の軸心に対し、上記ロアリンクのクランクピン軸受部と反対方向へ偏心させことを特徴とする請求項に記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  7. 上記中空孔の軸心を、上記大径ピン部の軸心と小径ピン部の軸心に対し、上記ロアリンクのクランクピン軸受部の側へ偏心させことを特徴とする請求項に記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  8. 上記小径ピン孔に嵌合する小径ピン部の先端周縁の隅角部分に、傾斜又は湾曲する面取り部を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
  9. 上記小径ピン部と大径ピン部とを接続する段差面を、アッパピンの軸直交面に対して傾斜又は湾曲する傾斜面又は湾曲面としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造。
JP2007202518A 2007-08-03 2007-08-03 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造 Active JP4888273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007202518A JP4888273B2 (ja) 2007-08-03 2007-08-03 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007202518A JP4888273B2 (ja) 2007-08-03 2007-08-03 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009036146A JP2009036146A (ja) 2009-02-19
JP4888273B2 true JP4888273B2 (ja) 2012-02-29

Family

ID=40438273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007202518A Active JP4888273B2 (ja) 2007-08-03 2007-08-03 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4888273B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010235259A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Canon Inc シート搬送装置およびこれを装備した画像形成装置
JP6269317B2 (ja) * 2014-05-22 2018-01-31 日産自動車株式会社 複リンク式ピストンクランク機構におけるリンク連結構造
JP6233186B2 (ja) * 2014-05-22 2017-11-22 日産自動車株式会社 複リンク式ピストンクランク機構におけるリンク連結構造およびリンク連結方法
CN110284966B (zh) * 2019-06-28 2021-04-20 长城汽车股份有限公司 下连杆及具有其的发动机

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4075600B2 (ja) * 2002-05-16 2008-04-16 日産自動車株式会社 ピン連結構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009036146A (ja) 2009-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3882643B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
US8881695B2 (en) Variable compression ratio internal combustion engine
JP4092495B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構
JP2010116777A (ja) 内燃機関の複リンク式ピストンクランク機構
JP4888273B2 (ja) 複リンク式ピストン−クランク機構のアッパピン連結構造
JP4967733B2 (ja) クランクシャフト
JP5577913B2 (ja) リンク機構の連結ピン軸受構造
JP2004124775A (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP2008208783A (ja) リンク機構の軸受構造
JP6183558B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2004124776A (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構及びリンク部品
JP2007232112A (ja) 複リンク式ピストンクランク機構の軸受構造
JP4075600B2 (ja) ピン連結構造
JP4506340B2 (ja) 内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク
JP5515468B2 (ja) 内燃機関の複リンク式ピストン−クランク機構及びその設計方法
JP4259214B2 (ja) 内燃機関の可変圧縮比機構
JP6355903B2 (ja) ロアリンクのクランクピン連結構造
JP5070689B2 (ja) 連結ピン
JP7124571B2 (ja) 内燃機関
JP2010133312A (ja) 複リンク式ピストンクランク機構を備えた内燃機関
JP5321148B2 (ja) 複リンク式可変圧縮比内燃機関
JP2011179518A (ja) エンジンのクランク軸の軸受装置
JP7089898B2 (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP7112906B2 (ja) 複リンク式ピストンクランク機構
JP5003656B2 (ja) クランクシャフトの支持構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4888273

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3