JP4145763B2 - 内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造 - Google Patents

内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関において、クランクケースに、クランクシャフトを回転自在に支持する軸受の構造に関するものである。
一般に、オートバイ用などの単気筒内燃機関では、クランクケースの軸受孔に対をなす転がり軸受を介してクランクシャフトを回転自在に軸架し、このクランクシャフトのクランクピンにコンロッドを介してシリンダボアに摺合されるピストンを連結し、ピストンにかかる爆発圧力をクランクシャフトから一対の転がり軸受を介してクランクケースにより受けるようにされているが、この場合に、前記対をなす転がり軸受のアウタレースおよびインナレースを、クランクケースの軸受孔およびクランクシャフトのジャーナル軸部にそれぞれ圧入嵌合してそれら間のガタつきにより打音が発生しないようにし、クランクシャフトの、所望の軸受機能を維持して円滑、軽快な回転を保障することが望ましい。
ところが、前述のように、左右一対の転がり軸受を、クランクシャフトおよびクランクケースの何れにも圧入嵌合すると、クランクシャフトのクランクケースへの組付けやその後のメンテナンスなどがしにくくなるという課題が生じる。
そこで、従来では、この課題を解決するため、図9に示すように、クランクシャフトの、クランクケースへの組付けに際しては、クランクケースにクランクシャフトを組み込む前に、あらかじめ右側クランクケース半体に右側転がり軸受のアウタレースを圧入嵌合しておくと共にクランクシャフトの左側ジャーナル軸部に左側転がり軸受のインナレースを圧入嵌合しておき、クランクシャフトの組み付けに際しては、クランクシャフトの右側ジャーナル軸部を、右側転がり軸受のインナレース(そのアウタレースは既に右側クランクケース半体に圧入嵌合)に圧入嵌合し、ついで、クランクシャフトの左側ジャーナル軸部に既にインナレースが圧入嵌合されている左側転がり軸受のアウタレースを、左側のクランクケース半体に遊嵌(遊びを存して嵌合)するようにして、クランクシャフトのクランクケースへの組付けをし易くすると共にその後のメンテナンスもし易くするようにしている。
しかしながら、このようにすると、左側の転がり軸受のアウタレースと、クランクケースの軸受孔との間に径方向の多少の「ガタ」が発生するのを避けられず、そのため、内燃機関の運転時に、前記「ガタ」に起因して打音を発生するばかりでなく、所望の軸受機能が得られないという問題がある。
そこで、下記特許文献1のものには、一対のボール軸受の何れか一方(左側)のアウタレースの外側面を、傾斜押圧面を有するプッシュプラグにより、その軸方向に押圧することにより、前記「ガタ」を吸収するようにしたものが提案されている。
特開2003−83080号公報
ところが、前記特許文献1のものでは、前記プッシュプラグをクランクシャフトを挟んでシリンダと反対側、すなわちクランクケース側に配置して、転がり軸受のアウタレースを、クランクケースの軸受孔のシリンダ側(ピストンにかかる爆発圧力にかかる方向と反対側)に向けて押圧するようにしているため、この押圧方向は、ピストンに作用する爆発荷重の方向と逆方向になり、その結果、前記プッシュプラグによるガタの吸収が不充分になり、爆発力の大きい高出力内燃機関では、転がり軸受のアウタレースが、クランクケースの軸受孔の、シリンダと反対側を叩くようになり、打音低減効果が充分でないという問題がある。
本発明は、プッシュプラグを有する「ガタ吸収手段」のクランクケースへの組付けを、クランクケースの外側から容易に行なうことができる新規な内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造を提供することを第1の目的とし、さらにクランクシャフトを支持する転がり軸受のアウタレースが、クランクケースの軸受孔のシリンダと反対側を押圧するようにして、前記問題を解決した、新規な内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造を提供することを第2の目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シリンダブロックと、これに一体に結合されるクランクケースとを備え、シリンダブロックのシリンダに摺動自在に嵌合されるピストンにコンロッドを介して連動されるクランクシャフトを、クランクケースの軸受孔に転がり軸受を介して回転自在に支持させ、この転がり軸受のアウタレースと軸受孔との間の径方向のガタつきを防止するためのガタ吸収手段を備えた、内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造であって、前記ガタ吸収手段が、前記アウタレースの外側面に当接する傾斜面を内端に有しクランクケースにクランクシャフトの軸線に沿って摺動可能に嵌合されるプッシュプラグと、このプッシュプラグを前記アウタレース側に押圧するバネと、このバネを前記プッシュプラグとの間で挟むようにしてクランクケースに単一の取付ボルトで固定されるバネセットプレートとを備えていて、前記プッシュプラグが前記傾斜面を介して前記アウタレースに及ぼす押圧力の径方向分力で前記径方向のガタつきを吸収するものにおいて、前記バネセットプレートは、前記取付ボルトを挿通させるボルト孔を有しクランクケース外面に該ボルトを以て締結される基部と、その基部の径方向内端に連なり前記プッシュプラグの外端に対向して前記バネのバネ受けとなる中間部と、その中間部の径方向内端に連なりクランクケースと一体の位置決め部により前記取付ボルトの回転方向に位置決めされる自由端部とを一体に備えていて、クランクシャフトの径方向に細長く形成され、クランクケースの外面には、前記自由端部を前記取付ボルトの回転方向に位置決めするよう該自由端部と係合する位置決め部が前記アウタレースよりも軸方向外側において設けられ、その位置決め部の径方向内端は、前記アウタレースの内周面よりも径方向内方側に位置していることを第1の特徴としている。
また、上記目的を達成するために、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記ガタ吸収手段は、前記径方向分力により転がり軸受のアウタレースを、クランクケースの軸受孔の爆発圧力を受ける側に押付けるように弾発付勢することを第2の特徴としている。
また、上記目的を達成するために、請求項の発明は、前記請求項記載のものにおいて、前記プッシュプラグを有するガタ吸収手段は、前記シリンダのシリンダ中心軸線よりもクランクシャフトの回転方向前側に偏倚して配置されていることを第の特徴としている。
請求項1の発によれば、ッシュプラグの押圧力を転がり軸受のアウタレースに有効に作用させることができるばかりでなく、プッシュプラグを有する「ガタ吸収手段」のクランクケースへの組付けを、クランクケースの外側から容易に行なうことができる。例えば、バネセットプレートをクランクケースに取付ボルトにより緩く仮留めし、バネの端部を同プレートの中間部で受けた状態で、同プレートの自由端を、クランクケースと一体の位置決め部に係合させることにより、バネセットプレートを回転止めして位置決めすることが可能であるため、作業者はバネを圧縮したり、バネセットプレートを回転しないように手で押えるなどの面倒な操作をしなくても、クランクケースの外側からガタ吸収手段の組み付けを容易に行なうことができる。
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記ガタ吸収手段のプッシュプラグにより、転がり軸受のアウタレースを、クランクケースの軸受孔の爆発力を受ける側に押付けるように弾発付勢しているので、内燃機関の爆発燃焼により、径方向の荷重が転がり軸受に作用する場合に、転がり軸受のアウタレースと、クランクケースの軸受孔間の「ガタ」を確実に吸収して、爆発圧力の高い高出力内燃機関でも前記「ガタ」に起因する打音の発生を大幅に低減することができる。
また、請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、プッシュプラグが、転がり軸受のアウタレースに及ぼす押圧力の作用する方向は、ピストンが受ける最大圧力(爆発圧力)の作用する方向と略一致させることができるので、転がり軸受のアウタレースに作用する押圧力を、該転がり軸受と軸受間の「ガタ」吸収荷重として効率良く有効に働かせることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
添付図面において、図1は、本発明クランクシャフトの軸受構造を備えた内燃機関の要部縦断側面図、図2は、図1の2−2線に沿う断面図、図3は、図1の3−3線に沿う拡大断面図、図4は、図3の4−4線に沿う断面図、図5は、図3の5−5線に沿う拡大断面図、図6は、ガタ吸収手段の斜視図、図7は移動抑制部材の斜視図、図8は、ガタ吸収手段の組み付け時の状態を示す作用図である。
まず、図1,図2において、OHC型4サイクル単気筒内燃機関Eは、シリンダブロックCBと、そのデッキ面上に固定されるシリンダヘッドCHと、そのシリンダヘッドCHの下部に固定される、左右割りのクランクケースCCと、前記シリンダヘッドCHの上面に被着されるヘッドカバーHCとを備えており、前記シリンダブロックCBの中央部に設けた、シリンダスリーブ2を有するシリンダ1には、ピストン3が摺動自在に嵌合され、このピストン3の頂面に対向してシリンダヘッドCHには燃焼室4が形成される。ピストン3のピストンピンには、コンロッド5の小端部が回転自在に連結され、このコンロッド5の大端部は、クランクシャフト6のクランクピン7に回転自在に連結されている。クランクケースCCには、後述する左右の転がり軸受BB,BRを介してクランクシャフト6が回転自在に支持される。
前記クランクケースCCは、鉄あるいはアルミなどの軽合金の鋳造により形成されて、左側クランクケース半体10と右側クランクケース半体11とを、複数のボルト14により一体に結合して構成される。左側クランクケース半体10の開口外面には左側カバー12が被覆されてボルト15によりそこに固定され、また、右側クランクケース半体11の開口外面には右側カバー13が被覆されてボルト16によりそこに固定される。左右側クランクケース半体10,11には、相互に間隔を存して対面する左右ジャーナル壁10j,11jがそれぞれ一体に形成されており、それらの左右ジャーナル壁10j,11jには、同一軸線上に左右軸受孔18,19(左軸受孔18は、右軸受孔19よりも大径)がそれぞれ開口され、これら左右軸受孔18,19の軸受面は、クランクケースの鋳造時に鋳込まれるFe製の鋳込リングによって形成されている。左右軸受孔18,19には、左右側転がり軸受BB,BRを介してクランクシャフト6の左右ジャーナル軸部6jl,6jrが回転自在に支承される。図4に明瞭に示すように、左側転がり軸受BBは、ボール軸受により構成され、また、右側転がり軸受BRはローラ軸受により構成されている。前記左側転がり軸受、すなわちボール軸受BBのインナレース22は、クランクシャフト6の左ジャーナル軸部6jlに圧入嵌合され、また、そのアウタレース23は左ジャーナル壁10jの軸受孔18に遊嵌(径方向に若干のガタ)される。このボール軸受BBのアウタレース23は、そのインナレース22よりも軸方向外方(シリンダ軸線から離れる方向)に延長されており、この延長部23eの内周面には、後述の「移動抑制手段S」を構成する断面凹状の係合溝41が形成され、この係合溝41に移動抑制部材40のフック部40fが係脱可能に係合される。図4に示すように、前記係合溝41とフック部40fとの間には、そのフック部40fに対してアウタレース23が、その軸方向への若干の移動を許容できるように、それらの間に細隙が設けられる。
また、前記右側転がり軸受、すなわち、ローラ軸受BRのインナレース26は、クランクシャフト6の右ジャーナル軸部6jrに挿入され、また、そのアウタレース27は右ジャーナル壁11jの軸受孔19に圧入嵌合される。なお、インナレース26は、クランクシャフト6の右ジャーナル軸部6Jrに挿入したあと、このインナレース26の、クランクシャフト6の右ジャーナル軸部6Jrへの固定は、ギヤ群62,遠心フィルタ63(図1参照)と共にクランクシャフト6の軸端からナットにより共締めすることにより行なわれる。
図1,3に示すように、クランクシャフト6とシリンダ1との間において、左側クランクケース半体10の左ジャーナル壁10jには、前記ボール軸受BBの上部外側に近づけて、該ボール軸受BBのアウタレース23と軸受孔18間の径方向の「ガタ」を吸収するための「ガタ吸収手段A」がクランクシャフト6の軸線方向に沿って設けられる。
前記「ガタ吸収手段A」は、図3,4,6に明瞭に示すように、プッシュプラグ30と、コイルバネ31と、バネセットプレート32とより構成されている。プッシュプラグ30は、有底の中空円筒状に形成され、その有底側端壁のコーナ部に傾斜面30sが形成されている。そして、このプッシュプラグ30は、左ジャーナル壁10jのボール軸受BBの斜め上方のボス部34に形成した、クランクシャフト6の軸線方向(シリンダ軸線と直交方向)に軸線をもつ円筒孔35内に摺動自在に嵌合されている。
図4に示すように、ボール軸受BBのアウタレース23の断面円弧状のコーナー部23cは、前記円筒孔35内に突入しており、このコーナー23cに前記プッシュプラグ30の傾斜面30sが当接される。前記コイルバネ31は、プッシュプラグ30内に収容されてその外端は、プッシュプラグ30の開口端面よりも外側に突出される。前記バネセットプレート32は、クランクシャフト6の径方向に細長く形成されており、ボルト孔33を開口した基部32bと、内面にバネ受け用の凹部dを有する中間部32nと、内方に折り曲げた、折り曲げ部bを有する自由端部32fとを有し、前記基部32bは、左側クランクケース半体10の外面に取付ボルト38によりボルト止めされ、その中間部32nのバネ受け用の凹部dは前記コイルバネ31の外端を受け、さらに前記自由端32fは、中間部32nよりも幅狭に形成されて、左側クランクケース半体に一体に形成した側面視ハ字状(図2参照)で、断面ホーク状の位置決め部36(図5参照)内に係合されてその回転を止め、すなわち位置決めされるようになっている。その位置決め部36は、図3〜5からも明らかなように、アウタレース23よりも軸方向外側において設けられ、その位置決め部36の径方向内端は、アウタレース23の内周面よりも径方向内方側に位置する。
しかして、前記「ガタ吸収手段A」を左側クランクケース半体10に組み付けるにあたっては、図8に示すように、バネセットプレート32を左側クランクケース半体10に取付ボルト38により緩く仮留めし、自由長のコイルバネ31の端部を、中間部32nのバネ受け用凹部dで受けた状態で、バネセットプレート32の自由端32fの折り曲げ部bを、左側ジャーナル壁10jの、ホーク状位置決め部36に係合させることにより、バネセットプレート32を回転止めして位置決めすることができるため、作業者はコイルバネ31を圧縮したり、バネセットプレート32を回転しないように手で押えるなどの面倒な操作をしなくても、「ガタ吸収手段A」の組み付けをすることができる。そして、取付ボルト38を締め上れば、図8鎖線で示すように、「ガタ吸収手段A」の組み付けを完了し、この組み付け完了状態で、左側クランクケース半体10のボス部34とバネセットプレート32の中間部32nの凹部dとを相互に嵌め合わせることができ、これにより、「ガタ吸収手段A」をクランクケース10の外面にコンパクトに収めることができ、しかも部分的に外部に突出するところがない。そして、前述のように、「ガタ吸収手段A」の組み付けは、左側クランクケース半体10の外側から行なうことができるので、その組付作業性がきわめてよい。
図4に示すように、「ガタ吸収手段A」の組付完了状態では、バネセットプレート32はコイルバネ31を介してプッシュプラグ30を内方に押圧し、該プッシュプラグ30の傾斜面30sによりボール軸受BBのアウタレース23を、斜め下方の押圧力Fを以て押圧する。この押圧力Fの鉛直方向の分力Fr、すなわちクランクシャフト6の径方向の分力Frにより、前記アウタレース23を径方向に押圧し、この押圧力によりアウタレース23の外周面と軸受孔18間の径方向の前記「ガタ」を吸収、すなわち無くすことができ、ピストン3にかかる爆発力などによるクランクシャフト6の径方向の荷重に対してクランクシャフト6をガタなく的確に支持することができ、打音の発生を未然に防止することができる。
しかして、前記「ガタ吸収手段A」のプッシュプラグ30は、シリンダ1とクランクシャフト6との間で、クランクシャフト6に平行に配置されていて、ボール軸受BBを、クランクケース10の軸受孔18の爆発圧力を受ける側に押付けるように弾発付勢しているので、内燃機関の爆発燃焼により、過大な径方向の荷重がボール軸受BBに作用する場合に、そのアウタレース23と、クランクケース10の軸受孔18間の「ガタ」を確実に吸収して、爆発圧力の高い高出力内燃機関でも前記「ガタ」に起因する打音の発生を大幅に低減することができる。また、プッシュプラグ30をクランクシャフト6と平行に配置して該プッシュプラグ30の押圧力をボール軸受BBのアウタレース23に有効に作用させることができるばかりでなく、プッシュプラグ30を有する「ガタ吸収手段A」のクランクケース10への組付けを、クランクケース10の外側から容易に行なうことができる。
また、前記プッシュプラグ30がボール軸受BBに及ぼす押圧力の作用する方向は、ピストン3が受ける最大圧力(爆発圧力)の作用する方向と略一致するようにされており、すなわち、この内燃機関において、最大爆発圧力を受けるピストン3の位置は、該ピストン3が上死点より若干遅れた位置にあるときであるので、図2に示すように、「ガタ吸収手段A」は、クランクシャフト6の軸線方向からみて、シリンダ軸線L−Lよりもクランクシャフト6の回転方向(図2矢印R方向、反時計方向)側に若干偏倚した位置で、そのシリンダ軸線L−Lに沿う方向に設けられており、これにより、「ガタ吸収手段A」がボール軸受BBに及ぼす押圧力の方向を、クランクシャフト6がピストン3から受ける最大圧力の方向と略一致させることができ、ボール軸受BBのアウタレース23に作用する押圧力を、該軸受BBと軸受孔18間の「ガタ」吸収荷重として効率良く有効に働かせることができる。
ところで、図4に示すように、前記「ガタ吸収手段A」のプッシュプラグ30によるアウタレース23への押圧力Fにより、水平方向、すなわちクランクシャフト6の軸方向の分力Fsが発生するので、この分力Fsにより、アウタレース23には軸方向のスラスト力が発生するのを余儀なくされ、このスラスト力は、ボール軸受BBのアウタレース23を軸方向に移動させる力として作用する。
しかして、この実施例では、以下に述べる「移動抑制手段S」により、そのスラスト力を受け止めてアウタレース23の軸方向の移動を抑制することができる。
つぎに、「移動抑制手段S」について説明するに、これは、複数、この実施例では3つの移動抑制部材40と、この移動抑制部材40のフック部40fが緩く係合される、ボール軸受BBのアウタレース23の内周面に形成される係合溝41とより構成されている。前記移動抑制部材40は、図7に示すように、細長い板状に形成されて、その先端部に断面C字状に屈曲したフック部40fが一体に形成されている。図2,3に示すように、前記3つの移動抑制部材40は、左側クランクケース半体10の外側において、周方向に略等間隔を存して放射状に配置されており、それらの外端は、ボール軸受BBと同心円上で取付ボルト43により左側クランクケース半体の外面に固定される。3つの移動抑制部材40は、ボール軸受BBの中心に指向され、それらの内端のフック部40fは、ボール軸受BBのアウタレース内面に向かって屈曲しており、その内面に形成した係合溝41にそれぞれ係合されている。各フック部40fと係合溝41との間には、それらの軸方向に若干の細隙が設けられる。フック部40fと係合溝41との係合により、ボール軸受BBのアウタレース23の軸方向の移動を抑制することができ、その結果、前記スラスト力を右側のボール軸受で受ける(前記特許文献1のもの)必要がなくなり、この実施例のように、右側の転がり軸受に、直径の小さい(ボール軸受BBに比べて)ローラー軸受BRを採用することができる。また、図2,3に示すように、前記3つの移動抑制部材40は、ボール軸受BBの周方向に間隔をあけて配置されることにより、ボール軸受BBの倒れを防止することができる。
前記「移動抑制手段S」は、左側クランクケース半体10の外面に固定される移動抑制部材40と、ボール軸受BBのアウタレース23の内周面の形成した係合溝41とより構成されるので、その構造が簡単であり、これを左側クランクケース半体10に装着するにあたり、該左側クランクケース半体10に切り欠きなどの取付形状を設ける必要がなく、左側クランクケース半体10の強度を損じることがない。また、この「移動抑制手段S」は、左側クランクケース半体10の外側から組付けることができるので、その組付けが容易であり、さらにその組付けにあたり、特別の設備や治具を必要としない。
図1,2に示すように、クランクシャフト6のボール軸受BBの外側には、動弁カム軸50の調時駆動用駆動スプロケット51が固定され、この駆動スプロケット51は無端状のチエン52を介して、シリンダヘッドCHに回転自在に軸支される動弁カム軸50に固定される被動スプロケット53に連動されている。クランクシャフト6の回転は、駆動スプロケット51、無端状チエン52および被動スプロケット53を介して動弁カム軸50に伝達される。クランクシャフト6の下方において、左側クランクケース半体10には、前記チエン52の脱落を防止するための、チエン脱落防止プレート54が複数のボルト55により固定されている。このチエン脱落防止プレート54は、図2に示すように、駆動スプロケット51に懸回されるチエン52の円弧状下面に近接して対向する円弧状部分を有し、この円弧状部分により前記チエン52の脱落を防止できるようになっている。
図1,2において、クランクシャフト6の左側端部には、ACGのアウタロータ60を固定したフライホイール61が固定され、また右側端部には、ミッション、バランサなどに連動されるギヤ群62、および遠心オイルフィルタ63が固定される。
つぎに、この実施例の作用について説明する。
いま、内燃機関Eが運転されると、クランクケース6にボール軸受BBおよびローラ軸受BRを介して支承されるクランクシャフト6が回転駆動されるが、その際に、ボール軸受BBのアウタレース23と、左側クランクケース半体10の軸受孔18間に生じる径方向の「ガタ」は、前記「ガタ吸収手段A」により吸収することができ、特にプッシュプラグ30は、シリンダ1とクランクシャフト6との間で、クランクシャフト6と平行に配置されていて、ボール軸受BBのアウタレース23を、左側クランクケース半体10の軸受孔18の爆発力を受ける側に押付けるように弾発付勢しているので、内燃機関の爆発燃焼により、径方向の荷重がボール軸受BBに作用する場合に、その軸受BBのアウタレース23と、左側クランクケース半体10の軸受孔18間の「ガタ」を確実に吸収して、爆発圧力の高い高出力内燃機関でも前記「ガタ」に起因する打音の発生を大幅に低減することができ、また、前記「ガタ吸収手段A」の取付けにより、余儀なくされるボール軸受BBのアウタレース23の軸方向の移動は、前記「移動抑制手段S」により抑制することができるので、クランクシャフト6を支承する一対の転がり軸受のうち、その一方をローラー軸受(ボール軸受よりも小径で高剛性)とすることができ、内燃機関Eのコンパクト化が可能になる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
たとえば、前記左側のボール軸受に代えてローラ軸受、その他の転がり軸受を使用してもよく、また前記右側のローラー軸受に代えてニードル軸受、その他の転がり軸受を用いてもよい。
本発明クランクシャフトの軸受構造を備えた内燃機関の要部縦断側面図 図1の2−2線に沿う断面図 図1の3−3線に沿う拡大断面図 図3の4−4線に沿う断面図 図3の5−5線に沿う拡大断面図 プッシュプラグの斜視図 移動抑制部材の斜視図 ガタ吸収手段の組付時の状態を示す作用図 クランクシャフトをクランクケースに組み付ける過程を示す図
符号の説明
1・・・・・シリンダ
3・・・・・ピストン
5・・・・・コンロッド
6・・・・・クランクシャフト
10・・・・クランクケース(左側クランクケース半体)
18・・・・軸受孔
23・・・・アウタレース
30・・・・プッシュプラグ
30s・・・傾斜面
31・・・・バネ
32・・・・バネセットプレート
32b・・・基部
32f・・・自由端部
32n・・・中間部
33・・・・ボルト孔
36・・・・位置決め部
38・・・・取付ボルト
A・・・・・ガタ吸収手段
BB・・・・転がり軸受(ボール軸受)
CB・・・・シリンダブロック
CC・・・・クランクケース
L−L・・・シリンダ中心軸線

Claims (3)

  1. シリンダブロック(CB)と、これに一体に結合されるクランクケース(CC)とを備え、シリンダブロック(CB)のシリンダ(1)に摺動自在に嵌合されるピストン(3)にコンロッド(5)を介して連動されるクランクシャフト(6)を、クランクケース(10)の軸受孔(18)に転がり軸受(BB)を介して回転自在に支持させ、この転がり軸受(BB)のアウタレース(23)と軸受孔(18)との間の径方向のガタつきを防止するためのガタ吸収手段(A)を備えた、内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造であって、
    前記ガタ吸収手段(A)が、前記アウタレース(23)の外側面に当接する傾斜面(30s)を内端に有しクランクケース(10)にクランクシャフト(6)の軸線に沿って摺動可能に嵌合されるプッシュプラグ(30)と、このプッシュプラグ(30)を前記アウタレース(23)側に押圧するバネ(31)と、このバネ(31)を前記プッシュプラグ(30)との間で挟むようにしてクランクケース(10)に単一の取付ボルト(38)で固定されるバネセットプレート(32)とを備えていて、前記プッシュプラグ(30)が前記傾斜面(30s)を介して前記アウタレース(23)に及ぼす押圧力の径方向分力で前記径方向のガタつきを吸収するものにおいて、
    前記バネセットプレート(32)は、前記取付ボルト(38)を挿通させるボルト孔(33)を有しクランクケース(10)外面に該ボルト(38)を以て締結される基部(32b)と、その基部(32b)の径方向内端に連なり前記プッシュプラグ(30)の外端に対向して前記バネ(31)のバネ受けとなる中間部(32n)と、その中間部(32n)の径方向内端に連なる自由端部(32f)とを一体に備えていて、クランクシャフト(6)の径方向に細長く形成され、
    クランクケース(10)の外面には、前記自由端部(32f)を前記取付ボルト(38)の回転方向に位置決めするよう該自由端部(32f)と係合する位置決め部(36)が前記アウタレース(23)よりも軸方向外側において設けられ、その位置決め部(36)の径方向内端は、前記アウタレース(23)の内周面よりも径方向内方側に位置していることを特徴とする、内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造。
  2. 前記ガタ吸収手段(A)は、前記径方向分力により転がり軸受(BB)のアウタレース(23)を、クランクケース(10)の軸受孔(18)の爆発圧力を受ける側に押付けるように弾発付勢することを特徴とする、前記請求項1記載の内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造。
  3. ガタ吸収手段(A)は、前記シリンダ(1)のシリンダ中心軸線(L−L)よりもクランクシャフト(6)の回転方向前側に偏倚して配置されていることを特徴とする、前記請求項記載の内燃機関におけるクランクシャフトの軸受構造。
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