JP4143250B2 - 画像定着装置、画像定着方法、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

画像定着装置、画像定着方法、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とが含まれる有色液体を用いる電子写真方式、インクジェット方式、印刷版方式などによって、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体からなる画像が形成された記録部材に、該画像を定着させる画像定着装置、画像定着方法、画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像定着装置において、表面移動体として、表面を互いに接触させながら回転する加熱ローラと押圧ローラとを備えるものが知られている。これらローラの少なくとも一方は、その周面に弾性部を有し、これをもう一方のローラとの接触領域で自在に変形させて両ローラの密着性を高めるようになっている。両ローラは、記録紙等の記録部材の画像形成面を加熱ローラに接触させるように、記録部材を互いの接触部に挟み込む。そして、記録部材上の画像を構成する有色液体中の有色粒子を加熱ローラによって加熱しながら両ローラ間で押圧して記録部材上に定着させる。
【0003】
かかる構成の画像定着装置においては、有色液体中の液体キャリアがトナー等の有色粒子同士の付着力や、有色粒子と記録部材との付着力を低下させ、定着性能を低下させてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、図1(a)及び(b)に示すような画像定着装置を開発中である。これらの図において、画像定着装置100は、2つの表面移動体として、加熱ローラ101と押圧ローラ102とを備えている。加熱ローラ101は、金属材料等の電気抵抗率の比較的低い材料で構成された導電部101aと、これの上に固定された電気抵抗率の比較的高い弾性部材からなる高抵抗部101bと、導電部101aの内部に配設された加熱手段であるハロゲンランプ101cとを有している。また、押圧ローラ102は、金属材料等の電気抵抗率の比較的低い材料で構成された導電部102aと、これの上に固定された電気抵抗率の比較的高い弾性部材からなる高抵抗部102bとを有している。加熱ローラ101の導電部101aは電気的に接地され、押圧ローラ102の導電部102aには所定極性の定着バイアスを出力する電源103が接続されている。
【0005】
上記加熱ローラ101と、上記押圧ローラ102とは、それぞれ互いの高抵抗部101b、102bを接触させて定着ニップを形成しながら、順方向に回転するように構成されている。
【0006】
上記加熱ローラ101の高抵抗部101bについては、図示のようにできるだけ薄厚に形成することが望ましい。金属等で構成された導電部よりも電気伝導率の低い高抵抗部101bを薄厚に形成することで、ハロゲンランプ101cによって加熱ローラ101全体が所定の定着温度に加熱されるまでのウオームアップ時間の短縮化を図ることができるからである。また、複数の記録紙200に対して連続して定着処理を実施する連続定着時における加熱ローラ101の温度安定化を図ることもできるからである。
【0007】
これに対し、上記押圧ローラ102の高抵抗部102bについては、図示のように厚く形成することが望ましい。高抵抗部102bを厚く形成してより自在に変形させることで、より定着ニップ領域を広めて定着時間を長く確保することができるからである。
【0008】
記録部材としての記録紙200には、ポリシロキサンオイル等の液体キャリアと、帯電可能な有色粒子であるトナーとを含有する有色液体からなる画像201が形成されている。この記録紙200は、図示しない搬送手段によって加熱ローラ101と押圧ローラ102との間に向けて搬送され、その画像形成面を加熱ローラ101に接触させながら両ローラ間に挟まれる。
【0009】
かかる構成の画像定着装置100においては、電源103から導電部102aに上記定着バイアスが出力されると、記録紙200を介して加熱ローラ101と加圧ローラ102との間に電流が流れる。このように電流を流すと、画像201を構成する有色液体中で帯電しているトナーを記録紙200表面に向けて電気的に移動させることが可能になる。そして、この移動によってトナー同士の付着力や、トナーと記録紙200との付着力を高めて定着性能を向上させることができる。
【0010】
ところが、図示の画像定着装置100で定着試験を実施したところ、加熱ローラ101の高抵抗部101bや、押圧ローラ102の高抵抗部102bに局所的な焼け焦げを生ずるという問題が起こってしまった。また、図2や図3に示すように、加熱ローラ101あるいは押圧ローラだけに高抵抗部(101bあるいは102b)を設けた画像定着装置100も試作してみたが、これらにおいても高抵抗部に局所的な焼け焦げを生ずるという問題が起こってしまった。
【0011】
なお、これらの問題は、各図で示した画像定着装置100のように2つの表面移動体としてそれぞれローラ(101、102)を採用したものに限らず、両方あるいは何れか一方の表面移動体に無端ベルトなどローラ以外のものを採用した画像定着装置においても生じ得る。
【0012】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることに加え、高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる画像定着装置、画像定着方法、画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面を互いに接触させながら移動させる2つの表面移動体を備え、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を両表面移動体の間に挟み込んで該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置において、導電性材料からなる導電部と、これよりも電気抵抗率の高い材料で構成され、もう一方の表面移動体に接触するように該導電部に固定された導電性の高抵抗部とを両表面移動体に設け、両表面移動体の間に挟み込まれた該記録部材の該画像に接触しない方の表面移動体の該高抵抗部の幅方向における両端部分を、他の部分よりも薄厚に形成することで、もう一方の表面移動体における該高抵抗部の幅を両高抵抗部の接触幅以上に設定し、且つ、表面移動体の導電部間に電位差を生じせしめる電位差発生手段を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
この画像定着装置において「高抵抗部の幅」とは、表面移動体の移動方向と直交する方向における高抵抗部の長さを示す。また「接触幅」とは、表面移動体の移動方向と直交する方向における両高抵抗部の接触長さを示す。
この画像定着装置においては、両表面移動体の導電部間に電位差が生ずると、電流が一方の表面移動体の導電部から、この表面移動体の導電性の高抵抗部と、記録部材と、もう一方の表面移動体における導電性の高抵抗部とを経由して、この表面移動体の導電部に流れる。よって、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができる。
また、先に図1(a)及び(b)に示した画像定着装置100と同様に、両表面移動体に高抵抗部を設けている。かかる構成において、高抵抗部に弾性材料を用いれば、両表面移動体をそれぞれ金属材料等からなる導電部だけで構成する場合や、先に図2や図3に示した画像定着装置100のように一方の表面移動体だけに高抵抗部を設ける場合よりも、両表面移動体の密着性を高めて定着性能を向上させることが可能になる。
また、次に説明する理由により、高抵抗部の焼け焦げを抑えるとともに、定着効率を向上させることができる。
【0015】
即ち、本発明者は、図1(a)及び(b)に示した画像定着装置100において、高抵抗部101b、102bに焼け焦げが生ずる原因について詳しく調べてみた。すると、この画像定着装置100では、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分に電流が集中して流れることを見出した。具体的には、この画像定着装置100では、図4に示すように、加熱ローラ101の金属材料からなる導電部101aの露出部分と、押圧ローラ102の金属材料からなる導電部102aの露出部分とを結ぶ複数の電気力線を有する電界が、両ローラの両端付近に形成される。これら電界における複数の電気力線は、図示のように押圧ローラ102の高抵抗部102b内部でその両端付近に集中するため、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分に電流を集中させてしまうことがわかった。このように加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分に電流が集中すると、このエッジ部分やこれに接触する押圧ローラ101の高抵抗部102b部分が過剰に発熱してしまう。また、このエッジ部分を越えて、導電部101aと、押圧ローラ102の高抵抗部102aとの間で放電が生じ易くなる。図1に示した画像定着装置100では、これら過剰な発熱や放電によって加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分や、これに接触する押圧ローラ102の高抵抗部102b部分に焼け焦げが生じていたのである。また、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分に電流が集中して流れるため、両ローラの接触部分の全域に電流が均一に流れる場合に比べ、記録紙200(定着幅W3)に流れる電流量が低減されて転写効率が悪くなっていた。なお、図1に示した画像定着装置100においては、押圧ローラ102に負極性の定着バイアスを供給して正極性のトナーを押圧ローラ102側に静電的に移動させるように構成しているが、加熱ローラ101に正極性の定着バイアスを供給して正極性のトナーを押圧ローラ102側に移動させるように構成しても全く同じ問題が生ずる。また、押圧ローラ102に正極性の定着バイアスを供給したり、加熱ローラ101に負極性の定着バイアスを供給したりして負極性のトナーを押圧ローラ102側に移動させるように構成しても、電流や放電の向きが反対になるだけで、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分に電流が集中することに変わりはない。
【0016】
そこで、本画像定着装置においては、加熱ローラなど、記録部材の画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部の幅を両表面移動体の高抵抗部の接触幅以上にしている。かかる構成を加熱ローラと押圧ローラとを用いた例で説明すると、例えば図5や図6に示すような構成となる。図5においては、加熱ローラ101の高抵抗部101bの幅W1が、両高抵抗部の接触幅W2と同じ大きさになっている。また、図6においては、上記幅W1が上記接触幅W2よりも大きくなっている。このように上記幅W1を上記接触幅W2と同じ大きさにしたり、より大きくしたりすると、図5に示すように電気力線が押圧ローラ102の高抵抗部102b内部の両端付近に集中し難くなったり、図6に示すようにこの高抵抗部102b内部を電気力線が通過しなくなったりするため、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分への電流集中が抑えられたり、電流集中が起こらなくなったりする。この結果、両高抵抗部101b、102bの焼け焦げか抑えられるとともに、定着効率が向上する。
また、この画像定着装置においては、画像に接触しない方の表面移動体における高抵抗部の薄厚部分で、該表面移動体の導電部の露出部分を覆う。具体的には、2つの表面移動体として加熱ローラと押圧ローラとを設けた例で説明すると、図7に示すように、画像に接触しない方の表面移動体である押圧ローラ102の高抵抗部102bの両端に設けた薄厚部分で、押圧ローラ102の導電部102aにおける露出部分を覆う。かかる構成においては、加熱ローラ101の導電部101aの露出部分と、押圧ローラ102の導電部101aの露出部分とを、両者間に高抵抗部を介在させながら向かい合わせるようになる。このため、図5や図6に示した画像定着装置100のように導電部101aの露出部分と導電部102aの露出部分とを直接向かい合わせたものに比べ、両導電部間の放電を抑えることができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の画像定着装置において、上記画像に接触する方の表面移動体における上記高抵抗部の幅を、上記接触幅よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0018】
この画像定着装置においては、先に図6に示した画像定着装置100のように、画像に接触しない方の表面移動体における導電部の露出部分と、接触する方の表面移動体における導電部の露出部分との間に形成される電気力線が、前者の表面移動体における高抵抗部の内部を通過しなくなる。このため、図5に示した画像定着装置のように上記幅W1を上記接触幅W2と同じ大きさにして電気力線を集中させ難くしたものに比べ、より良好に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えるとともに、定着効率を向上させることができる。
【0021】
請求項1や2の画像定着装置においては、図8に示すように、加熱ローラ101の高抵抗部101bと上記薄厚部分との距離を近づけ過ぎると、図中矢印で示すように、該薄厚部分と、加熱ローラ101の導電部101aの露出部分との間で放電を起こし、該薄厚部分や高抵抗部101bの端部に焼け焦げを発生させる可能性が残されていた。
そこで、請求項の発明は、請求項1又は2の画像定着装置において、上記画像に接触しない方の表面移動体におけるもう一方の表面移動体との非接触領域に、絶縁性材料からなる絶縁部を設けたことを特徴とするものである。
【0022】
この画像定着装置においては、請求項3の画像定着装置よりも確実に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる。この理由を、2つの表面移動体として加熱ローラと押圧ローラとを設けた例で説明すると次のようになる。即ち、かかる例の本画像定着装置においては、図9や図10に示すように、画像に接触しない方の表面移動体である押圧ローラ102における加熱ローラ101との非接触領域に、絶縁部102d、102eを備えている。これら絶縁部102d、102eは、押圧ローラ102の高抵抗部102bの薄厚部分と、加熱ローラ101の導電部101aの露出部分との間の放電を解消するので、該放電に起因する両高抵抗部101b、102bの焼け焦げを解消することができる。よって、本画像定着装置では、請求項3の画像定着装置よりも確実に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる。
但し、本画像定着装置では、例えば図9や図10の押圧ローラ102において、絶縁部102d、102eと、その高抵抗部102bとの密着が不十分であると、互いの接触面の間に形成された微小ギャップを通して加熱ローラ101の導電部101aと押圧ローラ102の導電部102aとの間で放電を引き起こしてしまう可能性が残る(以下、この放電を沿面放電という)。この沿面放電については、絶縁部102d、絶縁部102eと、高抵抗部102bとを接着剤で接着することによって一時的に抑えることができる。しかし、この接着剤による接着面は、高抵抗部102bの繰り返しの変形などによって徐々に剥離してしまうため、沿面放電を継続して抑えることはできない。
【0023】
そこで、請求項の発明は、請求項の画像定着装置において、上記画像に接触しない方の表面移動体に設ける上記絶縁部を、該表面移動体の上記高抵抗部の内部に食い込ませたことを特徴とするものである。
【0024】
この画像形成装置においては、画像に接触しない方の表面移動体の絶縁部と高抵抗部との密着不良に起因する上記沿面放電を継続して抑えることができる。この理由を、2つの表面移動体として加熱ローラと押圧ローラとを設けた例で説明すると次のようになる。即ち、かかる例の本画像定着装置においては、例えば図11に示すように、画像に接触しない方の表面移動体である押圧ローラ102における高抵抗部102bに、絶縁部102d、102eを食い込ませる。このため、図示のように、押圧ローラ102における絶縁部102d、102eと、高抵抗部102bとの沿面の断面形状が直線状ではなく楔状になる。このような沿面が形成されると、その微小ギャップを通した、加熱ローラ101の高抵抗部101bと、押圧ローラ102の導電部102aとの対向部分に、絶縁部102d、102eが介在するため両者間に電気力線が形成され難くなる。また、直線状の断面形状の沿面よりも沿面距離が長くなる。これらの結果、絶縁部102d、102eと、高抵抗部102bとの間の沿面放電を抑えることが可能になる。かかる構成においては、接着剤による接着によって沿面放電を一時的に抑える場合とは異なり、絶縁部102d、102と高抵抗部102bとの密着不良に起因する沿面放電を継続して抑えることができる。
但し、図11に示した画像定着装置100においては、図中矢印Dに示すように、加熱ローラ101の高抵抗部101bの両端近傍周面と、押圧ローラ102における高抵抗部102bの段差部分の端面とを、空隙を介して向かい合わせるため、両者間で放電を引き起こす可能性が残る。よって、本画像定着装置においては、画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部と、もう一方の表面移動体における高抵抗部の段差部分の端面とが向かい合っている領域で、放電を引き起こす可能性がある。また、この放電については、本画像定着装置に限らず、空隙を介して一方の表面移動体の高抵抗部と、もう一方の表面移動体の高抵抗部とを向かい合わせ得る請求項3、4又は5の画像定着装置においても生じ得る。
【0025】
そこで、請求項の発明は、請求項1又は2の画像定着装置において、上記画像に接触しない方の表面移動体の上記高抵抗部の幅方向における両端にそれぞれ隣接する2つの絶縁部を該表面移動体の上記導電部上に固定し、該高抵抗部と該2つの絶縁部とをもう一方の表面移動体の上記高抵抗部に接触させるようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
この画像定着装置においては、押圧ローラなど、画像に接触しない方の表面移動体に設けられた2つの絶縁部が、それぞれ該表面移動体の高抵抗部の端に隣接し、且つ、加熱ローラなどのもう一方のローラにおける高抵抗部に接触する。このように接触した状態を、2つの表面移動体として加熱ローラと押圧ローラとを設けた例で示すと図12のようになる。図において、絶縁部102d、102eは、それぞれ押圧ローラ102の高抵抗部102bに隣接しながら、加熱ローラ101の高抵抗部101bに接触した状態になっている。この状態では、図示のように、押圧ローラ102の高抵抗部102bの側面と、加熱ローラ101の高抵抗部101bの端部近傍との間に絶縁部102dや絶縁部102eを介在させて間隙を形成するようなことがないため、該間における放電が解消される。よって、本画像定着装置においては、両表面移動体の高抵抗部間の放電を解消することができる。
但し、本画像定着装置でも、例えば図12における押圧ローラ102の絶縁部102d、102eと、高抵抗部102bとの沿面など、画像に接触しない方の表面移動体における上記絶縁部と高抵抗部とを通して両表面移動体の導電部間で放電する沿面放電を引き起こしてしまう可能性が残る。
【0027】
そこで、請求項の発明は、請求項の画像定着装置において、上記画像に接触しない方の表面移動体に設ける2つの上記絶縁部を、それぞれ該表面移動体の上記高抵抗部の内部に食い込ませたことを特徴とするものである。
【0028】
この画像定着装置においては、請求項の画像定着装置と同様の作用により、画像に接触しない方の表面移動体の絶縁部と高抵抗部との密着不良に起因する沿面放電を継続して抑えることができる。
【0029】
ところで、先に図1、図2又は図3に示した画像定着装置100においては、加熱ローラ101の高抵抗部101aのエッジ部分や、押圧ローラ102の高抵抗部102bにおける該エッジ部分との接触領域とは異なる部分でも、両高抵抗部101b、102bの焼け焦げが局所的に発生することが確認された。この局所的な焼け焦げが発生する際、加熱ローラ101の高抵抗部101aや、押圧ローラ102の高抵抗部102bの表面に火花が走ることが確認されることから、これら高抵抗部の内部で放電が局所的に発生しているように思われた。
【0030】
図1、図2又は図3に示した画像定着装置100のより詳細な構成を、図3に示した画像定着装置を例にして説明すると、次の通りである。
1.加熱ローラ101
・外径φ:40[mm]
・導電部101aの材料:中空アルミニウムパイプ
・高抵抗部:なし
・ハロゲンランプ101cによるローラ加熱温度(定着温度):100[℃]
・周速:150[mm/sec]
・導電部101aの電気的接続:接地
2.押圧ローラ102
・導電部102aの外径φ:30[mm]
・導電部102aの材料:ステンレス製棒材
・導電部102aの電気的接続:電源103に接続
・高抵抗部102bの厚み:5[mm]
・高抵抗部102bの体積固有抵抗率:10〜10[Ω・cm]
・高抵抗部102bの材料:
ブタジエンゴム(BR)からなる基材に電気抵抗を調整するための導電性フィラーとしてカーボンブラック(CB)を分散
3.電源103
・導電部102aに負極性の定着バイアスを出力
・導電部102aへの出力電流値を定電流制御
【0031】
本発明者は、かかる構成の画像定着装置100における押圧ローラ102の高抵抗部102bの材料を、次に列記する6種類のものに変更して6機の実験機を製造した。
▲1▼シリコーンゴム(Q)からなる基材にカーボンブラック(CB)を分散
▲2▼ブチルゴム(IIR)からなる基材にCBを分散
▲3▼エチレン−プロピレンゴム(EPM)からなる基材にCBを分散
▲4▼フッ素ゴム(FKM)からなる基材にCBを分散
▲5▼ニトリルブタジエンゴム(NBR)からなる基材にCBを分散
▲6▼エピクロロヒドリンゴム(ECO)からなる基材だけで構成
【0032】
いずれの種類の材料においても、体積固有抵抗率を図3に示した画像定着装置100と同様の10〜10[Ω・cm]に調整した。材料をカーボンブラック(CB)含有率の高い順に並べると、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼(含有せず)という順になる。
【0033】
本発明者は、これら6機の実験機において、それぞれ電源103から導電部102aへの出力電流値を−1000[μA]に定電流制御させながら、バイアス供給時間と、バイアス電位との関係を調べた。
【0034】
すると、図13に示すような結果が得られた。上記電源103は定着バイアスの出力電流値を−1000[μA]に定電流制御するので、図13の各グラフにおける定着バイアス電圧値の変化は押圧ローラ102の高抵抗部102bの電気抵抗変化を示すことになる。各グラフに示すように、押圧ローラ102の高抵抗部102bの材料として上記▲1▼〜▲6▼の何れを用いた場合にも、バイアス供給時間の経過に伴ってこの高抵抗部102bの電気抵抗値を増加させる傾向にあった。但し、電気抵抗値を急激に増加させていく材料のグループと、比較的緩やかに増加させていく材料のグループとに分かれた。上記▲1▼、▲2▼及び▲3▼の材料が前者のグループに該当し、上記▲4▼、▲5▼及び▲6▼が後者のグループに該当する。
【0035】
前者のグループの材料では、定着バイアス電圧値がある値(破壊点)まで増加すると局所的な放電の発生によって部分的な焼け焦げを形成し、その後、急激に電気抵抗値を低下させることが確認されたのに対し、後者のグループの材料では焼け焦げが発生しなかった。前者のグループの材料においては、電気抵抗値の増加に伴ってバイアス電位が高まり過ぎた結果、材料内部においてカーボンブラックの分散密度の高くなっている部分と、同じく分散密度の高くなっている部分との間で放電が生じたものと考えられる。上記▲1▼から▲6▼までの材料を電気抵抗値の増加速度の速い順にならべると、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼となり、CB含有率の順位と同じになる。よって、CB含有率が高い材料ほど、バイアス供給に伴って電気抵抗値を急激に増加させ、内部での局所的な放電を発生させ易くなると考えられる。
【0036】
また、本発明者は、電気抵抗値を急激に増加させるグループの材料と、比較的緩やかに増加させるグループの材料とでは、基材の分子構造に差があることを見出した。具体的には、前者のグループにおける基材は非極性分子からなるのに対し、後者のグループにおける基材は有極性分子からなる。図14に非極性分子からなる代表的な弾性材料と、有極性分子からなる代表的な弾性材料との例を示す。図示のように、非極性分子は電子結合力の安定した分子構造になっているのに対し、有極性分子は電子結合力の不安定な極性基(SOCl基、Cl基、CF基、Sx基、O基(二重結合)、CN基、CHCl基など)を有している。図1、図2又は図3に示した画像定着装置100においては、何れも押圧ローラ102の高抵抗部102bの基材にブタジエンゴム(BR)を用いており、これは図14に示すように非極性分子である。
【0037】
図15は非極性分子構造の各弾性材料における温度と体積固有抵抗率(CBを含有していない状態での抵抗率)との関係の一例を示すグラフであり、図16は有極性分子構造の各弾性材料における同例を示すグラフである。これらの図を見比べてみると、有極性分子構造の材料の方が非極性分子構造の材料よりも遙かに低い体積固有抵抗率を発揮することがわかる。両者の差は、小さいものでも10オーダーあり、大きいものでは10オーダーにもなる。有極性分子は極性基という電子を移動させ易い分子構造を有しているため、非極性分子よりも電流が流れ易くなっているからである。よって、非極性分子からなる基材が用いられる材料の電気抵抗率と、有極性分子からなる基材が用いられる材料の電気抵抗率とをそれぞれ同等の値まで下げるためには、前者の材料に対して後者の材料よりも遙かに多量の導電性フィラーを分散せしめる必要があり、前者の材料に導電性フィラーの局所的な密集領域を形成し易くなる。
【0038】
また、一般に、導電性フィラーにはCB等の電気抵抗率の極めて低いものが用いられるため、有極性分子よりも遙かに電気抵抗率の高い非極性分子では、導電性フィラーとの電気抵抗率の差が有極性分子よりも遙かに大きくなる。
【0039】
以上のように、非極性分子からなる基材を有する材料では、有極性分子からなる基材を有する材料よりも、電気抵抗率の増加速度が速く、導電性フィラーの局所的な密集を形成し易く、且つ、導電性フィラーと基材との電気抵抗率の差が遙かに大きくなる。この結果、後者の材料よりも内部での局所的な放電を発生させ易くなると考えられる。
【0040】
以上の試験結果に鑑み、請求項7の発明は、表面を互いに接触させながら移動させる2つの表面移動体を備え、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を両表面移動体の間に挟み込んで該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置において、両表面移動体の間に挟み込まれた該記録部材の該画像に接触する方の表面移動体に、導電性材料からなる導電部と、該導電部に固定され、もう一方の表面移動体に接触する導電性の保護層に自らの表面が覆われる導電性の高抵抗部とを設け、該保護層として、その主成分が上記有色液体中の液体キャリアの主成分を同じであるものを用い、もう一方の表面移動体を導電性の材料で構成し、もう一方の表面移動体と該導電部との間に電位差を生じせしめる電位差発生手段を設け、該高抵抗部の基材として有極性分子からなるものを用い、且つ、該画像に接触する方の表面移動体を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とするものである。
【0041】
この画像定着装置においては、一方の表面移動体の導電部と、もう一方の表面移動体との間に電位差が生ずると、電流が記録部材を介して両表面移動体間に流れる。よって、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができる。
また、高抵抗部の基材として有極性分子からなるものを用いているため、非有極性分子からなるものを用いるよりも高抵抗部の内部における局所的な放電を抑える。よって、高抵抗部の基材に非極性分子からなるものを用いる場合よりも、高抵抗部の局所的な焼け焦げを抑えることができる。
また、加熱ローラなど、画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部の表面に保護層を設けることにより、該高抵抗部に対して耐摩耗性、耐オゾン性、耐溶剤性などを発揮させることが可能になる。よって、表面の摩耗、装置内部での放電によって発生したオゾン、有色液体の液体キャリアの浸潤などに起因する高抵抗部の劣化を抑えることが可能になる。
また、両表面移動体の間に挟んだ記録部材上の画像中の有色粒子を加熱によって軟化あるいは溶融せしめながら押圧する。かかる構成においては、画像中の有色粒子を加熱しない場合に比べ、定着性能をより向上させることができる。
更には、液体キャリアの主成分をその主成分とする保護層が液体キャリアによって良好に濡れるため、軟化あるいは溶融した有色物質との間に液分を介在させ易く、有色物質を良好に分離させる。
なお、この画像定着装置における「有色液体」は、該画像定着装置の製造元や販売元などによって指定された種類の有色液体を示す。この指定は、画像定着装置又はこれを備える画像形成装置の取扱説明書や貼付シールなどに、使用し得る有色液体の商品名や規格などが記載されたり、該画像形成装置とともに有色液体が梱包されたりするなどして行われる。
【0042】
請求項の発明は、請求項の画像定着装置において、上記高抵抗部として、上記基材中に導電性フィラーが分散されたものを用いたことを特徴とするものである。
【0043】
この画像定着装置においては、基材中に導電性フィラーを分散せしめることで、高抵抗部の電気抵抗率を所望の値まで容易に下げることができる。
【0044】
請求項の発明は、請求項7又は8の画像定着装置において、有極性分子からなる上記基材として、弾性材料を用いたことを特徴とするものである。
【0045】
この画像定着装置においては、弾性を発揮する高抵抗部により、両表面移動体をそれぞれ金属材料等からなる導電部だけで構成する場合よりも、両表面移動体の密着性を高めて定着性能を向上させることができる。
【0046】
請求項1の発明は、請求項の画像定着装置において、上記弾性材料として、クロルスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム又はエピクロロヒドリンゴムを用いたことを特徴とするものである。
【0047】
この画像定着装置においては、クロルスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム又はエピクロロヒドリンゴムを基材とする高抵抗部に、良好な弾性を発揮させながら、その局所的な焼け焦げを抑えることができる。
【0048】
請求項1の発明は、請求項1の画像定着装置において、上記弾性材料として、エピクロロヒドリンゴムを用いたことを特徴とするものである。
【0049】
この画像定着装置における表面移動体の高抵抗部の基材であるエピクロロヒドリンゴムは、図16に示したように、弾性材料としては電気抵抗率が極めて低く、また、図13に示したように、バイアス供給時間の経過に伴う電気抵抗の増加率も極めて低い。このため、表面移動体の高抵抗部の局所的な焼け焦げを更に良好に抑えることができる。
【0050】
請求項1の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6の画像定着装置において、上記画像に接触する方の表面移動体における上記高抵抗部の表面に導電性の保護層を設けたことを特徴とするものである。
【0052】
この画像定着装置において、加熱ローラなど、画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部の表面に保護層を設けることにより、該高抵抗部に対して耐摩耗性、耐オゾン性、耐溶剤性などを発揮させることが可能になる。よって、表面の摩耗、装置内部での放電によって発生したオゾン、有色液体の液体キャリアの浸潤などに起因する高抵抗部の劣化を抑えることが可能になる。
【0059】
請求項1の発明は、互いに接触しながら移動する2つの表面移動体の間に、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を挟み込んで、該画像を該記録部材に定着せしめる定着工程を実施する画像定着方法において、該定着工程で、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を用いることを特徴とするものである。
【0060】
この画像定着方法においては、請求項1又はの画像定着装置と同様の作用により、定着工程で記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができる。また、定着工程で表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる。
【0061】
請求項1の発明は、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体を用いて記録部材上に画像を形成する画像形成手段と、該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置とを備える画像形成装置において、該画像定着装置として、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を設けたことを特徴とするものである。
【0062】
この画像形成装置においては、請求項1又はの画像定着装置と同様の作用により、画像定着装置内で記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができる。また、画像定着装置内で表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる。
【0063】
請求項15の発明は、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体を用いて記録部材上に画像を形成する画像形成工程と、該画像を該記録部材に定着せしめる定着工程とを実施する画像形成方法において、該定着工程で、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を用いることを特徴とするものである。
【0064】
この画像形成方法においては、請求項1又はの画像定着装置と同様の作用により、画像定着装置を用いる定着工程で記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができる。また、画像定着装置を用いる定着工程で表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のプリンタに適用した第1実施形態について説明する。
図17はこのプリンタの概略構成図である。図において、プリンタは、画像形成手段として4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Bkを備えている。また、転写装置60や画像定着装置(以下、単に定着装置という)100も備えている。
【0066】
まず、これら装置のうち、画像形成ユニット1について説明する。
上記画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Bkは、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像、ブラック画像を形成するものであり、それぞれ、感光体ドラム10、帯電装置20、図示しないレーザー書き込みユニット、現像装置40、ドラムクリーニングブレード50、除電ランプ51などを備えている(以下、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローをそれぞれBk、C、M、Yと記す)。
【0067】
上記感光体ドラム10は、図示しない駆動手段によって図中矢印方向に回転駆動されるように構成され、この感光体ドラム10の周囲に、上記帯電装置20、現像装置40、ドラムクリーニングブレード50、除電ランプ51が配設されている。
【0068】
上記感光体ドラム10表面はその回転移動に伴い、帯電装置20によって一様に帯電せしめられた後、上記レーザー書き込みユニットからレーザー光30が照射されてY、M、C又はBk用静電潜像を担持する。これら静電潜像は、液体現像剤を用いる現像装置40によって感光体ドラム10上でY、M、C又はBk画像に現像された後、後述の中間転写ベルト上に転写される。転写終了後の感光体ドラム10表面は、ドラムクリーニングブレード50によって未転写の液体現像液が除去された後、除電ランプ51によって除電される。
【0069】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Bkの各現像装置40は、それぞれ、液体キャリアとしてのシリコーンオイル中にY、M、C、Bkトナーが分散された100〜10000[mPa・s]の粘度の液体現像剤を用いて、上記Y、M、C、Bk用静電潜像を上記Y、M、C、Bk画像に現像する。
【0070】
有色粒子であるこれらY、M、C、Bkトナーは、それぞれ、50[℃]で軟化を開始する変性エポキシ系樹脂に、着色顔料(ジスアゾイエロー、キナクリドン、銅フタロシアニン又はカーボンブラック)、電荷制御剤及び分散剤が配合されたものである。その平均粒径は約3[μm]に調整されており、シリコーンオイル中で正極性に帯電する。
【0071】
各現像装置40の基本的な構成は次の通りである。即ち、現像装置40は、液体現像剤18を収容する現像剤タンク42、感光体ドラム10表面に接するように配設された現像ローラ41、塗布ローラ43、除去ブレード44などを備えている。
【0072】
上記塗布ローラ43は、現像剤タンク42から汲み上げた有色液体としての液体現像剤18を現像ローラ41表面に塗布する。この塗布により、現像ローラ41上には均一な厚みの現像液薄層が形成される。現像ローラ41には、図示しない電源によって正極性の現像バイアスが印加されている。
【0073】
上記現像ローラ41と感光体ドラム10との当接位置である現像領域まで搬送された上記現像液薄層中のトナー(正極性)のうち、感光体ドラム10の静電潜像との対向位置にあるものは、現像バイアスが印加される現像ローラ41表面から静電潜像に向けて電気泳動する。また、感光体ドラム10の地肌部(非潜像部分)との対向位置にあるものは、現像ローラ表面に向けて電気泳動する。これらの電気泳動により、感光体ドラム10上の静電潜像には、微量のシリコーンオイル中に極めて高濃度のトナーが含まれる液体現像剤18が付着する。また、感光体ドラム10の地肌部には、無色のシリコーンオイルのみが付着する。
【0074】
現像終了後の現像ローラ41に残留する上記現像液薄層は、上記除去ブレード44によってローラ表面から除去され、重力によって現像剤タンク42内部に戻る。
【0075】
次に、上記転写装置60について説明する。
この転写装置60は、中間転写ベルト61、駆動ローラ62、二次転写バイアスローラ63、2つの張架ローラ64、65、4つの1次転写バイアスローラ66、67、68、69、ベルトクリーニングローラ70、ローラクリーニングブレード71、二次転写押圧ローラ72などを備えている。
【0076】
無端状に形成された上記中間転写ベルト61は、カーボン粉末が分散された中抵抗の導電性ゴムに、ベルト表面の平滑性を向上させるためのフッ素系樹脂が表面コートされた無端状のベルトである。この中間転写ベルト61は、駆動ローラ62、二次転写バイアスローラ63、2つの張架ローラ64、65によって張架されながら、駆動ローラ62の回転駆動によって図中矢印方向に無端移動せしめられる。この無端移動により、中間転写ベルト61表面は画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Bkの感光体ドラム10に順次接触する。
【0077】
上記1次転写バイアスローラ66、67、68、69は、それぞれ中間転写ベルト61をその裏面から画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Bkの感光体ドラム10に向けて押圧するように配設されており、1次転写ニップを形成する。このような1次転写ニップを形成する1次転写バイアスローラ66、67、68、69には、図示しない電源によって負極性の一次転写バイアスが印加される。この1次転写バイアスの印加により、各1次転写ニップには1次転写電界が形成される。感光体ドラム上で現像された上記Y画像、M画像、C画像、Bk画像は、上述のように正極性に帯電したYトナー、Mトナー、Cトナー、Bkトナーを極めて高濃度に含んでおり、1次転写ニップにおける上記1次転写電界やニップ圧などの作用によって中間転写ベルト61上に1次転写される、この1次転写は、中間転写ベルト61表面に上記Y画像、M画像、C画像、Bk画像が順次重ね合わせて転写されるように行われ、このような重ね合わせの転写によって中間転写ベルト61上にはフルカラー画像が形成される。
【0078】
上記二次転写バイアスローラ63は、図示のように正極性の二次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト61を介して二次転写押圧ローラ72に押圧されている。この押圧により、両ローラ間には二次転写ニップが形成されている。中間転写ベルト61上に形成された上記フルカラー画像は、ベルトの無端移動に伴ってこの二次転写ニップに進入する。一方、図示しない給紙手段は、記録部材としての記録紙200を、フルカラー画像に重ね合わせ得るタイミングで二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップでは、二次転写バイアスの影響によって形成される二次転写電界やニップ圧の作用で、中間転写ベルト61上のフルカラー画像が記録紙200上に二次転写される。
【0079】
上記ベルトクリーニングローラ70は、接地された上記駆動ローラ62との間に中間転写ベルト61を挟み込むように配設され、ベルトの画像転写面に接触した状態で負極性のクリーニングバイアスが印加される。二次転写終了後の中間転写ベルト61表面に残留する未転写の液体現像剤18は、このクリーニングバイアスの影響によってクリーニングローラ70上に移動する。そして、ローラクリーニングブレードによってクリーニングローラ70から除去される。
【0080】
上記二次転写ニップを通過した記録紙200は、上記定着装置100内でフルカラー画像が定着せしめられた後、機外へと排出される。
【0081】
次に、本発明の特徴的な構成を備える上記定着装置100について説明する。図18(a)、(b)は、それぞれこの定着装置100の概略構成を示す横断面図、縦断面図である。図において、定着装置100は、表面移動体である加熱ローラ101、同じく表面移動体である押圧ローラ102、電源103、分離爪104などを備えている。
【0082】
上記加熱ローラ101は、アルミニウム製で40[mm]の外径の中空ローラ状に形成された導電部101aと、これの上に固定された高抵抗部101bと、導電部101aの内部に配設された加熱手段としてのハロゲンランプ101cとを有している。導電部101aは、図示のように接地されている。また、高抵抗部101bは、基材であるPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)に、導電性フィラーであるカーボンブラックの微粉末が分散され、体積固有抵抗率が1012[Ω・cm]に調整されたものである。
【0083】
定着装置100の駆動時には、上記ハロゲンランプ101cが図示しないランプ制御手段によってON/OFF制御され、加熱ローラ101が90[℃]に加熱される。また、加熱ローラ101が図示しない駆動手段によって150[mm/sec]の周速で図中矢印方向に回転駆動せしめられる。
【0084】
上記押圧ローラ102は、外径30[mm]のステンレス製軸棒からなる導電部102aと、これの上に固定された厚み5[mm]の高抵抗部102bと、シリコーンゴム等からなる2つの絶縁部102d、102eとを有している。また、高抵抗部102bや絶縁部102d、102eを加熱ローラ101の高抵抗部101bに接触させながら回転するように配設され、この接触によって自らの高抵抗部102dを変形させて定着ニップを形成する。押圧ローラ102の高抵抗部102bは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)からなる基材に、90[℃]の定着温度下で所定の体積抵抗率を発揮するようにカーボンブラックの微粉末が分散されたものである。
【0085】
上記電源103は、押圧ローラ101の導電部101aに接続され、これに定電流制御した−500[μA]の定着バイアスを出力する。
【0086】
上記二次転写ニップでフルカラー画像が二次転写された記録紙200は、加熱ローラ101と押圧ローラ102との間に向けて搬送され、その画像形成面を加熱ローラ101に接触させながら両ローラ間に挟まれる。このようにして挟まれた記録紙200上のフルカラー画像中の各色トナーは、加熱ローラ101によって50[℃]以上に加熱せしめられて溶融する。そして、上記定着バイアスの影響によって静電的に記録紙200表面に引き寄せられながら加圧されて、記録紙200に定着せしめられる。このように、各色トナーを溶融させながら、静電的に移動させ、且つ加圧することで、従来の定着装置よりも定着性能を向上させることができる。
【0087】
図18(b)に示すように、上記加熱ローラ101の高抵抗部101bの幅W1は、この高抵抗部101bと押圧ローラ102の高抵抗部102bとの接触幅W2よりも大きくなっている。このように上記幅W1を上記接触幅W2よりも大きくすると、押圧ローラ102の導電部102aの露出部分と、加熱ローラ101の導電部101aの露出部分との間に形成される電気力線が、押圧ローラ102の導電部102aの内部を通過しなくなる。この結果、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分への電流集中が解消され、このエッジ部分や、押圧ローラ102の高抵抗部102bにおける該エッジ部分との接触部の焼け焦げか抑えられるとともに、上記定着幅W3における電流量が増加して定着効率が向上する。
【0088】
また、上記絶縁部102d、102eは、それぞれ押圧ローラ102の高抵抗部102bに隣接しながら、加熱ローラ101の高抵抗部101bに接触した状態になっており、前者の高抵抗部102bの側面と、後者の高抵抗部101bの端部近傍との間に間隙を介在させないようにする。このため、両高抵抗部間における放電が解消され、両高抵抗部101b、102bの焼け焦げがより抑えられる。
【0089】
また、これら絶縁部102d、102eは、押圧ローラ102の高抵抗部102bに食い込むように導電部102aに固定されている。このように絶縁部102d、102eが食い込むと、絶縁部102d、102eと、高抵抗部102bとの沿面の微小ギャップを通した、加熱ローラ101の高抵抗部101bと、押圧ローラ102の導電部102aとの対向部分に、絶縁部102d、102eが介在するようになる。この介在により、加熱ローラ101の高抵抗部101bと、押圧ローラ102の導電部102aとの間に電気力線が形成され難くなる。また、直線状の断面形状の沿面よりも沿面距離が長くなる。これらの結果、絶縁部102d、102eと、高抵抗部102bとの間の沿面放電が抑えられ、両高抵抗部101b、102bの焼け焦げが更に抑えられる。
【0090】
以上の構成の定着装置100によれば、加熱ローラ101の高抵抗部101bと、押圧ローラ102の高抵抗部102bとについて、前者の高抵抗部101bのエッジ部分への電流集中に起因する焼け焦げと、両高抵抗部間での放電に起因する焼け焦げと、上記沿面放電に起因する焼け焦げとを抑えるので、両高抵抗部の焼け焦げを極めて良好に抑えることができる。
【0091】
また、放電に起因する加熱ローラの駆動トルクの不安定化、電気回路内における電気信号の乱れ、ひいてはこの乱れに起因する誤動作を良好に抑えることができる。
【0092】
図19は、この定着装置100の変形例装置を示す断面図である。この変形例装置は、図示のように、外径8[mm]のステンレス製軸棒からなる導電部102aに、EPMを基材とする厚み3[mm]の高抵抗部102bが固定された4つの押圧ローラ102を有しており、これらを加熱ローラ101に当接させながら回転させる。このように4つの押圧ローラ102を加熱ローラ101に当接させることにより、4つの定着ニップを形成して、記録紙200の定着ニップ通過距離を大きくする。よって、より短時間での定着を可能にし、加熱ローラ101や押圧ローラ102の周速を速めることができる。本変形例装置では、これらローラを、図18に示した定着装置100の2倍の300[mm/sec]で回転させても、定着装置100と同様の定着性能を発揮することができる。
【0093】
また、本変形例装置では、最下流側に位置する押圧ローラ102の導電部102bが接地され、他の押圧ローラ102の導電部102bにはそれぞれ−500[μA]の定電流が供給される。このように、最下流側に位置する押圧ローラ102の導電部102bを接地することで、4つめの定着ニップを通過した記録紙100を除電してこれの加熱ローラ101への巻き付きを軽減し、両者の分離性を高めることができる。
【0094】
図20は、定着装置100の他の変形例装置を示す断面図である。図において、この変形例装置は、押圧ローラ102の代わりに、押圧ベルトユニット105を備えている。この押圧ベルトユニット105は、電源103、画像に接触しない方の表面移動体である押圧ベルト106、駆動ローラ107、定着バイアスローラ108などを有している。
【0095】
図21は、上記押圧ベルト106を示す断面図である。図において、この押圧ベルト106は、厚み:150[μm]、体積抵抗率:10[Ω・cm]の無端状ポリイミドベルトからなる導電部106a上における中央部に、厚み1[mm]のEPMからなる高抵抗部106bが被覆されている。また、導電部106a上における両端部には、シリコーンゴム等からなる弾性の絶縁部106d、106eが被覆されている。高抵抗部106bは、その幅が加熱ローラ101の高抵抗部101bの幅W1よりも小さく、且つ定着幅W3よりも大きくなるように構成されている。かかる構成により、加熱ローラ101の高抵抗部101bのエッジ部分への電流集中に起因する焼け焦げを抑えるとともに、定着幅W3における電流量を増加させて定着効率を向上させることができる。
【0096】
上記押圧ベルト106において、上記絶縁部106d、106eは、高抵抗部106bに食い込むように導電部106a上に被覆されている。かかる構成により、絶縁部106d、106eと高抵抗部106bとの間の沿面放電を抑え、高抵抗部106bや、加熱ローラ101の高抵抗部101bの焼け焦げをより抑えることができる。なお、図示の例では、絶縁部106d、106eを高抵抗部106bよりも薄くして加熱ローラ101の高抵抗部101bに接触させないようにしているが、同じ厚みにして高抵抗部101bに接触させるようにすれば、図18の定着装置100と同様に、両高抵抗部間における放電を解消して両高抵抗部の焼け焦げを更に抑えることができる。
【0097】
このような構成の押圧ベルト106は、上記駆動ローラ107と、定着バイアスローラ108とによって張架されながら、回転駆動する駆動ローラ107によって図中矢印方向に無端移動せしめられる。
【0098】
導電性材料で構成される上記定着バイアスローラ108には、出力電流を−1500[μA]に定電流制御する電源103が接続されている。
【0099】
上記押圧ベルト106は、図示のように加熱ローラ101の周面に巻き付くように当接している。このような当接により、加熱ローラ101周長の約1/4という非常に距離の長い定着ニップが形成される。このため、本変形例装置においても、より短時間での定着を可能にし、加熱ローラ101の周速を速めることができる。この周速は、300[mm/sec]に設定されている。
【0100】
[第2実施形態]
次に、本発明を画像形成装置である電子写真方式のプリンタに適用した第2実施形態について説明する。なお、このプリンタの基本的な構成については、上記第1実施形態のプリンタと同様であるので説明を省略する。
【0101】
本プリンタにおける定着装置100の外観は、図18(a)及び(b)に示した定着装置100と全く同じである。よって、以下、これら図を用いて本プリンタにおける定着装置100の構成を説明する。
【0102】
この定着装置100における加熱ローラ101の高抵抗部101bや、押圧ローラ102の高抵抗部102bの基材には、非極性分子構造を有するPFAやEPMの代わりに、有極性分子構造を有する弾性材料(以下、有極性弾性材料という)が用いられている。具体的には、有極性弾性材料として、クロルスルホン化ポリエチレン(CSM)、フッ素ゴム(FKM)、多硫化ゴム(T)、ウレタンゴム(U)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、単独重合体エピクロロヒドリンゴム(ECO)又はランダム共重合体エピクロロヒドリンゴム(CO)が用いられている。これら有極性弾性材料は非極性分子構造を有する材料よりも遙かに低い体積固有抵抗率を発揮するので、両高抵抗部101b、102bのカーボンブラック含有量は第1実施形態よりも遙かに少なくなり、両高抵抗部101b、102b中にカーボンブラックの局所的な密集領域を形成し難くなる。また、これら有極性弾性材料は、カーボンブラックとの電気抵抗率の差や、定着バイアス供給時間の経過に伴う電気抵抗の増加率が、非極性分子構造を有する材料よりも遙かに小さくなる。よって、両高抵抗部101b、102bの基材に、それぞれ非極性分子構造を有するものが用いられる場合よりも、両高抵抗部101b、102b内における極性的な放電が抑えられ、この放電に起因する両高抵抗部101b、102bの局所的な焼け焦げを抑えることができる。
【0103】
有極性弾性材料としてCSM、FKM、T、U、NBR、ECO、COの何れを用いるかについては、両高抵抗部101b、102bに発揮させるべき電気抵抗率、定着装置100内における放電の可能性、トナーの溶融開始温度、液体キャリア(溶剤)の種類などに基づいて決定することが望ましい。
【0104】
溶融開始温度の比較的高いトナーを用いる場合には、当然ながら定着温度も比較的高温に設定する必要があるため、耐熱性に優れた有極性弾性材料を用いることが望ましい。ここで、トナーの樹脂成分のガラス転移点あるいはエラストマー成分の溶融点については、画像定着後の記録紙200等の記録部材が種々の環境下にさらされて保存され得ることを考慮すると、少なくとも40[℃]以上に調整する必要があると考えられる。また、定着温度については、有極性弾性材料の耐熱温度よりも少なくとも20[℃]程度低く設定することが望ましい。よって、有極性弾性材料については、60[℃]以上の耐熱温度のものを使用することが望ましい。
【0105】
定着装置100内で何らかの放電を生ずる可能性がある場合には、放電によって発生するオゾンによる押圧ローラ102の高抵抗部102bの劣化を抑えるべく、耐オゾン性に優れた有極性弾性材料を用いることが望ましい。図14に示したように、NBRは耐オゾン性が悪いので、オゾンが発生するような環境下での使用は好ましくない。しかし、高抵抗部102bでオゾンに接触し得る部分は表面だけであるので、高抵抗部102bに耐オゾン性に優れた導電性の保護槽を被覆すれば、オゾンが発生するような環境下でもNBRを使用することができる。
【0106】
このような保護層の材料としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。これらの材料は絶縁性であるため、カーボンブラック粉末などの導電性フィラーの分散によって導電性を付与する必要がある。但し、本発明者は、塗工などよって数ミクロン程度の厚みの保護層を形成すれば、導電性フィラーによって保護層に導電性を付与しなくても、加熱ローラ101と押圧ローラ102との間における電流電圧特性に殆ど影響を及ぼさなくなることを確認している。
【0107】
液体現像剤18の液体キャリアとして、浸食性の強い溶剤を用いる場合には、耐溶剤性に優れた有極性弾性材料を用いることが望ましい。但し、両高抵抗部101b、102bに耐溶剤性に優れた保護層を被覆すれば、耐溶剤性に乏しい有極性弾性材料でもよい。
【0108】
両高抵抗部101b、102bのうち、記録紙200上の画像に接触する高抵抗部101bに被覆する保護層の材料については、オフセットの発生を抑えるべく、液体キャリアによる濡れ性あるいは非離型性に基づいて決定することが望ましい。
【0109】
例えば、保護層の材料として先に列記したPVDF、ETFE、PTFE、PFAは、何れもフッ素系の樹脂であり優れた撥液性や被離型性を発揮するので、加熱によって溶融した溶融トナーと良好に分離する。よって、オフセットの発生を抑えることができる。
【0110】
また、その主成分が液体キャリアの主成分と同じ保護層は、液体キャリアに非常に濡れ易いため、記録紙200上の溶融トナーを良好に分離する。本第2実施形態のプリンタでは、液体キャリアとしてシリコーンオイルを含有するものを用いるので、シリコーンゴムやシリコーンレジンなどを保護層の基材に使用すると良い。
【0111】
なお、本第2実施形態のプリンタにおける定着装置100にも、図19や図20に示した変形例装置と同様の構成を適用することが可能である。
【0112】
以上、各実施形態においては、電子写真方式によって画像を形成するプリンタについて説明したが、例えばインクジェット方式や印刷版を用いる印刷方式など、画像形成物質として有色液体を用いる画像形成装置であれば、本発明の適用が可能である。
【0113】
【発明の効果】
請求項1乃至12の発明によれば、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができるという優れた効果がある。また、表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0114】
特に、請求項1、2、3、4、5又は6の発明によれば、加熱ローラなど、画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部のエッジ部分や、もう一方の表面移動体の高抵抗部における該エッジ部分との接触領域の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。また、定着効率をより向上させることができるという優れた効果がある。また、両表面移動体をそれぞれ金属材料等からなる導電部だけで構成する場合や、図2や図3に示した画像定着装置100のように一方の表面移動体だけに高抵抗部を設ける場合よりも、両表面移動体の密着性を高めて定着性能を向上させることが可能になるという優れた効果がある。
また、両表面移動体の導電部の露出部分を直接向かい合わせる場合に比べ、両表面移動体の導電部間の放電を抑えることができるという優れた効果がある。
【0115】
また特に、請求項2の発明によれば、記録部材の画像に接触する方の表面移動体における高抵抗部の幅を、両表面移動体の高抵抗部の接触幅と同じ大きさにする場合に比べ、より良好に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えるとともに、定着効率を向上させることができるという優れた効果がある。
【0117】
また特に、請求項の発明によれば、請求項の発明よりも確実に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0118】
また特に、請求項の発明によれば、画像に接触しない方の表面移動体の絶縁部と高抵抗部との密着不良に起因する上記沿面放電を継続して抑えるので、両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを更に確実に抑えることができるという優れた効果がある。
【0119】
また特に、請求項5又は6の発明によれば、両表面移動体の高抵抗部間の放電を解消するので、該放電を発生させ得る請求項3、4又は5の発明よりも高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0120】
また特に、請求項6の発明によれば、画像に接触しない方の表面移動体の絶縁部と高抵抗部との密着不良に起因する沿面放電を継続して抑えるので、請求項の発明よりも更に確実に両表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0121】
また特に、請求項7乃至12の発明によれば、高抵抗部の局所的な焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
画像に接触する方の表面移動体の高抵抗部について、表面の摩耗、装置内部での放電によって発生したオゾン、有色液体の液体キャリアの浸潤などに起因する劣化を抑えることが可能になるという優れた効果がある。
また、画像中の有色粒子を加熱しない場合に比べ、定着性能をより向上させることができるという優れた効果がある。
更には、画像に接触する方の表面移動体と、該画像中の有色物質とを良好に分離するので、該表面移動体上に該有色物質が残留することによるオフセットの発生を抑えることができるという優れた効果がある。
【0122】
また特に、請求項の発明によれば、高抵抗部の電気抵抗率を所望の値まで容易に下げることができるという優れた効果がある。
【0123】
また特に、請求項9、10又は11の発明によれば、弾性を発揮する高抵抗部により、両表面移動体をそれぞれ金属材料等からなる導電部だけで構成する場合よりも、両表面移動体の密着性を高めて定着性能を向上させることができるという優れた効果がある。
【0124】
また特に、請求項10又は11の発明によれば、クロルスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム又はエピクロロヒドリンゴムを基材とする高抵抗部に、良好な弾性を発揮させながら、その局所的な焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0125】
また特に、請求項1の発明によれば、表面移動体の高抵抗部の局所的な焼け焦げを更に良好に抑えることができるという優れた効果がある。
【0126】
また特に、請求項12の発明によれば、画像に接触する方の表面移動体の高抵抗部について、表面の摩耗、装置内部での放電によって発生したオゾン、有色液体の液体キャリアの浸潤などに起因する劣化を抑えることが可能になるという優れた効果がある。
【0129】
請求項1の発明によれば、定着工程において、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができるという優れた効果がある。また、定着工程において、表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0130】
請求項1の発明によれば、画像定着装置内で記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができるという優れた効果がある。また、画像定着装置内で表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【0131】
請求項15の発明によれば、画像定着装置を用いる定着工程において、記録部材を介して2つの表面移動体の間に電流を流して定着性能を向上させることができるという優れた効果がある。また、画像定着装置を用いる定着工程において、表面移動体の高抵抗部の焼け焦げを抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は開発中の定着装置の概略構成を示す横断面図。
(b)は同定着装置を示す縦断面図。
【図2】同定着装置の変形例装置を示す断面図。
【図3】同定着装置の他の変形例装置を示す断面図。
【図4】同定着装置においてローラ間に形成される電気力線を示す模式図。
【図5】本発明に係る定着装置の一例を示す概略構成図。
【図6】同定着装置の他の一例を示す概略構成図。
【図7】同定着装置の改良例を示す概略構成図。
【図8】同改良例において生じ得る不具合を説明する説明図。
【図9】同改良例の更なる改良例を示す概略構成図。
【図10】図9とは異なる改良例を示す概略構成図。
【図11】図9の改良例の更なる改良例を示す概略構成図。
【図12】図7とは異なる改良例を示す概略構成図。
【図13】加熱ローラへのバイアス供給時間と、バイアス電位との関係を示すグラフ。
【図14】非極性分子からなる代表的な弾性材料と、有極性分子からなる代表的な弾性材料との例を示す表。
【図15】非極性分子構造の各弾性材料における温度と体積固有抵抗率との関係の一例を示すグラフ。
【図16】有極性分子構造の各弾性材料における温度と体積固有抵抗率との関係の一例を示すグラフ。
【図17】第1実施形態にかかるプリンタの概略構成図。
【図18】(a)は同プリンタの定着装置の概略構成を示す横断面図。
(b)は同定着装置の概略構成を示す縦断面図。
【図19】同定着装置の変形例装置を示す断面図。
【図20】同定着装置の他の変形例装置を示す断面図。
【図21】同変形例装置の押圧ベルトを示す断面図。
【符号の説明】
1 画像形成ユニット(画像形成手段)
10 感光体ドラム
18 液体現像剤(有色液体)
20 帯電装置
40 現像装置
51 除電ランプ
60 転写装置
100 定着装置(画像定着装置)
101 加熱ローラ(表面移動体)
101a 導電部
101b 高抵抗部
101c ハロゲンランプ(加熱手段)
102 押圧ローラ(表面移動体)
102a 導電部
102b 高抵抗部
102d、102e 絶縁部
103 電源
104 分離爪
105 押圧ベルトユニット
106 押圧ベルト(表面移動体)
106a 導電部
106b 高抵抗部
106d、106e 絶縁部
107 駆動ローラ
108 定着バイアスローラ

Claims (15)

  1. 表面を互いに接触させながら移動させる2つの表面移動体を備え、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を両表面移動体の間に挟み込んで該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置において、
    導電性材料からなる導電部と、これよりも電気抵抗率の高い材料で構成され、もう一方の表面移動体に接触するように該導電部に固定された導電性の高抵抗部とを両表面移動体に設け、
    両表面移動体の間に挟み込まれた該記録部材の該画像に接触しない方の表面移動体の該高抵抗部の幅方向における両端部分を、他の部分よりも薄厚に形成することで、もう一方の表面移動体における該高抵抗部の幅を両高抵抗部の接触幅以上に設定し、
    且つ、表面移動体の導電部間に電位差を生じせしめる電位差発生手段を設けたことを特徴とする画像定着装置。
  2. 請求項1の画像定着装置において、
    上記画像に接触する方の表面移動体における上記高抵抗部の幅を、上記接触幅よりも大きくしたことを特徴とする画像定着装置
  3. 請求項1又は2の画像定着装置において、
    上記画像に接触しない方の表面移動体におけるもう一方の表面移動体との非接触領域に、絶縁性材料からなる絶縁部を設けたことを特徴とする画像定着装置。
  4. 請求項の画像定着装置において、
    上記画像に接触しない方の表面移動体に設ける上記絶縁部を、該表面移動体の上記高抵抗部の内部に食い込ませたことを特徴とする画像定着装置。
  5. 請求項1又は2の画像定着装置において、
    上記画像に接触しない方の表面移動体の上記高抵抗部の幅方向における両端にそれぞれ隣接する2つの絶縁部を該表面移動体の上記導電部上に固定し、該高抵抗部と該2つの絶縁部とをもう一方の表面移動体の上記高抵抗部に接触させるようにしたことを特徴とする画像定着装置。
  6. 請求項の画像定着装置において、
    上記画像に接触しない方の表面移動体に設ける2つの上記絶縁部を、それぞれ該表面移動体の上記高抵抗部の内部に食い込ませたことを特徴とする画像定着装置。
  7. 表面を互いに接触させながら移動させる2つの表面移動体を備え、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を両表面移動体の間に挟み込んで該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置において、
    両表面移動体の間に挟み込まれた該記録部材の該画像に接触する方の表面移動体に、導電性材料からなる導電部と、該導電部に固定され、もう一方の表面移動体に接触する導電性の保護層に自らの表面が覆われる導電性の高抵抗部とを設け、
    該保護層として、その主成分が上記有色液体中の液体キャリアの主成分を同じであるものを用い、
    もう一方の表面移動体を導電性の材料で構成し
    う一方の表面移動体と該導電部との間に電位差を生じせしめる電位差発生手段を設け、該高抵抗部の基材として有極性分子からなるものを用い
    且つ、該画像に接触する方の表面移動体を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする画像定着装置。
  8. 請求項の画像定着装置において、
    上記高抵抗部として、上記基材中に導電性フィラーが分散されたものを用いたことを特徴とする画像定着装置。
  9. 請求項7又は8の画像定着装置において、
    有極性分子からなる上記基材として、弾性材料を用いたことを特徴とする画像定着装置。
  10. 請求項の画像定着装置において、
    上記弾性材料として、クロルスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム、ニトリルブタジエンゴム又はエピクロロヒドリンゴムを用いたことを特徴とする画像定着装置。
  11. 請求項1の画像定着装置において、
    上記弾性材料として、エピクロロヒドリンゴムを用いたことを特徴とする画像定着装置。
  12. 請求項1、2、3、4、5又は6の画像定着装置において、
    上記画像に接触する方の表面移動体における上記高抵抗部の表面に導電性の保護層を設けたことを特徴とする画像定着装置
  13. 互いに接触しながら移動する2つの表面移動体の間に、液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体によって画像が形成されている記録部材を挟み込んで、該画像を該記録部材に定着せしめる定着工程を実施する画像定着方法において、
    該定着工程で、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を用いることを特徴とする画像定着方法。
  14. 液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体を用いて記録部材上に画像を形成する画像形成手段と、該画像を該記録部材に定着せしめる画像定着装置とを備える画像形成装置において、
    該画像定着装置として、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  15. 液体キャリアと帯電可能な有色粒子とを含有する有色液体を用いて記録部材上に画像を形成する画像形成工程と、該画像を該記録部材に定着せしめる定着工程とを実施する画像形成方法において、
    該定着工程で、請求項1乃至12の何れかの画像定着装置を用いることを特徴とする画像形成方法。
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