JP4141032B2 - 補強された固体電解質膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池、水電気分解、食塩電気分解、各種センサー等の用途に有用な固体電解質膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解質膜には水素が解離して生じたプロトンを酸素側に移動させるイオン伝導体としての機能があり、一般に膜の交換容量が大きいほどプロトン伝導度が大きくなり、そして膜厚が薄いほど膜による電気抵抗が小さくなり好ましい。従来、固体高分子型燃料電池用電解質膜としてペルフルオロカーボンスルホン酸膜が使用され比較的良好な性能を発揮している。実際に交換容量が1.25ミリ当量/g程度の膜や、膜厚50μm程度のペルフルオロカーボン膜が製造、市販されており、その代表的な例としてNafion<登録商標>(米国DuPont社製)、Aciplex<登録商標>(旭化成工業製)、Flemion<登録商標>(旭硝子製)等がある。
【0003】
特に、食塩電解用隔膜に使用される固体電解質膜としては、ペルフルオロカーボンカルボン酸層とペルフルオロカーボンスルホン酸層の少なくとも2層以上の積層膜が有効であることは当該分野で公知である。しかし、そのような膜には、膜の電気抵抗を抑えると、それに伴い膜自体の機械強度が低下するという欠点があった。
【0004】
そこで膜の機械強度を向上させる手法として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの含フッ素重合体からなる織布などの多孔性基材を膜中に挿入したり(特開昭53ー56192、特開昭58ー37186、特開昭58ー37187、特公平1−42292など)、多孔フィルムに官能基を有する含フッ素重合体の溶液を含浸させた後、乾燥・熱処理したり(特開平6−342666)、PTFEのフィブリル化繊維をスルホン酸基またはカルボン酸基を有する含フッ素陽イオン交換樹脂に混合する手段(特開昭53ー14988、特開昭54ー1283、特開昭54ー107479、特開昭54ー157777)が提案されている。
【0005】
しかし、このような手法では一般的に膜の機械強度こそ向上するものの、それに伴い、膜の電気抵抗も増大するという難点があり、膜機械強度向上と併せて膜電気抵抗の低減を達成する手段が渇望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は充分な機械強度と低い電気抵抗をともに有する固体電解質膜を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を克服するために鋭意研究の結果、含フッ素重合体との接着性に優れた支持体材料を層間に有する含フッ素重合体積層膜が当該課題克服に著しく効果があることを見出し、本発明をなすに至った。
以下、本発明につき詳述する。
【0008】
本発明における官能基を有する含フッ素重合体としては、広範なフッ素分子を有する各種重合体から選ぶことができるが、特にペルフルオロカーボンが耐熱性、耐溶剤性が優れており好ましい。
含フッ素重合体が有する官能基とは、種々の化学活性を有する原子または原子団からなる反応基を言う。官能基のもつ化学活性としては、たとえば、イオン交換能、キレート形成能、酸化還元能、触媒配位能などがある。また、これらの化学活性を有する官能基の例としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、第1級から第3級までのアミン、ヒドロキノン基、チオール基などがある。また、官能基の中でも特に、化学反応性に富むものとしては、たとえば、イソシアネート基、ジアゾニウム基、クロロメチル基、アルデヒド基、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アミノ基などがある。その中でも特に、プロトンやナトリウムイオンを伝導する電解質膜が必要とされる食塩電解では、その酸性度の大きなスルホン酸基、及びカルボン酸基が、低電圧、高電流効率の条件下で電解槽を運転できるので好ましい。
【0009】
これらの官能基を有する含フッ素樹脂の例としては、イオン交換含フッ素樹脂、キレート配位子を含むキレート含フッ素樹脂、ヒドロキノン、チオールなどをもつ酸化還元含フッ素樹脂などが挙げられる。なお、イオン交換含フッ素樹脂は、カチオン、又は、アニオンの交換基を有している含フッ素樹脂の他、カチオン及びアニオン双方の交換基を有する含フッ素樹脂であっても良い。
【0010】
カチオン交換基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基またはホスホン酸基が挙げられる。
特に有用な含フッ素重合体の例として、下記式(1)で表される重合性単量体の一種以上を使用し、これに後述の重合性単量体群から選ばれた一種類または二種類以上の重合性単量体とを組み合わせて得られる共重合体があげられる。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、−Yは、−SO3H、−SO2F、−SO3Na、−SO3K、−SO2NH2、−SO2NH4、−COOH、−CN、−COF、−COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、−PO3H2 または−PO3Hである。aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、cは0または1であり、且つa+b+c≠0であり、nは0〜6の整数である。Xは、n≧1のときCl、BrまたはFのいずれか一種、または複数種の組合せである。RtおよびRt′はいずれも1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基又は、フルオロクロロアルキル基群の中から選択される置換基である。)
【0013】
次に、これらに共重合させる重合性単量体群としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロモノクロロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、1,1−ジフルオロ−2,2−ジクロロエチレン、1,1−ジフルオロ−2−クロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロピレン、オクタフルオロイソブチレン、エチレン、塩化ビニルおよびアルキルビニルエステル等が挙げられる。
【0014】
官能基を有する含フッ素重合体の交換容量は膜に充分な電気伝導性、及び機械強度を与えるために、0.50〜2.00ミリ当量/gであることが好ましく、更に好ましくは0.70〜1.50ミリ当量/gである。膜のイオン伝導度は実施例の項で詳述する所定の方法により、容易に測定することができる。
官能基を有する含フッ素重合体膜の積層構造に特に制限は無く、膜の用途に応じて任意に選択できる。例えば食塩電解用途においては、陰極側にカルボン酸層、陽極側にスルホン酸層がくるような少なくとも2層からなる積層構造が用いられる。これらの積層構造においては隣接する層との間に電気的に不導部分となる隙間がないよう、互いに接着接触しているのが好ましい。層間に独立した隙間が存在するとその部分が電解装置の電圧上昇の原因となることがある。
【0015】
本発明の膜は、約0.25μmから約150μmの厚さを有する含フッ素重合体フィルムを後述する手法にて積層することにより製造される。膜は一般に2層、または3層のそのような含フッ素重合体フィルムから成るので、膜を製造する際に使用される含フッ素重合体フィルムの全厚は一般に0.5μmから450μm、より好ましくは50μmから150μmになる。また、積層させるフィルムの含フッ素重合体は必ずしも同一のものでなくとも良く、異なる含フッ素重合体からなるフィルムどうしを積層させても良い。
【0016】
上記積層構造の隣接層間には電解膜を補強し、その弾性率の向上に寄与させるための支持体材料が介在している。支持体材料の形状には特に制限は無いが、その厚みは好ましくは、25〜125μm、更に好ましくは50〜75μmである。また、成型加工性の良さから、一般に織布または不織布が好ましい。この場合、これらの布は、以下に述べるフッ素強化繊維及び仮補強材からなる。
【0017】
フッ素強化繊維の具体的な例としては、テトラフルオロエチレンから作られる単独重合体及びテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン及び/またはアルキル基炭素原子数が1〜10個のペルフルオロアルキルビニルエーテル、例えば、ペルフルオロプロピルビニルエーテルとの共重合体が包含される。これら、フッ化炭化水素系高分子繊維は、その強度、化学的安定性の点で本発明に係る課題達成において他の合成繊維よりも優れており、その中でも最も好適な素材の例はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0018】
フッ素強化繊維の径に特に制限は無いが、織布、及び積層後の膜に充分な強度をもたせるためには、50〜600デニルが好ましく、更に好ましくは200〜400デニルである。フッ素強化繊維断面形状は色々なものが可能であるが、特に非円形のものが好ましい。即ち2〜20、好ましくは5〜10の長短径比を有する断面形状をもつフッ素強化繊維が使用される。
【0019】
特に適する断面形状は、長方形、卵形、星形、三角形、及び楕円形である。長方形のフッ素強化繊維の場合は、フィルムを裂いて、薄くて幅の狭いリボンの形のものを成型するか、或いは直接そのような断面に押し出し成形することもでき、この場合には断面の角を丸くすることができる。卵形、楕円形及びその他の形状は直接そのような断面のものを押し出し成形してもよく或いは繊維又はヤーンをカレンダリングすることにより作ってもよい。織布をカレンダーがけして必要な断面長短径比を得ることも可能である。
【0020】
仮補強材は、天然又は合成高分子からなる繊維であり、好適な素材としては、木綿、リンネル、絹、レーヨン、6ー6ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリルがある。これらの仮補強材は、1〜20の範囲内で長短径比を任意に選択でき、長方形、卵形、三角形、星形、又は楕円形の断面を有することができる。例えばレーヨン繊維又は再生セルロースフィルムから切り取った細いリボンは好適には約40〜100デニルのものである。特に、十分に低デニルならば1の長短径比、即ち断面が円形のものであることができる。フッ素強化繊維同様、仮補強材は好ましくは、12〜63μm、更に好ましくは25〜38μmの厚さを有することができる。
【0021】
本発明の仮補強材は、本発明の膜のイオン交換能を阻害することなく、膜から除去することができ、これにより、膜の電気抵抗を更に抑えることができる。仮補強材の除去は、加水分解のような一般に知られた化学的方法で行えば良く、例えば、レーヨンの様なセルロース系の補強材の場合、次亜塩素酸ナトリウムを用いて除去することができる。
【0022】
本発明の織布あるいは不織布は上記フッ素強化繊維及び仮補強材からなる。これらの布は、通常のバスケット織り及びレノ織りのような織り方が適当である。フッ素強化繊維及び仮補強材はいずれも単フィラメントであってもまたマルチストランドであってもよい。このとき、フッ素強化繊維及び仮補強材に撚りをかけてもよい。また、支持体材料が織布の場合、好ましいフッ素強化繊維密度は、縦糸及び横糸のそれぞれにおいて、1.6〜16本/cm、好ましくは6〜8本/cmの範囲である。
【0023】
織布中の縦糸及び横糸の各々において、フッ素強化繊維対仮補強材の比は10:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:6、さらに好ましくは1:2〜1:5の範囲にある。織布中におけるフッ素強化繊維の占める比率が上記の範囲より大きくなると、膜電気抵抗が増大する。逆に、この範囲より低いと、十分な機械強度を有する電解質膜が得られない。いずれにしても、本発明の織布から仮補強糸を除去した後の織布中の開口率を、50%から65%の範囲とするのが、機械強度と膜電気抵抗のバランスのとれた電解質膜を得る上で好ましい。ここで言う、開口率とは、織布単位面積当たりの隣接繊維間すき間合計面積である。
【0024】
不織布の場合、適当な成分繊維の薄い開口したシートが使用できる。
本発明の支持体材料は、積層構造をなす含フッ素重合体フィルム層に対し強固な接着性を有していなければならず、そのため支持体材料の水接触角は0〜90°でなければならない。該水接触角が90°よりも大きな値であると、充分な機械強度を有する電解質膜が得られない。
【0025】
この水接触角は、典型的には、本発明の強化用支持体材料に表面処理を施すことにより達成できる。該表面処理には、例えば、研磨処理、化学的処理、フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、光照射等の一般的な手法が適用できるが、コロナ放電処理やプラズマ処理が処理表面の均一性が高いことやドライプロセスで溶剤を用いないことから好ましい。
【0026】
プラズマ処理の場合、例えば、アルゴン、ヘリウム、酸素、空気、水蒸気、酸化窒素、窒素、アンモニア、水素、四フッ化炭素、六フッ化イオウ等に気圧0.1〜数Torr下で1〜30MHzのラジオ波を5〜100ワットの電力で印加することで生じた低温プラズマを2〜4分間印加させることで達成できる。
表面処理を施した支持体材料は、以下に述べる手法により、さらに含フッ素重合体フィルム層との接着性を向上させてもよい。すなわち、プラズマ表面処理を施した支持体材料を、官能基を有するフッ素重合体を希釈剤に溶解あるいは分散した液に含浸あるいは支持体材料に該溶液を塗布し、乾燥することにより、官能基を有する含フッ素重合体を支持体材料表面に付着させることが出来る。付着したフッ素重合体は、後に述べるような成型の段階で、支持体と膜成分層の間の接着剤の役割をするため、該表面処理を施した支持体材料と膜成分層を直接積層するときよりもさらに強い接着性を示す。ここで使用する官能基を有する含フッ素重合体は、支持体材料を埋め込む膜成分層が有するものと同じものを使うことが、膜成分層と支持体材料との親和性の故に、より効果的で好ましい。
【0027】
官能基を有する含フッ素重合体の希釈剤の具体例としては、水及びクロルベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、オクタノール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、安息香酸エチル、各種フルオロカーボン、ペルフルオロアルキルエタノール等が挙げられる。
【0028】
本発明の電解質膜は上記含フッ素重合体フィルム及び支持体材料から成型される。すなわち、高温、高圧下で2枚以上の含フッ素重合体フィルムをその間に支持体材料を介して互いに溶融接着させて、単一の膜構造体を形成する。
成型温度は、通常約200〜300℃の範囲であるが、より正確には、用いる含フッ素重合体の性質、フイルム成分層と支持体部材間の接着性、溶融状態における含フッ素重合体の流動性を考慮して最適化される。いずれにしても、最終的に均一な厚みを有する成型膜が得られる成型温度が選択される。成型圧力、製膜時間は、通常、約0.2kg/cm2 程度の低い圧力から100kg/cm2 を超える圧力下で1〜10分間加圧する。
【0029】
上記の固体電解質膜は、この後、その用途に応じて化学的手法により、膜中の官能基を別種の官能基に転化しても良い。例えば、電解膜を食塩電解の隔膜として用いる場合には、膜の官能基を全てスルホン酸及びカルボン酸基、又はそのアルカリ金属塩等の、水溶液中でイオン化しうる官能基に転化することができる。かかる転化は通常、酸又は塩基の存在下での加水分解により行える。塩基での加水分解、特に熱溶液、例えば沸点付近の溶液中での加水分解は、短時間で加水分解を行うのに特に好適である。加水分解に必要な時間は、一般に、膜の厚さとともに増大する。水と混和する有機化合物例えばジメチルスルホキシドを加水分解浴に含有させることも有効である。また、仮補強材の膜からの除去は、この官能基転化の前後、いずれの段階でおこなっても良いが、仮補強材が加水分解可能な素材からなる場合、この官能基転化の加水分解過程で、仮補強材の除去を同時におこなうこともできる。
【0030】
上記の方法によって得られた本発明に係る電解質膜は、このままで、十分な機械強度と、イオン伝導性を示すが、必要に応じてホットプレス処理をすることにより、さらに膜性能をあげることもできる。すなわち、上記方法で得られた電解質膜を50〜500kg/cm2の圧力下、50〜150℃、好ましくは70〜100℃の温度範囲で1〜10分間プレス処理することにより、さらに電解膜の電気抵抗性の低下と機械強度向上を実現できる。
【0031】
本発明の膜では、水接触角の小さい支持体材料を使用して、有用な官能基を有する含フッ素重合体フィルム成分層との接着を強固にすることにより、膜の機械強度を向上させると同時に、支持体部材表面へのイオン交換基の導入、及びその濡れ性の向上により、従来プロトンやNaイオン伝導にとって障害となっていた支持体部材の表面領域にイオン伝導性を発現させ、その結果、予想外の膜電気抵抗の低減を実現できた。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例、比較例を挙げさらに具体的に説明する。
得られた膜の直流抵抗値は、塩化ナトリウムの電気分解条件下で測定した。陰極液である12%水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級)水溶液の液面と、陽極液である3.5N、塩化ナトリウム(和光純薬製)水溶液の液面を両液面の間に固体電解質膜を挟んで接触させ、液漏れが無いように固定した。固体電解質膜の有効面積は1cm2 である。作用電極に白金電極を用い、固体電解質膜の極近辺両側に電位差を測定する白金線を配置し、50℃にて、一定電流を通じたときの電圧を測定した。電流をAアンペア、その時の電解質膜両側の電位差をVボルト、膜の厚さをTcmとすると、膜の抵抗値(R;Ω・cm)は下記式(2)で計算される。
【0033】
【数1】
R=V/(A・T) (2)
【0034】
【実施例1】
式1のひとつであるカルボン酸メチルェステル墓を有するペルフルオロカーボンモノマーとテトラフルオロエチレンの共重合体(旭化成工業製)で交換容量0.85ミリ当量/g、膜厚20μmの膜と、式1のひとつであるスルホニルフルオライド基を有するペルフルオロカーボンモノマーとテトラフルオロエチレンの共重合体(旭化成工業製)で交換容量0.97ミリ当量/g、膜厚75μmの膜とを積層したフイルム(A)を作成した、一方、式1のひとつであるスルホニルフルオライド基を有するペルフルオロカーボンモノマーとテトラフルオロエチレンの共重合体(旭化成工業製)で交換容量1.05ミリ当量/g、膜厚25μmのフイルム(B)を作成した、仮補強材にポリエチレンテレフタレート繊維(40デニル、太さ23μm)、強化部材にポリテトラフルオロエチレン繊維(150デニル、太さ110μm)を用い、平織り方式で支持体材料の織布を作成した。該織布の縦糸及び横糸の各々においてフッ素強化繊維対仮補強材の比は1:4である。この織布をガラス製真空ラインに接続した電極付きの2Lのガラス容器に入れ、真空ポンプにより0.1Torr以下に減圧した。その後、アルゴンボンベからアルゴンガスを導入し、0.3Torrで封人した、室温下、30ワット、20MHzのラジオ波を5分間印加し、プラズマ処理を行った。その後、真空ラインを使って空気を導入し、大気中に解放した。得られたプラズマ処理織布の水接触角を接触角測定装置(揚和界面科学製、CA−X150)を用いて測定したところ、85°であった。吸引・加熱できるホットプレート上に、剥離紙(日本製紙製)、フィルムB、プラズマ処理支持体材料、フィルムAの順番で重ね置き、積層フィルムを含む系全体を吸引しながらフィルム間の空気が無くなったのを目視で確認し、そのまま大気圧下、220℃で4分間積層化処理した。得られた積層膜を、水酸化カリウム(和光純薬株式会社製特級)16.8gとジメチルスルホキシド(和光純薬株式会社製一級)30g及び純水70gの混合溶解液に漬け、90℃、1時間反応させた、これにより、スルホニルフルオライド型の官能基がスルホン酸カリウム型に変換した。充分純水で洗浄した後、0.5NNaOH水溶液に漬け85℃、30分保持し、スルホン酸ナトリウム型とした。その後、直流抵抗を測定した、測完条件は陽極液に3.5NNaCl水溶液、陰極液に33%NaOH水溶液を用い、50℃の液温度で行った。その結果、抵抗値は22.4mΩであった、引っ張り強伸度測定(縦及び横の支持体部材糸に対して45°方向)における破断強度は1.2kg/cmであった。
【0035】
【比較例1】
実施例1で作成したプラズマ処理しない織布の水接触角は133°であった。この織布と実施例1で作成したフィルムA、Bを用い、実施例1と同じ操作で積層膜を作成した。この積層膜の直流抵抗は27.2mΩであり、破断強度は1.2kg/cmであった。
【0036】
【実施例2】
実施例1で作成した湿潤状態の積層膜(スルホン酸ナトリウム型)をホットプレス器(テスター産業製)で90℃、100kg/cm2 、5分間プレス処理した。この積層膜の直流抵抗は23.5mΩであり、破断強度は1.4kg/cmであった。
【0037】
【実施例3】
実施例1で作成した湿潤状態の積層膜(スルホン酸ナトリウム型)をホットプレス器(テスター産業製)で90℃、200kg/cm2 、5分間プレス処理した。この積層膜の直流抵抗は22.5mΩであり、破断強度は1.3kg/cmであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の電解質膜は水接触角が0〜90°である支持体部材で補強された官能基を有する含フッ素重合体積層膜であり、これにより、従来からの課題であった、電解質膜に高い機械強度を持たせると同時にその電気抵抗を大幅に低減させることが可能となった。
Claims (6)
- 少なくとも2層の、一種又は二種以上の官能基を有する一種または二種以上の含フッ素重合体からなる積層膜であり、隣接層間に水接触角が0から90°である支持体材料を有する固体電解質膜であって、前記支持体材料が50〜600デニル且つ2〜20の範囲の縦横比(繊維断面の長短径比)を有する含フッ素重合体繊維(以下、フッ素強化繊維)からなる織布であることを特徴とする固体電解質膜。
- 官能基がスルホン酸基、カルボン酸基のうちの少なくとも一つである請求項1に記載の固体電解質膜。
- 織布が一部、40〜100デニルの仮補強材からなり、織布の縦糸、横糸における、フッ素強化繊維対仮補強材の比が、1:10〜10:1の範囲である請求項1又は2に記載の固体電解質膜。
- フッ素強化繊維がペルフルオロカーボン重合体繊維であり、織布に表面処理をほどこした請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質膜。
- 表面処理がコロナ放電あるいはプラズマ照射である請求項4に記載の固体電解質膜。
- 表面処理した織布を官能基を有する含フッ素重合体の溶液に浸漬、あるいは該溶液を表面処理した織布に塗布し、その後乾燥した請求項4又は5に記載の固体電解質膜。
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