JP4140679B2 - 自動車用トリム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに上下二分割し互いに接合して構成するドアトリムのような一方のトリムと他方のトリムに、それぞれ接合部を形成して両接合部を互いに重合装着することによって一体のトリム本体を構成する自動車用トリム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の自動車用トリム構造としては、例えば図10乃至図12に示すドアトリムが知られている。図10はドアトリム本体を分割して示す斜視図、図11はドアトリム本体のアッパートリムとロアトリムとの接合部を拡大して示す要部斜視図、図12は同じく断面図である。
【0003】
図10乃至図12によれば、ドアトリム本体aは、上下2分割されたトリムアッパーbとトリムロアcとを有して構成しており、トリムロアcの上端部にコ字状のロア側接合部dを形成し、ロア側接合部dにトリムアッパーbの下端部におけるアッパー側接合部eを接合することによって、一体のドアトリム本体aを構成している。
【0004】
そして、ロア側接合部dには、位置決め貫通孔fを形成するとともに、アッパー側接合部eには、貫通孔fが嵌合する位置決め突起gが突設されている。位置決め突起gの外周部には数条のリブ部hが形成されていて、リブ部hは先細り状の傾斜面となっている。
【0005】
トリムアッパーbとトリムロアcとを接合組立てするには、先ず、位置決め突起gを位置決め貫通孔fに挿通させて、貫通孔fの内壁にリブ部hの先端を当接させることによって、トリムロアcに対しトリムアッパーbを位置決めし、その後、両接合部d,e同士を溶着或いはビス止め等により接合組立てしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成する従来構造においては、トリムロアcに対してトリムアッパーbを位置決めすべく、位置決め突起gを位置決め貫通孔fに挿通したとしても、トリムアッパーbの回転方向の規制がないことから、完全なる位置決めを行うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、例えばトリムロアである他方のトリムに対して例えばトリムアッパーである一方のトリムが確実に位置決めできるように工夫した自動車トリム構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を計決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、一方のトリムと他方のトリムに、それぞれ接合部を形成して両接合部を互いに重合装着することによって一体のトリム本体を構成する自動車用トリム構造であって、前記一方のトリム又は他方のトリムのうち、一方のトリム側の接合部に前記他方のトリム側に開口する開口部を有するボックス形状のエンボス部を前記他方のトリムの裏面側に張出すように形成し、該エンボス部の互いに対向する一対の側壁に突起をそれぞれ突設すると共に、該突起をそれぞれ挟着する挟着凹部を構成する一対のリブを前記他方のトリム側にそれぞれ突出形成して、前記リブが前記開口部から挿入されて突起を挟着することによって他方のトリムに対する一方のトリムの重合装着前の位置決め機構を構成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、ボックス形状のエンボス部に突起を挿入し、突起をエンボス部側の一対のリブ間で挟着することにより、従来のように位置決め突起gを位置決め貫通孔fに挿入して行う場合と異なって、一方のトリムの回転規制が施されて、完全なる位置決めを行うことができる。
【0010】
また本発明は、一対のリブにおけるエンボス部の互いに対向する一対の側壁部側が、エンボス部の後壁部の方向に先細り状のテーパー面に形成したことにより、リブのエンボス部への挿入初期段階の挿入作業性を向上させている。これは、従来のように、位置決め突起gを高く形成することによって貫通孔fへの挿入性を向上させるというような対策をとる必要がないため、エンボス部をそれ程高く形成する必要がなくなり、その分一方のトリム或いは他方のトリムの表面側に成形時にひけや艶むら等を発生させる余地がなくなる。
【0011】
また本発明は、他方のトリムのうち他方側に、平面視H字状のボス部を突設し、ボス部の互いに対向する一対の側片部の外壁にリブを突出形成して構成しており、リブがボス部によって支持されて、補強されることになって、エンボス部への挿入作業時に折損してしまうことを防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における自動車用トリム構造として、ドアトリムを例として説明する。そして先ず、本発明における第1の実施の形態について、図1乃至図5を用いて説明する。
【0018】
図1は、ドアトリムをトリムアッパーおよびトリムロアとを分解して示す斜視図、図2は図1におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造を拡大して示す一部断面斜視図、図3は図1におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造の横断面図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図である。
【0019】
図1乃至5において、ドアトリム本体1は、互いに上下に分割したトリムアッパー2の下端部の接合部2aとトリムロア3の上端部に形成した接合部3aとを重合装着することによって構成している。
【0020】
トリムロア3の接合部3aには、トリムロア3の表面側に開口する開口部4を有するボックス形状のエンボス部5がトリムロア3の裏面側に張出すように形成されている。
【0021】
エンボス部5は、ボックス形状故に上面部も開口しており、しかも互いに対向する一対の側壁5a,5aの内方に突出する突起7,7がそれぞれ突設されている。トリムアッパー2の接合部2aには、平面視H字状のボス部6が形成され、ボス部6の互いに対向する一対の側片部6a,6aには、突起7,7をそれぞれ挟着する挟着凹部を構成する一対のリブ8,8が外方に延在するように突出形成されている。
【0022】
リブ8,8は、そのエンボス部5の互いに対向する一対の側壁5a,5a側がエンボス部5の後壁部5bに先細り状のテーパー面に形成されている。
【0023】
上記構成において、トリムロア3に対してトリムアッパー2を接合してドアトリム本体1とする場合、先ず、エンボス部5の開口部4側から、ボス部6を挿入し、突起7を一対のリブ8,8間に嵌合して、リブ8,8によって突起7の上下面をそれぞれ挟着することによって、トリムロア3に対するトリムアッパー2の位置決め機構を構成し、その後、不図示の接合手段を用いて、トリムロア3の接合部3aとトリムアッパー2の接合部2aとを止着することによって、一体のドアトリム本体1を構成することになる。
【0024】
上記の構成によれば、リブ8,8が突起7の上下面を挟着することによってトリムロア3とトリムアッパー2との位置決めがなされるので、トリムロア3に対するトリムアッパー2の回転規制が施されて、位置決めされることになる。また、リブ8,8のエンボス部5の両側壁部5a間に挿入する際に、リブ8,8におけるエンボス部5の互いに対向する一対の側壁部5a側は、エンボス部5の後壁部5b方向に先細り状のテーパー面に形成されているために、挿入初期段階の挿入作業性が向上することになる。
【0025】
この結果、従来のように、位置決め突起gを高く形成することによって貫通孔fへの挿入性を向上させるというような対策をとる必要がなく、このためにエンボス部5をそれ程高く形成する必要がなく、その分トリムアッパー2やトリムロア3の表面側に成形時にひけや艶むら等を発生させる余地がなくなる。
【0026】
また、トリムアッパー2側のリブ8,8を形成するボス部6は、平面視H字状に形成されていることから、リブ8,8がボス部6に支持されて補強されることになって、エンボス部5への挿入作業時に折損してしまうことを防止できる。
【0027】
更に、第1の実施の形態においては、突起7の上下面7a,7bが図5に示すように先薄型のテーパー面に形成して、リブ8,8間の初期挿入作業性をこの点からも向上させている。
【0028】
なお、上記の実施の形態では、突起7を形成したエンボス部5をトリムロア3側に形成し、リブ8を有するボス部6をトリムアッパー2側に形成したが、これに限定されるものでなく、突起7を形成したエンボス部5をトリムアッパー2側に形成し、リブ8を有するボス部6をトリムロア3側に形成してもよい。
【0029】
次に、図6乃至図9に示された本発明に係る第2の実施の形態について説明する。図6は図2と同様トリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造を拡大して示す一部断面斜視図、図7はトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造の横断面図、図8は図7のC−C断面図、図9は図7のD−D断面図である。
【0030】
図6乃至図8における第2の実施の形態においては、上記第1の実施の形態におけるリブ8を有するボス部6の形状を変更した点以外は、同一構成をとっているので、同一符号を付すことによって詳細な説明を割愛する。
【0031】
第2の実施の形態においては、リブ8が、平板状を呈するように、トリムアッパー2の接合部2aに突出形成されている。
【0032】
リブ8におけるエンボス部5の互いに対向する一対の側壁部5a,5a側がエンボス部5の後壁部5b方向に先細り状のテーパー面に形成されおり、更に、リブ8の下面には、垂下片9が突設されている。
【0033】
また、突起7の下面7bがエンボス部5の後壁部5b方向に下向きの傾斜面にしかして、図7乃至図9に示すように、エンボス5側の突起7と底壁部5cとの間に、垂下片9と共にリブ8が嵌入挟着されて、トリムロア3に対するトリムアッパー2の位置決め機構を構成することになる。
【0034】
上記のように構成する第2の実施の形態によれば、ボックス形状のエンボス部5の両側壁部5a,5aに突設した突起7の下面側に、リブ8を当接させることにより、先ず、トリムロア3に対するトリムアッパー2に位置決め機構を構成し、トリムロア3に対するトリムアッパー2の回転規制を施して位置決めしている。
【0035】
また、リブ8におけるエンボス部5の互いに対向する一対の側壁部5a,5a側が、エンボス部5の後壁部5bの方向に先細り状のテーパー面に形成されていることにより、リブ8のエンボス部5への挿入初期段階の挿入作業性を向上させている。これにより、従来のように位置決め突起gを高く形成することによって貫通孔fへの挿入性を向上させるというような対策をとる必要がないため、その分トリムアッパー2の表面側に成形時にひけや艶むら等を発生させる余地を無くしている。
【0036】
また、リブ8の下面に垂下片9を突設し、垂下片9をエンボス部5の底壁部5cに当接させることにより、垂下片9を突起7と共に底壁部5cと突起7との間に挟着させていることから、トリムアッパー2の回転規制は更に確実になされて、トリムロア3に対するトリムアッパー2の完全なる位置決めを行うことができる。
【0037】
更に、突起7の下面が、エンボス部5の後壁部5b方向に下向きの傾斜面に形成したことにより、垂下片9を有するリブ8をエンボス部5の底壁部5cと突起7との間に挿入する初期段階の挿入作業性をさらに向上させることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボックス形状のエンボス部に突起を挿入し、突起をエンボス部側の一対のリブ間で挟着することにより、或いは、ボックス形状のエンボス部の側壁に突設した突起の下面側にリブを当接させることにより、従来のように位置決め突起gを位置決め貫通孔fに挿入して行う場合と異なって、一方のトリムの回転規制が施されて、完全なる位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態におけるドアトリムをトリムアッパーおよびトリムロアとを分解して示す斜視図である。
【図2】図1におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造を拡大して示す一部断面斜視図である。
【図3】図1におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造の横断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図2と同様トリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造を拡大して示す一部断面斜視図である。
【図7】本発明に係るトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造の横断面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図7のD−D断面図である。
【図10】従来におけるドアトリムをトリムアッパーおよびトリムロアとを分解して示す斜視図である。
【図11】図10におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造を拡大して示す一部断面斜視図である。
【図12】図10におけるトリムアッパーとトリムロアとの位置決め構造の横断面図である。
【符号の説明】
1 ドアトリム本体
2 トリムアッパー
2a 接合部
3 トリムロア
3a 接合部
4 開口部
5 エンボス部
5a 側壁部
5b 後壁部
6 ボス部
6a 側片部
7 突起
7a 上面
7b 下面
8 リブ
9 垂下片
Claims (3)
- 一方のトリムと他方のトリムに、それぞれ接合部を形成して両接合部を互いに重合装着することによって一体のトリム本体を構成する自動車用トリム構造であって、前記一方のトリム又は他方のトリムのうち、一方のトリム側の接合部に前記他方のトリム側に開口する開口部を有するボックス形状のエンボス部を前記他方のトリムの裏面側に張出すように形成し、該エンボス部の互いに対向する一対の側壁に突起をそれぞれ突設すると共に、該突起をそれぞれ挟着する挟着凹部を構成する一対のリブを前記他方のトリム側にそれぞれ突出形成して、前記リブが前記開口部から挿入されて突起を挟着することによって他方のトリムに対する一方のトリムの重合装着前の位置決め機構を構成したことを特徴とする自動車用トリム構造。
- 前記一対のリブにおける前記エンボス部の互いに対向する一対の側壁側が、前記エンボス部の後壁部の方向に先細り状のテーパー面に形成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用トリム構造。
- 前記他方のトリムに、平面視H字状のボス部を突設し、該ボス部の互いに対向する一対の側片部の外壁に前記リブを突出形成した請求項1または2記載の自動車用トリム構造。
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