JP4140530B2 - A/d変換回路装置及びa/d変換方法 - Google Patents

A/d変換回路装置及びa/d変換方法 Download PDF

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Description

本発明は、アナログの電圧信号を、二進数のデジタルデータに変換するA/D変換回路装置及びA/D変換方法に関する。
従来の一般的なA/D変換回路は、アナログコンパレータを用いて変換対象のアナログ電圧信号を基準電圧と比較してデジタルデータに変換するようになっている。また、電圧信号の変化が微小である場合には、アナログ増幅回路を介して増幅したアナログ信号をA/D変換する。ところが、斯様な構成では、高温環境下で使用する場合を想定すると、リーク電流の発生によりアナログ増幅回路が誤動作するおそれがあり、A/D変換を正常に行うことができなくなるという問題がある。
斯様な問題を解決する技術として、特許文献1に開示されたものがある。この技術では、図9に示すパルス位相差符号化回路1を使用する。パルス位相差符号化回路1は、リングディレイライン2、カウンタ3、ラッチ回路(Dフリップフロップ)4、パルスセレクタ(周回位置検出手段)5、エンコーダ(周回位置検出手段)6、減算回路7で構成されている。
リングディレイライン2は、例えば奇数(31段)段の反転ゲート2a(その内1つはNANDゲート2b,遅延ゲート)をリング状に接続して構成され、制御回路8により信号PAが出力されると発振動作(パルス信号の周回動作)を開始する。カウンタ3は、リングディレイライン2内でリング状に伝送されるパルス信号の周回数をカウントする例えば10ビットカウンタであり、そのカウントデータは、制御回路8により信号PBが出力されるとラッチ回路4によりラッチされる。
パルスセレクタ5は、リングディレイライン2内を周回しているパルス信号の位置を示す信号を発生し、エンコーダ6は、パルスセレクタ5からの出力信号に対応した例えば5ビットのデジタルデータを発生する。減算回路7は、ラッチ回路4からのデジタルデータを上位側ビット,エンコーダ6からのデジタルデータを下位側ビットとするように合成する。この時、リングディレイライン2の反転ゲート数が奇数「31」であることから、ラッチ回路4のデータ即ちカウンタ3のカウント値は、パルス信号の周回数Nに、リングディレイライン2の分解能(反転ゲート2a,1個の遅延時間)tdを乗じた分だけ大きな値となっている。従って、双方のデータを連結した15ビットデータに対し、ラッチ回路4の出力データをLSB詰めで桁合わせして減算を行う。以上のようにして、制御回路8より出力される信号PA,PBの位相差を表す二進数のデジタルデータTDO(15ビット)を生成出力する。
また、特許文献2においては、特許文献1のパルス位相差符号化回路を、入力信号に重畳されている高周波ノイズ成分を除去するための、フィルタ機能を実現する構成に利用した技術が開示されている。
特開平5−259907号公報 特開2002−217758号公報
ところで、特許文献1の構成は、制御回路8がパルス信号PAを出力した時点からパルス信号PBを出力する時点までの期間がサンプリング時間(A/D変換時間)Tcとなっており、そのサンプリング時間Tcの長短に応じてA/D変換の分解能が決定されるようになっている。例えば、サンプリング時間が2倍になれば、デジタルデータ1ビットに相当する電圧が1/2となることで分解能が向上する。従って、サンプリング時間を1/10にすると分解能も1/10となってしまう。より具体的に言うと、サンプリング時間が10μsの場合の分解能が16ビットだとすると、サンプリング時間を1μsにすれば分解能は13ビットに低下する(図10参照)。そのため、サンプリング時間を短縮してA/D変換処理を高速に行なおうとすると、分解能が低下せざるを得なかった。
近年、例えば車両のエンジンのノック制御における制御性を向上させる目的で、ノックセンサについては、エンジンの振動を検出して出力される例えば1mV以下の微小な電圧信号を、高分解能で且つ高速にA/D変換したいという要求がある。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、そのような要求に対応することができなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分解能を低下させることなく高速にA/D変換を行うことができるA/D変換回路装置、及びA/D変換方法を提供することにある。
請求項1記載のA/D変換回路装置によれば、制御手段は、パルス位相差符号化回路のパルス周回回路を動作させてA/D変換処理を開始させ、その後所定のサンプリング時間が経過する毎に、カウンタ及び周回位置検出手段において得られるデータを周期的にサンプリングさせる。すると、差分データ演算部からは、連続して出力される2回のA/D変換結果データの差分が得られるので、その差分データをデジタルフィルタによってフィルタリングする。
即ち、特許文献1のような従来のA/D変換方式では、アナログデータを連続的にA/D変換する場合、夫々のアナログデータ毎に、パルス周回回路を動作させてカウンタ及び周回位置データをサンプリングさせるようにしている。従って、各A/D変換結果データは夫々独立したデータとなっており、各データの変換分解能は、夫々のサンプリング時間に応じて決まることになる。
これに対して、本発明では、アナログデータを連続的にA/D変換する場合、パルス周回回路は連続的に動作させておき、サンプリング時間が経過する毎にデータサンプリングを行い、連続して出力される2回のA/D変換結果データの差分を得る。すると、各差分データはその前後に出力されるデータとの連続性を備えることになる。即ち、夫々が、連続的にA/D変換が行われて出力される一連のデータの一部を構成することになり、例えば、サンプリング時間Tで得られた1つのデジタルデータを10個積算したものは、サンプリング時間10Tで得られた1つのデジタルデータと等価になっている。
換言すれば、各差分データは、高い分解能(より長いサンプリング時間)でA/D変換されたデータの情報を含んでいることになるから、その差分データを、時間積分的な演算処理が行われるデジタルフィルタによりフィルタリングすれば、高い分解能でサンプリングされてA/D変換されたデータと等価なデータを生成することができる。従って、サンプリング時間を短く設定してパルス位相差符号化回路で行われるA/D変換を高速化したとしても、デジタルフィルタの出力より高分解能の変換データを得ることができる。
そして、デジタルフィルタにIIRフィルタを用いる。即ち、IIRフィルタは出力データを入力側にフィードバックさせる構成であるから、過去のデータの影響がより長く残り続ける性質を備えており、データの積算効果がより高いフィルタである。従って、比較的低次の構成であっても十分な積算効果を得ることができるので、回路規模を小さくすることが可能となる。
請求項2記載のA/D変換回路装置によれば、差分データ演算部の第1及び第2ラッチ回路は、制御手段がデータをサンプリングさせるタイミングでパルス位相差符号化回路より出力されるデータを順次ラッチするので、第2ラッチ回路にラッチされたデータは1変換周期前のデータとなる。そして、そのデータから、第1ラッチ回路によってラッチされたデータを減算すれば差分データが得られる。従って、第1ラッチ回路によってデータを保持することで、パルス位相差符号化回路内で行われる、周回位置検出手段の周回位置データとカウンタのカウントデータとを合成する処理時間に、余裕を持たせることができる。
請求項記載のA/D変換回路装置によれば、パルス位相差符号化回路の電圧信号入力端子に、予め設定された基準電圧信号とA/D変換対象の電圧信号とを切り換えて与える。そして、基準電圧信号が与えられてA/D変換が行われた場合に、差分データ演算部より出力される差分データを記憶手段に記憶し、A/D変換対象の電圧信号が与えられた場合にデジタルフィルタより出力されるデータを、記憶手段に記憶されたデータで除算して出力する。
即ち、本来の変換対象の電圧信号についてA/D変換したデータを、基準電圧信号のA/D変換データで除算すれば、特許文献1に開示されているように、パルス周回回路を構成する遅延ゲートの伝搬遅延時間が温度によって変動する影響をキャンセルすることができる。但し、本発明の構成においては、基準電圧信号のA/D変換データは単一のデータとなるのでデジタルフィルタを介すことなく記憶手段に記憶されることになる。従って、そのデータの分解能が、デジタルフィルタを介して得られる変換対象の電圧信号のA/D変換データに相当するようにサンプリング時間をより長く設定すれば、両者の分解能を同じレベルに調整して除算を行うことができる。
請求項記載のA/D変換回路装置によれば、制御手段は、時間積算的な演算処理を行なうデジタルフィルタを介すことで変換対象電圧信号のA/D変換結果データの分解能が向上した分に相当させて、基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を設定する。例えば、デジタルフィルタを介すことで、A/D変換結果データの分解能が4ビット分向上する場合には、それに応じて、基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を、変換対象電圧信号のサンプリング時間Tに対して「16×T」に設定する。すると、両者の分解能は同等になるので、適切な除算結果を得ることができる。
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図5を参照して説明する。尚、図9と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。本実施例では、パルス位相差符号化回路1の出力側、即ち減算回路7の出力側に2個のラッチ回路(D−FF)11,12(第1,第2ラッチ回路)が直列に接続されている。ラッチ回路11,12によってラッチされたデータD1,D2は減算回路13に出力されており、減算(D2−D1)が行われる。そして、減算回路13の減算結果TDは、デジタルフィルタ14を介すことでデータFDとして出力される。
また、制御回路8に代わって制御回路(制御手段)15が配置されている。制御回路15は、信号PBを、ラッチ回路11及び12,減算回路13,デジタルフィルタ14にも出力するようになっている。ラッチ回路11及び12は、信号PBの立上がりエッジでデータをラッチし、減算回路13,デジタルフィルタ14も、上記立上がりエッジにおいて入力データを取り込んで順次演算処理を行なう。その他の構成については図9に示すものと同様である。
尚、以上の構成において、ラッチ回路11及び12,並びに減算回路13は差分データ演算部16を構成しており、パルス位相差符号化回路1に、デジタルフィルタ14,制御回路15,差分データ演算部16を加えたものがA/D変換回路装置17を構成している。
図2には、デジタルフィルタ14の具体構成例を示す。デジタルフィルタ14は、A/D変換回路装置17で取り扱う信号の帯域を通過帯域とするローパスフィルタの特性を示ものとして、本実施例では、後述する理由により4次のIIR(infinite Impulse Response)フィルタ(2次のIIRフィルタを従属接続したもの)14Cを採用する。
次に、本実施例の作用について図3乃至図5も参照して説明する。図3は、A/D変換回路装置17によって行われるA/D変換処理のタイミングチャートである。例えば、図3(a)に示す入力電圧信号VinをA/D変換する場合、制御回路15は、信号PAをアクティブ(例えばハイ)にしてリングディレイライン(パルス周回回路)2にパルス周回動作を開始させると(図3(b),(1)参照)、所定時間の経過後に信号PBの出力を開始する(図3(c),(2)参照)。そして、以降は信号PBを一定周期ADt(サンプリング時間)で出力して、A/D変換処理を連続的に実行させるようになっている。
すると、ラッチ回路11は、図3(d)に示す周期(3)のタイミングで最初のA/D変換結果D0をラッチし、次の周期(4)では次の変換結果D1をラッチする。そして、ラッチ回路12は、周期(4)でA/D変換結果D0をラッチする(図3(e)参照)。続く周期(5)において、減算回路13は、最初の減算結果TD0を出力し(図3(f)参照)、その次の周期(6)において、デジタルフィルタ14は、最初の出力データFD0を出力する(図3(f)参照)。減算回路13の出力データ:TDn-1=Dn−Dn-1は、サンプリング時間ADtの間にパルス信号がリングディレイライン2を周回した回数と、リングディレイライン2内においてパルス信号が到達している位置を示す値である。
リングディレイライン2は、信号PAがアクティブになった時点から連続的に動作して、パルス位相差符号化回路1は、サンプリング時間ADtが経過する毎に、パルス信号の周回動作状態を示すデータを連続的に出力する。例えば、サンプリング時間ADtが1μsであるとすると、図4に示すように、連続した10回の1μsサンプリングデータ(A/D変換結果)を加算した値は、10μsサンプリングデータに等しくなり、連続した2回の10μsサンプリングデータを加算した値は、20μsサンプリングデータに等しくなる((a)〜(c)参照)。このように、パルス位相差符号化回路1によって出力されるA/D変換データは連続性を持つことになる。
前述したように、従来のパルス位相差符号化回路1だけを用いたA/D変換回路では、サンプリング時間に比例して分解能が向上し、サンプリング時間が10μsの場合の分解能が16ビットであれば、1μsでは13ビット程度となってしまう。これに対して、本実施例のA/D変換回路装置17では、データの連続性により、1μsサンプリングデータTDを10回加算すると10μsサンプリングデータに等しくなる。
ということは、1μsサンプリングデータは、16ビットの分解能でA/D変換されたデータの1部を構成していることになる。換言すれば、16ビットの分解能でA/D変換されたデータの情報を含んでいる。従って、1μsサンプリングデータTDを、信号PBの出力周期ADtに同期して、デジタルフィルタ14において連続的にフィルタ演算を行なえば、そのフィルタ演算における信号の積算効果によって高分解能のデータFDを合成することが可能であることを意味している。
ここで、1μsのサンプリング時間で16ビット以上の分解能のデータを得るためには、少なくとも10μs以上の積算効果を与える必要がある。故に、図2に示すIIRフィルタ14Cを用いる場合は、過去に入力されて処理したデータの影響が残り続けるため、例えば2次のような低い次数でも、積算効果を十分に得ることが可能となる。
図5には、図1に示すA/D変換回路装置17について、実際にA/D変換処理を実行した場合における出力波形の計算結果例を示す。図5(a)は、入力電圧信号Vinとして、±200μV,30kHzの正弦波を与えた場合である。差分データ演算部16における減算回路13の出力データTDは2カウントの振幅で出力されるが、デジタルフィルタ14の出力データFDは21カウントの振幅となっており、約19μV/(カウント)の分解能となっている。また、図5(b)は、入力電圧信号Vinとして、±20μV,30kHzの正弦波を与えた場合である。出力データTDは1カウントの振幅で出力されるが、出力データFDは2〜3カウントの振幅となっている。
以上のように本実施例によれば、制御回路15は、パルス位相差符号化回路1のリングディレイライン2を動作させてA/D変換処理を開始させ、その後所定のサンプリング時間が経過する毎に、カウンタ3及びエンコーダ6において得られるデータを周期的にサンプリングさせる。そして、連続して出力される2回のA/D変換結果データの差分を差分データ演算部16より得ると、その差分データをデジタルフィルタ14によってフィルタリングするようにした。従って、サンプリング時間を短く設定してパルス位相差符号化回路1で行われるA/D変換を高速化した場合でも、デジタルフィルタ14の出力より高分解能の変換データを得ることができる。
そして、差分データ演算部16の2つの直列ラッチ回路11及び12により、制御回路15がアナログ電圧信号Vinを周期的にサンプリングさせるタイミングで、パルス位相差符号化回路1より出力されるデータを順次ラッチし、減算回路13により両データの減算を行うので、減算回路7で行われる、エンコーダ6の周回位置データとカウンタ3のカウントデータとを合成して減算する処理時間に余裕を持たせることができる。
また、デジタルフィルタ14にはIIRフィルタ14Cを用いた。即ち、IIRフィルタ14Cは出力データを入力側にフィードバックさせる構成であるから過去のデータの影響がより長く残り続ける性質を備えており、データの積算効果がより高い。従って、比較的低次の構成であっても十分な積算効果を得ることができるので、A/D変換回路装置17の回路規模を小さくすることができる。
(第2実施例)
図6及び図7は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例は、特許文献1に開示されている構成に、第1実施例の構成を適用したものである。
即ち、パルス位相差符号化回路1の入力側には、入力切換スイッチ(入力切換え手段)21が配置されており、制御回路15に代わる制御回路(制御手段)22は、切換信号SELを出力することでスイッチ21の切り換えを行うようになっている。そして、パルス位相差符号化回路1への入力信号は、最初に基準電圧信号VRが与えられ、続いてA/D変換用の電圧信号Vinが与えられる。従って、パルス位相差符号化回路1からは、各電圧信号VR,Vinに対応したA/D変換データの差分がTDとして出力される。
また、パルス位相差符号化回路1より出力されるデータTDは、レジスタ(記憶手段)23にも出力されており、そのレジスタ23には、パルス位相差符号化回路1によって基準電圧信号VRがA/D変換された場合の変換データが格納される。そのラッチタイミング信号CKは、制御回路22によって出力される(図7(d)参照)。そして、除算器24により、デジタルフィルタ14の出力データFDと、レジスタ23に格納されたデータTDRとの除算が行われ、その除算結果(FD/TDR)が電圧信号VinのA/D変換結果を表すデジタルデータとして出力される(図7(h)参照)。以上が、A/D変換回路装置25を構成している。
尚、レジスタ23に格納される基準電圧信号VRのA/D変換データは、デジタルフィルタ14を介さずに出力される。従って、制御回路22は、基準電圧信号VRのA/D変換を行う場合、デジタルフィルタ14を介して出力されるデータFDと同等の精度となるようにサンプリング時間を長く設定する(図7(b)参照)。
例えば、サンプリング時間ADtが1μsであり、パルス位相差符号化回路1の出力データTDが15ビットであるとする。それを、デジタルフィルタ14でフィルタ処理することで分解能を4ビット上げ、最終的に19ビットのデータFDが出力される場合には、基準電圧信号VRのA/D変換は16μsに設定する。即ち、4ビットの分解能向上に相当するようにサンプリング時間を16倍する。
以上のように構成された第2実施例によれば、パルス位相差符号化回路1の電圧信号入力端子に、予め設定された基準電圧信号VRとA/D変換対象の電圧信号Vinとを切り換えて与え、基準電圧信号VRが与えられてA/D変換が行われた場合に、差分データ演算部16より出力される差分データをレジスタ23に記憶させる。そして、A/D変換対象の電圧信号Vinが与えられた場合にデジタルフィルタ14より出力されるデータを、に記憶されたデータで除算して出力するようにした。
従って、温度変化によってリングディレイライン2内の反転ゲート2aの反転動作時間が変化することで、電圧信号Vinを表すデータFDが変化したとしても、基準電圧信号VRを表すデータTDRも同様に変化するため、除算器24においてその変動分が相殺される。従って、除算器24から出力されるデジタルデータは、温度変化による反転ゲート2aの反転動作時間変化の影響を受けることはなく、常に電圧信号Vinに対応した高精度のデジタルデータを得ることが可能となる。
また、本発明の構成では、基準電圧信号VRのA/D変換データは単一のデータとなるのでデジタルフィルタ14を介さずレジスタ23に記憶される。従って、そのデータの分解能が、デジタルフィルタ14を介して得られる電圧信号VinのA/D変換データに相当するようにサンプリング時間をより長く設定することで、両者の分解能を同じレベルに調整することができる。そして、そのサンプリング時間を、デジタルフィルタ14を介すことで電圧信号VinのA/D変換結果データの分解能が向上した分に相当するように設定したので、両者の分解能が同等になって、適切な除算結果を得ることができる。
(第3実施例)
図8は本発明の第3実施例を示すものであり、第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。第3実施例におけるパルス位相差符号回路26には、第1実施例の構成におけるリングディレイライン2に代わって、偶数(例えば16)個の正転バッファ(遅延ゲート)27aを用いて構成したリングディレイライン(パルス周回回路)27が使用されている。
ここで、正転バッファ27aは、実質的には2個の反転バッファの組み合わせによって構成されており、それらの内1つは、第1NANDゲート27bと出力側の反転バッファ27cの組み合わせとして、また別の1つは、第2NANDゲート27dと入力側の反転バッファ27cの組み合わせとして構成されている。従って、それらのトータルで16段構成となっている。尚、第1NANDゲート27bは、パルス周回動作の起動制御用であり、第2NANDゲート27dは、リングディレイライン27を周回するパルスのデューティ比を設定するものである。そして、パルスセレクタ(周回位置検出手段)28は、リングディレイライン27におけるパルス信号の到達位置を示すデータを出力し、エンコーダ(周回位置検出手段)29は、そのデータを4ビットデータにエンコードして出力する。以上がA/D変換回路装置30を構成している。
斯様に構成された第3実施例によれば、リングディレイライン27が偶数個の正転バッファで構成されていることで、第1実施例で用いた減算回路7が不要となり、ラッチ回路4の10ビットデータとエンコーダ29により出力される4ビットデータとは、単に上位側10ビット、下位側4ビットとして連結してラッチ回路11に入力すれば良くなる。
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
ラッチ回路11を削除して、減算回路7の出力データをそのまま減算に用いても良い。
各部のビット構成やサンプリング時間などは、個別の設計に応じて適宜変更して実施すれば良い。
車両のノック制御に使用するものに限らず、例えば、車載用クリアランスソナーに用いられる超音波信号の検出などにも使用することができる。
本発明の第1実施例であり、A/D変換回路装置の構成を示す機能ブロック図 デジタルフィルタの具体構成例であり、IIRフィルタを示す図 A/D変換処理のタイミングチャート サンプリング時間とサンプリングデータ数との関係を示すもので、(a)は1μs、(b)は10μs、(c)は20μsの場合を示す図。 実際にA/D変換処理を実行した場合における出力波形の計算結果例であり、(a)は±200μV,30kHzの正弦波、(b)±20μV,30kHzの正弦波を与えた場合を示す図 本発明の第2実施例を示す図1相当図 図3相当図 本発明の第3実施例を示す図1相当図 従来技術を示す図1相当図 サンプリング時間とA/D変換の分解能との関係を示す図
符号の説明
図面中、1はパルス位相差符号化回路、2はリングディレイライン(パルス周回回路)、2a,2bは反転ゲート(遅延ゲート)、3はカウンタ、5はパルスセレクタ(周回位置検出手段)、6はエンコーダ(周回位置検出手段)、11,12はラッチ回路(第1,第2ラッチ回路)、13は減算回路、14はデジタルフィルタ、14CはIIRフィルタ、15は制御回路(制御手段)、16は差分データ演算部、17はA/D変換回路装置、21は入力切換スイッチ(入力切換え手段)、22は制御回路(制御手段)、23はレジスタ(記憶手段)、24は除算器、25はA/D変換回路装置、26はパルス位相差符号回路、27はリングディレイライン(パルス周回回路)、27aは正転バッファ(遅延ゲート)、28はパルスセレクタ(周回位置検出手段)、29はエンコーダ(周回位置検出手段)、30はA/D変換回路装置を示す。

Claims (8)

  1. アナログの電圧信号を、二進数のデジタルデータに変換するA/D変換回路装置であって、
    複数の遅延ゲートをリング状に連結することでパルス信号を周回させるもので、その周回動作の停動が外部より制御可能に構成されるパルス周回回路と、
    前記各遅延ゲートの電源ラインに接続され、前記電圧信号を各遅延ゲートの電源電圧として印加するための電圧信号入力端子と、
    前記パルス周回回路におけるパルス信号の周回回数をカウントするカウンタと、
    前記パルス周回回路内におけるパルス信号の周回位置を検出し、その周回位置に応じたデータを発生する周回位置検出手段とを備え、前記周回位置検出手段の周回位置データと前記カウンタのカウントデータとを合成した複数ビットのデジタルデータを、A/D変換結果として出力するパルス位相差符号化回路と、
    このパルス位相差符号化回路のパルス周回回路を動作させてA/D変換処理を開始させ、その後所定のサンプリング時間が経過する毎に、前記カウンタ及び前記周回位置検出手段において得られるデータを周期的にサンプリングさせるように制御する制御手段と、
    前記パルス位相差符号化回路の出力側に配置され、連続して出力される2回のA/D変換結果データの差分を得る差分データ演算部と、
    この差分データ演算部より出力されるデータを、A/D変換分解能を向上させるためフィルタリングするIIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタとを備えたことを特徴とするA/D変換回路装置。
  2. 前記差分データ演算部は、
    前記パルス位相差符号化回路の出力側に直列に配置され、前記制御手段がデータをサンプリングさせるタイミングでデータをラッチする第1及び第2ラッチ回路と、
    前記第2ラッチ回路によってラッチされたデータより、前記第1ラッチ回路によってラッチされたデータを減算する減算回路とで構成されていることを特徴とする請求項1記載のA/D変換回路装置。
  3. 前記パルス位相差符号化回路の電圧信号入力端子に、予め設定された基準電圧信号と、A/D変換対象の電圧信号とを切り換えて与えるための入力切換手段と、
    この入力切換手段によって前記電圧信号入力端子に基準電圧信号が与えられたときに、前記差分データ演算部より出力される差分データを記憶する記憶手段と、
    前記入力切換手段によって前記電圧信号入力端子にA/D変換対象の電圧信号が与えられた場合に、前記デジタルフィルタより出力されるデータを、前記記憶手段に記憶されたデータで除算して出力する除算器とを備え、
    前記制御手段は、前記パルス位相差符号化回路が前記基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を、A/D変換対象の電圧信号をA/D変換する場合よりも長くなるように設定することを特徴とする請求項1又は2記載のA/D変換回路装置。
  4. 前記制御手段は、前記デジタルフィルタを介すことで変換対象電圧信号のA/D変換結果データの分解能が向上した分に相当するように、前記基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を設定することを特徴とする請求項3記載のA/D変換回路装置。
  5. 複数の遅延ゲートをリング状に連結することでパルス信号を周回させるもので、その周回動作の停動が外部より制御可能に構成されるパルス周回回路と、
    前記各遅延ゲートの電源ラインに接続され、前記電圧信号を各遅延ゲートの電源電圧として印加するための電圧信号入力端子と、
    前記パルス周回回路におけるパルス信号の周回回数をカウントするカウンタと、
    前記パルス周回回路内におけるパルス信号の周回位置を検出し、その周回位置に応じたデータを発生する周回位置検出手段とを備え、前記周回位置検出手段の周回位置データと前記カウンタのカウントデータとを合成した複数ビットのデジタルデータを、A/D変換結果として出力するパルス位相差符号化回路を用いたA/D変換方法であって、
    このパルス位相差符号化回路のパルス周回回路を動作させてA/D変換処理を開始させ、その後所定のサンプリング時間が経過する毎に、前記カウンタ及び前記周回位置検出手段において得られるデータを周期的にサンプリングし、
    前記パルス位相差符号化回路より連続して出力される2回のA/D変換結果データの差分を得て、
    前記差分データを、A/D変換分解能を向上させるためIIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタによってフィルタリングすることを特徴とするA/D変換方法。
  6. 前記パルス位相差符号化回路の出力側に直列に配置した第1及び第2ラッチ回路によって出力データをラッチし、
    前記第2ラッチ回路によってラッチされたデータより、前記第1ラッチ回路によってラッチされたデータを減算して差分データを得ることを特徴とする請求項5記載のA/D変換方法。
  7. 前記パルス位相差符号化回路の電圧信号入力端子に、予め設定された基準電圧信号と、A/D変換対象の電圧信号とを切り換えて入力可能とし、
    前記電圧信号入力端子に基準電圧信号が与えられたときに得られる差分データを記憶手段に記憶し、
    前記電圧信号入力端子にA/D変換対象の電圧信号が与えられた場合に、前記デジタルフィルタより出力されるデータを、前記記憶手段に記憶されたデータで除算して出力し、
    前記パルス位相差符号化回路が前記基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を、A/D変換対象の電圧信号をA/D変換する場合よりも長くすることを特徴とする請求項5又は6記載のA/D変換方法。
  8. 前記デジタルフィルタを介すことで変換対象電圧信号のA/D変換結果データの分解能が向上した分に相当するように、前記基準電圧信号をA/D変換する場合のサンプリング時間を設定することを特徴とする請求項7記載のA/D変換方法。
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