JP4140182B2 - 遊星歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用の差動歯車機構等として用いるのに好適な遊星歯車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の遊星歯車装置は、内歯車と、この内歯車と軸線を一致させて配置された太陽歯車と、内歯車と太陽歯車との間にそれらと平行に配置された遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に収容する収容孔が形成されたキャリヤとを備えており、キャリヤには、収容孔を外部に開放する開放部が二つ形成されており、各開放部から遊星歯車の外周部の一部と他の一部とが外部に露出している。そして、遊星歯車は、各開放部から外部に露出した各部において内歯車及び太陽歯車とそれぞれ噛み合っている(特開平4−312247号公報及び特開平9−112657号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の遊星歯車装置においては、遊星歯車の回転動作中の振動が大きく、また遊星歯車及びキャリヤの損傷が大きいという問題があった。この問題について鋭意研究したところ、その原因が、収容孔の内周面の開放部に臨む端縁に接触する遊星歯車の接触歯数が1未満になっている点にあることが判明した。なお、この原因の詳細については後述する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するために、内歯車と、この内歯車の内側に軸線を内歯車の軸線と一致させて配置された太陽歯車と、上記内歯車と上記太陽歯車との間にそれらと平行に配置され、上記内歯車と上記太陽歯車との間の回転を伝達する遊星歯車と、上記内歯車と軸線を一致させて相対回転可能に配置され、上記遊星歯車を自転可能に収容する収容孔が形成されたキャリヤとを備え、上記キャリアには、上記収容孔の軸線に沿って延び、上記収容孔の内部と外部とを連通させる開放部が上記キャリアの径方向の外側と内側とに2箇所形成され、上記遊星歯車の外周部が上記二つの開放部から上記収容孔の外部に露出させられた遊星歯車装置において、上記遊星歯車としてヘリカルギヤを用い、上記遊星歯車の一つ以上の歯が、上記遊星歯車の回転位置に拘わらず、上記収容孔の内周面の上記開放部に臨む端縁に対して接触し得るように構成したことを特徴としている。この場合、上記遊星歯車の二つ以上の歯が、上記遊星歯車の回転位置に拘わらず、上記収容孔の内周面の上記開放部に臨む端縁と接触し得るように構成するのが望ましい。
また、上記遊星歯車の一つ以上の歯が、上記遊星歯車の回転位置に拘わらず、一の開放部の両側に臨む収容孔の内周面の二つの端縁と同時に接触し得るように構成するのが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1〜図12を参照して説明する。
図1〜図6は、この発明の一実施の形態を示す。図1及び図2に示すように、この実施の形態の遊星歯車装置1は、ハウジング(キャリア)2、内歯車3、太陽歯車4及び遊星歯車5を有している。
【0006】
ハウジング2は、二つの半体2A,2Bを有している。一方の半体(図1において左側の半体)2Aは、駆動筒部21と、この駆動筒部21の半体2B側の端部に形成されたフランジ部22とを有している。駆動筒部21の半体2Bと逆側の端部には、スプライン孔21aが形成されている。このスプライン孔21aに駆動軸(図示せず)が回転不能に連結され、ハウジング2全体が軸線Lを中心として回転駆動されるようになっている。フランジ部22の半体2B側の端面には、軸線Lと同軸の円筒状をなす保持部23(図3参照)が形成されている。他方の半体2Bは、保持部23より大径で、かつ保持部23より若干長い円筒状の収容筒部24と、この収容筒部24の半体2Aと逆側の端部に形成された底部25と、収容筒部24の半体2A側の端部に形成されたフランジ部26とで構成されている。フランジ部26がフランジ部22にボルトBによって固定されることより、半体2A,2Bが互いの軸線を軸線Lと一致させて一体的に固定されている。
【0007】
上記内歯車3は、収容筒部24の内径とほぼ同一の外径を有しており、その軸線を軸線Lと一致させた状態で収容筒部24に回動可能に嵌合されている。内歯車3の長さは、フランジ部22と底部25との対向面間の距離とほぼ同一である。したがって、内歯車3は、その軸線方向へはほとんど移動不能になっている。内歯車3の内径は、保持部23の外径とほぼ同一か、僅かに大径になっており、その内周面には、半体2A側に第1内歯車部31が形成され、逆側に第2内歯車部32が形成され、それらの間に環状の凹部33が形成されている。第1内歯車部31は、多数の捩れ歯を有している。また、第1内歯車部31は、保持部23とほぼ同一の長さをもって形成され、軸線L方向において保持部23と同一位置に配置されている。したがって、第1内歯車部31全体が保持部23の外周面と対向している。第2内歯車部32は、この実施の形態では、第1内歯車部31と同一の歯車諸元及び同一の位相をもって形成されている。したがって、凹部33を形成することなく、第2内歯車部32を第1内歯車部31と連続させて形成してもよい。勿論、第2内歯車部32は、第1内歯車部31と異なる歯車諸元をもって形成してもよく、例えば捩れ歯でなく、ストレートな歯として形成してもよい。
【0008】
太陽歯車4は、全体が円筒状をなしており、その軸線を軸線Lと一致させてハウジング2内に回動可能に配置されている。太陽歯車4は、駆動筒部21内に収容された円筒状をなす連結部41と、内歯車3内に収容された外歯車部42とから構成されている。連結部41は、駆動筒部21の内周面に軸受Jを介して回転自在に支持されている。連結部41の外側(図1において左側)の端部には、スプライン孔41aが形成されている。このスプライン孔41aには、太陽歯車4の回転を例えば車両の一方の駆動輪等の被駆動体に伝達する出力軸(図示せず)が連結される。外歯車部42の外径は、保持部23の内径とほぼ同一か、若干小径になっている。外歯車部42は、その長さが保持部23とほぼ同一になっており、軸線L方向において保持部23と同一位置に配置されている。外歯車部42の外周面には、多数の捩れ歯が外歯車部42の全長にわたって形成されている。
【0009】
図3に示すように、上記半体2Aの保持部23には、複数の収容孔23aが形成されている。各収容孔23aは、保持部23の先端面(図1において右端面)から基端側へ向かって軸線Lと平行に延びており、保持部23とほぼ同一の長さを有している。各収容孔23aは、保持部23の周方向へ等間隔に配置されている。各収容孔23aは、その軸線が保持部23の内周面と外周面とのほぼ中央に位置するように配置されている。しかも、各収容孔23aの内径は、保持部23の厚さ(保持部23の内周面の半径と外周面の半径との差)より大きくなっている。したがって、収容孔23aの外側の一側部と内側の他側部(保持部23の径方向における外側の一側部と内側の他側部)とは、保持部23の外周面および内周面からハウジング2の外側及び内側に向かってそれぞれ開放されている。以下、外側の開放部を外側開放部23bと称し、内側の開放部を内側開放部23cと称する。
【0010】
図1及び図2に示すように、半体2Aの各収容孔23aには、上記遊星歯車5が回転自在に収容されている。したがって、遊星歯車5は、ハウジング2と共に軸線Lを中心として公転可能であるとともに、遊星歯車5自体の軸線(収容孔23aの軸線)を中心として自転可能である。遊星歯車5の外径は、収容孔23aの内径とほぼ同一になっている。したがって、図2及び図4に示すように、遊星歯車5の外周部は、収容孔23aから外側及び内側開放部23b,23cを介して外部に突出している(図4〜図6参照)。そして、遊星歯車5は、外側開放部23bにおいて内歯車3の第1内歯車部31と噛み合い、内側開放部23cにおいて太陽歯車4の外歯車部42と噛み合っている。遊星歯車5は、保持部23の先端面にボルトBによって押圧固定された抜け止め板6により、収容孔23aから抜け止めされている。しかも、遊星歯車5の全長が収容孔23aの全長とほぼ同一であるので、遊星歯車5は、軸線L方向へほとんど移動不能になっている。なお、抜け止め板6は、保持部23の断面形状とほぼ同一形状のリング状をなしており、保持部23と同軸に配置されている。
【0011】
抜け止め板6と半体2Bの底部25との対向面間には、出力部材7がその軸線を軸線Lと一致させ、かつ軸線L方向へほとんど移動不能に配置されている。この出力部材7の外周には、歯車部71が形成されている。この歯車部71は、スプライン嵌合と同様の形態で内歯車3の第2歯車部32と噛み合っている。したがって、出力部材7は、内歯車3と一体に回転する。出力部材7のの内周面には、スプライン孔72が形成されている。このスプライン孔72には、内歯車3の回転を例えば車両の他方の駆動輪等の被駆動体に伝達する出力軸(図示せず)が連結される。
【0012】
図4〜図6は、遊星歯車5の各歯と、収容孔23aの内周面の内側開放部23cに臨む端縁23d、23eとの関係を示す図である。この図においては、遊星歯車5の任意の歯に符号51nが付され、この歯51nに対し図5(A)の矢印方向後方に続く歯には符号51n+1,51n+2、…が付されている。ここで、遊星歯車5と収容孔23aとの軸線L方向(図5において上下方向)における接触長さ(この実施の形態では、遊星歯車5の長さとほぼ等しい。)をL1とし、遊星歯車5の外周面における二つの歯51n,51n+1のピッチ(外周面上の円弧長さ;以下、同じ)をPとし、遊星歯車5の外周面における歯の捩れ角をαとし、遊星歯車5の周方向における各歯51nの刃先ランドの幅(外周面上における円弧長さ;以下、同じ)をWとすると、
P≦L1・Tanα+W
が成立するように、各寸法が設定されている。
【0013】
P=L1・Tanα+Wが成立する場合において、いま、図4(A),(B)に示すように、遊星歯車5が矢印方向に回転し、その歯51nが端縁23dの長手方向の一端(図4(A)において上端)に接触し始めたものとする。歯51nの端縁23dとの接触箇所は、遊星歯車5が矢印方向に回転するのに伴って端縁23dの他端側(下端側)へ移動する(図5(A),(B)参照)。そして、遊星歯車5が、ピッチPだけ回転すると、図6(A),(B)に示すように、歯51nが端縁23dから回転方向(収容孔23aの周方向)に離れる。これと同時に歯51nの回転方向後方に続く歯51n+1が端縁23dの上端に接触し始める。よって、遊星歯車5は、ハウジング2の外側から内側へ向かう力を受けている場合には、その回転位置に拘わらず、全ての歯のうちの少なくとも一つの歯51nが必ず端縁23dと接触することになり、全ての歯が端縁部23dから周方向に離れている状態が現出することはない。
【0014】
P<L1・Tanα+Wが成立する場合には、(L1・Tanα+W)−P=ωとすると、歯51nが端縁23dに接触し始めてから遊星歯車5がピッチPだけ回転すると、歯51n+1が接触し始め、円弧長さωの分だけ遊星歯車5が回転する間は、二つの歯51n,51n+1が端縁23dと同時に接触することになる。
【0015】
なお、上記の関係は、遊星歯車5の各歯51nと、端縁23eとの関係、及び収容孔23aの内周面の外側開放部23bに臨む端縁23f,23gとの関係においても同様である。
【0016】
上記構成の遊星歯車装置1において、いま仮にP>L 1 ・Tanα+Wであったものとする。この場合には、遊星歯車5の任意の歯51nが端縁23dを離れてから遊星歯車5が周方向における長さ{(L 1 ・Tanα+W)−P}だけ回転する間は、歯51nに続く歯51n+1が端縁23dと接触することができず、遊星歯車5の端縁23dに対する接触歯数が1未満になってしまう。接触歯数が1未満であると、いずれかの歯51nが端縁23dに接触している状態と、いずれの歯51nも端縁23dから離れている状態とが現出し、前者の場合と後者の場合とでは、遊星歯車5が隣接する二つの歯51n,51n−1を結ぶ弦と弧との間の最大間隔とほぼ同一距離の分だけ端縁23dに対して接近離間する方向へ移動可能になる。ただし、遊星歯車5の外径と収容孔23aの内径との差が弦と弧との最大間隔より小さいので、遊星歯車は5、実際には収容孔23aと遊星歯車5との直径差の分だけ移動可能であり、いずれの歯51nも端縁23dに接触していないときには、いずれかの歯51nが端縁23dに接触しているときに比して直径差の分だけ端縁23dに接近する方向(ハウジング2の内側)へ移動可能である。このため、いずれの歯51nも端縁23dに接触していない状態からいずれかの歯51nが端縁23dに接触し始めるときには、端縁23dに接触し始めた歯51nによって遊星歯車5が端縁23dから離間する方向(ハウジング2の外側)へ押し戻される。このため、遊星歯車5が内歯車3及び太陽歯車4との噛み合いによって端縁23d側へ押されていると、遊星歯車5はその回転に伴って端縁23dに接近離間するように移動(振動)する。そして、遊星歯車5の振動により、装置1全体が振動していたのである。また、いずれかの歯51nが端縁23dに接触し始めるときには、歯51nの一部が端縁23dに衝撃的に突き当たる。その衝撃により、遊星歯車5の各歯51n及び端縁23dに損傷が発生していたのである。
【0017】
この点、上記の遊星歯車装置1においては、遊星歯車5の回転位置に拘わらずいずれかの歯51nが端縁23dに接触している。したがって、遊星歯車5が内歯車3及び太陽歯車4との噛み合いによって端縁23d側へ押されている場合であっても、理論上、遊星歯車5は端縁23dに対して接近離間する方向へ移動させられることがなく、一定の位置を維持する。したがって、遊星歯車5が振動することがなく、装置1全体の振動を防止することができる。また、遊星歯車5が一定の位置を維持するから、遊星歯車5の各歯51nは端縁23dに接触し始めるときに衝突することがなく、収容孔23の内周面に滑らかに接触する。よって、遊星歯車5の各歯51n及び端縁23dが損傷するのを防止することができる。勿論、このような効果は、遊星歯車5の各歯51nと他の端縁23e,23f,23gとについても同様である。
【0018】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、その基本的な構成が上記の実施の形態と同様であり、遊星歯車5と収容孔23aとの関係、特に遊星歯車5の各歯51nと端縁23d〜23gとの関係が異なっている。そこで、異なる構成についてのみ説明することとする。
【0019】
図7〜図9は、この発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、遊星歯車5の長手方向の一端部が収容孔23aから外部に突出する一方、他端面が収容孔23aの底面から離れている。勿論、前述した実施の形態と同様に、遊星歯車5の全長を収容孔23aの全長とほぼ同一にし、遊星歯車5の他端面を収容孔23aの底面に接触させ、遊星歯車5全体を収容孔23aに挿入してもよい。
【0020】
また、この実施の形態においては、遊星歯車5の外周面と収容孔23aの内周面との接触長さをL1とし、遊星歯車5の外周面における各歯51nのピッチ、捩れ角及び幅をP、α、Wとすると、
2P=L 1 ・Tanα+W
を満たすように各寸法が設定されている。したがって、図7(A),(B)に示すように、遊星歯車5が矢印X方向へ回転し、任意の歯51nが端縁23dの一端縁(図7(A)において上端縁)に接触し始めたものとすると、歯51nに対して遊星歯車5の回転方向前方に隣接する歯51n−1も端縁23dに接触している。歯51n,51n−1の端縁23bに対する接触箇所は、遊星歯車5の回転に伴って端縁23dの他端側へ移動する(図8(A),(B)参照)。そして、遊星歯車5が1ピッチ分だけ回転すると、図9(A),(B)に示すように、歯51n−1が端縁23dの下端縁から遊星歯車5の回転方向へ離れる。これと同時に、歯51n+1が端縁23dとその上端縁において接触し始める。これから明かなように、この実施の形態においては、遊星歯車5の回転方向に隣接する二つの歯51n,51n−1が端縁23dと同時に接触する。したがって、遊星歯車5の端縁23dに接近離間する方向への移動を上記の実施の形態より確実に防止することができ、それによって遊星歯車5の振動をより小さく抑えることができるとともに、遊星歯車5の歯51n及び端縁23dの損傷をより小さくすることができる。
【0021】
なお、上式2P=L 1 ・Tanα+Wについては、前述した実施の形態と同様に、
2P<L 1 ・Tanα+W
にしてもよい。その場合には、遊星歯車5の端縁23dとの接触歯数を2より大きくすることができ、接触歯数は遊星歯車5の回転位置に応じて2と3のいずれかになる。
【0022】
図10〜図12に示す実施の形態は、遊星歯車5の回転位置に拘わらず、一つ以上の歯51nが端縁23d,23eの両方と同時に接触することができるようにしたものである。これを満たすために、遊星歯車5の外周面と収容孔23aの内周面との接触長さをL1とし、遊星歯車5の外周面における各歯51nの捩れ角及び幅をそれぞれα、Wとし、収容孔23aの周方向に沿う端縁23d,23e間の長さ(円弧長さ)をDとしたとき、
L 1≧(D−W)/Tanα
の関係を満たすように各寸法が設定されている。L 1 =(D−W)/Tanαが成立する場合には、理論上、遊星歯車5は、その回転位置に拘わらず、いずれか一つの歯51nが端縁23d,23eと同時に接触する。L 1 >(D−W)/Tanαが成立する場合には、遊星歯車5は、その回転位置に拘わらず、1又は複数の歯が端縁23d,23eと接触する。このような関係は、遊星歯車5の各歯51nと外側開放部23bの端縁23f,23gとの関係についても同様である。
【0023】
上記実施の形態においては、一つ以上の歯51nが二つの端縁23d,23eに同時に接触しているので、振動をより一層軽減することができる。特に、遊星歯車5が内歯車3及び太陽歯車4との噛み合いによって押される方向が端縁23d側と端縁23e側とに変動する場合には特に有効である。また、各歯51nが端縁23d,23eの両者と接触しているので、各歯51nと端縁23d,23eとの接触面圧を半分にすることができる。したがって、各歯51n及び端縁23d,23eの損傷も半減することができる。しかも、この実施の形態では、遊星歯車5と端縁23dとの接触歯数が2以上になっている。したがって、振動及び損傷をさらに軽減することができる。
【0024】
なお、この発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、ハウジング2を回転駆動し、内歯車3及び太陽歯車4の回転を出力としているが、内歯車3を回転駆動し、ハウジング(キャリヤ)2及び太陽歯車4の回転を出力としたり、あるいは太陽歯車5を回転駆動し、ハウジング2及び内歯車3の回転を出力としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、一つの遊星歯車5を内歯車3及び太陽歯車4と噛み合わせているが、特開平4−312247号公報に記載のもののように、内歯車3と太陽歯車4との間に互いに噛み合う一対の遊星歯車を配置し、外側の遊星歯車を内歯車3と噛み合わせるとともに、内側の遊星歯車を太陽歯車4と噛み合わせるようにしてもよい。その場合、ハウジング2には、一対の遊星歯車をそれぞれ収容する一対の収容孔が形成される。各収容孔は、互いに連通し、その連通箇所(開放部)において一対の遊星歯車が噛み合う。外側の遊星歯車を収容する収容孔は、ハウジング2の外周側に位置する一側部が開放され、その開放部において外側の遊星歯車が内歯車3と噛み合う。内側の遊星歯車を収容する収容孔は、ハウジングの内周側に位置する一側部が開放され、その開放部において内側の遊星歯車が太陽歯車4と噛み合う。一対の遊星歯車は、周方向に等間隔をもって複数対配置してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、遊星歯車が振動するのを防止することができ、それによって遊星歯車装置全体の振動を防止することができ、また遊星歯車の歯及びキャリヤの損傷を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す図であって、図2のZ−Z線に沿う断面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】ハウジングの一方の半体を図1の矢印Y方向から見た図である。
【図4】キャリヤの収容孔の内周面の内側開放部に臨む端縁と、収容孔に収容された遊星歯車の歯との関係を示す図であって、図4(A)は遊星歯車の任意の歯が端縁の上端部に接触し始め状態のときのキャリヤを図1のY方向から見た図であり、図4(B)は図4(A)のB−B線に沿う端面図である。
【図5】遊星歯車が図4に示す状態からその外周面における半ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図5(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図6】遊星歯車が図4に示す状態からその外周面における1ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図6(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図7】この発明の他の実施の形態における遊星歯車の歯と収容孔の内側開放部に臨む端縁との関係を示す図であって、図7(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図8】遊星歯車が図7に示す状態からその外周面における半ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図8(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図9】遊星歯車が図7に示す状態からその外周面における1ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図9(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図10】この発明のさらに他の実施の形態における遊星歯車の歯と収容孔の内側開放部に臨む端縁との関係を示す図であって、図10(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図11】遊星歯車が図10に示す状態からその外周面における半ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図11(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【図12】遊星歯車が図10に示す状態からその外周面における1ピッチ分だけ回転したときの状態を示す図であって、図12(A),(B)はそれぞれ図4(A),(B)と同様の図である。
【符号の説明】
L 軸線
1 遊星歯車装置
2 ハウジング(キャリヤ)
3 内歯車
4 太陽歯車
5 遊星歯車
23a 収容孔
23b 外側開放部
23c 内側開放部
23d 端縁
23e 端縁
23f 端縁
23g 端縁
Claims (1)
- 内歯車と、この内歯車の内側に軸線を内歯車の軸線と一致させて配置された太陽歯車と、上記内歯車と上記太陽歯車との間にそれらと平行に配置され、上記内歯車と上記太陽歯車との間の回転を伝達する遊星歯車と、上記内歯車と軸線を一致させて相対回転可能に配置され、上記遊星歯車を自転可能に収容する収容孔が形成されたキャリアとを備え、上記キャリアには、上記収容孔の軸線に沿って延び、上記収容孔の内部と外部とを連通させる開放部が上記キャリアの径方向の外側と内側とに2箇所形成され、上記遊星歯車の外周部が上記二つの開放部から上記収容孔の外部に露出させられた遊星歯車装置において、
上記遊星歯車としてヘリカルギヤを用い、上記遊星歯車は、その回転位置に拘わらず上記二つの開放部のうちの一の開放部の両側に臨む上記収容孔の内周面の二つの端縁と同時に接触し得る歯を一つ以上有していることを特徴とする遊星歯車装置。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
JP2000283623A JP4140182B2 (ja) | 2000-09-19 | 2000-09-19 | 遊星歯車装置 |
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