JP2004060694A - 遊星歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハウジングの円筒部2bには、円筒部2bの軸線に沿って延びる収容孔2eを形成する。収容孔2eは、5つ形成する。5個の収容孔2eは、円筒部2bの周方向へ向かって等間隔に配置する。各収容孔2eには、それぞれ遊星歯車5を回転可能に収容する。各遊星歯車5は、内歯車3及び太陽歯車4と噛み合わせる。内歯車3、太陽歯車4及び遊星歯車5の各歯を捩れ歯とし、それぞれの歯数を36,24,6にする。この結果、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5間に存する内歯車3及び太陽歯車4の各歯数は、7.2,4.8となり、小数点以下の端数を有する数になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内歯車、遊星歯車及び太陽歯車を備えた遊星歯車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遊星歯車装置は、それぞれの軸線を回転軸線と一致させた内歯車及び太陽歯車と、回転軸線を中心として回転可能に配置されたキャリアと、このキャリアに設けられた収容孔に回転可能に収容された遊星歯車とを備えている。遊星歯車は、内歯車及び太陽歯車と噛み合っている。したがって、例えばキャリアが回転駆動されると、その回転が遊星歯車を介して内歯車と太陽歯車とに伝達される。この場合、遊星歯車が自転すると、内歯車と太陽歯車とが差動回転する。遊星歯車が自転しないときには、内歯車、キャリア、遊星歯車及び太陽歯車全体が一体に回転する(特開平4−312247号公報、特開平9−112657号公報、特開平9−144844号公報参照)。
【0003】
上記遊星歯車装置においては、差動回転時に遊星歯車が回転(自転)すると、遊星歯車の外周面と収容孔の内周面との間に遊星歯車の回転を止めようとする摩擦抵抗(摩擦トルク)が生じる。また、内歯車、遊星歯車及び太陽歯車が捩れ歯を有しているので、内歯車と遊星歯車との間、及び太陽歯車と遊星歯車との間には、スラスト力が作用する。このスラスト力により、内歯車及び太陽歯車が軸線方向へ押されてそれぞれの端面が遊星歯車装置のハウジングに突き当たるとともに、遊星歯車の端面が収容孔の底面に突き当たる。その結果、内歯車、太陽歯車及び遊星歯車の各端面には、それらの回転を阻止しようとする摩擦抵抗(摩擦トルク)が発生する。これらの摩擦トルクにより、内歯車と太陽歯車との差動回転が制限されるようになっている。しかも、差動制限力は、入力トルクに応じて変化する。したがって、上記遊星歯車装置は、トルク感応型の差動制限機能を内蔵している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、差動制限機能を内蔵した従来の遊星歯車装置においては、内歯車と太陽歯車との差動回転時に両者に伝達される回転トルクの大きさの比率であるトルクバイアス比が大きく変動するという問題があった。
すなわち、従来の差動歯車装置においては、遊星歯車の外周面に作用する摩擦トルクのみならず、内歯車、太陽歯車及び遊星歯車の各端面に摩擦トルクを作用させるために各歯車の歯を捩れ歯としているのであるが、各歯車の歯を捩れ歯にすると、遊星歯車と内歯車及び太陽歯車との噛み合い箇所が遊星歯車の回転に伴ってその軸線方向へ周期的に移動する。噛み合い箇所が遊星歯車の一端側に位置しているときには、遊星歯車と内歯車及び太陽歯車との噛み合い反力により、遊星歯車が収容孔の軸線に対して一方側に傾斜した状態になる。噛み合い箇所が遊星歯車の軸線方向の中央部に位置しているときには、遊星歯車が収容孔の軸線と平行になる。噛み合い箇所が遊星歯車の他端側に位置しているときには、内歯車及び太陽歯車との噛み合い反力により、遊星歯車が収容孔の軸線に対して他方に傾斜した状態になる。このような傾斜状態の変化に伴って遊星歯車の外周面と収容孔の内周面との接触圧が遊星歯車の噛み合い周期(=360°/遊星歯車の歯数)に応じて変化する。この結果、遊星歯車に作用する摩擦トルクが周期的に変動する。
【0005】
ここで、遊星歯車が一つだけ設けられているのであれば、一定入力トルクの場合、摩擦トルクの変動量が比較的小さく、それほど問題になることはない。ところが、遊星歯車は、通常、複数設けられている。仮に、6個の遊星歯車が設けられ、各遊星歯車の摩擦トルクが0〜2の間で変動するものとすると、従来の遊星歯車装置では、各遊星歯車の摩擦トルクが同一位相で変化するようになっているため、図8に示すように、6個の遊星歯車全体では、各遊星歯車の摩擦トルクの変動が累積され、摩擦トルクが0〜12の間で変動し、その変動幅が6倍、つまり遊星歯車の個数倍に大きくなる。この結果、トルクバイアス比が大きく変動し、ノイズや振動発生の原因になるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題解決するためになされたもので、それぞれの軸線を回転軸線と一致させて配置された内歯車及び太陽歯車と、上記回転軸線を中心として回転可能に配置され、上記回転軸線を中心とする円周上に回転軸線と平行に延びる複数の収容孔が形成されたキャリアと、このキャリアの各収容孔にそれぞれ回転可能に収容され、上記内歯車及び上記太陽歯車と噛み合う複数の遊星歯車とを備え、上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車が捩れ歯を有している遊星歯車装置において、上記複数の遊星歯車のうちの、少なくとも一つの遊星歯車の上記内歯車及び上記太陽歯車に対する噛み合い位相を、他の遊星歯車の噛み合い位相と異なる位相にしたことを特徴としている。
この場合、上記回転軸線を中心とする周方向において互いに隣接する二つの遊星歯車の間に存する上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯の歯数を、小数点以下の端数を有する歯数とすることにより、互いに隣接する二つの遊星歯車の噛み合い位相を互いに異なる位相にすることができる。特に、上記複数の遊星歯車を周方向に等間隔に配置した場合には、上記遊星歯車の設置数を上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯数の約数とは異なる数に設定することにより、周方向に隣接する遊星歯車の各間に存する上記内歯車及び上記太陽歯車の歯数を、小数点以下の端数を有する歯数とすることができる。
また、上記複数の遊星歯車の設置数及び歯数を上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯数の約数となる数に設定し、上記複数の遊星歯車の少なくとも一つを他の遊星歯車と周方向に異なる間隔をもって配置することにより、当該少なくとも一つの遊星歯車の噛み合い位相を、他の遊星歯車の噛み合い位相と異なる位相にしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1〜図7を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明の一実施の形態を示す図である。これらの図に示す遊星歯車装置1は、ハウジング(キャリア)2、内歯車3、太陽歯車4及び遊星歯車5を主な構成要素としている。
【0008】
ハウジング2は、互いに対向して配置された一対の半体2A,2Bによって構成されている。一方の半体(図1において左側の半体)2Aは、円板状をなす本体部2aと、この本体部2aの半体2Bとの対向面に一体に形成された円筒部2bとを有している。本体部2aの中央部には、貫通孔2cが形成されている。貫通孔2cと円筒部2bとは、互いの軸線を一致させて形成されている。半体2Bは、円筒部2bの先端面に突き当てられ、ボルトBによって固定されている。半体2Bの中央部には、軸線を貫通孔2cの軸線と一致させた貫通孔2dが形成されている。半体2A,2Bは、それぞれの貫通孔2c,2dの軸線を遊星歯車装置1の回転軸線Lと一致させて配置されている。
【0009】
ハウジング2の外周面には、断面円形の筒体6の一端部が回転可能に支持されている。この筒体6の円筒部2bと対向する内周面には、内歯車3がスプライン嵌合等によって回動不能に、かつ回転軸線L方向へ移動可能に連結されている。したがって、内歯車3は、ハウジング2に回転軸線Lを中心として回転可能に、かつ回転軸線L方向へ移動可能に支持されている。内歯車3は、捩れ歯を有している。内歯車3の内径は、円筒部2bの外径より僅かに大径に設定されている。内歯車3の各端面はワッシャ7Aを介して半体2A,2Bにそれぞれ接触させられている。
【0010】
円筒部2bの内側には、太陽歯車4がその軸線を回転軸線Lと一致させて回転可能に設けられている。太陽歯車4の外径は、円筒部2bの内径より僅かに小径に設定されている。太陽歯車4の各端面はワッシャ7Bを介して半体2A,2Bにそれぞれ接触させられている。
【0011】
上記円筒部2bには、その先端面(半体2B側の端面)から本体部2a側へ向かって回転軸線Lと平行に延びる収容孔2eが複数形成されている。収容孔2eは、この実施の形態では5つ形成されているが、3つあるいは4つ又は6つ以上形成されることもある。各収容孔2eは、円筒部2bの周方向に等間隔をもって配置されている。換言すれば、回転軸線Lを中心とする円周上に等間隔をもって配置されている。収容孔2eの内径は、円筒部2bの厚さ(=(円筒部2bの外径−円筒部2bの内径)/2)より大径に設定されている。しかも、収容孔2eの軸線は、円筒部2bの外周面と内周面との中央に配置されている。したがって、円筒部2bの径方向外側における収容孔2eの一側部は、円筒部2bの外周面から外部に開放され、円筒部2bの径方向内側における収容孔2eの他側部は、円筒部2bの内周面から外部開放されている。
【0012】
各収容孔2eには、遊星歯車5がそれぞれ収容されている。したがって、各遊星歯車5は、各収容孔2eと同様に、回転軸線Lを中心とする円周上に等間隔に配置されている。遊星歯車5は、収容孔2eの内径とほぼ同一の外径を有しており、収容孔2eに回転(自転)可能に挿入されている。しかも、遊星歯車5の外径が収容孔2eの内径とほぼ同一であるから、遊星歯車5の外周部の一部は、収容孔2eの一側部及び他側部から外部に突出している。つまり、遊星歯車5の外周部は、円筒部2bの外周面及び内周面からそれぞれ外部に突出している。そして、遊星歯車5は、円筒部2bの外周面から突出した部分において内歯車3と噛み合い、円筒部2bの内周面から突出した部分において太陽歯車4と噛み合っている。遊星歯車5が内歯車3及び太陽歯車4と噛み合うことから明らかなように、遊星歯車5及び太陽歯車4は、内歯車3と同一の捩れ角を有している。内歯車3と遊星歯車5との捩れ方向は互いに同一であり、遊星歯車5と太陽歯車4との捩れ方向は互いに逆方向になっている。
【0013】
なお、内歯車3、太陽歯車4及び遊星歯車5が遊星歯車機構を構成することから、各歯車3,4,5の歯数をそれぞれN1,N2,N3とすると、各歯数N1,N2,N3は、
N1=N2+2N3
が成立するようにそれぞれ選定されている。この実施の形態では、歯数N1,N2,N3がそれぞれ36,24,6に選定されている。
【0014】
上記構成において、ハウジング2、内歯車3及び太陽歯車4のうちのいずれか一つが回転駆動されると、その回転が遊星歯車5を介して他の二つに伝達される。他の二つに伝達された回転が出力回転として取り出される。そして、例えば遊星歯車装置1が車両に用いられる場合であれば、二つの出力回転が二つの前輪又は二つの後輪に伝達され、あるいはフロントデフとリヤデフとに伝達される。なお、以下においては、説明の便宜上、ハウジング2が回転駆動されるものとする。
【0015】
ハウジング2の回転駆動時に遊星歯車5が自転して内歯車3と太陽歯車4とが差動回転すると、遊星歯車5が内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い反力によって収容孔2eの内周面に押圧接触させられる。この結果、遊星歯車5の外周面と収容孔eの内周面との間に摩擦抵抗が発生する。また、内歯車3と遊星歯車5との間に発生するスラスト力により、内歯車3のいずれか一方の端面がワッシャ7Aを介して半体2A又は2Bに押し付けられ、太陽歯車4と遊星歯車5との間に発生するスラスト力により、太陽歯車4のいずれか一方の端面がワッシャ7Bを介して半体2A又は2Bに押し付けられる。さらに、遊星歯車5のいずれか一方の端面が、収容孔2eの底面又は半体2Bに押し付けられる。これらの摩擦抵抗に基づく摩擦トルクにより、内歯車3と太陽歯車4との間の差動回転が制限される。
なお、各歯車3,4,5のいずれの端面が半体7A等の他の部材と接触するかは、各歯車3,4,5の捩れ方向とハウジング2の回転方向とに依存する。
【0016】
ここで、遊星歯車5が捩れ歯を有しているので、仮に5つの遊星歯車5の内歯車3及び太陽歯車4に対する各噛み合い位相が互いに同一であると、前述したように、各遊星歯車5の外周面と収容孔2eの内周面との間に作用する摩擦トルクが同一周期(=360°/N3)で変動することになり、トルクバイアス比が大きく変動するという不具合を招来する。
【0017】
このような不具合を解消するために、この遊星歯車装置1においては、遊星歯車5が周方向に等間隔に配置されているという条件の下に、遊星歯車5の設置数nとして内歯車3及び太陽歯車の各歯数N1,N2の約数と異なる数を採用するという条件が採用されている。この実施の形態の遊星歯車装置1では、前述したように、N1=36、N2=24、n=5が採用されており、設置数nは歯数N1,N2の約数と異なる数になっている。このような条件下では、各遊星歯車5の内歯車3及び太陽歯車4に対する噛み合い位相を互いに異なる位相にすることができる。この点につき、まず各遊星歯車5の内歯車3との噛み合い位相について以下に述べる。
【0018】
遊星歯車5の内歯車3に対する噛み合い位相は、(360°/N3)を周期として変動する。一方、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5間に存する内歯車3の歯数をT1とすると、二つの遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相は、(360°/N3)×T1だけ異なる位相になる。ここで、歯数T1が整数であるならば、周方向に隣接する二つ遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相差は、周期(360°/N3)の整数倍になる。したがって、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相は、実質的に同一になってしまう。換言すれば、歯数T1が小数点以下の端数を有する数であるならば、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5と内歯車3との噛み合い位相間の差(360°/N3)×T1が遊星歯車5の噛み合い位相の周期の整数倍にならない。したがって、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相が互いに異なる位相になる。噛み合い位相が互いに異なる位相であれば、各遊星歯車5の外周に作用する摩擦トルクが互いに加算されることがない。したがって、遊星歯車全体に作用する摩擦トルクの変動幅を小さくすることができる。
【0019】
上記の内容を具体的数値を持って述べると、この実施の形態の遊星歯車装置1においては、遊星歯車5の設置数nとして5が採用され、しかも各遊星歯車5が周方向に等間隔に配置されているから、周方向に隣接する遊星歯車5,5の各間に存する内歯車3の歯数T1は、
T1=N1/n=36/5=7.2
である。したがって、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相差は、
(360°/N3)×T1=432°
である。ここで、遊星歯車5の噛み合い位相が60°を周期としているから、
432−60°×7=12°
つまり、周方向に隣接する二つ遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相差は、実質的に12°である。
【0020】
上記の内容は、遊星歯車5の内歯車3に対する噛み合い位相についてのものであるが、遊星歯車5の太陽歯車4に対する噛み合い位相も同様である。すなわち、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5間に存する太陽歯車4の歯数をT2とすると、
T2=N2/n=24/5=4.8
したがって、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5の位相差は、
(360°/N3)×T2=288°
である。ここで、遊星歯車5の噛み合い位相が60°を周期としているから、
288°−60°×5=−12°
である。したがって、二つ遊星歯車5,5の内歯車3に対する噛み合い位相差は、実質的に12°である。
【0021】
なお、周方向に隣接する遊星歯車5,5の間隔(中心角)は、m=360°/(N1+N2)とすると、mの整数倍になるように選定する必要がある。この実施の形態では、N1=36,N2=24であるから、m=6°であり、隣接する遊星歯車5,5間の中心角は、(360)/n=72°である。これは、m=6°の12倍であり、整数倍である。したがって、この実施の形態の遊星歯車装置1は、上の条件を満たしている。上の条件を満たすべきことは、後述する実施の形態においても同様である。
【0022】
図3は、5つの遊星歯車5のうちの任意の一つの遊星歯車5を基準遊星歯車PG1とし、この基準遊星歯車PG1から周方向へ向かって順次配置された遊星歯車5を順次PG2,PG3,…としたときの各遊星歯車PG1〜PG5までの摩擦トルクの変動と、遊星歯車PG1〜PG5全体の摩擦トルクの変動を示している。各遊星歯車PG1〜PG5に作用する摩擦トルクは、60°を一周期として変動する。しかるに、各遊星遊星歯車PG1〜PG5の位相が12°ずつずれているので、遊星歯車PG1〜PG5全体では、それぞれに作用する摩擦トルクが平均化され、理論的には摩擦トルクの変動が零になる。実際には、製造誤差等により、摩擦トルクの変動が零になることはないが、非常に小さくなる。したがって、この遊星歯車装置1では、トルクバイアス比の変動を小さく抑えることができ、それによって騒音及び振動を大幅に軽減することができる。
【0023】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態においては、上記の実施の形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同様な構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図4は、この発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、遊星歯車5の歯数N3として7が採用され、その設置数nとして6が採用されている。一方、内歯車3及び太陽歯車4の歯数N1,N2は、
N1=N2+2・N3
を満たすものとして、N1=37、N2=23が採用されている。これから明かなように、この実施の形態においては、遊星歯車5の歯数N3として内歯車3及び太陽歯車4の各歯数N1,N2の約数と異なる歯数が採用されている。
【0025】
上記の歯数N1,N2,N3及び設置数nが採用されたこの実施の形態においては、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5間に存する内歯車3及び太陽歯車4の歯数T1,T2が、
T1=37/6≒6.2
T2=23/6≒3.8
であり、整数でなく、小数点以下の端数を有する数になっている。よって、この実施の形態においても、各遊星歯車5の内歯車3及び太陽歯車5に対する噛み合い位相を互いに異なる位相にすることができる。これを具体的数値をもって述べると、次のとおりである。
【0026】
遊星歯車5の歯数N3が7であるから、遊星歯車5の内歯車3及び太陽歯車4に対する噛み合い周期(摩擦トルクの変動周期)は、
360/7≒51.4°
である。一方、周方向に隣接する二つの遊星歯車5,5の内歯車3及び太陽歯車4に対する噛み合い位相差は、それぞれ
(360°/7)×T1≒317.1°
(360°/7)×T2≒197.1°
である。そして、遊星歯車5の噛み合い周期が51.4°であるから、
317.1−51.4×6=8.6°
197.1−51.4×4=−8.7°
である。したがって、周方向に隣接する二つ遊星歯車5,5の内歯車3及び太陽歯車4に対する噛み合い位相差は、ほぼ8.6°である。なお、上記数値8.6と8.7との差は、小数点第2位以下の四捨五入による誤差である。
【0027】
図5は、基準遊星歯車5をPG1とし、この基準遊星歯車PG1から周方向へ順次配置された遊星歯車5を順次PG2,PG3,…としたときの各遊星歯車PG1〜PG6までの摩擦トルクの変動と、遊星歯車PG1〜PG6全体の摩擦トルクの変動を示している。この実施の形態においても、各遊星歯車PG1〜PG6に作用する摩擦トルクが平均化されるので、遊星歯車PG1〜PG6全体では摩擦トルクの変動が理論的には零になる。
【0028】
図6は、この発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態においては、内歯車3、太陽歯車4及び遊星歯車5の歯数N1,N2,N3として36,24,6が採用されており、遊星歯車5の設置数nとして6が採用されている。つまり、遊星歯車5の歯数N3及び設置数nのいずれもが、内歯車3及び太陽歯車4の各歯数N1,N2の約数になっている。しかし、この実施の形態においては、基準遊星歯車5から周方向に順次配置された各遊星歯車5の各間隔(中心角度)として異なる角度α,βが交互に採用されている。角度α、βは、kを正の整数としたとき、次式によって定められている。
α=(360°/n)+k・360°/(N1+N2)
β=(360°/n)−k・360°/(N1+N2)
【0029】
上記のように構成された差動歯車装置においては、
α+β=(360°/n)×2
であるから、遊星歯車PG3,PG5の噛み合い位相は、基準遊星歯車PG1の噛み合い位相と同一になっている。一方、基準遊星歯車PG1,PG2との間、PG3,PG4との間及びPG5,PG6の間にそれぞれ存する内歯車3の歯数Tは、
T=(α/360°)×N1
であり、歯数Tが小数点以下の端数を有する数になるように、整数kが選定されている。したがって、この実施の形態においては、遊星歯車PG2,PG4,PG6の内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い位相を遊星歯車PG1,PG3,PG5の噛み合い位相と異なる位相にすることができる。
【0030】
これを具体的数値をもって述べると、この実施の形態では、k=1が採用されている。したがって、基準遊星歯車PG1及びそれと同一の噛み合い位相である遊星歯車PG3,PG5とそれらにそれぞれ隣接する遊星歯車PG2,PG4,PG6との間の各中心角度は、66°である。この中心角度に対応する内歯車3及び太陽歯車4の各歯数は、6.6及び4.4であり、小数点以下の端数を有している。したがって、遊星歯車PG2,PG4,PG6の内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い位相は、周方向に隣接する遊星歯車PG1,PG3,PG5の内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い位相と異なる位相になっている。ここで、歯数6.6及び4.4に対応する遊星歯車PG2,4,6の噛み合い位相は、
(360°/N3)×6.6=396°
(360°/N3)×4.4=264°
である。遊星歯車5の噛み合い周期が
360/6=60°
であるから、
396−60×6=36°
264°−60×5=−36°
である。つまり、遊星歯車PG2,PG4,PG6の内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い位相は、遊星歯車PG1,PG3,PG5の内歯車3及び太陽歯車4との噛み合い位相に対して36°の位相差がある。
【0031】
図7は、上記の実施の形態における各遊星歯車PG1〜PG6の外周に作用する摩擦トルクを示す図である。この実施の形態では、6つの遊星歯車5を基準遊星歯車5と同一の噛み合い位相を有するグループPG1,PG3,PG5と、基準遊星歯車5に対して噛み合い位相が36°だけ異なるグループPG2,PG4,PG6との二つのグループに分けただけであるため、上記二つの実施の形態とは異なり、摩擦トルクの変動を零にすることはできないが、図7から明かなように、全遊星歯車5の合計摩擦トルクの変動幅が4以下になり、従来の遊星歯車装置における変動幅12に対して大幅に小さくすることができる。
【0032】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、ハウジング2を遊星歯車5が回転自在に収容される収容孔2eを有するキャリアとして兼用しているが、ハウジング2とキャリアとを別体に形成し、キャリアをハウジング2内に回転軸線Lを中心として回転可能に配置してもよい。
また、上記先の二つの実施の形態においては、遊星歯車5の設置数nとして歯数N3より小さい数を採用しているが、大きい数を採用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、遊星歯車の外周面と収容孔の内周面との間の摩擦に基づいて遊星歯車に作用する摩擦トルクの変動を軽減ないしはほとんど無くすことができ、それによって騒音や振動の発生を抑えることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1及び図2に示す実施の形態における摩擦トルクの変動を示す図である。
【図4】この発明の第2実施の形態の要部を示す図2と同様の断面図である。
【図5】図4に示す実施の形態における摩擦トルクの変動を示す図である。
【図6】この発明の第3実施の形態の要部を示す図2と同様の断面図である。
【図7】図6に示す実施の形態における摩擦トルクの変動を示す図である。
【図8】従来の遊星歯車装置における摩擦トルクの変動を示す図である。
【符号の説明】
1 遊星歯車装置
2 ハウジング(キャリア)
2e 収容孔
3 内歯車
4 太陽歯車
5 遊星歯車
Claims (4)
- それぞれの軸線を回転軸線と一致させて配置された内歯車及び太陽歯車と、上記回転軸線を中心として回転可能に配置され、上記回転軸線を中心とする円周上に回転軸線と平行に延びる複数の収容孔が形成されたキャリアと、このキャリアの各収容孔にそれぞれ回転可能に収容され、上記内歯車及び上記太陽歯車と噛み合う複数の遊星歯車とを備え、上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車が捩れ歯を有している遊星歯車装置において、
上記複数の遊星歯車のうちの、少なくとも一つの遊星歯車の上記内歯車及び上記太陽歯車に対する噛み合い位相を、他の遊星歯車の噛み合い位相と異なる位相にしたことを特徴とする遊星歯車装置。 - 上記回転軸線を中心とする周方向において互いに隣接する二つの遊星歯車の間に存する上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯の歯数を、小数点以下の端数を有する歯数とすることにより、互いに隣接する二つの遊星歯車の噛み合い位相を互いに異なる位相にしたことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。
- 上記複数の遊星歯車を周方向に等間隔に配置し、かつ上記遊星歯車の設置数を上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯数の約数とは異なる数に設定することにより、周方向に隣接する遊星歯車の各間に存する上記内歯車及び上記太陽歯車の歯数を、小数点以下の端数を有する歯数としたことを特徴とする請求項2に記載の遊星歯車装置。
- 上記複数の遊星歯車の設置数及び歯数を上記内歯車及び上記太陽歯車の各歯数の約数となる数に設定し、上記複数の遊星歯車の少なくとも一つを他の遊星歯車と周方向に異なる間隔をもって配置することにより、当該少なくとも一つの遊星歯車の噛み合い位相を、他の遊星歯車の噛み合い位相と異なる位相にしたことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。
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