JP4139062B2 - 筆記具インキ用油性青色顔料分散液、および油性青色顔料筆記具インキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具インキ用油性青色顔料分散液、および油性青色顔料筆記具インキに関し、特に、ボールペンインキ用油性青色顔料分散液、および油性青色顔料ボールペンインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペンは、書き味が非常に滑らかであることから筆記具として広範に使用されている。ボールペンのペン先(チップ)は、ボール、ボールを支持する受け座、インキ収容管からボールにインキを導くインキ誘導孔等で構成されている。ボールペンで筆記するときには、まずチップの中にあるボールにインキが付着し、そのボールが回転することによりインキが随時紙に転写される。
【0003】
このようなボールペンに特有の筆記機構から、ボールペンチップにおいては、ボールと受け座との間の空間にインキがスムーズに移動することが必要とされる。仮に、この空間でインキのスムーズな移動が妨げられると、ボールへのインキの付着が不均質になったり間欠するため、ボールペンの滑らかな書き味が損なわれ、カスレ等の筆記不良が生じうる。
【0004】
油性ボールペンインキは、一般に、有機溶剤、着色剤、潤滑剤、粘度調整剤、定着性付与剤等を含有する粘性組成物であり、多数の種類のものが知られている。例えば、特開平11−116879号公報には、有機溶剤としてベンジルアルコールやエチレングリコール、着色剤として油溶性赤色染料、そして添加剤として界面活性剤、脂肪酸、ケトン樹脂等を含む油性赤色ボールペンインキが記載されている。
【0005】
ボールペンインキの着色剤としては、このように、有機溶剤に溶解するタイプの着色剤、すなわち、染料が従来から主として用いられてきた。これは、顔料のように、有機溶剤に溶解しない着色剤を用いると、顔料が凝集沈降した場合にインキの粘度が変化し、ボールと受け座との間の空間におけるインキのスムーズな流動が阻害される可能性が大きいと考えられるからである。更に顔料の粒子が粗大化した場合は、ボールに衝突することによるボール摩耗という現象によって書き味が悪くなったり、筆記できなくなったりする。
【0006】
つまり、顔料インキでは、着色剤が溶剤に溶解せず分散しているため、着色剤が溶剤に溶解している染料インキと比較して着色剤が凝集沈降し易いという本質的問題を有している。その結果、顔料インキは保存安定性が染料インキよりも低く、経時的に顔料の凝集沈降や増粘が生じ易いため、長期間にわたりインキがスムーズに流動する特性が要求されるボールペンインキとしての用途には不適当と考えられてきた。
【0007】
しかし近年に至り、筆跡に耐光性や耐水性を持たせるために染料の代わりに顔料が着目され始め、油性ボールペンについても顔料を着色剤とする顔料インキが望まれている。例えば、特開平9−40902号公報には、着色剤として銅フタロシアニンを含有するボールペンペーストが記載されている。
【0008】
銅フタロシアニンは青色から緑色の色相をもつ結晶性の有機顔料である。銅フタロシアニン結晶形のうち、色材として使用されるものはα形、β形、ε形に分類される。α形フタロシアニンブルーは赤味の青色で着色力が大きく、印刷インキ、顔料捺染、文具等に使用される(C.I. Pigment Blue 15)。β形フタロシアニンブルーは鮮やかな緑味の青色で、色材のあらゆる分野で使用されているが、特に印刷インキのプロセスカラーのシアンインキとして多く使用されている(C.I. Pigment Blue 15:3、C.I. Pigment Blue 15:4)。ε形フタロシアニンブルーはα形フタロシアニンブルーよりさらに赤味が強い青色で、非常に鮮やかで着色力が大きく、その色調の特徴を生かして自動車塗料などに使用されている(C.I. Pigment Blue 15:6)。
【0009】
上述の如く、特開平9−40902号公報には、着色剤として銅フタロシアニンを含有するボールペンペーストが記載されているが、この銅フタロシアニンは上述のもののうち、β形銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:3、C.I. Pigment Blue 15:4)である。β形銅フタロシアニンは緑味の青色であるため、ボールペンインキとしての用途には色相が不適当であり、ボールペンに適した色相にするためには染料又は顔料を混合調色する必要がある。β形銅フタロシアニンと添加された染料の場合は、フタロシアニンと染料が均一に混合しにくく、分離しやすい、特に染料は不純物(副生成物、無機塩等)を含みやすいため、インキが増粘しやすい。
【0010】
インキの着色剤として顔料を用いる場合、あらかじめ有機溶剤中で各種樹脂、高分子分散剤或いは界面活性剤の存在下で分散機を使用して分散、安定化させる必要がある。しかしこれらには経時的に顔料が沈降凝集したり、或いは顔料インキの粘度が増粘するといった問題が介在しており、優れた経時安定性を付与させることが処方設計上、重要なポイントとなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来からの問題を解決するものであり、その目的とするところは、アルコール系有機溶剤中で良好な色相、および分散安定性を示す青色顔料を選択し、これを用いて、経時的に顔料粒子が凝集したり、沈降したりしない青色顔料分散液を提供することにある。また、その顔料分散液を用いることにより、筆跡が薄かったり、かすれたりせずに筆記性が良好で、インキの増粘や顔料の凝集のない経時安定性の優れた油性青色顔料筆記具インキを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルコール系有機溶剤と、該有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該有機溶剤中に分散させたC.I. Pigment Blue 15:6である青色顔料とを含み、該青色顔料の平均粒径が50〜300nmであり、該青色顔料の粒径1μm以上の粒子の含有率が10重量%以下である筆記具インキ用油性青色顔料分散液を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
本発明の青色顔料分散液の経時安定性を図るためには、前記青色顔料と樹脂の配合比率(C.I. Pigment Blue 15:6/樹脂)としては0.5〜5であり、好ましくは0.6〜3、更に好ましくは0.7〜2である。前記青色顔料と樹脂の配合比率が0.5未満の場合は少なくとも顔料表面を被覆した以外の余剰な樹脂が存在して、その部分が核となって顔料を被覆した樹脂と結びついて、青色顔料分散液が増粘してしまい、充分安定な分散が得られない。また、5を越えると逆に顔料表面を被覆するだけの樹脂が不足するため、樹脂で被覆されていない部分からファンデルワールス力によって接近して、やがては凝集してしまい、充分安定な青色顔料分散液が得られない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の形態は、有機溶剤と有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と有機溶剤中に分散させた青色顔料とを含む筆記具インキ用油性青色顔料分散液である。
【0015】
筆記具インキ用油性青色顔料分散液とは、基本的には油性青色顔料筆記具インキの顔料成分の高濃度組成物である。一般には、筆記具インキ用油性青色顔料分散液に適当な希釈溶剤や添加剤を加えて公知の方法により油性青色顔料筆記具インキが調製される。つまり、油性青色顔料筆記具インキを最終生産物とした場合、筆記具インキ用油性青色顔料分散液は油性青色顔料筆記具インキを調製するのに用いる中間組成物である。
【0016】
一般に、筆記具インキ用油性青色顔料分散液は固形分約15〜50重量%であり、これを固形分20〜50重量%に調整して油性青色顔料筆記具インキが提供される。
【0017】
有機溶剤としては、筆記具インキで使われるような一般的な有機溶剤を用いることができる。好ましい有機溶剤はボールペンインキで通常使用されるアルコール系有機溶剤である。常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点溶剤が特に好ましい。
【0018】
アルコール系有機溶剤には(1価)アルコール、多価アルコール(グリコール)及びこれらの誘導体が含まれる。例えば、ベンジルアルコール、1−オクタノール、2−オクタノール、α―メチルベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられ、更に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェニルグリコール)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等グリコール類及びその誘導体が挙げられる。また、上記の有機溶剤は1種又は2種以上混合して用いてもよい。その使用量は青色顔料分散液全量に対して50〜85重量%が好ましい。
【0019】
本発明で用いられる青色顔料は、ε形銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)である。これらはアルコール系有機溶剤中で赤味が強い青色を示し、その色相がボールペンインキとしての用途に非常に適しているからである。さらに、ε形銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)は堅牢性に優れ、特定の顔料分散樹脂と組み合わせた場合に優れた分散性を示すからである。銅フタロシアニンの1次粒子径が80〜120nmのC.I. Pigment Blue 15:6を用いることが好ましい。
【0020】
また、青色顔料は色相や色濃度等を調整する目的で炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の体質顔料を含んでいる場合がある。これらの体質顔料は青色顔料分散液をボールペンインキ用としてインキ化し、ペン詰めした後に目詰りを生じたり、ボールや受け座を磨耗するおそれがあることから、含まれないことが望ましい。しかし、青色顔料分散液および/またはインキの製造工程において濾別や遠心処理等の操作を行い、体質顔料を除去あるいは筆記やチップの摩耗に支障がない程度にまで減量できる場合には、青色顔料中に含まれていても構わない。
【0021】
顔料分散樹脂としては、通常の油性筆記具インキに慣用されている樹脂を用いることができる。例えばポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリビニルピロリドン等の極性基を有さない樹脂やマレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、テルペン−マレイン酸樹脂等の酸性基を有する樹脂が用いられる。
【0022】
顔料分散液の長期保存安定性を考慮すると顔料分散樹脂の軟化点が80〜150℃、100〜135℃であることが更に好ましい。特にポリビニルブチラール樹脂等の極性基を有さない樹脂においては軟化点の影響が大きく、極性基を有さない顔料分散樹脂の中で好ましいものは軟化点が100〜135℃のポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂である。
【0023】
また、顔料分散液の長期保存安定性にはマレイン酸樹脂やアクリル樹脂等の酸性基を有する樹脂も有効である。これらは部分的あるいは全体にエステル化されていたり、無水物となっていても良く、酸価度が20〜220、更に50〜200であることが好ましい。酸性基を有する樹脂の中で好ましいものはアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂が挙げられる。
【0024】
上記の顔料分散樹脂は単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。顔料分散樹脂の配合量は、分散液全量に対して5〜40重量%、好ましく10〜30重量%範囲で用いることにより、顔料分散性の向上や良好な粘度が調整される。
【0025】
ポリビニルブチラール樹脂としては具体的には、積水化学工業社製の商品名BL−1、BL−2、BL−S、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−S、BX−1、BH−3等;あるいは電気化学工業社製の商品名#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#4000−1、#4000−2等が挙げられる。
【0026】
フェノール変性キシレン樹脂としては具体的には、三菱瓦斯化学社製の商品名HP−70、HP−100、HP−120、HP−150、HP−210、GHP−160等が挙げられる。
【0027】
ケトン樹脂としては具体的には、日立化成工業社製の商品名ハイラック111、ハイラック222、荒川化学社製の商品名K−90等が挙げられる。
【0028】
テルペンフェノール樹脂としては具体的には、ヤスハラケミカル社製の商品名YSポリスターT80、YSポリスターT100、YSポリスターT115、SポリスターT130、YSポリスターT145、YSポリスターS145、マイティエースG125、マイティエースG150等が挙げられる。
【0029】
ロジン変性マレイン酸樹脂としては具体的には、日立化成ポリマー社製の商品名テスポール1101、テスポール1103、テスポール1104、テスポール1105、テスポール1150、テスポール1151、テスポール1152、テスポール1155、テスポール1161等;及び日本触媒社製の商品名アロケム475LC等が挙げられる。
【0030】
ロジン変性フマル酸樹脂としては具体的には、日本触媒社製の商品名アロケム475等が挙げられる。
【0031】
アクリル樹脂としては具体的には、日立化成ポリマー社製の商品名テスロイド4000−100等;互応化学工業社製の商品名CB−2、KS−516、NK−3、LMS−55、KS−513、KS−514等が挙げられる。
【0032】
スチレン−アクリル樹脂としては具体的には、ジョンソンポリマー社製の商品名ジョンクリル67、ジョンクリル586、ジョンクリル587、ジョンクリル611、ジョンクリル678、ジョンクリル683、ジョンクリル690等;大同化成工業社製の商品名ダイカックS−1235等;星光化学工業社製の商品名X−1、H−1712、H−2190等;岐阜セラツク製造所社製GSA−504、GSA−804、GSA−1003、GSA−1004、GSA−1304等が挙げられる。
【0033】
スチレン−マレイン酸樹脂としては具体的には、岐阜セラツク製造所社製GME−301、RS−36、RS−37等;荒川化学社製のアラスター700等;星光化学工業社製の商品名X−200、X−220、X−1202S、X−1216等が挙げられる。
【0034】
また、青色顔料分散液の諸条件における分散安定性をより高める目的で分散剤やレオロジーコントロール剤(増粘剤も含む)を1種もしくは2種以上併用しても良い。これらの添加量は、顔料分散液の物性を低下させない量であれば限定されないが、顔料分散液全体で0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%がより好ましい。
【0035】
分散剤の具体例としては、アビシア製の商品名ソルスパース12000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース27000、ソルスパース28000等;ビックケミー製の商品名ディスパビック160番シリーズ、ディスパビック180番シリーズ、ディスパビック2000、ディスパビック2001等;及び共栄社化学社製の商品名フローレンG−700、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−33等が挙げられる。
【0036】
また、脂肪酸塩類、芳香族スルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;デカグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル等の非イオン系界面活性剤等を使用しても良い。
【0037】
レオロジーコントロール剤としては鱗片状、棒(針)状、塊(球)状、液状の何れの形状でも良く、無機系、有機系を問わず使用できる。具体的には、無機系のベントナイト、スメクタイト、シリカ、炭酸カルシウムや有機系の尿素化合物、アマイド化合物、ウレタン化合物、植物油、ポリエチレン、アクリル化合物等が挙げられる。添加量にもよるが、無機系化合物はボールや受け座の摩耗や筆記性能に悪影響を及ぼすおそれがあることから、出来れば有機系化合物が望ましい。
【0038】
本発明の筆記具インキ用油性青色顔料分散液は、公知の方法により製造できる。好ましい製造方法は、アルコール系有機溶剤と、顔料分散樹脂と、C.I. Pigment Blue 15:6である青色顔料とを含む混合物を提供する工程;および該混合物を分散させる工程;を包含する方法である。
【0039】
分散方法としては、公知の分散方法を用いることができる。本発明に用いる分散混合機としてはボールミル、アトライター、フーロジェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミル、サンドミル[例えば、ビーズミル、サンドグライダー、スーパーミル、アジテーターミル、ダイノーミル(商品名)]等の分散機を用い、混合あるいは分散することができる。このとき、ミル媒体を用いることができる。ミル媒体の材質は特に限定されず、例えば、ガラス製、ステンレス製、ジルコン製、ジルコニア製のビーズを用いうる。ミル媒体は、ミルの容量に対して、50〜95容量%、特に60〜85容量%の量で充填することが好ましい。
【0040】
上記方法によって得られた分散液に含まれる青色顔料の平均粒径は、50〜300nmであり、好ましくは100〜200nmである。青色顔料の平均粒径が400nmより大きくなれば、顔料粒子の沈降が生じて、そのことによりボールペンの先端部からのインキの吐出が悪くなる。
【0041】
上記方法によって得られた分散液の粒度分布としては、1μm以上の粒子が10重量%以下であることが望ましい。ボールペンの設計上、ボールペンインクが先端部から吐出される間隙は、ほんの数μmであり、1μm以上の粗粒子が10重量%より多く存在すれば、粗粒子が重なってボールとチップの間を通過する際に、ボール摩耗が生じてしまう。従って、上記分散方法で分散を行うことによって、1μm以上の粗粒子を10重量%以下に抑えることが重要となってくる。
【0042】
本発明の筆記具インキ用油性青色顔料分散液は増粘や顔料の凝集沈降が生じ難く、長期間にわたりインキがスムーズに流動する特性が要求される筆記具インキ(例えば、ボールペンインキ)を提供するために十分な経時安定性を示す。例えば、本発明の筆記具用油性青色顔料分散液は常圧・50℃における経時試験で、試験開始から数日間(最大1週間)においては分散液の安定化による粘度変化が多少あっても、1週間から1ヶ月までの粘度変化はほとんど生じない。具体的には、粘度変化率は殆ど10%以下であり、20%を越えることはない。また、光学顕微鏡を使用して分散性を確認しても常圧・50℃・1ヶ月で顔料分の凝集は観察されない。
【0043】
本発明の第二の形態は、有機溶剤と有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と有機溶剤中に分散させた青色顔料とを含む油性青色顔料筆記具インキである。この油性青色顔料筆記具インキは、上述のように、本発明の筆記具インキ用油性青色顔料分散液に適当な有機溶剤、樹脂、添加剤等を加えて公知の方法により調製することができる。
【0044】
本発明の油性青色顔料筆記具インキ中の青色顔料の量は所望の色相や濃度に適した量であればよいが、添加量が多すぎると、ボールペンインキとして用いた場合に筆記描線のかすれやインキが出なくなって描線が描けなくなる、所謂筆記不能等の問題が発生し、逆に少量の場合は筆跡の着色が劣る等の問題が発生する。好ましい顔料量としては全顔料インキ組成物に対し、5〜30重量%、好ましくは7〜15重量%である。また、所期の目的及び効果を奏す範囲で公知の染料、無機顔料または有機顔料を添加することができる。
【0045】
本発明の油性青色顔料筆記具インキの好ましい組成は、少なくとも有機溶剤、有機溶剤に溶解する顔料分散樹脂、着色剤を含有し、青色顔料がC.I. Pigment Blue 15:6であり、その青色顔料と樹脂との配合比率(C.I. Pigment Blue 15:6/樹脂)が0.5〜5、好ましくは0.6〜3の範囲であり、軟化点が80〜150℃、更に100〜135℃の顔料分散樹脂および/または酸価度が20〜220、更に50〜200の顔料分散樹脂を使用したものである。
【0046】
顔料分散安定性をより改良するため、筆跡の定着性向上、粘度調整を目的とした樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、ケトン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、テルペン−マレイン酸樹脂などの一般的な顔料分散用の樹脂や、オリゴマーを1又は2以上用いることが好ましい。
【0047】
希釈または粘度調整等のために加えられる有機溶剤は前記の顔料分散液に加えた有機溶剤が好ましく、全顔料インキに対し、全有機溶剤は40〜90重量%が好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。
【0048】
本発明の油性青色顔料筆記具インキの調整は、従来公知の筆記具インキの種々の製造方法を適用することができる。即ち、分散混合機によって顔料分散液を他の成分と共に分散させることによって筆記具インキ組成物を得ることができる。分散混合としてはサンドミル、ボールミル、ホモミキサー、ビーズミル、高速ディスパー等の分散機を用い、混合あるいは分散することができる。
【0049】
本発明の油性青色顔料筆記具インキには必要に応じて上記成分以外に酸化防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、分散剤、レオロジーコントロール剤等といった種々の添加剤を必要に応じて適宜選択して使用してもよい。
【0050】
筆記性の改善や顔料の分散安定化のために用いられる分散剤としては、アビシア製の商品名ソルスパース12000、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース24000、ソルスパース28000等;ビックケミー製の商品名ディスパビック160番シリーズ、ディスパビック180番シリーズ、ディスパビック2000、ディスパビック2001等;及び共栄社化学社製の商品名フローレンG−700、フローレンDOPA−17、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−33等が挙げられる。
【0051】
また、脂肪酸塩類、芳香族スルホン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;デカグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル等の非イオン系界面活性剤等も用いることが出来る。
【0052】
上記の潤滑剤としては、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデン等が挙げられる。
【0053】
上記のレオロジーコントロール剤としては、NLケミカルズ社製の商品名ベントンSD−2、ベントン27、日産ガードラー触媒社製の商品名TIXOGELVZ、TIXOGELEZ、SUD化学社製の商品名EX−0101等の有機ベントナイト系;日本アエロジル社製の商品名アエロジル380、アエロジルCOK84、水澤化学社製の商品名ミズカシルP−801等のシリカ系;共栄社化学社製の商品名ターレンVA−100、ターレンVA−500、ターレンVA−800、伊藤製油社製の商品名ASA T−1、ASA T−51、ASA T−350F、その他脂肪酸ポリアミド系等が挙げられる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の青色顔料分散液は、着色剤として、特にC.I. Pigment Blue 15:6を用いることにより、ボールペンインキとして用いた場合に色相が最適で、耐候性、耐溶剤性等の諸堅牢性が優れている。並びに経時安定性に優れているため、経時的に顔料粒子が凝集し粗大な粒子が形成されたり、顔料分散液中で沈降したりすることはない。
【0055】
本発明の青色顔料分散液を用いる筆記具インキは潤滑性に優れ、ボールペンインキとして用いた場合にボール受け座の摩耗を少なくする効果があり、耐久性に優れ筆記感も優れているとともに、顔料分散性の良好な経時安定性に優れ、インキ収容管内で顔料が固まってしまったり、筆記先端部を上向きに放置した場合にインキの追従性が乏しくなって、カスレが生じたり、ボール摩耗によって書き味が悪くなる等の筆記不良を起こすことがない。
【0056】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の記述においては、「重量部」を「部」と略す。
【0057】
実施例1〜4並びに比較例1〜6では極性基を有さない分散樹脂を用いた本発明の青色顔料分散液の製造例について説明する。
【0058】
実施例1
フェニルグリコール972gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)144gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約30分間分散を行い、ボールペンインキ用油性青色顔料分散液を調製した。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0059】
▲1▼平均粒径と粒度分布の測定
実施例1で得られた分散液中の顔料粒子の粒子径を、レーザー光散乱方式粒度分布測定装置(商品名:LPA3000/3100、大塚電子社製)を用いて測定を行い、その結果を表1に示した。
【0060】
▲2▼粘度の変化率の測定
実施例1で得られた分散液の粘度を、50℃下のオーブン中に1週間静置した。その後、放冷した分散液を25℃下、回転型粘度計(EHD型)で測定を行った(これを初期値とする)。同様にして50℃下のオーブンの中に1ヶ月静置した分散液の測定を行い、経時変化の状態を粘度の変化率として次のように求め、その結果を表1に示した。
【0061】
【数1】
粘度変化率=(1ヶ月後の値−初期値)÷(初期値)
【0062】
▲3▼分散性の確認
実施例1で得られた分散液を使用した。フェニルグリコールとベンジルアルコールの混合溶媒で2倍希釈した後、少量をプレパラートにスポットした。これにカバーガラスを被せ、室温で1日静置した後に光学顕微鏡で顔料凝集物を確認した。
【0063】
実施例2
フェニルグリコール972gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、フェノール変性キシレン樹脂(商品名:HP−100、三菱瓦斯化学社製 軟化点:105〜125℃)144gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0064】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0065】
実施例3
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール288gとの混合溶媒中に、ケトン樹脂(商品名:ハイラック222、日立化成工業社製 軟化点:100〜120℃)252gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0066】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0067】
実施例4
フェニルグリコール950gとベンジルアルコール310gとの混合溶媒中に、テルペンフェノール樹脂(商品名:YSポリスターT100、ヤスハラケミカル社製 軟化点:110〜120℃)180gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0068】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0069】
比較例1
フェニルグリコール1000gとベンジルアルコール380gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製 軟化点:100〜110℃)60gを入れて約2時間撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は良好な色調を示したが、分散直後から流動性が悪く、やがて増粘した。
【0070】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の測定結果を表1に示した。
【0071】
比較例2
フェニルグリコール500gとベンジルアルコール190gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)750gを入れて約2時間撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は良好な色調を示したが、分散直後から流動性が悪く、やがて増粘した。
【0072】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0073】
比較例3
フェニルグリコール972gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、フェノール変性キシレン樹脂(商品名:HP−70、三菱瓦斯化学社製 軟化点:70〜90℃)144gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:1)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は所望のものでなく、かつ流動性もあまり良くはなかった。
【0074】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0075】
比較例4
フェニルグリコール972gとベンジルアルコール324gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業社製軟化点:110〜120℃)144gを入れて約2時間撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:3)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は所望のものでなく、かつ平均粒径も粗めの結果となった。
【0076】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0077】
比較例5
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール288gとの混合溶媒中に、ケトン樹脂(商品名:ハイラック222、日立化成工業社製 軟化点:100〜120℃)252gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:5)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は所望のものでなく、かつ平均粒径も粗めで増粘気味であった。
【0078】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0079】
比較例6
フェニルグリコール950gとベンジルアルコール310gとの混合溶媒中に、テルペンフェノール樹脂(商品名:YSポリスターS145、ヤスハラケミカル社製 軟化点:140〜150℃)180gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:4)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調は所望のものでなく、流動性も悪かった。
【0080】
実施例5〜9並びに比較例7では酸性基を有する分散樹脂を用いた本発明の青色顔料分散液の製造例について説明する。
【0081】
実施例5
フェニルグリコール900gとベンジルアルコール252gとの混合溶媒中に、ロジン変性マレイン酸樹脂(商品名:テスポール1161、日立化成ポリマー社製 酸価度:109)288gを入れて約2時間、攪拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間攪拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0082】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0083】
実施例6
フェニルグリコール760gとベンジルアルコール248gとの混合溶媒中に、スチレン-アクリル樹脂(商品名:ジョンクリル611、ジョンソンポリマー社製 酸価度:53)432gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0084】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0085】
実施例7
フェニルグリコール700gとベンジルアルコール200gとの混合溶媒中に、スチレン-マレイン酸樹脂(商品名:GME-301、岐阜セラツク製造所社製酸価度:199)540gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0086】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0087】
実施例8
フェニルグリコール850gとベンジルアルコール302gとの混合溶媒中に、スチレン-マレイン酸樹脂(商品名:RS-37、岐阜セラツク製造所社製 酸価度:115)288gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0088】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0089】
実施例9
フェニルグリコール720gとベンジルアルコール252gとの混合溶媒中に、アクリル樹脂(商品名:テスロイド4000-100、日立化成ポリマー社製 酸価度:186)468gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌した。その後の分散方法については、実施例1と同様に行った。得られた分散液は色調、流動性ともに良好であった。
【0090】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0091】
比較例7
フェニルグリコール810gとベンジルアルコール270gとの混合溶媒中に、ロジン変性マレイン酸樹脂(商品名:テスポール1158、日立化成ポリマー社製 酸価度:294)360gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)360gを入れて約2時間撹拌し、ボールペンインキ用油性青色顔料分散液を調製した。得られた分散液は良好な色調を示したが、分散直後から流動性が悪く、やがて増粘した。
【0092】
上記のボールペンインキ用油性青色顔料分散液の平均粒径と1μm以上の粒子率並びに粘度の変化率の結果を表1に示した。
【0093】
【表1】
【0094】
実施例10〜18及び比較例8〜14では本発明のボールペンインキ用油性青色顔料分散液を用いた油性青色顔料ボールペンインキについて説明する。
【0095】
実施例10
実施例1で得られた青色顔料分散液50部、フェニルグリコール25部、ベンジルアルコール10部、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)5部、ケトン樹脂(軟化点:100〜120℃)5部、ポリビニルピロリドン1部、オレイン酸4部を分散混合することにより油性青色顔料ボールペンインキを調製した。
【0096】
上記で得られたインキを直径0.7mmの超硬ボールとステンレス製チップと収容管からなるボールペンに充填して、油性ボールペンを得た。そのボールペンで筆記するとなめらかで良好な筆記性を示した。そして50℃の恒温槽中に筆記先端部を上向きにして1ヶ月間放置した後、室温にて1日放置して、筆記角度70°、荷重100gで直線筆記して、その時のカスレ長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0097】
上記で得られた油性ボールペンを筆記試験機にてJIS S6039に準拠し、荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で筆記を行い、500m筆記後のボール摩耗量を光学顕微鏡を用いて測定し、手書きにて筆記感のテストを行い、その結果を表2に示した。
【0098】
実施例11〜13
実施例11〜13は実施例10の実施例1で得られた青色顔料分散液を表2に示す青色顔料分散液に代えて、それ以外は実施例10と同様に油性青色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキはそれぞれ良好な色調を示し、顔料の凝集及び沈降せずに、インキの粘度が安定し、初期及び経時において良好な筆記性を示した。
【0099】
実施例14
実施例5で得られた青色顔料分散液50部、フェニルグリコール25部、ベンジルアルコール10部、ロジン変性マレイン酸樹脂(酸価:109)5部、スチレン-マレイン酸樹脂(酸価:115)5部、ポリビニルピロリドン1部、オレイン酸4部を分散混合することにより油性青色顔料ボールペンインキを調製した。
【0100】
上記で得られたインキを直径0.7mmの超硬ボールとステンレス製チップと収容管からなるボールペンに充填して、油性ボールペンを得た。そのボールペンで筆記するとなめらかで良好な筆記性を示した。そして50℃の恒温槽中に筆記先端部を上向きにして1ヶ月間放置した後、室温にて1日放置して、筆記角度70°、荷重100gで直線筆記して、その時のカスレ長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0101】
上記で得られた油性ボールペンを筆記試験機にてJIS S6039に準拠し、荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で筆記を行い、500m筆記後のボール摩耗量を光学顕微鏡を用いて測定し、手書きにて筆記感のテストを行い、その結果を表2に示した。
【0102】
実施例15〜18
実施例15〜18は実施例14の実施例5で得られた青色顔料分散液を表2に示す青色顔料分散液に代えて、それ以外は実施例15と同様に油性青色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキはそれぞれ良好な色調を示し、顔料の凝集及び沈降せずに、インキの粘度が安定し、初期及び経時において良好な筆記性を示した。
【0103】
比較例8〜13
比較例8〜13は実施例10の実施例1で得られた青色顔料分散液を表2に示す青色顔料分散液に代えて、それ以外は実施例10と同様に油性青色顔料ボールペンインキを調製した。
【0104】
比較例14
比較例14は実施例14の実施例5で得られた青色顔料分散液を表2に示す青色顔料分散液に代えて、それ以外は実施例14と同様に油性青色顔料ボールペンインキを調製した。
【0105】
比較例15では従来技術の油性青色ボールペンインキについて説明する。
【0106】
比較例15
フェニルグリコール700g、ベンジルアルコール200gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂800gを入れて約2時間、攪拌させながら溶解した。その後、C.I. Pigment Blue 15:3を300g加えて約2時間攪拌した。その後、3本ロールを使って混練を行い、青色ペースト(顔料分散液)を作製した。その後、フェニルグリコール250g、ベンジルアルコール100gで希釈を行いながら、C.I. Basic Violet 3の染料100gとC.I. Acid Yellow 36の染料100gを入れて、攪拌混合した。
【0107】
そして最後に、フェニルグリコール250g、ベンジルアルコール100gを入れて攪拌混合することにより油性ボールペン用青色インキを調整した。得られた分散液は鮮やかさの欠けた、くすんだような色で、所望の色相と異なっていた。比較例13の青色顔料分散液の平均粒径は415nm、1μm以上の粒子の含有率は18.3%であり、及び粘度の変化率(増粘率)は36.6%であり、総合判定は「×」であった。
【0108】
実施例19〜20では本発明の油性青色顔料ボールペンインキについて説明する。
【0109】
実施例19
フェニルグリコール600gとベンジルアルコール420gとの混合溶媒中に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBL−1、積水化学工業社製軟化点:100〜110℃)180g、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)150g、ケトン樹脂(軟化点:100〜120℃)150g、オレイン酸120g、ポリビニルピロリドン30gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)300gを加えて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約30分間分散を行い、その後、フェニルグリコール750g、ベンジルアルコール300gで希釈を行って、油性青色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキは色調、流動性ともに良好であった。
【0110】
実施例20
フェニルグリコール600gとベンジルアルコール420gとの混合溶媒中に、ケトン樹脂(商品名:ハイラック222、日立化成工業社製 軟化点:100〜120℃)330g、ロジン変性フェノール樹脂(軟化点:110〜115℃)150g、オレイン酸120g、ポリビニルピロリドン30gを入れて約2時間、撹拌させながら溶解した。その後、銅フタロシアニン(C.I. Pigment Blue 15:6)300gを加えて約2時間撹拌した。その後、2mmのビーズを充填した横型分散機にて約30分間分散を行い、その後、フェニルグリコール750g、ベンジルアルコール300gで希釈を行って、油性青色顔料ボールペンインキを調製した。得られたインキは色調、流動性ともに良好であった。
【0111】
上記で得られたインキを直径0.7mmの超硬ボールとステンレス製チップと収容管からなるボールペンに充填して、油性ボールペンを得た。そのボールペンで筆記するとなめらかで良好な筆記性を示した。そして50℃の恒温槽中に筆記先端部を上向きにして1ヶ月間放置した後、室温にて1日放置して、筆記角度70°、荷重100gで直線筆記して、その時のカスレ長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0112】
上記で得られた油性ボールペンを筆記試験機にてJIS S6039に準拠し、荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で筆記を行い、500m筆記後のボール摩耗量を光学顕微鏡を用いて測定し、手書きにて筆記感のテストを行い、その結果を表2に示した。
【0113】
【表2】
Claims (9)
- アルコール系有機溶剤と、該有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該有機溶剤中に分散させたC.I. Pigment Blue 15:6である青色顔料とを含み、
該青色顔料の平均粒径が50〜300nmであり、
該顔料分散樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群から選択される、極性基を有さない樹脂;および/または、ロジン変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂からなる群から選択される、酸性基を有する樹脂;であり、
該青色顔料と該顔料分散樹脂との配合比(青色顔料/樹脂)が0.5〜5の範囲である筆記具インキ用油性青色顔料分散液。 - 前記青色顔料の粒径1μm以上の粒子の含有率が10重量%以下である請求項1記載の油性青色顔料分散液。
- 前記青色顔料の1次粒子径が80〜120nmである請求項1記載の油性青色顔料分散液。
- 前記有機溶剤が、常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点有機溶剤を含んでいる請求項1記載の油性青色顔料分散液。
- 前記顔料分散樹脂の酸価度が20〜220である請求項1記載の油性青色顔料分散液。
- 前記顔料分散樹脂の軟化点が80〜150℃である請求項1記載の油性青色顔料分散液。
- 常圧・50℃における保存で1週間後から1ヶ月後の粘度変化率が20%以下である請求項1〜6のいずれか記載の油性青色顔料分散液。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の筆記具インキ用油性青色顔料分散液と、アルコール系有機溶剤とを少なくとも含む油性青色顔料筆記具インキ。
- アルコール系有機溶剤と、該有機溶剤中に溶解させた顔料分散樹脂と、該有機溶剤中に分散させたC.I. Pigment Blue 15:6である青色顔料とを含み、
該青色顔料の平均粒径が50〜300nmであり、
該顔料分散樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール樹脂からなる群から選択される、極性基を有さない樹脂;および/または、ロジン変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂からなる群から選択される、酸性基を有する樹脂;であり、
該青色顔料と該顔料分散樹脂との配合比(青色顔料/樹脂)が0.5〜5の範囲である油性青色顔料筆記具インキ。
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