JP4138142B2 - 排紙積載装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排紙積載装置に関し、さらに詳しくは孔版印刷装置、オフセット印刷装置等を含む印刷装置や電子写真複写機等の画像形成装置の排紙台に具備される排紙積載装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置、特に孔版印刷装置またはオフセット印刷装置から、画像形成後に排出される排紙、すなわち印刷画像形成後に排出される印刷済みの用紙(以下、単に「排紙」という)を積載する排紙積載面を備えた排紙台と、この排紙台上に対向して排紙方向と平行に設けられ、排紙の各側端縁部を案内する排紙案内面を備えた一対のサイドフェンスと、排紙台上における排紙方向の下流側に配置され、排紙の先端部を衝止するエンドプレートとを具備した排紙積載装置において、排紙方向と直交する排紙幅方向の排紙揃えを向上させるために、上記各サイドフェンスに種々の工夫をしている。このような排紙積載装置に関し、以下の4つの技術例が知られている。すなわち、▲1▼特開平9−194113号公報記載の技術(以下、「第1の技術例」という)、▲2▼特開平7−137920号公報記載の技術(以下、「第2の技術例」という)、▲3▼特開平7−137918号公報記載の技術(以下、「第3の技術例」という)、▲4▼特開平6−329327号公報記載の技術(以下、「第4の技術例」という)が知られている。
【0003】
第1の技術例では、同公報中の図2等に示されているように、各サイドフェンス201,202の排紙案内面(内側面)の上部に、排紙の案内面250Aを備えたフィン部材250を設けることにより、印刷画像形成後に印刷インキ(以下、単に「インキ」という)の水分を吸収することによって排紙方向から見て略逆U字形状、換言すれば上凸形状に反り返って変形して排紙台上に落下してくる排紙の各側端縁部を、各フィン部材250により支持することで上方に反り返らせて、排紙方向から見て略U字形状でもある下凸形状に矯正し、その下凸形状を保持したまま排紙台上に落下させるようになっている。そして、下凸形状を保持してさらに落下してくる排紙は、各サイドフェンスの下部に設けた傾斜面を有する排紙支持部材(用紙支持部材230)の上および排紙台上に積載され、下凸形状を保持することによって、次に落下してくる排紙が、前に積載された排紙の排紙幅方向でその中央部寄りに倣うように積載されていくことで、積載された排紙における排紙幅方向での暴れを防止し、排紙幅方向の排紙揃えを向上させるというものである。なお、排紙が、印刷画像形成後にインキの水分を吸収することによって略逆U字形状に、あるいは上凸形状に反り返って変形する現象の要因系等については、同公報中の図7および段落(0003)ないし(0005)に詳述されているため、その説明を省略する。
【0004】
第2および第3の技術例でも、第1の技術例と略同様の効果を得るために、次のような構成を採っている。第2の技術例においては、同公報中の図4および図5に示されているように、複数の板状のフィンを持つ回転フィン状の誘導部材20を各サイドフェンスの上部に設けることにより、上凸形状に反り返った排紙の両側端縁部を回転フィン状の誘導部材20で支持することで、下凸形状に矯正して、排紙台上に落下させることで排紙幅方向の排紙揃えを向上しようとしている。また、第3の技術例においては、同公報中の図3ないし図5に示されているように、各サイドフェンスの内方に突出し揺動可能な球や回転ローラからなる誘導部材20,30を各サイドフェンスの上部から吊り下げるように設けることにより、球や回転ローラからなる誘導部材20,30でそれぞれ支持することで、下凸形状に矯正して、排紙台上に落下させることで排紙幅方向の排紙揃えを向上しようとしている。
【0005】
一方、第4の技術例では、同公報中の図4等に示されているように、各サイドフェンスの内側に排紙の自重で回動する「へ」の字形状の可動部材19を排紙落下方向に複数段設け、落下してくる上凸形状の排紙の両側端縁部をその可動部材19で支えて、下凸形状に矯正し、その下凸形状を保持したまま排紙台上に落下させ、排紙幅方向の排紙揃えを向上しようとするものであり、排紙が排紙台上に落下到着するまでの間に、インキの水分をさらに吸収することによって上凸形状に戻ろうとする排紙を複数回に亘って下凸形状に矯正できるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1ないし第3の技術例による排紙積載方式では何れも以下のような問題点を有している。すなわち、図14に簡略化して示すように、排紙幅方向Yに移動可能な左右一対のサイドフェンス201,202の上部で、各種の部材250(第1の技術例ないし第3の技術例の代表例として第1の技術例における各フィン部材250を引用)によって、排出落下してくる上凸形状に反り返った排紙Sの各側端縁部を一旦支持することで、下凸形状となる排紙S’の状態に矯正しても、排紙台1上の各傾斜板10,11および用紙受容面1’上に落下するまでの間に、インキの水分をさらに吸収することによって、排紙S’は再び上凸形状に反り返った形状の排紙S’’状態に戻ってしまい、排紙台1上の各傾斜板10,11および用紙受容面1’上に落下する時に、その排紙S’’の落下位置が排紙幅方向Yでばらついてしまい、結果的に排紙幅方向Yでの排紙揃えが悪化してしまうことである。
一方、第4の技術例では、可動部材19は排紙Sの自重で回動するように部材の回転モーメントが微妙に設定されており、印刷動作中においては可動部材19が排紙Sの落下に伴って不規則に振動を続けるために、排紙Sが可動部材19を落下通過する際に、サイドフェンスからの可動部材19の突き出し量が安定しないことにより、排紙Sの落下動作が不安定になってしまい、排紙揃えが悪化することがある。また、複数の可動部材19を可動支持する必要があるために、その構造が複雑であり、コストアップしてしまうという問題点もある。
【0007】
また、第1ないし第4の技術例に係る何れの排紙積載方式においても、上記各問題点を有してはいるものの、排紙幅方向Yの排紙揃えをある程度は向上することができるが、排紙方向の揃えを同時に向上させることはできない。上記何れの排紙積載方式においても、排紙方向の揃えは、排紙台上における排紙方向の下流側に配置され、排紙の先端部を衝止する衝止面を有するエンドプレートによって行うが、排紙がエンドプレートでの跳ね返りによって、排紙台上に積載されるときに、排紙方向での排紙の先端の位置がばらついてしまうことが多く、排紙方向の揃えが十分に行われないという問題点を有している。
【0008】
したがって、本発明は、インキの水分を吸収することによって上凸形状に反り返った排紙を、下凸形状に矯正し、排紙台上に落下するまでの間その下凸形状を安定して保持し続けることができ、さらには、排紙方向の排紙揃えも向上することができる排紙積載装置を、簡単な機構でコストアップすることなく実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した各問題点を解決するために、本発明は、求項ごとに記載された構成を採用している。
請求項1記載の発明は、画像形成後に排出される排紙を積載する排紙積載面を備えた排紙台と、この排紙台上に対向して排紙方向と略平行に設けられ、上記排紙の各側端縁部を案内する排紙案内面を備えた一対のサイドフェンスと、上記排紙台上における上記排紙方向の下流側に配置され、上記排紙の先端部を衝止するエンドプレートとを具備した排紙積載装置において、少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、上記各サイドフェンスの上部から下部に向かうに連れて上記排紙案内面からその内側に突出する向きに傾斜した、上記排紙の各側端縁部に接触可能な突出傾斜面を備えた突出部を、上記各サイドフェンスの排紙落下方向に複数有し、相対的に上位に位置する上記突出部の上記各排紙案内面からの突出量は、下位に位置する上記突出部の上記各排紙案内面からの突出量よりも大きく設定されていることを特徴とする。
請求項1記載の発明等における排紙の各「側端縁部」とは、排紙方向と直交する排紙幅方向における排紙の側端面(排紙の厚さ部分)のエッジを含む排紙の側縁部をいう。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の排紙積載装置において、上記複数の突出部のうちの最下部のものが位置するよりも上記各サイドフェンスの下部には、上記排紙案内面から上記排紙積載面に突出する向きに傾斜した排紙積載傾斜面を備えた傾斜面部材を有するか、または上記排紙方向から見たときの上記排紙積載面が凹形状をなしていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の排紙積載装置において、上記複数の突出部のうちの最上部のものが位置するよりも上記各サイドフェンスの上部には、上記複数の突出部の上記排紙案内面からの各突出量よりも大きく上記排紙案内面からその内側に突出する下向きに傾斜した、上記排紙の各側端縁部に接触可能な排紙案内傾斜面を備えた案内部材を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の排紙積載装置において、上記複数の突出部は、上記排紙方向における上記排紙積載面上に積載される上記排紙の長さの後半部分に対応する上記各サイドフェンスに配設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の排紙積載装置において、上記複数の突出部は、上記排紙方向に沿って複数列配設され、上記各サイドフェンスの上部のものから数えて同順位の上記突出部群を上記排紙案内面に対向して見たとき、上記排紙方向の上流側の上記突出部は、上記排紙方向の下流側の上記突出部に比べて上方に位置することを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の排紙積載装置において、上記各突出部は、該突出傾斜面が落下してくる上記排紙の側端縁部に接触する突出位置と、上記排紙積載面上に積載された排紙束を上記排紙台から上方に向けて取り出すときに、上記排紙束の側端縁部に接触して上記突出位置から上記排紙案内面の外側へ向けて退避する退避位置との間に移動可能であり、上記各突出部を上記突出位置と上記退避位置との間に移動可能に案内・支持する案内支持部材を有することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の排紙積載装置において、上記排紙束を上記排紙台から略上方向に取り出す初期時には、上記案内支持部材は、上記突出部が上記退避位置を占める以前に上記突出部を上記略上方向に移動可能に案内することを特徴とする。
ここで、「略上方向」とは、排紙台に対して垂直な上方向を含む他、多少斜め上の上方向をも含む。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の排紙積載装置において、上記各突出部は、薄板形状からなることを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項6または7記載の排紙積載装置において上記各突出部を上記退避位置に保持する保持手段を有することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。従来の技術例および各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき部材や構成部品であっても、その図において特別に説明する必要がない部材や構成部品は適宜断わりなく省略することがある。部材や構成部品の形状およびその配設位置を説明する際において、排紙方向の下流側を「前」とその上流側を「後」というときがあり、また排紙幅方向を左右というときがある。
【0022】
(実施形態1)
以下、図1ないし図5を参照して、本発明の実施形態1について説明する。図1において、符号1は、排紙台を示す。排紙台1は、排紙方向Xの上流側に配置された図示しない孔版印刷装置の本体(以下、「装置本体」というときがある)から印刷画像形成後に図中太矢印で示す排紙方向Xに排出される排紙Sを積載する平面状の排紙積載面1’を備え、上記孔版印刷装置を使用しないときには上記装置本体に収納されており、印刷時には、排紙Sを受容して積載するために、上記孔版印刷装置の排紙口側の一端を支点にして図1に示す位置に開かれて上記装置本体の図示しない位置決め部材により位置決め支持される。
符号2,3は、排紙台1上に配置された一対のサイドフェンスを示す。これらのサイドフェンス2,3は、排紙台1上に互いに対向して排紙方向Xと略平行に設けられ、排紙Sの各側端縁部を案内する排紙案内面2c,3cをそれぞれ備えており、排紙台1の排紙積載面1’に対して略垂直に配設されている。各サイドフェンス2,3は、排紙幅方向Yに移動可能になされている。
【0023】
符号4は、各サイドフェンス2,3を排紙幅方向Yに移動可能に案内するスライドレールを示す。各サイドフェンス2,3は、スライドレール4に案内されて排紙幅方向Yに摺動可能になっていて、印刷される用紙の幅、すなわち排紙Sの幅に合わせて位置を決めることができるようになっている。
符号5は、サイドフェンス保持摺動部を示す。サイドフェンス保持摺動部5は、各サイドフェンス2,3の下部に配設されていて、各サイドフェンス2,3を上記したように排紙積載面1’に対して略垂直に保持すると共に、スライドレール4に対して摺動可能な構成を有しており、排紙Sの幅に合わせて各サイドフェンス2,3の位置決めを可能としている。サイドフェンス保持摺動部5の構成等に関しては、本発明の要旨部との関連がないので詳細説明は省略するが、スライドレール4およびサイドフェンス保持摺動部5の構成は、例えば、特開平9−30714号公報の図6等に示されているものと略同様の構成を採用している。
【0024】
符号6は、排紙Sの先端部を衝止するエンドプレートを示す。エンドプレート6は、図1に示すように、排紙台1上における排紙方向Xの下流側に配置され、排紙台1の排紙積載面1’に対して略垂直または所定の角度をもってその角度を変えられるように配設されている。用紙Sが上記孔版印刷装置の本体から印刷画像形成後に図1中太矢印で示す排紙方向Xに排出される際、その先端部がエンドプレート6に突き当たり、排紙方向Xの位置決めがなされる。
符号7は、エンドプレート6を排紙方向Xに移動可能に案内するスライドレールを示す。エンドプレート6は、スライドレール7に案内されて排紙方向Xに摺動可能になっていて、印刷される用紙の長さ、すなわち排紙Sの縦サイズに合わせて位置を決めることができるようになっている。エンドプレート6の下部左右端部には、エンドプレート6が排紙方向Xに移動するときに、後述する各傾斜板10,11と干渉しないように切り欠き部6Aがそれぞれ形成されている。
符号8は、エンドプレート保持摺動部を示す。エンドプレート保持摺動部8は、エンドプレート6の中央下部に配設されていて、エンドプレート6を上記したように排紙積載面1’に対して所定の角度に保持すると共に、スライドレール7に対して摺動可能な構成を有しており、排紙Sの縦サイズに合わせてエンドプレート6の位置決めを可能としている。エンドプレート保持摺動部8の構成等に関しては、本発明の要旨部との関連がないので詳細説明は省略するが、スライドレール7およびエンドプレート保持摺動部8の構成は、例えば、特開平10−87146号公報の図1および図3等に示されているものと略同様の構成を採用している。
【0025】
各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3c側の下部には、各排紙案内面2c,3c側から排紙積載面1’に突出する向きに傾斜した排紙積載傾斜面10’,11’を備えた傾斜面部材としての傾斜板10,11がそれぞれ配設されている。上面に排紙積載傾斜面10’を備えた傾斜板10および上面に排紙積載傾斜面11’を備えた傾斜板11は、各サイドフェンス2,3の上部から下部に向かうに連れて排紙積載面1’に突出する向きに傾斜していて、用紙Sの各側端縁部Saと接触可能に、かつ、積載可能にそれぞれ設けられていると表現することもできる。各傾斜板10,11は、各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3c側の下部側端部にそれぞれ一体的に設けられている突起部2A,3Aとこれらに挿入された軸2B,3Bが、各サイドフェンス2,3の上端部にそれぞれ形成された孔に嵌合されることで、各サイドフェンス2,3に対して揺動可能に取り付けられている。
各傾斜板10,11の排紙積載傾斜面10’,11’の延長面と、各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cとの交線は、排紙台1の排紙積載面1’と略平行となっている。したがって、排紙台1を排紙方向Xから見ると、図5あるいは図14に示されているように、排紙積載面1’と各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cとが交わって形成される直角部の各々の角を各排紙積載傾斜面10’,11’で切り取った形状、すなわち排紙Sにおける排紙方向Xにおいて略一様な略U字形状もしくは凹形状の排紙受容面を形成することとなる。
なお、各傾斜板10,11は、本願出願人が以前に提案した特開平9−194113号公報の図2および図6等に示されている印刷用紙支持部材230とそれぞれ同じ構造および機能を有するものである。
【0026】
サイドフェンス2の後半寄りの部位には、図1、図3および図4等に示すように、縦長の角孔2a,2bがそれぞれ開けられている。これと同様に、サイドフェンス3後半寄りの部位にも、図3等に示すように、縦長の角孔3a,3bがそれぞれ開けられている。上記角孔2a,2b,3a,3bは、A4サイズ程度の排紙Sを排出するときに、エンドプレート6からの距離がA4長手方向の排紙Sの長さよりもできるだけ後ろ側に位置するように、換言すれば排紙方向Xにおける排紙積載面1’上に積載されるA4サイズ程度の排紙Sの長さのできるだけ後半寄りの部分に対応する各サイドフェンス2,3にそれぞれ配設されている。これをサイドフェンス2側について、図4で説明すると、各角孔2a,2bは、エンドプレート6に突き当たっている状態の排紙Sの長さをLとしたとき、L/2の後半部に位置したサイドフェンス2に配置されている。
【0027】
サイドフェンス2の各角孔2a,2bには、図2および図3等に示すように、平面視で「コ」の字形状のホルダ18,19がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。ホルダ18には「へ」の字形状の溝18a,18bが、これと同様にホルダ19には「へ」の字形状の溝19a,19bが排紙方向Xの両側を貫通してそれぞれ形成されている。
サイドフェンス3も上記したと同様の構造を有する。すなわち、サイドフェンス3の各角孔3a,3bには、図2および図3等に示すように、平面視で「コ」の字形状のホルダ20,21がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。ホルダ20には「へ」の字形状の溝20a,20bが、これと同様にホルダ21には「へ」の字形状の溝21a,21bが排紙方向Xの両側を貫通してそれぞれ形成されている。
各溝18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21bは、各ホルダ18,19,20,21において、その下側部分が2〜10mm位の範囲で略鉛直方向に延びており、その上側部分が各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cから外側へ離れる方向に延びてそれぞれ形成されている。
【0028】
各ホルダ18,19,20,21には、図1ないし図5に示すように、各ガイド部材14,15,16,17が上下方向に摺動可能にそれぞれ緩く嵌合して取り付けられている。ガイド部材14にはガイド軸14d,14eが、ガイド部材15にはガイド軸15d,15eが、ガイド部材16にはガイド軸16d,16eが、ガイド部材17にはガイド軸17d,17eがそれぞれ排紙方向Xの上流側および下流側に突出して一体的に形成されている。各ガイド軸14d,14eは各溝18a,18bに、各ガイド軸15d,15eは各溝19a,19bに、各ガイド軸16d,16eは各溝20a,20bに、各ガイド軸17d,17eは各溝21a,21bにそれぞれ挿通・係合することにより、各ガイド部材14,15,16,17が各溝18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21bに沿ってそれぞれ移動可能となっている。
【0029】
ガイド部材14の排紙落下方向には3段の突出部14a,14b,14cが、ガイド部材15の排紙落下方向には3段の突出部15a,15b,15cが、ガイド部材16の排紙落下方向には3段の突出部16a,16b,16cが、ガイド部材17の排紙落下方向には3段の突出部17a,17b,17cが各ガイド部材14,15,16,17にそれぞれ一体形成されている。各突出部14a,14b,14c,15a,15b,15c,16a,16b,16c,17a,17b,17cは、図2に示すように、実施例的にいうと、その厚さが0.5〜5mmの薄板形状からなり、排紙落下時には非可動であって、かつ、各サイドフェンス2,3の上部から下部に向かうに連れて各排紙案内面2c,3cからその内側に突出する向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な突出傾斜面14a’,14b’,14c’,15a’,15b’,15c’,16a’,16b’,16c’,17a’,17b’,17c’(後述する各案内部材12,13の各排紙案内傾斜面12’,13’と同様な面である)をそれぞれ備えている。
各突出部14a,14b,14cの突出傾斜面14a’,14b’,14c’は、サイドフェンス2の角孔2aを挿通して、その先端部がサイドフェンス2の排紙案内面2cから突出しており、以下同様に、各突出部15a,15b,15cの突出傾斜面15a’,15b’,15c’は、サイドフェンス2の角孔2bを挿通して、その先端部がサイドフェンス2の排紙案内面2cから突出している。また、各突出部16a,16b,16cの突出傾斜面16a’,16b’,16c’は、サイドフェンス3の角孔3aを挿通して、その先端部がサイドフェンス3の排紙案内面3cから突出しており、各突出部17a,17b,17cの突出傾斜面17a’,17b’,17c’は、サイドフェンス3の角孔3bを挿通して、その先端部がサイドフェンス3の排紙案内面3cから突出している。
【0030】
各ガイド部材14,15,16,17および各突出部14a,14b,14c,15a,15b,15c,16a,16b,16c,17a,17b,17cは、例えば、ABS樹脂(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)等のエンジニアリングプラスチックで形成したり、あるいは金属の場合では鉄を板金加工したものやアルミダイキャスト等で形成したりする。何れの材料で形成した場合でも、排紙Sの各側端縁部と接触する各突出傾斜面14a’,14b’,14c’,15a’,15b’,15c’,16a’,16b’,16c’,17a’,17b’,17c’の表面状態は排紙Sの各側端縁部面を引っ掛けたりしないような適度な滑らかさが必要であることは言うまでもない。
なお、各突出部17b,17cおよびそれらの突出傾斜面17b’,17c’は、何れの図においても形状的に図示されない位置関係で表されているので、図3においてそれらを括弧を付して示すに留める。
【0031】
図2において、同じガイド部材に形成されていて同じアラビア数字の符号のグループで示される各突出部14a,14b,14c、各突出部15a,15b,15c、各突出部16a,16b,16c、各突出部17a,17b,17cの排各紙案内面2c,3cからの突出量δ1,δ2,δ3は、英小文字のaからcへと各サイドフェンス2,3の下位に位置するものほど、順次小さくなるように形成されている。換言すれば、各突出部14a,14b,14c、各突出部15a,15b,15c、各突出部16a,16b,16c、各突出部17a,17b,17cの各排紙案内面2c,3cからの突出量δ1,δ2,δ3は、相対的に上位に位置する突出部の各排紙案内面2c,3cからの突出量が下位に位置する突出部の各排紙案内面2c,3cからの突出量よりも大きく設定されているものである。
これは、以下の理由から設定されている。すなわち、排紙Sが下方に落下するに連れ、印刷画像のインキの水分を順次吸収していくことにより、下凸形状に排紙腰付けされた用紙Sが、上凸形状に戻ろうとして排紙Sが排紙幅方向Yに広がり、その突出量δ1,δ2,δ3が大きいと排紙Sの各側端縁部Saが各突出部から外れにくくなり、排紙Sの落下積載が安定しないものになってしまうので、これを防止するため下側に位置するものほど突出量δを小さくしている。
【0032】
また、この実施形態1のように、各突出部が各サイドフェンス2,3の排紙方向Xにおいて複数列(実施形態1では2列)配設されている場合、図4に示すように、サイドフェンス2の上部のものから数えて同順位の突出部群を排紙案内面2cに対向して見たとき、排紙方向Xの上流側の突出部14aは、排紙方向Xの下流側の突出部15aに比べて寸法Hだけ上方に位置するように設けられている。これと同様にして、排紙方向Xの上流側の突出部14bは排紙方向Xの下流側の突出部15bに比べて、排紙方向Xの上流側の突出部14cは排紙方向Xの下流側の突出部15cに比べてそれぞれ寸法Hだけ上方に位置するよう設けられている。この関係は、サイドフェンス3側においても、上記したと同様の寸法配置関係で各突出部16a,16b,16cおよび各突出部17a,17b,17cが設けられている。
【0033】
上述したとおり、各ホルダ18,19,20,21と各ガイド部材14,15,16,17とが組み立てられているので、各突出部14a,14b,14c,15a,15b,15c,16a,16b,16c,17a,17b,17cは、各突出傾斜面14a’,14b’,14c’,15a’,15b’,15c’,16a’,16b’,16c’,17a’,17b’,17c’が落下してくる排紙Sの各側端縁部Saに接触する突出位置と、排紙積載面1’上に積載された排紙束を排紙台1から上方に向けて取り出すときに、排紙束の側端縁部Saに接触して突出位置から各排紙案内面2c,3cの外側へ向けて退避する退避位置との間に移動可能になっている。
ホルダ18の上下に形成された各溝18a,18bは各突出部14a,14b,14cを、ホルダ19の上下に形成された各溝19a19bは各突出部15a,15b,15cを、ホルダ20の上下に形成された各溝20a,20bは各突出部16a,16b,16cを、ホルダ21の上下に形成された各溝21a,21bは各突出部17a,17b,17cを、それぞれ上記突出位置と上記退避位置との間に移動可能に案内・支持する案内支持部材の機能を有する。
【0034】
また、上述したとおりの取り付けおよび寸法関係で、各ホルダ18,19,20,21および各ガイド部材14,15,16,17を具備していることにより、図10に示されているような排紙Sの積載状態において、排紙束を排紙台1から上方に向けて取り出すときには、図10に示されている各突出部14c、16cの下側に位置する排紙束の各側端縁部Saにより、各突出部14c、16cが上方に持ち上げられるが、その時、各ガイド軸14d,14e,16d,16eが各溝18a,18b,20a,20bに沿って最初は上に、その後は各突出部14c、16cの先端が各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cから離れるように移動して、各突出部14c、16cが退避位置を占めるので、排紙束の各側端縁部Saが各突出部14c、16cに引っ掛かってしまうことによる排紙束の取り出し性の悪化を避けることができる。説明の簡単化のために、サイドフェンス2の後ろ寄りのガイド部材14に設けられている各突出部14a,14b、14cとホルダ18に形成されている各溝18a,18bについてのみ着目して述べれば、排紙束を排紙台1から上方向に取り出す初期時には、各溝18a,18bは、各突出部14a,14b、14cが上記退避位置を占める以前にそれらの突出部14a,14b、14cを上方向に移動可能に案内するようになされていると言える。この関係は、他の3箇所でも同様である。
【0035】
サイドフェンス2の排紙案内面2c側の最上部の各突出部14a,15aが位置するよりもさらに上部のサイドフェンス2には、各突出部14a,14b,14c,15a,15b,15cの排紙案内面2cからの各突出量よりも大きく、排紙案内面2cからその内側に突出する下向きに傾斜した、排紙Sの一方の側端縁部Saに接触可能な排紙案内傾斜面12’を備えた傾斜面部材としての案内部材12が設けられている。これと同様に、サイドフェンス3の排紙案内面3c側の最上部の各突出部16a,17aが位置するよりもさらに上部のサイドフェンス3には、各突出部16a,16b,16c,17a,17b,17cの排紙案内面3cからの各突出量よりも大きく、排紙案内面3cからその内側に突出する下向きに傾斜した、排紙Sの他方の側端縁部Saに接触可能な排紙案内傾斜面13’を備えた傾斜面部材としての案内部材13が設けられている。
各案内部材12,13は、図1に示されているように、排紙方向Xに沿って延在して設けられていて、排紙方向Xの上流側から下流側に向かうに連れてその突出量が小さく形成されている。各案内部材12,13における排紙方向Xの上流端であるサイドフェンス2,3の端部に位置する部位には、折り曲げ部12a,13aがそれぞれ一体形成されている。各折り曲げ部12a,13aは、排紙Sの各側端縁部Saを各サイドフェンス2,3の内側である排紙案内面2c,3cに導くと共に、各案内部材12,13の上方に排紙Sを飛ばす作用を有する。各案内部材12,13は、上記した各ガイド部材14,15,16,17および各突出部14a,14b,14c,15a,15b,15c,16a,16b,16c,17a,17b,17cの材質と同様のものを用いて形成している。
なお、各案内部材12,13は、例えば、本願出願人が以前に提案した特開平9−194113号公報の図2ないし図4等に示されているフィン部材250とそれぞれ同じ構造および機能を有するものであり、上記した以外の構成は上記公報記載のものと同様である。
【0036】
説明が前後したが、各サイドフェンス2,3およびエンドプレート6には、排紙台1への排紙Sの落下時に生じる空気を外側に逃がして空気の流れを整えるための開口部が適宜形成されているが、各図では図の簡明化を図るためその開口部の図示を全て省略している。
【0037】
次に、動作を説明する。まず、排紙Sの排出落下時の動作を説明する。
上記孔版印刷装置で印刷され、同装置の本体から排出される排紙Sは、図1で仮想線で示すように、インキの水分を吸収することによって排紙方向Xから見て上凸形状に反り返った変形状態で排紙台1に向けて排出されてくる。排紙Sは、各サイドフェンス2,3の後端部において配置されている各案内部材12,13の折り曲げ部12a,13aに案内されて、弱い下凸形状を形成しながら各案内部材12,13の上方を通過して、排紙Sの先端部がエンドプレート6に突き当たる。その後、排紙Sは落下を始めるが、この時、各案内部材12,13の排紙案内傾斜面12’,13’によって排紙Sの各側端縁部Saを支持され、図5に示すように、排紙Sの自重で大きく下凸形状に矯正され、排紙Sの各側端縁部Saが排紙案内傾斜面12’,13’から外れて下に落下する。
【0038】
下に落下した排紙Sは、この落下中にインキの水分をさらに吸収することにより、上凸形状に戻ろうとするが、最上段の各突出部14a,15a,16a,17aの突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’によって、下凸形状を維持するように矯正される。そして、排紙Sの各側端縁部Saがこれら突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’から外れて、下に落下すると、今度は中段の各突出部14b,15b,16b,17bの突出傾斜面14b’,15b’,16b’,17b’によって、上記したと同様に下凸形状を維持するように矯正される。さらに、排紙Sの各側端縁部Saがこれら突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’から外れて、下に落下すると、今度は最下段の各突出部14c,15c,16c,17cの突出傾斜面14c’,15c’,16c’,17c’によって、上記したと同様に下凸形状を維持するように矯正され、排紙Sが下凸形状を維持したまま、排紙Sの各側端縁部Saが各傾斜板10,11の排紙積載傾斜面10’,11’で支持されると同時に、排紙Sの中央部が排紙台1の排紙積載面1’で支持されて積載される。
【0039】
このように、本実施形態1によれば、排紙Sの各側端縁部Saが各突出部の突出傾斜面で順次支持されて下凸形状を保持した状態で落下する際に、最上段の各突出部14a,15a,16a,17aの突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’、中段の各突出部14b,15b,16b,17bの突出傾斜面14b’,15b’,16b’,17b’、最下段の各突出部14c,15c,16c,17cの突出傾斜面14c’,15c’,16c’,17c’はそれぞれ固定状態であって不要な動きをすることがないので、排紙Sの各側端縁部Saを安定して支持することができる。
さらに、最上段の各突出部14a,15a,16a,17aの上方に案内部材12,13を設けているため、ここの排紙案内傾斜面12’,13’で排紙Sの各側端縁部Saを支持することによって、排紙Sを一旦下凸形状に大きく矯正した上で下に落下させるので、上記各突出部における排紙Sの各側端縁部Saの支持と共に、落下動作も安定し、排紙Sの下凸形状を安定して維持することができる。
【0040】
また、図4を参照して述べたように、各角孔2a,2b、すなわち各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cは、エンドプレート6に突き当たっている状態の排紙Sの長さをLとしたとき、L/2の後半部に位置したサイドフェンス2,3に配置されていることにより、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cが排紙Sの後半側の各側端縁部Saを支持するようになるので、排紙Sの前半側部分は自重によって後半側の部分よりも先に落下し、排紙Sの全体が排紙幅方向Yから見たとき前屈み状態になって落下することとなる。これによって、排紙Sの先端部は、エンドプレート6での跳ね返りが生じても、エンドプレート6に付き当てられるようになり、排紙Sの排紙方向Xでの排紙揃えも向上する。
図4において、突出部14a,14b,14cおよび突出部15a,15b,15cは、排紙方向Xで2列配設されている。これは、排紙Sの排紙方向Xの長さが長くなると、下凸形状の保持(維持)を上下1列だけでなく、ある程度の区間(排紙方向Xにおける長さ)で行わないと、排紙Sの前半部などでその効果が薄くなるので、大きなサイズの印刷用紙を印刷するときには、2列程度設置されていた方がよいからである。
このような場合でも、図4に示すように、上方から数えて同順位の突出部に関して、排紙方向X上流側の突出部(例えば突出部14a)は、下流側の突出部(例えば突出部15a)に比べて図4中寸法Hだけ上方に位置するようになされているので、2つの突出部(例えば突出部14aと15a)があっても、上述したように排紙Sの全体を前屈み状態にさせて落下させ、排紙Sの先端部をエンドプレート6に突き当てる効果を維持することができる。
【0041】
次に、排紙Sの積載状態および排紙Sの取り出し時の動作を説明する。
図10は排紙Sが積載された状態を示している。最下段の各突出部14c,15c,16c,17cを通過した排紙Sは、下凸形状を維持したまま、排紙Sの各側端縁部Saが各傾斜板10,11の排紙積載傾斜面10’,11’で支持されると同時に、排紙Sの中央部が排紙台1の排紙積載面1’で支持されて次々と積載されていく。このような排紙Sの積載時には上記した各突出部が邪魔になるが、各突出部は薄板形状であることから、突出部の下側においても排紙Sが積載されることとなり、突出部の上下で排紙Sの積載が邪魔されるデッドスペースDPは少なく、排紙S全体の積載量にほとんど影響を及ぼさない。
【0042】
また、図2を参照して述べたように、同じガイド部材に形成されている各突出部14a,14b,14c、各突出部15a,15b,15c、各突出部16a,16b,16c、各突出部17a,17b,17cの排各紙案内面2c,3cからの突出量δ1,δ2,δ3は、英小文字のaからcへと各サイドフェンス2,3の下位に位置するものほど、順次小さくなるように形成されている。これにより、排紙Sの落下が進行するに連れて、インキの水分のさらなる吸収によって排紙Sが上凸形状の状態に戻ろうとして排紙Sが排紙幅方向Yに広がっても、その突出量δ1,δ2,δ3が大きいがゆえに排紙Sの各側端縁部Saが各突出部から外れにくくなって、排紙Sの落下積載が安定しなくなるということを防止できる。
【0043】
図10のように積載された排紙束を取り出すときには、排紙束を上に持ち上げる必要があるが、積載された排紙Sの間には図10に示す状態では各突出部14c,16cが挟まっており、この各突出部14c,16cが排紙束を持ち上げるときに邪魔になる。しかしながら、各突出部を有する各ガイド部材14,15,16,17には、上述したガイド軸14e,14d,15e,15d,16e,16d,17e,17dが排紙方向Xの前後両側に設けられていて、これらのガイド軸14e,14d,15e,15d,16e,16d,17e,17dが各溝18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21bにそれぞれ係合し、溝に沿って移動可能となっていて、各溝18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21bの形状がその下側部分は鉛直方向に延び、途中からその上側部分は各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cから外側に離れる方向に延びている。
このような各ガイド軸と各溝との構成を有することにより、図10に示されているような排紙Sの積載状態において、排紙束を排紙台1から上方に向けて取り出すときには、図10に示されている各突出部14c、16cの下側に位置する排紙束の各側端縁部Saにより、図10において各突出部14c、16cが上方に持ち上げられることでガイド部材14,16の全体が上に持ち上げられるが、その時、ガイド軸14e,14d,16e,16dは各溝18a,18b,20a,20bに沿って最初は上に、その後は外側に離れるように動くので、各突出部14c、16cの先端が各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cから外側に離れるように移動して、各突出部14c、16cが退避位置を占めるので、各突出部14c、16cは排紙束から自動的に抜けてしまい、排紙束の各側端縁部Saが各突出部14c、16cに引っ掛かりによる排紙束の取り出し性の悪化を避けることができる。このように最初、各突出部14c、16cが退避位置を占める方向に動かず、上にのみ動くのは、排紙積載時における各突出部14c、16cの退避方向での動きを制限し、上述したように各突出部14c、16cを安定させ、不要な動きが起きないようにするためである。
【0044】
(実施形態1の変形例)
これまで説明してきたように、印刷用紙として標準紙、更紙や薄紙等を使用した場合においては、各サイドフェンス2,3の最上部寄りの各案内部材12,13と、各サイドフェンス2,3の後半部分に排紙落下方向に複数個配設された各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cによって、排紙Sの各側端縁部Saを支持し下凸形状に排紙Sを段階的に矯正することで、排紙幅方向Yおよび排紙方向Xの排紙揃えを向上させることができる。しかしながら、厚紙や封筒を使用してこれに印刷する場合には、インキの水分を吸収することによる上凸形状に反り返る逆U字形状のカールはほとんど起きず、逆に、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cがあることでそれらが障害となって、排紙Sの落下の邪魔になってしまう。このためには、各案内部材12,13と、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cとを各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cから外側に退避させておく状態に保持しておくのがよい。
各案内部材12,13に関しては、上記した特開平9−194113号公報(第1の技術例)の図3ないし図5および図10に示されているような機構によって退避保持させることが可能である。
【0045】
一方、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cの退避機構を、図6および図7に示し、これを実施形態1の変形例とする。この変形例は、実施形態1と比較すると、上述したガイド軸14e,14d,15e,15d,16e,16d,17e,17dのうち、各ガイド部材14,15,16,17で少なくとも1箇所のガイド軸14e,15e,16e,17eの一端部に雄ネジを切っておき、これに螺合するナット35をそれぞれ設けていることが主に相違する。ガイド軸14e,15e,16e,17eの一端部に形成された雄ネジおよびこれらの雄ネジに螺合する各ナット35は、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cを退避位置に保持する保持手段を構成する。
【0046】
厚紙や封筒に印刷するときには、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cを退避位置に保持するために、各ガイド部材14,15,16,17におけるガイド軸14e,14d,15e,15d,16e,16d,17e,17dを各溝18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21bに沿って最上部付近まで移動させ、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cの先端が各排紙案内面2c,3cから外側に移動し、退避位置を占めたことを確認した後、各ナット35を締めて、各ガイド部材14,15,16,17を各ホルダ18,19,20,21に固定する。これにより、各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cの先端が、各排紙案内面2c,3cから出っ張ることがなくなり、厚紙や封筒印刷時の障害となることがない。これに前後して、各案内部材12,13については、上記した退避保持機構によって退避保持させておく。
【0047】
(実施形態2)
図8および図9に実施形態2を示す。この実施形態2は、実施形態1と比較すると、実施形態1の各突出部14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17cに代えて、各サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cに固定された突出部としての各突起31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを有することが主に相違する。各突起31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、ほぼ山形状をなしていて、その上面および下面には、共に傾斜面が形成されている。
【0048】
この実施形態2では、排紙取り出し時において、多少の取り出しにくさはあるが、各突起31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bの下面側も傾斜面となっており、排紙束の取り出し性の悪化は軽減されており、排紙Sにおける下凸形状の保持性という面では、実施形態1と比べてほとんど遜色はなく、コスト低減という観点からは効果が高い。
なお、この例でも、突出部としての突起は、上述のように複数列(実施形態2では2列)配設することが可能であり、このように複数列配設した場合には図8において寸法H’で示すように、上方から数えて同順位の突起(例えば突起31aと32a)に関して、排紙方向X上流側の突起(例えば突起31a)は、下流側の突起(例えば突起32a)に比べてサイドフェンス2の上方に位置するようになっているので、2つの突起列があっても、上述のように、排紙S全体を前屈み状態にさせて落下させ、排紙Sの先端部をエンドプレート6に突き当てる効果を維持することができる。
【0049】
(実施形態3)
図11に実施形態3を示す。この実施形態3は、図6および図7に示した実施形態1の変形例と比較すると、実施形態1の変形例における各突出部14a,14b,14cを一体形成したガイド部材14に代えて、各突出部54a,54b,54cを一体形成したガイド部材54を有することが相違する。
実施形態3のガイド部材54は、実施形態1の変形例のガイド部材14と比較して、薄板形状をなす各突出部14a,14b,14cに代えて、正面視で鋸歯状の略直角三角形をなす突出部54a,54b,54cを一体形成している点のみ相違し、実施形態1の変形例と同様の構造および形状を備えている部材や構成部品については同じ符号を付している。各突出部54a,54b,54cは、各突出部14a,14b,14cと同じ突出傾斜面、すなわち排紙落下時には非可動であって、かつ、サイドフェンス2の上部から下部に向かうに連れて排紙案内面2cからその内側に突出する向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な突出傾斜面14a’,14b’,14c’を各上側にそれぞれ備えている。各突出部54a,54b,54cの下側は、水平面または図11において左斜め下方向に傾斜した面を備えている。
【0050】
この実施形態3では、図11に示されているように、説明の簡単化のために、一方のサイドフェンス2側の奥側に配設されているガイド部材54およびその列の各突出部54a,54b,54cのみ図示したが、上記変形例と同様に排紙方向Xに2列配設されており、また他方のサイドフェンス3側についてもサイドフェンス2側と同様の構成を有しているものである。
【0051】
この実施形態3では、図10の各突出部14a,14b,14cに代えて、各突出部54a,54b,54cを置き換え図10を借りて考察すると、各突出部54a,54b,54cの下側のデッドスペースDPは大きくなるが、排紙Sを上方に向けて取り出す際に、排紙Sの各側端縁部Saの引っ掛かりを軽減することができる利点がある。これ以外の利点は、実施形態1の変形例と同様である。
【0052】
上述した実施形態1ないし3から、本発明は、上記した排紙台と、上記した一対のサイドフェンスと、上記したエンドプレートとを具備し、少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、各サイドフェンスの上部から下部に向かうに連れて排紙案内面からその内側に突出する向きに傾斜した、排紙の各側端縁部に接触可能な突出傾斜面を備えた突出部を、各サイドフェンスの排紙落下方向に複数有し、相対的に上位に位置する突出部の各排紙案内面からの突出量は、下位に位置する突出部の各排紙案内面からの突出量よりも大きく設定されている構成であればよいと言える。
【0053】
参考例1
図12に参考例1を示す。この参考例1は、図1ないし図5に示した実施形態1のサイドフェンス2側の構成と比較すると、排紙方向Xに複数列(実施形態1の例では2列)、かつ、サイドフェンス2の排紙落下方向に複数(実施形態1の例では3つ)の突出部14a,14b,14c群、突出部15a,15b,15c群をそれぞれ形成していた実施形態1のガイド部材14,15に代えて、排紙方向Xに沿って複数(参考例1の例では2つ)、かつ、サイドフェンス2の排紙落下方向に単数の突出部14a、突出部15aをそれぞれ形成したガイド部材14’,15’を有することが主に相違する。
【0054】
参考例1では、図12に示されているように、説明の簡単化のために、一方のサイドフェンス2側に配設されている突出部14aを備えたガイド部材14’および突出部15aを備えたガイド部材15’、ならびに案内部材12や傾斜板10のみ図示したが、他方のサイドフェンス3側についても同様の構成、すなわち図12に括弧を付して示したとおりの、サイドフェンス3側に配設されている突出部16aを備えたガイド部材16’および突出部17aを備えたガイド部材17’、ならびに案内部材13や傾斜板11を有しているものである。
【0055】
ガイド部材14’は、ガイド部材14と比較して、薄板形状をなす1つの突出部14aを備えている点が、ガイド部材15’は、ガイド部材15と比較して、薄板形状をなす1つの突出部15aを備えている点がそれぞれ相違する。なお、参考例1では、傾斜板10は後述する作用効果から必ずしも必須の構成ではない。
【0056】
参考例1の必須の構成を具体的にまとめると、以下のようである。すなわち、上記した排紙台1と、上記した一対のサイドフェンス2,3と、上記したエンドプレート6とを具備し、少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、各サイドフェンス2,3の上部から下部に向かうに連れて排紙案内面2c,3cからその内側に突出する向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’を備えた突出部14a,15a,16a,17aを、各サイドフェンス2,3の排紙方向Xに沿って複数(参考例1では2つ)配設され、複数の突出部14a,15aや16a,17aを排紙案内面2cや3cに対向して見たとき、排紙方向Xの上流側の突出部14aや16aは、排紙方向Xの下流側の突出部15aや17aに比べて上方に(参考例1では寸法Hだけ)位置し、複数の突出部14a,15aや16a,17aが位置するよりも各サイドフェンス2,3の上部には、複数の突出部14a,15aや16a,17aの排紙案内面2cや3cからの各突出量よりも大きく排紙案内面2cや3cからその内側に突出する下向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な排紙案内傾斜面12’,13’を備えた案内部材12,13を有していればよいと言える。
【0057】
したがって、参考例1によれば、例えば排紙方向Xから見て上凸形状に反り返った変形状態等で排紙台1に向けて排出されてくる排紙Sの先端部が、エンドプレート6に突き当たるのに前後して、案内部材12,13の排紙案内傾斜面12’,13’によって、排紙Sの各側端縁部Saが支持されることにより、排紙Sの各側端縁部Saが排紙Sの中央部に比べて上方に大きく反り返され、排紙方向Xから見て大きく下凸形状に矯正して落下させることができ、さらに排紙Sが排紙台1上に落下するまでの間、各突出部14a,15a,16a,17aの突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’によって、排紙Sの各側端縁部Saが支持されることにより、排紙Sの各側端縁部Saが排紙Sの中央部に比べて上方に反り返され、排紙方向Xから見て下凸形状に矯正して落下させることができるので、排紙幅方向Yでの排紙揃えを向上することができると共に、これを簡単な機構でコストアップすることなく実現することができる。また、複数の突出部14a,15a,16a,17aは、排紙方向Xに沿って複数配設されていることにより、大サイズの排紙Sでも排紙方向Xの1箇所ではなく、ある程度の長さに亘った複数箇所で排紙幅方向Yでの排紙揃えを向上することができると共に、複数の突出部14a,15aや16a,17aを排紙案内面2cや3cに対向して見たとき、排紙方向Xの上流側の突出部14a,16aは、排紙方向Xの下流側の突出部15a,17aに比べて上方に位置することにより、排紙Sの先端部を正確にエンドプレート6に突き当てる利点も得られるので、排紙方向Xでの排紙揃えも向上することができる。
加えて、参考例1では、上記した傾斜板10,11を有していることにより、実施形態1で述べたと同様の利点が得られる。
【0058】
参考例2
図13に参考例2を示す。この参考例2は、図1ないし図5に示した実施形態1のサイドフェンス2側の構成と比較すると、排紙方向Xに複数列(実施形態1の例では2列)、かつ、サイドフェンス2の排紙落下方向に複数(実施形態1の例では3つ)の突出部14a,14b,14c群、突出部15a,15b,15c群をそれぞれ形成していた実施形態1のガイド部材14,15に代えて、排紙方向Xに少なくとも1つ(参考例2では2つ)、かつ、サイドフェンス2の排紙落下方向に単数の突出部14a、突出部15aをそれぞれ形成したガイド部材14’,15’を有すること、および突出部14aの突出傾斜面14a’と突出部15aの突出傾斜面15a’とが同じ水平面上に配置されていることが主に相違する。
【0059】
参考例2では、図13に示されているように、説明の簡単化のために、一方のサイドフェンス2側に配設されている突出部14aを備えたガイド部材14’および突出部15aを備えたガイド部材15’、ならびに案内部材12や傾斜板10のみ図示したが、他方のサイドフェンス3側についても同様の構成、すなわち図13に括弧を付して示したとおりの、サイドフェンス3側に配設されている突出部16aを備えたガイド部材16’および突出部17aを備えたガイド部材17’、ならびに案内部材13や傾斜板11を有しているものである。
【0060】
ガイド部材14’は、ガイド部材14と比較して、薄板形状をなす1つの突出部14aを備えている点が、ガイド部材15’は、ガイド部材15と比較して、薄板形状をなす1つの突出部15aを備えている点がそれぞれ相違する。なお、この参考例2では、傾斜板10は後述する作用効果から必ずしも必須の構成ではない。
【0061】
参考例2の必須の構成を具体的にまとめると、以下のようである。すなわち、上記した排紙台1と、上記した一対のサイドフェンス2,3と、上記したエンドプレート6とを具備し、少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、各サイドフェンス2,3の上部から下部に向かうに連れて排紙案内面2c,3cからその内側に突出する向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’を備えた突出部14a,15a,16a,17aを、各サイドフェンス2,3の排紙方向Xに沿って少なくとも1つ(参考例2では2つ)配設され、突出部14a,15aや16a,17aが位置するよりも各サイドフェンス2,3の上部には、突出部14a,15aや16a,17aの排紙案内面2cや3cからの各突出量よりも大きく排紙案内面2cや3cからその内側に突出する下向きに傾斜した、排紙Sの各側端縁部Saに接触可能な排紙案内傾斜面12’,13’を備えた案内部材12,13を有していればよいと言える。
【0062】
したがって、参考例2によれば、例えば排紙方向Xから見て上凸形状に反り返った変形状態等で排紙台1に向けて排出されてくる排紙Sの先端部が、エンドプレート6に突き当たるのに前後して、案内部材12,13の排紙案内傾斜面12’,13’によって、排紙Sの各側端縁部Saが支持されることにより、排紙Sの各側端縁部Saが排紙Sの中央部に比べて上方に大きく反り返され、排紙方向Xから見て大きく下凸形状に矯正して落下させることができ、さらに排紙Sが排紙台1上に落下するまでの間、各突出部14a,15a,16a,17aの突出傾斜面14a’,15a’,16a’,17a’によって、排紙Sの各側端縁部Saが支持されることにより、排紙Sの各側端縁部Saが排紙Sの中央部に比べて上方に反り返され、排紙方向Xから見て下凸形状に矯正して落下させることができるので、排紙幅方向Yでの排紙揃えを向上することができると共に、これを簡単な機構でコストアップすることなく実現することができる。
加えて、参考例2では、突出部14a,15a,16a,17aが、排紙方向Xに沿って複数配設されていることにより、大サイズの排紙Sでも排紙方向Xの1箇所ではなく、ある程度の長さに亘った複数箇所で排紙幅方向Yでの排紙揃えを向上することができる。また、上記した傾斜板10,11を有していることにより、実施形態1で述べたと同様の利点が得られる。
【0063】
参考例1およびにおいて上記したような必須の構成を採った理由は、見方を変えて考察するならば、以下のように説明できる。すなわち、実施形態1ないし3では、実施形態1ないし3において上記した各突出部を、各サイドフェンス2,3の排紙落下方向に複数(実施形態1ないし3の各例では3つ)有していたので各案内部材12,13は必須の構成ではなかったが、参考例1では、突出部を各サイドフェンス2,3の排紙落下方向に単数しか有していないため、実施形態1ないし3において排紙落下方向に複数段配設されていた突出部の代わりの機能を各案内部材12,13に付与したと見ることができる。
【0064】
参考例1は、各突出部14a,15a,16a,17aに限らず、用途に応じてあるいは上記各利点を適宜選択することにより、サイドフェンス2,3の排紙案内面2c,3cに一体的に形成された、排紙落下時および排紙束の取り出し時共に非可動、すなわち実施形態2における突出部としての固定された不動の突起であってもよいし、また、実施形態3のような鋸歯状をなす突出部であってもよいし、あるいは実施形態1のような保持手段を付設したものでも構わない。
【0065】
なお、実施形態1等における各突出部14a,15a,16a等の排各紙案内面2c,3cからの突出量δ1,δ2,δ3および各突出部群列における上下間隔の寸法Hや、実施形態2における各突起31a,31b等の排各紙案内面2c,3cからの突出量δ1’,δ2’および各突起群列における上下間隔の寸法H’は、排紙Sの種類(標準紙や更紙や薄紙)に応じて何回もの試験によって最終的にそれらの最適寸法の範囲が決められるものであり、これらの寸法設定に係る実施例は設計事項に属する範囲であるため、その例示を省略した。
【0066】
なお、実施形態1ないし3、参考例1および2等の各傾斜板10,11に限らず、これに代えて、排紙方向Xから見たときの排紙積載面が凹形状をなしている排紙台を採用しても、各傾斜板10,11を設けた場合と同様の利点を得られる。
【0067】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0068】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な排紙積載装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、各サイドフェンスの上部から下部に向かうに連れて排紙案内面からその内側に突出する向きに傾斜した、排紙の各側端縁部に接触可能な突出傾斜面を備えた突出部を、各サイドフェンスの排紙落下方向に複数有することにより、例えば排紙方向から見て上凸形状に反り返った変形状態等で排紙台に向けて排出されてくる排紙の先端部が、エンドプレートに突き当たった後、排紙が排紙台上に落下するまでの間、各突出部の突出傾斜面によって、排紙の各側端縁部が支持されることにより、排紙の各側端縁部が排紙の中央部に比べて上方に反り返され、排紙方向から見て下凸形状に矯正して落下させることができ、こうして下凸形状に矯正された排紙は、排紙台上に落下するまでの間に上凸形状に戻ろうとしても、複数の突出部によって、複数回に亘って下凸形状への矯正を連続的に受けながら、下凸形状を保持したまま排紙台上に落下するので、排紙幅方向での排紙揃えを向上することができると共に、これを簡単な機構でコストアップすることなく実現することができる。
加えて、相対的に上位に位置する突出部の各排紙案内面からの突出量は、下位に位置する突出部の各排紙案内面からの突出量よりも大きく設定されていることにより、例えば排紙が落下するに連れてインキの水分をさらに吸収することによって上凸形状に戻ろうとして排紙の各側端が排紙幅方向に広がっても、突出部の突出量が多いがゆえに各側端縁部が突出部から外れにくくなって積載が安定しなくなるということも防止できる。
【0069】
請求項2記載の発明によれば、複数の突出部のうちの最下部のものが位置するよりも各サイドフェンスの下部には、排紙案内面から排紙積載面に突出する下向きに傾斜した排紙積載傾斜面を備えた傾斜面部材を有するか、または排紙方向から見たときの排紙積載面が凹形状をなしていることにより、請求項1記載の発明の効果に加えて、下凸形状を保持したまま排紙台上に落下してくる排紙を、その下凸形状を保持したまま積載できるので、始めの1枚目から整然と排紙幅方向での排紙揃えを向上することができると共に、突出部が不要な動きをして排紙の下凸形状への矯正時に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0070】
請求項3記載の発明によれば、複数の突出部のうちの最上部のものが位置するよりも各サイドフェンスの上部には、複数の突出部の排紙案内面からの各突出量よりも大きく排紙案内面からその内側に突出する下向きに傾斜した、排紙の各側端縁部に接触可能な排紙案内傾斜面を備えた案内部材を有することにより、例えば排紙方向から見て上凸形状に反り返った変形状態等で排紙台に向けて排出されてくる排紙の先端部が、エンドプレートに突き当たるのに前後して、案内部材の排紙案内傾斜面によって、排紙の各側端縁部が支持されることにより、排紙の各側端縁部が排紙の中央部に比べて上方に大きく反り返され、排紙方向から見て大きく下凸形状に矯正して落下させることができるので、請求項1または2記載の発明の効果を安定して得ることができる。
【0071】
請求項4記載の発明によれば、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、複数の突出部は、排紙方向における排紙積載面上に積載される排紙の長さの後半部分に対応する各サイドフェンスに配設されていることにより、排紙はその後半部の各側端縁部を複数の突出部によって支持されるので、排紙方向における排紙の後端部は、排紙の先端部よりも落下が遅くなり、結果的に排紙の先端部が早く落下することによって、排紙の先端部を正確にエンドプレートに突き当てる効果も得られるので、排紙方向での排紙揃えも向上することができる。
【0072】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、複数の突出部は、排紙方向に沿って複数列配設されていることにより、大サイズの排紙でも排紙方向の1箇所ではなく、ある程度の長さに亘った複数箇所で排紙幅方向の排紙揃えを向上することができると共に、各サイドフェンスの上部のものから数えて同順位の突出部群を排紙案内面に対向して見たとき、排紙方向の上流側の突出部は、排紙方向の下流側の突出部に比べて上方に位置することにより、排紙の先端部を正確にエンドプレートに突き当てる効果も得られるので、排紙方向での排紙揃えも向上することができる。
【0073】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、各突出部は、該突出傾斜面が落下してくる排紙の側端縁部に接触する突出位置と、排紙積載面上に積載された排紙束を排紙台から上方に向けて取り出すときに、排紙束の側端縁部に接触して突出位置から排紙案内面の外側へ向けて退避する退避位置との間に移動可能であり、各突出部を突出位置と退避位置との間に移動可能に案内・支持する案内支持部材を有することにより、排紙台上に積載された排紙や排紙束を取り出すときに、突出部が邪魔になることがなく、排紙取り出し操作性を悪化させることがない。
【0074】
請求項7記載の発明によれば、排紙束を排紙台から上方向に取り出す初期時には、案内支持部材は、突出部が退避位置を占める以前に突出部を上方向に移動可能に案内することにより、請求項6記載の発明の効果に加えて、落下してくる排紙の受入れ状態では各サイドフェンスの排紙案内面からの突出量を一定にして、突出部が不要な動きをして排紙における下凸形状への矯正へ悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0075】
請求項8記載の発明によれば、各突出部は、薄板形状からなることにより、請求項7記載の発明の効果に加えて、各突出部の下側に積載される排紙が、突出部の下部に邪魔されることが少ないので、排紙の積載量を多くすることができる。
【0077】
請求項記載の発明によれば、各突出部を退避位置に保持する保持手段を有することにより、請求項6または7記載の発明の効果に加えて、例えば厚紙印刷時のように、排紙を下凸形状に矯正するというような排紙腰付けが不要な用紙の場合に突出部が邪魔になるときには、保持手段によって各突出部を退避位置に保持させることで、安定した排紙の排出動作を行うことができる。また、搬送方向に短い排紙を排出するときには、複数の突出部のうち、排紙方向における排紙の後半部分より前にある各突出部を退避位置に保持することで、排紙の先端部を正確にエンドプレートに突き当てる効果を維持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1を示す排紙積載装置の構成および動作を表す要部の斜視図である。
【図2】 図1における排紙積載装置の部分断面を含む要部の正面図である。
【図3】 図1における排紙積載装置の要部の平面図である。
【図4】 図1における排紙積載装置の片側のサイドフェンスおよび突出部周りの構成および排紙動作を示す側面図である。
【図5】 図1における排紙積載装置による排紙の落下時の動作を説明する部分断面を含む要部の正面図である。
【図6】 実施形態1の変形例における排紙積載装置の保持手段周りの構成を示す部分断面を含む要部の正面図である。
【図7】 図6における排紙積載装置の要部の平面図である。
【図8】 本発明の実施形態2を示す排紙積載装置の構成および動作を表す要部の斜視図である。
【図9】 図8における排紙積載装置の部分断面を含む要部の正面図である。
【図10】 図1における排紙積載装置による排紙の落下および積載時の動作を説明する部分断面を含む要部の正面図である。
【図11】 本発明の実施形態3を示す排紙積載装置の片側のサイドフェンスおよび突出部周りの構成および排紙動作を示す正面図である。
【図12】 参考例1を示す排紙積載装置の片側のサイドフェンスおよび突出部周りの側面図である。
【図13】 参考例2を示す排紙積載装置の片側のサイドフェンスおよび突出部周りの側面図である。
【図14】 従来の排紙積載装置による排紙の落下動作を説明する要部の正面図である。
【符号の説明】
1 排紙台
1’ 排紙積載面
2,3 サイドフェンス
2c,3c 排紙案内面
6 エンドプレート
10,11 傾斜面部材としての傾斜板
10’,11’ 排紙積載傾斜面
12,13 案内部材
12’,13’ 排紙案内傾斜面
14,15,16,17 ガイド部材
14a,15a,16a,17a,14b,15b,16b,17b,14c,15c,16c,17c,54a,54b,54c 突出部
14a’,15a’,16a’,17a’,14b’,15b’,16b’,17b’,14c’,15c’,16c’,17c’,54a’,54b’,54c’ 突出傾斜面
18,19,20,21 案内支持部材としてのホルダ
18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21b 案内支持手段としてホルダに形成された溝
L 排紙方向における排紙の長さ
S 排紙
Sa 排紙の各側端縁部
X 排紙方向
Y 排紙幅方向

Claims (9)

  1. 画像形成後に排出される排紙を積載する排紙積載面を備えた排紙台と、この排紙台上に対向して排紙方向と略平行に設けられ、上記排紙の各側端縁部を案内する排紙案内面を備えた一対のサイドフェンスと、上記排紙台上における上記排紙方向の下流側に配置され、上記排紙の先端部を衝止するエンドプレートとを具備した排紙積載装置において、
    少なくとも排紙落下時には非可動であって、かつ、上記各サイドフェンスの上部から下部に向かうに連れて上記排紙案内面からその内側に突出する向きに傾斜した、上記排紙の各側端縁部に接触可能な突出傾斜面を備えた突出部を、上記各サイドフェンスの排紙落下方向に複数有し、
    相対的に上位に位置する上記突出部の上記各排紙案内面からの突出量は、下位に位置する上記突出部の上記各排紙案内面からの突出量よりも大きく設定されていることを特徴とする排紙積載装置。
  2. 請求項1記載の排紙積載装置において、
    上記複数の突出部のうちの最下部のものが位置するよりも上記各サイドフェンスの下部には、上記排紙案内面から上記排紙積載面に突出する下向きに傾斜した排紙積載傾斜面を備えた傾斜面部材を有するか、または上記排紙方向から見たときの上記排紙積載面が凹形状をなしていることを特徴とする排紙積載装置。
  3. 請求項1または2記載の排紙積載装置において、
    上記複数の突出部のうちの最上部のものが位置するよりも上記各サイドフェンスの上部には、上記複数の突出部の上記排紙案内面からの各突出量よりも大きく上記排紙案内面からその内側に突出する下向きに傾斜した、上記排紙の各側端縁部に接触可能な排紙案内傾斜面を備えた案内部材を有することを特徴とする排紙積載装置。
  4. 請求項1,2または3記載の排紙積載装置において、
    上記複数の突出部は、上記排紙方向における上記排紙積載面上に積載される上記排紙の長さの後半部分に対応する上記各サイドフェンスに配設されていることを特徴とする排紙積載装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の排紙積載装置において、
    上記複数の突出部は、上記排紙方向に沿って複数列配設され、上記各サイドフェンスの上部のものから数えて同順位の上記突出部群を上記排紙案内面に対向して見たとき、上記排紙方向の上流側の上記突出部は、上記排紙方向の下流側の上記突出部に比べて上方に位置することを特徴とする排紙積載装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の排紙積載装置において、
    上記各突出部は、該突出傾斜面が落下してくる上記排紙の側端縁部に接触する突出位置と、上記排紙積載面上に積載された排紙束を上記排紙台から上方に向けて取り出すときに、上記排紙束の側端縁部に接触して上記突出位置から上記排紙案内面の外側へ向けて退避する退避位置との間に移動可能であり、
    上記各突出部を上記突出位置と上記退避位置との間に移動可能に案内・支持する案内支持部材を有することを特徴とする排紙積載装置。
  7. 請求項6記載の排紙積載装置において、
    上記排紙束を上記排紙台から略上方向に取り出す初期時には、上記案内支持部材は、上記突出部が上記退避位置を占める以前に上記突出部を上記略上方向に移動可能に案内することを特徴とする排紙積載装置。
  8. 請求項7記載の排紙積載装置において、
    上記各突出部は、薄板形状からなることを特徴とする排紙積載装置。
  9. 請求項6または7記載の排紙積載装置において、
    上記各突出部を上記退避位置に保持する保持手段を有することを特徴とする排紙積載装置。
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