JP4137668B2 - カード型キー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード型キー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等で通常使用のキー(以下、通常使用キーという)を粉失した場合を想定して、携帯用に薄型軽量化されたカード型キー装置が提案されている。このカード型キー装置はカード本体とそのカード本体に収納されるメカニカルキーを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記カード型キー装置の一歩進んだものとして、本出願人は特許文献2に示すものを提案している。このカード型キー装置は、カード本体と、トランスポンダを有するメカニカルキーとを備えており、メカニカルキーとイモビライザシステムを併用してエンジン始動などを行うようになっている。前記イモビライザシステムとは、カード型キー装置のトランスポンダと車両側に設けたトランスポンダ用送受信装置との送受信を利用した電子錠のことである。
【0004】
ところで近年、自動車においては操作性の向上が求められている。例えば、車両に設けられている諸装置を遠隔操作する車両用遠隔操作装置などはその代表例である。そして、車両用遠隔操作装置の具体例としては、ドア自動施解錠装置の機能とエンジン自動待機装置の機能とを併せ備えた車両用遠隔操作装置が提案されている。
【0005】
ドア自動施解錠装置とは、車両の所有者(運転者)が車両に近接した際にドアのロックを自動的に解除(アンロック)し、所有者が車両から離れた際にドアを自動的にロックする装置である。また、エンジン自動待機装置とは、現状のメカニカルキーを用いずにスイッチ等を操作するだけでエンジンを始動させることができるようにするものである。すなわち、エンジンを始動待機状態にするものである。
【0006】
こうした車両用遠隔操作装置は、通常、図17に示す所有者が携帯する通常使用キー201に内蔵されたキー側送受信装置202と、車両内に搭載される図示しない車両側送受信装置とからなる。要は、前記通常使用キー201のキー側送受信装置202と車両内の前記車両側送受信装置との送受信により上記ドア自動施解錠及びエンジン自動待機を行うようになっている。
【0007】
前記通常使用キー201のキー側送受信装置202は図示しない電池を電源とするため、その通常使用キー201には電池切れを考慮した機構が備えられている。
【0008】
即ち、通常使用キー201には、メカニカルキー203と、車両の図示しないトランスポンダ用送受信装置と協働してイモビライザシステムを実現するためのトランスポンダ204を備えている。トランスポンダ204は、前記トランスポンダ用送受信装置に対して所定位置に位置決めすることにより同トランスポンダ用送受信装置から磁気を受け、その磁気により起電力を発生する。トランスポンダ204は、この発生した起電力を用いて前記トランスポンダ用送受信装置と送受信するようになっている。
【0009】
そして、車両用遠隔操作装置が使用不能なときには、前記メカニカルキー203によりドアの開閉を機械的に行い、前記トランスポンダ204と前記トランスポンダ用送受信装置との送受信によりエンジン始動待機状態にするようになっている。
【0010】
上記したように、トランスポンダ204は、前記トランスポンダ用送受信装置との送受信を行うために、前記トランスポンダ用送受信装置に対する位置をシビアに設定しなければならない。このことから、図16及び図17に示すように通常使用キー201の係合突部201aを車両側のエンジン始動ノブ210に形成された挿入部211に挿入係合させて、前記トランスポンダ用送受信装置に対する前記トランスポンダ204の位置決めを正確に行えるようにしている。
【0011】
ところで、上記通常使用キー201を粉失した場合を想定して、携帯用に薄型軽量化されたカード型キー装置が製品化されることが望まれている。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−317394号公報
【特許文献2】
特開平10−331494号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記車両用遠隔操作装置を構成する前記キー側送受信装置202をカード型キー装置に内蔵することはカード型キー装置の厚みを薄くする上で難しい。このため、上記トランスポンダ204とメカニカルキー203のみをカード型キー装置に内蔵することが考えられる。そして、カード型キー装置に内蔵するトランスポンダ204と車両側の前記トランスポンダ用送受信装置との位置決めを正確に行うために、カード型キー装置には車両側の前記挿入部211に対して係合可能な係合突部を備える必要があった。
【0014】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、車両に設けられた挿入部に対して係合部材を挿入係合することによりトランスポンダを所定位置に位置決めできるカード型キー装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、カード本体と、前記カード本体内に収納され、車両に設けられたキーシリンダに挿入されるキープレートと、該キープレートとは別体とされるとともに、当該車両のエンジンを始動させるべく、外部から受ける磁気にて誘導された起電力により駆動するトランスポンダを収容するトランスポンダ収容体とを備え、前記トランスポンダ収容体は、前記カード本体に対して取り外し可能に収納され、かつ前記車両に設けられた挿入部に挿入係合可能な係合部材と、前記カード本体に対しては樹脂によって一体に設けられるか、又は取り外し可能に設けられ、さらに、前記係合部材に対しては樹脂によって一体にされた把持部材とを備えていることを要旨とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカード型キー装置において、前記係合部材は、当該係合部材が前記車両の挿入部と係合する係合部と同一構造の係合部にて前記カード本体に対して係合するように構成されていることを要旨とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動車用イモビライザシステムに使用されるカード型キー装置に具体化した第1実施形態を図1及び図2に従って説明する。
【0018】
なお、本実施形態では図1(b)における上方を上側、下方を下側という。
図1(a)に示すように、カード型キー装置11は、カード本体12、キープレートとしてのメカニカルキー13、及びトランスポンダ収容体14を備えている。
【0019】
前記カード本体12は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の高剛性の合成樹脂などにより形成されている。前記カード本体12は、板状でかつ正面視略長方形状に形成され、一対の長手側辺Lと一対の短手側辺Sとを備えている。
【0020】
図1(b),(c)及び図2(a)に示すように、前記カード本体12は厚みが一定な正面視四角形状をなす中央部12aと、その中央部12aを囲む側縁部12bとを備えている。カード本体12において、前記中央部12aは上面(表面)と下面(裏面)とが互いに平行をなすように形成され、前記側縁部12bは縁に向かうほど厚みが薄くなるテーパー状に形成されている。
【0021】
図2(b)に示すように、前記メカニカルキー13はアルミニウム等の軽金属板によって形成され、そのほぼ全体が前記カード本体12の中央部12aより若干薄い厚さに形成されている。また、メカニカルキー13は正面視略L字形状に形成されており、長手部位がキー部13aとされ、短手部位が把持部13bとされている。
【0022】
図1(a)及び図2(c)に示すように、トランスポンダ収容体14は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の高剛性の合成樹脂などにより形成されている。
【0023】
図2(c)に示すように、前記トランスポンダ収容体14は、運転席前方のインストルメントパネルに設けられたエンジン始動ノブKの挿入部Kaに係合可能な係合突部15と、トランスポンダ17を収容した把持部16とを備えている。前記係合突部15と前記把持部16は一体に形成されている。前記係合突部15は係合部材に相当し、前記把持部16は把持部材に相当する。前記トランスポンダ収容体14は係合突部15における幅方向(図2(c)における上下方向)長さよりも係合突部15から把持部16へと向かう方向(図2(c)における左右方向)への長さの方が長くなるように形成されている。
【0024】
前記係合突部15の幅方向両側には、係合凹部15aを備えている。その係合凹部15aが挿入部Ka内の係合凸部Kbに対して凹凸の関係で係合し、トランスポンダ17が所定位置に位置決めされ、エンジン始動ノブKの回動後は係合突部15が抜けないようになっている。
【0025】
前記トランスポンダ17は、アンテナコイル、トランス、コンデンサ、IC等(いずれも図示せず)が内蔵されている。前記トランスポンダ17は、エンジン始動ノブKに内蔵された図示しない磁気発生装置からの磁気を受けてアンテナコイルに発生した電流をトランスを介してコンデンサに蓄電し、その蓄電した電圧が所定値以上に達するとICに予め設定された特定の識別コードを発信するようになっている。
【0026】
そして、車両のエンジンは、前記エンジン始動ノブKに内蔵された図示しない受信器がトランスポンダ17から受信した識別コードと予めエンジン制御用コンピュータ(ECU等)に設定された識別コードとが一致したときのみ始動されるようになっている。なお、磁気発生装置は、トランスポンダ収容体14の係合突部15がエンジン始動ノブKの挿入部Kaに挿入された状態で作動されるようになっている。
【0027】
前記カード本体12の中央部12aには、前記メカニカルキー13及び前記トランスポンダ収容体14を収納するための収納孔20,21が形成されている。前記収納孔20は中央部12aの上面から下面まで貫通して形成されている。
【0028】
前記収納孔20は、メカニカルキー13のキー部13aに対応する部分がカード本体12の長手側辺Lに沿うように形成され、メカニカルキー13の把持部13bに対応する部分がカード本体12の短手側辺Sに沿うように形成されている。即ち、収納孔20は、その収納孔20にメカニカルキー13を収納した際に、メカニカルキー13の長手がカード本体12の長手側辺Lに沿うように形成されている。
【0029】
また、メカニカルキー13におけるキー部13aと把持部13bとが連結されている部位と、中央部12aの四隅のうちの一つの隅とが対応するように、中央部12aに対して収納孔20が形成されている。そして、メカニカルキー13のキー部13aは、その上面とその下面とが互いに平行になるように形成されている。さらに、カード本体12に対してメカニカルキー13を収納した際には、前記キー部13a全体は前記中央部12a内に位置するように構成されている。
【0030】
図1(a),(b)に示すように、カード本体12において、前記キー部13aの先端側における幅方向両側に対応する収納孔20側面の下部には、抜止爪22,23がそれぞれ突出形成されている。また、カード本体12において、把持部13bにおける長手両側部に対応する収納孔20側面の下部には、抜止爪24,25がそれぞれ突出形成されている。前記抜止爪22〜25にて、カード本体12に収納したメカニカルキー13がカード本体12の下面側から抜け落ちることを防止するように構成されている。
【0031】
また、カード本体12において、前記キー部13aの先端に対応する収納孔20側面の上部には、取出規制爪26が形成されている。その取出規制爪26により、カード本体12に収納したメカニカルキー13を取り出す際に、メカニカルキー13のキー部13aからは取り出せないように構成されている。即ち、カード本体12の下面側からメカニカルキー13の把持部13b部分を押すことにより、カード本体12からメカニカルキー13が取り出せるように構成されている。
【0032】
さらに、前記カード本体12において、キー部13aの幅方向両側には、カード本体12の長手方向に沿うように一対の長孔27,28が上下両側面を貫通するようにそれぞれ形成されている。そして、カード本体12において、長孔27,28と収納孔20とが形成されていることにより、その両者間に弾性を有する肉薄部29,30が形成されている。
【0033】
図2(a),(b)に示すように、前記肉薄部29,30の間隔は、前記キー部13aの幅よりも若干狭くなるように形成されている。従って、メカニカルキー13を収納孔20に収納した際には、弾性を有する肉薄部29,30にてメカニカルキー13を確実に把持する。また、収納孔20からメカニカルキー13を取り出す際に、前記肉薄部29,30をその弾性に抗して撓ませることによりメカニカルキー13の取り出しを容易に行えるように構成されている。
【0034】
一方、中央部12aにおける収納孔20の対角位置には前記収納孔21が形成されている。
前記収納孔21は、カード本体12の中央部12aのみではなく、側縁部12bに僅かにかかるように形成されている。そして、収納孔21にトランスポンダ収容体14を収納した際に、トランスポンダ収容体14の長手がカード本体12の長手側辺Lに沿うように収納孔21は形成されている。
【0035】
そして、把持部16のトランスポンダ17が収容されている部位及び係合突部15全体は、その上面及びその下面が互いに平行をなすようにそれぞれ形成されている。また、カード本体12に対してトランスポンダ収容体14を収納した際には、前記把持部16のトランスポンダ17が収容されている部位及び係合突部15全体は、前記中央部12a内に位置するように構成されている。前記係合突部15及び前記中央部12a内に位置する把持部16部位は、中央部12aと同じ厚さに形成されている。
【0036】
ところで、把持部16の一部は、側縁部12bにかかるように位置されており、その側縁部12bに係る部位は側縁部12bと面一となるように斜状に形成されている。
【0037】
また、カード本体12において、前記トランスポンダ収容体14の係合突部15先端に対応する収納孔21側面の下部には、一対の抜止爪35,36がそれぞれ形成されている。なお、前記トランスポンダ収容体14における抜止爪35,36に対応する部分には、図示しない凹部が形成され、その抜止爪35,36と干渉を起こさないように構成されている。そして、前記抜止爪35,36にて、カード本体12に収納したトランスポンダ収容体14がカード本体12の下面側から抜け落ちにくくなるように構成されている。
【0038】
さらに、前記カード本体12において、前記係合突部15の幅方向両側には、一対の略「ト」の字形状をなす貫通孔37,38が上下両側面を貫通するようにそれぞれ形成されている。そして、カード本体12において、貫通孔37,38と収納孔21とが形成されていることにより、その両者間に弾性を有する肉薄部39,40が形成されている。
【0039】
前記肉薄部39,40の収納孔21側は突起39a,39bが形成され、同突起39a,39bはトランスポンダ収容体14の係合凹部15aに対して凹凸の関係で係合するように構成されている。この肉薄部39,40の弾性力及び突起39a,39bにて、カード本体12の収納孔21内にトランスポンダ収容体14を確実に保持する。また、カード本体12からトランスポンダ収容体14を取り出す際には、前記肉薄部39,40を前記弾性力に抗して撓ませることによりトランスポンダ収容体14の取り出しを容易に行えるように構成されている。
【0040】
次に、上記第1実施形態のように構成されたカード型キー装置11の作用について説明する。
カード型キー装置11は、カード本体12からメカニカルキー13及びトランスポンダ収容体14が着脱可能(取り外し可能)となっている。カード本体12からメカニカルキー13を取り外す際には、カード本体12の下面側からメカニカルキー13の把持部13b部位を指などで押圧して取り外す。また、カード本体12からトランスポンダ収容体14を取り外す際には、カード本体12の下面側からトランスポンダ収容体14の把持部16を指などで押圧して取り外す。
【0041】
そして、前記カード型キー装置11に対応した車両に乗車する際には、メカニカルキー13によりドアの鍵を解錠して乗車する。
一方、カード型キー装置11に対応した車両のエンジンをエンジン始動待機状態とする際には、図2(c)に示すようにエンジン始動ノブKの挿入部Kaにトランスポンダ収容体14の係合突部15を挿入して係合させる。
【0042】
すると、エンジン始動ノブK内における図示しない前記磁気発生装置及び前記受信器と、トランスポンダ17との相対位置が所定位置に位置決めされる。また、前記挿入部Ka内に前記係合突部15を係合させると、前記磁気発生装置は磁気を発生し、トランスポンダ17はその磁気を受けて特定の識別コードを発信する。車両のエンジンは、エンジン始動ノブK内に内蔵された図示しない受信器がトランスポンダ17から受信した識別コードと予めエンジン制御用コンピュータ(ECU等)に設定された識別コードとが一致したときのみ始動する。
【0043】
また、カード本体12の長手側辺Lに沿うようにメカニカルキー13の長手及びトランスポンダ収容体14の長手が配置されているため、メカニカルキー13及びトランスポンダ収容体14はカード本体12の長手方向における撓みを防止する補強部材としての機能を備える。
【0044】
従って、上記第1実施形態のカード型キー装置11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、カード型キー装置11におけるトランスポンダ収容体14内にトランスポンダ17を収容し、かつトランスポンダ収容体14に係合突部15を形成した。従って、車両に設けられたエンジン始動ノブKの挿入部Kaに対してトランスポンダ収容体14の係合突部15を挿入係合することにより、トランスポンダ17を所定位置に位置決めしたり係合突部15の抜け止めをしたりすることができる。
【0045】
(2)本実施形態では、トランスポンダ収容体14をカード本体12から着脱可能に構成した。従って、エンジン始動ノブKの挿入部Kaに挿入係合させるものは、トランスポンダ収容体14だけとなり、カード型キー装置11全体を前記挿入部Kaに挿入係合させる場合と比べて、エンジン始動ノブK付近の出っ張り長さを軽減できる。
【0046】
(3)本実施形態では、収納孔20,21にメカニカルキー13及びトランスポンダ収容体14をそれぞれ収納した際に、メカニカルキー13の長手及びトランスポンダ収容体14の長手がカード本体12の長手側辺Lに沿うように収納孔20,21を構成した。従って、メカニカルキー13及びトランスポンダ収容体14はカード本体12の長手方向における撓みを防止する補強部材としての機能を発揮することができる。
【0047】
(4)本実施形態では、カード本体12は厚みが一定な中央部12aと、その中央部12aを囲む側縁部12bとを備えた。そして、側縁部12bは縁に向かうほど厚みが薄くなるテーパー状に形成した。従って、カード本体12を財布などに収納する際に、側縁部12bがテーパー状に形成されていることにより、財布などの収納する部位の隙間を押し広げながら挿入できるため、挿入しやすい。また、カード本体12の縁をテーパー状に尖らすことにより中央部12aの見た目の厚さを感じさせない。
【0048】
(5)本実施形態では、カード本体12の中央部12aに、前記把持部16のトランスポンダ17が収容されている部位、及び係合突部15全体、並びにメカニカルキー13のキー部13aを位置するように構成した。そして、前記カード本体12の中央部12aは、上面(表面)と下面(裏面)とが互いに平行をなすように形成した。また、前記把持部16のトランスポンダ17が収容されている部位、及び係合突部15全体、並びに前記キー部13aにおいて、その上面とその下面とが互いに平行になるようにそれぞれ形成した。
【0049】
従って、中央部12a内に収納した前記把持部16のトランスポンダ17が収容されている部位、及び係合突部15全体、並びに前記キー部13aを、前記中央部12aに対してはみ出すことなく平行な状態で収納できる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、本発明をカード型キー装置に具体化した第2実施形態を図3〜図6に従って説明する。なお、第2実施形態のカード型キー装置は、前記第1実施形態を変更したものであり、前記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なるところのみを説明する。
【0051】
本実施形態のカード型キー装置51は、前記第1実施形態のカード型キー装置11に比して、以下に示す3点が異なっている。
一点目はメカニカルキー13のカード本体12に対する収納方向が変更され、二点目はカード本体12が二つ折り可能に構成されている。また、三点目は、トランスポンダ収容体14の把持部16が省略され、係合突部15が二つ折りにされた一方の側の中央部12aに対して一体に形成されている。
【0052】
即ち、カード型キー装置51のカード本体12における短手側辺S方向に、同カード本体12の長手側辺L長さをほぼ二分するような断面V字形状をなす折り曲げ溝52が形成されている。以下、カード本体12における折り曲げ溝52より一端側(図3における左側)を可動板A、折り曲げ溝52より他端側(図3における右側)を固定板Bという。
【0053】
前記折り曲げ溝52は、折り曲げ機構に相当する。前記折り曲げ溝52により、可動板Aの下面と固定板Bの下面とが当接するようにカード本体12が二つ折り可能とされている。そして、カード本体12を折り曲げていない際には係合突部15は可動板A側の中央部12a内に収納され、カード本体12を二つ折りにした際には係合突部15は露出される(取り外される)。
【0054】
なお、本実施形態では、固定板Bが把持部材に相当する。
前記可動板A側には、前記メカニカルキー13が収容された前記収納孔20が形成されており、その収納孔20に収納されたメカニカルキー13はその長手が短手側辺Sに沿うように配置されている。
【0055】
また、その収納孔20に隣接するように前記長孔27,28、前記肉薄部29,30が形成され、カード本体12における収納孔20側面には前記抜止爪22〜25、及び取出規制爪26が形成されている。
【0056】
一方、固定板Bにおける可動板A側の側面には、その可動板A側へ向けて突出する前記係合突部15が一体形成されている。係合突部15は、可動板Aにおける同係合突部15の外径形状と同形状に形成された凹部内に嵌合可能とされている。前記折り曲げ溝52は短手側辺S方向中央部が前記係合突部15により分断されている。
【0057】
次に、上記第2実施形態のように構成されたカード型キー装置51の作用について説明する。
カード型キー装置51は、カード本体12からメカニカルキー13が着脱可能となっており、メカニカルキー13を使用する際には、カード本体12からメカニカルキー13を取り外す。
【0058】
一方、トランスポンダ17(係合突部15)を使用する際には、可動板Aの下面に対して固定板Bの下面が当接するように、折り曲げ溝52を基点としてカード本体12を二つ折りにする。すると、図5及び図6に示すように、固定板Bにおける折り曲げ溝52側は、係合突部15のみが突出した状態となり、その係合突部15はエンジン始動ノブKの挿入部Kaに対して挿入係合可能となる。すなわち、挿入部Ka内の係合凸部Kbが係合凹部15aに係合し、トランスポンダ17は所定位置に位置決めされる。
【0059】
従って、上記第2実施形態のカード型キー装置51によれば、前記第1実施形態における(4)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、カード型キー装置51におけるカード本体12の固定板B内にトランスポンダ17を収容し、かつ固定板Bに対して係合突部15を一体に形成した。従って、車両に設けられたエンジン始動ノブKの挿入部Kaに対して前記係合突部15を挿入係合することにより、トランスポンダ17を所定位置に位置決めできる。
【0060】
(2)本実施形態では、カード本体12は自身を折り曲げ可能な折り曲げ溝52を備え、カード本体12を折り曲げた際に、前記係合突部15がカード本体12から露出する(取り外される)ように構成した。従って、カード型キー装置51において、エンジン始動ノブKの挿入部Kaに対して係合突部15を挿入する際には、カード本体12を折り曲げるだけでよい。
【0061】
(第3実施形態)
以下、本発明をカード型キー装置に具体化した第3実施形態を図7〜図10に従って説明する。なお、第3実施形態のカード型キー装置は、前記第2実施形態を変更したものであり、前記第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なるところのみを説明する。
【0062】
本実施形態のカード型キー装置61は、前記第2実施形態のカード型キー装置51における折り曲げ溝52を省略し、その代わりに、図7及び図8に示すような機構を備えている。
【0063】
即ち、本実施形態では、前記カード本体12は可動板Aと固定板Bとが別々で形成されており、係合突部15の幅方向両側で、かつ前記可動板Aと前記固定板Bとの間には、第1連結体63及び第2連結体64がそれぞれ配置されている。
【0064】
そして、第1連結体63において、可動板Aに対向する側面の両側には突部63a,63bが一体に突出形成され、固定板Bに対向する側面の中央部には突部63cが一体に突出形成されている。前記可動板Aにおける第1連結体63に対向する側面には、突部70が前記両突部63a,63b間に位置するように一体に突出形成されている。前記突部63a、突部70、及び突部63bを貫通するようにシャフト65が回転可能に配置されている。
【0065】
また、前記固定板Bにおける第1連結体63に対向する側面には、突部71が前記突部63cに対して隣り合うように一体に突出形成されている。前記突部71及び突部63cを貫通するようにシャフト66が回転可能に配置されている。
【0066】
前記第2連結体64においても、前記第1連結体63の突部63a〜63cに相当する64a〜64cを備えている。また、可動板A及び固定板Bにおける第2連結体64に対して対向する側面には、前記突部70,71に相当する突部72,73をそれぞれ備えている。そして、前記突部64a、突部72、及び突部64bを貫通するようにシャフト67が回転可能に配置され、前記突部73及び突部64cを貫通するようにシャフト68が回転可能に配置されている。
【0067】
前記第1連結体63、第2連結体64、及び4つのシャフト65〜68、及び突部70〜74にて折り曲げ機構62が構成されている。
前記折り曲げ機構62により、シャフト65,67を中心として可動板Aと第1及び第2連結体63,64とが回動可能に構成されると共に、シャフト66,68を中心として第1及び第2連結体63,64と固定板Bとが回動可能に構成されている。
【0068】
次に、上記第3実施形態のように構成されたカード型キー装置61の作用について説明する。
カード型キー装置61は、トランスポンダ17(係合突部15)を使用する際には、折り曲げ機構62により可動板Aの下面と固定板Bの下面が向かい合うようにカード本体12を折り曲げる。すると、図9及び図10に示すように、固定板Bにおけるシャフト66,68側の側面は、係合突部15のみが突出した状態となり、その係合突部15はエンジン始動ノブKの挿入部Kaに対して挿入係合可能となる。
【0069】
従って、上記第3実施形態のカード型キー装置61によれば、前記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0070】
・前記第1実施形態では、収納孔21にトランスポンダ収容体14を収納した際に、トランスポンダ収容体14の長手がカード本体12の長手側辺Lに沿うように収納孔21を形成していた。これに限らず、図11に示すようなカード型キー装置81を構成してもよい。即ち、収納孔21にトランスポンダ収容体14を収納した際に、トランスポンダ収容体14の長手がカード本体12の短手側辺Sに沿うように収納孔21を形成してもよい。
【0071】
・前記第1実施形態では、メカニカルキー13とトランスポンダ収容体14とを別体で形成していた。これに限らず、図12に示すようなカード型キー装置91を構成してもよい。即ち、メカニカルキー13のキー部13aとトランスポンダ収容体14とを一体に形成し、そのキー部13aとトランスポンダ収容体14とを一体に形成したものをカード本体12に対して着脱可能(取り外し可能)に構成してもよい。
【0072】
・前記第1実施形態では、トランスポンダ収容体14をカード本体12から着脱可能(取り外し可能)としていた。これに限らず、図13及び図14に示すようなカード型キー装置101を構成してもよい。即ち、カード型キー装置101においては、トランスポンダ収容体14の把持部16における幅方向両側に図示しない回転軸を形成し、カード本体12側においてその回転軸を軸支させるように構成する。この場合、カード本体12に対して図中の回転軸Oを中心としてトランスポンダ収容体14を回転可能に構成する。このように構成すると、カード本体12を持ちながら、トランスポンダ収容体14を回せるため、トランスポンダ収容体14を回しやすい。また、トランスポンダ収容体14がカード本体12に取り付いているため、トランスポンダ収容体14を紛失させるおそれがない。
【0073】
・また、図15に示すように、上記カード型キー装置101におけるトランスポンダ17をカード本体12側に収容するように構成したものに相当するカード型キー装置111を構成してもよい。この場合、カード本体12が把持部材に相当し、トランスポンダ17はカード本体12及び図示しない前記支軸を介して係合突部15に一体とされている。このように構成しても、前記カード型キー装置101と同様の効果を得ることができる。
【0074】
次に、上記各実施形態及び他の実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記カード本体は、長手側辺と短手側辺を備え、前記キープレートの長手は、前記カード本体の前記長手側辺に沿うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカード型キー装置。
【0075】
(ロ)前記カード本体は、中央部と同中央部を囲む側縁部とを備え、前記側縁部は縁に向かうほど厚みが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、技術的思想(イ)のうちいずれか1項に記載のカード型キー装置。
【0076】
(ハ)前記中央部内には前記キープレートのキー部、前記係合部材及び前記トランスポンダが配置されていることを特徴とする技術的思想(ロ)に記載のカード型キー装置。
【0077】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、車両に設けられた挿入部に対して係合部材を挿入係合することによりトランスポンダを所定位置に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、第1実施形態におけるカード型キー装置の正面図。(b),(c)は、第1実施形態におけるカード型キー装置の側面図。
【図2】 (a)は、第1実施形態におけるカード本体の正面図。(b)は、第1実施形態におけるメカニカルキーの正面図。(c)は、第1実施形態におけるトランスポンダ収容体とエンジン始動ノブとの係合関係を示す説明図。
【図3】 第2実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図4】 第2実施形態におけるカード型キー装置の側面図。
【図5】 第2実施形態におけるエンジン始動ノブと折り曲げた状態のカード型キー装置との係合関係を示す説明図。
【図6】 第2実施形態における折り曲げた状態のカード型キー装置の側面図。
【図7】 第3実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図8】 第3実施形態におけるカード型キー装置の側面図。
【図9】 第3実施形態におけるエンジン始動ノブと折り曲げた状態のカード型キー装置との係合関係を示す説明図。
【図10】 第3実施形態における折り曲げた状態のカード型キー装置の側面図。
【図11】 他の実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図12】 他の実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図13】 他の実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図14】 他の実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図15】 他の実施形態におけるカード型キー装置の正面図。
【図16】 従来技術におけるエンジン始動ノブと通常使用キーとの係合関係を示す説明図。
【図17】 従来技術におけるエンジン始動ノブと通常使用キーとの関係を示す斜視図。
【符号の説明】
11,51,61,81,91,101,111…カード型キー装置、
12…カード本体、13…キープレートとしてのメカニカルキー、
15…係合部材としての係合突部、16…把持部材としての把持部、
17…トランスポンダ、52…折り曲げ機構としての折り曲げ溝、
62…折り曲げ機構、B…把持部材としての固定板、Ka…挿入部。
Claims (2)
- カード本体と、前記カード本体内に収納され、車両に設けられたキーシリンダに挿入されるキープレートと、該キープレートとは別体とされるとともに、当該車両のエンジンを始動させるべく、外部から受ける磁気にて誘導された起電力により駆動するトランスポンダを収容するトランスポンダ収容体とを備え、
前記トランスポンダ収容体は、前記カード本体に対して取り外し可能に収納され、かつ前記車両に設けられた挿入部に挿入係合可能な係合部材と、前記カード本体に対しては樹脂によって一体に設けられるか、又は取り外し可能に設けられ、さらに、前記係合部材に対しては樹脂によって一体にされた把持部材とを備えていることを特徴とするカード型キー装置。 - 前記係合部材は、当該係合部材が前記車両の挿入部と係合する係合部と同一構造の係合部にて前記カード本体に対して係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカード型キー装置。
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