JP4137262B2 - 合成樹脂製の放出容器用カバー体および放出容器用カバー体結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製容器と結合する筒状部からなる合成樹脂製の放出容器用カバー体(以下「合成樹脂製カバー体」という。)に関し、特に、前記筒状部の一部を金属製容器から離れた形の張出部で構成してこれを内側に変位させたたときの当該張出部および結合部分などの移動・変形により金属製容器との結合状態を解除し、また、この解除操作のときに合成樹脂製カバー体が金属製容器の凹部との当接部分を中心に回動するようにして、放出容器の分別廃棄時や再利用時などに金属製容器と合成樹脂製カバー体との分離作業を容易に行えるようにしたものである。
【0002】
一般に、エアゾール容器や、流入弁および吐出し弁を用いた蓄圧式容器などの放出容器では、合成樹脂製のカバー体を、金属製容器開口部に取り付けたマウンテンキャップの下側部分に強く結合させ、使用中に合成樹脂製カバー体が金属製容器から外れることがないようにしている。
【0003】
その一方で、環境保護や資源の有効利用のために、内容物を使い終わった空のエアゾール容器などを処分するときにはその素材ごとに、例えば金属、合成樹脂等に分別回収して個々に廃棄し、またこれらを再利用することが望まれており、本発明はこのような要請により適格に応えるものである。
【0004】
【従来の技術】
図6は、従来の、合成樹脂製カバー体と環状ネック部分を有する金属製容器との結合状態を示す説明図である。
【0005】
ここで、2は合成樹脂製カバー体、20は外側筒状部、21は内側筒状部、21aは金属製容器30との結合用突状部(結合部)、30は環状の環状ネック部分32が形成されている金属製容器、30aは金属製容器の肩部、31はマウンテンキャップ、31aはマウンテンキャップ31の下側凹部(結合対象部分)、32は環状ネック部分、33はステムをそれぞれ示している。
【0006】
合成樹脂製カバー体2は、外側筒状部20や内側筒状部21等で構成され、金属製容器30に取り付けた製品状態では合成樹脂製カバー体2の突状部21aが金属製容器30のマウンテンキャップ31の下側凹部31aに結合してこれらは一体化している。また、外側筒状部20の内周面は環状ネック部分32の外周面に当接している。
【0007】
したがって、内容物を使い終わった金属製容器30から合成樹脂製カバー体2を外す作業は容易ではなく、例えばドライバーの先を外側筒状部20の下端部20aと金属製容器30の肩部30aとの間に挟み込み、合成樹脂製カバー体2を持ち上げてペンチ等でこれを引きちぎらなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、合成樹脂製カバー体は金属製容器に堅固な状態で取り付けられているので、分別廃棄時などに工具等を用いてこれらを分離する作業は面倒であり、また外す手間がかかるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明では、筒状部の一部を金属製容器から離れた形の張出部で構成し、合成樹脂製カバー体への分離操作でこの張出部を内側に変位させたときの筒状部の外側への移動・変形により当該筒状部と金属製容器との結合状態を解除し、また、この分離操作にともなって合成樹脂製カバー体が金属製容器の凹部との当接部分を中心に回動するようにして、内容物を使い切ったときの合成樹脂製カバー体と金属製容器との分離作業の容易化を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のようにして解決する。
(1)金属製容器側(例えば後述の金属製容器30,マウンティングキャップ31,環状ネック部分32)と結合する筒状部(例えば後述の内側筒状部11)を備え、当該筒状部と当該金属製容器側との結合状態で使用されるとともに、最終的な使用後には当該金属製容器側から取り外される形の合成樹脂製の放出容器用カバー体(例えば後述の合成樹脂製カバー体1)において、
前記筒状部は、
前記金属性容器の外側方向に膨らんだ形状からなって前記結合状態のときに容器外面から離間する態様の張出部(例えば後述の張出部11b)と、
前記張出部とは筒状部中心を挟んで反対側の部分に形成されて、前記結合状態のときに前記金属製容器側の環状凹部(例えば後述の環状凹部32a)に入り込む態様のリブ(例えば後述のリブ12,13)と、を有し、
前記結合状態の前記張出部を内側に変位させる取り外し操作に基づいて、当該操作前には前記金属製容器側と結合していた筒状部周面部分(例えば後述の突状部11a)が外側に広がり、かつ、前記リブが変位して前記環状凹部の筒状部中心から遠い側の内周面(例えば後述の内周面32b)に当接する。
(2)上記(1)において、
前記筒状部は、
前記金属製容器側と結合して前記張出部および前記リブを有する内側筒状部(例えば後述の内側筒状部11)と、前記取り外し操作の押圧部分(例えば後述の押圧部10a)を有して前記結合状態のときには前記環状凹部の外側に位置する外側筒状部(例えば後述の外側筒状部10)とからなる。
(3)上記(2)において、
前記リブは、
前記内側筒状部および前記外側筒状部を連結する態様で形成され、
前記取り外し操作に基づいて前記内周面に当接する下端部(例えば後述の端部13a)と、当該操作に基づいて前記環状凹部の外側部分(例えば後述の外周面32c)に当接する下面部(例えば後述の下面13b)とを有する。
(4)上記(1)の合成樹脂製の放出容器用カバー体を前記金属製容器側に結合させた放出容器用カバー体結合構造において、
前記リブは、前記結合状態では前記環状凹部の前記内周面との間に空間部(例えば後述の空間部32d)が生じる態様で形成され、
前記カバー体は、前記取り外し操作に基づいて前記空間部の分だけ移動して前記内周面に当接する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、二重筒状部からなる合成樹脂製カバー体と環状部を有する金属製容器との結合状態を示す縦断面図、図2は当該カバー体の底面図、図3は二重筒状部からなる合成樹脂製カバー体を金属製容器から取り外す際に当該カバー体を押圧したときの状態を示す縦断面図、図4はこの押圧操作をしたときの当該カバー体の底面図、図5は外側筒状部と内側筒状部を連結するかたちでリブを設けた合成樹脂製カバー体の説明図をそれぞれ示している。
【0016】
これらの図において、
1は二重筒状部からなる合成樹脂製カバー体、10は外側筒状部、10aは後述の張出部11bに対応した押圧部、10bは外側筒状部10の下端部、11は内側筒状部、11aは内側筒状部11に形成した突状部(結合部)、11bは内側筒状部11に形成した張出部、12は外側筒状部10と内側筒状部11の間に形成したリブ、12aはリブ12の下端部、13は外側筒状部10と内側筒状部11を連結するかたちで設けたリブ、13aはリブ13の端部、13bはリブ13の下面、14は外側筒状部10と金属製容器30の環状ネック部分32の外周面32cとの間の隙間、32aは金属製容器30の環状ネック部分32に形成されている環状凹部、32bは環状凹部32aの内周面、32cは環状ネック部分32の外周面、32dは合成樹脂製カバー体1を金属製容器30に取り付けたときのリブ12またはリブ13と環状凹部32aの内周面32bとの間の空間部、をそれぞれ示している。金属製容器30に関する他の参照番号は図6のそれを援用する。
【0017】
図1及び図2に示すように、合成樹脂製カバー体1は外側筒状部10及び内側筒状部11等から構成され、内側筒状部11の周の長さは金属製容器30のマウンテンキャップ31の下側凹部31a(結合対象部分)のそれよりも長く、この長さの差分がマウンテンキャップ31から外側方向に離れるように脹らむ張出部11bとなっている。
【0018】
内側筒状部11の内周面下部の3ヵ所に金属製容器30と結合する突状部11aを形成し、また、内側筒状部11の外周面の張出部11bとは反対側部分にリブ12を設けている。
【0019】
合成樹脂製カバー体1を金属製容器30に取り付けた製品状態では、突状部11aがそれぞれマウンテンキャップ31の下側凹部31aに結合(嵌合)し、リブ12の下端部12aが環状ネック部分32の環状凹部32aに入り込んでいる。
【0020】
このとき、リブ12と環状凹部32aの内周面32bとの間には空間部32dが形成され、また外側筒状部10の内周面と金属製容器30の環状ネック部分32の外周面32cとの間には隙間14が形成され、その結果、後述するように、合成樹脂製カバー体1と金属製容器30との分離操作が円滑に行なわれる。
【0021】
内容物を使いきった後に合成樹脂製カバー1を金属製容器30から取り外すときには、外側筒状部10の押圧部10aを図1の矢印方向(押し上げる方向)に押圧する。
【0022】
図3及び図4に示すように、合成樹脂製カバー1はこの押圧操作により、
・押圧部10a側の外側筒状部10は隙間14の分だけ内側に移動し、
・張出部11bも内側に変位して、
・内側筒状部11は張出部11bの当該変位分だけマウンテンキャップ31から逃げるように外側方向へと広がる。
【0023】
内側筒状部11のこのような変位作用の結果、
・リブ12が空間部32dの分だけ図示の左方向に移動してその下端部12aと環状凹部32aの内周面32bとが当接し、
・合成樹脂製カバー1の突状部11aとマウンテンキャップ31の下側凹部31aとの結合状態が解除される。
【0024】
また、外側筒状部10が上記押圧操作によって上方向への力も受けるので、合成樹脂製カバー体1は、環状凹部32aの内周面32bと当接状態のリブ下端部12aを支点に反時計方向に回動して金属製容器30から分離する。
【0025】
図5は、リブ13を強化するとともに、合成樹脂製カバー体1と金属製容器30との分離操作をより確実にしたものである。
【0026】
図1と同様、リブ13の端部13aと環状凹部32aの内周面32bとの間には空間部32dが形成され、外側筒状部10の内周面と環状ネック部分32の外周面32cとの間には隙間14が形成されている。
【0027】
外側筒状部10の押圧部10aを矢印方向に押圧すると、合成樹脂製カバー体1は前述のような内側筒状部11の変位作用および回動作用により金属製容器30から分離される。
【0028】
リブ13は、外側筒状部10と内側筒状部11とを連結し、また回動動作時にはその下面13bが環状ネック部32の外周面32cに案内されながら回動するので、その端部13aが環状凹部32aの内周面32bから受ける上方向の力によってリブ13が内側に撓むことなどがなく、合成樹脂製カバー体1はリブ13の端部13aと環状凹部32aの内周面32bとの当接部分を中心に確実に回動する。
【0029】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、
・突状部11aの形状をどのようにするかや、内側筒状部11に突状部11aを何箇所形成するかは任意であり、
・外側筒状部10を省略した態様でもよく、
・外側筒状部10および内側筒状部11はそれ自体変形するので、上記の隙間14や空間部32dを省略した態様でもよく、
・また、上記の内側筒状部11の変位作用と回動作用とを個々に利用する態様にしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、このように、合成樹脂製カバー体の、金属製容器と結合する筒状部の一部を当該金属製容器から離れたかたちの張出部とし、合成樹脂製カバー体への分離操作で当該張出部が内側に変位して当該筒状部の金属製容器との結合部分の一部または全体を外側に移動させることにより、合成樹脂製カバー体と金属製容器との結合状態の解除作業の簡単化を図っている。
【0031】
また、合成樹脂製カバー体の、金属製容器と結合する筒状部の一部にリブを設け、合成樹脂製カバー体への押圧操作にともなって金属製容器の凹部と当接するリブ部分の支点作用で当該カバー体が回動することによっても、合成樹脂製カバー体と金属製容器との結合状態の解除作業の簡単化を図っている。
【0032】
また、合成樹脂製カバー体の内側筒状部と外側筒状部との間にリブを形成し、合成樹脂製カバー体への押圧操作にともない、外側筒状部の当該リブとは略反対側の部分が金属製容器の外周面の方に移動することにより、当該リブの前記支点作用を確実なものにしている。
【0033】
また、合成樹脂製カバー体への分離操作で前記張出部が内側に変位して前記筒状部の金属製容器との結合部分の一部または全体が外側に移動し、かつ、当該分離操作にともなって金属製容器の凹部と当接するリブ部分の支点作用で合成樹脂製カバー体を回動させることにより、合成樹脂製カバー体と金属製容器との結合状態の解除作業の一層の簡単化を図っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、二重筒状部からなる合成樹脂製カバー体と環状部を有する金属製容器との結合状態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の、合成樹脂製カバー体の底面図を示している。
【図3】本発明の、合成樹脂製カバー体を金属製容器から取り外す際に当該カバー体を押圧したときの状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の、合成樹脂製カバー体を押圧したときの当該カバー体の底面図を示している。
【図5】本発明の、外側筒状部と内側筒状部を連結するかたちでリブを設けた合成樹脂製カバー体の説明図を示している。
【図6】従来の、合成樹脂製カバー体と環状ネック部分を有する金属製容器との結合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1:二重筒状部からなる合成樹脂製カバー体
10:外側筒状部
10a:押圧部
10b:下端部
11:内側筒状部
11a:突状部(結合部)
11b:張出部
12:リブ
12a:下端部
13:リブ
13a:端部
13b:下面
14:隙間
2:合成樹脂製カバー体
20:外側筒状部
21:内側筒状部
21a:結合用突状部(結合部)
30:金属製容器
30a:肩部
31:マウンテンキャップ
31a:下側凹部(結合対象部分)
32:環状ネック部分
32a:環状凹部
32b:環状凹部の内周面
32c:環状ネック部分の外周面
32d:空間部、
33:ステム
Claims (4)
- 金属製容器側と結合する筒状部を備え、当該筒状部と当該金属製容器側との結合状態で使用されるとともに、最終的な使用後には当該金属製容器側から取り外される形の合成樹脂製の放出容器用カバー体において、
前記筒状部は、
前記金属性容器の外側方向に膨らんだ形状からなって前記結合状態のときに容器外面から離間する態様の張出部と、
前記張出部とは筒状部中心を挟んで反対側の部分に形成されて、前記結合状態のときに前記金属製容器側の環状凹部に入り込む態様のリブと、を有し、
前記結合状態の前記張出部を内側に変位させる取り外し操作に基づいて、当該操作前には前記金属製容器側と結合していた筒状部周面部分が外側に広がり、かつ、前記リブが変位して前記環状凹部の筒状部中心から遠い側の内周面に当接する、
ことを特徴とする合成樹脂製の放出容器用カバー体。 - 前記筒状部は、
前記金属製容器側と結合して前記張出部および前記リブを有する内側筒状部と、前記取り外し操作の押圧部分を有して前記結合状態のときには前記環状凹部の外側に位置する外側筒状部とからなる、
ことを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製の放出容器用カバー体。 - 前記リブは、
前記内側筒状部および前記外側筒状部を連結する態様で形成され、
前記取り外し操作に基づいて前記内周面に当接する下端部と、当該操作に基づいて前記環状凹部の外側部分に当接する下面部とを有している、
ことを特徴とする請求項2記載の合成樹脂製の放出容器用カバー体。 - 請求項1記載の合成樹脂製の放出容器用カバー体を前記金属製容器側に結合させた放出容器用カバー体結合構造において、
前記リブは、前記結合状態では前記環状凹部の前記内周面との間に空間部が生じる態様で形成され、
前記カバー体は、前記取り外し操作に基づいて前記空間部の分だけ移動して前記内周面に当接する、
ことを特徴とする放出容器用カバー体結合構造。
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