JP4137208B2 - カーボンブラック複合ポリマー、その製造方法および用途 - Google Patents
カーボンブラック複合ポリマー、その製造方法および用途 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンブラック複合ポリマーの製造方法、これにより得られるカーボンブラック複合ポリマーおよびその用途、並びにカーボンブラック含有樹脂組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、カーボンブラックにブロックもしくはグラフト型の重合体を複合化させること及びバインダー等の目的媒体のマトリックスと反応し得ることを特徴とする新規なカーボンブラック複合ポリマーの製造技術に関する。本発明のカーボンブラック複合ポリマーは、樹脂組成物、被覆組成物、インキ、感熱転写インク、感熱転写用インクリボンコート剤、磁気記録媒体用バックコート剤、静電荷現像用トナー、塗料、高抵抗かつ遮光性を必要とする材料、液晶用カラーフィルターのブラックマトリクス、人工大理石、プラスチックないしゴム成形材料等の着色剤、ポリオレフィンやポリエステル等のプラスチックなしいゴムの改質剤ないし充填剤や抵抗調整剤、面状発熱体、潤滑剤、トラクションドライブ流体、電気粘性流体や非線形光学材料などへ用いることができ、特に種々の熱硬化性・光硬化性組成物には有用に用い得る。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは、着色性、導電性、耐候性、耐薬品性等に優れるため、例えばプラスチックやエラストマーの補強剤や充填剤等種々の目的で幅広く使用されている。しかしながら、カーボンブラックは、その形状が粉状または粒状のため、単独で使用されていることが少なく、通常、ゴムや樹脂等の固状の基材または水や溶剤等の液体に均一に分散されてその特性を発揮する。しかし、カーボンブラックは、粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば有機高分子、水および有機溶剤等との親和性が弱いために、通常の混合または分散条件では、均一に混合または分散することが極めて困難であった。この問題を解決するために、カーボンブラッック表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固状または液状の基材との親和性を高めることにより、カーボンブラックの分散性を改良する検討が数多くなされている。
【0003】
重合性単量体をカーボンブラック共存下に重合させることにより得られるカーボンブラックグラフトポリマーは、重合性単量体の種類を適当に選択することにより、親水性および/または親油性を適宜変えることができるため注目されている(例えば、特公昭42−22047号、特公昭44−3826号、特公昭45−17248号、特公昭46−26970号)。しかしながら、これらの方法で得られるカーボンブラックグラフトポリマーの収率は数%〜10数%と低く、大半はビニル系ホモポリマーの形で存在し、カーボンブラックの表面処理効率は極めて低いものであった。このため、他の物質との親和性は期待した程には改良されず、混合または分散条件によって分散状態が異なる場合が多々あった。
【0004】
この問題点を解決するために、エポキシ基やアジリジン基などの反応性基を分子内に有する重合体をカーボンブラックと反応させて得られるカーボンブラックグラフトポリマーが提案されており(特公平2−24868号、特公平6−27269号)、このカーボンブラックグラフトポリマーは各種の物質への分散性が改良されたものであった。
【0005】
しかしながら、このカーボンブラックグラフトポリマーは、該重合体がカーボンブラックとの反応性を有する官能基を有するもののその重合鎖が、親油性あるいは親水性のいずれかの特性しか有しないものであったため、カーボンブラックに対するグラフト効率という面と、当該グラフト化された重合鎖によって付与しようとする各種目的媒体への分散性向上という面の多くの場合において相反する要求の双方を十分に満足することが困難であった。
【0006】
それゆえ、a)該カーボンブラックグラフトポリマー中のカーボン含有量を大きくできない、b)極性の高い媒体、例えばアルコール、セロソルブ系溶剤等、あるいは極性の低い媒体、例えば炭化水素系溶剤やシリコーン系溶剤等には十分な分散性を付与できない、c)有機溶剤中でのグラフト化が難しいなどといった問題点を有していた。そのため、このカーボンブラックグラフトポリマーは、i)液晶カラーフィルター用のブラックマトリクスなどのカーボンブラック含有量が大きいことが望まれる用途には用いることができない、ii)電気粘性流体、半導体デバイス用封止剤などの電気絶縁性が大きいことが望まれる用途には用いることができないといった、用途的な制約を受けるものであった。
【0007】
さらには、従来のカーボンブラック分散体、例えば、カーボンブラックマスターバッチでは、バインダーとは単なる相溶性のみで分散しているがために最終製品が熱的に不安定であることや高充填では強度不足の問題があった。
【0008】
カラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルターは、少なくとも2種以上の色層に着色された微細な領域を画素として有するものであるが、この画素間における光を遮断し、表示された画像のコントラストを向上させるために、従来、ブラックマトリックスが形成されている。
【0009】
このようなブラックマトリックスは、通常ガラス基板上に微細なパターンからなるCr、Ni、Al等の金属薄膜で構成されており、蒸着法、スパッタ法、真空成膜法などにより基板上に堆積した金属薄膜をフォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることにより形成されている。
【0010】
しかしながら、このようにして製造されたブラックマトリックスはその工程の煩雑さから製造コストが高いためこれを用いるカラーフィルター自体のコストも高くなってしまうという問題が生じている。
【0011】
さらに透過型ディスプレイにこのCr等の金属薄膜を用いたブラックマトリックスを有するカラーフィルターを搭載した場合、金属表面の反射率が高いため強い外光がフィルターに当った際に、反射光が強く表示品質を著しく低下させるという問題も生じている。
【0012】
一方、上記のような金属薄膜を用いたブラックマトリックスの問題点を解決するために、着色剤を含有する樹脂組成物によりブラックマトリックスを形成する方法が種々提唱されている。
【0013】
例えば、特開平2−239204号公報には、ポリイミド系樹脂にカーボンブラック等の遮光材を分散しこれを用いてブラックマトリックスを形成する方法が提案されている。この方法によれば、外光反射が少なく、かつ基材のポリイミド系樹脂の耐熱性が高いため信頼性の高いものが得られるが、この方法は遮光材を含むポリイミド系樹脂組成物を基材に塗布、乾燥したのちに、さらにフォトレジストを塗布し、パターニング、エッチング、レジスト剥離という工程を経るものであり工程の簡略化、コスト低減の面で不十分であった。
【0014】
またカーボンブラック等の黒色顔料を光硬化性樹脂組成物中に配合し、この光硬化性樹脂組成物を基材に塗布、乾燥したのちに、所定パターンのマスクを密着させ、露光、現像して所定パターンのブラックマトリックスを形成しようとする試みもなされている。
【0015】
しかしながら、ブラックマトリックスとして十分な遮光性を得るために、カーボンブラックの配合量を増加すると、光硬化性樹脂の硬化に必要な例えば400nm前後の紫外域の光の透過率が非常に低下するため、光硬化を行なうことが極めて困難となるものであり、さらにカーボンブラックが紫外線により光重合開始剤から発生したラジカルを捕捉してしまうため、光重合を阻害し、経済的な露光量での十分が画素形成が困難であった。またカーボンブラックの添加量が増えると、得られる皮膜が導電性となってしまい、液晶ディスプレー等のブラックマトリックスとしてはもはや使用できないものとなってしまう。加えて、カーボンブラックは粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば有機高分子、水および有機溶剤等との親和性が弱いために、上記のような光硬化樹脂組成物中においても均一に混合または分散することが極めて困難であり、安定かつ均一な黒色層を得ることも困難であった。
【0016】
特開平4−63870号公報においては、光硬化性樹脂組成物に添加する着色剤として、カーボンブラックと共に、組合せにより黒色を呈する異なる色の一組の有機顔料を使用し、所定の遮光性を得る上でのカーボンブラック添加量の増加を抑制し、これにより光硬化に必要とされる紫外域の光の透過率の低下を抑え、かつ皮膜の絶縁性を維持しようとすることが提案されている。
【0017】
しかしながら、このように有機顔料を併用すると、カーボンブラックのみを用いた場合と比較して可視領域における光透過性も高くなってしまい、低膜厚にて十分な遮光性を有するブラックマトリックスを形成することが困難であり、かつ前記したようなカーボンブラックの分散性の問題、カーボンブラックによるラジカル捕捉による光硬化阻害の問題については何ら解決されないものであった。
【0018】
ところで、カーボンブラックの分散性を改良することに関し、カーボンブラック表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固状または液状の基材との親和性を高める検討は、このような光硬化性樹脂組成物への適用に限られず、従来より数多くなされている。
【0019】
例えば、(1)重合性単量体をカーボンブラック共存下に重合させることにより得られるカーボンブラックグラフトポリマーは、重合性単量体の種類を適当に選択することにより、親水性および/または親油性を適宜変えることができるため注目されている(例えば、特公昭42−22047号、特公昭44−3826号、特公昭45−17248号、特公昭46−26970号)。
【0020】
また、(2)エポキシ基やアジリジン基などの反応性基を分子内に有する重合体をカーボンブラックと反応させて得られるカーボンブラックグラフトポリマーも提案されている(特公平2−24868号、特公平6−27269号)。
【0021】
しかしながら、上記(1)の方法で得られるカーボンブラックグラフトポリマーの収率は数%〜10数%と低く、大半はビニル系ホモポリマーの形で存在し、カーボンブラックの表面処理効率は極めて低いものであった。このため、他の物質との親和性は期待した程には改良されず、混合または分散条件によって分散状態が異なる場合が多々あった。
【0022】
また上記(2)のカーボンブラックグラフトポリマーは各種の物質への分散性がかなり改良されたものであったが、このカーボンブラックグラフトポリマーは、該重合体がカーボンブラックとの反応性を有する官能基を有するもののその重合鎖が、親油性あるいは親水性のいずれかの特性しか有しないものであったため、カーボンブラックに対するグラフト効率という面と、当該グラフト化された重合鎖によって付与しようとする各種目的媒体への分散性向上という面の多くの場合において相反する要求の双方を十分に満足することが困難であった。
【0023】
それゆえ、a)該カーボンブラックグラフトポリマー中のカーボン含有量を大きくできない、b)極性の高い媒体、例えばアルコール、セロソルブ系溶剤等、あるいは極性の低い媒体、例えば炭化水素系溶剤やシリコーン系溶剤等には十分な分散性を付与できない、c)有機溶剤中でのグラフト化が難しいなどといった問題点を有していた。
【0024】
特開平6−67421号公報には、遮光性、解像性に優れたブラックマトリックスを得る上で好適な感光性、分散安定性に優れた黒色光硬化性樹脂組成物として、光硬化性樹脂組成物に、着色剤として上記(2)のごときカーボンブラックグラフトポリマーを配合してなるものが提唱されている。しかしながら、上記したように、該カーボンブラックグラフトポリマー中のカーボン含有量が大きくできないために十分な遮光性が得られず、分散性についても満足できるレベルまでには至らず、かつ光硬化における感度および硬化皮膜の強度の面についても十分なものとはならないものであった。
【0025】
さらに、このような光硬化性樹脂組成物によりブラックマトリックス等の皮膜形成を行なう場合、露光硬化、現像処理後に、皮膜を完全硬化させると共に基材と皮膜との接着性を高めることを目的として約100〜300℃の温度で熱処理(アフターベーク)することが行なわれているが、この熱処理の際に、皮膜中に存在するカーボンブラックないしカーボンブラックグラフトポリマーの分散状態が変化するものと思われ、アフターベークを行なった後に皮膜の抵抗率が大きく低下してしまうことが観測されている。このため、液晶カラーフィルターのブラックマトリックスとしてはもはや適用できないものであった。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、新規なカーボンブラック複合ポリマー、その製造方法およびその用途を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、高いカーボンブラック含有率を有する一方で、バインダーその他の各種媒体への分散性に優れ、また各種光ないし熱硬化性媒体に添加した場合において当該媒体の硬化を阻害することがなく高添加量としても高強度皮膜を容易に形成でき、かつ電気絶縁性等の諸物性にも優れた新規なカーボンブラック複合ポリマーおよびその製造方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、黒色の着色材料であってバインダー成分の新規な架橋剤を提供することにある。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、樹脂組成物、ゴム組成物、被覆組成物、インキ、感熱転写インク、感熱転写用インクリボンコート剤、磁気記録媒体用バックコート剤、静電荷現像用トナー、塗料、面状発熱体、抵抗調整剤、潤滑剤、トラクションドライブ流体、電気粘性流体や非線形光学材料など各種媒体中への分散性に優れた有用なカーボンブラック複合ポリマーを提供することにある。
【0030】
本発明のさらに他の目的は、カラーフィルターのブラックマトリクス形成に有用な光硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、下記(1)〜(18)により達成される。
【0032】
(1) アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)及び前記セグメント(A)と異なる構造のセグメント(B)からなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させて得られるカーボンブラック複合ポリマーであって、カーボンブラック複合ポリマーとしての最終形態において、前記セグメント(A)および/または(B)が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマー。
【0033】
(2) 前記セグメント(A)および/または(B)が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有することを特徴とする上記(1)に記載のカーボンブラック複合ポリマー。
【0034】
(3) 前記基(II)が、不飽和二重結合基、カルボキシル基およびアルコキシシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のものであることを特徴とする上記(2)に記載のカーボンブラック複合ポリマー。
【0035】
(4) 前記セグメント(B)が、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリロニトリル構造、ポリエステル構造、ポリアルキレン構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造及びフッ素系樹脂構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のものである上記(1)〜(2)のいずれか1つに記載のカーボンブラック複合ポリマー。
【0036】
(5) 前記セグメント(A)が、アミノアルキル(メタ)アクリレートを0.5モル%以上含むビニル系単量体組成物の重合により得られたものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマー。
【0037】
(6) 目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0038】
(7) 目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/またはセグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を含んでなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0039】
(8) a)目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体と、予めカーボンブラックとを混合分散し、次いで、b)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体に、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0040】
(9) a)目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有し、かつカーボンブラック表面の官能基とは実質的に反応性を有しない官能基(III)を有する前駆体重合体と、予めカーボンブラックとを混合分散し、次いで、b)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体の有する官能基(III)と反応し得る反応性基(IV)と目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)をもつ化合物(d)を、前記a)で得られた前駆体重合体をグラフト化させたカーボンブラックに反応させて、前駆体重合体に前記基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0041】
(10) アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0042】
(11) アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/またはセグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を含んでなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0043】
(12) a)アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体と、カーボンブラックとを混合分散し、次いで、b)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体に、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
【0044】
(13) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを熱硬化性樹脂組成物に配合してなることを特徴とする黒色熱硬化性樹脂組成物。
【0045】
(14) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを光硬化性樹脂組成物に配合してなることを特徴とする黒色光硬化性樹脂組成物。
【0046】
(15) 前記カーボンブラック複合ポリマーの前記セグメント(B)の分子量が500以上である上記(15)に記載の黒色光硬化性樹脂組成物。
【0047】
(16) 前記光硬化性樹脂組成物中にアルカリ可溶樹脂を配合してなることを特徴とする上記(14)または(15)に記載の黒色光硬化性樹脂組成物。
【0048】
(17) 上記(14)〜(16)のいずれかに記載の黒色光硬化性樹脂組成物により形成されたことを特徴とするカラーフィルター用ブラックマトリックス。
【0049】
(18) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを含有してなる抵抗調整剤。
【0050】
【作用】
本明細書でいう「カーボンブラック複合ポリマー」とは、カーボンブラック部分に重合体部分がイオン性相互作用により結合した微粒子をいう。
【0051】
カーボンブラックは、通常数nm〜数百nmの粒子径を持つ。しかし、カーボンブラックは粒子同士の凝集力が大きいため、通常数ミクロン以上の粒子径を持つ凝集体として取り扱われる。また、カーボンブラック同士の凝集力は、カーボンブラックと他の媒体との親和性に比べ著しく大きく、カーボンブラックをサブミクロンで媒体中に分散させることは非常に困難である。一方、カーボンブラック複合ポリマーは、カーボンブラックの粒子間に重合体部分が有効に入り込み、カーボンブラック同士の凝集力を弱めることができる。さらに、重合体部分が媒体と親和性のある時、カーボンブラックグラフトポリマーはサブミクロンで媒体中に分散できる。しかしながら、重合体部分が媒体と高い親和性を有していたとしても、カーボンブラック部分に重合体部分が有効にグラフト化されていないと、その特性は安定したものとはならずまたバラツキを生じやすくなり、一定レベルの親和性を得ようとするとカーボンブラックグラフトポリマーにおけるカーボンブラック部分の含有量が低くなってしまうという結果ともなり、その用途の上で制約を受けることとなる。
【0052】
本発明者らは、従来、重合体部分をカーボンブラックに共有結合を介してグラフト化させてなることにより、所望の特性を有するカーボンブラックグラフトポリマーを得ることに鋭意努力を図ってきたが、このようにして得られたカーボンブラックグラフトポリマーは、優れた特性を発揮できるものとなる一方で、カーボンブラックと反応性を有する官能基が、オキサゾリン、アジリジン、イソシアネート等であると安全性に配慮する必要があったことや、またエポキシ基では、グラフト化させる際の加熱温度が高くなる等のプロセス上での難点があり、工業的に改善の余地があった。
【0053】
本発明者らは鋭意検討した結果、重合体部分をカーボンブラックにイオン性相互作用により結合させてなるカーボンブラック複合ポリマーにおいては、上記したような共有結合によるものに比較して、反応温度に注意することなく安全性も高いカーボンブラック複合ポリマーを得ることができ、しかも後述するように重合体部分を適当な構造を有するものとすることで、イオン結合によってもカーボンブラックの分散性等の諸特性を十分に改善できることを見出した。
【0054】
なお、本発明においては重合体部分を形成する重合体としてブロック型もしくはグラフト型のものを用いるが、これは、重合体部分のカーボンブラックに対するより有効な複合化と各種媒体に対して優れた分散性を発揮できるためである。
【0055】
例えば、重合体部分を形成する重合体として、目的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)と、このセグメント(B)よりも目的媒体に対する親和性の低いセグメント(A)とを有し、かつ前記セグメント(A)のみがカーボンブラックにイオン性相互作用により結合できるアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するように分子設計し、目的媒体若しくはこれに近い性状(極性)を持つ媒体からなる分散媒液中で混合分散させるものである。
【0056】
図1は、上記のように、目的媒体若しくはこれに近い性状を持つ媒体からなる分散媒液中で、カーボンブラックに上記したアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するブロック型もしくはグラフト型の重合体を混合分散させた際における、カーボンブラック表面近傍における状態を模式的に示す図である。重合体が、上記したようにアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と目的媒体に親和性を有するセグメント(B)とからなるものであるため、反応系においては、図示するように、セグメント(B)が分散媒液中に向って伸びきった形となるよう配向するため、必然的にセグメント(A)がカーボンブラック粒子表面を取囲み、カーボンブラックとこの重合体がイオン結合により複合化するのに好適な場が提供されるため、有効な複合化がなされるものである。
【0057】
これにより得られたカーボンブラック複合ポリマーにおいてカーボンブラック粒子表面に結合したグラフト鎖は、目的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)が外側に露出するように配向されているので、目的媒体に対し高い親和性を示し、カーボンブラック複合ポリマーはサブミクロン単位で媒体中に分散できるものである。
【0058】
あるいはまた、同様な考え方から、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記アミノ基を実質的に有さずかつ前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有する(換言すれば、カーボンブラックに対し親和性の高いセグメント(A)と目的媒体に対し親和性の高いセグメント(B)とを有する)ブロックもしくはグラフト型重合体を、カーボンブラックに複合化させてもよい。
【0059】
反応系において、この重合体のセグメント(A)がカーボンブラック側に配向するため、当該セグメント(A)に存在するアミノ基、アミド基および/またはニトリル基がカーボンブラック表面のカルボキシル基などとより有効にイオン性相互作用により結合する。これにより得られたカーボンブラック複合ポリマーにおいて表面に結合したグラフト鎖は、目的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)が外側に露出するように配向されているので、目的媒体に対し高い親和性を示し、カーボンブラック複合ポリマーはサブミクロン単位で媒体中に分散できるものである。なお、この場合においては、前記の場合とは異なり、必ずしも、セグメント(B)に親和性のある、ないし目的媒体若しくはこれに近い性状を持つ媒体からなる分散媒液中で、グラフト化を行なう必要はなく、該重合体とカーボンブラックのみを溶融混練したり、あるいはセグメント(A)とセグメント(B)のいずれにもほぼ同等の親和性を示す分散媒液中で反応させることが可能であるが、より確実にかつ効率よく複合化させるためには、セグメント(B)に親和性のある分散媒液中にて行なうことが望ましい。
【0060】
このように重合体部分を形成する重合体としてブロック型もしくはグラフト型のものを用いて形成されたカーボンブラック複合ポリマーは、重合体部分がより有効に複合化されかつより優れた分散性を有するので、従来のカーボンブラックグラフトポリマーと比較して、各種の媒体中に良好に分散でき、しかも、カーボンブラック複合ポリマー中のカーボン含有量を大きくできる、カーボンブラック自体がもつ重合禁止効果を緩和させる、電気絶縁性を高くできる、有機溶剤中でも複合化が容易であるなどといった特徴を有し得るものとなる。
【0061】
重合体部分を形成する重合体としてブロック型もしくはグラフト型のものを用いてカーボンブラック複合ポリマーを形成すれば、分散性向上、重合禁止効果の緩和、電気絶縁性の向上などといった面は改良されるものの、例えば、光硬化性樹脂組成物中にこのようなカーボンブラック複合ポリマーを配合し黒色光硬化性樹脂組成物とした場合において、このような構造のカーボンブラック複合ポリマーとしても、光重合ないし光架橋といった硬化反応に実質的に何ら関与できず、十分な光硬化特性を得るためには、カーボンブラック複合ポリマーの配合量に対し多量の光硬化性化合物を配合する必要が生じ、必然的にカーボンブラック複合ポリマーの配合量に上限が生じ、薄い皮膜により十分な遮光性を得ることは困難となる。同様に、カーボンブラック複合ポリマーを配する媒体が、光重合、熱重合、加熱架橋反応等によって硬化物となるような態様においても、マトリックスとなる媒体に対し、カーボンブラック複合ポリマーが反応性を有することが良好な硬化特性、カーボンブラックの分散安定性等を得る上で望ましいものである。
【0062】
そこで、本発明の好ましい実施形態においては、前記カーボンブラック複合ポリマーの重合体部分を形成するブロック型もしくはグラフト型の重合体が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合するバインダー等の目的媒体のマトリックスに対し反応性を有する官能基(II)、例えば不飽和二重結合等を有するものとしたものである。この官能基(II)が目的媒体のマトリックスと反応し、結局、カーボンブラックと重合体がイオン性相互作用により結合し、さらにはこの重合体と目的媒体のマトリックスとが共有結合することにより、高い抵抗値や機械的強度の高い組成物が得られるばかりか、抵抗値の変化や強度変化の小さな組成物が得られるものである。
【0063】
なお、カーボンブラック表面とのイオン性相互作用による結合に供せず、外方に配向する側のセグメント、すなわちセグメント(B)に不飽和二重結合等の官能基(II)を導入すれば、得られたカーボンブラック複合ポリマーを光硬化性樹脂組成物等に配合した場合において、当該組成物の硬化反応がより良好に進行し、薄い皮膜により十分な遮光性を得ることができ、かつ皮膜強度、カーボンブラックの分散安定性といった面においても極めて優れたものとなるが、このような官能基(II)がセグメント(A)に導入されたものであっても、このような官能基(II)を有しないものと比較すればかなり良好な結果が期待できるものであった。セグメント(A)およびセグメント(B)の双方にこのような官能基(II)を有するものであってもよいことはもちろんである。
【0064】
本発明に係るこのような官能基(II)を有するカーボンブラック複合ポリマーは、単なるカーボンブラック分散体とは異なり、シランカップリング剤などにある程度類似する効果を有するものであることが判明した。
【0065】
また、重合体部分を形成する重合体としてブロック型もしくはグラフト型のものを用いてカーボンブラック複合ポリマーを形成した場合に、外側に配向するセグメント(B)の鎖長がある程度以上長い、例えばセグメント(B)の分子量が1000以上程度であると、当該カーボンブラック複合ポリマーを目的媒体中に配合した際、目的媒体のマトリクス中において、当該カーボンブラック複合ポリマーのセグメント(B)がクサビ状の形態で存在するために、より安定した分散状態を発揮する。このため、上記目的媒体が光硬化性樹脂組成物等である場合であっても、その組成物系、反応条件等によっては、上記したような官能基(II)を有しないものであっても、皮膜強度等においても何ら遜色なく、優れた特性を発揮できることが判明した。従って、本発明の別の好ましい実施態様においては、このようにブロック型もしくはグラフト型の重合体のセグメント(B)が鎖長の比較的長いものとされる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
【0067】
本発明のカーボンブラック複合ポリマーを製造する上で用いられるカーボンブラックとしては、その表面にカルボキシル基、ヒドロキシ基等の官能基を有するものであれば特に限定されず、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のいずれの種類のものを用いることができ、通常の市販品をそのまま使用できるが、中でもカルボキシル基を有するものが好ましい。さらにカーボンブラックとしてはpH7未満、特にpH1〜5のカーボンブラックを用いることが好ましい。カルボキシル基を有するカーボンブラックは、酸性カーボンブラックとして容易に入手できるが、中性あるいは塩基性のカーボンブラックを酸化処理することにより得られたものも本発明における原料として好適に用いることができる。カーボンブラックが、カルボキシル基等の官能基を有していない場合、あるいはpH7以上である場合、グラフト化が有効に行なわれないことがある。なお、カーボンブラックのpHの試験法はJIS
K 6211によるものである。
【0068】
また、カーボンブラックの平均粒子径は0.0005〜0.5μm、特に0.001〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.0005μm未満のカーボンブラックは容易に得られないため、産業上意義が小さい。また、平均粒子径が0.5μmを越える場合、得られたカーボンブラック複合ポリマーに十分な分散性が付与できないことがある。
【0069】
一方、このようなカーボンブラックにイオン結合により複合化されて重合体部分を形成する重合体は、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、媒体に親和性を有するセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型のものである。
【0070】
さらに、本発明の好ましい実施態様においては、前記セグメント(A)および/または(B)が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有する重合体である。なお、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)は、セグメント(B)に存在することがより望ましいが、セグメント(A)のみに存在するものであっても、あるいは双方に存在するものであってもよい。これは、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)が、ゼグメント(A)にあり、セグメント(B)にない場合においても、セグメント(B)が媒体と親和性を有している故、得られるカーボンブラック複合ポリマー分散性は、何ら劣ることはなく、後の硬化温度で基(II)と目的媒体のマトリックスとが反応し得るためである。
【0071】
ここで、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーの最終的な形態において、上記したような所望構造のブロックもしくはグラフト型の重合体(なお、セグメント(A)のアミノ基、アミド基および/またはニトリル基はカーボンブラック表面の官能基とイオン結合した状態となっている。)となれば良く、カーボンブラックに対し重合体部分を混合分散させる製造工程においては、必ずしも上記したような所望構造の重合体となっていなくとも良い。
【0072】
すなわち、例えば、上記第1の好ましい実施態様である目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有するブロックもしくはグラフト型の重合体を複合化させたカーボンブラック複合ポリマーを得ようとする場合、後述するように、(1)アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、媒体に親和性を有するセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型であり、かつ目的媒体のマトリックスと反応しうる基(II)をセグメント(A)および/またはセグメント(B)に有する重合体をまず形成して、これをカーボンブラックに混合分散させる方法のみならず、(2)アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、媒体に親和性を有するセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体と、予めカーボンブラックとを混合分散させた後、該前駆体重合体に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入するような方法や、(3)目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を実質上カーボンブラックと反応性を有しない基へ変換(保護基と)することによって、セグメント(A)とセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型重合体中に導入しておいて、該重合体とカーボンブラックとを混合分散後、保護基をはずして所望する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を露出させるような方法によっても、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーを製造しうるものである。
【0073】
ブロックもしくはグラフト型重合体としては、図2(a)において示すA−B型ブロック共重合体、図2(b)において示すA−B型グラフト共重合体といった単純な構造のものに限られず、図2(c)において示すB−A−B型ブロック共重合体、あるいはより高度な交互ブロック共重合体、図2(d)において示す複数のBセグメントがAセグメントにグラフトしてなる櫛形グラフト共重合体、さらには図2(e)において示す星型状のグラフト共重合体などといった各種のものが含まれる。なお、図中Yは目的媒体のマトリックスと反応し得る反応性基(II)を表す。図2(f)は、これらの各種のブロックもしくはグラフト型の重合体がカーボンブラック粒子(CB)表面へイオン性相互作用により結合した状態を表すものであるが、要は、カーボンブラック粒子表面にイオン性相互作用により結合した状態で、少なくとも1つのセグメント(B)がカーボンブラック粒子表面より外側に向ってある程度の自由度をもって配向できるものであれば、ブロックもしくはグラフト型重合体はいかなる形態を有するものであってもよく、さらに例えば、セグメント(A)に分類されるものとして複数種のセグメントを有するものであっても(セグメント(B)についても同様)、セグメント(A)とセグメント(B)とは異なる性質、例えばこれらの中間的な性質を有する、あるいはグラフト鎖を延長する、グラフト鎖の媒体中での「ゆらぎ」(運動性)を高めるないし低下させるなどといった機能を付する別種のセグメント(以下、(C)セグメントという。)を、これらセグメント(A)とセグメント(B)の中間に配したような形のものなどであってもよい。ここで(C)セグメントはアミノ基を有しないものであっても有するものであってもよいが、一般にはアミノ基を有しないものとすることが、グラフト効率を高める上からは好ましいものと考えられる。さらに場合によっては、この(C)セグメントに相互に架橋し得るような反応基等を導入しておくことも可能である。なお、説明の上から(C)セグメントと称したが、この(C)セグメントも大きく分ければ、上記したようなセグメント(A)かセグメント(B)のいずれかに分類されるものである。
【0074】
なお、図2においては、符号Yで表した反応性基(II)がセグメント(B)にのみ存在する態様を示しているが、前記したように反応性基(II)は、セグメント(A)のみに存在しても、あるいは双方に存在してもよい。
【0075】
本発明の好ましい第1の実施態様において、ブロックもしくはグラフト型重合体に導入される、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)としては、目的媒体の種類によって適宜選択することができ、例えば、不飽和二重結合基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、N−ヒドロキシアクリルアミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、シラノール基、及びチオール基が挙げられる。すなわち、目的媒体がラジカル重合型の硬化性樹脂をマトリックスとする時は、基(II)として不飽和二重結合基が挙げられる。具体的には、光硬化性樹脂組成物等に不飽和二重結合基を有するカーボンブラック複合ポリマーを添加する場合や不飽和ポリエステルを熱硬化させる場合が挙げられる。また、不飽和ポリエステル系の硬化性樹脂では、カルボキシル基等が挙げられる。マトリックスがゾル−ゲル法によるシリコン系であればアルコキシシリル基が挙げられる。
【0076】
本発明において、不飽和二重結合基とは、例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等を指し、またアルコキシシリル基とは、−Si(OR1)(R1は水素原子、アルキル基またはアシル基からなる群から選ばれる置換されていても良い少なくとも1種の基であり、R1が1分子中に複数ある場合、この複数のR1は互いに同一であっても異なっていても良い。)で表される基を示す。
【0077】
ある官能基は、ある硬化性組成物中でバインダー成分と反応しない場合もあり、その際、カーボンブラック複合ポリマーは単なる分散体として存在する。例えば、水酸基は、光硬化性組成物では非反応性官能基であるが、フェノール系樹脂硬化性組成物中においては、メラミン系架橋剤と共にマトリックスと共有結合を行なうことによって、基(II)としての役割を果たし得る。したがって、適宜バインダー系と反応しうるものとして、基(II)を選択すれば良い。
【0078】
ここで本願明細書でいうところのバインダーないし目的媒体のマトリックスについて説明する。近年、リアクティブプロセッシング等に利用されている手法のひとつに官能基をもたせたポリマー同士を反応させてなる例があるが、同様の考え方に基づくと、前記基(II)と反応性を有するポリマーは、本願明細書でいうところのバインダーないし目的媒体のマトリックスである。例えば、アクリル系光硬化性組成物の例をとると、この組成物のバインダーには非架橋部分と硬化部分とに分れるが、明らかに系が硬化性組成物となり得るのは多官能アクリレートが光開始剤もしくは直接光によって重合反応を伴なうからである。この際、多官能アクリレートと反応することをバインダーないし目的媒体のマトリックスと反応すると考える。また例えば、エラストマー硬化物に関する例を述べると、ポリウレタン系エラストマーの場合、a)二官能ポリオールとイソシアネートとを反応させプレポリマーとした後、b)分子量向上のための二官能の鎖延長剤添加(エラストマー中間生成物)、c)さらに三官能以上の多官能の化合物等を用いて架橋を完結させる。この場合も、c)段階の三官能以上の多官能化合物と反応しうる基(II)さえ有していれば、ポリウレタンバインダーないし目的媒体のマトリックスと反応したと言える。これらの例のように、多官能の架橋剤、加硫剤もバインダー成分ないし目的媒体のマトリックスとなり得ることから、本願明細書においては架橋剤、加硫剤等をもバインダー成分ないしマトリックスとみる。
【0079】
なお、これらの反応性基(II)の重合体中への導入方法ついては後述する。
【0080】
本発明の第1の態様において、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)は、そのセグメント鎖構造上で目的媒体に対し親和性の低いものとする必要がある。なお、ここでいう低い親和性とは、あくまで他方のセグメント(B)との対比による相対的なものであるため、目的媒体の種類あるいはセグメント(B)の構成いかんによって、セグメント(A)は各種の構成とすることができ、一概には特定できない。しかしながら、さらに別の観点からすると、前記セグメント(A)は、カーボンブラックに対し親和性が高いものとすることが、カーボンブラックに対してより良好な配向性を示すものとなるゆえに望ましい。この点から前記セグメント(A)は、その主鎖が炭素−炭素結合を主とするもの、より好ましくは、例えばベンゼン環、ナフタレン環、インデン環などのような芳香環を主鎖に含むもので、かつ前記したような反応性基を分子内に有するものとし、一方、前記セグメント(B)は、セグメント(A)よりも炭素−炭素結合の少ない、特に芳香環の少ない骨格構造、例えばポリシロキサン構造、あるいはエーテル結合、エステル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を多く含むものとすることが望ましい。
【0081】
ただ、セグメント(A)が実質的に高度の縮合多環構造のみで構成されてしまうとセグメント(A)の剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブラックへのグラフト時にカーボンブラック表面へのセグメント(A)の近接が困難な虞れがあるために、適度な線状構造を有することが望ましい。
【0082】
上記したように、セグメント(A)の鎖構造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面から選択されるセグメント(B)の鎖構造に応じて、適宜選択し得るものであり、例えば、スチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体、アルキレン系単量体などの単独もしくは共重合による各種ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリエーテル等の(上記反応性基を有する)重合鎖とすることができるが、このうち、ビニル系ポリマー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分を50モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含みかつ反応性性基を有するビニル系ポリマーであることが、目的媒体に応じて選択される各種のセグメント(B)との組合せが可能となるため望ましい。
【0083】
さらに経済性等を考慮すると特に、スチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とする単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成分を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上記反応性基を有する)重合鎖が望ましい。
【0084】
しかしながら、この第1の態様においては、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)は、そのセグメント鎖構造上で目的媒体に対しセグメント(B)より親和性の十分低いものとすれば、必ずしもセグメント(A)がカーボンブラックに対し親和性の高いものとしなくともよく、カーボンブラックに対してはセグメント(A)とセグメント(B)の親和性に実質的な差異がなくとも、あるいはセグメント(B)よりも親和性の低いものであっても十分に使用可能であり、場合によっては、セグメント(B)側を例えばスチレン系構造とすることも可能である。
【0085】
一方、セグメント(B)は、目的媒体への分散性等、カーボンブラックに付与しようとする特性によって、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、フッ素樹脂系構造などを有する重合鎖から適当なものが選択される。例えば、ポリシロキサン系構造鎖は、極性の低い媒体中への分散性を改善する目的、さらに撥水性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れていることや、低温脆性がないことを付与する目的で、また(メタ)アクリル系鎖は、種々の(メタ)アクリルエステル単量体成分を導入して、幅広い親水性−疎水性を付与する目的で(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等を導入して親水性を高める。)、またポリアルキレングリコール鎖は、親水性、潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特性を付与する目的で、それぞれ採用可能である。
【0086】
以下、本発明の理解を容易とするのに、セグメント(A)がアミノ基、アミド基および/またはニトリル基をもち、セグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)として不飽和二重結合基を有する態様を中心として本発明ついて説明する。
【0087】
なお、以下の説明においては、上記(1)の方法、すなわち、セグメント(B)に基(II)としての不飽和二重結合を導入した所望構造のブロックもしくはグラフト型の重合体を、カーボンブラックにイオン性相互作用により結合させる態様を中心として記述するが、複合化と不飽和二重結合の導入工程が前後するのみので、それ以外の点は、上記(1)の方法の場合と(2)の方法の場合とはほぼ共通したものであること、またグラフト化後に脱保護基反応工程を必要とするのみで、上記(1)の方法の場合と(3)の方法の場合とはほぼ共通したものであることのであることが理解されよう。
【0088】
当該実施態様において、ブロックもしくはグラフト型の重合体のセグメント(B)は、その一部に不飽和二重結合を有する必要がある。この不飽和二重結合は、セグメント(B)の主鎖中に存在させた形態とすることも可能であるが、本発明に係るブロックもしくはグラフト型の重合体の合成の容易さという観点からすれば、セグメント(B)の主鎖に結合する側鎖中に存在させた形態とすることが望ましい。
【0089】
このようなアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と反応性基(II)としての不飽和二重結合を有するセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体を得る方法としては、特に限定されず、公知の種々のブロックもしくはグラフト型重合体の重合技術と、反応性ポリマーの製造技術を適当に組合せることで製造することができる。
【0090】
グラフト型の重合体を得る方法としては、例えば、グラフト鎖となる高分子量体の存在下に、重合開始剤及び重合性単量体を溶液重合、乳化重合、塊状重合又は懸濁重合して主鎖となる重合体を重合する方法する方法が知られている。しかしながら、前記高分子量体がラジカル重合性官能基を持たないものであると、得られるグラフト共重合体には多量のグラフト化されていない重合体が含まれており、グラフト効率が低いという欠点をもっている。それ故、当該高分子量体としてラジカル重合性高分子量体を用いて行なうことが好ましい。このようなラジカル重合性高分子量体は、一般に、「マクロモノマー」と称され、片末端にラジカル重合性基、例えば、(メタ)アクロイル基、スチリル基などを有する高分子量体であり、例えば、有機溶剤中で片末端カルボキシル基を有する重合体とグリシジル基を有するラジカル重合性単量体を反応させることにより得られるものである(例えば、特公昭43−11224号公報には、有機溶剤中でラジカル重合性単量体をメルカプト酢酸の存在下で、ラジカル重合させて得られるプレポリマーとグリシジルメタクリレートをジメチルラウリルアミン触媒の存在下で反応させて得る方法が開示されている。)。
【0091】
なお、セグメント(B)の主鎖を形成する成分としてのこのようなラジカル重合性高分子量体は、後に不飽和二重結合を有する側鎖ないし延長鎖を導入するための活性点(官能基)を有するように分子設計される必要があるが、この点については後述する。
【0092】
従って、例えば、本発明に係るグラフト共重合体を得るには、まずセグメント(B)の主鎖を形成する成分としての上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)存在下に、前記したようなアミノ基を分子内に有する重合性単量体(a1)および/またはアミド基を分子内に有する重合性単量体(a2)(以下、重合性単量体(a1)および重合性単量体(a2)を総称して重合性単量体(a)と記する場合もある。)、ならびにその他必要により配合されるセグメント(A)の骨格を形成する重合性単量体(c)を重合し、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなる前駆体としてのグラフト型重合体を得、その後、さらにセグメント(B)の主骨格部分に設けられた活性点に対する反応性基と不飽和二重結合を分子内に有する化合物(d)を、当該前駆体と反応させ、セグメント(B)に不飽和二重結合を導入すればよい。
【0093】
なお、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーの重合体部分として、ここに例示するようにセグメント(B)が、不飽和二重結合等の目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有するものである場合、以下の点からも有利であると考えられる。すなわち、従来型のカーボンブラックグラフトポリマーでは、セグメント(B)を構成する成分としてマクロモノマーを用いた場合、マクロモノマーの純度が低い場合、即ち、片末端にラジカル重合性基を有するものの割合が100%でない場合、グラフトポリマーを合成し、カーボンブラックにグラフト化させた後にも、正しく合成されたカーボンブラック複合ポリマーに、前記マクロモノマーの不良物が単なるセグメント(ポリマー)として混在してしまい、この結果、得られた製品をバインダー等の目的媒体に配合した場合に、当該単なるセグメントが、最終バインダー中に何の寄与もなく残存することが想定される。しかしながら、セグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有する場合においては、このような混在する単なるセグメントも目的媒体のマトリックスと反応し、最終バインダー中に組み込まれるので、硬化特性を低下させることがないというものである。
【0094】
アミノ基を分子内に有する重合性単量体(a1)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノヘキシル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノヘキシル(メタ)アクリルアミドなどのアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジプロピルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジブチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノプロピルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノプロピルビニルエーテル、N,N−ジプロピルアミノプロピルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノブチルビニルエーテル、N,N−ジプロピルアミノブチルビニルエーテル、N,N−ジブチルアミノブチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノペンチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノペンチルビニルエーテル、N,N−ジプロピルアミノペンチルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノヘキシルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノヘキシルビニルエーテル、N,N−ジプロピルアミノヘキシルビニルエーテル、N,N−ジブチルアミノヘキシルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノオクチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノオクチルビニルエーテルなどのアミノアルキルビニルエーテル類、2−ビニルピリジン、4ービニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾールなどのビニルイミダゾール類、2−ビニルキノリンなどのビニルキノリン類、N−メチル−3−ビニルピペリジンなどのビニルピペリジン類などが例示できるが、もちろんこれらに限定されるものではない。これらのうち、特にアミノアルキル(メタ)アクリレート類、さらには3級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0095】
アミド基を有する重合性単量体(a2)としては、ビニルピロリドンに代表される次の一般式(i)で表される単量体、
【0096】
【化1】
【0097】
(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、n=2〜4である。)、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどに代表される次の一般式(ii)で表される単量体、
【0098】
【化2】
【0099】
(式中、R1は水素原子またはメチル基でありR2、R3は水素原子またはC1〜C12のアルキル基であり、同一であっても異なるものであっても良い。)、
あるいは、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどが例示できるが、もちろんこれらに限定されるものではない。これらのうち、特にビニルピロリドンが好ましい。
【0100】
ニトリル基を有する重合性単量体(a3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、などが例示できるが、もちろんこれらに限定されるものではない。このうち、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0101】
また、セグメント(A)を上記したような所望の骨格となすために、必要により使用できる重合性単量体(c)としては、前記単量体(a)ならびに後述するようなとセグメント(B)を形成する成分としての上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)共重合し得るものであれば特に限定されず、得ようとするセグメント(A)の分子構造に応じて、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸あるいはメタクリル酸系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の単量体を1種または2種以上適宜用いることができる。
【0102】
なお、セグメント(A)がアミノ基を有するものとする場合は、上記重合性単量体(a1)を0.5モル%以上含むことがカーボンブラックとの良好な複合化を行う上で望ましく、特に1〜50モル%、さらには重合性単量体(a1)としてアミノアルキル(メタ)アクリレートを0.5モル%以上、より好ましくは1〜50モル%含有することが望ましい。
【0103】
また、セグメント(A)がアミド基を有するものとする場合においても、上記重合性単量体(a2)を0.5モル%以上、特に1〜50モル%含むことがカーボンブラックとの良好な複合化を行う上で望ましい。ここで、アミド基を有するセグメント(A)の具体的構造例としては、例えば、以下に示すようなものがある。
【0104】
【化3】
【0105】
【化4】
【0106】
【化5】
【0107】
【化6】
【0108】
もちろん、これらのものに何ら限定されるものではなく、また、セグメント(A)にCOOH基、2重結合基等の目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入されたものでもよい。なお、上記に例示した構造例のうち(4)のものが特に望ましい。
【0109】
また、また、セグメント(A)がニトリル基を有するものとする場合においても、上記重合性単量体(a3)を0.5モル%以上、特に1〜50モル%含むことがカーボンブラックとの良好な複合化を行う上で望ましい。
【0110】
さらに、セグメント(A)としては、上記したようにアミノ基、アミド基またはニトリル基のいずれか一つを有するもののみならず、これらのうち、いずれか2つを 有するものないし3つすべてを有するものとすることももちろん可能である。
【0111】
一方、セグメント(B)成分の主鎖を構成するためラジカル重合性高分子量体(b)としては、所望の重合鎖、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、フッ素樹脂系構造などの重合鎖の片末端に反応性基を有するものであればよい。
【0112】
例えば、セグメント(B)をポリシロキサン系構造を有するものとする場合、当該ポリシロキサン系構造としては、ポリジメチルシロキサン基、部分アルキル基置換のポリジメチルシロキサン基、部分アリール基置換のポリジメチルシロキサン基、トリス(トリアルキルシロキシ)シリルプロピル基等のポリオルガノシロキサンを含有するものなどが例示できる。
【0113】
従って、ポリシロキサン系構造を有するラジカル重合性高分子量体(b1)としては、例えば(メタ)アクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン、スチリル基含有ポリジメチルシロキサン(メタ)アクリロイル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、スチリル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキササン、スチリル基含有部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート等の重合性ポリシロキサン類が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を用いることができ、特に以下のものが望ましい。
【0114】
【化7】
【0115】
(ただし、式中、Bは−COO−またはフェニレン基を示し、R1は水素原子またはメチル基を、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3〜R13は同一または異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシル基をそれぞれ示し、aおよびbは同一または異なって0〜10の整数を、nは0〜200の整数をそれぞれ示す。)
同様に、セグメント(B)をポリメタ(アクリル)系構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b2)としては、例えば、以下に示されるようなものが使用され得る。
【0116】
【化8】
【0117】
(ただし、式中、R1、R2は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数1〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端またはH原子、nは0〜500の整数を示す。)
【0118】
【化9】
【0119】
(ただし、式中、R1、R2、R4は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3、R5は同一または異なって炭素数1〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端またはH原子、m、nはそれぞれ同一または異なって0〜500の整数を示す。)
【0120】
【化10】
【0121】
(ただし、式中、R1、R2は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数1〜25のアルキレン基を示し、R4は炭素数1〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端またはH原子、nおよびmは同一または異なって0〜500の整数を示す。)
また、セグメント(B)をポリアルキレングリコール系構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b3)としては、例えば、以下に示されるようなものが使用され得る。
【0122】
【化11】
【0123】
(ただし、式中、R1、R2、R3は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、nは0〜500の整数を示す。)
【0124】
【化12】
【0125】
(ただし、式中、R1、R2、R3、R4は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは同一または異なって0〜500の整数を示す。)
さらに、セグメント(B)をポリスチレン系構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b4)としては、例えば、以下に示されるようなものが使用され得る。
【0126】
【化13】
【0127】
(ただし、式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端またはH原子、Zは水素原子、ハロゲン置換基または炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜500の整数を示す。)
なお、上記式群において示す連結鎖Xについては、例えば、「マクロモノマーの化学と工業」(山下雄也監修、(株)アイピーシー発行、平成元年9月20日)に詳しく示されており、これに示されているもののいずれを用いることもできる。
【0128】
またフッ素系樹脂構造とする場合、
【0129】
【化14】
【0130】
【化15】
【0131】
(但し式中mは、1〜25の整数を示す。)
等のフッ素系(メタ)アクリルモノマーそのものをセグメント(B)にした形で重合しても良く、さらにはフッ素系(メタ)アクリレートのリビング重合法によって末端停止もしくはラジカル重合の連鎖移動法を用いてマクロモノマー化されたものをセグメント(B)とすることができる。
【0132】
上記したようなグラフト型の前駆体重合体を得る際の重合方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを挙げることができる。中でも、ラジカル触媒を用いての溶液重合法が好ましい。
【0133】
ラジカル触媒としては、通常、ビニル単量体の重合に用いられているものであればいずれも使用できる。代表的なものとしては、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾリルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系化合物等が挙げられ、これらは通常単量体100重量部当たり0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範囲内で使用される。また溶剤としては、用いられる単量体、ラジカル重合性高分子量体の種類に応じて適宜選択される。
【0134】
このようにして、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなるグラフト型の前駆体重合体を得た後、セグメント(B)に不飽和二重結合を有する側鎖ないし延長鎖を導入する方法について説明する。
【0135】
ここにおいて前記前駆体重合体におけるセグメント(B)の主骨格部分に設ける活性点(官能基(III))としては、特に限定されるものではなく、各種のものを用いることができる。より具体的には、セグメント(B)の有する官能基(III)としては、カルボキシル基以外のものであればよく、例えば、アミノ基、イミノ基、チオール基、シラノール基、イソシアネート基等を挙げることができるが、このうち特に好ましくはアルコール性ないしフェノール性の水酸基である。なお、前記ラジカル重合性高分子量体の説明において、好ましいものとして例示した構造式の中には、このような官能性基(III)を具体的に示していないものもあるが、例えば、これらのラジカル重合性高分子量体を重合するのに用いられる単量体の一部にこれらの官能基を有するものを用いれば、容易に所望構造のものとなることは理解されよう。
【0136】
一方、このようなセグメント(B)の有する官能基(III)に対する反応性基(IV)と不飽和二重結合(反応性基(II))を分子内に有する化合物(d)としては、特に限定されるものではないが、片末端に不飽和二重結合(反応性基(II))を有し、他方の末端にセグメント(B)における活性点(官能基(III))と反応性を有する反応性基(IV)を有する、両末端の反応性が異なる化合物(ヘテロファンクショナルな化合物)が好ましい。なお、前記した重合性単量体(a)も同様にヘテロファンクショナルな化合物であるが、この化合物(d)としては、少なくとも前記重合性単量体(a)とは、別種の反応性基を有するものとする必要がある。
【0137】
この化合物(d)の有する反応性基(IV)としては、セグメント(B)における活性点(官能基(III))と反応性を有するものである限り、特に限定されるものではないが、イソシアネート基であることが望ましい。反応性基としてイソシアネート基を有する化合物を使用すれば、前記したセグメント(B)の官能基(III)として、アルコール性ないしフェノール性の水酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基、シラノール基などを用いることができ、かつ、適当な条件を選択することにより、このセグメント(B)における官能基(III)とセグメント(A)に導入されたエポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基などの反応性基(I)との反応、および当該イソシアネート基とセグメント(A)に導入された反応性基(I)との反応を生じるさせることなく、容易にセグメント(B)の官能基(III)にイソシアネート基を反応させて結合させ、セグメント(B)に化合物(d)の有する不飽和二重結合を導入することができるためである。特にセグメント(B)の官能基(III)がアルコール性ないしフェノール性の水酸基であると、このイソシアネート基との間で良好な求核反応が生起し、ウレタン結合を形成することができるために好ましい。
【0138】
反応基としてイソシアネート基を片末端に有し、他方の末端に不飽和二重結合を有する、化合物(d)として特に好ましいイソシアネート基含有不飽和化合物(d1)としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物との部分反応物、(メタ)アクリル残基を有するポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーなどといったものが例示できるが、このうち特に、以下に示すような構造式を有する(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートなどが望ましい。
【0139】
【化16】
【0140】
(ただし、式中R1は水素原子またはメチル基である。)
【0141】
【化17】
【0142】
(ただし、式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキレン基である。)
【0143】
【化18】
【0144】
(ただし、式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキレン基である。)
化合物(d)として上記したようなイソシアネート基含有不飽和化合物(d1)を用い、セグメント(B)に官能基(III)としてアルコール性ないしフェノール性の水酸基を有する前駆体重合体と反応させ、前駆体重合体のセグメント(B)に不飽和二重結合を導入する場合、化合物(d)の添加量は、前駆体重合体のセグメント(B)が有する水酸基1当量に対して、イソシアネート基が0.01〜1当量、より好ましくは0.3〜1.0当量の割合となるように調整する必要がある。すなわち、水酸基1当量に対してイソシアネート基が0.01当量未満の割合であると、有効量の不飽和二重結合をセグメント(B)に導入することができず、一方、水酸基1当量に対してイソシアネート基が1当量を越える割合であると、精製したウレタン結合にさらにイソシアネート基が反応してアロハネート結合を生じ所望の構造が得られず、また未反応のイソシアネート基含有不飽和化合物が残留してしまうため、いずれも好ましくない。また反応条件としては、あまり高温条件であると、イソシアネート基含有不飽和化合物の不飽和二重結合に重合反応が生じゲル化したりする不具合が生じるため、20〜100℃で1〜5時間といった条件が望ましい。なお、反応時における上記したような重合反応を抑制するために重合防止剤を用いることも可能である。なお、これらの反応に触媒を用いることは後の物性に悪影響を及ぼさない限り可能であり、グラフト化反応が高温長持間となり問題が生じる場合、通常用いられるウレタン化触媒を使用し、これらの問題を回避しても良い。
【0145】
本発明で用いることのできるグラフト型重合体を得る別の方法としては、例えば、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有する化合物(e)を、該化合物と反応し得る基をセグメント(A)に有しかつこのセグメント(A)にセグメント(B)がグラフトしてなる第1前駆体重合体に反応させて該アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を該第1前駆体重合体中に導入し、上記したような最終的な前駆体(アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなるグラフト型の前駆体重合体)とし、その後上記と同様にしてセグメント(B)に、不飽和二重結合を有する側鎖ないし延長鎖を導入するする方法を挙げることができる。
【0146】
上記化合物(e)としては、例えば、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を分子内に2個以上有する化合物、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基とアミノ基以外の官能基とを分子内に有する化合物等を挙げることができる。
【0147】
ただし、上記の官能基は前記の第1前駆体重合体のセグメント(A)の有する当該反応し得る基と反応し得るものである。第1前駆体重合体のセグメント(A)の有する反応し得る基としては例えばイソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基等を挙げることができるが、上記したセグメント(B)の有する官能基とは別種のものである必要がある。
【0148】
なお、前記第1前駆体重合体に対して、先にセグメント(B)への不飽和二重結合の導入を行ない、その後セグメント(A)へのアミノ基、アミド基および/またはニトリル基の導入を行なうことも可能である。
【0149】
またブロック型の重合体を得る方法としては、例えばアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、イニファータ法等が知られており、さらに、他の方法としては、セグメント(A)またはセグメント(B)の単量体をラジカル重合する際に、チオールカルボン酸、あるいは2−アセチルチオエチルチオール、10−アセチルチオデカンチオール等の分子内にチオエステルとチオール基とを含有する化合物を共存させて重合して得られた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリで処理して、片末端にチオール基を有する重合体とし、得られた片末端にチオール基を有する重合体の存在下でもう一方のセグメントの単量体成分をラジカル重合する方法が知られている。
【0150】
従って、本発明に係るブロック共重合体を得るには、上記したような公知の方法を適宜変更し、前記グラフト共重合体を得る場合と同様に、セグメント(A)の重合性単量体として少なくともその一部に前記したようなアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有する重合性単量体(a)を用いて、ブロック共重合体の重合の際にセグメント(A)にアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を導入するか、あるいはブロック共重合体の重合後に、このようなアミノ基、アミド基および/またはニトリル基をセグメント(A)に導入すればよい。これらのブロック共重合体の場合におけるセグメント(B)への不飽和二重結合の導入についても、前記グラフト共重合体の場合と同様の手法を用いることができる。
【0151】
このようにして得られるグラフトもしくはブロック型重合体の分子量については特に制限されないが、カーボンブラックに対するグラフト化の効果や、カーボンブラックとの反応時の作業性を考慮すると上記分子量は平均分子量1000〜1000000の範囲とすることが好ましく、より好ましくは5000〜100000の範囲である。
【0152】
また、グラフトもしくはブロック型重合体におけるセグメント(A)およびセグメント(B)の分子量としても特に制限されるものではなく、これらのセグメントを構成する重合鎖の種類等によっても左右されるが、カーボンブラックに対するグラフト効率の面からするとセグメント(A)は平均分子量300〜100000の範囲、より好ましくは5000〜50000の範囲とすることが好ましく、またカーボンブラックに付与しようとする分散性改質効果の面からするとセグメント(B)は平均分子量500〜100000の範囲、より好ましくは1000〜50000、さらに好ましくは5000〜30000の範囲とすることが好ましい。
【0153】
特に、前記セグメント(B)の鎖長が比較的長い、好ましくは分子量1000以上、さらに好ましは分子量5000以上である重合体であると、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーが、光硬化性樹脂組成物等に配合された場合に、高い分散安定性を発揮することができる故に望ましい。
【0154】
さらに、グラフトもしくはブロック型重合体のセグメント(A)が有するアミノ基、アミド基および/またはニトリル基の数としても特に限定されるものではないが、重合体1分子当り平均して50〜1、より好ましくは20〜1程度であることが望ましい。
【0155】
またセグメント(B)が有する不飽和二重結合、ないし目的媒体のマトリックスと反応し得る基(II)の数としても特に限定されるものではないが、重合体1分子当り平均して20〜1、より好ましくは10〜1程度有することが望まれる。なお、重合体1分子当りの二重結合等の基(II)の数そのものは、得られるカーボンブラック複合ポリマーが配合される硬化性組成物などの媒体との関係(例えば、感度、反射特性など)から適宜決定されるものである。例えば、後述するような黒色光硬化性組成物において、光硬化性モノマーの添加量を少なくしたい場合、カーボンブラック複合ポリマーの有する二重結合数を増加させることにより感度の維持に努めることができる。
【0156】
第1の態様において、上記したようなグラフトもしくはブロック型の重合体のカーボンブラックへの複合化は、得られるカーボンブラック複合ポリマーを分散性させようとする前記目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で行なわれる。すなわち、この分散媒液は、当該重合体のセグメント(B)に対し高い親和性ないし相溶性を有しセグメント(A)に対しては親和性ないし相溶性の低いものである。
【0157】
従って使用される分散媒液は、当該重合体におけるセグメント(A)とセグメント(B)の組合せに応じて、適宜選択される。
【0158】
例えば、重合体におけるセグメント(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)がポリシロキサン構造を有するものである場合、使用される分散媒液としては、ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイルなどが好ましい。
【0159】
また例えば、重合体におけるセグメント(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)が例えばポリメチルメタクリレートなどの疎水性(メタ)アクリル系構造を有するものである場合、使用される分散媒液としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶剤などが好ましい。
【0160】
また例えば、重合体におけるセグメント(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)が例えばメチルメタクリレート−ヒドロキシメチルメタクリレートコポリマーなどの親水性(メタ)アクリル系構造を有するものである場合、使用される分散媒液としては、水、水−アルコール混液、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのエステル類;アセトンなどのケトン類;ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが好ましい。
【0161】
また例えば、重合体におけるセグメント(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)が例えばポリアルキレングリコール系構造を有するものである場合、使用される分散媒液としては、水、水−アルコール混液、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどの多価アルコール類などが好ましい。
【0162】
このような分散媒液存在下によるカーボンブラックと前記重合体のグラフト化においては、さらに該重合体に該当しないポリマー、重合性単量体等の他の物質を存在させることもできる。
【0163】
この複合化は、例えば、0〜250℃、好ましくは10〜150℃の温度下に、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間混合する、好ましくは攪拌混合することにより行なわれる。混合時の温度が0℃未満の場合には溶剤により液状でなくなる虞れがあり、一方、250℃を越える場合は、セグメント(B)の有する不飽和二重結合が消失したりすることがあり、好ましくない。
【0164】
反応の手順としては、カーボンブラックおよび重合体と、前記分散媒体を反応装置に仕込み、所定の温度条件下に混合すればよい。
【0165】
反応装置としては、通常の攪拌に用いられる攪拌槽や混練に用いられるボールミル、ミキサー、ニーダー等の混練機を用いることができるが、特に望ましくは、被処理流体を内部に収容するためのベッセル、このベッセル内部において回転する攪拌子、ベッセル内部に収容された被処理流体を加熱するための加熱装置、および、ベッセル内部に収容された複数の粒状分散媒体を有してなる湿式分散処理装置である。攪拌子とビーズ等の粒状分散媒体を併用して攪拌ないし解砕を行なう湿式分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置は、公知のものとして数多く知られているが、本発明においては、このような処理装置に、被処理流体を加熱するための加熱装置を付加するという装置構成として用いるものである。このような構成の装置を用いれば、極めて高効率で、かつ十分に小さな粒径を有する(即ち、二次凝集状態から良好に解砕されたカーボンブラックに重合体が複合化する。)カーボンブラック複合ポリマーを得ることができる。
【0166】
このようなグラフト化におけるカーボンブラックと前記重合体との配合割合は、使用される前記重合体の種類、得ようとする製品の用途等に応じて左右されるものであるため、一概には規定できないが、カーボンブラック100重量部に対し、前記重合体1〜1000重量部、より好ましくは2〜500重量部程度とすることが望ましい。すなわち、重合体が1重量部未満であると、カーボンブラックの表面性状を十分に改質することが困難となる虞れがあり、一方1000重量部を越えると、カーボンブラックに結合する重合体の量が多くなり、経済的でないのみならず、本来的に要求されるカーボンブラックの特性を損なう虞れがあるためある。
【0167】
次に第2の態様に係るカーボンブラック複合ポリマーの製造方法について説明する。
【0168】
当該第2の態様に係る製造方法は、上記に詳述した第1の態様に係る製造方法と、カーボンブラックに対する重合体部分のグラフト化と、重合体のセグメント(A)および/またはセグメント(B)への不飽和二重結合等の反応性基(II)の導入工程との順序を逆にした以外は、基本的にはほぼ同様のものである。すなわち、第2の態様に係る製造方法においては、上記したと同様にして、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなるブロック型もしくはグラフト型の前駆体重合体を得た後、この前駆体重合体と、目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、カーボンブラックとを混合分散し、その後カーボンブラックにイオン性相互作用により結合化された前駆体重合体に前記したような反応性基(II)を導入するものである。
【0169】
なお、この場合、該前駆体重合体としては、セグメント(A)にアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有し、かつカーボンブラック表面の官能基とは実質的に反応性を有しない官能基(III)をセグメント(A)および/またはセグメント(B)に有する構造のものとしておき、この前駆体重合体をカーボンブラックに複合化させた後、前駆体重合体の有する官能基(III)と反応し得る反応性基(IV)と目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)をもつ化合物(d)を、前記前駆体重合体が複合化されてなるカーボンブラックに反応させて、前駆体重合体に前記基(II)を導入する方法を採択することが望ましい(なお、前記第1の態様では、官能基(III)は、反応性基(II)の重合体への導入のために、カーボンブラックと重合体とのグラフト化の前に実質的に消費されるものであるゆえ、該官能基(III)は、前記したように、セグメント(A)の有するアミノ基に対してカーボンブラックの表面官能基よりも活性の低いものであることが重要であるが、この第2の態様の場合、カーボンブラックと前駆体重合体とのグラフト化後においても、該官能基(III)が実質的に消費されずに残っている必要があるため、該官能基(III)がカーボンブラック表面の官能基とは実質的に反応性を有しないという点がより重要である。)。
【0170】
例えば、上記した第1の態様の方法の説明において例示したと同様にセグメント(B)にのみ反応性基(II)としての不飽和二重結合基を導入する場合においては、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなるブロック型もしくはグラフト型の前駆体重合体を得た後、この前駆体重合体とカーボンブラックとを混合分散し、その後カーボンブラックに複合化された前駆体重合体に、前記したように化合物(d)などを用いて不飽和二重結合を導入すればよい。
【0171】
この第2の態様における前駆体重合体のカーボンブラックに対する複合化は、上記したように前記第1の態様における場合よりも比較的制限がなく、例えば、0〜100℃、好ましくは0〜50℃の温度下に、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜2時間攪拌混合することにより行い得る。また複合化された前駆体重合体のセグメント(B)への化合物(d)を用いての不飽和二重結合の導入条件も、比較的制限がなく、例えば、10〜100℃で0.5〜5時間といったものとすることができる。これら以外の点については、前記第1の態様におけるものとほぼ同様であるため説明を省略する。
【0172】
次に第3の態様に係るカーボンブラック複合ポリマーの製造方法について説明する。
【0173】
当該第3の態様に係る製造方法は、上記に詳述した第1の態様に係る製造方法と、基本的にはほぼ同様のものであるが、前記したようなグラフトもしくはブロック型重合体における、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)を、目的媒体に対し親和性の高いセグメント(B)よりもカーボンブラックに対する親和性の高いものとして分子設計したものを用い、カーボンブラックにグラフト化させるものである。
【0174】
従って、グラフト化反応系において、比較的任意(セグメント(A)の方に極端に高い親和性を示す分散媒液以外)の分散媒体の下、あるいはこのような分散媒体を不在下においても、この重合体のセグメント(A)がカーボンブラック側に配向するため、当該セグメント(A)に存在する反応性基(I)がカーボンブラック表面により有効に複合化され、上記第1発明の場合と同様に優れた特性を有するカーボンブラック複合ポリマーが得られるものである。
【0175】
用いられるグラフトもしくはブロック型重合体におけるアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有する(A)セグメントは、そのセグメント鎖構造上でカーボンブラックに対し親和性の高いものとする必要がある。なお、ここでいう高い親和性とは、あくまで他方の(B)セグメントとの対比による相対的なものであるため、(B)セグメントの構成いかんによって、(A)セグメントは各種の構成とすることができ、一概には特定できない。しかしながら、前記(A)セグメントは、その主鎖が炭素−炭素結合を主とするもの、より好ましくは、例えばベンゼン環、ナフタレン環、インデン環などのような芳香環を主鎖に含むもので、かつ前記したような反応性基(I)を分子内に有するものとし、一方、前記(B)セグメントは、(A)セグメントよりも炭素−炭素結合の少ない、特に芳香環の少ない骨格構造、例えばポリシロキサン構造、あるいはエーテル結合、エステル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を多く含むものとすることが望ましい。
【0176】
ただ、(A)セグメントが実質的に高度の縮合多環構造のみで構成されてしまうと(A)セグメントの剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブラックへのグラフト時にカーボンブラック表面への(A)セグメントの近接が困難な虞れがあるために、適度な線状構造を有することが望ましい。
【0177】
上記したように、(A)セグメントの鎖構造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面から選択される(B)セグメントの鎖構造、例えば、前記したように、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造などを有する重合鎖に応じて決定され、これよりもカーボンブラックに対し親和性の高いものとされればよく、特に限定されるものではないが、一般には、ビニル系ポリマー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分を50モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含みかつ反応性性基を有するビニル系ポリマーであることが、望ましく、さらに経済性等を考慮すると特に、スチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とする単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成分を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上記反応性基を有する)重合鎖である。なお、セグメント(B)がポリシロキサン系重合鎖などである場合、前記セグメント(A)として使用可能な重合鎖の種類は比較的多いが、セグメント(B)が、例えば、ポリ(メタ)アクリル系構造などのビニル系構造となると、前記セグメント(A)を構成できる重合鎖としては、かなり限定され、ポリスチレン系構造、(メタ)アクリル−スチレン共重合系構造などのみとなる。
【0178】
第3の態様に係る製造方法において、カーボンブラックと上記重合体とのグラフト化は、これらの成分を、上記重合体のセグメント(A)の方に極端に高い親和性を示さない限り、任意の分散媒液の存在下に、あるいはこのような分散媒液を存在させずに攪拌混合、あるいは溶融混練することで行なわれる。
【0179】
使用可能な分散媒液としては、当該重合体のセグメント(A)の構成によっても左右されるが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分水添されたトリフェニル等の炭化水素;ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイル;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロビフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素;ダイフロイル(ダイキン工業株式会社製)、デムナム(ダイキン工業株式会社製)の等のフッ化物;安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクチル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等のエステル化合物等を挙げることができる。
【0180】
複合化処理時におけるその他の条件については、上記第1の態様の場合と同様であり、また得られるカーボンブラック複合ポリマーの特性等も同様である。
【0181】
また本発明の第4の態様に係る製造方法は、前記第2の態様におけると同様に、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなるブロック型もしくはグラフト型の前駆体重合体を得た後、この前駆体重合体とカーボンブラックとを混合分散し、その後カーボンブラックに複合化された前駆体重合体に、不飽和二重結合等の反応性基(II)を導入するものであり、かつ前記第3の態様におけると同様に、ブロック型もしくはグラフト型の重合体(前駆体重合体)におけるアミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)を、セグメント(B)よりもカーボンブラックに対する親和性の高いものとして分子設計したものを用い、カーボンブラックに複合化させるものである。なお、この第4の態様に係る方法における各種条件としては、前記第3の態様に係る製造方法における条件とほぼ同様のものであるが、前記第2の態様に係る製造方法における場合と同様に、複合化時および不飽和二重結合等の官能基(II)導入時の反応温度条件としては、第3の態様に係る製造方法におけるものと比較して比較的広範なものとすることができる。
【0182】
以上、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーに関し、グラフトもしくはブロック型重合体のセグメント(A)がアミノ基、アミド基および/またはニトリル基をもち、セグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)として不飽和二重結合基を有する場合を中心として本発明を説明してきたが、それ以外の例について述べる。
【0183】
例えば、基(II)が、カルボキシル基の場合、予めカーボンブラック表面のカルボキシル基とイオン性相互作用による結合を生じせしめるための、アミノ基を持つ重合体中にカルボキシル基を導入することは、ゲル化反応など生起してしまう困難がある。
【0184】
したがってa)予め水酸基等を基(III)として導入しておいた重合体とカーボンブラックとを反応せしめた後に酸無水物等を付加せしめ、グラフト化した重合体鎖中の前記水酸基と酸無水物とのハーフエステル化反応により、カルボキシル基を導入する方法や、b)保護基でブロックされたものを基(IV)として導入しておいた重合体とカーボンブラックとを反応せしめた後に、保護基を除去し、カルボキシル基を導入する方法が好適である。
【0185】
a)の方法において用いられる酸無水物としては無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリメリット酸等の二塩基酸無水物、脂肪族あるいは芳香族四カルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物等が挙げられこれらの1種または2種以上を使用することができる。
【0186】
酸無水物の使用量は、カーボンブラックに複合化させた重合体中の水酸基1化学当量あたり、0.1〜1.1化学当量が適しており、反応条件は希釈剤の存在下あるいは非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下あるいは非存在下で50〜130℃で反応させることができる。この水酸基と酸無水物のハーフエステル化反応に際し、一般的な文献、例えば新実験化学講座14,「有機化合物の合成と反応(II)」、丸善株式会社発行、昭和52年12月20日発行、第1014頁に記載されている様な触媒を用いることができる。触媒としては酸触媒、塩基性触媒、金属無機塩等が挙げられる。酸触媒としては、硫酸、p−トルエンスルホン酸等またはこれらの併用系が挙げられる。塩基性触媒としては、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルウラリルアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルプロピレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N´−メチルピペラジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)等またはこれらの併用系が挙げられる。金属無機塩としては、例えばリチウム、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム、スズ、亜鉛、鉛等の金属の塩化物や酢酸ナトリウム等またはこれらの併用系が挙げられる。
【0187】
一方、b)の方法におけるカルボキシル基に対する保護基としては、各種のものが知られているが、例えば、テトラヒドロピラニル基などを用いることが可能である。保護基の除去の後、アクリル酸またはメタクリル酸を生じるブロックされたモノマーの例としては、トリメチルシリルメタクリレート、トリメチルシリルアクリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレート、t−ブチルメタクリレートおよび2−テトラヒドロピラニルメタクリレートなどが例示できる。
【0188】
また基(II)が、水酸基である場合は、セグメント(A)ないしセグメント(B)を構成するモノマーとして、例えば、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシ2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシ2−エチルヘキシル等のアクリル酸あるいはメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系モノマー;ヒドロキシアクリルアミド、ヒドロキシメタクリルアミド等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等を少なくともその一部に用いることで重合体に当該水酸基を導入することが可能である。
【0189】
また基(II)が、アルコキシシリル基である場合は、例えば、セグメント(A)を構成するモノマーとして、以下に示すような一般式で表わされるようなものを少なくともその一部に用いることで重合体にアルコキシシリル基を導入することが可能である。
【0190】
【化19】
【0191】
【化20】
【0192】
【化21】
【0193】
(但し、上記式中、R1は水素原子またはC1〜C5の置換されていても良いアルキル基、R2は水素原子またはメチル基、R3は二価の有機基、R4は水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基から選ばれてなる置換されていても良い基であり、l、m、nは互いに独立に0または1であり、1分子中の複数のR1は互いに同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式で示されるアルコキシシリル基含有モノマーの具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシラン、ビニロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキシシラン等がある。
【0194】
なお、セグメント(B)にアルコキシシラン基を導入する場合には、例えば、前記したようなポリシロキサン系構造を有するラジカル重合性高分子量体(b1)がアルコキシシリル基(保護基によりブロッキングされているものが好ましい。)を用いるといった手法が用いられ得る。
【0195】
また、得ようとするカーボンブラック複合ポリマーが、上記したような目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を実質的に有さない態様においては、得られるカーボンブラック複合ポリマーを分散性させようとする前記目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させれば良い。あるいは、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有し、かつカーボンブラックに対し高い親和性を示すセグメント(A)と、セグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させれば良い。
【0196】
このようにして得られる本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーの平均粒子径は0.001〜0.5μm、特に0.005〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.001μm未満のカーボンブラック複合ポリマーは、原料となるカーボンブラックが容易に得られないため産業上意義が小さい。また平均粒子径が0.5μmを越える場合、十分な分散性が得られないことがある。
【0197】
本発明のカーボンブラック複合ポリマーは、カーボンブラック部分と重合体部分の割合が、前者100重量部に対し後者1〜1000重量部、特に5〜500重量部であることが好ましい。後者が1重量部未満の場合、得られたカーボンブラック複合ポリマー同士が凝集して、目的媒体中で十分な分散性が得られない、さらには電気絶縁性、光重合阻害性が改善されないなどという問題が起こることがある。また後者が1000重量部を越える場合は、必要以上に重合体部分がグラフト化されていることになり、着色性、遮光性などといったカーボンブラック本来の特性を発揮できない虞れがある。
【0198】
上記したような方法で得られたカーボンブラック複合ポリマーは、種々の物質、例えば有機高分子、水、有機溶剤等への分散性が著しく優れており、また一般に電気絶縁性が高くなることに加え、数多くの特性を有することとなる。
【0199】
特に、セグメント(A)および/またはセグメント(B)が不飽和二重結合等の反応性基(II)を有する実施態様においては、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物などといった各種の媒体に添加した場合、カーボンブラック複合ポリマーが、当該媒体の硬化反応に寄与することができるために、カーボンブラック複合ポリマーの添加量を増やしても、短時間で十分な硬化反応が進行し、かつ得られる硬化皮膜ないし硬化物における硬度、カーボンブラックの分散安定性が優れたものとなる。
【0200】
なお、この点について、本発明のカーボンブラック複合ポリマーが、シランカップリング剤に類似する効果を有すると先に説明したが、一般的に知られるシランカップリング剤とは、詳細にはその作用機序が異なるものであることを説明する。
【0201】
すなわち、一般的なシランカップリング剤は、無機質表面の水酸基(M−OH)とシランカップリング剤のSi−OR基(アルコキシシリル基)が加水分解によりオキサン結合(−M−O−Si−)をつくる一方、シランカップリング剤の一方の有機官能基が、有機質(バインダー)と反応を形成し、有機質と無機質の橋かけを行なうものである。ここで、Si−OR基(アルコキシシリル基)は、無機質のゼータ電位が正なるものには反応し易く、カーボンブラックのようなどちらかといえば負に帯電しているものの適用には不利であることや、カーボンブラックのカルボキシル基とアルコキシシリル基とのエステル交換反応は生成系の−COO−Si−なる結合が非常に不安定で実質上、反応は困難をきわめる。
【0202】
さらには、通常のカップリング剤は、比較的低分子量であるがゆえに、本発明の高分子ブロックもしくはグラフト体に比較して、分散系の立体安定効果がないため、経時安定性にも問題があると考えられ、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーを用いる代わりに、カーボンブラックを目的媒体に分散させる際にシランカップリング剤を併用したとしても、同様の効果は期待できないものである。
【0203】
また、本発明のカーボンブラック複合ポリマーにおいて、その複合化されたブロックないしグラフト型重合体におけるセグメント(B)が比較的鎖長の長いもの、例えば、分子量1000以上のものであると、当該カーボンブラック複合体ポリマーが目的とする分散媒体中に配合された場合、分散媒体のマトリックス中において、外方に向かって配向するセグメント(B)がクサビ状の形態で存在しその分散安定性がより向上するものとなるために、上記したような反応性基(II)を有せずとも、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物などといった各種の媒体に添加した場合、その系、条件等によっては、上記したような反応性基(II)を有する場合と比較しても何ら遜色のない、硬化皮膜ないし硬化物における硬度、カーボンブラックの分散安定性が得られる。
【0204】
さらに、例えば、重合体のセグメント(B)が、ポリシロキサン系構造鎖であった場合、撥水性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れていることや、低温脆性がないといった特性が、また(メタ)アクリル系鎖であった場合、種々の(メタ)アクリルエステル単量体成分を導入して、特に幅広い親水性−疎水性が、さらに、ポリアルキレングリコール鎖であった場合、親水性、潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特性が付与される。
【0205】
従って、該カーボンブラック複合ポリマーを従来公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の着色剤、充填剤等として利用することが可能である。熱可塑性樹脂に添加した場合、上記特徴を有するトナー、フィルム、繊維等に使用することができる。また、該カーボンブラック複合ポリマーを熱硬化性樹脂に添加した場合にも同様な特徴を有し、従来カーボンとして問題のあったものの解決を計ることができる。
【0206】
また、本発明のカーボンブラック複合ポリマーの用途としては、被覆組成物がある。被覆組成物に用いるバインダーへ添加して、種々の基体に塗装することにより強固な被膜を形成し得るものが好ましい。このようなバインダー成分は例えば従来より公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または反応性樹脂であって、用途によりこれらの1種または2種以上の混合物が使用される。
【0207】
さらに、例えば、光硬化性樹脂組成物に該カーボンブラック複合ポリマーを添加することにより、黒色光硬化性樹脂組成物を得ることができ、特にカラーフィルターのブラックマトリックス用に好適に使用することができる。
【0208】
本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーは、カーボンブラックの表面官能基と、前記ブロックもしくはグラフト型の重合体成分におけるセグメント(A)のアミノ基とが高いイオン性相互作用を有するために、該重合体成分が高い効率でカーボンブラック表面に複合化されたものである。このため、カーボンブラックの表面に存在するキノン基、フェノール性水酸基などの重合阻害性官能基が被覆され、光硬化性樹脂組成物の光硬化遅延が抑制される。また得られるグラフトカーボンブラックは、前記重合体におけるセグメント(B)が外側に配向するために、種々の物質との親和性が改良されており、各種光硬化性樹脂組成物への分散性が優れており、さらに良好な潤滑性を有するために、光硬化性樹脂組成物へ分散させた際に適度な粘度を発揮することとなる。加えて、前記重合体部分、より好ましくはセグメント(B)に反応性基(II)として不飽和二重結合が存在する場合、光重合ないし光架橋反応にも寄与することとなり、UV塗料、UVインキ、カラーフィルター用光硬化性樹脂組成物などにおける着色剤として好適に使用できるものである。
【0209】
このようなカーボンブラック複合ポリマーを着色剤ないし遮光剤として配合する光硬化性樹脂組成物としては、従来このような分野において用いられる種々の組成と同様のものを用いることができ、光架橋又は光重合可能なモノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーを含有し得る。また光硬化性樹脂組成物は、親油性および/または親水性のいずれであってもよく、前記したカーボンブラック複合ポリマーの合成に用いられたブロックもしくはグラフト型の重合体におけるセグメント(B)の性質を光硬化性樹脂組成物の性質と相応するものとすることにより、カーボンブラックの良好な分散性が得られる。
【0210】
モノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ネオペンチルグリコールメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、β−ヒドロキシアルキルアクリレート、β−ヒドロキシアルキルメタアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、メラミンアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラヒドロキシアクリレート、テトラヒドロキシメタアクリレート、アミノアルキルアクリレート、アミノアルキルメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、1,5−ペンタジオールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタアクリレート、グリセロールアクロキシジメタアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メチルトリグリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアマイド、N−メチロールアクリルアマイド、N−n−ブトキシメチルアクリルアマイド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアマイド及びイタコン酸等のエチレン性不飽和化合物を使用することができる。
【0211】
またオリゴマーないしプレポリマーとしては、例えば、ポリオールの活性水素原子をアクリロイル基またはメタアクリロイル基で置換したポリエステル及び不飽和ポリエステル樹脂、乾性油変性アルキッド樹脂、アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸を共重合成分とするビニル共重合体とグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートのごときエポキシ基を有するアクリル系モノマーとの付加物、エポキシ基を有するアクリル系単量体を共重合成分とするビニル共重合体と不飽和カルボン酸との付加物、トリレンジイソシアナート、ヘキニル共重合体と不飽和カルボン酸との付加物、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート2モルとエチレングリコール1モルとの付加物の如き末端にイソシアナート基を有するアクリル系単量体との付加物などを挙げることができる。
【0212】
また、光硬化性樹脂組成物中には、必要に応じて、光増感剤を添加することも可能である。光増感剤としては、従来公知の各種のもの1種または2種以上組合わせてを用いることができ、例えば、チオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、キサントン、ジメチルキサントン、ベンゾフェノン、アントラセン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ジフェニルジスルフィド、アントラキノン、1−クロルアントラアキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、メチルアントラキノン、1−クロルメチルナフタリン、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、ジベンゾスパロン、1,1−ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
【0213】
また光硬化性樹脂組成物中には、必要に応じて、皮膜形成性成分として上記のような光重合性化合物に相溶性のある有機高分子重合体を配合することが可能であり、このような有機高分子重合体としては、ポリアクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリメタアクリル酸エステルまたはその部分加水物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはハーフエステルなどが挙げられる。また光硬化性を阻害しない範囲内で、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、2−エチルヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコール、モノメチルエーテル等のエーテル類、2−メチルテトラヒドロフラン、フルフラール等のフラン類、クロロホルム、メチルクロロホルム、トリクロルエチレン等のハロゲン化合物類、n−ヘキサン、n−ヘプタンの如き脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、ドデシルニトリル等のニトリル類、二硫化炭素、チオフェン等の硫黄誘導体類などの適当な有機溶剤を添加しても良い。また、光硬化における過反応防止するために必要に応じて、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン等の重合抑制剤を添加することができる。さらに、その他の公知の添加剤、例えば、増粘剤、チクソ性付与剤、レベリング材、消泡剤および密着性付与剤等を添加することも任意である。
【0214】
本発明の黒色光硬化性樹脂組成物は、前記したようなカーボンブラック複合ポリマーを光硬化性樹脂組成物中に配合してなるものであるが、カーボンブラック複合ポリマーの光硬化性樹脂組成物における配合量は、使用される光硬化性樹脂組成物の種類によっても左右されるが、グラフトカーボンブラックが光硬化性樹脂組成物の1〜80重量%、より好ましくは5〜60重量%含まれるものであることが望ましい。すなわち、カーボンブラック複合ポリマーの配合量が1重量%未満であると、黒化度が低下する虞れがあり、一方80重量%を越えるものであると皮膜の強度が低下する虞れがあるためである。
【0215】
また本発明の黒色光硬化性樹脂組成物のうち、例えば、カラーフィルター用等の用途に用いられるものは、アルカリ可溶型のものとする場合もあるが、このような態様においては、アルカリ可溶型樹脂を含有するものであることが望まれる。
【0216】
アルカリ現像可能な光硬化性組成物は、基本的に光重合開始剤と多官能モノマーとアルカリ可溶基を分子中に有するポリマーバインダーからなり、光を照射すると硬化し、アルカリ水溶液に不溶化する。
【0217】
上記したようなカーボンブラック複合ポリマーを含有する、アルカリ現像可能な感光層として用いるのに適したアルカリ可溶型光硬化性組成物に配合され得るバインダーとしては例えば以下のようなものを挙げることができる。
【0218】
スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、スチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸共重合体等のスチレンを含有するアルカリ可溶型樹脂;
ベンジルアクリレート/アクリル酸共重合体、ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等のアクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物から導かれた繰返し単位、ならびに(B)ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレートおよび3−フェニルプロピルメタクリレートならなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物から導かれた繰返し単位を有するアルカリ可溶型樹脂;
メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/(メタ)アクリル酸三元共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸四元共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸の三元共重合体等のメタクリル酸メチルを含有するアルカリ可溶型樹脂;アクリロニトリル/メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸の3元共重合体等のアクリロニトリルを含有するアルカリ可溶型樹脂;
スチレン/マレイン酸モノ−n−ブチルエステル共重合体、スチレン/マレイン酸無水物共重合体の一部ハーフエステル化した重合体等のマレイン酸無水物のハーフエステル化したアルカリ可溶型樹脂;
その他これらを組合せたものを当該光硬化性組成物に添加することができる。
【0219】
本発明の黒色光硬化性樹脂組成物は、ガラス板、プラスチックシートないしフィルム、紙、合成紙、シリコンウェハなどの各種基材上に、バーコーター、スピンコーター、ロールコーター、スプレー塗装、デッピング、グラビア印刷、スクリーン印刷等の塗布方法によって塗布した後、紫外線を10〜5000mJ照射し、硬化させることによって黒色皮膜を形成することができる。
【0220】
さらに本発明の黒色光硬化性樹脂組成物を用いてカラーフィルターにおけるブラックマトリックスを形成する場合には、例えば次のようにして行なわれる。
【0221】
該黒色光硬化性樹脂組成物をスピンコーター等によりガラス板等の基板に塗布し、次いでこの塗膜を熱風乾燥器、ホットプレートなどにより、150℃以下、特に80〜120℃で、1〜60分間程度乾燥(プレベーク)する。なお、これにより得られる黒色光硬化性樹脂組成物の皮膜は、通常、約1.0〜3.0μm程度であることが好ましい。その後、この黒色光硬化性樹脂組成物の皮膜に、ドットパターン、ストライプパターン等の所定形状のマスクを密着し、該マスクを通して、例えば高圧水銀灯などの紫外光源より平行光線を50〜1000mJ照射してパターン露光した後、現像し、ブラックマトリックスなどのパターンを形成する。
【0222】
パターン露光された皮膜の現像は、該皮膜を適当な現像液に約0〜100℃の温度下に浸漬するなどして、該皮膜の未硬化部分を溶出し、除去することによって行なわれる。現像後、形成された着色画素を、適当な洗浄液でリンスし、次いで、熱風乾燥器、ホットプレートなどにより、約100〜300℃で、1〜120分間程度熱処理(アフターベーク)し、着色画素を完全硬化させることが望ましい。
【0223】
なお、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーが、前記したように反応性基(II)として不飽和二重結合を有するものである場合、露光時において、皮膜を形成する樹脂マトリックスに、当該不飽和二重結合の作用により生成する架橋ないし重合鎖を介して結合していくことができる。このため、その後、上記のようなアフターベークを行なっても、皮膜中に存在するカーボンブラックの分散状態は安定に保持され、アフターベークを行なうことで電気抵抗率が低下するという不具合は見られない。
【0224】
本発明に係る黒色光硬化性樹脂組成物を用いて、カラーフィルターにおけるブラックマトリックスを形成するに際しては、基板上に先にブラックマトリックスを形成し、その後、赤、緑、青色各色の着色パターンを形成する方法、あるいは、基板上に先に赤、緑、青色各色の着色パターンを形成し、その後、ブラックマトリックスを形成する方法のいずれでも可能である。
【0225】
また、本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーは、カーボンブラックがミクロ分散しており、着色剤として種々の用途に好適であり、液相に分散させたもの、すなわち、油性筆記用、情報記録用あるいは印刷用の分散安定性のよい着色力に優れたインキとして該カーボンブラック分散液をそのままであるいは適宜必要な成分を追加して使用することができる。
【0226】
また、本発明のカーボンブラック複合ポリマー分散液は、メッキ、感熱転写インキ、塗料等に使用することができる。また、上記特徴を有しているために、感熱転写用インクリボンコート剤、磁気記録媒体等にも使用することができる。 更には、抵抗を調節した形での用途として例えば、電気抵抗調整剤、帯電防止剤、半導体デバイス用封止剤、面状発熱体等がある。
【0227】
電気抵抗調整剤としては、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ装置等の電子写真機器における帯電ロールのロール基材表面に形成される導電層の形成に用いることが可能であり、本発明に係るカーボンブラック分散液を適当なバインダー溶液中に配合し、これをロール基材表面に塗布し被膜形成すれば良い。
【0228】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0229】
合成例1
片末端メタクロイル基を有する(メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート)マクロモノマー(東亜合成化学工業(株)製、AA714 Poly(MMA/HEMA)、MMA:HEMA=86:14)を75部、スチレンを15部、ジメチルアミノエチルメタクリレートを10部、および開始剤としてアゾイソブチロニトリル3部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤(以下、PGM−Acと略記する。)150部に溶解させた。
【0230】
撹拌羽根、不活性ガス導入管、還流冷却管、温度計および滴下漏斗を備え付けたセパラブルフラスコに、上記した単量体組成物を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行い、さらに110℃で2時間加熱して重合熟成を行った後に冷却し不揮発分40%の3級アミノ基を有する重合体(1)を得た。
【0231】
次いで、温度計、撹拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−8)30部、上記重合体(1)溶液22.5部、PGM−Ac97.5部をそれぞれ仕込み、カーボンブラックを馴染ませた。続いて、ジルコニア製ビーズ750部をフラスコ内に仕込み、回転数750rpmで分散化処理した。その後、PGM−Ac50部を加えてジルコニア製ビーズを分離し、カーボンブラック分散体(1)を得た。
【0232】
合成例2
合成例1で得られた重合体(1)に対し、メタクロイルイソシアネート(分子量111.1)8.9部を30分間に渡り室温(25℃±5℃)にて滴下の後、1時間撹拌を続けて、不揮発分43.6%の二重結合を有する重合体(2)溶液を得た。
【0233】
次いで、温度計、撹拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−8)30部、上記重合体(2)溶液20.6部、PGM−Ac108.4部をそれぞれ仕込み、カーボンブラックを馴染ませた。続いて、続いてジルコニア製ビーズ750部をフラスコ内に仕込み、回転数750rpmで分散化処理した。その後、PGM−Ac50部を加えてジルコニア製ビーズを分離し、二重結合を有するカーボンブラック分散体(2)を得た。
【0234】
比較合成例1
メチルメタクリレート64.5部、ヒドロキシエチルメタクリレート10.5部、スチレン15部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10部および開始剤としてアゾイソブチロニトリル3部、溶剤としてPGM−Ac150部を、合成例1で用いたものと同様のセパラブルフラスコに仕込み、4時間重合反応を行い、さらに110℃で2時間加熱して重合熟成を行った後、不揮発分40%の3級アミノ基を有する比較用重合体(C1)を得た。
【0235】
次いで合成例1と同様のセパラブルフラスコに、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−8)30部、上記比較用重合体(C1)を22.5部、PGM−Ac97.5部をそれぞれ仕込み、カーボンブラックを馴染ませた。続いて、ジルコニア製ビーズ750部をフラスコ内に仕込み、回転数750rpmで分散化処理した。その後、PGM−Ac50部を加えてジルコニア製ビーズを分離し、比較用カーボンブラック分散体(C1)を得た。
【0236】
実施例1
上記合成例1で得られたカーボンブラック分散体(1)50部にバインダーとしてジョンクリル68(ジョンソンポリマー(株)製21.25部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート62.5部、光開始剤としてイルガキュア907(チバガイギー社製)9.38部を加え均一分散して黒色光硬化性組成物(1)を得た。
【0237】
黒色光硬化性組成物(1)を、乾燥膜厚が0.5μmとなるようにスピナーで塗布し、100℃にて1分間ホットプレート上でプレベークした。得られた皮膜を高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線露光を行ない、硬化させた。そして紫外線露光後の表面抵抗値の測定を行なった。その後、200℃でオーブン上でアフターベークを行ない、経過時間と共に表面抵抗値の変化を調べた。得られた結果を表1に示す。なお、表面抵抗値測定は、表面抵抗測定装置ハイレスタIP/MCP−HT260型にて測定した。
【0238】
実施例2
実施例1において、カーボンブラック分散体(1)の代わりにカーボンブラック分散体(2)を用いる以外は、実施例1と全く同様の操作を繰返し、黒色光硬化性組成物(2)を得、さらに同様の方法にて表面抵抗値の変化を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0239】
比較例1
実施例1において、カーボンブラック分散体(1)の代わりに比較用カーボンブラック分散体(C1)を用いる以外は、実施例1と全く同様の操作を繰返し、比較用黒色光硬化性組成物(C1)を得、さらに同様の方法にて表面抵抗値の変化を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0240】
【表1】
【0241】
表1に示すように、用いられたカーボンブラック分散体における重合体がアミノ基を有するブロック型のもの、および二重結合を有しているものにおいては、加熱によって抵抗値が低下することなく優れた皮膜となることがわかった。
【0242】
合成例3
合成例1においてカーボンブラック30部、上記重合体(1)溶液22.5部、PGM−Ac97.5部とあるのを、カーボンブラック30部、上記重合体(1)溶液30部、PGM−Ac90部とした以外は、合成例1と全く同一の操作を行い、カーボンブラック分散体(3)を得た。
【0243】
実施例3
アロセット5271(日本触媒(株)製、アクリルバインダー溶液、不揮発分50%)182部に対して、カーボンブラック分散体(1)200部(カーボンブラック30部、ポリマー分9部)から成る黒色樹脂液(1)、およびアロセット5271(日本触媒(株)製、アクリルバインダー溶液、不揮発分50%)176部に対して、カーボンブラック分散体(3)200部(カーボンブラック30部、ポリマー分12部)から成る黒色樹脂液(3)を調製した。
【0244】
アプリケーターを用いガラス基板に、各黒色樹脂液を塗布して黒色膜を形成させ、溶剤を揮発させた後、表面抵抗値を測定した。その結果、同一カーボンブラック含有率30PHRにおいて、黒色樹脂液(1)から形成された塗膜は107Ω/□のオーダーであり、黒色樹脂液(3)から形成された塗膜は108Ω/□のオーダーが示された。
【0245】
合成例4
合成例1で用いたマクロモノマー(東亜合成化学工業(株)製、AA714)50部、スチレン15部、ジメチルアミノエチルアクリレート5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、および開始剤としてアゾイソブチロニトリル3部をPGM−Ac150部に溶解させた。
【0246】
合成例1と同様のセパラブルフラスコに上記単量体組成物を仕込み、80℃で4時間重合反応させ、更に110℃で2時間重合熟成を行い、揮発分40%の3級アミノ基を有する重合体(2)を得た。
【0247】
次いで合成例1と同様、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−8)20部、上記重合体(2)溶液22.5部、PGM−Ac97.5部をそれぞれ仕込み、カーボンブラックを馴染ませた。続いて、続いてジルコニア製ビーズ750部をフラスコ内に仕込み、回転数750rpmで分散化処理した。その後、PGM−Ac50部を加えてジルコニア製ビーズを分離し、カーボンブラック分散体(4)を得た。
【0248】
合成例5
合成例4で得られたカーボンブラック分散体(4)150部に対し、無水トリメリット酸(分子量192.13)3.59部を溶解させた。
【0249】
次いで、温度計、撹拌羽根、冷却管、滴下漏斗を備え付けたセパラブルフラスコに、上記分散液を仕込み、滴下漏斗に1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]0.09部を仕込み、30分間にわたり添加し、80℃の温度にて1時間反応を行い、カルボキシル基を含有したカーボンブラック分散体(5)を得た。
【0250】
実施例4および5
合成例(4)および(5)で得られたカーボンブラック分散体(4)、(5)に対し、光硬化性モノマーとして、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、バインダーとしてアルカリ可溶型スチレン−アクリル樹脂(ジョンクリル68、ジョンソンポリマー(株)製)をそれぞれ表2に示す配合割合で加え、アルカリ可溶性光硬化性組成物(4)、(5)を得た。
【0251】
この溶液をガラス基板上に乾燥膜厚が1μmとなるようにスピナーで塗布し、100℃で1分間プレベークした。得られた乾燥塗膜を0.5%NaOH水溶液を用いて現像を行い、残存する膜を目視で評価したところ、COOH基を持つカーボンブラック複合体ポリマー含有分散液であるカーボンブラック分散体(5)により調製した光硬化性組成物(5)は、ガラス基板上に残らずクリアな面がでたのに対し、光硬化性組成物(4)では、黒い残渣がガラス基板上にわずかにのこった。
【0252】
【表2】
【0253】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)及び前記セグメント(A)と異なる構造のセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させて得られるカーボンブラック複合ポリマーであるから、高いカーボンブラック含有率を有する一方で各種媒体への分散性に優れたものである。
【0254】
しかもカーボンブラックと重合体部分との複合化がアミノ基、アミド基および/またはニトリル基とカーボンブラック表面の官能基とのイオン性相互作用による結合によってなされるものであるため、共有結合を介してグラフト化する場合と比較して製造上での安全性の問題、反応条件の制限等が少なく、工業的により有利なものである。
【0255】
さらに、前記セグメント(A)および/または(B)が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有するものであると、より優れた分散安定性が得られるものとなり、加えて、各種光ないし熱硬化性樹脂組成物に添加した場合において、当該樹脂組成物の硬化に寄与することができ、高添加量としても高強度皮膜を容易に形成でき、遮光性、黒化度に優れた皮膜を得ることができ、さらに、電気絶縁性等の諸物性にも優れたものである。このため、前記したような光ないし熱硬化性樹脂組成物をはじめとして各種媒体に、着色剤、充填剤、遮光剤などの用途として好適に添加できるものであり、特に、カラーフィルターのブラックマトリックス形成用材料に用いられる光硬化性樹脂組成物に好ましく添加され得るものである。さらに、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)が必ずしもマトリックスと反応することで、得られる物性を向上させるものにとどまらず、例えば、カラーフィルター用樹脂ブラックマトリックスの用途に用いられる態様においては、マトリックスと反応性を有する基としてのCOOH基がアルカリ現像性を向上させるというように、その使用態様によっては付加的な効果が得られる場合もある。
【0256】
また本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーを添加してなる光硬化性樹脂組成物により形成された皮膜は、十分に薄い膜厚にて、高い遮光性を発揮でき、かつ高い皮膜強度と高電気抵抗性を発揮できることから、特にカラーフィルターのブラックマトリックスの形成に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカーボンブラック複合ポリマーの一製造方法におけるカーボンブラック表面近傍における状態を模式的に示す図である。
【図2】 (a)〜(e)は、本発明において用いられるブロックもしくはグラフト型重合体の各種構造例を模式的に示す図であり、また(f)は、これらの各種のブロックもしくはグラフト型の重合体がカーボンブラック粒子(CB)表面へ結合した状態を模式的に示す図である。
Claims (18)
- アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)及び前記セグメント(A)と異なる構造のセグメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させて得られるカーボンブラック複合ポリマー。
- 前記セグメント(A)および/または(B)が、該カーボンブラック複合ポリマーを配合する目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有することを特徴とする請求項1に記載のカーボンブラック複合ポリマー。
- 前記基(II)が、不飽和二重結合基、カルボキシル基およびアルコキシシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のものであることを特徴とする請求項2に記載のカーボンブラック複合ポリマー。
- 前記セグメント(B)が、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリロニトリル構造、ポリエステル構造、ポリアルキレン構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造及びフッ素系樹脂構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のものを有するものである請求項1〜3のいずれか1つに記載のカーボンブラック複合ポリマー。
- 前記セグメント(A)が、アミノアルキル(メタ)アクリレートを0.5モル%以上含むビニル系単量体組成物の重合により得られたものである請求項1〜4のいずれか1つに記載のカーボンブラック複合ポリマー。
- 目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- 目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/またはセグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を含んでなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とする反応性カーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- a)目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体と、予めカーボンブラックとを混合分散し、次いでb)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体に、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- a)目的媒体若しくはこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下で、アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有し、かつカーボンブラック表面の官能基とは実質的に反応性を有しない官能基(III)を有する前駆体重合体と、予めカーボンブラックとを混合分散し、次いで、b)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体の有する官能基(III)と反応し得る反応性基(IV)と目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)をもつ化合物(d)を、前記a)で得られたカーボンブラックに反応させて、前駆体重合体に前記基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/またはセグメント(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を含んでなるブロックもしくはグラフト型の重合体と、カーボンブラックとを混合分散させることを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- a)アミノ基、アミド基および/またはニトリル基を有するセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低いセグメント(B)とを有するブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体と、カーボンブラックとを混合分散し、次いで、b)前記ブロックもしくはグラフト型の前駆体重合体に、目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を導入することを特徴とするカーボンブラック複合ポリマーの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを熱硬化性樹脂組成物に配合してなることを特徴とする黒色熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを光硬化性樹脂組成物に配合してなることを特徴とする黒色光硬化性樹脂組成物。
- 前記カーボンブラック複合ポリマーの前記セグメント(B)の分子量が500以上である請求項15に記載の黒色光硬化性樹脂組成物。
- 前記光硬化性樹脂組成物中にアルカリ可溶型樹脂を配合してなることを特徴とする請求項14または15に記載の黒色光硬化性樹脂組成物。
- 請求項14〜16のいずれか1つに記載の黒色光硬化性樹脂組成物により形成されたことを特徴とするカラーフィルター用ブラックマトリックス。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンブラック複合ポリマーを含有してなる抵抗調整剤。
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