JP3251869B2 - 反応性カーボンブラックグラフトポリマー、その製造方法および用途 - Google Patents

反応性カーボンブラックグラフトポリマー、その製造方法および用途

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JP3251869B2
JP3251869B2 JP29211596A JP29211596A JP3251869B2 JP 3251869 B2 JP3251869 B2 JP 3251869B2 JP 29211596 A JP29211596 A JP 29211596A JP 29211596 A JP29211596 A JP 29211596A JP 3251869 B2 JP3251869 B2 JP 3251869B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性カーボンブ
ラックグラフトポリマーの製造方法、これにより得られ
る反応性カーボンブラックグラフトポリマーおよびその
用途、並びにカーボンブラック含有樹脂組成物の製造方
法に関する。さらに詳しくは、カーボンブラックにブロ
ックないしグラフト型の重合体をグラフト化させること
及びバインダー等の目的媒体のマトリックスと反応し得
ることを特徴とする新規なカーボンブラックグラフトポ
リマーの製造技術に関する。本発明のカーボンブラック
グラフトポリマーは、樹脂組成物、被覆組成物、イン
キ、感熱転写インク、感熱転写用インクリボンコート
剤、磁気記録媒体用バックコート剤、静電荷現像用トナ
ー、塗料、高抵抗かつ遮光性を必要とする材料、液晶用
カラーフィルターのブラックマトリクス、人工大理石、
プラスチックないしゴム成形材料等の着色剤、ポリオレ
フィンやポリエステル等のプラスチックないしゴムの改
質剤ないし充填剤や抵抗調整剤、面状発熱体、潤滑剤、
トラクションドライブ流体、電気粘性流体や非線形光学
材料などへ用いることができ、特に種々の熱硬化性・光
硬化性組成物には有用に用い得る。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックは、着色性、導電性、
耐候性、耐薬品性等に優れるため、例えばプラスチック
やエラストマーの補強剤や充填剤等種々の目的で幅広く
使用されている。しかしながら、カーボンブラックは、
その形状が粉状または粒状のため、単独で使用されてい
ることが少なく、通常、ゴムや樹脂等の固状の基材また
は水や溶剤等の液体に均一に分散されてその特性を発揮
する。しかし、カーボンブラックは、粒子間の凝集力に
比べて他の物質、例えば有機高分子、水および有機溶剤
等との親和性が弱いために、通常の混合または分散条件
では、均一に混合または分散することが極めて困難であ
った。この問題を解決するために、カーボンブラッック
表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固状または
液状の基材との親和性を高めることにより、カーボンブ
ラックの分散性を改良する検討が数多くなされている。
【0003】重合性単量体をカーボンブラック共存下に
重合させることにより得られるカーボンブラックグラフ
トポリマーは、重合性単量体の種類を適当に選択するこ
とにより、親水性および/または親油性を適宜変えるこ
とができるため注目されている(例えば、特公昭42−
22047号、特公昭44−3826号、特公昭45−
17248号、特公昭46−26970号)。しかしな
がら、これらの方法で得られるカーボンブラックグラフ
トポリマーの収率は数%〜10数%と低く、大半はビニ
ル系ホモポリマーの形で存在し、カーボンブラックの表
面処理効率は極めて低いものであった。このため、他の
物質との親和性は期待した程には改良されず、混合また
は分散条件によって分散状態が異なる場合が多々あっ
た。
【0004】この問題点を解決するために、エポキシ基
やアジリジン基などの反応性基を分子内に有する重合体
をカーボンブラックと反応させて得られるカーボンブラ
ックグラフトポリマーが提案されており(特公平2−2
4868号、特公平6−27269号)、このカーボン
ブラックグラフトポリマーは各種の物質への分散性が改
良されたものであった。
【0005】しかしながら、このカーボンブラックグラ
フトポリマーは、該重合体がカーボンブラックとの反応
性を有する官能基を有するもののその重合鎖が、親油性
あるいは親水性のいずれかの特性しか有しないものであ
ったため、カーボンブラックに対するグラフト効率とい
う面と、当該グラフト化された重合鎖によって付与しよ
うとする各種目的媒体への分散性向上という面の多くの
場合において相反する要求の双方を十分に満足すること
が困難であった。
【0006】それゆえ、該カーボンブラックグラフト
ポリマー中のカーボン含有量を大きくできない、極性
の高い媒体、例えばアルコール、セロソルブ系溶剤等、
あるいは極性の低い媒体、例えば炭化水素系溶剤やシリ
コーン系溶剤等には十分な分散性を付与できない、有
機溶剤中でのグラフト化が難しいなどといった問題点を
有していた。そのため、このカーボンブラックグラフト
ポリマーは、液晶カラーフィルター用のブラックマト
リクスなどのカーボンブラック含有量が大きいことが望
まれる用途には用いることができない、電気粘性流
体、半導体デバイス用封止剤などの電気絶縁性が大きい
ことが望まれる用途には用いることができないといっ
た、用途的な制約を受けるものであった。
【0007】さらには、従来のカーボンブラック分散
体、例えば、カーボンブラックマスターバッチでは、バ
インダーとは単なる相溶性のみで分散しているがために
最終製品が熱的に不安定であることや高充填では強度不
足の問題があった。
【0008】カラー液晶表示装置等に用いられるカラー
フィルターは、少なくとも2種異常の色層に着色された
微細な領域を画素として有するものであるが、この画素
間における光を遮断し、表示された画像のコントラスト
を向上させるために、従来、ブラックマトリックスが形
成されている。
【0009】このようなブラックマトリックスは、通常
ガラス基板上に微細なパターンからなるCr、Ni、A
l等の金属薄膜で構成されており、蒸着法、スパッタ
法、真空成膜法などにより基板上に堆積した金属薄膜を
フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングするこ
とにより形成されている。
【0010】しかしながら、このようにして製造された
ブラックマトリックスはその工程の煩雑さから製造コス
トが高いためこれを用いるカラーフィルター自体のコス
トも高くなってしまうという問題が生じている。
【0011】さらに透過型ディスプレイにこのCr等の
金属薄膜を用いたブラックマトリックスを有するカラー
フィルターを搭載した場合、金属表面の反射率が高いた
め強い外光がフィルターに当った際に、反射光が強く表
示品質を著しく低下させるという問題も生じている。
【0012】一方、上記のような金属薄膜を用いたブラ
ックマトリックスの問題点を解決するために、着色剤を
含有する樹脂組成物によりブラックマトリックスを形成
する方法が種々提唱されている。
【0013】例えば、特開平2−239204号公報に
は、ポリイミド系樹脂にカーボンブラック等の遮光材を
分散しこれを用いてブラックマトリックスを形成する方
法が提案されている。この方法によれば、外光反射が少
なく、かつ基材のポリイミド系樹脂の耐熱性が高いため
信頼性の高いものが得られるが、この方法は遮光材を含
むポリイミド系樹脂組成物を基材に塗布、乾燥したのち
に、さらにフォトレジストを塗布し、パターニング、エ
ッチング、レジスト剥離という工程を経るものであり工
程の簡略化、コスト低減の面で不十分であった。
【0014】またカーボンブラック等の黒色顔料を光硬
化性樹脂組成物中に配合し、この光硬化性樹脂組成物を
基材に塗布、乾燥したのちに、所定パターンのマスクを
密着させ、露光、現像して所定パターンのブラックマト
リックスを形成しようとする試みもなされている。
【0015】しかしながら、ブラックマトリックスとし
て十分な遮光性を得るために、カーボンブラックの配合
量を増加すると、光硬化性樹脂の硬化に必要な例えば4
00nm前後の紫外域の光の透過率が非常に低下するた
め、光硬化を行なうことが極めて困難となるものであ
り、さらにカーボンブラックが紫外線により光重合開始
剤から発生したラジカルを捕捉してしまうため、光重合
を阻害し、経済的な露光量での十分が画素形成が困難で
あった。またカーボンブラックの添加量が増えると、得
られる皮膜が導電性となってしまい、液晶ディスプレー
等のブラックマトリックスとしてはもはや使用できない
ものとなってしまう。加えて、カーボンブラックは粒子
間の凝集力に比べて他の物質、例えば有機高分子、水お
よび有機溶剤等との親和性が弱いために、上記のような
光硬化樹脂組成物中においても均一に混合または分散す
ることが極めて困難であり、安定かつ均一な黒色層を得
ることも困難であった。
【0016】特開平4−63870号公報においては、
光硬化性樹脂組成物に添加する着色剤として、カーボン
ブラックと共に、組合せにより黒色を呈する異なる色の
一組の有機顔料を使用し、所定の遮光性を得る上でのカ
ーボンブラック添加量の増加を抑制し、これにより光硬
化に必要とされる紫外域の光の透過率の低下を抑え、か
つ皮膜の絶縁性を維持しようとすることが提案されてい
る。
【0017】しかしながら、このように有機顔料を併用
すると、カーボンブラックのみを用いた場合と比較して
可視領域における光透過性も高くなってしまい、低膜厚
にて十分な遮光性を有するブラックマトリックスを形成
することが困難であり、かつ前記したようなカーボンブ
ラックの分散性の問題、カーボンブラックによるラジカ
ル捕捉による光硬化阻害の問題については何ら解決され
ないものであった。
【0018】ところで、カーボンブラックの分散性を改
良することに関し、カーボンブラック表面を各種の界面
活性剤や樹脂で被覆して、固状または液状の基材との親
和性を高める検討は、このような光硬化性樹脂組成物へ
の適用に限られず、従来より数多くなされている。
【0019】例えば、(1)重合性単量体をカーボンブ
ラック共存下に重合させることにより得られるカーボン
ブラックグラフトポリマーは、重合性単量体の種類を適
当に選択することにより、親水性および/または親油性
を適宜変えることができるため注目されている(例え
ば、特公昭42−22047号、特公昭44−3826
号、特公昭45−17248号、特公昭46−2697
0号)。
【0020】また、(2)エポキシ基やアジリジン基な
どの反応性基を分子内に有する重合体をカーボンブラッ
クと反応させて得られるカーボンブラックグラフトポリ
マーも提案されている(特公平2−24868号、特公
平6−27269号)。
【0021】しかしながら、上記(1)の方法で得られ
るカーボンブラックグラフトポリマーの収率は数%〜1
0数%と低く、大半はビニル系ホモポリマーの形で存在
し、カーボンブラックの表面処理効率は極めて低いもの
であった。このため、他の物質との親和性は期待した程
には改良されず、混合または分散条件によって分散状態
が異なる場合が多々あった。
【0022】また上記(2)のカーボンブラックグラフ
トポリマーは各種の物質への分散性がかなり改良された
ものであったが、このカーボンブラックグラフトポリマ
ーは、該重合体がカーボンブラックとの反応性を有する
官能基を有するもののその重合鎖が、親油性あるいは親
水性のいずれかの特性しか有しないものであったため、
カーボンブラックに対するグラフト効率という面と、当
該グラフト化された重合鎖によって付与しようとする各
種目的媒体への分散性向上という面の多くの場合におい
て相反する要求の双方を十分に満足することが困難であ
った。
【0023】それゆえ、該カーボンブラックグラフト
ポリマー中のカーボン含有量を大きくできない、極性
の高い媒体、例えばアルコール、セロソルブ系溶剤等、
あるいは極性の低い媒体、例えば炭化水素系溶剤やシリ
コーン系溶剤等には十分な分散性を付与できない、有
機溶剤中でのグラフト化が難しいなどといった問題点を
有していた。
【0024】特開平6−67421号公報には、遮光
性、解像性に優れたブラックマトリックスを得る上で好
適な感光性、分散安定性に優れた黒色光硬化性樹脂組成
物として、光硬化性樹脂組成物に、着色剤として上記
(2)のごときカーボンブラックグラフトポリマーを配
合してなるものが提唱されている。しかしながら、上記
したように、該カーボンブラックグラフトポリマー中の
カーボン含有量が大きくできないために十分な遮光性が
得られず、分散性についても満足できるレベルまでには
至らず、かつ光硬化における感度および硬化皮膜の強度
の面についても十分なものとはならないものであった。
【0025】さらに、このような光硬化性樹脂組成物に
よりブラックマトリックス等の皮膜形成を行なう場合、
露光硬化、現像処理後に、皮膜を完全硬化させると共に
基材と皮膜との接着性を高めることを目的として約10
0〜300℃の温度で熱処理(アフターベーク)するこ
とが行なわれているが、この熱処理の際に、皮膜中に存
在するカーボンブラックないしカーボンブラックグラフ
トポリマーの分散状態が変化するものと思われ、アフタ
ーベークを行なった後に皮膜の抵抗率が大きく低下して
しまうことが観測されている。このため、液晶カラーフ
ィルターのブラックマトリックスとしてはもはや適用で
きないものであった。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、新規な反応性カーボンブラックグラフトポリマ
ー、その製造方法およびその用途を提供することにあ
る。
【0027】本発明の他の目的は、高いカーボンブラッ
ク含有率を有する一方で、バインダーその他の各種媒体
への分散性に優れ、また各種光ないし熱硬化性媒体に添
加した場合において当該媒体の硬化を阻害することがな
く高添加量としても高強度皮膜を容易に形成でき、かつ
電気絶縁性等の諸物性にも優れた新規な反応性カーボン
ブラックグラフトポリマーおよびその製造方法を提供す
ることにある。
【0028】本発明の他の目的は、黒色の着色材料であ
ってバインダー成分の新規な架橋剤を提供することにあ
る。
【0029】本発明のさらに他の目的は、樹脂組成物、
ゴム組成物、被覆組成物、インキ、感熱転写インク、感
熱転写用インクリボンコート剤、磁気記録媒体用バック
コート剤、静電荷現像用トナー、塗料、面状発熱体、抵
抗調整剤、潤滑剤、トラクションドライブ流体、電気粘
性流体や非線形光学材料など各種媒体中への分散性に優
れた有用な反応性カーボンブラックグラフトポリマーを
提供することにある。
【0030】本発明のさらに他の目的は、カラーフィル
ターのブラックマトリクス形成に有用な光硬化性樹脂組
成物を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記
(1)〜(11)により達成される。
【0032】(1) ビニル系ポリマー鎖構造のセグメ
ント(A)及び前記セグメント(A)と異なる鎖構造の
ポリ(メタ)アクリル系構造を有するセグメント(B)
とからなり、前記セグメント(A)がチエオポキシ基、
アジリジン基、オキサゾリン基およびイソシアネート基
よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上
基(I)を有するブロックないしグラフト型の重合体
を、カーボンブラックに、前記(I)とカーボンブラ
ック表面の官能基との反応により、反応させて得られる
カーボンブラックグラフトポリマーであって、カーボ
ンブラックグラフトポリマー前記セグメント(A)お
よび/または(B)が、不飽和二重結合基、水酸基、カ
ルボキシル基およびアルコキシシリル基よりなる群から
選ばれる少なくとも1種または2種以上の基(II)を有
することを特徴とする反応性カーボンブラックグラフト
ポリマー。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】(2) 前記ビニル系ポリマー鎖構造のセ
グメント(A)が、芳香環を有するビニル系単量体を5
0モル%以上含みかつ前記反応性基(I)を有するビニ
ル系単量体を含むビニル系単量体組成物の重合により得
られたものである上記(1)に記載の反応性カーボンブ
ラックグラフトポリマー。
【0037】(3) 分散媒液の存在下で、(チオ)エ
ポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基およびイソシ
アネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種また
は2種以上の基(I)を有するビニル系ポリマー鎖構造
のセグメント(A)と、前記セグメント(A)よりも前
記分散媒液に対し高い親和性を示すポリ(メタ)アクリ
ル系構造を有するセグメント(B)とを有し、かつ前記
セグメント(A)および/またはセグメント(B)に不
飽和二重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアルコ
キシシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種ま
たは2種以上の基(II)を含んでなるブロックないしグ
ラフト型の重合体を、カーボンブラックにグラフト化さ
せることを特徴とする反応性カーボンブラックグラフト
ポリマーの製造方法。
【0038】(4) 分散媒液の存在下で、(チオ)
エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基およびイソ
シアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種ま
たは2種以上の基を有するビニル系ポリマー鎖構造の基
(I)を有するビニル系ポリマー鎖構造のセグメント
(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に
対し高い親和性を示すポリ(メタ)アクリル系構造を有
するセグメント(B)とを有するブロックないしグラフ
ト型の前駆体重合体を、予めカーボンブラックにグラフ
ト化させ、次いで、前記ブロックないしグラフト型の
前駆体重合体に、不飽和二重結合基、水酸基、カルボキ
シル基およびアルコキシシリル基よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種または2種以上の基(II)を導入する
ことを特徴とする反応性カーボンブラックグラフトポリ
マーの製造方法。
【0039】(5) 分散媒液の存在下で、前記基
(I)を有するポリシロキサン系構造、ポリ(メタ分
散媒液の存在下で、(チオ)エポキシ基、アジリジン
基、オキサゾリン基およびイソシアネート基よりなる群
から選ばれる少なくとも1種または2種以上の基を有す
るビニル系ポリマー鎖構造の基(I)を有するビニル系
ポリマー鎖構造のセグメント(A)と、前記セグメント
(A)よりも前記分散媒液に対し高い親和性を示すポリ
(メタ)アクリル系構造を有するセグメント(B)とを
有し、かつカーボンブラック表面の官能基とは実質的に
反応性を有しない官能基(III)を有する前駆体重合体
を、予めカーボンブラックにグラフト化させ、次いで、
前記ブロックないしグラフト型の前駆体重合体の有す
る官能基(III)と反応し得る反応性基(IV)と不飽和
二重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアルコキシ
シリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または
2種以上の基(II)をもつ化合物(d)を、前記で得
られた前駆体重合体をグラフト化させたカーボンブラッ
クに反応させて、前駆体重合体に前記基(II)を導入す
ることを特徴とする請求項4に記載の反応性カーボンブ
ラックグラフトポリマーの製造方法。
【0040】(6) (チオ)エポキシ基、アジリジン
基、オキサゾリン基およびイソシアネート基よりなる群
から選ばれる少なくとも1種または2種以上の基を有す
るビニル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)と、前記
セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和
性の低いポリ(メタ)アクリル系構造を有するセグメン
ト(B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/
またはセグメント(B)に不飽和二重結合基、水酸基、
カルボキシル基およびアルコキシシリル基よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種または2種以上の基(II)を
含んでなるブロックないしグラフト型の重合体を、カー
ボンブラックにグラフト化させることを特徴とする反応
性カーボンブラックグラフトポリマーの製造方法。
【0041】(7) (チオ)エポキシ基、アジリジン
基、オキサゾリン基およびイソシアネート基よりなる群
から選ばれる少なくとも1種または2種以上の基を有す
るビニル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)と、前記
セグメント(A)よりもカーボンブラックに対する親和
性の低いポリ(メタ)アクリル系構造を有するセグメン
ト(B)とを有するブロックないしグラフト型の前駆体
重合体を、カーボンブラックにグラフト化させ、次い
で、前記ブロックないしグラフト型の前駆体重合体に、
不飽和二重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアル
コキシシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種
または2種以上の基(II)を導入することを特徴とする
反応性カーボンブラックグラフトポリマーの製造方法。
【0042】
【0043】(前記(1)または(2)に記載の
反応性カーボンブラックグラフトポリマーを光硬化性樹
脂組成物に配合してなることを特徴とする黒色光硬化性
樹脂組成物。
【0044】() 前記光硬化性樹脂組成物中にアル
カリ可溶樹脂を配合してなることを特徴とする前記
)に記載の黒色光硬化性樹脂組成物
【0045】(10) 前記(8)または(9)に記載
の黒色光硬化性樹脂組成物により形成されたことを特徴
とするカラーフィルター用ブラックマトリックス。
【0046】(11前記(1)または(2)に記載
の反応性カーボンブラックグラフトポリマーを含有して
なる電気抵抗調整剤。
【0047】不可逆的な付加反応を行うことによりカー
ボンブラック粒子表面部分に対し重合体部分を化学結合
させることができ、これにより、上記両者を確実に結合
させることができる。「グラフト化」に用いることがで
きる付加反応には、求電子付加反応、ラジカル付加反
応、求核付加反応、付加環化反応がある。
【0048】カーボンブラックは、通常数nm〜数百n
mの粒子径を持つ。しかし、カーボンブラックは粒子同
士の凝集力が大きいため、通常数ミクロン以上の粒子径
を持つ凝集体として取り扱われる。また、カーボンブラ
ック同士の凝集力は、カーボンブラックと他の媒体との
親和性に比べ著しく大きく、カーボンブラックをサブミ
クロンで媒体中に分散させることは非常に困難である。
一方、カーボンブラックグラフトポリマーは、カーボン
ブラックの粒子間に重合体部分が有効に入り込み、カー
ボンブラック同士の凝集力を弱めることができる。さら
に、重合体部分が媒体と親和性のある時、カーボンブラ
ックグラフトポリマーはサブミクロンで媒体中に分散で
きる。しかしながら、重合体部分が媒体と高い親和性を
有していたとしても、カーボンブラック部分に重合体部
分が有効にグラフト化されていないと、その特性は安定
したものとはならずまたバラツキを生じやすくなり、一
定レベルの親和性を得ようとするとカーボンブラックグ
ラフトポリマーにおけるカーボンブラック部分の含有量
が低くなってしまうという結果ともなり、その用途の上
で制約を受けることとなる。
【0049】本発明者らは鋭意検討した結果、重合体部
分を形成する重合体としてブロック型ないしはグラフト
型のものを用いることで、より有効なグラフト化と各種
媒体に対して従来のカーボンブラックグラフトポリマー
に比較してより優れた分散性を有するカーボンブラック
グラフトポリマーを得ることができることを第1に見い
出した。
【0050】例えば、重合体部分を形成する重合体とし
て、目的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)
と、このセグメント(B)よりも目的媒体に対する親和
性の低いセグメント(A)とを有し、かつ前記セグメン
ト(A)のみがカーボンブラックの表面官能基と反応し
てグラフト化に寄与する反応性基(I)を有するように
分子設計し、目的媒体若しくはこれに近い性状(極性)
を持つ媒体からなる分散媒液中でグラフト化させるもの
である。
【0051】図1は、上記のように、目的媒体若しくは
これに近い性状を持つ媒体からなる分散媒液中で、カー
ボンブラックに上記した反応性基を有するブロック型な
いしはグラフト型の重合体を反応させた際における、カ
ーボンブラック表面近傍における状態を模式的に示す図
である。重合体が、上記したように反応性基(I)を有
するセグメント(A)と目的媒体に親和性を有するセグ
メント(B)とからなるものであるため、反応系におい
ては、図示するように、セグメント(B)が分散媒液中
に向って伸びきった形となるよう配向するため、必然的
にセグメント(A)がカーボンブラック粒子表面を取囲
み、カーボンブラックとこの重合体がグラフト化するの
に好適な反応場が提供されるため、有効なグラフト化が
なされるものである。
【0052】これにより得られたカーボンブラックグラ
フトポリマーにおいて表面に結合したグラフト鎖は、目
的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)が外側に
露出するように配向されているので、目的媒体に対し高
い親和性を示し、カーボンブラックグラフトポリマーは
サブミクロン単位で媒体中に分散できるものである。
【0053】あるいはまた、同様な考え方から、カーボ
ンブラック表面の官能基と反応し得る反応性基(I)を
有するセグメント(A)と、前記反応性基を実質的に有
さずかつ前記セグメント(A)よりもカーボンブラック
に対する親和性の低いセグメント(B)とを有する(換
言すれば、カーボンブラックに対し親和性の高いセグメ
ント(A)と目的媒体に対し親和性の高いセグメント
(B)とを有する)ブロックないしグラフト型重合体
を、カーボンブラックにグラフト化させてもよい。
【0054】反応系において、この重合体のセグメント
(A)がカーボンブラック側に配向するため、当該セグ
メント(A)に存在する反応性基がカーボンブラック表
面により有効にグラフト化される。これにより得られた
カーボンブラックグラフトポリマーにおいて表面に結合
したグラフト鎖は、目的媒体に対する親和性の高いセグ
メント(B)が外側に露出するように配向されているの
で、目的媒体に対し高い親和性を示し、カーボンブラッ
クグラフトポリマーはサブミクロン単位で媒体中に分散
できるものである。なお、この場合においては、前記の
場合とは異なり、必ずしも、セグメント(B)に親和性
のある、ないし目的媒体若しくはこれに近い性状を持つ
媒体からなる分散媒液中で、グラフト化を行なう必要は
なく、当該重合体とカーボンブラックのみを溶融混練し
たり、あるいはセグメント(A)とセグメント(B)の
いずれにもほぼ同等の親和性を示す分散媒液中で反応さ
せることが可能であるが、より確実にかつ効率よくグラ
フト化させるためには、セグメント(B)に親和性のあ
る分散媒液中にて行なうことが望ましい。
【0055】このように重合体部分を形成する重合体と
してブロック型ないしはグラフト型のものを用いて形成
されたカーボンブラックグラフトポリマーは、重合体部
分がより有効にグラフト化されかつより優れた分散性を
有するので、従来のカーボンブラックグラフトポリマー
と比較して、各種の媒体中に良好に分散でき、しかも、
カーボンブラックグラフトポリマー中のカーボン含有量
を大きくできる、カーボンブラック自体がもつ重合禁止
効果を緩和させる、電気絶縁性を高くできる、有機溶剤
中でもグラフト化が容易であるなどといった特徴を有し
得るものとなる。
【0056】重合体部分を形成する重合体としてブロッ
ク型ないしはグラフト型のものを用いてカーボンブラッ
クグラフトポリマーを形成すれば、分散性向上、重合禁
止効果の緩和、電気絶縁性の向上などといった面は改良
されるものの、例えば、光硬化性樹脂組成物中にこのよ
うなカーボンブラックグラフトポリマーを配合し黒色光
硬化性樹脂組成物とした場合において、このような構造
のカーボンブラックグラフトポリマーとしても、光重合
ないし光架橋といった硬化反応に実質的に何ら関与でき
ず、十分な光硬化特性を得るためには、カーボンブラッ
クグラフトポリマーの配合量に対し多量の光硬化性化合
物を配合する必要が生じ、必然的にカーボンブラックグ
ラフトポリマーの配合量に上限が生じ、薄い皮膜により
十分な遮光性を得ることは困難となる。同様に、カーボ
ンブラックグラフトポリマーを配する媒体が、光重合、
熱重合、加熱架橋反応等によって硬化物となるような態
様においても、マトリックスとなる媒体に対し、カーボ
ンブラックグラフトポリマーが反応性を有することが良
好な硬化特性、カーボンブラックの分散安定性等を得る
上で望ましいものである。
【0057】そこで、本発明者らはさらに鋭意検討を行
ない、前記カーボンブラックグラフトポリマーの重合体
部分を形成するブロック型ないしはグラフト型の重合体
が、該カーボンブラックグラフトポリマーを配合するバ
インダー等の目的媒体のマトリックスに対し反応性を有
する官能基(II)、例えば不飽和二重結合等を有するも
のとしておけば、この官能基(II)が目的媒体のマトリ
ックスと反応し、結局、カーボンブラックと重合体が共
有結合し、さらにはこの重合体と目的媒体のマトリック
スとが共有結合することにより、着色性、導電性、耐光
性に加え、強度、熱的安定性にも優れたものとなること
を見い出し、本発明に至ったものである。
【0058】なお、カーボンブラック表面の官能基と反
応に供せず、外方に配向する側のセグメント、すなわち
セグメント(B)に不飽和二重結合等の官能基(II)を
導入すれば、得られたカーボンブラックグラフトポリマ
ーを光硬化性樹脂組成物等に配合した場合において、当
該組成物の硬化反応がより良好に進行し、薄い皮膜によ
り十分な遮光性を得ることができ、かつ皮膜強度、カー
ボンブラックの分散安定性といった面においても極めて
優れたものとなるが、このような官能基(II)がセグメ
ント(A)に導入されたものであっても、このような官
能基(II) を有しないものと比較すればかなり良好な結
果が期待できるものであった。セグメント(A)および
セグメント(B)の双方にこのような官能基(II) を有
するものであってもよいことはもちろんである。
【0059】本発明に係る反応性カーボンブラックグラ
フトポリマーは、単なるカーボンブラック分散体とは異
なり、シランカップリング剤などにある程度類似する効
果を有するものであることが判明した。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施態様に基づき
より詳細に説明する。
【0061】本発明の反応性カーボンブラックグラフト
ポリマーを製造する上で用いられるカーボンブラックと
しては、その表面にカルボキシル基、ヒドロキシ基等の
官能基を有するものであれば特に限定されず、例えばフ
ァーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブ
ラック、ランプブラック等のいずれの種類のものを用い
ることができ、通常の市販品をそのまま使用できるが、
中でもカルボキシル基を有するものが好ましい。さらに
カーボンブラックとしてはpH7未満、特にpH1〜5
のカーボンブラックを用いることが好ましい。カルボキ
シル基を有するカーボンブラックは、酸性カーボンブラ
ックとして容易に入手できるが、中性あるいは塩基性の
カーボンブラックを酸化処理することにより得られたも
のも本発明における原料として好適に用いることができ
る。カーボンブラックが、カルボキシル基等の官能基を
有していない場合、あるいはpH7以上である場合、グ
ラフト化が有効に行なわれないことがある。なお、カー
ボンブラックのpHの試験法はJIS K 6211に
よるものである。
【0062】また、カーボンブラックの平均粒子径は
0.0005〜0.5μm、特に0.001〜0.2μ
mの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.0
005μm未満のカーボンブラックは容易に得られない
ため、産業上意義が小さい。また、平均粒子径が0.5
μmを越える場合、得られた反応性カーボンブラックグ
ラフトポリマーに十分な分散性が付与できないことがあ
る。
【0063】一方、このようなカーボンブラックにグラ
フト化されて重合体部分を形成する重合体は、カーボン
ブラック表面の官能基と反応し得る反応性基(I)を有
するセグメント(A)と、媒体に親和性を有するセグメ
ント(B)とからなるブロックないしグラフト型であ
り、かつ前記セグメント(A)および/または(B)
が、該カーボンブラックグラフトポリマーを配合する目
的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有す
る重合体である。なお、目的媒体のマトリックスと反応
性を有する基(II)は、セグメント(B)に存在するこ
とがより望ましいが、セグメント(A)のみに存在する
ものであっても、あるいは双方に存在するものであって
もよい。これは、目的媒体のマトリックスと反応性を有
する基(II)が、ゼグメント(A)にあり、セグメント
(B)にない場合においても、セグメント(B)が媒体
と親和性を有している故、得られる反応性カーボンブラ
ックグラフトポリマー分散性は、何ら劣ることはなく、
後の硬化温度で基(II)と目的媒体のマトリックスとが
反応し得るためである。
【0064】ここで、本発明に係る反応性カーボンブラ
ックグラフトポリマーの最終的な形態において、上記し
たような所望構造のブロックないしグラフト型の重合体
(なお、セグメント(A)の反応性基(I)はカーボン
ブラック表面の官能基と反応し結合団となっている。)
となれば良く、カーボンブラックに対し重合体部分をグ
ラフト化させる製造工程においては、必ずしも上記した
ような所望構造の重合体となっていなくとも良い。
【0065】すなわち、後述するように、(1)カーボ
ンブラック表面の官能基と反応し得る反応性基(I)を
有するセグメント(A)と、媒体に親和性を有するセグ
メント(B)とからなるブロックないしグラフト型であ
り、かつ目的媒体のマトリックスと反応しうる基(II)
をセグメント(A)および/またはセグメント(B)に
有する重合体をまず形成して、これをカーボンブラック
にグラフト化させる方法のみならず、前記基(I)とカ
ーボンブラックとを反応させる場合に目的媒体のマトリ
ックスと反応性を有する基(II)が障害となる場合、
(2)カーボンブラック表面の官能基と反応し得る反応
性基(I)を有するセグメント(A)と、媒体に親和性
を有するセグメント(B)とからなるブロックないしグ
ラフト型の前駆体重合体を、予めカーボンブラックにグ
ラフト化させた後、該前駆体重合体に目的媒体のマトリ
ックスと反応性を有する基(II)を導入するような方法
や、(3)目的媒体のマトリックスと反応性を有する基
(II)を実質上カーボンブラックと反応性を有しない基
へ変換(保護基と)することによって、セグメント
(A)とセグメント(B)とからなるブロックないしグ
ラフト型重合体中に導入しておいて、該重合体とカーボ
ンブラックとを反応させた後、保護基をはずして所望す
る目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を
露出させるような方法によっても、本発明に係る反応性
カーボンブラックグラフトポリマーを製造しうるもので
ある。
【0066】セグメント(A)の有する反応性基(I)
の種類によっては、カーボンブラック表面の官能基との
反応が、比較的高温で長持間の条件を必要とする場合が
あり、このような場合に、予めセグメント(B)が目的
媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)、例えば
不飽和二重結合を有していると、このグラフト化の際に
セグメント(B)の有する不飽和二重結合が消失してし
まう虞れが高いので、その場合は、特に後者の(2)な
いし(3)の方法を採用することが望ましい。
【0067】ブロックないしグラフト型重合体として
は、図2(a)において示すA−B型ブロック共重合
体、図2(b)において示すA−B型グラフト共重合体
といった単純な構造のものに限られず、図2(c)にお
いて示すB−A−B型ブロック共重合体、あるいはより
高度な交互ブロック共重合体、図2(d)において示す
複数のBセグメントがAセグメントにグラフトしてなる
櫛形グラフト共重合体、さらには図2(e)において示
す星型状のグラフト共重合体などといった各種のものが
含まれる。なお、図中Xはカーボンブラックの表面官能
基と反応しうる反応性基(I)を、Yは目的媒体のマト
リックスと反応し得る反応性基(II)を表す。図2
(f)は、これらの各種のブロックないしグラフト型の
重合体がカーボンブラック粒子(CB)表面へ結合した
状態を表すものであるが、要は、カーボンブラック粒子
表面に結合した状態で、少なくとも1つのセグメント
(B)がカーボンブラック粒子表面より外側に向ってあ
る程度の自由度をもって配向できるものであれば、ブロ
ックないしグラフト型重合体はいかなる形態を有するも
のであってもよく、さらに例えば、セグメント(A)に
分類されるものとして複数種のセグメントを有するもの
であっても(セグメント(B)についても同様)、セグ
メント(A)とセグメント(B)とは異なる性質、例え
ばこれらの中間的な性質を有する、あるいはグラフト鎖
を延長する、グラフト鎖の媒体中での「ゆらぎ」(運動
性)を高めるないし低下させるなどといった機能を付す
る別種のセグメント(以下、(C)セグメントとい
う。)を、これらセグメント(A)とセグメント(B)
の中間に配したような形のものなどであってもよい。こ
こで(C)セグメントは反応性基(I)を有しないもの
であっても有するものであってもよいが、一般には反応
性基(I)を有しないものとすることが、グラフト効率
を高める上からは好ましいものと考えられる。さらに場
合によっては、この(C)セグメントに相互に架橋し得
るような反応基等を導入しておくことも可能である。な
お、説明の上から(C)セグメントと称したが、この
(C)セグメントも大きく分ければ、上記したようなセ
グメント(A)かセグメント(B)のいずれかに分類さ
れるものである。
【0068】なお、図2においては、符号Yで表した反
応性基(II)がセグメント(B)にのみ存在する態様を
示しているが、前記したように反応性基(II)は、セグ
メント(A)のみに存在しても、あるいは双方に存在し
てもよい。
【0069】このブロックないしグラフト型の重合体に
おいて、セグメント(A)中に含まれる反応性基(I)
としては、カーボンブラック表面に存在する官能基と反
応して当該重合体のカーボンブラックへのグラフト化に
寄与できるものであれば特に限定されるものではなく各
種の反応性基を利用できる。
【0070】ここで、グラフト化をより確実かつ安定な
ものとするためには、重合体部分が共有結合を介してカ
ーボンブラックに結合することが望まれ、特にエステル
結合、チオエステル結合、アミド結合、アミノ結合、エ
ーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオ
カルボニル結合およびスルホニル結合よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の結合、さらには、エステル結
合、チオエステル結合およびアミド結合よりなる群から
選ばれる少なくとも1種の結合であることが望まれる。
このような点も考慮すると、反応性基は、エポキシ基、
チオエポキシ基、アジリジン基、N−ヒドロキシアクリ
ルアミド基、オキサゾリン基およびイソシアネート基よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の
ものであることが望ましい。カーボンブラックに対する
反応性基は必ずしもこれらのみに限定されるものではな
いが、これらの反応性基以外の基を有する重合体を用い
る場合、使用できるカーボンブラックの種類に制限が生
ずることがある。重合体が前記反応性基を有するもので
あることが好ましい理由は、使用できるカーボンブラッ
クの種類や状態にかかわらず、温和な条件においてもカ
ーボンブラックと重合体とが非常に高いグラフト化効率
で付加反応することにある。特に、カーボンブラックが
上記したようにカルボキシル基を表面官能基として有す
る場合、カルボキシル基が、エポキシ基、チオエポキシ
基、アジリジン基、N−ヒドロキシアクリルアミド基、
オキサゾリン基またはイソシアネート基と熱反応により
高収率で不可逆的付加反応を行ない、この付加反応によ
り、カーボンブラック部分と重合体部分に上記した共有
結合が形成されるゆえ望ましい。
【0071】なお、これらの反応性基(I)の重合体
(セグメント(A)部分)中への導入方法ついては後述
する。
【0072】一方、ブロックないしグラフト型重合体に
導入される、目的媒体のマトリックスと反応性を有する
基(II)としては、目的媒体の種類によって適宜選択す
ることができ、例えば、不飽和二重結合基、水酸基、フ
ェノール性水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル
基、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、N−
ヒドロキシアクリルアミド基、オキサゾリン基、イソシ
アネート基、シラノール基、アミノ基、イミノ基、及び
チオール基が挙げられる。すなわち、目的媒体がラジカ
ル重合型の硬化性樹脂をマトリックスとする時は、基
(II)として不飽和二重結合基が挙げられる。具体的に
は、光硬化性樹脂組成物等に不飽和二重結合基を有する
反応性カーボンブラックグラフトポリマーを添加する場
合や不飽和ポリエステルを熱硬化させる場合が挙げられ
る。また、目的媒体がポリウレタン等の縮合型の硬化性
樹脂をマトリックスとする時には、水酸基が挙げられ、
不飽和ポリエステル系の硬化性樹脂では、水酸基やカル
ボキシル基等が挙げられる。その他の縮合型の硬化性樹
脂として、フェノール系樹脂の場合、フェノール性水酸
基等が挙げられる。マトリックスがゾル−ゲル法による
シリコン系であればアルコキシシリル基が挙げられる。
【0073】本発明において、不飽和二重結合基とは、
例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基
等を指し、またアルコキシシリル基とは、−Si(OR
1 )(R1 は水素原子、アルキル基またはアシル基から
なる群から選ばれる置換されていても良い少なくとも1
種の基であり、R1 が1分子中に複数ある場合、この複
数のR1 は互いに同一であっても異なっていても良
い。)で表される基を示す。
【0074】ある官能基は、ある硬化性組成物中でバイ
ンダー成分と反応しない場合もあり、その際、カーボン
ブラックグラフトポリマーは単なる分散体として存在す
る。例えば、水酸基は、光硬化性組成物では非反応性官
能基であるが、フェノール系樹脂硬化性組成物中におい
ては、メラミン系架橋剤と共にマトリックスと共有結合
を行なうことによって、基(II)としての役割を果たし
得る。したがって、適宜バインダー系と反応しうるもの
として、基(II)を選択すれば良い。
【0075】ここで本願明細書でいうところのバインダ
ーないし目的媒体のマトリックスについて説明する。近
年、リアクティブプロセッシング等に利用されている手
法のひとつに官能基をもたせたポリマー同士を反応させ
てなる例があるが、同様の考え方に基づくと、前記基
(II)と反応性を有するポリマーは、本願明細書でいう
ところのバインダーないし目的媒体のマトリックスであ
る。例えば、アクリル系光硬化性組成物の例をとると、
この組成物のバインダーには非架橋部分と硬化部分とに
分れるが、明らかに系が硬化性組成物となり得るのは多
官能アクリレートが光開始剤もしくは直接光によって重
合反応を伴なうからである。この際、多官能アクリレー
トと反応することをバインダーないし目的媒体のマトリ
ックスと反応すると考える。また例えば、エラストマー
硬化物に関する例を述べると、ポリウレタン系エラスト
マーの場合、二官能ポリオールとイソシアネートとを
反応させプレポリマーとした後、分子量向上のための
二官能の鎖延長剤添加(エラストマー中間生成物)、
さらに三官能以上の多官能の化合物等を用いて架橋を完
結させる。この場合も、段階の三官能以上の多官能化
合物と反応しうる基(II)さえ有していれば、ポリウレ
タンバインダーないし目的媒体のマトリックスと反応し
たと言える。これらの例のように、多官能の架橋剤、加
硫剤もバインダー成分ないし目的媒体のマトリックスと
なり得ることから、本願明細書においては架橋剤、加硫
剤等をもバインダー成分ないしマトリックスとみる。
【0076】なお、これらの反応性基(II)の重合体中
への導入方法ついては後述する。
【0077】本発明の第1の態様において、前記反応性
基(I)を有するセグメント(A)は、そのセグメント
鎖構造上で目的媒体に対し親和性の低いものとする必要
がある。なお、ここでいう低い親和性とは、あくまで他
方のセグメント(B)との対比による相対的なものであ
るため、目的媒体の種類あるいはセグメント(B)の構
成いかんによって、セグメント(A)は各種の構成とす
ることができ、一概には特定できない。しかしながら、
さらに別の観点からすると、前記セグメント(A)は、
カーボンブラックに対し親和性が高いものとすること
が、カーボンブラックに対してより良好な配向性を示す
ものとなるゆえに望ましい。この点から前記セグメント
(A)は、その主鎖が炭素−炭素結合を主とするもの、
より好ましくは、例えばベンゼン環、ナフタレン環、イ
ンデン環などのような芳香環を主鎖に含むもので、かつ
前記したような反応性基を分子内に有するものとし、一
方、前記セグメント(B)は、セグメント(A)よりも
炭素−炭素結合の少ない、特に芳香環の少ない骨格構
造、例えばポリシロキサン構造、あるいはエーテル結
合、エステル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を多く
含むものとすることが望ましい。
【0078】ただ、セグメント(A)が実質的に高度の
縮合多環構造のみで構成されてしまうとセグメント
(A)の剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブ
ラックへのグラフト時にカーボンブラック表面へのセグ
メント(A)の近接が困難な虞れがあるために、適度な
線状構造を有することが望ましい。
【0079】上記したように、セグメント(A)の鎖構
造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面
から選択されるセグメント(B)の鎖構造に応じて、適
宜選択し得るものであり、例えば、スチレン系単量体、
(メタ)アクリル系単量体、アルキレン系単量体などの
単独もしくは共重合による各種ビニル系ポリマー、ポリ
エステル、ポリエーテル等の(上記反応性基を有する)
重合鎖とすることができるが、このうち、ビニル系ポリ
マー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分を50
モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含みかつ
反応性性基を有するビニル系ポリマーであることが、目
的媒体に応じて選択される各種のセグメント(B)との
組合せが可能となるため望ましい。
【0080】さらに経済性等を考慮すると特に、スチレ
ン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とする
単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成分
を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上記
反応性基を有する)重合鎖が望ましい。
【0081】しかしながら、この第1の態様において
は、反応性基を有するセグメント(A)は、そのセグメ
ント鎖構造上で目的媒体に対しセグメント(B)より親
和性の十分低いものとすれば、必ずしもセグメント
(A)がカーボンブラックに対し親和性の高いものとし
なくともよく、カーボンブラックに対してはセグメント
(A)とセグメント(B)の親和性に実質的な差異がな
くとも、あるいはセグメント(B)よりも親和性の低い
ものであっても十分に使用可能であり、場合によって
は、セグメント(B)側を例えばスチレン系構造とする
ことも可能である。
【0082】一方、セグメント(B)は、目的媒体への
分散性等、カーボンブラックに付与しようとする特性に
よって、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)
アクリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリ
エーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン
系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタ
ン構造、フッ素樹脂系構造などを有する重合鎖から適当
なものが選択される。
【0083】例えば、ポリシロキサン系構造鎖は、極性
の低い媒体中への分散性を改善する目的、さらに撥水
性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れ
ていることや、低温脆性がないことを付与する目的で、
また(メタ)アクリル系鎖は、種々の(メタ)アクリル
エステル単量体成分を導入して、幅広い親水性−疎水性
を付与する目的で(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル等を導入して親水性を高め
る。)、またポリアルキレングリコール鎖は、親水性、
潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特性を付与する目的で、
それぞれ採用可能である。
【0084】以下、本発明の理解を容易とするのに、セ
グメント(A)がカーボンブラックと反応性を有する基
(I)をもち、セグメント(B)に目的媒体のマトリッ
クスと反応性を有する基(II)として不飽和二重結合基
を有する態様を中心として本発明ついて説明する。
【0085】なお、以下の説明においては、上記(1)
の方法、すなわち、セグメント(B)に基(II)として
の不飽和二重結合を導入した所望構造のブロックないし
グラフト型の重合体を、カーボンブラックにグラフト化
させる態様を中心として記述するが、グラフト化と不飽
和二重結合の導入工程が前後するのみので、それ以外の
点は、上記(1)の方法の場合と(2)の方法の場合と
はほぼ共通したものであること、またグラフト化後に脱
保護基反応工程を必要とするのみで、上記(1)の方法
の場合と(3)の方法の場合とはほぼ共通したものであ
ることのであることが理解されよう。
【0086】当該実施態様において、ブロックないしグ
ラフト型の重合体のセグメント(B)は、その一部に不
飽和二重結合を有する必要がある。この不飽和二重結合
は、セグメント(B)の主鎖中に存在させた形態とする
ことも可能であるが、本発明に係るブロックないしグラ
フト型の重合体の合成の容易さという観点からすれば、
セグメント(B)の主鎖に結合する側鎖中に存在させた
形態とすることが望ましい。
【0087】このような反応性基(I)を有するセグメ
ント(A)と反応性基(II)としての不飽和二重結合を
有するセグメント(B)とを有するブロックないしグラ
フト型の重合体を得る方法としては、特に限定されず、
公知の種々のブロックないしグラフト型重合体の重合技
術と、反応性ポリマーの製造技術を適当に組合せること
で製造することができる。
【0088】グラフト型の重合体を得る方法としては、
例えば、グラフト鎖となる高分子量体の存在下に、重合
開始剤及び重合性単量体を溶液重合、乳化重合、塊状重
合又は懸濁重合して主鎖となる重合体を重合する方法す
る方法が知られている。しかしながら、前記高分子量体
がラジカル重合性官能基を持たないものであると、得ら
れるグラフト共重合体には多量のグラフト化されていな
い重合体が含まれており、グラフト効率が低いという欠
点をもっている。それ故、当該高分子量体としてラジカ
ル重合性高分子量体を用いて行なうことが好ましい。こ
のようなラジカル重合性高分子量体は、一般に、「マク
ロモノマー」と称され、片末端にラジカル重合性基、例
えば、(メタ)アクロイル基、スチリル基などを有する
高分子量体であり、例えば、有機溶剤中で片末端カルボ
キシル基を有する重合体とグリシジル基を有するラジカ
ル重合性単量体を反応させることにより得られるもので
ある(例えば、特公昭43−11224号公報には、有
機溶剤中でラジカル重合性単量体をメルカプト酢酸の存
在下で、ラジカル重合させて得られるプレポリマーとグ
リシジルメタクリレートをジメチルラウリルアミン触媒
の存在下で反応させて得る方法が開示されている。)。
【0089】なお、セグメント(B)の主鎖を形成する
成分としてのこのようなラジカル重合性高分子量体は、
後に不飽和二重結合を有する側鎖ないし延長鎖を導入す
るための活性点(官能基)を有するように分子設計され
る必要があるが、この点については後述する。
【0090】従って、例えば、本発明に係るグラフト共
重合体を得るには、まずセグメント(B)の主鎖を形成
する成分としての上記したようなラジカル重合性高分子
量体(b)存在下に、前記したようなカーボンブラック
に対する反応性基(I)を分子内に有する重合性単量体
(a)およびその他必要により配合されるセグメント
(A)の骨格を形成する重合性単量体(c)を重合し、
カーボンブラックに対する反応性基を有するセグメント
(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなる前駆
体としてのグラフト型重合体を得、その後、さらにセグ
メント(B)の主骨格部分に設けられた活性点に対する
反応性基と不飽和二重結合を分子内に有する化合物
(d)を、当該前駆体と反応させ、セグメント(B)に
不飽和二重結合を導入すればよい。
【0091】なお、本発明に係る反応性カーボンブラッ
クグラフトポリマーの重合体部分として、ここに例示す
るようにセグメント(B)が、不飽和二重結合等の目的
媒体のマトリックスと反応性を有する基(II)を有する
ものである場合、以下の点からも有利であると考えられ
る。すなわち、従来型のカーボンブラックグラフトポリ
マーでは、セグメント(B)を構成する成分としてマク
ロモノマーを用いた場合、マクロモノマーの純度が低い
場合、即ち、片末端にラジカル重合性基を有するものの
割合が100%でない場合、グラフトポリマーを合成
し、カーボンブラックにグラフト化させた後にも、正し
く合成されたカーボンブラックグラフトポリマーに、前
記マクロモノマーの不良物が単なるセグメント(ポリマ
ー)として混在してしまい、この結果、得られた製品を
バインダー等の目的媒体に配合した場合に、当該単なる
セグメントが、最終バインダー中に何の寄与もなく残存
することが想定される。しかしながら、セグメント
(B)に目的媒体のマトリックスと反応性を有する基
(II)を有する場合においては、このような混在する単
なるセグメントも目的媒体のマトリックスと反応し、最
終バインダー中に組み込まれるので、硬化特性を低下さ
せることがないというものである。
【0092】カーボンブラックに対する反応性基を分子
内に有する重合性単量体(a)としては、
【0093】
【化1】
【0094】
【化2】
【0095】
【化3】
【0096】
【化4】
【0097】
【化5】
【0098】
【化6】
【0099】
【化7】
【0100】
【化8】
【0101】
【化9】
【0102】
【化10】
【0103】
【化11】
【0104】
【化12】
【0105】
【化13】
【0106】(但し、これらの式中のR1 は水素または
メチル基を示し、nは0または1〜20の整数であ
る。)等の式で表されるエポキシ基含有重合性単量体
類;
【0107】
【化14】
【0108】
【化15】
【0109】
【化16】
【0110】
【化17】
【0111】
【化18】
【0112】
【化19】
【0113】
【化20】
【0114】
【化21】
【0115】
【化22】
【0116】
【化23】
【0117】
【化24】
【0118】
【化25】
【0119】
【化26】
【0120】(但し、これらの式中のR1 およびnはエ
ポキシ基含有重合性単量体の場合と同様である。)等で
表わされるチオエポキシ基含有重合性単量体類;
【0121】
【化27】
【0122】
【化28】
【0123】
【化29】
【0124】
【化30】
【0125】
【化31】
【0126】
【化32】
【0127】
【化33】
【0128】
【化34】
【0129】
【化35】
【0130】
【化36】
【0131】
【化37】
【0132】
【化38】
【0133】
【化39】
【0134】
【化40】
【0135】
【化41】
【0136】
【化42】
【0137】
【化43】
【0138】
【化44】
【0139】
【化45】
【0140】
【化46】
【0141】
【化47】
【0142】
【化48】
【0143】
【化49】
【0144】
【化50】
【0145】
【化51】
【0146】
【化52】
【0147】
【化53】
【0148】
【化54】
【0149】
【化55】
【0150】
【化56】
【0151】
【化57】
【0152】
【化58】
【0153】
【化59】
【0154】
【化60】
【0155】
【化61】
【0156】
【化62】
【0157】
【化63】
【0158】
【化64】
【0159】
【化65】
【0160】
【化66】
【0161】
【化67】
【0162】
【化68】
【0163】
【化69】
【0164】
【化70】
【0165】
【化71】
【0166】
【化72】
【0167】
【化73】
【0168】
【化74】
【0169】
【化75】
【0170】
【化76】
【0171】
【化77】
【0172】
【化78】
【0173】
【化79】
【0174】
【化80】
【0175】等で表されるアジリジン基含有重合性単量
体類;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4
−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル
−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オ
キサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンなど
のオキサゾリン基含有重合性単量体類;N−ヒドロキシ
メチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリル
アミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒ
ドロキシイソブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシシ
クロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメ
タクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒド
ロキシイソブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ
シクロヘキシルメタクリルアミドなどのN−ヒドロキシ
アルキルアミド基含有重合性単量体類;を挙げることが
でき、これらの群から選ばれる1種または2種以上を使
用することができる。
【0176】また、セグメント(A)を上記したような
所望の骨格となすために、必要により使用できる重合性
単量体(c)としては、前記単量体(a)ならびに後述
するようなとセグメント(B)を形成する成分としての
上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)共重合
し得るものであれば特に限定されず、得ようとするセグ
メント(A)の分子構造に応じて、例えばスチレン、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o
−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルス
チレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリ
ル酸あるいはメタクリル酸系モノマー;エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビ
ニルピロリドン等の単量体を1種または2種以上適宜用
いることができる。
【0177】一方、セグメント(B)成分の主鎖を構成
するためラジカル重合性高分子量体(b)としては、所
望の重合鎖、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メ
タ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコールなどの
ポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキ
レン系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウ
レタン構造、フッ素樹脂系構造などの重合鎖の片末端に
反応性基を有するものであればよい。
【0178】例えば、セグメント(B)をポリシロキサ
ン系構造を有するものとする場合、当該ポリシロキサン
系構造としては、ポリジメチルシロキサン基、部分アル
キル基置換のポリジメチルシロキサン基、部分アリール
基置換のポリジメチルシロキサン基、トリス(トリアル
キルシロキシ)シリルプロピル基等のポリオルガノシロ
キサンを含有するものなどが例示できる。
【0179】従って、ポリシロキサン系構造を有するラ
ジカル重合性高分子量体(b1 )としては、例えば(メ
タ)アクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン、スチ
リル基含有ポリジメチルシロキサン(メタ)アクリロイ
ル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、ス
チリル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキササ
ン、スチリル基含有部分フェニル置換ポリジメチルシロ
キサン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート等の重合性ポリシロキサン類が挙
げられ、これらの中から1種または2種以上を用いるこ
とができ、特に以下のものが望ましい。
【0180】
【化81】
【0181】(ただし、式中、Bは−COO−またはフ
ェニレン基を示し、R1 は水素原子またはメチル基を、
2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 〜R13は同
一または異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル
基または炭素数1〜10のアルコキシル基をそれぞれ示
し、aおよびbは同一または異なって0〜10の整数
を、nは0〜200の整数をそれぞれ示す。) 同様に、セグメント(B)をポリメタ(アクリル)系構
造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量体
(b2 )としては、例えば、以下に示されるようなもの
が使用され得る。
【0182】
【化82】
【0183】(ただし、式中、R1 、R2 は同一または
異なって水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数
1〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であ
り、Yは開始剤末端またはH原子、nは0〜500の整
数を示す。)
【0184】
【化83】
【0185】(ただし、式中、R1 、R2 、R4 は同一
または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3
5 は同一または異なって炭素数1〜25のアルキル基
を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端また
はH原子、m、nはそれぞれ同一または異なって0〜5
00の整数を示す。)
【0186】
【化84】
【0187】(ただし、式中、R1 、R2 は同一または
異なって水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数
1〜25のアルキレン基を示し、R4 は炭素数1〜25
のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開
始剤末端またはH原子、nおよびmは同一または異なっ
て0〜500の整数を示す。) また、セグメント(B)をポリアルキレングリコール系
構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量
体(b3 )としては、例えば、以下に示されるようなも
のが使用され得る。
【0188】
【化85】
【0189】(ただし、式中、R1 、R2 、R3 は同一
または異なって水素原子またはメチル基を示し、nは0
〜500の整数を示す。)
【0190】
【化86】
【0191】(ただし、式中、R1 、R2 、R3 、R4
は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、
nおよびmは同一または異なって0〜500の整数を示
す。) さらに、セグメント(B)をポリスチレン系構造を有す
るものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b4
としては、例えば、以下に示されるようなものが使用さ
れ得る。
【0192】
【化87】
【0193】(ただし、式中、R1 は水素原子またはメ
チル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末
端またはH原子、Zは水素原子、ハロゲン置換基または
炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜500の整数を示
す。) なお、上記式群において示す連結鎖Xについては、例え
ば、「マクロモノマーの化学と工業」(山下雄也監修、
(株)アイピーシー発行、平成元年9月20日)に詳し
く示されており、これに示されているもののいずれを用
いることもできる。 またフッ素系樹脂構造とする場
合、
【0194】
【化88】
【0195】
【化89】
【0196】(但し式中mは、1〜25の整数を示
す。)等のフッ素系(メタ)アクリルモノマーそのもの
をセグメント(B)にした形で重合しても良く、さらに
はフッ素系(メタ)アクリレートのリビング重合法によ
って末端停止もしくはラジカル重合の連鎖移動法を用い
てマクロモノマー化されたものをセグメント(B)とす
ることができる。
【0197】上記したようなグラフト型の前駆体重合体
を得る際の重合方法としては、公知の重合方法を用いる
ことができる。例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化
重合法、溶液重合法などを挙げることができる。中で
も、ラジカル触媒を用いての溶液重合法が好ましい。
【0198】ラジカル触媒としては、通常、ビニル単量
体の重合に用いられているものであればいずれも使用で
きる。代表的なものとしては、2,2´−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾリルパー
オキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ter
t−ブチルパーオクトエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系化合物
等が挙げられ、これらは通常単量体100重量部当たり
0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範
囲内で使用される。また溶剤としては、用いられる単量
体、ラジカル重合性高分子量体の種類に応じて適宜選択
される。
【0199】このようにして、カーボンブラックに対す
る反応性基を有するセグメント(A)とセグメント
(B)の主骨格部分とからなるグラフト型の前駆体重合
体を得た後、セグメント(B)に不飽和二重結合を有す
る側鎖ないし延長鎖を導入する方法について説明する。
【0200】ここにおいて前記前駆体重合体におけるセ
グメント(B)の主骨格部分に設ける活性点(官能基
(III))としては、セグメント(A)の有する反応性基
(I)に対してカーボンブラックの表面官能基よりも活
性の低いものであれば、特に限定されるものではなく、
各種のものを用いることができる。より具体的には、例
えば、上記したようにセグメント(A)の有する反応性
基(I)として、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリ
ジン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、オキサゾリ
ン基などを用い、カーボンブラック表面に存在するカル
ボキシル基に反応させてグラフト化させようとする態様
においては、セグメント(B)の有する官能基(III )
としては、カルボキシル基以外のものであればよく、例
えば、アルコール性ないしフェノール性の水酸基、アミ
ノ基、イミノ基、チオール基、シラノール基、イソシア
ネート基等を挙げることができるが、このうち特に好ま
しくはアルコール性ないしフェノール性の水酸基であ
る。なお、前記ラジカル重合性高分子量体の説明におい
て、好ましいものとして例示した構造式の中には、この
ような官能性基(III )を具体的に示していないものも
あるが、例えば、これらのラジカル重合性高分子量体を
重合するのに用いられる単量体の一部にこれらの官能基
を有するものを用いれば、容易に所望構造のものとなる
ことは理解されよう。
【0201】一方、このようなセグメント(B)の有す
る官能基(III )に対する反応性基(IV)と不飽和二重
結合(反応性基(II))を分子内に有する化合物(d)
としては、特に限定されるものではないが、片末端に不
飽和二重結合(反応性基(II))を有し、他方の末端に
セグメント(B)における活性点(官能基(III))と反
応性を有する反応性基(IV)を有する、両末端の反応性
が異なる化合物(ヘテロファンクショナルな化合物)が
好ましい。なお、前記した重合性単量体(a)も同様に
ヘテロファンクショナルな化合物であるが、この化合物
(d)としては、少なくとも前記重合性単量体(a)と
は、別種の反応性基を有するものとする必要がある。
【0202】この化合物(d)の有する反応性基(IV)
としては、セグメント(B)における活性点(官能基
(III))と反応性を有するものである限り、特に限定さ
れるものではないが、イソシアネート基であることが望
ましい。反応性基としてイソシアネート基を有する化合
物を使用すれば、前記したセグメント(B)の官能基
(III )として、アルコール性ないしフェノール性の水
酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基、シラノール基
などを用いることができ、かつ、適当な条件を選択する
ことにより、このセグメント(B)における官能基(II
I )とセグメント(A)に導入されたエポキシ基、チオ
エポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基などの
反応性基(I)との反応、および当該イソシアネート基
とセグメント(A)に導入された反応性基(I)との反
応を生じるさせることなく、容易にセグメント(B)の
官能基(III )にイソシアネート基を反応させて結合さ
せ、セグメント(B)に化合物(d)の有する不飽和二
重結合を導入することができるためである。特にセグメ
ント(B)の官能基(III )がアルコール性ないしフェ
ノール性の水酸基であると、このイソシアネート基との
間で良好な求核反応が生起し、ウレタン結合を形成する
ことができるために好ましい。
【0203】反応基としてイソシアネート基を片末端に
有し、他方の末端に不飽和二重結合を有する、化合物
(d)として特に好ましいイソシアネート基含有不飽和
化合物(d1 )としては、(メタ)アクリロイルイソシ
アネート、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水
酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化
合物との部分反応物、(メタ)アクリル残基を有するポ
リオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得
られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーなど
といったものが例示できるが、このうち特に、以下に示
すような構造式を有する(メタ)アクリロイルイソシア
ネート、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレート
などが望ましい。
【0204】
【化90】
【0205】(ただし、式中R1 は水素原子またはメチ
ル基である。)
【0206】
【化91】
【0207】(ただし、式中R1 は水素原子またはメチ
ル基を示し、R2 は炭素数1〜10のアルキレン基であ
る。)
【0208】
【化92】
【0209】(ただし、式中R1 は水素原子またはメチ
ル基を示し、R2 は炭素数1〜10のアルキレン基であ
る。) 化合物(d)として上記したようなイソシアネート基含
有不飽和化合物(d1)を用い、セグメント(B)に官
能基(III )としてアルコール性ないしフェノール性の
水酸基を有する前駆体重合体と反応させ、前駆体重合体
のセグメント(B)に不飽和二重結合を導入する場合、
化合物(d)の添加量は、前駆体重合体のセグメント
(B)が有する水酸基1当量に対して、イソシアネート
基が0.01〜1当量、より好ましくは0.3〜1.0
当量の割合となるように調整する必要がある。すなわ
ち、水酸基1当量に対してイソシアネート基が0.01
当量未満の割合であると、有効量の不飽和二重結合をセ
グメント(B)に導入することができず、一方、水酸基
1当量に対してイソシアネート基が1当量を越える割合
であると、精製したウレタン結合にさらにイソシアネー
ト基が反応してアロハネート結合を生じ所望の構造が得
られず、また未反応のイソシアネート基含有不飽和化合
物が残留してしまうため、いずれも好ましくない。また
反応条件としては、あまり高温条件であると、イソシア
ネート基含有不飽和化合物の不飽和二重結合に重合反応
が生じゲル化したり、イソシアネート基が前駆体重合体
のセグメント(A)が有するエポキシ基などとも反応す
る不具合が生じるため、20〜100℃で1〜5時間と
いった条件が望ましい。なお、反応時における上記した
ような重合反応を抑制するために重合防止剤を用いるこ
とも可能である。なお、これらの反応に触媒を用いるこ
とは後の物性に悪影響を及ぼさない限り可能であり、グ
ラフト化反応が高温長持間となり問題が生じる場合、通
常用いられるウレタン化触媒を使用し、これらの問題を
回避しても良い。
【0210】本発明で用いることのできるグラフト型重
合体を得る別の方法としては、例えば、カーボンブラッ
クに対する反応性基(I)を有する化合物(e)を、該
化合物と反応し得る基をセグメント(A)に有しかつこ
のセグメント(A)にセグメント(B)がグラフトして
なる第1前駆体重合体に反応させて該反応性基を該第1
前駆体重合体中に導入し、上記したような最終的な前駆
体(カーボンブラックに対する反応性基を有するセグメ
ント(A)とセグメント(B)の主骨格部分とからなる
グラフト型の前駆体重合体)とし、その後上記と同様に
してセグメント(B)に、不飽和二重結合を有する側鎖
ないし延長鎖を導入するする方法を挙げることができ
る。
【0211】上記化合物(e)としては、例えば、カー
ボンブラックに対する前記の反応性基(I)の1種を分
子内に2個以上有する化合物、カーボンブラックに対す
る前記の反応性基(I)の2種以上を分子内に有する化
合物、カーボンブラックに対する前記の反応性基(I)
の1種以上と前記の反応性基(I)以外の官能基とを分
子内に有する化合物等を挙げることができる。
【0212】ただし、上記の官能基とはエポキシ基、チ
オエポキシ基、アジリジン基、N−ヒドロキシアルキル
アミド基およびオキサゾリン基以外のものであって、か
つ、前記の第1前駆体重合体のセグメント(A)の有す
る当該反応し得る基と反応し得るものである。第1前駆
体重合体のセグメント(A)の有する反応し得る基とし
ては例えばイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル
基、ヒドロキシル基、ビニル基等を挙げることができる
が、上記したセグメント(B)の有する官能基とは別種
のものである必要がある。
【0213】なお、前記第1前駆体重合体に対して、先
にセグメント(B)への不飽和二重結合の導入を行な
い、その後セグメント(A)へのカーボンブラックに対
する反応性基(I)の導入を行なうことも可能である。
【0214】またブロック型の重合体を得る方法として
は、例えばアニオンリビング重合法、カチオンリビング
重合法、イニファータ法等が知られており、さらに、他
の方法としては、セグメント(A)またはセグメント
(B)の単量体をラジカル重合する際に、チオールカル
ボン酸、あるいは2−アセチルチオエチルチオール、1
0−アセチルチオデカンチオール等の分子内にチオエス
テルとチオール基とを含有する化合物を共存させて重合
して得られた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等
のアルカリで処理して、片末端にチオール基を有する重
合体とし、得られた片末端にチオール基を有する重合体
の存在下でもう一方のセグメントの単量体成分をラジカ
ル重合する方法が知られている。
【0215】従って、本発明に係るブロック共重合体を
得るには、上記したような公知の方法を適宜変更し、前
記グラフト共重合体を得る場合と同様に、セグメント
(A)の重合性単量体として少なくともその一部に前記
したような反応性基(I)を有する重合性単量体(a)
を用いて、ブロック共重合体の重合の際にセグメント
(A)に反応性基(I)を導入するか、あるいはブロッ
ク共重合体の重合後に、このような反応性基(I)をセ
グメント(A)に導入すればよい。これらのブロック共
重合体の場合におけるセグメント(B)への不飽和二重
結合の導入についても、前記グラフト共重合体の場合と
同様の手法を用いることができる。
【0216】この理解のために、ほんの一例を述べる
と、アニオンリビング法による合成方法として、4−ビ
ニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中窒
素気流中にスチレンを加え、重合した後、低温下でメタ
クリル酸メチルを重合させることによりA−Bブロック
(スチレン−メタクリル酸メチル)共重合体を得、その
後セグメント(A)の開始末端のビニル基を3−クロロ
過安息香酸を使ってエポキサイド基に変換することによ
ってセグメント(A)にカーボンブラックと反応性を有
する反応性基(I)を導入することができる。あるい
は、4−ビニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロ
フラン中窒素気流中にスチレンを加え、重合して、セグ
メント(A)部分を得た後、反応系にグリシジルメタク
リレートを添加してセグメント(A)に反応性基(I)
を有するセグメントを結合させ、さらにその後、低温下
でメタクリル酸メチルを重合させることによりといった
手法を採ることもできる。
【0217】このようにして得られるグラフトないしは
ブロック型重合体の分子量については特に制限されない
が、カーボンブラックに対するグラフト化の効果や、カ
ーボンブラックとの反応時の作業性を考慮すると上記分
子量は平均分子量1000〜1000000の範囲とす
ることが好ましく、より好ましくは5000〜1000
00の範囲である。
【0218】また、グラフトないしはブロック型重合体
におけるセグメント(A)およびセグメント(B)の分
子量としても特に制限されるものではなく、これらのセ
グメントを構成する重合鎖の種類等によっても左右され
るが、カーボンブラックに対するグラフト効率の面から
するとセグメント(A)は平均分子量300〜1000
00の範囲、より好ましくは5000〜50000の範
囲とすることが好ましく、またカーボンブラックに付与
しようとする分散性改質効果の面からするとセグメント
(B)は平均分子量500〜100000の範囲、より
好ましくは1000〜50000の範囲とすることが好
ましい。さらに、グラフトないしはブロック型重合体の
セグメント(A)が有する反応性基(I)の数としても
特に限定されるものではないが、重合体1分子当り平均
して50〜1、より好ましくは20〜1程度、またセグ
メント(B)が有する不飽和二重結合、ないし目的媒体
のマトリックスと反応し得る基(II)の数としても特に
限定されるものではないが、重合体1分子当り平均して
20〜1、より好ましくは10〜1程度有することが望
まれる。なお、重合体1分子当りの二重結合等の基(I
I)の数そのものは、得られる反応性カーボンブラック
グラフトポリマーが配合される硬化性組成物などの媒体
との関係(例えば、感度、反射特性など)から適宜決定
されるものである。例えば、後述するような黒色光硬化
性組成物において、光硬化性モノマーの添加量を少なく
したい場合、反応性カーボンブラックグラフトポリマー
の有する二重結合数を増加させることにより感度の維持
に努めることができる。
【0219】第1の態様において、上記したようなグラ
フトないしブロック型の重合体のカーボンブラックへの
グラフト化は、得られる反応性カーボンブラックグラフ
トポリマーを分散性させようとする前記目的媒体若しく
はこれに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在
下で行なわれる。すなわち、この分散媒液は、当該重合
体のセグメント(B)に対し高い親和性ないし相溶性を
有しセグメント(A)に対しては親和性ないし相溶性の
低いものである。
【0220】従って使用される分散媒液は、当該重合体
におけるセグメント(A)とセグメント(B)の組合せ
に応じて、適宜選択される。
【0221】例えば、重合体におけるセグメント(A)
がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)が
ポリシロキサン構造を有するものである場合、使用され
る分散媒液としては、ポリジメチルシロキサン、部分オ
クチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換
ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等
のシリコーンオイルなどが好ましい。
【0222】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばポリメチルメタクリレートなどの疎水性
(メタ)アクリル系構造を有するものである場合、使用
される分散媒液としては、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ等のセロソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ピロ
リドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシドなどの非プロトン性極性溶剤などが好ましい。
【0223】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばメチルメタクリレート−ヒドロキシメチ
ルメタクリレートコポリマーなどの親水性(メタ)アク
リル系構造を有するものである場合、使用される分散媒
液としては、水、水−アルコール混液、メチルアルコー
ル、エチルアルコールなどのアルコール類;メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのエステ
ル類;アセトンなどのケトン類;ピロリドン、N,N−
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが好
ましい。
【0224】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばポリアルキレングリコール系構造を有す
るものである場合、使用される分散媒液としては、水、
水−アルコール混液、メチルアルコール、エチルアルコ
ールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチ
レングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどの
多価アルコール類などが好ましい。
【0225】このような分散媒液存在下によるカーボン
ブラックと前記重合体のグラフト化においては、さらに
該重合体に該当しないポリマー、重合性単量体等の他の
物質を存在させることもできる。
【0226】このグラフト化は、例えば、50〜150
℃、好ましくは70〜140℃の温度下に、0.5〜1
0時間、好ましくは1〜5時間攪拌混合することにより
行なわれる。反応温度が50℃未満の場合にはグラフト
化が進行しないことがあり好ましくない。150℃を越
える場合は、セグメント(B)の有する不飽和二重結合
が消失したりすることがあり、好ましくない。
【0227】反応の手順としては、カーボンブラックお
よび重合体と、前記分散媒体を反応装置に仕込み、加熱
下に混合すればよい。
【0228】反応装置としては、通常の攪拌に用いられ
る攪拌槽や混練に用いられるボールミル、ミキサー、ニ
ーダー等の混練機を用いることができるが、特に望まし
くは、被処理流体を内部に収容するためのベッセル、こ
のベッセル内部において回転する攪拌子、ベッセル内部
に収容された被処理流体を加熱するための加熱装置、お
よび、ベッセル内部に収容された複数の粒状分散媒体を
有してなる湿式分散処理装置である。攪拌子とビーズ等
の粒状分散媒体を併用して攪拌ないし解砕を行なう湿式
分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置は、公知のものと
して数多く知られているが、本発明においては、このよ
うな処理装置に、被処理流体を加熱するための加熱装置
を付加するという装置構成として用いるものである。こ
のような構成の装置を用いれば、極めて高効率で、かつ
十分に小さな粒径を有する(即ち、二次凝集状態から良
好に解砕されたカーボンブラックに重合体がグラフト化
する。)カーボンブラックグラフトポリマーを得ること
ができる。
【0229】このようなグラフト化におけるカーボンブ
ラックと前記重合体との配合割合は、使用される前記重
合体の種類、得ようとする製品の用途等に応じて左右さ
れるものであるため、一概には規定できないが、カーボ
ンブラック100重量部に対し、前記重合体1〜100
0重量部、より好ましくは2〜500重量部程度とする
ことが望ましい。すなわち、重合体が1重量部未満であ
ると、カーボンブラックの表面性状を十分に改質するこ
とが困難となる虞れがあり、一方1000重量部を越え
ると、カーボンブラックに結合する重合体の量が多くな
り、経済的でないのみならず、本来的に要求されるカー
ボンブラックの特性を損なう虞れがあるためある。
【0230】次に第2の態様に係る反応性カーボンブラ
ックグラフトポリマーの製造方法について説明する。
【0231】当該第2の態様に係る製造方法は、上記に
詳述した第1の態様に係る製造方法と、カーボンブラッ
クに対する重合体部分のグラフト化と、重合体のセグメ
ント(A)および/またはセグメント(B)への不飽和
二重結合等の反応性基(II)の導入工程との順序を逆に
した以外は、基本的にはほぼ同様のものである。すなわ
ち、第2の態様に係る製造方法においては、上記したと
同様にして、カーボンブラックに対する反応性基(I)
を有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格
部分とからなるブロック型ないしグラフト型の前駆体重
合体を得た後、この前駆体重合体を、目的媒体若しくは
これに近い性状を有する媒体からなる分散媒液の存在下
で、カーボンブラックにグラフト化させ、その後カーボ
ンブラックにグラフト化された前駆体重合体に前記した
ような反応性基(II)を導入するものである。
【0232】なお、この場合、該前駆体重合体として
は、セグメント(A)にカーボンブラック表面の官能基
と反応性を有する基(I)を有し、かつカーボンブラッ
ク表面の官能基とは実質的に反応性を有しない官能基
(III )をセグメント(A)および/またはセグメント
(B)に有する構造のものとしておき、この前駆体重合
体をカーボンブラックにグラフト化させた後、前駆体重
合体の有する官能基(III)と反応し得る反応性基(I
V)と目的媒体のマトリックスと反応性を有する基(I
I)をもつ化合物(d)を、前記前駆体重合体をグラフ
ト化させたカーボンブラックに反応させて、前駆体重合
体に前記基(II)を導入する方法を採択することが望ま
しい(なお、前記第1の態様では、官能基(III )は、
反応性基(II)の重合体への導入のために、カーボンブ
ラックと重合体とのグラフト化の前に実質的に消費され
るものであるゆえ、該官能基(III )は、前記したよう
に、セグメント(A)の有する反応性基(I)に対して
カーボンブラックの表面官能基よりも活性の低いもので
あることが重要であるが、この第2の態様の場合、カー
ボンブラックと前駆体重合体とのグラフト化後において
も、該官能基(III )が実質的に消費されずに残ってい
る必要があるため、該官能基(III )がカーボンブラッ
ク表面の官能基とは実質的に反応性を有しないという点
がより重要である。)。
【0233】例えば、上記した第1の態様の方法の説明
において例示したと同様にセグメント(B)にのみ反応
性基(II)としての不飽和二重結合基を導入する場合に
おいては、カーボンブラックに対する反応性基(I)を
有するセグメント(A)とセグメント(B)の主骨格部
分とからなるブロック型ないしグラフト型の前駆体重合
体を得た後、この前駆体重合体をカーボンブラックにグ
ラフト化させ、その後カーボンブラックにグラフト化さ
れた前駆体重合体に、前記したように化合物(d)など
を用いて不飽和二重結合を導入すればよい。
【0234】この方法によれば、グラフト化に際してセ
グメント(B)が不飽和二重結合を有していないため
に、セグメント(A)の有する反応性基(I)としてエ
ポキシ基などを使用した場合におけるように、グラフト
化に比較的高温長持間の反応条件を有するような場合で
あっても、前記第1の態様の方法におけるようにグラフ
ト化時における不飽和二重結合の消失の問題が生じず、
また不飽和二重結合の導入に際しては、セグメント
(A)の有する反応性基(I)が既にカーボンブラック
との結合に消費されているために、化合物(d)の有す
るイソシアネート基などの反応性基とセグメント(A)
の有する反応性基(I)との反応といった問題も生じな
い点で有利である。また、エポキシ基がカーボンブラッ
クと反応し、エポキシ環が開環した後に生じる水酸基に
ついても同様にイソシアナート基が付加する可能性があ
るが、開環してできた水酸基はカーボンブラック表面近
傍に存在するため、媒質中に伸びるセグメント(B)に
付与した水酸基との反応が優先されるものである。な
お、話は前後するが、前記第1の態様の方法において
は、セグメント(A)の有する反応性基(I)として、
オキサゾリン基、アジリジン基など比較的低温条件にお
いても、カーボンブラックの表面官能基と反応するもも
のが、前記したようなグラフト化時における不飽和二重
結合の消失の虞れが少なくなるために好ましい。
【0235】この第2の態様における前駆体重合体のカ
ーボンブラックに対するグラフト化は、上記したように
前記第1の態様における場合よりも比較的制限がなく、
例えば、100〜250℃、好ましくは140〜200
℃の温度下に、0.2〜5時間、好ましくは0.5〜3
時間攪拌混合することにより行い得る。またグラフト化
された前駆体重合体のセグメント(B)への化合物
(d)を用いての不飽和二重結合の導入条件も、比較的
制限がなく、例えば、10〜100℃で0.5〜5時間
といったものとすることができる。これら以外の点につ
いては、前記第1の態様におけるものとほぼ同様である
ため説明を省略する。
【0236】次に第3の態様に係る反応性カーボンブラ
ックグラフトポリマーの製造方法について説明する。
【0237】当該第3の態様に係る製造方法は、上記に
詳述した第1の態様に係る製造方法と、基本的にはほぼ
同様のものであるが、前記したようなグラフトないしブ
ロック型重合体における、カーボンブラック表面の官能
基と反応し得る反応性基(I)を有するセグメント
(A)を、目的媒体に対し親和性の高いセグメント
(B)よりもカーボンブラックに対する親和性の高いも
のとして分子設計したものを用い、カーボンブラックに
グラフト化させるものである。
【0238】従って、グラフト化反応系において、比較
的任意(セグメント(A)の方に極端に高い親和性を示
す分散媒液以外)の分散媒体の下、あるいはこのような
分散媒体を不在下においても、この重合体のセグメント
(A)がカーボンブラック側に配向するため、当該セグ
メント(A)に存在する反応性基(I)がカーボンブラ
ック表面により有効にグラフト化され、上記第1発明の
場合と同様に優れた特性を有する反応性カーボンブラッ
クグラフトポリマーが得られるものである。
【0239】用いられるグラフトないしブロック型重合
体における反応性基(I)を有する(A)セグメント
は、そのセグメント鎖構造上でカーボンブラックに対し
親和性の高いものとする必要がある。なお、ここでいう
高い親和性とは、あくまで他方の(B)セグメントとの
対比による相対的なものであるため、(B)セグメント
の構成いかんによって、(A)セグメントは各種の構成
とすることができ、一概には特定できない。しかしなが
ら、前記(A)セグメントは、その主鎖が炭素−炭素結
合を主とするもの、より好ましくは、例えばベンゼン
環、ナフタレン環、インデン環などのような芳香環を主
鎖に含むもので、かつ前記したような反応性基(I)を
分子内に有するものとし、一方、前記(B)セグメント
は、(A)セグメントよりも炭素−炭素結合の少ない、
特に芳香環の少ない骨格構造、例えばポリシロキサン構
造、あるいはエーテル結合、エステル結合等の炭素−炭
素結合以外の結合を多く含むものとすることが望まし
い。
【0240】ただ、(A)セグメントが実質的に高度の
縮合多環構造のみで構成されてしまうと(A)セグメン
トの剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブラッ
クへのグラフト時にカーボンブラック表面への(A)セ
グメントの近接が困難な虞れがあるために、適度な線状
構造を有することが望ましい。
【0241】上記したように、(A)セグメントの鎖構
造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面
から選択される(B)セグメントの鎖構造、例えば、前
記したように、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)ア
クリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリエ
ーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン系
構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン
構造などを有する重合鎖に応じて決定され、これよりも
カーボンブラックに対し親和性の高いものとされればよ
く、特に限定されるものではないが、一般には、ビニル
系ポリマー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分
を50モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含
みかつ反応性性基を有するビニル系ポリマーであること
が、望ましく、さらに経済性等を考慮すると特に、スチ
レン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とす
る単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成
分を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上
記反応性基を有する)重合鎖である。なお、セグメント
(B)がポリシロキサン系重合鎖などである場合、前記
セグメント(A)として使用可能な重合鎖の種類は比較
的多いが、セグメント(B)が、例えば、ポリ(メタ)
アクリル系構造などのビニル系構造となると、前記セグ
メント(A)を構成できる重合鎖としては、かなり限定
され、ポリスチレン系構造、(メタ)アクリル−スチレ
ン共重合系構造などのみとなる。
【0242】第3の態様に係る製造方法において、カー
ボンブラックと上記重合体とのグラフト化は、これらの
成分を、上記重合体のセグメント(A)の方に極端に高
い親和性を示さない限り、任意の分散媒液の存在下に、
あるいはこのような分散媒液を存在させずに攪拌混合、
あるいは溶融混練することで行なわれる。
【0243】使用可能な分散媒液としては、当該重合体
のセグメント(A)の構成によっても左右されるが、例
えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール
類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレ
ン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエ
ン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベン
ゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分水添さ
れたトリフェニル等の炭化水素;ポリジメチルシロキサ
ン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フ
ェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコー
ンオイル等のシリコーンオイル;クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロビフェニル、ク
ロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素;ダイフ
ロイル(ダイキン工業株式会社製)、デムナム(ダイキ
ン工業株式会社製)の等のフッ化物;安息香酸エチル、
安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット
酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクチ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸ドデシル等のエステル化合物等を挙げることがで
きる。
【0244】グラフト化処理時におけるその他の条件に
ついては、上記第1の態様の場合と同様であり、また得
られる反応性カーボンブラックグラフトポリマーの特性
等も同様である。
【0245】また本発明の第4の態様に係る製造方法
は、前記第2の態様におけると同様に、カーボンブラッ
クに対する反応性基(I)を有するセグメント(A)と
セグメント(B)の主骨格部分とからなるブロック型な
いしグラフト型の前駆体重合体を得た後、この前駆体重
合体をカーボンブラックにグラフト化させ、その後カー
ボンブラックにグラフト化された前駆体重合体に、不飽
和二重結合等の反応性基(II)を導入するものであり、
かつ前記第3の態様におけると同様に、ブロック型ない
しグラフト型の重合体(前駆体重合体)におけるカーボ
ンブラック表面の官能基と反応し得る反応性基(I)を
有するセグメント(A)を、セグメント(B)よりもカ
ーボンブラックに対する親和性の高いものとして分子設
計したものを用い、カーボンブラックにグラフト化させ
るものである。なお、この第4の態様に係る方法におけ
る各種条件としては、前記第3の態様に係る製造方法に
おける条件とほぼ同様のものであるが、前記第2の態様
に係る製造方法における場合と同様に、グラフト化時お
よび不飽和二重結合等の官能基(II)導入時の反応温度
条件としては、第3の態様に係る製造方法におけるもの
と比較して比較的広範なものとすることができる。
【0246】以上、本発明に係る反応性カーボンブラッ
クグラフトポリマーに関し、グラフトないしブロック型
重合体のセグメント(A)がカーボンブラックと反応性
を有する基(I)をもち、セグメント(B)に目的媒体
のマトリックスと反応性を有する基(II)として不飽和
二重結合基を有する場合を中心として本発明を説明して
きたが、それ以外の例について述べる。
【0247】例えば、基(II)が、カルボキシル基の場
合、予めカーボンブラック表面のカルボキシル基と反応
せしめるための、カーボンブラックとの反応性を有する
基(I)をもつ重合体中にカルボキシル基を導入するこ
とは、ゲル化反応など生起してしまう困難がある。
【0248】したがって、予め水酸基等を基(III)と
して導入しておいた重合体とカーボンブラックとを反応
せしめた後に酸無水物等を付加せしめ、グラフト化した
重合体鎖中の前記水酸基と酸無水物とのハーフエステル
化反応により、カルボキシル基を導入する方法や、保
護基でブロックされたものを基(IV)として導入してお
いた重合体とカーボンブラックとを反応せしめた後に、
保護基を除去し、カルボキシル基を導入する方法が好適
である。
【0249】の方法において用いられる酸無水物とし
ては無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、テ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、
メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチ
レンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレン
テトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル
酸、トリメリット酸等の二塩基酸無水物、脂肪族あるい
は芳香族四カルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物等
が挙げられこれらの1種または2種以上を使用すること
ができる。
【0250】酸無水物の使用量は、カーボンブラックに
グラフト化させた重合体中の水酸基1化学当量あたり、
0.1〜1.1化学当量が適しており、反応条件は希釈
剤の存在下あるいは非存在下でハイドロキノンや酸素等
の重合禁止剤の存在下あるいは非存在下で50〜130
℃で反応させることができる。この水酸基と酸無水物の
ハーフエステル化反応に際し、一般的な文献、例えば新
実験化学講座14,「有機化合物の合成と反応(I
I)」、丸善株式会社発行、昭和52年12月20日発
行、第1014頁に記載されている様な触媒を用いるこ
とができる。触媒としては酸触媒、塩基性触媒、金属無
機塩等が挙げられる。酸触媒としては、硫酸、p−トル
エンスルホン酸等またはこれらの併用系が挙げられる。
塩基性触媒としては、第3級アミン、例えばトリエチル
アミン、トリエチレンジアミン、N−ペンタメチルエチ
レントリアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、
N,N−ジメチルウラリルアミン、N,N,N´,N´
−テトラメチルプロピレンジアミン、N−メチルモルホ
リン、N−エチルモルホリン、N,N´−メチルピペラ
ジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピ
ロリジノピリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,
4,0]−7−ウンデセン(DBU)等またはこれらの
併用系が挙げられる。金属無機塩としては、例えばリチ
ウム、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム、スズ、亜
鉛、鉛等の金属の塩化物や酢酸ナトリウム等またはこれ
らの併用系が挙げられる。
【0251】一方、の方法におけるカルボキシル基に
対する保護基としては、各種のものが知られているが、
例えば、テトラヒドロピラニル基などを用いることが可
能である。保護基の除去の後、アクリル酸またはメタク
リル酸を生じるブロックされたモノマーの例としては、
トリメチルシリルメタクリレート、トリメチルシリルア
クリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エ
トキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニル
アクリレート、t−ブチルメタクリレートおよび2−テ
トラヒドロピラニルメタクリレートなどが例示できる。
【0252】また基(II)が、水酸基である場合は、セ
グメント(A)ないしセグメント(B)を構成するモノ
マーとして、例えば、アクリル酸ヒドロキシメチル、ア
クリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、アクリル酸ヒドロキシ2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸
ヒドロキシ2−エチルヘキシル等のアクリル酸あるいは
メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル系モノマー;
ヒドロキシアクリルアミド、ヒドロキシメタクリルアミ
ド等ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等を少な
くともその一部に用いることで重合体に当該水酸基を導
入することが可能である。
【0253】また基(II)が、アルコキシシリル基であ
る場合は、例えば、セグメント(A)を構成するモノマ
ーとして、以下に示すような一般式で表わされるような
ものを少なくともその一部に用いることで重合体にアル
コキシシリル基を導入することが可能である。
【0254】
【化93】
【0255】
【化94】
【0256】
【化95】
【0257】(但し、上記式中、R1 は水素原子または
1 〜C5 の置換されていても良いアルキル基、R2
水素原子またはメチル基、R3 は二価の有機基、R4
水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、アシル基から選ばれてなる置換さ
れていても良い基であり、l、m、nは互いに独立に0
または1であり、1分子中の複数のR1 は互いに同一で
あっても異なっていても良い。) 上記一般式で示されるアルコキシシリル基含有モノマー
の具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルフェニルジメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、1−ヘキセニ
ルトリメトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシ
ラン、ビニロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ビ
ニルフェニルトリメトキシシラン、3−(ビニルベンジ
ルアミノプロピル)トリメトキシシラン等がある。な
お、セグメント(B)にアルコキシシラン基を導入する
場合には、例えば、前記したようなポリシロキサン系構
造を有するラジカル重合性高分子量体(b1)がアルコ
キシシリル基(保護基によりブロッキングされているも
のが好ましい。)を用いるといった手法が用いられ得
る。
【0258】このようにして得られる本発明に係る反応
性カーボンブラックグラフトポリマーの平均粒子径は
0.001〜0.5μm、特に0.005〜0.2μm
の範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.00
1μm未満のカーボンブラックグラフトポリマーは、原
料となるカーボンブラックが容易に得られないため産業
上意義が小さい。また平均粒子径が0.5μmを越える
場合、十分な分散性が得られないことがある。
【0259】本発明の反応性カーボンブラックグラフト
ポリマーは、カーボンブラック部分と重合体部分の割合
が、前者100重量部に対し後者1〜1000重量部、
特に5〜500重量部であることが好ましい。後者が1
重量部未満の場合、得られたカーボンブラックグラフト
ポリマー同士が凝集して、目的媒体中で十分な分散性が
得られない、さらには電気絶縁性、光重合阻害性が改善
されないなどという問題が起こることがある。また後者
が1000重量部を越える場合は、必要以上に重合体部
分がグラフト化されていることになり、着色性、遮光性
などといったカーボンブラック本来の特性を発揮できな
い虞れがある。
【0260】上記したような第1ないし第4の態様の方
法で得られた反応性カーボンブラックグラフトポリマー
は、種々の物質、例えば有機高分子、水、有機溶剤等へ
の分散性が著しく優れており、また一般に電気絶縁性が
高くなることに加え、数多くの特性を有することとな
る。
【0261】第1にセグメント(A)および/またはセ
グメント(B)が不飽和二重結合等の反応性基(II)を
有することで、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成
物などといった各種の媒体に添加した場合、反応性カー
ボンブラックグラフトポリマーが、当該媒体の硬化反応
に寄与することができるために、カーボンブラックグラ
フトポリマーの添加量を増やしても、短時間で十分な硬
化反応が進行し、かつ得られる硬化皮膜ないし硬化物に
おける硬度、カーボンブラックの分散安定性が優れたも
のとなる。
【0262】なお、この点について、本発明の反応性カ
ーボンブラックグラフトポリマーが、シランカップリン
グ剤に類似する効果を有すると先に説明したが、一般的
に知られるシランカップリング剤とは、詳細にはその作
用機序が異なるものであることを説明する。
【0263】すなわち、一般的なシランカップリング剤
は、無機質表面の水酸基(M−OH)とシランカップリ
ング剤のSi−OR基(アルコキシシリル基)が加水分
解によりオキサン結合(−M−O−Si−)をつくる一
方、シランカップリング剤の一方の有機官能基が、有機
質(バインダー)と反応を形成し、有機質と無機質の橋
かけを行なうものである。ここで、Si−OR基(アル
コキシシリル基)は、無機質のゼータ電位が正なるもの
には反応し易く、カーボンブラックのようなどちらかと
いえば負に帯電しているものの適用には不利であること
や、カーボンブラックのカルボキシル基とアルコキシシ
リル基とのエステル交換反応は生成系の−COO−Si
−なる結合が非常に不安定で実質上、反応は困難をきわ
める。
【0264】さらには、通常のカップリング剤は、比較
的低分子量であるがゆえに、本発明の高分子ブロックな
いしグラフト体に比較して、分散系の立体安定効果がな
いため、経時安定性にも問題があると考えられ、本発明
に係る反応性カーボンブラックグラフトポリマーを用い
る代わりに、カーボンブラックを目的媒体に分散させる
際にシランカップリング剤を併用したとしても、同様の
効果は期待できないものである。
【0265】第2に、例えば、重合体のセグメント
(B)が、ポリシロキサン系構造鎖であった場合、撥水
性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れ
ていることや、低温脆性がないといった特性が、また
(メタ)アクリル系鎖であった場合、種々の(メタ)ア
クリルエステル単量体成分を導入して、特に幅広い親水
性−疎水性が、さらに、ポリアルキレングリコール鎖で
あった場合、親水性、潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特
性が付与される。
【0266】従って、該反応性カーボンブラックグラフ
トポリマーを従来公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の
着色剤、充填剤等として利用することが可能である。熱
可塑性樹脂に添加した場合、上記特徴を有するトナー、
フィルム、繊維等に使用することができる。また、該反
応性カーボンブラックグラフトポリマーを熱硬化性樹脂
に添加した場合にも同様な特徴を有し、従来カーボンと
して問題のあったものの解決を計ることができる。
【0267】また、本発明の反応性カーボンブラックグ
ラフトポリマーの用途としては、被覆組成物がある。被
覆組成物に用いるバインダーへ添加して、種々の基体に
塗装することにより強固な被膜を形成し得るものが好ま
しい。このようなバインダー成分は例えば従来より公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または反応性樹脂であっ
て、用途によりこれらの1種または2種以上の混合物が
使用される。
【0268】さらに、例えば、光硬化性樹脂組成物に該
反応性カーボンブラックグラフトポリマーを添加するこ
とにより、黒色光硬化性樹脂組成物を得ることができ、
特にカラーフィルターのブラックマトリックス用に好適
に使用することができる。
【0269】本発明に係る反応性カーボンブラックグラ
フトポリマーは、カーボンブラックの表面官能基と、前
記ブロックないしグラフト型の重合体成分におけるセグ
メント(A)の反応性基(I)とが高い反応性を有する
ために、該重合体成分が高い効率でカーボンブラック表
面にグラフト化されたものである。このため、カーボン
ブラックの表面に存在するキノン基、フェノール性水酸
基などの重合阻害性官能基が被覆され、光硬化性樹脂組
成物の光硬化遅延が抑制される。また得られるグラフト
カーボンブラックは、前記重合体におけるセグメント
(B)が外側に配向するために、種々の物質との親和性
が改良されており、各種光硬化性樹脂組成物への分散性
が優れており、さらに良好な潤滑性を有するために、光
硬化性樹脂組成物へ分散させた際に適度な粘度を発揮す
ることとなる。加えて、前記重合体部分、より好ましく
はセグメント(B)に反応性基(II)として不飽和二重
結合が存在するため光重合ないし光架橋反応にも寄与す
ることとなり、UV塗料、UVインキ、カラーフィルタ
ー用光硬化性樹脂組成物などにおける着色剤として好適
に使用できるものである。
【0270】このようなカーボンブラックグラフトポリ
マーを着色剤ないし遮光剤として配合する光硬化性樹脂
組成物としては、従来このような分野において用いられ
る種々の組成と同様のものを用いることができ、光架橋
又は光重合可能なモノマー、オリゴマーおよび/または
プレポリマーを含有し得る。また光硬化性樹脂組成物
は、親油性および/または親水性のいずれであってもよ
く、前記したカーボンブラックグラフトポリマーの合成
に用いられたブロックないしグラフト型の重合体におけ
るセグメント(B)の性質を光硬化性樹脂組成物の性質
と相応するものとすることにより、カーボンブラックの
良好な分散性が得られる。
【0271】モノマーとしては、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールメタアクリレート、
ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレング
リコールメタアクリレート、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレ
ート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ネオペン
チルグリコールメタアクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジアクリレート、トリメチロールプロパントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、β−ヒドロキ
シアルキルアクリレート、β−ヒドロキシアルキルメタ
アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイ
ソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフ
タレート、メラミンアクリレート、ブトキシエチルアク
リレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレ
ート、テトラヒドロキシアクリレート、テトラヒドロキ
シメタアクリレート、アミノアルキルアクリレート、ア
ミノアルキルメタアクリレート、トリエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアク
リレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリメタアクリレート、1,5−ペンタジオール
ジアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリセロ
ールジアクリレート、グリセロールジメタアクリレー
ト、グリセロールアクロキシジメタアクリレート、エチ
ルカルビトールアクリレート、メチルトリグリコールア
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフ
ェート、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアマイ
ド、N−メチロールアクリルアマイド、N−n−ブトキ
シメチルアクリルアマイド、N−(1,1−ジメチル−
3−オキソブチル)アクリルアマイド及びイタコン酸等
のエチレン性不飽和化合物を使用することができる。
【0272】またオリゴマーないしプレポリマーとして
は、例えば、ポリオールの活性水素原子をアクリロイル
基またはメタアクリロイル基で置換したポリエステル及
び不飽和ポリエステル樹脂、乾性油変性アルキッド樹
脂、アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸
を共重合成分とするビニル共重合体とグリシジルアクリ
レート、グリシジルメタアクリレートのごときエポキシ
基を有するアクリル系モノマーとの付加物、エポキシ基
を有するアクリル系単量体を共重合成分とするビニル共
重合体と不飽和カルボン酸との付加物、トリレンジイソ
シアナート、ヘキニル共重合体と不飽和カルボン酸との
付加物、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、トリレンジイソシアナート2モルとエ
チレングリコール1モルとの付加物の如き末端にイソシ
アナート基を有するアクリル系単量体との付加物などを
挙げることができる。
【0273】また、光硬化性樹脂組成物中には、必要に
応じて、光増感剤を添加することも可能である。光増感
剤としては、従来公知の各種のもの1種または2種以上
組合わせてを用いることができ、例えば、チオキサント
ン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイ
ンイソブチルエーテル、キサントン、ジメチルキサント
ン、ベンゾフェノン、アントラセン、2,2−ジエトキ
シアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジ
ル、ジフェニルジスルフィド、アントラキノン、1−ク
ロルアントラアキノン、2−エチルアントラキノン、2
−t−ブチルアントラキノン、メチルアントラキノン、
1−クロルメチルナフタリン、N,N´−テトラエチル
−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、ジベンゾスパロ
ン、1,1−ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
【0274】また光硬化性樹脂組成物中には、必要に応
じて、皮膜形成性成分として上記のような光重合性化合
物に相溶性のある有機高分子重合体を配合することが可
能であり、このような有機高分子重合体としては、ポリ
アクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリメ
タアクリル酸エステルまたはその部分加水物、ポリ酢酸
ビニル又はその加水分解物、ポリスチレン、ポリビニル
ブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素
化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリビニルピ
ロリドン、スチレンと無水マレイン酸の共重合体または
ハーフエステルなどが挙げられる。また光硬化性を阻害
しない範囲内で、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類、ジ
メチルホルムアミド等のアミド類、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル類、2−エチルヘキシル
エーテル、ジオキサン、エチレングリコール、モノメチ
ルエーテル等のエーテル類、2−メチルテトラヒドロフ
ラン、フルフラール等のフラン類、クロロホルム、メチ
ルクロロホルム、トリクロルエチレン等のハロゲン化合
物類、n−ヘキサン、n−ヘプタンの如き脂肪族炭化水
素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、アセトニトリル、ドデシルニト
リル等のニトリル類、二硫化炭素、チオフェン等の硫黄
誘導体類などの適当な有機溶剤を添加しても良い。ま
た、光硬化における過反応防止するために必要に応じ
て、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン等の重合抑制剤
を添加することができる。さらに、その他の公知の添加
剤、例えば、増粘剤、チクソ性付与剤、レベリング材、
消泡剤および密着性付与剤等を添加することも任意であ
る。
【0275】本発明の黒色光硬化性樹脂組成物は、前記
したような反応性カーボンブラックグラフトポリマーを
光硬化性樹脂組成物中に配合してなるものであるが、反
応性カーボンブラックグラフトポリマーの光硬化性樹脂
組成物における配合量は、使用される光硬化性樹脂組成
物の種類によっても左右されるが、グラフトカーボンブ
ラックが光硬化性樹脂組成物の1〜80重量%、より好
ましくは5〜60重量%含まれるものであることが望ま
しい。すなわち、反応性カーボンブラックグラフトポリ
マーの配合量が1重量%未満であると、黒化度が低下す
る虞れがあり、一方80重量%を越えるものであると皮
膜の強度が低下する虞れがあるためである。
【0276】また本発明の黒色光硬化性樹脂組成物のう
ち、例えば、カラーフィルター用等の用途に用いられる
ものは、アルカリ可溶型のものとする場合もあるが、こ
のような態様においては、アルカリ可溶型樹脂を含有す
るものであることが望まれる。
【0277】アルカリ現像可能な光硬化性組成物は、基
本的に光重合開始剤と多官能モノマーとアルカリ可溶基
を分子中に有するポリマーバインダーからなり、光を照
射すると硬化し、アルカリ水溶液に不溶化する。
【0278】上記したような反応性カーボンブラックグ
ラフトポリマーを含有する、アルカリ現像可能な感光層
として用いるのに適したアルカリ可溶型光硬化性組成物
に配合され得るバインダーとしては例えば以下のような
ものを挙げることができる。
【0279】スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン
/メタクリル酸共重合体、スチレン/α−メチルスチレ
ン/アクリル酸共重合体等のスチレンを含有するアルカ
リ可溶型樹脂;ベンジルアクリレート/アクリル酸共重
合体、ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体、
ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体、ベンジ
ルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等のアクリル
酸およびメタクリル酸からなる群より選ばれた少なくと
も1種の化合物から導かれた繰返し単位、ならびに
(B)ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレー
ト、3−フェニルプロピルアクリレートおよび3−フェ
ニルプロピルメタクリレートならなる群より選ばれた少
なくとも1種の化合物から導かれた繰返し単位を有する
アルカリ可溶型樹脂;メタクリル酸メチル/メタクリル
酸2−エチルヘキシル/(メタ)アクリル酸三元共重合
体、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸エチル
/(メタ)アクリル酸四元共重合体、メタクリル酸メチ
ル/アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸の三元共重
合体等のメタクリル酸メチルを含有するアルカリ可溶型
樹脂;アクリロニトリル/メタクリル酸2−エチルヘキ
シル/メタクリル酸の3元共重合体等のアクリロニトリ
ルを含有するアルカリ可溶型樹脂;スチレン/マレイン
酸モノ−n−ブチルエステル共重合体、スチレン/マレ
イン酸無水物共重合体の一部ハーフエステル化した重合
体等のマレイン酸無水物のハーフエステル化したアルカ
リ可溶型樹脂;その他これらを組合せたものを当該光硬
化性組成物に添加することができる。
【0280】本発明の黒色光硬化性樹脂組成物は、ガラ
ス板、プラスチックシートないしフィルム、紙、合成
紙、シリコンウェハなどの各種基材上に、バーコータ
ー、スピンコーター、ロールコーター、スプレー塗装、
デッピング、グラビア印刷、スクリーン印刷等の塗布方
法によって塗布した後、紫外線を10〜5000mJ照
射し、硬化させることによって黒色皮膜を形成すること
ができる。
【0281】さらに本発明の黒色光硬化性樹脂組成物を
用いてカラーフィルターにおけるブラックマトリックス
を形成する場合には、例えば次のようにして行なわれ
る。
【0282】該黒色光硬化性樹脂組成物をスピンコータ
ー等によりガラス板等の基板に塗布し、次いでこの塗膜
を熱風乾燥器、ホットプレートなどにより、150℃以
下、特に80〜120℃で、1〜60分間程度乾燥(プ
レベーク)する。なお、これにより得られる黒色光硬化
性樹脂組成物の皮膜は、通常、約1.0〜3.0μm程
度であることが好ましい。その後、この黒色光硬化性樹
脂組成物の皮膜に、ドットパターン、ストライプパター
ン等の所定形状のマスクを密着し、該マスクを通して、
例えば高圧水銀灯などの紫外光源より平行光線を50〜
1000mJ照射してパターン露光した後、現像し、ブ
ラックマトリックスなどのパターンを形成する。
【0283】パターン露光された皮膜の現像は、該皮膜
を適当な現像液に約0〜100℃の温度下に浸漬するな
どして、該皮膜の未硬化部分を溶出し、除去することに
よって行なわれる。現像後、形成された着色画素を、適
当な洗浄液でリンスし、次いで、熱風乾燥器、ホットプ
レートなどにより、約100〜300℃で、1〜120
分間程度熱処理(アフターベーク)し、着色画素を完全
硬化させることが望ましい。
【0284】なお、本発明に係る反応性カーボンブラッ
クグラフトポリマーが、前記したように反応性基(II)
として不飽和二重結合を有するものである場合、露光時
において、皮膜を形成する樹脂マトリックスに、当該不
飽和二重結合の作用により生成する架橋ないし重合鎖を
介して結合していくことができる。このため、その後、
上記のようなアフターベークを行なっても、皮膜中に存
在するカーボンブラックの分散状態は安定に保持され、
アフターベークを行なうことで電気抵抗率が低下すると
いう不具合は見られない。
【0285】本発明に係る黒色光硬化性樹脂組成物を用
いて、カラーフィルターにおけるブラックマトリックス
を形成するに際しては、基板上に先にブラックマトリッ
クスを形成し、その後、赤、緑、青色各色の着色パター
ンを形成する方法、あるいは、基板上に先に赤、緑、青
色各色の着色パターンを形成し、その後、ブラックマト
リックスを形成する方法のいずれでも可能である。
【0286】また、本発明に係る反応性カーボンブラッ
クグラフトポリマーは、カーボンブラックがミクロ分散
しており、着色剤として種々の用途に好適であり、液相
に分散させたもの、すなわち、油性筆記用、情報記録用
あるいは印刷用の分散安定性のよい着色力に優れたイン
キとして該カーボンブラック分散液をそのままであるい
は適宜必要な成分を追加して使用することができる。
【0287】また、本発明の反応性カーボンブラックグ
ラフトポリマー分散液は、メッキ、感熱転写インキ、塗
料等に使用することができる。また、上記特徴を有して
いるために、感熱転写用インクリボンコート剤、磁気記
録媒体等にも使用することができる。
【0288】更には、抵抗を調節した形での用途として
例えば、電気抵抗調整剤、帯電防止剤、半導体デバイス
用封止剤、面状発熱体等がある。
【0289】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0290】参考例1 撹拌羽根、不活性ガス導入管、還流冷却管、温度計およ
び滴下漏斗を備え付けたセパラブルフラスコに、溶剤と
してトルエン250部、メチルエチルケトン50部を仕
込み、N2 ガス導入下85℃にてメチルメタクリレート
(MMA)344部、ヒドロキシエチルメタクリレート
(HEMA)56部、チオグリコール酸8.5部(9.
2271×10-2モル)及びアゾイソブチロニトリル
(AIBN)0.1部の混合溶液を4時間にわたり連続
滴下して重合を行なった。その後AIBN0.1部を加
え同温度で2時間加熱した。
【0291】その後、95℃で1時間加熱して重合を終
了した。この反応液に対して、グリシジルメタクリレー
ト17.0部(1.3倍当量/COOH)、触媒として
テトラブチルアンモニウムブロミド2.5部及び重合禁
止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.08
部を加え反応温度95℃にて8時間反応させたのち、冷
却し、重合体溶液を得た。
【0292】この重合体溶液をn−ヘキサンを用い再沈
を行なった後、減圧乾燥を2日間行い、数平均分子量7
000の片末端メタクリレート型のポリ(メチルメタク
リレート/ヒドロキシエチルメタクリレート)マクロモ
ノマーを得た。
【0293】合成例1 参考例1で得られた片末端メタクロイル基を有するポリ
(メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレ
ート)マクロモノマー75部、スチレンモノマー15.
2部、イソプロペニルオキサゾリンモノマー9.8部、
重合開始剤としてのアゾイソブチロニトリル3部を、エ
チルセロソルブアセテート100部に溶解させ、単量体
組成物(1)を得た。
【0294】参考例1で用いたと同様のフラスコに50
部のエチルセロソルブアセテートを導入した後昇温し
た。80℃に達した後、同温度にて単量体組成物(1)
を2時間にわたり滴下し、引続き80℃で2時間重合を
行なった後95℃に昇温し、2時間熟成を行い、不揮発
分40.0%の重合体溶液(1)を得た。
【0295】合成例2 不揮発分40%の重合体溶液(1)250部に対して、
メタクリロイルイソシアネート(分子量111.1)
8.9部を30分間にわたり室温(25℃±5℃)にて
滴下し3時間攪拌を行ない2重結合を導入した重合体溶
液(2)を得た。
【0296】実施例1 温度計、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラ
スコに、カーボンブラックMA−8(三菱化学(株)
製)30部、不揮発分40%の重合体溶液(1)22.
5部、エチルセロソルブアセテート97.5部をそれぞ
れ仕込み分散させた。
【0297】続いてジルコニア製ビーズ1000部をフ
ラスコ内に仕込んだ。回転数300rpmで攪拌しなが
ら、100℃で2時間グラフト化反応を行なった。反応
後エチルセロソルブアセテート50部を加え均一分散さ
せた。続いて反応内容物とジルコニア製ビーズを分離
し、カーボンブラックグラフトポリマー分散液(1)を
得た。
【0298】実施例2 実施例1において、不揮発分40%の重合体溶液(1)
22.5部およびエチルセロソルブアセテート97.5
部の代わりに、不揮発分43.6%の重合体溶液(2)
20.6部、エチルセロソルブアセテート108.4部
とした以外は、実施例1と全く同様の操作を繰返し、カ
ーボンブラックグラフトポリマー分散液(2)を得た。
【0299】実施例3 上記実施例1で得られたカーボンブラックグラフトポリ
マー分散液(1)500部にバインダーとしてジョンク
リル68(ジョンソンポリマー(株)製21.25部、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート62.5
部、光開始剤としてイルガキュア907(チバガイギー
社製)9.38部を加え均一分散して光硬化性組成物
(1)を得た。
【0300】実施例4 実施例3において、カーボンブラックグラフトポリマー
分散液(1)の代わりにカーボンブラックグラフトポリ
マー分散液(2)を用いる以外は、実施例5と全く同様
の操作を繰返し、光硬化性組成物(2)を得た。
【0301】実施例5および6 光硬化性組成物(1)および(2)を、それぞれ乾燥膜
厚が1μmとなるようにスピナーで塗布し、100℃に
て1分間ホットプレート上でプレベークした。得られた
皮膜を高圧水銀灯より500mJ/cm2 の紫外線露光
を行ない、硬化させた。そして紫外線露光後の表面抵抗
値の測定を行なった。その後、200℃で1時間オーブ
ン上でアフターベークを行ない、アフターベーク後の硬
化皮膜の吸光度測定および表面抵抗値の測定を行なっ
た。得られた結果を表1に示す。
【0302】また得られた効果皮膜をエチルセロソルブ
アセテート中に浸漬し表面観察を行なった結果光硬化性
組成物(2)に関しては、全く変化がなく優れた耐溶剤
性を示した。
【0303】
【表1】
【0304】合成例3 ポリメチルメタクリレート(AA−6、東亜合成(株)
製)64.5部、スチレンモノマー15.2部、イソプ
ロペニルオキサゾリン9.8部、ヒドロキシエチルメタ
クリレート10.5部、重合開始剤としてアゾイソブチ
ロニトリル3部をエチルセロソルブアセテート100部
に溶解させ、単量体組成物(2)を得た。
【0305】参考例1で用いた同様のフラスコにエチル
セロソルブアセテート50部導入した後昇温し、80℃
に達した。80℃に保持したまま単量体組成物(2)を
2時間にわたり滴下後、同温度にて2時間、95℃にて
2時間反応を行ない、冷却して不揮発分40%の重合体
溶液を得た。
【0306】この重合体溶液250部に対してメタクリ
ロイルイソシアネート8.9部を30分間にわたり室温
にて滴下し、二重結合をA鎖に導入した重合体溶液
(3)を得た。
【0307】合成例4 参考例1で得られたポリ(メチルメタクリレート/ヒド
ロキシエチルメタクリレート)マクロマー60部、スチ
レンモノマー15.2部、イソプロペニルオキサゾリン
9.8部、ヒドロキシエチルメタクリレート2.1部、
重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル3部をエチル
セソソルブアセテート100部に溶解させ、単量体組成
物(4)を得た。
【0308】合成例3において、単量体組成物(3)の
代わりに単量体組成物(4)を用いる以外は、合成例3
と同様の操作をし、不揮発分40%の重合体溶液を得
た。その後、この重合体溶液250部に対しメタクロル
イソシアナート8.9部を室温にて滴下を行ない、セグ
メントAおよびセグメントBに不飽和二重結合基を導入
した重合体溶液(4)を得た。
【0309】合成例5 参考例1で得られたポリ(メチルメタクリレート/ヒド
ロキシエチルメタクリレート)マクロマー50部、スチ
レンモノマー25部、イソプロペニルオキサゾリン5
部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、アゾイソ
ブチロニトリル3部をプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート100部に溶解させ、単量体組成物
(5)を得た。
【0310】合成例3において用いたと同様のフラスコ
にエチルセロソルブアセテート50部を仕込んだ。その
他は、合成例3において、単量体組成物(3)の代わり
に単量体組成物(5)を用いる以外は、合成例3と同様
の操作を繰り返し、不揮発分40%の重合体溶液(5)
を得た。
【0311】得られた重合体溶液(5)を実施例1と同
様のフラスコに、カーボンブラック(スペシャルブラッ
ク250;デグサ(株)製)30部、不揮発分40%の
重合体溶液(5)22.5部、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート97.5部をそれぞれ仕込
み分散させた。
【0312】次いで、ジルコニアビーズ800部をフラ
スコ内に仕込んだ。回転数700rpmで撹拌しなが
ら、100℃で4時間グラフト化反応を行なった。続い
て、冷却、反応内容物とビーズを分離し、カーボンブラ
ックグラフトポリマー分散液を得た。
【0313】この分散液150部に対して、無水トリメ
リット酸(Mw192.13)3.59部、触媒として
1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン0.
09部を添加し、80℃にて1時間反応を行ないカルボ
キシル基を含有したカーボンブラックグラフトポリマー
分散体(3)を得た。
【0314】合成例6 参考例1で用いたのと同様のセパラブルフラスコにポリ
エチレングリコールマクロマーとしてNKエステルM−
230G(新中村化学工業(株)製)50部、スチレン
25部、アジリジニルメタクリレート5部、3−(トリ
メトキシ)シリルプロピルメタクリレート20部、開始
剤としてアゾイソブチロバレロニトリル5部をテトラヒ
ドロフラン100部に溶解させ、単量体組成物(6)を
得た。
【0315】合成例3において用いたのと同様のフラス
コにテトラヒドロフラン50部を仕込み60℃に昇温
し、同温度にて4時間滴下を行なった後、さらに10時
間重合反応を行ない、冷却し、不揮発分40%の重合体
溶液(6)を得た。
【0316】得られた重合体溶液(6)を実施例1と同
様のフラスコにカーボンブラックとしてMA100R
(三菱化学(株)製)30部、不揮発分40%の重合体
溶液(6)22.5部、テトラヒドロフラン97.5部
を仕込み分散させた。
【0317】次いで、ジルコニアビーズ800部をフラ
スコ内に仕込み、回転数7000rpmで撹拌しながら
50℃で2時間グラフト化反応を行なった。続いて、反
応内容物とビーズを分離し、加水分解性基(トリメトキ
シシラノール基)を含有するカーボンブラックグラフト
ポリマー分散液を得た。
【0318】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、セグメント
(A)及び前記セグメント(A)と異なる鎖構造のセグ
メント(B)とからなり、前記セグメント(A)がカー
ボンブラック表面の官能基と反応性を有する基(I)を
有するブロックないしグラフト型の重合体を、カーボン
ブラックに、前記反応性基(I)とカーボンブラック表
面の官能基との反応により、反応させて得られるカーボ
ンブラックグラフトポリマーであって、カーボンブラッ
クグラフトポリマーとしての最終形態において、前記セ
グメント(A)および/または(B)が、該カーボンブ
ラックグラフトポリマーを配合する目的媒体のマトリッ
クスと反応性を有する基(II)を有することを特徴とす
る反応性カーボンブラックグラフトポリマーであるか
ら、高いカーボンブラック含有率を有する一方で各種媒
体への分散性に優れたものである。また各種光ないし熱
硬化性樹脂組成物に添加した場合において、当該樹脂組
成物の硬化に寄与することができ、高添加量としても高
強度皮膜を容易に形成でき、遮光性、黒化度に優れた皮
膜を得ることができ、さらに、電気絶縁性等の諸物性に
も優れたものである。このため、前記したような光ない
し熱硬化性樹脂組成物をはじめとして各種媒体に、着色
剤、充填剤、遮光剤などの用途として好適に添加できる
ものであり、特に、カラーフィルターのブラックマトリ
ックス形成用材料に用いられる光硬化性樹脂組成物に好
ましく添加され得るものである。
【0319】また本発明に係る反応性カーボンブラック
グラフトポリマーを添加してなる光硬化性樹脂組成物に
より形成された皮膜は、十分に薄い膜厚にて、高い遮光
性を発揮でき、かつ高い皮膜強度と高電気抵抗性を発揮
できることから、特にカラーフィルターのブラックマト
リックスの形成に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る反応性カーボンブラックグラフ
トポリマーの一製造方法におけるカーボンブラック表面
近傍における状態を模式的に示す図である。
【図2】 (a)〜(e)は、本発明において用いられ
るブロックないしグラフト型重合体の各種構造例を模式
的に示す図であり、また(f)は、これらの各種のブロ
ックないしグラフト型の重合体がカーボンブラック粒子
(CB)表面へ結合した状態を模式的に示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 松田 立人 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平9−59331(JP,A) 特開 平6−214385(JP,A) 特開 平6−67421(JP,A) 特開 平1−79278(JP,A) 特開 昭63−270767(JP,A) 特開 昭63−265913(JP,A) 特開 昭61−145254(JP,A) 国際公開88/3545(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/44 C08F 292/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系ポリマー鎖構造のセグメント
    (A)及び前記セグメント(A)と異なる鎖構造のポリ
    (メタ)アクリル系構造を有するセグメント(B)とか
    らなり、前記セグメント(A)が(チオ)エポキシ基、
    チオエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基および
    イソシアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1
    種または2種以上の基(I)を有するブロックないしグ
    ラフト型の重合体を、カーボンブラックに、前記基
    (I)とカーボンブラック表面の官能基との反応によ
    り、反応させて得られるカーボンブラックグラフトポリ
    マーであって、該カーボンブラックグラフトポリマー
    が、前記セグメント(A)および/または(B)が、不
    飽和二重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアルコ
    キシシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種ま
    たは2種以上の基(II)を有することを特徴とする反応
    性カーボンブラックグラフトポリマー。
  2. 【請求項2】 前記ビニル系ポリマー鎖構造のセグメン
    ト(A)が、芳香環を有するビニル系単量体を50モル
    %以上含みかつ前記基(I)を有するビニル系単量体を
    含むビニル系単量体組成物の重合により得られたもので
    ある請求項1に記載の反応性カーボンブラックグラフト
    ポリマー。
  3. 【請求項3】 分散媒液の存在下で、(チオ)エポキシ
    基、アジリジン基、オキサゾリン基およびイソシアネー
    ト基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種
    以上の基(I)を有するビニル系ポリマー鎖構造のセグ
    メント(A)と、前記セグメント(A)よりも前記分散
    媒液に対し高い親和性を示すポリ(メタ)アクリル系構
    造を有するセグメント(B)とを有し、かつ前記セグメ
    ント(A)および/またはセグメント(B)に不飽和二
    重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアルコキシシ
    リル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2
    種以上の基(II)を含んでなるブロックないしグラフト
    型の重合体を、カーボンブラックにグラフト化させるこ
    とを特徴とする反応性カーボンブラックグラフトポリマ
    ーの製造方法。
  4. 【請求項4】 分散媒液の存在下で、(チオ)エポキ
    シ基、アジリジン基、オキサゾリン基およびイソシアネ
    ート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2
    種以上の基を有するビニル系ポリマー鎖構造の基(I)
    を有するビニル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)
    と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高
    い親和性を示すポリ(メタ)アクリル系構造を有するセ
    グメント(B)とを有するブロックないしグラフト型の
    前駆体重合体を、予めカーボンブラックにグラフト化さ
    せ、次いで、前記ブロックないしグラフト型の前駆体
    重合体に、不飽和二重結合基、水酸基、カルボキシル基
    およびアルコキシシリル基よりなる群から選ばれる少な
    くとも1種または2種以上の基(II)を導入することを
    特徴とする反応性カーボンブラックグラフトポリマーの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 分散媒液の存在下で、(チオ)エポキ
    シ基、アジリジン基、オキサゾリン基およびイソシアネ
    ート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2
    種以上の基を有するビニル系ポリマー鎖構造の基(I)
    を有するビニル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)
    と、前記セグメント(A)よりも前記分散媒液に対し高
    い親和性を示すポリ(メタ)アクリル系構造を有するセ
    グメント(B)とを有し、かつカーボンブラック表面の
    官能基とは実質的に反応性を有しない官能基(III)を
    有する前駆体重合体を、予めカーボンブラックにグラフ
    ト化させ、次いで、前記ブロックないしグラフト型の
    前駆体重合体の有する官能基(III)と反応し得る反応
    性基(IV)と不飽和二重結合基、水酸基、カルボキシル
    基およびアルコキシシリル基よりなる群から選ばれる少
    なくとも1種または2種以上の基(II)をもつ化合物
    (d)を、前記で得られた前駆体重合体をグラフト化
    させたカーボンブラックに反応させて、前駆体重合体に
    前記基(II)を導入することを特徴とする請求項4に記
    載の反応性カーボンブラックグラフトポリマーの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 (チオ)エポキシ基、アジリジン基、オ
    キサゾリン基およびイソシアネート基よりなる群から選
    ばれる少なくとも1種または2種以上の基を有するビニ
    ル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)と、前記セグメ
    ント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低
    いポリ(メタ)アクリル系構造を有するセグメント
    (B)とを有し、かつ前記セグメント(A)および/ま
    たはセグメント(B)に不飽和二重結合基、水酸基、カ
    ルボキシル基およびアルコキシシリル基よりなる群から
    選ばれる少なくとも1種または2種以上の基(II)を含
    んでなるブロックないしグラフト型の重合体を、カーボ
    ンブラックにグラフト化させることを特徴とする反応性
    カーボンブラックグラフトポリマーの製造方法。
  7. 【請求項7】 (チオ)エポキシ基、アジリジン基、オ
    キサゾリン基およびイソシアネート基よりなる群から選
    ばれる少なくとも1種または2種以上の基を有するビニ
    ル系ポリマー鎖構造のセグメント(A)と、前記セグメ
    ント(A)よりもカーボンブラックに対する親和性の低
    いポリ(メタ)アクリル系構造を有するセグメント
    (B)とを有するブロックないしグラフト型の前駆体重
    合体を、カーボンブラックにグラフト化させ、次いで、
    前記ブロックないしグラフト型の前駆体重合体に、不飽
    和二重結合基、水酸基、カルボキシル基およびアルコキ
    シシリル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種また
    は2種以上の基(II)を導入することを特徴とする反応
    性カーボンブラックグラフトポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の反応性カーボ
    ンブラックグラフトポリマーを光硬化性樹脂組成物に配
    合してなることを特徴とする黒色光硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記光硬化性樹脂組成物中にアルカリ可
    溶型樹脂を配合してなることを特徴とする請求項8に記
    載の黒色光硬化性樹脂組成物
  10. 【請求項10】 請求項8または9に記載の黒色光硬化
    性樹脂組成物により形成されたことを特徴とするカラー
    フィルター用ブラックマトリックス。
  11. 【請求項11】 請求項1または2に記載の反応性カー
    ボンブラックグラフトポリマーを含有してなる電気抵抗
    調整剤。
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