JP4135807B2 - 1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、速硬化性で且つ長期貯蔵安定性に優れた1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有するウレタン樹脂組成物は、接着剤として広く産業界で使用されている。このウレタン樹脂組成物は、空気中の水分とイソシアネート基が反応し、架橋硬化する。従って、1液湿気硬化型として用いることができ、使用前に硬化剤を配合するタイプの2液型ウレタン樹脂組成物に比べて、作業性に優れている。
【0003】
しかし、この1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、2液型ウレタン樹脂組成物に比べて、速硬化性が得難いという難点がある。この難点を解決するため、従来から、オキサゾリン,ケチミン,アルジミン等のケチミン類を硬化促進剤として配合する手段がよくとられている。即ち、これらのケチミン類は、空気中の水分によって容易に加水分解し、生成した活性水素が、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応し、架橋硬化反応を促進せしめるのである。
【0004】
確かに、ケチミン類を配合した1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、速硬化性が得られる反面、貯蔵中に硬化しやすく、長期貯蔵安定性が低下するという欠点があった。この欠点を解決する手段として、ケチミン類をゼオライトのような多孔質無機充填材に吸着させて、ウレタンプレポリマーに配合することが提案されている(特公平6−835号公報)。しかし、この場合、ゼオライト自身が水分を吸着しやすいという性質を持っているため、ケチミン類が空気中の水分で加水分解しにくくなり、ウレタン樹脂組成物の速硬化性が低下するということがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、速硬化性と長期貯蔵安定性とを兼ね備えた1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を開発すべく、ウレタンプレポリマーに従来用いられているケチミン類を多数配合して、実験を重ねた。しかし、従来のケチミン類では、どのような構造のものを配合しても、やはり、速硬化性と長期貯蔵安定性の両者を満足させるものは得られなかった。従来のケチミン類は、脂肪族化合物,芳香族化合物或いは複素環化合物の残基を骨格とするアミン化合物と、カルボニル化合物との脱水縮合反応物であり、共通項は骨格が疎水性であるということである。本発明者等は、この点に着目し、骨格として親水性のものを持つケチミンを配合すれば、どのようになるかと考えた。親水性ケチミンでは、水分との親和性が良好であるため、速硬化性は向上するが、長期貯蔵安定性は低下するであろうと予測された。
【0006】
しかし、本発明者等は、このような常識的予測にとらわれず、とにかく実験してみることにした。その結果、当業者の予測に反して、特定のウレタンプレポリマーと特定の親水性ケチミンとを配合すると、速硬化性と長期貯蔵安定性の両者を兼ね備えたウレタン樹脂組成物が得られることを発見した。本発明は、このような発見に基づいてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、主鎖構造にポリオキシアルキレン構造単位を持ち、末端基がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーと、オキシアルキレン構造単位を持つ親水性ケチミンの中でも、特定の下記一般式(1)又は(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤に関するものである。
【化3】
(一般式(1)中、R1,R2,R3,R4は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R5,R6は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜20の任意の整数を表す。)
【化4】
(一般式(2)中、R10は、炭素数1〜6の炭化水素残基を表し、R11,R12,R13,R14,R15,R16は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、R17,R18,R19,R20,R21,R22は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、x,y及びzは0又は任意の整数であり、x+y+z=1〜20である。)
【0008】
本発明に用いるウレタンプレポリマーは、主鎖構造にポリオキシアルキレン構造単位を持ち、末端基がイソシアネート基で形成されているものである。一般的には、ポリオキシアルキレンポリオールと、このポリオキシアルキレンポリオールの当量に対して過剰のポリイソシアネートとを反応させることにより、ポリオキシアルキレンポリオール残基(ポリオキシアルキレンポリオールの末端水酸基を除いた基であり、従って、ポリオキシアルキレン構造単位を含む。)を主鎖構造とし、その末端にイソシアネート基が結合しているウレタンプレポリマーを用いることができる。
なお、ここで言うポリオキシアルキレン構造単位とは、−(RO)n−なる式で表されるものであるが、Rは、炭化水素基であり、アルキレン基のみでなく、スチレン基等の芳香環を含む基であっても良い。また、nは2以上の整数である。
【0009】
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、一般的に、ポリオキシアルキレンジオールやポリオキシアルキレントリオール等が用いられ、その他に、一分子中に水酸基を四個以上持つ、ポリオキシアルキレンテトラオール等も用いられる。ポリオキシアルキレンジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等やこれらの共重合体が用いられる。ポリオキシアルキレントリオールとしては、例えば、グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールに、エチレンオキシド,プロピレンオキシド,ブチレンオキシド,スチレンオキシド等を付加重合させ たものが用いられる。特に、本発明においては、ポリオキシプロピレングリコールやプロピレンオキシドを付加重合させたトリオールを用いるのが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、ポリオキシアルキレンポリオールと、その他のポリエーテル型ポリオールやポリエステル型ポリオール等を併用して、ポリイソシアネートとの反応を行い、ウレタンプレポリマーを得ても良い。その場合、ポリオキシアルキレンポリオール100重量部当たり、その他のポリオール類を10〜1000重量部配合できる。
【0011】
ポリオキシアルキレンポリオールに反応させるポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート化合物,トリイソシアネート化合物,テトライソシアネート化合物等のポリイソシアネートを用いることができる。ジイソシアネート化合物としては、例えば脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。また、トリイソシアネート化合物等のポリイソシアネート化合物としても、例えば脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。以下、一般的に使用される各種イソシアネート化合物を列挙する。
【0012】
脂肪族ジイソシアネート化合物:トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等。
【0013】
脂環式ジイソシアネート化合物:1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等。
【0014】
芳香脂肪族ジイソシアネート化合物:1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はそれらの混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−若しくは1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン又はそれらの混合物等。
【0015】
芳香族ジイソシアネート化合物:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、24−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等。
【0016】
脂肪族トリイソシアネート化合物:リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等。
【0017】
脂環式トリイソシアネート化合物:1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等。
【0018】
芳香脂肪族トリイソシアネート化合物:1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等。
【0019】
芳香族トリイソシアネート化合物:トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等。
【0020】
芳香族トリイソシアネート化合物:4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等。
【0021】
以上の各種ポリイソシアネート化合物の使用に際し、黄変性が問題になる場合には、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族のポリイソシアネート化合物を使用するのが好ましい。
【0022】
主鎖構造にポリオキシアルキレン構造単位を持っているイソシアネート末端のウレタンプレポリマーは、通常、上記したポリオキシアルキレンポリオールに、過剰のポリイソシアネート化合物を作用させて合成される。その合成方法にあたっては特に制限はなく、従来公知の方法で製造すればよい。
【0023】
本発明に用いるオキシアルキレン構造単位を持つ親水性ケチミンのうち、一般式(1)で表される化合物は、化10で表されるジアミンと、モノアルキルケトン〔RHCO〕又はジアルキルケトン〔(R)2CO〕とを脱水縮合して得られる。
【化10】
(式中、R5,R6は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、nは1〜20の任意の整数を表す。)
なお、化10で表されるようなジアミンは、エチレンジアミンやプロピレンジアミン等のアルキレンジアミンに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1〜20モル付加させて得られるものである。
【0024】
一般式(1)で表される化合物の代表例としては、プロピレンジアミンにプロピレンオキサイドを1〜6モル付加したオキシプロピレンジアミン1モルに、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン2モルを脱水縮合して得られたケチミンが挙げられる。また、一般式(1)で表される化合物の重量平均分子量は、100〜1000程度が好ましく、特に300〜700程度が良い。
【0025】
また、オキシアルキレン構造単位を持つ親水性ケチミンのうち、他の一つである一般式(2)で表される化合物は、下記化11で表されるトリアミンと、モノアルキルケトン〔RHCO〕又はジアルキルケトン〔(R)2CO〕とを脱水縮合して得られる。
【化11】
(式中、R10は、炭素数1〜6の炭化水素残基を表し、R11,R12,R13,R14,R15,R16は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、x,y及びzは0又は任意の整数であり、x+y+z=1〜20である。)
なお、化11で表されるようなトリアミンは、トリアミノイソヘキサン等のトリアミノイソアルカンに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1〜20モル付加させて得られるものである。
【0026】
一般式(2)で表される化合物の代表例としては、1−アミノ−2−(ジアミノメチレン)ブタンにプロピレンオキサイドを6モル程度付加したオキシプロピレントリアミン1モルに、メチルプロピルケトン等のジアルキルケトン3モルを脱水縮合して得られたケチミンが挙げられる。また、一般式(2)で表される化合物の重量平均分子量は、200〜1500程度が好ましく、特に400〜900程度が良い。
【0027】
本発明において、一般式(1)又は(2)で表される化合物の配合量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1〜8重量部であるのが好ましい。一般式(1)又は(2)で表される化合物の配合量が1重量部未満になると、ウレタン樹脂組成物の速硬化性が低下する傾向が生じる。また、一般式(1)又は(2)で表される化合物の配合量が8重量部を超えると、長期貯蔵安定性が低下する傾向が生じる。
【0028】
本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物中には、ウレタンプレポリマーと一般式(1)又は(2)で表される化合物の他に、公知の無機充填材、粘性改良剤、有機溶剤、可塑剤、親水性ケチミン以外のウレタン触媒等の各種改質剤或いは添加剤を所望量配合しても良い。なお、この組成物は、1液湿気硬化型であるため、水分の配合は極力控えるのが好ましい。例えば、無機充填材等の改質剤や添加剤に水分が含まれている場合には、加熱や減圧等の手段で脱水するのが好ましい。
【0029】
本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、接着剤として広く使用することができる。特に、上記した各種改質材或いは添加材を配合した組成物は、接着剤として好適である。
【0030】
本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物の配合法は、一つの反応・加工釜で一貫して配合することもでき、また、反応釜でウレタンプレポリマーを合成し、これを加工釜に移送して配合することもできる。ここでは、後者の方法について説明する。
【0031】
撹拌機、コンデンサー、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた密閉式反応釜に、上記したポリオキシアルキレンポリオールを仕込み減圧脱水後、NCO/OH比を1以上の当量に設定したポリイソシアネートを配合して、窒素気流下で70〜100℃にて3〜8時間程度反応させ、設計NCO含有量に近似するまで重合を続け、冷却後これを取り出す。その後、このウレタンプレポリマーを、撹拌機、コンデンサー、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた密閉式加工釜に仕込み、接着剤に応じた公知の改質剤を配合する。これら改質剤を大量に配合することで、組成物中に水分が多く含まれる恐れがある場合は、事前に或いは配合後に充分脱水処理を行うのが好ましい。この後、一般式(1))又は(2)で表される化合物を配合し、好ましくは窒素気流下で、均質混合して、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得る。そして、窒素置換を施した密閉容器に、この1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を収納すれば、最終製品である接着剤となる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定のウレタンプレポリマーと特定の親水性ケチミンとを含む1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物が、速硬化性と長期貯蔵安定性の両者を兼ね備えており、接着剤として適しているという発見に基づくものであるとして、解釈されるべきである。
【0033】
実施例及び比較例で用いられた各化合物は、下記のとおりである。
〔ウレタンプレポリマー(A)〕
反応容器に、プレミノール4010(旭硝子株式会社製、平均分子量1000のポリオキシプロピレンポリオール)を1000g,G−1500(旭電化工業株式会社製、平均分量1500のポリオキシプロピレンポリオール)を100g及びスミジュール44V20〔住友バイエルウレタン株式会社製のクルードMDI(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート)を27.1g投入し、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃で3時間反応させて、ウレタンプレポリマー(A)を得た。このウレタンプレポリマー(A)の末端イソシアネート基(NCO)の含有量は5.0重量%であった。
【0034】
〔親水性ケチミン(1)〕
【化5】
(但し、nは1〜6の範囲である。)
〔親水性ケチミン(2)〕
【化6】
(但し、x+y+zは約5.3である。)
【0035】
〔疎水性ケチミン(3)〕
【化7】
(但し、Rはフェニルグリシジルエーテル基である。)
なお、この疎水性ケチミン(3)は、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカン1モルと、フェニルグリシジルエーテル1モルを150℃×2時間加熱反応させて得られたものである。
〔疎水性ケチミン(4)〕
(式中、Rはスチレンオキサイド基である。)
なお、この疎水性ケチミンは、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカン1モルと、スチレンオキサイド1モルを150℃×2時間加熱反応させて得られたものである。
【0036】
〔充填材〕
炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製、商品名:NS100)を含水率200ppmになるように乾燥したものである。
〔ウレタン触媒〕
錫触媒(三共有機合成株式会社製、商品名:スタンBL)である。
【0037】
実施例1
ウレタンプレポリマー100重量部及び充填材200重量部とを、減圧下で混合攪拌する。その後、親水性ケチミン(1)を4重量部及びウレタン触媒を0.2重量部添加し、減圧攪拌して、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。この組成物において、ウレタンプレポリマー中のNCO基に対する、親水性ケチミン(1)のNC基の割合〔(NC/NCO)×100。表中ではアミン当量と表記した。)は、10%であった。
【0038】
実施例2
親水性ケチミン(1)に代えて、親水性ケチミン(2)を用いた他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。この組成物のアミン当量は10%であった。
【0039】
比較例1
親水性ケチミン(1)に代えて、疎水性ケチミン(3)を用いた他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。この組成物のアミン当量は16%であった。
【0040】
比較例2
親水性ケチミン(1)に代えて、疎水性ケチミン(4)を用いた他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。この組成物のアミン当量は18%であった。
【0041】
比較例3
アミン当量を実施例1と同様にするため、疎水性ケチミン(3)の配合量を2.4重量部とした他は、比較例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。
【0042】
比較例4
アミン当量を実施例1と同様にするため、疎水性ケチミン(4)の配合量を2.1重量部とした他は、比較例2と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。
【0043】
比較例5
親水性ケチミン(1)を配合しない他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。
【0044】
実施例3〜5
親水性ケチミン(1)の配合量を1重量部(実施例3)、4重量部(実施例4)及び8重量部(実施例5)とした他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を得た。
【0045】
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物について、長期貯蔵安定性及び速硬化性を以下の方法で評価した。
〔長期貯蔵安定性〕
1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を、アルミパックに充填密閉して、50℃で2週間及び50℃で4週間放置した後、粘度の観察を行った。そして、増粘の認められないものを「◎」、わずかに増粘の認められるものを「○」、ゲル化したものを「×」として評価した。
〔速硬化性〕
20℃で65%RH下で、1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を1〜2mm程度塗り広げた後、指触感触で組成物が指につかなくなるまでの時間(分:min)を測定した。また、5℃で30%RH下でも、同様にして、組成物が指につかなくなるまでの時間(時間:hr)を測定した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
以上の実施例及び比較例の結果から分かるように、主鎖構造にポリオキシアルキレン構造単位を持つイソシアネート末端のウレタンプレポリマーと、一般式(1)で表される化合物である親水性ケチミン(1)又は一般式(2)で表される化合物である親水性ケチミン(2)とを配合してなる実施例に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、ウレタンプレポリマーに一般式(1)又は(2)に包含されない疎水性ケチミンを配合してなる比較例1〜4に係る組成物に比べて、極めて優れた長期貯蔵安定性を示すことが分かる。また、実施例に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、親水性ケチミンを配合していないものに比べて、速硬化性の点で優れていることが分かる。従って、実施例に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤は、長期貯蔵安定性と速硬化性の両者を兼ね備えたものであることが分かる。
【0049】
【作用】
本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物が、従来の疎水性ケチミンを配合したものとは異なり、何故に、長期貯蔵安定性が得られるのかは定かではない。本発明者等は、ウレタンプレポリマーのポリオキシアルキレン基と、一般式(1)又は(2)の化合物中のオキシアルキレン基との分子構造の類似性により、親和性が良好で、このため各成分が安定した状態で存在しているからではないかと推測している。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、長期貯蔵安定性と速硬化性の両者を兼ね備えたものであり、従来両立させることが困難であった性質を実現させたものである。従って、長期に亙って保存しておいても、安定して使用することができ、また使用にあたっては、速やかに硬化するという効果を奏するものである。
【0051】
依って、本発明に係る1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物は、接着剤として有効に使用でき、接着剤として有益である。
Claims (3)
- 主鎖構造にポリオキシアルキレン構造単位を持ち、末端基がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーと、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物とを含有することを特徴とする1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤。
- ウレタンプレポリマー100重量部に対して、一般式(1)又は(2)で表される化合物が1〜8重量部配合されている請求項1記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤。
- ウレタンプレポリマーの主鎖構造を構成するポリオキシアルキレン構造単位がポリオキシプロピレン構造単位であり、一般式(1)又は(2)で表される化合物の持つオキシアルキレン構造単位がポリオキシプロピレン構造単位である請求項1又は2記載の1液湿気硬化型ウレタン樹脂組成物を含む接着剤。
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