JP4133815B2 - 硬化性組成物、その硬化体並びにフォトクロミック光学材料とその製造法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、フォトクロミック性を有する硬化性組成物、この硬化性組成物を硬化させてなる硬化体、この硬化性組成物を基材上で硬化させて得られるフォトクロミック光学材料並びにこの光学材料の製造法に関する。より詳しくは、眼鏡レンズ等の光学材料の表面にコーティングすることにより、該光学材料に簡単にフォトクロミック性を付与することの可能なコーティング材料として好適に用い得るフォトクロミック硬化性組成物、その硬化体、その硬化体を被覆として有する光学材料並びに光学材料の製造法に関する。
【0002】
従来の技術
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことであり、様々な用途に応用されている。
例えば、眼鏡レンズの分野においてもフォトクロミズムが応用されており、上記のような性質を有する各種フォトクロミック化合物を添加した重合性単量体を硬化させることによりフォトクロミック性を有するプラスチックレンズが得られている。フォトクロミック化合物としてはこのような用途に好適に使用できるフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等が見い出されている。
フォトクロミック性を有するプラスチックレンズの製法としては、フォトクロミック性を有しないレンズの表面にフォトクロミック化合物を含浸させる方法(以下、含浸法という)、あるいはそのレンズ表面にフォトクロミック性を有するプライマー層あるいはハードコーティング層をもうける方法(以下、コーティング法という。)、あるいはモノマーにフォトクロミック化合物を溶解させそれを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法(以下、練り混み法という)が提案されている。
【0003】
しかしながら練り混み法または含浸法により、良好なフォトクロ特性を得るためには、レンズ基材をフォトクロ特性が良好になるよう設計してやる必要があった。その設計指針としては、レンズ基材のガラス転移温度(Tg)を下げ、フォトクロ分子の運動を高分子中でも動きやすくしてやるか、高分子中の自由空間を広げてフォトクロ分子の動きをしやすくするかが考えられる。米国特許第5739243号明細書には、特定の長鎖のアルキレングリコールジメタクリレートと3個以上のラジカル重合性基を有する多官能メタクリレートとを組み合わせた系が開示されている。該組合せによれば発色濃度や退色速度がある程度向上した硬化体が得られる。しかしながら、該技術は基材のTgを下げて、フォトクロミック特性と含浸性を向上させたため、基材の柔軟性があまりにも高くなり、その結果、基材の硬度の低下、耐熱性の低下がおこり、光学歪みが多く存在するなどといった新たな問題を生じている。
本発明者らは、上述の欠点を改良した硬化性組成物を提案している(PCT国際特許出願01/05854号)。該硬化性組成物においては、ラジカル重合性単量体として、通常使用される重合性単量体と、少なくとも3つの重合基を有する多官能重合性単量体とを組み合わせることにより、良好なフォトクロミック特性および基材特性を得ている。しかしながら近年では、フォトクロミックレンズに対しさらに向上した物性が要求されている。
【0004】
一方、これに対し、コーティング法によるフォトクロミック性付与は、一般レンズの表面にフォトクロミック性を付与していくため、基材特性とフォトクロミック特性の両方を満足できる可能性がある。WO98/37115号には、ウレタンオリゴマー中にフォトクロミック化合物を溶解させたものをレンズ表面に塗布、硬化する手法が提案されている。しかしながら該ウレタンオリゴマーを硬化させた樹脂は架橋密度が低く、フォトクロミック特性の温度依存性が大きくなる上、フォトクロミックコート層上にハードコートを施す際ハードコート液中にフォトクロミック化合物が溶出するなどといった欠点を有する。
また米国特許第5914174号には、単官能、2官能および多官能ラジカル重合性単量体を組み合わせた重合性単量体組成物に、フォトクロミック化合物を溶解せしめ、それをレンズ表面に塗布、硬化することが提案されている。
さらにWO01/02449号には、2種類以上の2官能(メタ)アクリルモノマーのみの組み合わせからなるモノマー組成物に、フォトクロミック化合物を溶解させ、それをレンズ表面に塗布、硬化することが提案されている。
しかしながらこれらの組成物を用いたコーティング法では眼鏡レンズと該フォトクロミック性のコーティング層との密着性が十分でないか悪いという欠点がある。
また、WO01/05854号において、フォトクロミック化合物を含むラジカル重合性単量体を、エラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されているプラスチックレンズとガラスモールド間の隙間に流し込み、重合硬化させることが提案されている。このような2段重合あるいは張り合わせ式レンズはこれまでにも検討されているが、これらの技術では、プラスチックレンズとフォトクロミック層との密着性が不十分であり、実用的とは言えない。
以上のように、フォトクロミック特性および基材特性の両立をねらったコーティング法の提案はあるものの、実用的な観点からすべてを満足させた例はこれまでに見られない。
【0005】
発明の開示
本発明の目的は、発色濃度が高く、退色速度が速いといった優れたフォトクロミック特性を示し、しかも基材との密着性に優れ、フォトクロミック化合物の溶出がなく、さらにハードコートに対する密着性を有するフォトクロミック硬化体を与えることができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の如き種々の特性を持つフォトクロミック硬化体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、本発明のフォトクロミック硬化体を基材上に有するフォトクロミック光学材料を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、フォトクロミック硬化体と基材との密着性に優れたフォトクロミック硬化体を与えることのできる、フォトクロミック硬化体の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0006】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(1)ラジカル重合性単量体 100重量部
(2)アミン化合物 0.01〜20重量部 および
(3)フォトクロミック化合物 0.01〜20重量部
を含んでなりそして該ラジカル重合性単量体が、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体、および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を含むことを特徴とする硬化性組成物によって達成される。
【0007】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック性硬化体によって達成される。
【0008】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、本発明の硬化性組成物の硬化体により、基材の少なくとも一面がコーティングされてなるフォトクロミック光学材料によって達成される。
【0009】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第4に、基材の少なくとも1面上に設けられた本発明の硬化性組成物の薄膜を光または光と熱により硬化せしめることを特徴とする、基材の少なくとも1面がコーティングされてなるフォトクロミック光学材料の製造法によって達成される。
【0010】
発明の好ましい実施態様
以下、本発明の硬化性組成物について先ず説明し、次いで、本発明の他の主題について順次説明する。
本発明においては、硬化性組成物の硬化体と眼鏡レンズ等の基材との密着性を高いものとするために、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体(以下、シリルモノマーと称す場合がある)、またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(以下、イソシアネートモノマーと称す場合がある)が使用される。
シリルモノマーとしては、シラノール基(≡Si−OH)または加水分解によりシラノール基を生成する基と、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、公知の化合物をなんら制限することなく使用できる。
当該加水分解によりシラノール基を生成する基の具体例としては、アルコキシシリル基(≡Si−O−R;Rはアルキル基)、アリールオキシシリル基(≡Si−O−Ar;Arは置換されていても良いアリール基)、ハロゲン化シリル基(≡Si−X;Xはハロゲン原子)、シリルオキシシリル基(ジシロキサン結合;≡Si−O−Si≡)等が挙げられる。
シラノール基の生成のしやすさ、合成や保存の容易さ、反応によりケイ素原子から脱離した基が硬化体の物性に与える影響の少なさ等から、これら加水分解によりシラノール基を生成する基のなかでもアルコキシシリル基またはシリルオキシシリル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシル基を含むアルコキシシリル基であることがより好ましく、メトキシシリル基またはエトキシシリル基であることが最も好ましい。
【0011】
ラジカル重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基の如き(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、アリル基、スチリル基の如き公知のラジカル重合性基が挙げられる。なおラジカル重合性基がビニル基、アリル基またはスチリル基である場合には、当該ラジカル重合性基は置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基ならびに水酸基が例示される。同じくラジカル重合性基が(メタ)アクリロイルアミノ基である場合には、当該基のアミド窒素原子には、(メタ)アクリロイル基および前記シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有する基に加えて、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アリル基の如き各種有機基が結合していてもよい。
これらラジカル重合性基のなかでも、入手の容易さや重合性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
このような加水分解によりシラノール基を生成可能な基およびラジカル重合性基を有するシリルモノマーとして好適なものは、下記式(1)〜(3)で表される。
【0012】
【化22】
【0013】
(式中、R1はアルキル基またはアリール基でありR2およびR3は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、Aは2〜4価の有機残基であり、Yはラジカル重合性基であり、aは1〜3、bは0〜2、cは0〜2、dは1〜3、eは1〜3の整数である、但しa+b+c+d=4である。)
【0014】
【化23】
【0015】
(式中、R2およびR3は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、Aは2〜4価の有機残基であり、Yはラジカル重合性基であり、bは0〜2、cは0〜2、dは1〜3、eは1〜3の整数である、但しb+c+d=3である。)
【0016】
【化24】
【0017】
(式中、R1はアルキル基またはアリール基であり、R2およびR3は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、R4はビニル基であり、aは1〜3、bは0〜2、cは0〜2、dは1〜3の整数である、但しa+b+c+d=4である。)
上記式(1)および(3)中、R1はアルキル基またはアリール基である。加水分解によるシラノール基の発生のし易さおよび保存安定性の点から主鎖炭素数1〜10のアルキル基または環を構成する炭素数が6〜10のアリール基であることが好ましい。また当該アルキル基またはアリール基は置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基の如き炭素数1〜10のアルキル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基の如き炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基の如き炭素数1〜10のアルコキシル基、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基の如き炭素数2〜10のアシル基、アミノ基、およびメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基の如き炭素数1〜10のアルキル置換アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の如きハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
主鎖炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基等が例示される。また、環を構成する炭素数6〜10の置換または非置換のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基等が例示される。
【0018】
前記加水分解によるシラノール基の発生のし易さおよび保存安定性の点から、R1はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが最も好ましい。
上記式(1)〜(3)におけるR2およびR3は各々独立に、アルキル基、アリール基またはアシル基である。アルキル基およびアリール基としては、前記R1で説明したものと同一の基が例示され、好ましい基もR1と同様である。またアシル基としては、炭素数2〜10のアシル基であることが好ましい。また当該アシル基は脂肪族系のアシル基でも芳香族系のアシル基でもよい。当該アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
上記式(1)および(2)におけるAは2〜4価の有機残基であり、好ましくは炭素数1〜30の2〜4価の有機残基である。当該有機残基の構造は特に限定されるものではなく、側鎖や置換基を有していてもよい。またその構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホニル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を有していてもよく、さらにはオキソ基(ケトン炭素)が含まれていてもよい。該有機残基の有する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基等が例示される。
有機残基は、1〜10の炭素原子を有するものがより好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基の如き炭素数1〜10のアルキレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチレンジオキシ基の如き炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、あるいは以下に示す基、
【0019】
【化25】
【0020】
(上記式中、nは1〜5の整数でありそしてn’およびn”は各々1〜3の整数である)
ならびに、これらの基が前記置換基で置換されたもの等が例示される。
式(1)および(2)におけるYは、ラジカル重合性基であり、前述した通り(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基の如き(メタ)アクリロイル基の誘導体基、置換または非置換のビニル基、置換または非置換のアリル基、置換または非置換のスチリル基等が例示される。好ましくは、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基である。
上記式で表されるシリルモノマーの中でも式(1)で表されるシリルモノマーが好ましく、その中でも下記式(4)として表されるシリルモノマーが特に好適に使用できる。
【0021】
【化26】
【0022】
(式中、R5は水素原子またはメチル基であり、R6は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R7は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、R8は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは1〜3、bは0〜2の整数である、但しa+b=3である。)
上記式(4)中、R5は水素原子またはメチル基であり、R6は炭素数1〜10のアルキレン基である。当該主鎖炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。R7は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が例示される。R8は炭素数1〜4のアルキル基であって、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。
【0023】
前記式(1)〜(3)で表されるシリルモノマーを具体的に例示すると、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、4−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、2−(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、ジエトキシビニルシラン、1,3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン、ドコセニルトリエトキシシラン、o−(メタクリロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、1,3―ビス(メタクリロキシ)−2−トリメチルシロキシプロパン、テトラキス(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、o−(ビニロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、ビニロキシトリメチルシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシランビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
【0024】
これらの中でも前記式(4)で表されるシリルモノマーに相当する、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシランが特に好適に使用できる。
本発明においては、上記シリルモノマーに替えて、イソシアネートモノマーを用いても、基材およびハードコート材との密着性を高くすることが可能である。
該イソシアネートモノマーとしては、イソシアネート基(−NCO)とラジカル重合性基を有する化合物であれば公知のものがなんら制限なく使用できる。
このようなイソシアネートモノマーは、例えば下記式(5)または(6)で示される。
【0025】
【化27】
【0026】
(式中、R9は水素原子またはメチル基でありそしてR10はアルキレン基である。)
【0027】
【化28】
【0028】
(式中、R11は水素原子またはメチル基でありそしてR12はアルキレン基である。)
上記式(5)および(6)中、R10、R12は共にアルキレン基を示す。当該アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
好適に使用できるイソシアネートモノマーの具体例としては、2−イソシアナトエトキシメタアクリレート、4−(2−イソシアナトイソプロピル)スチレンが挙げられる。
【0029】
本発明におけるシリルモノマーまたはイソシアネートモノマーの配合量は特に制限されるものではないが、眼鏡レンズ等の基材やハードコート材料との密着性を良好なものとするために、該シリルモノマーまたはイソシアネートモノマーの配合量は、全ラジカル重合性単量体中、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましい。また、ハードコートした際の、耐擦傷性や発色濃度あるいは退色速度等のフォトクロミック特性を良好なものとするためには、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。より好ましい配合量は全ラジカル重合性単量体に対して0.5〜20重量%であり、最も好ましくは1〜10重量%である。
また、これらシリルモノマーまたはイソシアネートモノマーは単独あるいは数種混合して使用することができ、またシリルモノマーとイソシアネートモノマーとを混合して使用することも可能である。
本発明の硬化性組成物には、上記シリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマーに加え、これら以外のラジカル重合性単量体(以下、その他のラジカル重合性単量体と称す)を配合することができる。硬化後の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色速度、耐久性等のフォトクロミック特性の点から好ましい。
このようなその他のラジカル重合性単量体は特に限定されず、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、スチリル基の如きラジカル重合性基を有する公知の化合物がなんら制限なく使用できる。これらのなかでも、入手のし易さ、硬化性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基をラジカル重合性基として有する化合物が好ましい。
【0030】
前記した硬化後の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性を良好なものとするため、その他のラジカル重合性単量体としては、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すもの(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)と、同じく単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すもの(以下、低硬度モノマーと称す場合がある)を併用することがより好ましい。
Lスケールロックウェル硬度とは、JIS−B7726に従って測定される硬度を意味する。各モノマーの単独重合体について該測定を行うことにより上記硬度の条件を満足するかどうかを簡単に判断することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、モノマーを重合させて厚さ2mmの硬化体を得、これを25℃の室内で1日保持した後にロックウェル硬度計を用いて、Lスケールロックウェル硬度を測定することにより容易に確認することができる。
また、上記Lスケールロックウェル硬度の測定に供する重合体は、仕込んだ単量体の有す重合性基の90%以上が重合する条件で注型重合して得たものである。このような条件で重合された硬化体のLスケールロックウェル硬度は、ほぼ一定の値として測定される。
前記、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すラジカル重合性単量体(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)は、硬化後の硬化体の耐溶剤性、硬度、耐熱性等を向上させる効果を有する。これらの効果をより効果的なものとするためには、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が65〜130を示すラジカル重合性単量体が好ましい。
このような高硬度モノマーは通常2〜15個、好ましくは2〜6個のラジカル重合性基を有する化合物であり、好ましい具体例は下記式(7)〜(11)で示すことができる。
【0031】
【化29】
【0032】
(式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R15は3〜6価の有機残基であり、fは0〜3の整数であり、f’は0〜3の整数でありそしてgは3〜6の整数である。)
【0033】
【化30】
【0034】
(式中、R16は水素原子またはメチル基であり、Bは3価の有機残基であり、Dは2価の有機残基でありそしてhは1〜10の整数である。)
【0035】
【化31】
【0036】
(式中、R17は水素原子またはメチル基であり、R18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Eは環状の基を含む2価の有機残基であり、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数または0である。)
【0037】
【化32】
【0038】
(式中、R19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。)
【0039】
【化33】
【0040】
(式中、R20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは1〜6の整数である。)
上記式(7)〜(10)における、R13、R16、R17およびR19はいずれも水素原子またはメチル基である。それ故、式(7)〜(10)で示される化合物は2〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
上記式(7)におけるR14は水素原子またはメチル基、エチル基である。
式(7)におけるR15は3〜6価の有機残基である。当該有機残基は特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すためには、当該R15は、好ましくは炭素数1〜30の有機残基であり、より好ましくはエーテル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜15の有機残基である。
【0041】
また、fおよびf’は各々独立に0〜3の整数である。これらfおよびf’が3より大きい場合には、これらモノマーの単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60より小さくなる傾向がある。またLスケールロックウェル硬度を60以上とするためには、fおよびf’の合計は0〜3であることが好ましい。
式(7)で示される高硬度モノマーを具体的に例示すると、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等を挙げることができる。
【0042】
前記式(8)におけるBは3価の有機残基であり、Dは2価の有機残基である。当該BおよびDは特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上であるためには、好ましくは、当該Bは炭素数3〜10の直鎖または分枝状の炭化水素から誘導される有機残基であり、好ましくは、当該Dは炭素数1〜10の直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素から誘導される有機残基である。
また単独重合体のLスケールロックウェル硬度を60以上とするために、hは1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。
このような式(8)で示される高硬度モノマーを具体的に例示すると、分子量2,500〜3,500の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB80等)、分子量6,000〜8,000の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB450等)、分子量45,000〜55,000の6官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB1830等)、分子量10,000の4官能ポリエステルオリゴマー(第一工業製薬社、GX8488B等)等が挙げられる。
【0048】
前記式(9)におけるR18は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基である。
また式(9)におけるEは環状の基を含む2価の有機残基である。当該有機残基は環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。当該Eに含まれる環状の基としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環あるいは以下に示す環状の基等が例示される。
【0049】
【化34】
【0050】
当該Eに含まれる環状の基はベンゼン環であることが好ましく、さらに当該Eは下記式、
【0051】
【化35】
【0052】
(Gは、酸素原子、硫黄原子、−S(O2)−、−C(O)−、−CH2−、−CH=CH−、−C(CH3)2−および−C(CH3)(C6H5)−から選ばれるいずれかの基であり、R21およびR22は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、lおよびl’は各々独立に0〜4の整数である。)
で示される基であることがより好ましい。もっとも好ましいEは下記式、
【0053】
【化36】
【0054】
で示される基である。
式(9)中、iおよびjは、i+jの平均値が0〜6となる正の整数または0である。なお、式(9)で示される化合物は、iおよびjの双方が0である場合を除き、通常iおよびjの異なる複数の化合物の混合物として得られる。それらの単離は困難であるため、iおよびjはi+jの平均値で示される。i+jの平均値は2〜6であることがより好ましい。
式(9)で示される化合物としては、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等が具体的に例示される。
【0055】
前記式(10)におけるR19は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。当該主鎖炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ノニリレン基等が例示される。鎖長が炭素数9を超えると単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上とならない傾向がある。
式(10)で示される化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジアクリレート等が例示される。
【0056】
前記式(11)におけるR20は水素原子、メチル基またはエチル基であり、kは2〜6の整数である。kが6を超えると単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上とならない傾向があり、好ましくはkは3または4である。
式(11)で示される化合物を具体的に例示すると、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等が例示される。
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すこれらのラジカル重合性単量体は単独で用いても、数種以上混合して用いてもよい。
なお上記式(7)〜(11)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60未満のものがあるが、その場合には、これらの化合物は後述する低硬度モノマーまたは中硬度モノマーに分類される。
また上記式(7)〜(11)で示されない高硬度モノマーもあり、その代表的化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0057】
本発明の硬化性組成物には、上記高硬度モノマーに加え、さらに単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示す低硬度モノマーがさらに配合されていることが好ましい。
当該低硬度モノマーは、硬化体を強靭なものとしまたフォトクロミック化合物の退色速度を向上させる効果を有する。
このような低硬度モノマーとしては下記式(12)
【0058】
【化37】
【0059】
(式中、R23は水素原子またはメチル基であり、R24およびR25は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、mはR23が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R23がメチル基の場合は7〜70の整数でありそしてm’は0〜70の整数である。)
または下記式(13)、
【0060】
【化38】
【0061】
(式中、R26は水素原子またはメチル基であり、R27およびR28は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Iは環状の基を含む2価の有機残基であり、i’およびj’は、i’+j’の平均値が8〜40となる整数である。)
で示される2官能モノマーや、下記式(14)、
【0062】
【化39】
【0063】
(式中、R29は水素原子またはメチル基であり、R30およびR31は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、R32は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、あるいは炭素数2〜25の(メタ)アクリロイル基以外のアシル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、m”はR29が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R29がメチル基の場合はlは4〜70の整数であり、m’’’は0〜70の整数である。)
または下記式(15)、
【0064】
【化40】
【0065】
(式中、R33は水素原子またはメチル基であり、R34はR33が水素原子の場合には炭素数1〜20のアルキル基でありそしてR33がメチル基の場合には炭素数8〜40のアルキル基である。)
で示される単官能のモノマーが例示される。
上記式(12)〜(15)において、R23、R26、R29およびR33は水素原子またはメチル基である。すなわち、低硬度モノマーは重合性基として、通常2個以下の(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基を有する。
【0066】
前記式(12)におけるR24およびR25は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子である。
式(12)においては、R23が水素原子の場合、すなわち重合性基としてアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を有する場合には、mは7〜70の整数であり、一方、R23がメチル基である場合、すなわち重合性基としてメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を有する場合には、mは1〜70の整数である。また、m’は0〜70の整数である。
上記式(12)で示される低硬度モノマーを具体的に例示すると、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0067】
前記式(13)におけるR26は水素原子、メチル基またはエチル基である。またIは環状の基を含む2価の有機残基である。当該Iとしては前記式(9)に含まれる環状の基であるEとして例示されたものと同様である。式(13)におけるi’およびj’は、i’+j’の平均値が8〜40となる整数、好ましくは9〜30となる整数である。当該i’およびj’も前記した式(9)におけるiおよびjと同様の理由で通常は平均値で示される。
式(13)で示される低硬度モノマーの具体例としては、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン等を挙げることができる。
上記式(14)におけるR29は水素原子またはメチル基であり、R30およびR31は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基である。R32は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、あるいは炭素数2〜25のアクリロイル基以外のアシル基である。
炭素数1〜25のアルキル基またはアルケニル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ノニル基等が例示される。また、これらアルキル基またはアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、さらには、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アリール基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
炭素数1〜25のアルコキシアルキル基としては、メトキシブチル基、エトキシブチル基、ブトキシブチル基、メトキシノニル基等が例示される。
炭素数6〜25のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、アントラニル基、オクチルフェニル基等が例示される。(メタ)アクリロイル基以外のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、オレイル基等が例示される。
式(14)におけるm”は、R29が水素原子の場合、すなわちアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を重合性基として有する場合には1〜70の整数であり、R29がメチル基の場合、すなわちメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を重合性基として有する場合にはm”は4〜70の整数であり、またm’’’は0〜70の整数である。
式(14)で示される低硬度モノマーの具体例としては、平均分子量526のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量360のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量375のポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量430のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子量622のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子量620のメチルエーテルポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量566のポリテトラメチレングリコールメタアクリレート、平均分子量2,034のオクチルフェニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量610のノニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量640のメチルエーテルポリエチレンチオグリコールメタクリレート、平均分子量498のパーフルオロヘプチルエチレングリコールメタクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0068】
前記式(15)におけるR33は水素原子またはメチル基であり、当該R33が水素原子の場合には、R34は炭素数1〜20のアルキル基でありそして当該R33がメチル基の場合には、R34は炭素数8〜40のアルキル基である。
これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
式(15)で示される低硬度モノマーの具体例としては、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート等を挙げることができる。
これら式(12)〜(15)で表される低硬度モノマーの中でも、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートが特に好ましい。
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すこれらのラジカル重合性単量体は単独で用いても、数種以上混合して用いてもよい。
上記式(12)〜(15)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以上を示すものがあるが、その場合には、これらの化合物は前述した高硬度モノマーまたは後述する中硬度モノマーに分類される。
【0069】
上記高硬度モノマーでも低硬度モノマーでもないモノマー、すなわち、単独硬化体のLスケールロックウェル硬度が40を超え60未満を示すモノマー(中硬度モノマーと称す場合がある)として、例えば平均分子量650のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、平均分子量1,400のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィドの如き2官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、アリルジグリコールカーボネートの如き多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼンの如き多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸の如き不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸ビフェニルの如きアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニルの如きフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレートの如きチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピロリドンの如きビニル化合物;オレイルメタクリレート、ネロールメタクリレート、ゲラニオールメタクリレート、リナロールメタクリレート、ファルネソールメタクリレートの如き分子中に不飽和結合を有する炭化水素鎖の炭素数が6〜25の(メタ)アクリレートなどのラジカル重合性単官能単量体等が挙げられる。これらの中硬度モノマーを使用することも可能である。
【0070】
上記高硬度モノマー、低硬度モノマーおよび中硬度モノマーは適宜混合して使用できる。硬化性組成物の硬化体の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性のバランスを良好なものとするため、前記シリルモノマーおよびイソシアネートモノマーを除く、その他のラジカル重合性単量体中、低硬度モノマーは5〜70重量%、高硬度モノマーは5〜95重量%であることが好ましい。さらに、配合される高硬度モノマーとして、ラジカル重合性基を3つ以上有する単量体が、その他のラジカル重合性単量体中少なくとも5重量%以上配合されていることが特に好ましい。
本発明におけるラジカル重合性単量体中には、上記の如き硬度により分類されたモノマーとは別に、分子中にすくなくとも一つのエポキシ基と少なくとも一つのラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(以下、単にエポキシ系モノマーと称す場合がある)が、さらに配合されていることが好ましい。当該エポキシモノマーはその構造により、単独硬化体のLスケールロック硬度が60以上のを示すのもあれば、40以下を示すものもある。単独重合体の硬度で分類すると、硬度に応じ高硬度モノマー、低硬度モノマー、中硬度モノマーのいずれかに分類されることになる。
当該エポキシ系モノマーを本発明におけるラジカル重合性単量体の成分として使用することにより、フォトクロミック化合物の耐久性をより向上させることができ、さらにフォトクロミックコーティング層の密着性が向上する。
このようなエポキシ系モノマーとしては公知の化合物を使用できるが、ラジカル重合性基として(メタ)アクリロイルオキシ基を有す化合物が好ましい。
当該エポキシ系モノマーは通常以下の式(16)で表される。
【0071】
【化41】
【0072】
{式中、R35およびR38は各々独立に水素原子またはメチル基であり、R36およびR37は各々独立に炭素数1〜4のアルキレン基、または、下記式
【0073】
【化42】
【0074】
(G’は、酸素原子、硫黄原子、−S(O2)−、−C(O)−、−CH2−、−CH=CH−、−C(CH3)2−および−C(CH3)(C6H5)−から選ばれるいずれかの基であり、R39およびR40は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、l”およびl’’’は各々独立に0〜4の整数である。)で示される基である。}
上記R36およびR37で示される炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。またこれらアルキレン基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
またR36および/またはR37が下記式
【0075】
【化43】
【0076】
で表される基の場合、G’は、酸素原子、硫黄原子、−S(O2)−、−C(O)−、−CH2−、−CH=CH−、−C(CH3)2−および−C(CH3)(C6H5)−から選ばれるいずれかの基であり、R39およびR40は各々独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基または塩素原子、臭素原子の如きハロゲン原子であり、l”およびl’’’は各々独立に0〜4の整数である。上記式で表される基としては、下記式
【0077】
【化44】
【0078】
で示される基であることが最も好ましい。
上記式(16)で示されるエポキシ系モノマーの具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタアクリレート等が挙げられる。これらの中でもグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよび平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタアクリレートが特に好ましい。
これらエポキシ系モノマーの配合割合は、その他のラジカル重合性単量体中、0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%であるのが好適である。
本発明の硬化性組成物には上記ラジカル重合性単量体に加えて、アミン化合物が配合される。アミン化合物を配合することにより、本発明の硬化性組成物をコーティング材として用いた場合に、当該硬化性組成物の硬化体よりなるコーティング層と基材との密着性を大きく向上させることができる。
本発明に用いられるアミン化合物としては、前記したシリルモノマー、またはイソシアネートモノマーの縮合、または付加触媒として機能する塩基性の化合物である下記式(17)で表わされるアミン化合物が使用できる。
【0079】
【化45】
【0080】
{式中、R06は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であり、R07は水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基であり、R08は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基であり、A’は炭素数2〜6のアルキレン基、A”はR08が水素原子またはアルキル基の場合には炭素数1〜6のアルキレン基、R08が水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基である場合には炭素数2〜6のアルキレン基を示す。}
上記式(17)で示されるアミン化合物は、塩基性が強く、密着性向上効果の高いアミン化合物として好適である。
上記式(17)中のR07およびR08における加水分解によりシラノール基を生成可能な基とは、上記シリルモノマーで定義した基と同義である。
本発明で好適に使用できるアミン化合物の具体例としては、N−メチルジエタノールアミンの如き非重合性低分子系アミン化合物、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタアクリレートの如き重合性基を有するアミン化合物、N−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシランの如きシリル基を有するアミン化合物が挙げられる。
これらアミン化合物は単独もしくは数種混合して使用することができる。これらアミン化合物の配合量は、全ラジカル重合性単量体100重量部に対して0.01〜20重量部である。好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の範囲である。0.01重量部を下回るとき、あるいは20重量部を超えるときは、コーティング層と基材の密着性の向上効果が得られない。さらに20重量部を超えるときは、コーティング層の黄変を生じやすくなり好ましくない。
本発明におけるアミン化合物の機能を発揮しないアミン化合物としては、例えば下記基
【0081】
【化46】
【0082】
{上記基中、R 01 は水素原子およびアルキル基であり、R 02 、R 03 、R 04 およびR 05 はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基である}
で表されるアミノ基のみをアミノ基として有するヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記式(17)で表わされる化合物は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有さない、下記式(17−1)で表わされる化合物と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有しうる、下記式(17−2)で表わされる化合物とに、形式的に分けて表示することができる。
【0083】
【化47】
【0084】
{式中、R 06 は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であり、R 1 07 は、水酸基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基であり、R 1 08 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基であり、A’は炭素数2〜6のアルキレン基、A 1 ’’はR 1 08 が水素原子またはアルキル基の場合には炭素数1〜6のアルキレン基、R 08 が水酸基または加水分解によりシラノール基を生成可能な基である場合には炭素数2〜6のアルキレン基を示す。}
【0085】
【化48】
【0086】
{式中、R 06 は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基であり、R 2 07 は水酸基または(メタ)アクリロイルオキシ基であり、R 2 08 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基または(メタ)アクリロイルオキシ基であり、A’は炭素数2〜6のアルキレン基、A 2 ’’はR 2 08 が水素原子またはアルキル基の場合には炭素数1〜6のアルキレン基、R 2 08 が水酸基または(メタ)アクリロイルオキシ基である場合には炭素数2〜6のアルキレン基を示す。}
本発明の硬化性組成物で使用されるフォトクロミック化合物としては、公知のフォトクロミック化合物を使用することができる。例えば、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を特に制限なく使用することができる。
上記のフルギミド化合物、スピロオキサジン化合物およびクロメン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830公報、WO94/22850号明細書、WO96/14596号明細書など記載されている化合物が好適に使用できる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として本発明者等が新たに見出した化合物、例えば特開2001−114775号、特開2001−031670号、特開2001−011067号、特開2001−011066号、特開2000−347346号、特開2000−344762号、特開2000−344761号、特開2000−327676号、特開2000−327675号、特開2000−256347号、特開2000−229976号、特開2000−229975号、特開2000−229974号、特開2000−229973号、特開2000−229972号、特開2000−219687号、特開2000−219686号、特開2000−219685号、特開平11−322739号、特開平11−286484号、特開平11−279171号、特開平10−298176号、特開平09−218301号、特開平09−124645号、特開平08−295690号、特開平08−176139号、特開平08−157467号等に開示された化合物も好適に使用することができる。
これらフォトクロミック化合物の中でも、クロメン系フォトクロミック化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック化合物に比べ高く、さらに本発明によるフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のフォトクロミック化合物に比べて特に大きいため特に好適に使用することができる。さらにこれらクロメン系フォトクロミック化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、本発明によるフォトクロミック特性の発色濃度および退色速度の向上が他のクロメン系フォトクロミック化合物に比べて特に大きいため好適に使用することができる。
さらに、その発色濃度、退色速度、耐久性等の各種フォトクロミック特性が特に良好なクロメン化合物として通常下記式(18)
【0087】
【化49】
【0088】
{式中、下記式(19)
【0089】
【化50】
【0090】
で示される基は、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の不飽和複素環基であり、
R43、R44およびR45は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、アラルキル基、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素原子とピラン環もしくは前記式(19)で示される基の環とが結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基であり、oは0〜6の整数であり、R41およびR42は、それぞれ独立に、下記式(20)、
【0091】
【化51】
【0092】
(式中、R46は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、R47は、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子であり、pは1〜3の整数である。)で示される基、下記式(21)、
【0093】
【化52】
【0094】
(式中、R48は、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、p’は1〜3の整数である。)で示される基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、またはアルキル基であるか、あるいはR41とR42とが一緒になって、脂肪族炭化水素環もしくは芳香族炭化水素環を構成していてもよい。}
なお、上記式(20)、上記式(21)または上述のR41、およびR42にて説明した置換アリール基または置換ヘテロアリール基における置換基としてはR43〜R44と同義の基が適用される。
上記式(18)で示されるクロメン化合物のなかでも、発色濃度、退色速度等のフォトクロミック特性および耐久性の点から、次の式(22)〜(27)で示される化合物が特に好適である。
【0095】
【化53】
【0096】
{但し、式中のR49、R50はそれぞれ前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R51、R52は前記式(18)で述べたR45と同義であり、qおよびq’はそれぞれ1〜2の整数である。}
【0097】
【化54】
【0098】
{但し、式中のR53、R54は前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R55、R56は前記式(18)で述べたR45と同義であり、Lは下記式、
【0099】
【化55】
【0100】
(上記式中Pは、酸素原子または硫黄原子であり、R57は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、s、s’およびs”は、いずれも1〜4の整数である。)で示されるいずれかの基であり、rおよびr’は各々独立に1または2である。}
【0101】
【化56】
【0102】
{但し、式中のR58、R59は前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R60、R61およびR62は前記式(18)で述べたR45と同義であり、vは1または2である。}
【0103】
【化57】
【0104】
{但し、式中のR63、R64は前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R65およびR66は前記式(18)で述べたR45と同義であり、wおよびw’は各々独立に1または2である。}
【0105】
【化58】
【0106】
{但し、式中のR67、R68は前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R69、R70、R71およびR72は、前記式(18)で述べたR45と同義であり、xおよびx’は各々独立に1または2である。}
【0107】
【化59】
【0108】
{但し、式中のR73、R74は前記式(18)で述べたR41およびR42と同義であり、R75、R76およびR77は、前記式(18)で述べたR45と同義であり、
【0109】
【化60】
【0110】
は、少なくとも1つの置換基を有してもよい脂肪族炭化水素環であり、y、y’およびy”は各々独立に1または2である。}
上記式(22)、(23)、(24)、(25)、(26)または(27)で示されるクロメン化合物の中でも、下記構造のクロメン化合物が特に好ましい。
【0111】
【化61】
【0112】
これらフォトクロミック化合物は適切な発色色調を発現させるため、複数の種類のものを適宜混合して使用することができる。
本発明の硬化性組成物において、フォトクロミック化合物の配合量は、全ラジカル重合性単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。フォトクロミック化合物の配合量が0.01重量部以下では発色濃度が低くなることがあり、一方、20重量部以上では重合性単量体に十分に溶解しないため不均一となり、発色濃度のむらが生じることがある。
なお、本発明の硬化剤組成物を後述する光学材料のコーティングに用いる場合には、コーティング層の厚さが薄い場合にはフォトクロミック化合物濃度を高く、厚さが場合には低くすることにより適度な発色濃度を得ることが可能となる。具体的には、コーティング層厚さが10μm程度の際にはラジカル重合性単量体100重量部に対してフォトクロミック化合物を5〜15重量部程度、コーティング層厚さが50μm程度の際には0.1〜1重量部程度とするのが特に好適である。
【0113】
本発明の硬化性組成物には、フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色速度の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤等の添加剤を添加しても良い。また、硬化性組成物を硬化させるために後述する重合開始剤を配合することも極めて好ましい。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
例えば、界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、重合性単量体への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン系界面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェーノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用してもよい。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用してもよい。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.001〜20重量部の範囲が好ましい。
上記安定剤の中でも、本発明の硬化性組成物を、コーティング材として使用する場合特に有用な安定剤として、該硬化性組成物を硬化させる際のフォトクロミック化合物の劣化防止、あるいはその硬化体の耐久性向上の観点より、ヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン光安定剤とは、上記本発明のアミン化合物から除かれる化合物として定義したヒンダードアミン化合物として定義した化合物であれば、公知の化合物が何ら制限なく用いることができる。
その中でも、コーティング材用途で用いる場合、特にフォトクロミック化合物の劣化防止効果を発現する化合物としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、旭電化工業(株)製アデカスタブLA−52、LA−62、LA−77、LA−82等を挙げることができる。添加量としては、全重合性単量体100重量部に対し、0.001〜20重量部の範囲であればよいが、コーティング材として用いる場合には、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、より好適には、1〜10重量部の範囲で用いればよい。
【0114】
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、所定量の各成分を秤取り混合することにより行うことができる。なお、各成分の添加順序は特に限定されず全ての成分を同時に添加してもよいし、モノマー成分のみを予め混合し、後で、例えば後述の如く重合させる直前にフォトクロミック化合物や他の添加剤を添加混合してもよい。なお、後述するように、重合に際しては必要に応じて重合開始剤をさらに添加することも好ましい。
本発明の硬化性組成物は、その25℃での粘度が20〜500cpであるのが、後述する光学材料のコーティング用とする際に好適であり、50〜300cpであるのがより好適であり、60〜200cpであるのが特に好適である。
この粘度範囲とすることにより、後述するコーティング層の厚さを10〜100μmと厚めに調整することが容易となり、十分にフォトクロミック特性を発揮させることが可能となる。
コーティング組成物の保存方法は特に制限されないが、ラジカル重合性単量体としてエポキシ系モノマーおよびアミン化合物双方を含む場合には、該エポキシ系モノマーとアミン化合物は別個の包装とし、使用時に混合して用いるのが高い保存安定性を得ることができ好ましい。この場合には、他の成分は上記2包装に適宜分配すればよい。
【0115】
本発明の硬化性組成物を硬化させてフォトクロミック性硬化体を得る方法は特に限定されず、用いるラジカル重合性単量体の種類に応じた公知の重合方法を採用することができる。重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の使用、または紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、熱重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートの如きパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルオキシカーボネートの如きパーカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)の如きアゾ化合物等挙げられる。
これら熱重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、重合性単量体の種類や組成によって異なり、一概に限定できないが、一般には、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。上記熱重合開始剤は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また紫外線等の光照射により重合させる場合には、光重合開始剤として、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アエトフェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等を使用することが好ましい。
上記光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、複数のものを併用してもよい。さらに、前記熱重合開始剤と、光重合開始剤を併用してもよい。
これら光重合開始剤は、全単量体100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲で用いるのが一般的である。
特に好ましい重合方法は、上記光重合開始剤を配合した本発明の硬化性組成物に対し紫外線を照射し硬化させた後、さらに加熱して重合を完結させる方法である。
紫外線等の光照射により重合させる場合には、公知の光源を何ら制限なく用いることが出来る。該光源を具体的に例示すれば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、メタルハライドランプ、無電極ランプ等を挙げることが出来る。該光源を用いた光照射の時間は、上記光重合開始剤の種類、吸収波長および感度、さらにはフォトクロミック層の膜厚等により適宜決定すれば良い。また、光源に電子線を用いる場合には、光重合開始剤を添加せずに、フォトクロミック層を硬化させることもできる。
【0116】
本発明の硬化性組成物は、上記重合開始剤等を用いることにより硬化させて、それ単独でフォトクロミック性の材料として用いることも可能であるが、基材例えば光学基材、好ましくは眼鏡レンズ等の光学材料をコーティングするコーティング材として使用するのが特に好ましい。
該光学材料としては、特に限定されず、眼鏡レンズ、家屋や自動車の窓ガラス等公知の光学材料が挙げられる。
眼鏡レンズとしては、(メタ)アクリル樹脂系、ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂等のプラスチック系の眼鏡レンズ、ガラス系の眼鏡レンズが公知であり、本発明の硬化性組成物を眼鏡レンズのコーティング材として用いる場合には、特に制限されることなくいずれの眼鏡レンズにも使用できるが、プラスチック系の眼鏡レンズ用のコーティング材として使用することがより好ましく、(メタ)アクリル樹脂系ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂等の眼鏡レンズのコーティング材として使用することがより好ましい。
眼鏡レンズ等の光学材料のコーティング材として用いる場合には、該光学材料へ本発明の硬化性組成物をスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ディップ−スピンコーティング等で塗布し、その後、光照射して硬化させる方法、あるいは加熱硬化させる方法が好適であり、より好ましくは光照射により硬化させた後、さらに加熱して重合を完結させる方法である。
眼鏡レンズ等の基材を硬化性組成物でコーティングする際には、コーティング材の塗布に先立ち、基材を予め大気圧プラズマ処理することが好ましい。
【0117】
上記大気圧プラズマ処理を行った基材に塗布する硬化性組成物は、フォトクロミック化合物を含み、加熱や紫外光、可視光等の照射で硬化可能な組成物であれば特に制限されず、公知のコーティング組成物を使用できるが、好ましくは、ラジカル重合性単量体を主成分とし、該ラジカル重合性単量体100質量部に対して、フォトクロミック化合物が0.01〜20質量部含むものがよい。さらに好ましくは、ラジカル重合性単量体100質量部に対して、フォトクロミック化合物が0.01〜20質量部、アミン化合物が0.01〜20質量部含まれてなる硬化性組成物が好ましく、さらに、当該ラジカル重合性単量体中に、シラノール基を有するラジカル重合性単量体、加水分解によりシラノール基を生じる基を有するラジカル重合性単量体、あるいはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体のいずれかが含まれている本発明の上記硬化性組成物がより好ましい。
該プラズマ処理が大気圧ではなく、真空プラズマ処理等の大気圧以外の条件で行われる場合には、樹脂製基材表面が均一に処理されず、むらのある状態となってしまい好ましくない。また、大気圧以外の条件では、装置の気密性が要求されるため、製造装置が相対的に大がかりなものとなってしまい、コスト的に不利となる。
大気圧プラズマ処理とは、一般的には低圧プラズマ処理より高圧の条件下で行われる処理方法を指し、その気圧は低圧プラズマ処理の圧力が約1torrに対してそれ以上の高圧である場合をいう。通常は地球上での地表における気圧下で使用する場合を意味し、高度によって多少の上下はあるものの、おおよそ760torrの大気圧である。
大気圧プラズマ処理に用いる導入気体は、公知のものが何ら制限無く使用することができる。導入気体としては、空気、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アンモニア、塩素、一酸化窒素、二酸化窒素、CF4やC2F6等のフロン系ガス等を挙げることができるが、取り扱いの容易さ、コスト等の観点から、空気または窒素を用いるのが好適である。
【0118】
また、大気圧プラズマ処理に用いる導入気体は、他の条件にもよるが、その相対湿度が24℃で80%RH以下であることが好適であり、さらには40%RH以下であることが好適である。ここでは、相対湿度を規定する温度を24℃としているが、特に大気圧プラズマに用いる導入気体の温度が制限されるわけではない。さらには、ここで示す導入気体の相対湿度の条件は、大気圧プラズマ照射部に導入する以前のものである。このような相対湿度にすることにより、大気圧プラズマ処理による密着性向上効果が極めて良好となる。
上記相対湿度を有する導入気体の製造方法は特に制限されず、環境中の空気以外の気体を用いる場合には、市販のガスボンベから取り出した状態で通常は上記相対湿度以下である。また、環境中の空気を用いる場合には、大気圧プラズマ照射器を設置した場所の未処理の空気をそのまま、あるいはコンプレッサーで圧縮した後、適量の塩化カルシウムやシリカゲル等の吸湿剤を充填した吸水管を通して相対湿度を調整した空気を用いる方法が挙げられる。むろん、環境中の空気の相対湿度が十分に低ければ吸水管を通す必要はない。
大気圧プラズマ処理に用いる導入気体の温度は、特に制限されないが、好適には−5℃〜100℃の範囲であり、より好適には5℃〜60℃の範囲である。
大気圧プラズマ処理におけるプラズマ照射の方法は、特に制限されることはないが、以下に示すような方法を用いるのが好適である。例えば、(1)樹脂製基材をスピンコート装置に設置し、該樹脂製基材を回転させながらプラズマ照射を行う方法、(2)樹脂製基材を固定されたプラズマ照射部位の下に設置し、該樹脂製基材を自動もしくは手動で前後左右に移動させることにより、該樹脂製基材表面を均一にプラズマ処理する方法、または(3)樹脂製基材を固定し、プラズマ照射部位を自動もしくは手動で前後左右に移動させることにより、該樹脂製基材表面を均一にプラズマ処理する方法等を挙げることができる。
また大気圧プラズマ処理においては、樹脂製基材とプラズマ照射部位との間に、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス、SUS等の金属(合金を含む)から成るメッシュ状シート等を挿入することも可能である。該メッシュ状シートを使用することにより、大気圧プラズマ処理に用いた樹脂製基材表面の放電または熱による劣化を低減させることができ、樹脂製基材表面を劣化させることなく効率良く大気圧プラズマ処理することが可能である。さらには、該メッシュ状シートを用いた場合、後述する大気圧プラズマ処理をした後の水や有機溶媒による洗浄の工程を行わずに比較的高い密着性を得ることが可能となる。
樹脂製基材は上記大気圧プラズマ処理されたのち、その表面をそのままフォトクロミック化合物を含む硬化性組成物で被覆してもよいが、好ましくは、該大気圧プラズマ処理された表面を、被覆前に溶剤(以下、洗浄溶剤という)で洗浄することが好ましい。当該洗浄により、樹脂製基材表面と硬化体との密着性を確固たるものとすることがより容易になる。この洗浄溶剤による洗浄は、大気圧プラズマ処理に際し、前記金属製メッシュ状シートを使用しない場合に特に効果的である。
【0119】
洗浄溶剤としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールの如きアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如きエーテル類、アセトニトリル、アセトンの如き常温で水と任意の割合で混合する有機溶媒;1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエンの如きその他の有機溶媒等が挙げられる。
これらの洗浄溶剤は単独で用いてもよいし、複数のものの混合溶剤でもよいが、密着性向上の効果の点から水が一成分として含まれることが極めて好ましい。特に、密着性向上効果が極めて再現性良く得られ且つ排水処理等も極めて容易である点で、水を使用することが最も好ましい。
水と有機溶媒との混合溶剤の場合には、当該混合溶剤が水と均一に混合された状態であるものが、特に好適に使用することができる。このような水と有機溶媒の均一混合溶剤とするためには、有機溶媒として、前記した常温で水と任意の割合で混合する水溶性有機溶媒を使用することが好ましい。好適な水溶性有機溶媒を例示すると、取扱い易さや生体への為害性等の観点から、メタノール、エタノール、アセトン等が好適である。
本発明における洗浄溶剤が水または水と有機溶媒の均一混合溶剤である場合には、水/有機溶媒が質量比で100/0〜1/99の範囲であるのが好ましく、100/0〜15/85の範囲であるのがより好ましい。
本発明で使用する洗浄溶剤として使用する有機溶媒は市販の工業用溶剤を特に精製することなく使用でき、また、水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、純水等が使用できる。
本発明で使用される洗浄溶剤の温度は、使用する各樹脂製基材や洗浄に用いる水または有機溶媒の種類、あるいはそれらの混合比によって異なるが、通常は−5〜100℃の範囲が好適であり、より好適には5〜80℃である。
【0120】
大気圧プラズマ処理後の樹脂製基材表面を洗浄溶剤で洗浄する方法としては、公知の方法を何ら制限なく使用することができる。該洗浄方法として好適に使用されるものを例示すれば、(1)洗浄溶剤をしみ込ませた布による洗浄、(2)超音波洗浄、または(3)スピンコート装置を用いた洗浄等を挙げることができる。具体的には、(1)の洗浄方法は、適量の洗浄溶剤を布にしみ込ませ、この布を用いて大気圧プラズマ処理された樹脂製基材表面を拭くことにより洗浄する方法であり、(2)の洗浄方法は、容器に洗浄溶剤を注ぎ、その中に大気圧プラズマ処理された樹脂製基材を浸し超音波で洗浄する方法であり、または(3)の洗浄方法は、大気圧プラズマ処理された樹脂製基材をスピンコート装置に設置し、適量の洗浄溶剤を樹脂製基材表面に塗布(滴下)した後、樹脂製基材を回転することで洗浄する方法である。
上記洗浄方法の回数は、特に制限されないが、0〜10回の範囲が好適であり、より好適には生産性等の観点から1〜5回の範囲であるのがより好ましい。また、上記記載の(1)〜(3)の洗浄方法を、大気圧プラズマ処理された一つの樹脂製基材に対して、2種類以上実施しても何ら構わない。さらには、複数回洗浄を実施する場合には、洗浄を実施する毎に異なる洗浄溶媒を用いて洗浄することも可能である。
洗浄時間は、使用する樹脂製基材や洗浄溶剤の種類、量および温度、さらには洗浄方法によっても異なるが、通常は1秒〜30分の範囲が好適であり、より好適には3秒〜10分の範囲である。
【0121】
上記方法においては、大気圧プラズマ処理された樹脂製基材の表面に、必要に応じてさらに洗浄溶媒で洗浄した後、フォトクロミック化合物を含む硬化性コーティング組成物を被覆し、さらに該コーティング組成物を硬化すれば十分な密着性が得られるが、さらに必要に応じて、樹脂製基材のプラズマ処理前、あるいはプラズマ処理後に、樹脂製基材をアルカリ溶液で処理することで、密着性がさらに向上するため、より好適な方法として用いることができる。該アルカリ溶液としては、好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液、あるいは水酸化カリウム水溶液が用いられる。該水酸化物の濃度としては、5〜30質量部が好適である。また、温度は特に制限はなく、用いる基材の耐熱性を勘案して適宜決定すればよいが、好ましくは20〜60℃の範囲で用いられる。また、その処理方法としては、該アルカリ溶液に樹脂製基材を含浸するか、あるいは樹脂製基材を含浸したまま超音波洗浄してもよい。その処理時間は、用いる処理条件により異なるが、1分〜1時間、より好ましくは5〜15分の範囲が好適である。又、アルカリ溶液としては、水溶液以外に、水、アルコール溶媒の混合溶液、アルコール溶液であってもよい。用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールまたさらに少量の添加剤として、1−メチル−2−ピロリドン等の有機塩基をアルカリ溶液100質量部に対して、1〜10質量部加えてもよい。
上記方法によって硬化させて得られるコーティング層の厚さは特に限定されないが、フォトクロミック化合物濃度が低くても充分な発色濃度が得られ、またフォトクロミック特性の耐久性も良好なため、該厚さは比較的厚い方が好ましい。しかしながら一方で、コーティング層の厚さが厚い方が初期の黄色さも増加するため、該コーティング層厚さは10〜100μmであるのが好ましく、20〜50μmであるのがより好ましい。このような厚めのコーティング厚さとするには前記した通り、硬化性組成物の25℃における粘度を20〜500cp、好適には50〜300cp、より好適には60〜200cpとすることによって容易に達成できる。なお従来知られている各種コーティング組成物(ただしシリルモノマー、フォトクロミック材料等が含まれていない)は均一な膜を得るために溶媒等が含まれており、このためこのような組成物の粘度は通常5cp以下であり、またそれにより得られるコーティング層の厚さも数μm以下である。
また、本発明の硬化性組成物を眼鏡レンズ用のコーティング材料として使用する場合、その硬化体の屈折率が当該眼鏡レンズの屈折率とほぼ等しくなるように、配合する各成分、特にラジカル重合性単量体の配合割合を調整することが好ましい。一般には、屈折率1.48〜1.75程度に調節される。
【0122】
本発明の硬化性組成物は、前記シリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマー、並びにアミン化合物を配合することにより、このような眼鏡レンズ、特にプラスチック系の眼鏡レンズ等の光学材料のコーティング材として使用した際に、該光学材料との極めて高い密着性を発現する。
このようにしてコーティングされた光学材料はそのままフォトクロミック光学材料として使用することが可能であるが、より好ましくはさらにハードコート材で被覆することが好ましい。ハードコート材で被覆することにより、フォトクロミック光学材料の耐擦傷性を向上させることができる。
当該ハードコート材としては公知のものがなんら制限なく使用でき、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム等の酸化物のゾルを主成分とするハードコート剤や、有機高分子体を主成分とするハードコート剤が使用できる。
本発明の硬化性組成物は、従来公知の組成物では密着性が悪く、その適用が困難であった、縮合法によって硬化させるハードコート剤との密着性も高いものとなり極めて有用である。
さらに、本発明の硬化性組成物の単独硬化体、光学材料のコーティング材としての硬化表面、あるいはコーティング後さらにハードコートした表面に、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
【0123】
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に使用した化合物の略号と名称を示す。その他のラジカル重合性単量体については、括弧内に「ホモ−HL」として、各化合物(モノマー)を注型重合(30℃から90℃まで20時間かけて昇温し、さらに120℃で2時間重合した。)して単独重合したときに得られる硬化体のLスケールでのロックウエル硬度を記載した。該硬度の測定方法は、硬化体を25℃の室内で1日保持した後、明石ロックウエル硬度計(形式:AR−10)を用いて測定した。なお、グリシジルメタアクリレートはエポキシ系モノマーである。
【0124】
(1)ラジカル重合性単量体
・シリルモノマー
TMSiMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
DMSiMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン。
・イソシアネートモノマー
MOI:2−イソシアナトエトキシメタアクリレート
・その他のラジカル重合性単量体
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート(ホモ−HL=122)
DPEHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ホモ−HL=100)
U6A:ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート(ホモ−HL=100)(新中村化学社:U−6HA)
EB6A:ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ホモ−HL=100)(ダイセル・ユーシービー社:EB1830)
GMA:グリシジルメタアクリレート(ホモ−HL=80)
BPE:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン(ホモ−HL=110)
9GDA:平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート(ホモ−HL<20)
MePEGMA(475):平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート(ホモ−HL<20)
BPEオリゴ:平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン(ホモ−HL<40)
(2)アミン化合物
NMDEA:N−メチルジエタノールアミン
DMEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(3)フォトクロミック化合物
クロメン1
【0125】
【化62】
【0126】
クロメン2
【0127】
【化63】
【0128】
クロメン3
【0129】
【化64】
【0130】
クロメン4
【0131】
【化65】
【0132】
クロメン5
【0133】
【化66】
【0134】
クロメン6
【0135】
【化67】
【0136】
(4)重合開始剤
CGI184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
CTX:2−クロロチオオキサントン
CGI403:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド
(5)ハードコート液
TS56H((株)トクヤマ製縮合系ハードコート材)。
(6)安定剤
LS765:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート
(7)光学材料
CR39(アリル樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.50)
MR(チオウレタン系樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.60)
TE(チオエポキシ系樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.71)
PC(ポリカーボネート樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.59)
SPL(メタクリル系樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.54)
【0137】
実施例1
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン35重量部、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート10重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20部、グリシジルメタクリレート10部からなる重合性単量体100重量部に、クロメン1を3重量部、N−メチルジエタノールアミンを5重量部、LS765を5重量部、重合開始剤としてCGI184を0.4重量部およびCGI403を0.1重量部添加し十分に混合した。この混合液の動粘度を、キャノン−フェンスケ粘度計を用いて測定した。測定はJISK2283に準拠し、25℃で行った。得られた動粘度とあらかじめ測定した試料の比重より、式〔粘度(cP)=動粘度(cSt)×比重(g/cm3)〕を用いて試料の粘度を算出したところ81cpであった。
続いて上記方法で得られた混合液の約2gをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、厚さ2mmのプラスチックレンズ(CR39)の表面に、回転数60r.p.mで40秒→500r.p.mで2秒→1,000r.p.mで2秒の条件でスピンコートした。この表面がコートされたレンズを窒素ガス雰囲気中で出力120mW/cm2のメタルハライドランプを用いて、2分間照射し、塗膜を硬化させた。その後さらに120℃で3時間加熱した。なお、用いたプラスチックレンズは、あらかじめその表面を京都電気機器(株)製コロジェット1000を用いてコロナ放電処理し、表面状態を改質したものを用いた。
得られたフォトクロコーティング層を有するレンズを試料とし、最大吸収波長、発色濃度、退色速度、耐久性、黄色さおよびレンズとフォトクロコーティング層との密着性並びにコーティング層の厚さを以下の方法で測定した。
【0138】
(1)最大吸収波長(λmax):得られたフォトクロコーティング層を有するレンズに、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2で120秒間照射して発色させた。このときの最大吸収波長を(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた。なお、該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
(2)発色濃度:120秒間光照射した後の、最大吸収波長における吸光度{ε(120)}と、光照射していない状態の硬化体の該波長における吸光度{ε(0)}との差{ε(120)−ε(0)}を求めこれを発色濃度とした。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
(3)退色速度:120秒間光照射した後、光の照射を止め、該硬化体の最大波長における吸光度が前記{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間{t1/2(min)}を測定した。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
(4)耐久性:光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られたフォトクロコーティング層を有すレンズをスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により200時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A200)を測定し、{(A200/A0)×100}の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
(5)黄色さ(YI):レンズ試料の発色前の黄色さを、スガ試験機(株)製の色差計(SM−4)を用いて測定した。なおYI値が高いほど、黄色さが強いことを示す。
(6)発色ムラ:レンズ試料を屋外にて太陽光で発色させ、目視で発色にムラがあるかどうかを評価した。発色ムラが見られなかった場合を○、発色ムラが見られた場合を×で示した。
(7)レンズとフォトクロコーティング層との密着性(密着性1):フォトクロコーティングされたレンズの、コーティング層側の表面に、先端が鋭利なカッターナイフで1mm×1mmのマス目を100個つけた。続いて、市販のセロテープを貼り付けて、次いでそのセロテープを素早く剥がした時のコーティング層(コート膜)の剥がれ状態を目視により確認した。全く剥がれのないものを○、一部剥がれたものを△、全部剥がれたものを×として評価した。
(8)フォトクロコーティング層の膜厚:フォトクロコーティングされたレンズをダイヤモンドカッターにて切断し、その切断面をCCDカメラにて撮影してその膜厚を評価した。
続いて、前記方法で得られたフォトクロコーティング層を有すレンズをアセトンで洗浄後、十分に風乾して清澄な状態とし、次いで10%NaOH水溶液に10分浸漬した後、さらに十分に水洗して再び風乾した。このレンズをTS56Hハードコート液に浸し、30mm/分で引き上げた後、60℃で15分予備乾燥後130℃で2時間加熱硬化させ、ハードコート層を有す試料とした。この試料を用いフォトクロコーティング層とハードコート材の密着性、耐擦傷性、ハードコート層へのフォトクロミック化合物の溶出性を評価した。
(9)フォトクロコーティング層とハードコート材の密着性(密着性2):ハードコート処理されたレンズのフォトクロ層を有す側の表面(ハードコート層で覆われている)に、先端が鋭利なカッターナイフで1mm×1mmのマス目を100個つけ、続いて市販のセロテープを貼り付けて、次いでそのセロテープを素早く剥がした時のハードコート層とフォトクロコーティング層の剥がれ状態を目視で確認した。全く剥がれのないものを○、一部剥がれたものを△、全部剥がれたものを×と評価した。
(10)耐擦傷性:福田機械工業株式会社製の耐擦傷性試験器に#0000のスチールウールを取り付け、1kgの加重下で試料表面を10往復させた後の表面の傷つき度合いを目視により観察した。全く傷つかなかった状態をS、若干の傷がつく状態をA、そしてなんらハードコートしていないポリアリルジエチレングリコールカーボネート生地の非常に傷つきやすい状態をEとして、SおよびA〜Eの6段階で評価した。
(11)ハードコート液へのフォトクロミック化合物の溶出:前記方法で得られたハードコートを施したレンズを目視により観察し、ハードコート層へフォトクロミック化合物が溶出しているか否かを確認した。ハードコート液中への溶出による着色が見られなかった場合を○、着色が見られた場合を×とした。
上記各評価の結果は、λmax:610nm、発色濃度:0.77、退色速度:1.2分、耐久性:45%、黄色さ(YI):13、コーティング層と基材の密着性:○、コーティング層の厚さ30μm、コーティング層とハードコート層の密着性:○、耐擦傷性:B、ハードコート液への溶出:○であった。
【0139】
実施例2〜25
表1に示した組成のラジカル重合性単量体組成、クロメン化合物、その他添加剤を使用し、実施例1と同様にして本発明の硬化性組成物でフォトクロコーティングを施した硬化体を得、その各種特性を評価した。なお以下の表1および表3における、アミン化合物、重合開始剤、安定剤およびフォトクロミック化合物の配合量(部)は、全ラジカル重合性単量体100重量部に対する配合量(重量部)である。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
その結果をまとめて表2に示す。
【0143】
【表3】
【0144】
比較例1〜12
さらに、比較のために、表3に示したような重合性単量体組成、クロメン化合物を使用した以外は、実施例1と同様にしてフォトクロミック硬化体を得、その特性を評価した。
【0145】
【表4】
【0146】
結果を表4に示した。
【0147】
【表5】
【0148】
上記表1および2から明らかなように、シリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマー、並びに本発明の範囲でアミン化合物を含む本発明の硬化性組成物は、基材(レンズ)およびハードコート材いずれに対する密着性も良好であった。さらに、シリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマーの配合量を重合性単量体中0.5〜20重量%とした各実施例では、該配合量がそれより少ない場合の例である実施例2または16よりもさらに密着性が良好で、かつ耐擦傷性も良好であった。また、該配合量が30重量%と比較的多い場合である実施例6または18に比較するとフォトクロミック化合物の発色濃度がより高く、その退色速度も速く、耐久性も良好であった。また、イソシアネートモノマーを用いた場合(実施例16,17,18)よりも、シリルモノマーを用いた場合の方がより良好な耐擦傷性を示した。また、実施例25と他の実施例との比較から理解されるように、重合性単量体としてエポキシ系モノマーが含まれることによって、基材(レンズ)との密着性および耐擦傷性が向上し、また各種フォトクロミック特性も良好なものとできる。
一方、表3および4に示されているように、シリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマーあるいはアミン化合物、もしくはその双方が含まれない場合の例である比較例1〜3および6〜11では、基材(レンズ)およびハードコート材いずれに対する密着性も極めて悪かった。
また、比較例4に示されているように、アミン化合物が本発明の範囲以下の場合には、基材(レンズ)への密着性が悪く、一方、比較例5の如くアミン化合物が本発明の範囲より多い場合には、基材(レンズ)およびハードコート材いずれに対する密着性も極めて悪かった。さらには該比較例5は同じフォトクロミック化合物(クロメン1)を用いている他の実施例・比較例に比してレンズの初期着色が強かった(YIが大きい)。
実施例26〜29
光学基材としてアリル樹脂プラスチックレンズであるCR39に代えて、表5に記載したプラスチックレンズを用いた以外は実施例1と同様にして試料を作成し、各種物性を測定した。結果を表6に示す。
【0149】
【表6】
【0150】
【表7】
【0151】
上記表5および表6に示されているように、本発明の硬化性組成物は基材の種類にかかわらず該基材との極めて良好な密着性を示し、また他の諸物性も良好であった。
実施例30〜36
表7に示すような重合性単量体組成で異なる粘度の硬化性組成物を調製し、該組成物を用いて実施例1と同様に各種物性を測定した。結果を表8に示す。
【0152】
【表8】
【0153】
【表9】
上記表7および表8に示されているように、本発明の硬化体組成物はその粘度にかかわらず良好な密着性を示した。さらに、25℃における粘度を20〜500cpとすることにより、得られるコーティング層の厚さを10〜100μmの均一なムラのないものとすることが容易にできた。これにより光を照射した際のフォトクロミック材料の発色ムラがなく、レンズ全体が均一に発色する材料とすることができた。なおこれは、一定以上のコーティング膜厚とすることにより、わずかな膜厚の差による発色ムラが無視し得るものとなり、また一方で、一定以下のコーティング膜厚とするために硬化性組成物の粘度を相対的に低いものとすることによって、スピンコーティングの際に均一な膜とすることができるためであると考えられる。
さらに、前述した各実施例の結果と併せ、シリルモノマーの種類および添加量、並びにクロメン化合物の種類が同一のもので比較することによって理解できるように、本発明の硬化性組成物の粘度を60cp以上とすることにより得られるコーティング層の厚さを20μm以上とすることが容易となり、これによりフォトクロミック化合物の耐久性をより向上させることができる(例えば、実施例1、7〜15、31〜33と、実施例30および34の比較)。同じく、硬化性組成物の粘度を200cp以下とすることによりコーティング層の厚さを50μm以下とすることが容易となって、これにより初期の黄色さをさらに低いものとすることができる(例えば、実施例1、7〜15、31、32と実施例33)。
【0154】
比較例13
窒素置換した容器に、ヒドロキシエチルメタクリレート90g、ブチルアクリレート150重量部、スチレン60重量部、高沸点芳香族溶媒(Aromatic100:Texaco製)160重量部と熱重合開始剤Luperox555−M60(Elf Atochem製:t−アミルパーアセテート)11重量部を加え、125℃で3時間重合させた。その結果固形分で65%のポリマー溶液を得た。このポリマーの重量平均分子量をGPC(ゲルパーメーションクロマトグラフィー)にて測定したところ13,500であった。
上で得られたポリマー溶液28重量部、数平均分子量1,000のポリ(オキシテトラメチレン)ジオール11重量部、N−メチルピロリドン21重量部、ポリイソシアネート(VestanatB1358 ABlocked:Huls America製、メチル−エチルケトオキシムにてキャッピングされた脂肪族ポリイソシアネート)40重量部、フォトクロミック化合物としてクロメン1を3重量部と重合触媒としてジブチル錫ジラウレート5重量部を加え十分に撹拌溶解した。その後実施例1と同様にスピンコーターを用い、この混合液の約0.8gを厚さ2mmのプラスチックレンズ(CR39)の表面に塗布した後、回転数2,000r.p.mでスピンコートした。その後赤外線を照射して予備硬化を行い続いて140℃で40分加熱して本硬化を行った。
得られたフォトクロコーティング層を有するレンズを試料とし、実施例1と同様な手法で各種物性を測定した。結果を表9に示す。
【0155】
【表10】
【0156】
上記表9に示されている比較例13の結果および前記した各実施例との比較で理解されるように、コーティング材の成分としてラジカル重合性単量体ではなく、ラジカル性の重合体(ポリマー)とウレタン結合系の単量体の混合物を用いた場合には、基材(レンズ)、ハードコートいずれに対する密着性も悪く、またハードコートの際にフォトクロミック化合物の溶出が見られ、このような材料はコーティング材として好ましくなかった。
以下の実施例37〜72および比較例14〜16で用いられたフォトクロミック性コーティング組成物は次のとおりである。また、レンズとフォトクロミック層との密着性およびフォトクロミック層の膜厚は次の測定法によったが、それ以外の評価等は実施例1〜36と同様である。
【0157】
コーティング組成物A:
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン35重量部、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート10重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20部、グリシジルメタクリレート10部からなる重合性単量体100重量部に、クロメン1を3重量部、N−メチルジエタノールアミンを5重量部、LS765を5重量部、重合開始剤としてCGI184を0.4重量部およびCGI403を0.1重量部添加し十分に混合し、フォトクロミック性コーティング組成物Aを得た。
コーティング組成物B〜P:
コーティング組成物Aと同様の方法で、表10に示す成分を混合し得た。
【0158】
【表11】
【0159】
【表12】
【0160】
(12)レンズとフォトクロミック層との密着性:フォトクロコーティングされたレンズの、フォトクロミック層側の表面に、先端が鋭利なカッターナイフで1mm×1mmのマス目を100個つけた。続いて、市販のセロテープ(登録商標)を貼り付けて、次いでそのセロテープ(登録商標)を素早く剥がした時のフォトクロミック層の剥がれ状態を目視により確認した。評価(評価後の残存マス目/評価前のマス目で示す。)は、100/100を◎、95/100以上を○、80/100以上を△、50/100以上を▲、それ以下を×とする5段階評価とした。
(13)フォトクロミック層の膜厚:フィルメトリクス社製薄膜測定装置を用いて測定を行った。
【0161】
実施例37
厚さ2mmのプラスチックレンズ(樹脂製基材:CR39)の凸面全体に、大気圧プラズマ照射器(株式会社キーエンス製ST−7000)を用いて、計90秒の大気圧プラズマ処理を行った。照射部位とレンズとの距離は、約10mmとし、また照射部位とレンズとの間にSUS製メッシュシートを挿入して行なった。プラズマ処理を行う際の導入気体として市販の空気ボンベから得られる空気を用いた。その空気ボンベから供給される空気の相対湿度を測定したところ24℃で14%であった。(株式会社井内盛栄堂製温湿度計:TR−72S使用)
続いて上記方法で得られた大気圧プラズマ処理をして得たレンズ表面に、コーティング組成物Aを、MIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、回転数60r.p.mで40秒→500r.p.mで2秒→1,000r.p.mで2秒の条件でスピンコートした。この表面がコーティング組成物で被覆されたレンズを窒素ガス雰囲気中で照射強度が120mW/cm2程度のメタルハライドランプを用いて、2分間照射し、コーティング組成物を硬化させた。その後さらに120℃で3時間加熱した。
得られたフォトクロミック性光学材料を試料とし、最大吸収波長、発色濃度、退色速度、耐久性、黄色さおよびレンズとフォトクロミック層との密着性並びにフォトクロミック層の厚さを以下の方法で測定し、その結果を表11に示した。
【0162】
実施例38および39
導入気体として、市販の空気ボンベから供給される空気に代えて、環境中の空気をコンプレッサーで圧縮した空気、または市販の窒素ボンベから供給される窒素ガスを用いる以外は実施例37と同様にして資料を作成、評価した。評価結果を表11に示した。
【0163】
比較例14〜16
レンズ表面の処理を大気圧プラズマ処理ではなく、未処理(比較例14)、25℃の10質量%のNaOH水溶液に15分間浸漬した後、水洗する処理(比較例15)、あるいは25℃の10質量%のH2SO4水溶液に30分浸漬した後、水洗する処理(比較例16)した以外は実施例37と同様にしてフォトクロミック性光学材料を得た。結果を表11に示した。
【0164】
【表13】
【0165】
実施例40
厚さ2mmのプラスチックレンズ(樹脂製基材:CR39)の凸面全体に、大気圧プラズマ照射器(株式会社キーエンス製ST−7000)を用いて、計90秒の大気圧プラズマ処理を行った。照射部位とレンズとの距離は、約10mmとした。またプラズマ処理を行う際の導入気体として市販の空気ボンベを用いたが、その空気ボンベから供給される空気の相対湿度を測定したところ24℃で14%であった。(株式会社井内盛栄堂製温湿度計:TR−72S使用)
上記方法でプラズマ処理されたレンズをMIKASA製スピンコーター1H−DX2にセッティングし、温度約40℃の蒸留水を3ml用いてスピン洗浄を行った。この時のスピン条件は、60r.p.mで20秒→500r.p.mで2秒→2,000r.p.mで10秒であった。
続いて上記方法で得られた大気圧プラズマ処理、蒸留水洗浄をして得たレンズ表面に、コーティング組成物Aを、MIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、回転数60r.p.mで40秒→500r.p.mで2秒→1,000r.p.mで2秒の条件でスピンコートした。この表面がコーティング組成物で被覆されたレンズを窒素ガス雰囲気中で照射強度が120mW/cm2程度のメタルハライドランプを用いて、2分間照射し、コーティング組成物を硬化させた。その後さらに120℃で3時間加熱した(表12)。
得られたフォトクロミック性光学材料を試料とし、実施例37と同様の方法で最大吸収波長、発色濃度、退色速度、耐久性、黄色さおよびレンズとフォトクロミック層との密着性並びにフォトクロミック層の厚さを測定した。その結果を表13に示した。
【0166】
実施例41〜65
表12に示した大気圧プラズマ処理および洗浄条件で、実施例40と同様にしてフォトクロミック性光学材料を製造し、その特性を評価した。結果を表13に示す。
なお、表12に示す洗浄方法は、拭き洗浄が適量の水または水を含む有機溶媒を布にしみ込ませ、この布を用いて大気圧プラズマ処理された樹脂製基材表面を拭くことにより洗浄する方法であり、超音波洗浄は容器に水または水を含む有機溶媒を注ぎ、その中に大気圧プラズマ処理された樹脂製基材を浸し超音波で洗浄する方法であり、スピン洗浄が大気圧プラズマ処理された樹脂製基材をスピンコート装置に設置し、適量の水または水を含む水溶性溶媒を樹脂製基材表面に塗布した後もしくは塗布しながら、樹脂製基材を回転することで洗浄する方法である。さらに導入気体は、通常空気が大気圧プラズマ照射器を設置した場所における未処理の空気、圧縮空気がコンプレッサーで圧縮した後、適量の塩化カルシウムやシリカゲル等の吸湿剤を充填した吸水管を通して相対湿度を調整した空気、空気ボンベは市販されている空気ボンベから得られる空気である。また、その他の導入気体に関しては、市販のボンベから得られるガスを用いた。また水は市販の和光純薬製蒸留水を、有機溶媒は市販のJIS1級メタノール、JIS1級エタノール、JIS特級アセトン、JIS特級アセトニトリルおよびJIS1級ジエチルエーテルをそのまま用いた。
【0167】
【表14】
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【0170】
【表17】
【0171】
上記表10〜13に明らかなように、樹脂製基材(プラスチックレンズ)の表面を大気圧プラズマ処理することにより基材とコーティング組成物の密着性は、他の表面処理方法に比べて顕著に高かった。さらに、実施例57〜61と他の実施例を比較して判るように、洗浄用の溶剤として、水または水と有機溶媒の混合溶媒を用いることにより密着性がより向上している。また、実施例47と実施例40、41等との比較から、大気圧プラズマ処理の際に導入する気体の相対湿度を80%以下とすることにより密着性をより高いものとすることができることが理解できる。
実施例66〜69
樹脂製基材として、アリル樹脂プラスチックレンズであるCR39に代えて、チオウレタン系樹脂プラスチックレンズ(MR)、チオエポキシ系樹脂プラスチックレンズ(TE)、ポリカーボネート樹脂プラスチックレンズ(PC)、またはメタクリル系樹脂プラスチックレンズ(SPL)を用いた以外は実施例40と同様にしてフォトクロミック性光学材料を製造し、その性能を評価した。結果を表14に示したが、基材樹脂の種類によらず、いずれも良好な結果を示すことが判った。
【0172】
【表18】
【0173】
実施例70
厚さ2mmのプラスチックレンズ(樹脂製基材:MR)を25℃の10質量%のNaOH水溶液に15分間浸漬し、その後水洗、さらに乾燥させた後、該レンズの凸面全体に大気圧プラズマ照射器(株式会社キーエンス製ST−7000)を用いて、計90秒の大気圧プラズマ処理を行った。照射部位とレンズとの距離は、約10mmとした。またプラズマ処理を行う際の導入気体として市販の窒素ボンベを用いたが、その窒素ボンベから供給される窒素の相対湿度を測定したところ24℃で14%であった。(株式会社井内盛栄堂製温湿度計:TR−72S使用)
上記方法で処理されたレンズを、MIKASA製スピンコーター1H−DX2にセッティングし、温度約40℃の蒸留水を3ml用いてスピン洗浄を行った。この時のスピン条件は、60r.p.mで20秒→500r.p.mで2秒→2,000r.p.mで10秒であった。
続いて上記方法で得られた大気圧プラズマ処理、蒸留水洗浄をして得たレンズ表面に、コーティング組成物として、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン30重量部、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン30重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20部、グリシジルメタクリレート20部からなる重合性単量体100重量部、およびクロメン1を4重量部、LS765を5重量部、重合開始剤としてCGI184を0.4重量部およびCGI403を0.1重量部からなる混合液を、MIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、回転数50r.p.mで40秒→300r.p.mで2秒→600r.p.mで2秒の条件でスピンコートした。この表面がコーティング組成物で被覆されたレンズを酸素濃度0.1%以下の窒素ガス雰囲気中で照射強度が120mW/cm2の無電極メタルハライドランプ(Fusion UV Systems Japan KK製: Model F300SQ−6)を用いて、3分間照射し、コーティング組成物を硬化させた。その後さらに110℃で1時間加熱した。
得られたフォトクロミック性光学材料を試料とし、実施例40と同様の方法で、その性能を評価した。結果を表15に示した。
【0174】
実施例71
コーティング組成物を下記に示す組成に変えた以外は、実施例70と同じ方法で、フォトクロミック性光学材料を得た。実施例40と同様の方法で、その性能を評価し、結果を表15に示した。
実施例71のコーティング組成物:
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン35重量部、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート10重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20部、グリシジルメタクリレート10部からなる重合性単量体100重量部に対して、クロメン化合物としてクロメン1を2.7重量部、クロメン4を0.8重量部、6−モルホリノ−3−(4’−ピペリジノフェニル)−3−フェニル−3H−ベンゾ(f)クロメンを0.6重量部、スピロオキサジン化合物として、1’,5’−ジメチル−6’’−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(2H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジンを0.3重量部、および1,3,3−トリメチル−6’−モルホリノ(スピロ−(3H)インドール−2−(2H),3’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジンを0.3重量部、アミノ化合物としてN−メチルジエタノールアミンを5重量部、ヒンダードアミン化合物としてLS765を5重量部、重合開始剤としてCGI184を0.4重量部およびCGI403を0.1重量部入れ混合攪拌して得た。
【0175】
実施例72
コーティング組成物を下記に示す組成に変えた以外は、実施例70と同じ方法で、フォトクロミック性光学材料を得た。実施例40と同様の方法で、その性能を評価し、結果を表15に示した。
実施例72のコーティング組成物:
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン35重量部、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート10重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20部、グリシジルメタクリレート10部からなる重合性単量体100重量部に対して、クロメン化合物としてクロメン1を1.6重量部、クロメン4を2.4重量部、6−モルホリノ−3−(4’−ピペリジノフェニル)−3−フェニル−3H−ベンゾ(f)クロメンを0.2重量部、アミノ化合物としてN−メチルジエタノールアミンを5重量部、ヒンダードアミン化合物としてLS765を5重量部、重合開始剤としてCGI184を0.4重量部およびCGI403を0.1重量部入れ混合攪拌して得た。
【0176】
【表19】
【0177】
以上のとおり、本発明の硬化性組成物を用いることにより、コーティング層と基材の密着性に優れさらに該コーティング層とハードコートの密着性にも優れるフォトクロミック性硬化体を得ることができる。さらにシリルモノマーおよび/またはイソシアネートモノマーの配合量を調節することにより、発色濃度が高く、退色速度が速く、さらには耐久性にも優れる等の、極めて優れたフォトクロミック特性を有す硬化体を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は上記のような優れた特性を有すため、眼鏡レンズ等の光学材料のコーティング材として極めて有用である。
樹脂製基材の表面を大気圧プラズマ処理することにより、該樹脂製基材とフォトクロミック性コーティング層との密着性に優れるフォトクロミック光学材料を得ることができる。さらには、大気圧プラズマ処理後に水、有機溶媒または水と有機溶剤の混合溶剤で洗浄することにより、より一層密着性を高いものとすることができる。本発明のフォトクロミック光学材料の製造方法は、優れたフォトクロミック特性を有し、またフォトクロミック性コーティング層と樹脂製基材との密着性に優れたフォトクロミック光学材料を提供する製造方法として極めて有用である。
Claims (10)
- (1)ラジカル重合性単量体 100重量部
(2)下記式(17−1)で示されるアミン化合物 0.01〜20重量部
(3)フォトクロミック化合物 0.01〜20重量部
を含んでなりそして該ラジカル重合性単量体が、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体、および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を含むことを特徴とする硬化性組成物。 - ラジカル重合性単量体が、分子中に少なくとも一つのエポキシ基と少なくとも一つのラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体をさらに含む請求項1記載の硬化性組成物。
- (1)ラジカル重合性単量体 100重量部
(2)下記式(17−2)で示されるアミン化合物 0.01〜20重量部
(3)フォトクロミック化合物 0.01〜20重量部
を含んでなりそして前記ラジカル重合性単量体が、
シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体、および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体と、
下記式(7)〜(11)
のそれぞれで示されるラジカル重合性単量体よりなる群から選ばれる、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上のラジカル重合性単量体と、
下記式(12)〜(15)
のそれぞれで示されるラジカル重合性単量体よりなる群から選ばれる、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すラジカル重合性単量体と、
からなることを特徴とする硬化性組成物。 - (1)ラジカル重合性単量体 100重量部
(2)下記式(17−2)で示されるアミン化合物 0.01〜20重量部
(3)フォトクロミック化合物 0.01〜20重量部
を含んでなりそして前記ラジカル重合性単量体が、
シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体、および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体と、
分子中に少なくとも一つのエポキシ基と少なくとも一つのラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体と、
下記式(7)〜(11)
のそれぞれで示されるラジカル重合性単量体よりなる群から選ばれる、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上のラジカル重合性単量体と、
下記式(12)〜(15)
のそれぞれで示されるラジカル重合性単量体よりなる群から選ばれる、単独重合体のLス ケールロックウェル硬度が40以下を示すラジカル重合性単量体と、
からなることを特徴とする硬化性組成物。 - 25℃における粘度が20〜500cpである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 光重合開始剤をさらに含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック性硬化体。
- コーティング用である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化体により、基材の少なくとも一面がコーティングされてなるフォトクロミック光学材料。
- 基材の少なくとも1面上に設けられた請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物の薄膜を光または光と熱により硬化せしめることを特徴とする、基材の少なくとも1面がコーティングされてなるフォトクロミック光学材料の製造法。
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