JP4152714B2 - フォトクロミック組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック性を有する組成物、該組成物を含む硬化性組成物、及び該硬化性組成物を硬化させてなる硬化体に関する。より詳しくは、特に眼鏡レンズ等の光学材料の表面にコーティングすることにより、該光学材料に簡単に良好なフォトクロミック性を付与することの可能な材料として好適に用い得るフォトクロミック性の材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことであり、様々な用途に応用されている。例えば、眼鏡レンズの分野においてもフォトクロミズムが応用されており、フォトクロミック化合物としてもこのような用途に好適に使用できるフフルギド化合物、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物およびナフトピラン化合物等が見い出されている。
【0003】
一般に、眼鏡レンズにフォトクロミック性を付与する方法としては、フォトクロミック性を有しないプラスチック製レンズ基材の表面にフォトクロ化合物を含浸させる方法(以下、含浸法という)、あるいはレンズ基材表面にフォトクロミック性を有するコーティング層をもうける方法(以下、コーティング法という。)、あるいはプラスチックレンズの原料モノマーにフォトクロ化合物を溶解させ、それを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法(以下、イン−マス法という)が知られている。これらの製法のなかでコーティング法はレンズ基材の上に通常1μm〜100μmの薄膜中にフォトクロ色素を高濃度に含有させたフォトクロ層を設ける方法であり、汎用なレンズ基材にフォトクロミック性を付与することが出来るため、実用上非常に有用な方法であるといえる。
【0004】
コーティング方法としては、(i)ウレタンオリゴマー中にフォトクロミック化合物を溶解させたものをレンズ表面に塗布、硬化する方法(特許文献1参照)、(ii)単官能、2官能および多官能ラジカル重合性単量体を組み合わせた重合性単量体組成物に、フォトクロミック化合物を溶解せしめ、それをレンズ表面に塗布、硬化する方法(特許文献2参照)、(iii)2種類以上の2官能(メタ)アクリルモノマーのみの組み合わせからなるモノマー組成物に、フォトクロミック化合物を溶解させ、それをレンズ表面に塗布、硬化する方法(特許文献3参照)等が知られているが、このうち(i)の方法には、得られたコート膜におけるフォトクロミック特性の環境温度依存性が大きいという問題があり、また(ii)乃至(iii)の方法には、眼鏡レンズ基材とコーティング層との密着性が十分でないという問題がある。
【0005】
一方、フォトクロミック眼鏡レンズにおいては、グレー及びブラウン等の中間色に発色することが好まれているが、単一のフォトクロミック化合物でこのような色調を得ることは難しく、通常は異なる発色指色調を有する複数のフォトクロミック化合物を混合して好ましい色調に調整することが行われている。例えば、ナフトピラン化合物とフルギミド化合物を混合することにより(特許文献4参照)、或いはナフトピラン化合物とスピロオキサジン化合物を混合することにより(特許文献5参照)、或いはスピロオキサジン化合物、ナフトピラン化合物およびフルギミド化合物を混合することにより(特許文献6参照)、又は特定の複数のナフトピラン化合物を混合することにより(特許文献7および8参照)このような中間色が得られることが知られている。
【0006】
また、フォトクロミック眼鏡レンズに求められる特徴の一つに、発色過程および退色過程での色調の変化が小さいこと(色調が大きく変わらずに均一に発・退色すること、所謂“色ずれ”が起こらないこと)があるが、上記した様に複数のフォトクロミック化合物を混合して色調調整を行った場合には、このような要求を満足することは難しい。なぜならば、発色速度や退色半減期はフォトクロミック化合物ごとに異なるからである。一般に現在実用化されているフォトクロミック化合物においては、発色速度は何れも速いが、退色速度に関しては化合物ごとにまちまちであるため、特に退色時の色ずれが問題となることが多い。
【0007】
このような要求を満足させる方法としては、イン−マス法で製造するフォットクロミックレンズに関して、発色時の主波長吸収と退色の半減期が夫々異なる3種類のフォトクロミック化合物を併用する方法が提案されている(特許文献9参照)。
【特許文献1】
国際公開第98/37115号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第5914174号公報
【特許文献3】
国際公開第01/02449号パンフレット
【特許文献4】
特開平3−121188号公報
【特許文献5】
特開平5−9469号公報
【特許文献6】
独特許出願公開第4325154号
【特許文献7】
特表平11−514695号公報
【特許文献8】
米国特許第6,306,316号明細書
【特許文献9】
特開2002−6272号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、コーティング法に関する密着性の問題を解決するコーティング剤として、「シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体を含有するラジカル重合性単量体、アミン化合物およびフォトクロミック化合物を夫々特定量含有してなる硬化性組成物」からなるフォトクロミックコーティング剤(以下、接着性フォトクロミックコーティング剤ともいう)を開発し、既に提案している(特願2001−227374号)。しかしながら、本発明者等が該コーティング剤について、発色時の色調が中間色となる様に複数のフォトクロミック化合物を調合して色調調節を行い、施用後に得られるフォトクロミックレンズの発・退色特性について検討を行ったところ、退色時の色調変化の点に問題があることが判明した。そこで、この問題を解決するために前記特許文献9に開示されている方法を適用してみたが、恐らくイン−マス法とコーティング法とではフォトクロミック化合物のマトリックスとなる樹脂の性状が違っていることが原因であると思われるが、十分な効果を得ることはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、発色時の色調が中間色であって、上記コーティング組成物のフォトクロミック化合物成分として用いて施用した場合において、発・退色速度が速く、且つ発・退色時(特に退色時)の色調変化が小さく“色ずれ”が起こり難いフォトクロミック性コート膜を与えるフォトクロミック組成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、上記接着性フォトクロミックコーティング剤を施用した場合においてフォトクロミック化合物のマトリックスとなる樹脂中における発色色調が夫々異なり、該樹脂中における退色半減期が夫々特定の関係にある3種類の特定構造のフォトクロミック化合物を混合した場合には、所期の効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、第一の本発明は、
(a) シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体及び/又はイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を0.01〜20重量%含有するラジカル重合性単量体100重量部並びにアミン化合物0.01〜20重量部を含有してなる硬化性組成物を硬化させて得られるマトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲である、アミノ基置換アリール基を有するフォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物、
(b) 前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が430nm〜540nmの範囲であり、且つ該マトリックス樹脂中での20℃における退色半減期が上記(a)成分の同退色半減期の1.5〜5倍であるフォトクロミック性ナフトピラン化合物並びに
(c) 前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が540nm〜585nmの範囲であり、更に該マトリックス樹脂中での20℃における退色半減期が上記(a)成分の同退色半減期の1.5〜5倍であり且つ上記(b)成分の同退色半減期の0.5〜3倍である、フォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物
を含有してなることを特徴とするフォトクロミック組成物である。
【0012】
該本発明のフォトクロミック組成物は前記した接着性フォトクロミックコーティング剤のフォトクロミック化合物成分として有用なばかりでなく、イン−マス法におけるフォトクロミック化合物成分としても有用である。
【0013】
また、第二の本発明は、ラジカル重合性単量体100重量部及び上記第一の本発明のフォトクロミック組成物0.001〜50重量部を含有してなることを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物であり、第三の本発明は、該硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック硬化体である。
【0014】
また、第四の本発明は、上記第二の本発明の硬化性組成物からなるコーティング剤であり、第五の本発明は、基材の少なくとも一方の表面上に該コーティング剤の硬化体からなる被膜が形成されてなることを特徴とするフォトクロミック光学物品である。
【0015】
【発明の実施形態】
本発明のフォトクロミック組成物における(a)成分は、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体(以下、単に「シリルモノマー」ともいう)及び/又はイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(以下、単に「イソシアネートモノマー」ともいう)を0.01〜20重量%含有するラジカル重合性単量体100重量部並びにアミン化合物0.01〜20重量部を含有してなる硬化性組成物を硬化させて得られるマトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲である、“アミノ基置換アリール基を有するフォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物”である。
【0016】
ここで、上記マトリックス樹脂は、本発明のフォトクロミック組成物で(a)〜(c)成分として用いるフォトクロミック化合物の選定基準となる樹脂であり、上記したような条件を満足するものであれば特に限定されないが、前記接着性フォトクロミックコーティング剤のフォトクロミック化合物成分として使用したときの効果(中間色に発色し、発・退色時の色ずれがないという効果)の観点から、ラジカル重合性単量体の“シリルモノマーまたはイソシアネートモノマー”(以下、総称して「接着性モノマー」ともいう)以外のラジカル重合性単量体は、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すもの(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)と、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すもの(以下、低硬度モノマーと称す場合がある)を併用したものであるのが好ましく、更に1〜10重量%の接着性モノマーを含有するものであるのが特に好適である。なお、シリルモノマー、イソシアネートモノマー、高硬度モノマー、低硬度モノマーおよびアミン化合物については、本発明の硬化性組成物の説明として後述するものが特に限定なく使用できる。マトリックス樹脂として好適なものを具体的に例示すれば、後述する参考例1で用いた硬化性組成物、即ち「γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン35重量部、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート10重量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部からなる重合性単量体100重量部に、N−メチルジエタノールアミンを5重量部、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5重量部、重合開始剤としてチバスペシャリティーケミカル社製CGI184[1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン]を0.4重量部およびチバスペシャリティーケミカル社製CGI403[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド]を0.1重量部添加したもの」(以下、「基準モノマー組成物」ともいう)を硬化させたものを挙げることができる。
【0017】
また、本発明においてマトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長および退色半減期の定義は夫々以下のとおりである。
【0018】
〔マトリックス樹脂中での最大吸収波長(単に最大吸収波長ともいう)〕
前記した基準モノマー組成物の如きマトリックス樹脂を与える硬化性組成物中に1重量%の単一フォトクロミック化合物を均一に分散させたものを用いて、透明な基材レンズ上に厚さ約40μmの被膜(コーティング層)を形成し、該コーティング層にキセノンランプ(ビーム強度2.4mW/cm2、波長365nm)光を照射して発色させた際の最大吸収波長を意味する。
【0019】
〔マトリックス樹脂中での退色半減期(単に退色半減期ともいう)〕
上記と同様にしてキセノンランプによる光照射を2分間行って発色させた後に遮光したときに、遮光してから最大吸収波長の吸収強度が遮光直前の1/2になるのに要する時間を意味する。
【0020】
本発明のフォトクロミック組成物の(a)成分であるフォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物としては、マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が585nm〜650nm、好ましくは600nm〜650nmの範囲にあるフォトクロミック性を示すアミノ基置換アリール基を有するインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物が制限なく用いることが出来る。一般にインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物は、フォトクロミック特性の耐久性が他のフォトクロミック化合物に比べ高く、このような化合物を用いることにより、発色濃度高く、退色速度が速く、しかも耐候性に優れたフォロクロミック組成物を得ることができる。
【0021】
このようなインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物は、特開2001−011066号公報、特開2000−344762号公報、特開20001−011067号公報、国際公開第01/60811号パンフレット、特開2001−192378号公報、国際公開第01/94336号パンフレット、国際公開第01/02384号パンフレット、欧州特許出願公開第987260号明細書、欧州特許出願公開第792468号明細書、国際公開第97/48993号パンフレット、国際公開第98/32037号パンフレット、国際公開第97/48762号パンフレット、国際公開第00/5630号パンフレット、欧州特許出願公開第1112263号明細書、国際公開第01/19813号パンフレット、欧州特許出願公開第01/19813号パンフレット等に開示されており、これら公報に開示されているインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物の中から最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲、好ましくは600nm〜650nmの範囲のものを適宜選択すればよい。これら化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
(a)成分としては、インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物のなかでも、発色濃度、退色速度、耐久性の点から、下記式(1)で示される構造を有し、且つその最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲、好ましくは600nm〜650nmの範囲である化合物を使用するのが好適である。
【0023】
【化1】
Figure 0004152714
【0024】
{式中、
a、bは0〜4の整数であり、
、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、ポリアルキレングリコール基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基またはニトロ基等の置換基であり、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、aが2〜4の場合における複数のRどうし又はbが2〜4の場合における複数のRどうしはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよく、a及びbがそれぞれ2以上の場合における複数のR及びRは互いに異なっていてもよく、
は、アミノ基置換アリール基であり、
は、アルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、下記式(2)で示される基又は下記式(3)で示される基である。
【0025】
【化2】
Figure 0004152714
【0026】
(式中、Rは、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、Rは、水素原子、アルキル基、またはハロゲン原子であり、cは1〜3の整数である。)
【0027】
【化3】
Figure 0004152714
【0028】
(式中、Rは、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、dは1〜3の整数である。)}
上記式(1)中、Rはアミノ基置換アリール基である必要がある。インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物であってもアミノ基置換アリール基を有しないものを用いた場合には本発明の効果は得られない。アミノ基置換アリール基としては、フェニル基等のアリール基の水素原子の少なくとも1つがメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(ヒドロキシエチル)アミノ基等のアルキルアミノ基類;ピロリジニル基、ピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基、モルホリノ基、2,6−ジメチルモルホリノ基、N−メチルピペラジニル基、チオモルホリノ基等の環状アミノ基類で置換されたものを挙げることができる。アミノ基置換アリール基としてはフェニル基のパラ位にこれらアミノ基が結合したものが特に好適である。
【0029】
上記式(1)中、R〜R、RはRとなるアルキル基は特に限定はされないが、炭素数1〜10、特に1〜4のアルキル基であるのが好適である。該アルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0030】
また、R〜Rとなるアラルキル基は特に限定はされないが、炭素数7〜16、特に7〜10のアラルキル基であるのが好適である。該アラルキル基を具体的に例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等をあげることができる。
【0031】
また、R〜Rとなるアルコキシ基は特に限定はされないが、炭素数1〜10、特に1〜4のアルコキシ基基であるのが好適である。該アルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0032】
また、R〜Rとなるアルコキシアルキル基は特に限定はされないが、炭素数2〜10、特に2〜6のアルコキシアルキル基であるのが好適である。該アルコキシアルキル基を具体的に例示すると、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ジメトキシメチル基、2,2−ジオキサシクロペンタン−1−イル基ブトキシメチル基等を挙げることができる。
【0033】
また、R〜Rとなるアルコキシアルコキシ基は特に限定はされないが、炭素数2〜20、特に3〜10のアルコキシアルコキシ基であるのが好適である。該アルコキシアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基等を挙げることができる。
【0034】
また、R〜Rとなるアリールオキシ基は特に限定はされないが、炭素数6〜14、特に6〜10のアリールオキシ基であるのが好適である。該アリールオキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等を挙げることができる。
【0035】
また、R〜Rとなるポリアルキレングリコール基は特に限定はされないが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシヘキシレン基等の炭素数2〜6の炭化水素基を基本単位とするグリコール類であるのが好適であり、さらにこれら基本単位が2〜1000個程度、特に10〜200個程度からなるものが好ましい。該ポリアルキレングリコール基を具体的に例示すると、トリエチレングリコール基、ノニルエーテルデカエチレングリコール基、オクチルフェニルエーテルデカエチレングリコール基、パーフルオロヘプチルデカエチレングリコール基、平均分子量1000のポリエチレングリコール基、平均分子量10000のポリプロピレングリコール基等が挙げられる。なお、該ポリアルキレングリコール基における末端の水酸基は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは非置換のアラルキル基で保護されていてもよい。
【0036】
また、R〜Rとなる置換アミノ基は特に限定はされないが、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル基等の置換基を有するアミノ基であるのが好適である。該置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(ヒドロキシエチル)アミノ基等のアルキルアミノ基類;ピロリジニル基、ピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基、モルホリノ基、2,6−ジメチルモルホリノ基、N−メチルピペラジニル基、チオモルホリノ基等の環状アミノ基類、などを挙げることができる。
【0037】
また、R〜R、R〜R又はRとなる置換もしくは非置換のアリール基としては特に限定されないが、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。該アリール基を具体的に例示すると、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、1−フェナンスリル基、4−フェナンスリル基、2−ビフェニル基等を挙げることができる。これらのアリール基には、アルキル基、アラルキル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、ポリアルキレングリコール基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、及びニトロ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基が結合していてもよい。
【0038】
また、R〜R、R〜R又はRとなる置換もしくは非置換のヘテロアリール基としては特に限定されないが、炭素数3〜20、特に炭素数3〜12のヘテロアリール基であるのが好適である。該ヘテロアリール基に含有されるヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子が好適であり、その数は1〜3、特に1〜2であるのが好適である。ヘテロアリール基にヘテロ原子を複数個含有する場合、ヘテロ原子はそれぞれ同種若しくは異種のヘテロ原子であってよい。該ヘテロアリール基を具体的に例示すると、フリル基、チエニル基、ピローリル基、ベンゾフリル基、インドール基、キノリル基、イソキノリル基、ジベンゾフリル基、カルバゾール基である。これらヘテロアリール基に置換してもよい置換基は、上記置換もしくは非置換のアリール基の置換基と同じである。さらに、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数6〜10の芳香族環が縮環してもよい。
【0039】
アシロキシ基は特に限定はされないが、一般的には炭素数1〜15、好ましくは1〜7のアシロキシ基である。該アシロキシ基を具体的に例示すると、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
【0040】
アシル基は特に限定はされないが、一般的には炭素数1〜15、好ましくは1〜7のアシル基である。該アシル基を具体的に例示すると、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基は特に限定はされないが、一般的には炭素数1〜15、好ましくは1〜7のアルコキシカルボニル基である。該アルコキシカルボニル基を具体的に例示すると、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ブチリルオキシ基等を挙げることができる。
【0041】
また、R〜Rとなるアリールオキシカルボニル基は特に限定はされないが、炭素数6〜20、特に6〜10のアリールオキシカルボニル基であるのが好適である。該アリールオキシカルボニル基を具体的に例示すると、フェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0042】
また、(i)R及びR、(ii)aが2〜4の場合における複数のRどうし又は(iii)bが2〜4の場合における複数のRどうしがそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい場合の当該環としては、シクロヘキセン環、シクロヘプタトリエン環、Nメチル−1−アザシクロヘプタトリエン環等の“形成された環中に少なくとも1組の2重結合を構成しており、さらに該環中にヘテロ原子を有していてもよい置換または非置換の炭化水素環”;ベンゼン環、ナフタレン環等の置換または非置換の芳香族炭化水素環;N−メチルピロール環、チオフェン環等の置換または非置換のヘテロアリール環が挙げられる。
【0043】
さらに他の好適なインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物としては、下記式(4)で示される構造を有し、且つ最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲、好ましくは600nm〜650nmの範囲である化合物を挙げることが出来る。
【0044】
【化4】
Figure 0004152714
【0045】
{但し、式中の>Q(>は2本の結合手を意味する)はスピロ環を形成する炭素数が3〜20の置換もしくは非置換の2価の環状基であり、該環状基の環には酸素、窒素又は硫黄原子が含まれていてもよく、R10及びR11は、前記式(1)におけるRと同義であり、R12及びR13はそれぞれ前記式(1)におけるR及びRと同義であり、e、fは各々独立に0〜4の整数であり、e、fが2以上の場合にはそれぞれ複数のR10どうし、又は複数のR11どうしは互いに結合して環を形成していてもよく、e、fが2以上の場合には、複数のR10および複数のR11はそれぞれ異なっていてもよい。}
上記式(4)のQにおいて、スピロ環を形成する炭素数が3〜20の非置換の2価の環状基としては、シクロブタン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環等の環を形成する炭素数が3〜20の脂環式炭化水素から誘導される2価の基;モノオキソシクロヘキサン環、1,3−ジオキソシクロヘキサン環等の環を形成する炭素数が3〜20の酸素原子を含む環状炭化水素から誘導される2価の基、また窒素原子または硫黄原子を含み、環を形成する炭素数が3〜20の環状炭化水素から誘導される2価の基、ナフタレン、ビフェニル、フェナンスレン、アントラセン、テトラセン、ピレン等の炭素数6〜30の芳香族炭化水素から誘導される2価の基;フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェン等の炭素数6〜30の複素環から誘導される2価の基等が挙げられる。
【0046】
また、上記>Qにおける置換の環状基としては上記非置換の環状基に前記式(1)におけるRと同義の基が置換基として1又は2以上結合したものが挙げられる。
【0047】
(a)成分としては、特に優れた発色濃度を示すという理由から、上記(1)又は式(4)で示されるナフトピラン化合物の中でも、下記構造のナフトピラン化合物を用いるのが特に好ましい。
【0048】
【化5】
Figure 0004152714
【0049】
【化6】
Figure 0004152714
【0050】
【化7】
Figure 0004152714
【0051】
【化8】
Figure 0004152714
【0052】
本発明のフォトクロミック組成物では(b)成分として、前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が430nm〜540nmの範囲にあり、20℃における退色半減期が上記(a)成分の1.5〜5倍、好ましくは1.5〜3倍であるフォトクロミック性ナフトピラン化合物を使用する。前記(a)成分を使用して中間色を得る場合、発色時の最大吸収波長が430nm〜540nmの範囲である(黄色領域に発色する)フォトクロミック化合物を使用する必要があるが、発色濃度及び耐久性の観点からナフトピラン化合物を使用する。発色時の最大吸収波長が430nm〜540nmの範囲にあるナフトピラン化合物は、一般に青色に発色するフォトクロミック化合物{(a)成分}に比べて退色速度が遅いため、退色時の色ずれが生じやすい。本発明では接着性フォトクロミックコート剤のフォトクロミック化合物成分として使用した際の色ずれを満足の行く程度に抑制するために、(b)成分の退色半減期は(a)成分の退色半減期の1.5〜5倍、好ましくは1.5〜3倍である必要がある。
【0053】
(b)成分として使用するナフトピラン化合物は上記の条件を満足するものであれば特に限定されないが、発色濃度の観点から、置換のナフト[1,2−b]ピランまたは置換のナフト[2,1−b]ピランを使用するのが好適である。
【0054】
このようなナフトピラン化合物は、特開平8−157467号公報、特開平8−176139号公報、特開平8−295690号公報、特開平9−124645号公報、欧州特許出願公開第0778276号明細書、特開平9−218301号公報、特開平11−279171号公報、特開平11−286484号公報、特開平11−322739号公報、特開2000−347346号公報、特開20001−031670号公報、特開2001−114775号公報、特開2000−256347号公報、特開2000−219686号公報、特開2000−219685号公報、特開2000−219687号公報、特開2000−229976号公報、国際公開第98/57943号パンフレット、国際公開第94/22850号パンフレット、国際公開第95/05371号パンフレット、国際公開第95/00867号パンフレット、国際公開第98/45281号パンフレット、米国特許第5952515号明細書、国際公開第99/31081号パンフレット、国際公開第99/28323号パンフレット、国際公開第98/55457号パンフレット、国際公開第95/16215号パンフレット、特開平7−48363号公報、英国特許第8614680号明細書、米国特許第5656206号明細書、米国特許第5658501号明細書、米国特許第5658500号明細書、国際公開第98/42693号パンフレット、国際公開第00/18755号パンフレット、国際公開第01/12619号パンフレット、国際公開第01/19812号パンフレット、米国特許第6353102号明細書、国際公開第99/28323号パンフレットに開示されており、これら公報に開示されているナフトピラン化合物の中から上記条件を満足するものを適宜選択すればよい。これら化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、(b)成分としては本発明者等が別途出願している特許出願(特願2001−098855号)に記載されているナフトピラン化合物も使用できる。
【0055】
これらナフトピラン化合物の中でも、発色濃度、耐候性が優れるという理由から、(b)成分としては下記式(5)又は(6)で示される化合物、特に下記式(7)で示される化合物を使用するのが好適である。
【0056】
【化9】
Figure 0004152714
【0057】
{但し、式中のR14〜R16は、前記式(1)におけるRと同義であり、R17およびR18は前記式(1)におけるRと同義であり、gは0〜4の整数であり、gが2以上のとき複数のR16は互いに異なっていてもよい。}
【0058】
【化10】
Figure 0004152714
【0059】
{但し、式中のR19〜R20は、前記式(1)におけるRと同義であり、R21およびR22は前記式(1)におけるRと同義であり、iは0〜2の整数、hは0〜4の整数であり、hが2以上のときは複数のR19は互いに異なっていてもよい。}
【0060】
【化11】
Figure 0004152714
【0061】
〔但し、式中のR23は、置換アミノ基、窒素原子をヘテロ原子として有する置換若しくは非置換のヘテロアリール基であり、R24は前記式(1)におけるRと同義であり、jが2以上のとき、複数のR24は互いに異なっていてもよく、R25およびR26は互いに独立に置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基またはアルキル基であり、R25およびR26は互いに結合して環を形成していてもよい。〕
前記一般式(7)のR23としての置換アミノ基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基等の置換基を有するアミノ基があげられる。該置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(ヒドロキシエチル)アミノ基等のアルキルアミン類;ピロリジニル基、ピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基、モルホリノ基、2,6−ジメチルモルホリノ基、N−メチルピペラジニル基、チオモルホリノ基等の環状アミン類、などが好ましい。
【0062】
また、R23としての窒素原子をヘテロ原子として有する置換若しくは非置換のヘテロアリール基としては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のヘテロアリール基が好ましい。該ヘテロアリール基に含有されるヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好適であり、その数は1〜3、好ましくは1乃至2である。ヘテロアリール基にヘテロ原子を複数個含有する場合、ヘテロ原子はそれぞれ同種若しくは異種のヘテロ原子であってよい。該ヘテロアリール基を具体的に例示すると、フリル基、チエニル基、ピローリル基、ベンゾフリル基、インドール基、キノリル基、イソキノリル基、ジベンゾフリル基、カルバゾール基である。これらヘテロアリール基に置換してもよい置換基は、Rで示した置換もしくは非置換のアリール基の置換基と同義である。さらに、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数6〜10の芳香族環が縮環してもよい。
【0063】
前記一般式(7)中のR24はナフトピラン環の5位、7位、8位、9位および10位に置換する置換基であり、置換基の導入によって本発明の効果に大きな影響はない。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、ポリアルキレングリコール基、置換アミノ基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアリール基、アシロキシ基、アシル基を挙げることができる。これら置換基としてはRと同義である。さらに上記置換基としてはニトロ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子等も挙げることができる。
【0064】
jは置換基R24の数であり、0〜4の整数である。jの値は0〜4であればよいが、合成の都合上、3以下であることが好ましく、さらに2以下であることがより好ましい。
【0065】
(b)成分としては、発・退色過程の均一性が高いということから、下記1)〜9)より選ばれる化合物を使用するのが最も好ましい。
【0066】
1) 6−モルホリノ−3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
2) 6−モルホリノ−3−(4−メトキシフェニル)−3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
3) 6−ピペリジノ−3−メチル−3−(2−ナフチル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
4) 6−ピペリジノ−3−メチル−3−フェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
5) 6−モルホリノ−3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
6) 6−ヘキサメチレンイミノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
7) 6−モルホリノ−3−(2−フリル)−3−メチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
8) 6−モルホリノ−3−(2−チエニル)−3−メチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン
9) 6−モルホリノ−3−(2−ベンゾフリル)−3−メチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン。
【0067】
本発明のフォトクロミック組成物における(b)成分の含有量は特に限定されないが、硬化の観点から、重量換算で、(a)成分のフォトクロミック化合物の添加量の1/10〜10倍の範囲、好ましくは1/3〜3倍の範囲が好適である。
【0068】
本発明のフォトクロミック組成物では(c)成分として、前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が540nm〜585nm、好ましくは560nm〜585nmの範囲にあり、退色半減期が上記(a)成分の1.5〜5倍でかつ上記(b)成分の0.5〜3倍であるフォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物を含有する。(a)成分と(b)成分のみを用いた際にグレーまたはブラウンの色目が若干赤みを帯びたり、発退色過程での色調が不安定となるのに対し、(c)成分を添加することにより緑色感を低減しきれいな中間色を得ることが可能となる。さらにインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物を用いることにより発色濃度が高く、耐候性等に優れたフォロクロミック組成物を得ることができる。効果の観点から、(c)成分の退色半減期は、上記(a)成分の2.5〜4倍でかつ上記(b)成分の0.8〜2倍であるのが好適である。
【0069】
(c)成分のインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物は上記の条件を満足するものであれば特に限定されず、例えば(a)成分として示した式(1)又は(4)と同じ基本構造を有し、且つ最大吸収波長が540〜585nmの範囲、好ましくは560〜585nmの範囲のインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物が好適に使用できる。これら化合物は、1種類を単独または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
(c)成分として特に好適な化合物を具体的に例示すると、下記の化合物を挙げることができる。
【0071】
【化12】
Figure 0004152714
【0072】
【化13】
Figure 0004152714
【0073】
【化14】
Figure 0004152714
【0074】
本発明のフォトクロミック組成物における(c)成分の含有量は特に限定されないが、硬化の観点から、重量換算で、(a)成分のフォトクロミック化合物の添加量の1/100〜1倍の範囲、特に1/20〜1/4倍の範囲が好適である。
【0075】
本発明のフォトクロミック組成物は、従来のイン−マス法やコーティング法で使用される従来のフォトクロミック硬化性組成物のフォトクロミック化合物成分として使用したときは勿論、それ以外にも新規な接着性フォトクロミックコーティング剤のフォトクロミック化合物成分として使用したときに、中間色に発色し、しかも発・退色速度が速く、且つ発・退色時(特に退色時)の色調変化が小さく“色ずれ”が起こり難いという特徴を有する。なお、該接着性フォトクロミックコーティング剤は、ラジカル重合性単量体及びフォトクロミック化合物を含んでなる従来のフォトクロミック硬化性組成物において、硬化体と眼鏡レンズ等の基材との密着性を高いものとするために、接着性モノマーおよび特定量のアミン化合物を添加している点に特徴がある。
【0076】
このように、接着性フォトクロミックコーティング剤において本発明のフォトクミック組成物を使用したもの(その使用量を多くしたものも含む)、即ち「(I)ラジカル重合性単量体 100重量部、(II)アミン化合物 0.01〜20重量部 および(III)フォトクロミック化合物 0.01〜50重量部を含んでなり、そして該ラジカル重合性単量体が、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体、および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を含むことを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物であって、上記成分(III)が本発明のフォトクロミック組成物であるフォトクロミック硬化性組成物(以下、本発明の硬化性組成物ともいう)」からなる接着性フォトクロミックコーティング剤(以下、本発明のコーティング剤ともいう)は、本発明のフォトクロミック組成物の効果を最も発揮させるものであるといえる。
【0077】
上記本発明の接着性フォトクロミックコーティング剤(或いは本発明の硬化性組成物)の(I)ラジカル重合性単量体のうち接着性モノマー以外のラジカル重合性単量体としては、本発明のフォトクロミック組成物を均一に分散させることができるものであれば特に限定されず、公知のラジカル重合性単量体を使用することができる。このようなラジカル重合性単量体は、従来のフォトクロミック硬化性組成物において使用されているものであり、接着性モノマーを添加せずに本発明のフォトクロミック組成物と組み合わせ使用して良好なフォトクロミック特性の硬化性組成物を与えるものである。そして、その例としては、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基の如き(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、アリル基、スチリル基の如きラジカル重合性基が挙げられる。なおラジカル重合性基がビニル基、アリル基またはスチリル基である場合には、当該ラジカル重合性基は置換基を有していてよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基ならびに水酸基が例示される。同じくラジカル重合性基が(メタ)アクリロイルアミノ基である場合には、当該基のアミド窒素原子には、(メタ)アクリロイル基およびシラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有する基に加えて、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アリル基の如き各種有機基が結合していてもよい。
【0078】
これらラジカル重合性基のなかでも、入手の容易さや重合性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
【0079】
本発明の硬化性組成物においては、硬化後の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色速度等のフォトクロミック特性を良好なものとするため、ラジカル重合性単量体としては、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すもの(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)と、同じく単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すもの(以下、低硬度モノマーと称す場合がある)を併用することがより好ましい。
【0080】
Lスケールロックウェル硬度とは、JIS−B7726に従って測定される硬度を意味する。各モノマーの単独重合体について該測定を行うことにより上記硬度の条件を満足するかどうかを簡単に判断することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、モノマーを重合させて厚さ2mmの硬化体を得、これを25℃の室内で1日保持した後にロックウェル硬度計を用いて、Lスケールロックウェル硬度を測定することにより容易に確認することができる。
【0081】
また、上記Lスケールロックウェル硬度の測定に供する重合体は、仕込んだ単量体の有す重合性基の90%以上が重合する条件で注型重合して得たものである。このような条件で重合された硬化体のLスケールロックウェル硬度は、ほぼ一定の値として測定される。
【0082】
前記、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すラジカル重合性単量体(以下、高硬度モノマーと称す場合がある)は、硬化後の硬化体の耐溶剤性、硬度、耐熱性等を向上させる効果を有する。これらの効果をより効果的なものとするためには、単独重合体のLスケールロックウェル硬度が65〜130を示すラジカル重合性単量体が好ましい。
【0083】
このような高硬度モノマーは通常2〜15個、好ましくは2〜6個のラジカル重合性基を有する化合物であり、好ましい具体例は下記式(8)〜(12)で示すことができる。
【0084】
【化15】
Figure 0004152714
【0085】
(式中、R27は水素原子またはメチル基であり、R28は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R29は3〜6価の有機残基であり、f1は0〜3の整数であり、f1’は0〜3の整数でありそしてg1は3〜6の整数である。)
【0086】
【化16】
Figure 0004152714
【0087】
(式中、R30は水素原子またはメチル基であり、Bは3価の有機残基であり、Dは2価の有機残基でありそしてh1は1〜10の整数である。)
【0088】
【化17】
Figure 0004152714
【0089】
(式中、R31は水素原子またはメチル基であり、R32は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Eは環状の基を含む2価の有機残基であり、i1およびj1は、i1+j1の平均値が0〜6となる正の整数または0である。)
【0090】
【化18】
Figure 0004152714
【0091】
(式中、R33は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。)
【0092】
【化19】
Figure 0004152714
【0093】
(式中、R34は水素原子、メチル基またはエチル基であり、k1は1〜6の整数である。)
上記式(8)〜(11)における、R27、R30、R31およびR33はいずれも水素原子またはメチル基である。それ故、式(8)〜(11)で示される化合物は2〜6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
【0094】
上記式(8)におけるR28は水素原子またはメチル基、エチル基である。
【0095】
式(8)におけるR29は3〜6価の有機残基である。当該有機残基は特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すためには、当該R29は、好ましくは炭素数1〜30の有機残基であり、より好ましくはエーテル結合および/またはウレタン結合を含んでいてもよい炭素数1〜15の有機残基である。
【0096】
また、f1およびf1’は各々独立に0〜3の整数である。これらf1およびf1’が3より大きい場合には、これらモノマーの単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60より小さくなる傾向がある。またLスケールロックウェル硬度を60以上とするためには、f1およびf1’の合計は0〜3であることが好ましい。
【0097】
式(8)で示される高硬度モノマーを具体的に例示すると、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等を挙げることができる。
【0098】
前記式(9)におけるBは3価の有機残基であり、Dは2価の有機残基である。当該BおよびDは特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上であるためには、好ましくは、当該Bは炭素数3〜10の直鎖または分枝状の炭化水素から誘導される有機残基であり、好ましくは、当該Dは炭素数1〜10の直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素、または炭素数6〜10の芳香族炭化水素から誘導される有機残基である。
【0099】
また単独重合体のLスケールロックウェル硬度を60以上とするために、h1は1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。
【0100】
このような式(9)で示される高硬度モノマーを具体的に例示すると、分子量2,500〜3,500の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB80等)、分子量6,000〜8,000の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB450等)、分子量45,000〜55,000の6官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB1830等)、分子量10,000の4官能ポリエステルオリゴマー(第一工業製薬社、GX8488B等)等が挙げられる。
【0101】
前記式(10)におけるR32は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基である。
【0102】
また式(10)におけるEは環状の基を含む2価の有機残基である。当該有機残基は環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。当該Eに含まれる環状の基としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環あるいは以下に示す環状の基等が例示される。
【0103】
【化20】
Figure 0004152714
【0104】
【化21】
Figure 0004152714
【0105】
当該Eに含まれる環状の基はベンゼン環であることが好ましく、さらに当該Eは下記式、
【0106】
【化22】
Figure 0004152714
【0107】
(Gは、酸素原子、硫黄原子、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−および−C(CH)(C)−から選ばれるいずれかの基であり、R35およびR36は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、l1およびl1’は各々独立に0〜4の整数である。)
で示される基であることがより好ましい。もっとも好ましいEは下記式、
【0108】
【化23】
Figure 0004152714
【0109】
で示される基である。
【0110】
式(10)中、i1およびj1は、i1+j1の平均値が0〜6となる正の整数または0である。なお、式(10)で示される化合物は、i1およびj1の双方が0である場合を除き、通常i1およびj1の異なる複数の化合物の混合物として得られる。それらの単離は困難であるため、i1およびj1はi1+j1の平均値で示される。i1+j1の平均値は2〜6であることがより好ましい。
【0111】
式(10)で示される化合物としては、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等が具体的に例示される。
【0112】
前記式(11)におけるR33は水素原子またはメチル基であり、Fは側鎖を有していてもよい主鎖炭素数2〜9のアルキレン基である。当該主鎖炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ノニリレン基等が例示される。鎖長が炭素数9を超えると単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上とならない傾向がある。
【0113】
式(11)で示される化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジアクリレート等が例示される。
【0114】
前記式(12)におけるR34は水素原子、メチル基またはエチル基であり、k1は2〜6の整数である。k1が6を超えると単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上とならない傾向があり、好ましくはk1は3または4である。
【0115】
式(12)で示される化合物を具体的に例示すると、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等が例示される。
【0116】
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60以上を示すこれらのラジカル重合性単量体は単独で用いても、数種以上混合して用いてもよい。
【0117】
なお上記式(8)〜(12)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が60未満のものがあるが、その場合には、これらの化合物は後述する低硬度モノマーまたは中硬度モノマーに分類される。
【0118】
また上記式(8)〜(12)で示されない高硬度モノマーもあり、その代表的化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0119】
本発明の硬化性組成物においては、(I)ラジカル重合性単量体成分として、上記高硬度モノマーに加え、さらに単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示す低硬度モノマーがさらに配合されていることが好ましい。
【0120】
当該低硬度モノマーは、硬化体を強靭なものとしまたフォトクロミック化合物の退色半減期を向上させる効果を有する。
【0121】
このような低硬度モノマーとしては下記式(13)
【0122】
【化24】
Figure 0004152714
【0123】
(式中、R37は水素原子またはメチル基であり、R38およびR39は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、m1はR37が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R37がメチル基の場合は7〜70の整数でありそしてm1’は0〜70の整数である。)
または下記式(14)、
【0124】
【化25】
Figure 0004152714
【0125】
(式中、R40は水素原子またはメチル基であり、R41およびR42は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシル基であり、Iは環状の基を含む2価の有機残基であり、i1’およびj1’は、i1’+j1’の平均値が8〜40となる整数である。)
で示される2官能モノマーや、下記式(15)、
【0126】
【化26】
Figure 0004152714
【0127】
(式中、R43は水素原子またはメチル基であり、R44およびR45は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、R46は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、あるいは炭素数2〜25の(メタ)アクリロイル基以外のアシル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子であり、m1”はR43が水素原子の場合は1〜70の整数であり、R43がメチル基の場合はm1”は4〜70の整数であり、m1’’’は0〜70の整数である。)
または下記式(16)、
【0128】
【化27】
Figure 0004152714
【0129】
(式中、R47は水素原子またはメチル基であり、R48はR47が水素原子の場合には炭素数1〜20のアルキル基でありそしてR33がメチル基の場合には炭素数8〜40のアルキル基である。)
で示される単官能のモノマーが例示される。
【0130】
上記式(13)〜(16)において、R37、R40、R43およびR47は水素原子またはメチル基である。すなわち、低硬度モノマーは重合性基として、通常2個以下の(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルチオ基を有する。
【0131】
前記式(13)におけるR38およびR39は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基であり、Zは酸素原子または硫黄原子である。
【0132】
式(13)においては、R37が水素原子の場合、すなわち重合性基としてアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を有する場合には、m1は7〜70の整数であり、一方、R37がメチル基である場合、すなわち重合性基としてメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を有する場合には、m1は1〜70の整数である。また、m1’は0〜70の整数である。
【0133】
上記式(13)で示される低硬度モノマーを具体的に例示すると、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0134】
前記式(14)におけるR40は水素原子、メチル基またはエチル基である。またIは環状の基を含む2価の有機残基である。当該Iとしては前記式(10)に含まれる環状の基であるEとして例示されたものと同様である。式(14)におけるi1’およびj1’は、i1’+j1’の平均値が8〜40となる整数、好ましくは9〜30となる整数である。当該i1’およびj1’も前記した式(10)におけるi1およびj1と同様の理由で通常は平均値で示される。
【0135】
式(14)で示される低硬度モノマーの具体例としては、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量804の2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0136】
上記式(15)におけるR43は水素原子またはメチル基であり、R44およびR45は各々独立に水素原子、メチル基またはエチル基である。R46は水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基またはハロアルキル基、炭素数6〜25のアリール基、あるいは炭素数2〜25のアクリロイル基以外のアシル基である。
【0137】
炭素数1〜25のアルキル基またはアルケニル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ノニル基等が例示される。また、これらアルキル基またはアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、さらには、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アリール基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
【0138】
炭素数1〜25のアルコキシアルキル基としては、メトキシブチル基、エトキシブチル基、ブトキシブチル基、メトキシノニル基等が例示される。
【0139】
炭素数6〜25のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、アントラニル基、オクチルフェニル基等が例示される。(メタ)アクリロイル基以外のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、オレイル基等が例示される。
【0140】
式(15)におけるm1”は、R43が水素原子の場合、すなわちアクリロイルオキシ基またはアクリロイルチオ基を重合性基として有する場合には1〜70の整数であり、R43がメチル基の場合、すなわちメタクリロイルオキシ基またはメタクリロイルチオ基を重合性基として有する場合にはm1”は4〜70の整数であり、またm1’’’は0〜70の整数である。
【0141】
式(15)で示される低硬度モノマーの具体例としては、平均分子量526のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量360のポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量522のポリエチレングリコールアクリレート、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量375のポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量430のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子量622のポリプロピレンメタアクリレート、平均分子量620のメチルエーテルポリプロピレングリコールメタアクリレート、平均分子量566のポリテトラメチレングリコールメタアクリレート、平均分子量2,034のオクチルフェニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量610のノニルエーテルポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量640のメチルエーテルポリエチレンチオグリコールメタクリレート、平均分子量498のパーフルオロヘプチルエチレングリコールメタクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0142】
前記式(16)におけるR47は水素原子またはメチル基であり、当該R47が水素原子の場合には、R48は炭素数1〜20のアルキル基でありそして当該R47がメチル基の場合には、R48は炭素数8〜40のアルキル基である。
【0143】
これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、エポキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
【0144】
式(16)で示される低硬度モノマーの具体例としては、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート等を挙げることができる。
【0145】
これら式(13)〜(16)で表される低硬度モノマーの中でも、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、平均分子量1,000のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート、トリアルキレングリコールジアクリレート、テトラアルキレングリコールジアクリレート、ノニルアルキレングリコールジアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレートが特に好ましい。
【0146】
単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以下を示すこれらのラジカル重合性単量体は単独で用いても、数種以上混合して用いてもよい。
【0147】
上記式(13)〜(16)で示される化合物でも、置換基の組み合わせによっては単独重合体のLスケールロックウェル硬度が40以上を示すものがあるが、その場合には、これらの化合物は前述した高硬度モノマーまたは後述する中硬度モノマーに分類される。
【0148】
上記高硬度モノマーでも低硬度モノマーでもないモノマー、すなわち、単独硬化体のLスケールロックウェル硬度が40を超え60未満を示すモノマー(中硬度モノマーと称す場合がある)として、例えば平均分子量650のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、平均分子量1,400のポリテトラメチレングリコールジメタアクリレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィドの如き2官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、アリルジグリコールカーボネートの如き多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼンの如き多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸の如き不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸ビフェニルの如きアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニルの如きフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレートの如きチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピロリドンの如きビニル化合物;オレイルメタクリレート、ネロールメタクリレート、ゲラニオールメタクリレート、リナロールメタクリレート、ファルネソールメタクリレートの如き分子中に不飽和結合を有する炭化水素鎖の炭素数が6〜25の(メタ)アクリレートなどのラジカル重合性単官能単量体等が挙げられる。これらの中硬度モノマーを使用することも可能である。
【0149】
上記高硬度モノマー、低硬度モノマーおよび中硬度モノマーは適宜混合して使用できる。硬化性組成物の硬化体の耐溶剤性や硬度、耐熱性等の硬化体特性、あるいは発色濃度や退色半減期等のフォトクロミック特性のバランスを良好なものとするため、前記シリルモノマーおよびイソシアネートモノマー(接着性モノマー)を除く、その他のラジカル重合性単量体中、低硬度モノマーは5〜70重量%、高硬度モノマーは5〜95重量%であることが好ましい。さらに、配合される高硬度モノマーとして、ラジカル重合性基を3つ以上有する単量体が、その他のラジカル重合性単量体中少なくとも5重量%以上配合されていることが特に好ましい。
【0150】
本発明の硬化性組成物の(I)のラジカル重合性単量体成分中には、上記の如き硬度により分類されたモノマーとは別に、分子中にすくなくとも一つのエポキシ基と少なくとも一つのラジカル重合性基を有するラジカル重合性単量体(以下、単にエポキシ系モノマーと称す場合がある)が、さらに配合されていることが好ましい。当該エポキシモノマーはその構造により、単独硬化体のLスケールロック硬度が60以上のを示すのもあれば、40以下を示すものもある。単独重合体の硬度で分類すると、硬度に応じ高硬度モノマー、低硬度モノマー、中硬度モノマーのいずれかに分類されることになる。
【0151】
当該エポキシ系モノマーを本発明におけるラジカル重合性単量体の成分として使用することにより、フォトクロミック化合物の耐久性をより向上させることができ、さらにフォトクロミックコーティング層の密着性が向上する。
【0152】
このようなエポキシ系モノマーとしては公知の化合物を使用できるが、ラジカル重合性基として(メタ)アクリロイルオキシ基を有す化合物が好ましい。
【0153】
当該エポキシ系モノマーは通常以下の式(17)で表される。
【0154】
【化28】
Figure 0004152714
【0155】
{式中、R49およびR52は各々独立に水素原子またはメチル基であり、s1およびt1は各々独立に0〜20の整数であり、R50およびR51は各々独立に炭素数1〜4のアルキレン基、または、下記式(18)
【0156】
【化29】
Figure 0004152714
【0157】
(G’は、酸素原子、硫黄原子、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−および−C(CH)(C)−から選ばれるいずれかの基であり、R53およびR54は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子であり、l1”およびl1’’’は各々独立に0〜4の整数である。)で示される基である。}
上記R50およびR51で示される炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。またこれらアルキレン基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0158】
またR50および/またはR51が下記式
【0159】
【化30】
Figure 0004152714
【0160】
で表される基の場合、G’は、酸素原子、硫黄原子、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−および−C(CH)(C)−から選ばれるいずれかの基であり、R53およびR54は各々独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基または塩素原子、臭素原子の如きハロゲン原子であり、l1”およびl1’’’は各々独立に0〜4の整数である。上記式で表される基としては、下記式
【0161】
【化31】
Figure 0004152714
【0162】
で示される基であることが最も好ましい。
【0163】
上記式(17)で示されるエポキシ系モノマーの具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタアクリレート等が挙げられる。これらの中でもグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよび平均分子量540のグリシジルオキシポリエチレングリコールメタアクリレートが特に好ましい。
【0164】
これらエポキシ系モノマーの配合割合は、その他のラジカル重合性単量体中、0.01〜30重量%、特に0.1〜20重量%であるのが好適である。
【0165】
また、本発明の硬化性組成物で使用するシリルモノマーとしては、シラノール基(≡Si−OH)または加水分解によりシラノール基を生成する基と、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、公知の化合物をなんら制限することなく使用できる。
【0166】
当該加水分解によりシラノール基を生成する基の具体例としては、アルコキシシリル基(≡Si−O−R;Rはアルキル基)、アリールオキシシリル基(≡Si−O−Ar;Arは置換されていても良いアリール基)、ハロゲン化シリル基(≡Si−X;Xはハロゲン原子)、シリルオキシシリル基(ジシロキサン結合;≡Si−O−Si≡)等が挙げられる。
【0167】
シラノール基の生成のしやすさ、合成や保存の容易さ、反応によりケイ素原子から脱離した基が硬化体の物性に与える影響の少なさ等から、これら加水分解によりシラノール基を生成する基のなかでもアルコキシシリル基またはシリルオキシシリル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシル基を含むアルコキシシリル基であることがより好ましく、メトキシシリル基またはエトキシシリル基であることが最も好ましい。
【0168】
ラジカル重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基の如き(メタ)アクリロイル基の誘導体基、ビニル基、アリル基、スチリル基の如き公知のラジカル重合性基が挙げられる。なおラジカル重合性基がビニル基、アリル基またはスチリル基である場合には、当該ラジカル重合性基は置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基ならびに水酸基が例示される。同じくラジカル重合性基が(メタ)アクリロイルアミノ基である場合には、当該基のアミド窒素原子には、(メタ)アクリロイル基および前記シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有する基に加えて、置換または非置換のアルキル基、アリール基、アリル基の如き各種有機基が結合していてもよい。
【0169】
これらラジカル重合性基のなかでも、入手の容易さや重合性の良さから(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
【0170】
このような加水分解によりシラノール基を生成可能な基およびラジカル重合性基を有するシリルモノマーとして好適なものは、下記式(19)〜(21)で表される。
【0171】
【化32】
Figure 0004152714
【0172】
(式中、R55はアルキル基またはアリール基でありR56およびR57は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、Aは2〜4価の有機残基であり、Yはラジカル重合性基であり、a1は1〜3、b1は0〜2、c1は0〜2、d1は1〜3、e1は1〜3の整数である、但しa1+b1+c1+d1=4である。)
【0173】
【化33】
Figure 0004152714
【0174】
(式中、R56およびR57は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、Aは2〜4価の有機残基であり、Yはラジカル重合性基であり、b1は0〜2、c1は0〜2、d1は1〜3、e1は1〜3の整数である、但しb1+c1+d1=3である。)
【0175】
【化34】
Figure 0004152714
【0176】
(式中、R55はアルキル基またはアリール基であり、R56およびR57は各々独立にアルキル基、アリール基またはアシル基であり、R58はビニル基であり、a1は1〜3、b1は0〜2、c1は0〜2、d1は1〜3の整数である、但しa1+b1+c1+d1=4である。)
上記式(19)および(21)中、R55はアルキル基またはアリール基である。加水分解によるシラノール基の発生のし易さおよび保存安定性の点から主鎖炭素数1〜10のアルキル基または環を構成する炭素数が6〜10のアリール基であることが好ましい。また当該アルキル基またはアリール基は置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基の如き炭素数1〜10のアルキル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基の如き炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基の如き炭素数1〜10のアルコキシル基、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基の如き炭素数2〜10のアシル基、アミノ基、およびメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基の如き炭素数1〜10のアルキル置換アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の如きハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0177】
主鎖炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロメチル基等が例示される。また、環を構成する炭素数6〜10の置換または非置換のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基等が例示される。
【0178】
前記加水分解によるシラノール基の発生のし易さおよび保存安定性の点から、R55はアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが最も好ましい。
【0179】
上記式(19)〜(21)におけるR56およびR57は各々独立に、アルキル基、アリール基またはアシル基である。アルキル基およびアリール基としては、前記R55で説明したものと同一の基が例示され、好ましい基もR55と同様である。またアシル基としては、炭素数2〜10のアシル基であることが好ましい。また当該アシル基は脂肪族系のアシル基でも芳香族系のアシル基でもよい。当該アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0180】
上記式(19)および(20)におけるAは2〜4価の有機残基であり、好ましくは炭素数1〜30の2〜4価の有機残基である。当該有機残基の構造は特に限定されるものではなく、側鎖や置換基を有していてもよい。またその構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホニル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を有していてもよく、さらにはオキソ基(ケトン炭素)が含まれていてもよい。該有機残基の有する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基等が例示される。
【0181】
有機残基は、1〜10の炭素原子を有するものがより好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基の如き炭素数1〜10のアルキレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチレンジオキシ基の如き炭素数1〜10のアルキレンジオキシ基、あるいは以下に示す基、
【0182】
【化35】
Figure 0004152714
【0183】
(上記式中、nは1〜5の整数でありそしてn’およびn”は各々1〜3の整数である)
ならびに、これらの基が前記置換基で置換されたもの等が例示される。
【0184】
式(19)および(20)におけるYは、ラジカル重合性基であり、前述した通り(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基の如き(メタ)アクリロイル基の誘導体基、置換または非置換のビニル基、置換または非置換のアリル基、置換または非置換のスチリル基等が例示される。好ましくは、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基である。
【0185】
上記式で表されるシリルモノマーの中でも式(19)で表されるシリルモノマーが好ましく、その中でも下記式(22)として表されるシリルモノマーが特に好適に使用できる。
【0186】
【化36】
Figure 0004152714
【0187】
(式中、R59は水素原子またはメチル基であり、R60は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R61は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、R62は炭素数1〜4のアルキル基であり、a1は1〜3、b1は0〜2の整数である、但しa1+b1=3である。)
上記式(22)中、R59は水素原子またはメチル基であり、R60は炭素数1〜10のアルキレン基である。当該主鎖炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。R61は炭素数1〜4のアルコキシル基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が例示される。R62は炭素数1〜4のアルキル基であって、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。
【0188】
前記式(19)〜(21)で表されるシリルモノマーを具体的に例示すると、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、4−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、2−(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、ジエトキシビニルシラン、1,3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン、ドコセニルトリエトキシシラン、o−(メタクリロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、1,3―ビス(メタクリロキシ)−2−トリメチルシロキシプロパン、テトラキス(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、o−(ビニロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、ビニロキシトリメチルシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシランビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。
【0189】
これらの中でも前記式(22)で表されるシリルモノマーに相当する、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシランが特に好適に使用できる。
【0190】
本発明の硬化性組成物においては、上記シリルモノマーに替えて、イソシアネートモノマーを用いても、基材およびハードコート材との密着性を高くすることが可能である。
【0191】
該イソシアネートモノマーとしては、イソシアネート基(−NCO)とラジカル重合性基を有する化合物であれば公知のものがなんら制限なく使用できる。
【0192】
このようなイソシアネートモノマーは、例えば下記式(23)または(24)で示される。
【0193】
【化37】
Figure 0004152714
【0194】
(式中、R63は水素原子またはメチル基でありそしてR64はアルキレン基である。)
【0195】
【化38】
Figure 0004152714
【0196】
(式中、R65は水素原子またはメチル基でありそしてR66はアルキレン基である。)
上記式(23)および(24)中、R65、R66は共にアルキレン基を示す。当該アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基等が挙げられる。
【0197】
好適に使用できるイソシアネートモノマーの具体例としては、2−イソシアナトエトキシメタアクリレート、4−(2−イソシアナトイソプロピル)スチレンが挙げられる。
【0198】
本発明の硬化性組成物におけるシリルモノマーまたはイソシアネートモノマーの配合量は特に制限されるものではないが、眼鏡レンズ等の基材やハードコート材料との密着性を良好なものとするために、該シリルモノマーまたはイソシアネートモノマーの配合量は、全ラジカル重合性単量体中、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましい。また、ハードコートした際の、耐擦傷性や発色濃度あるいは退色半減期等のフォトクロミック特性を良好なものとするためには、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。より好ましい配合量は全ラジカル重合性単量体に対して0.5〜20重量%であり、最も好ましくは1〜10重量%である。
【0199】
また、これらシリルモノマーまたはイソシアネートモノマーは単独あるいは数種混合して使用することができ、またシリルモノマーとイソシアネートモノマーとを混合して使用することも可能である。
【0200】
本発明の硬化性組成物には上記ラジカル重合性単量体に加えて、アミン化合物を配合することにより、本発明の硬化性組成物をコーティング材として用いた場合に、当該硬化性組成物の硬化体よりなるコーティング層と基材との密着性を大きく向上させることができ、さらに本発明のフォトクロミック性硬化体とプライマー等との積層体を形成する際には、プライマー層等との密着性を向上させることが出来る。
【0201】
本発明の硬化性組成物に用いられるアミン化合物としては、前記したシリルモノマー、またはイソシアネートモノマーの縮合、または付加触媒として機能する塩基性の化合物であれば、公知のアミン化合物が何ら制限なく使用できる。
【0202】
このようなアミン化合物の機能を発揮しないアミン化合物としては、例えば下記基
【0203】
【化39】
Figure 0004152714
【0204】
{上記基中、R67は水素原子およびアルキル基であり、R68、R69、R70およびR71はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基である}
で表されるアミノ基のみをアミノ基として有するヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0205】
好適に使用できるアミン化合物を具体的に例示すると、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4−ジメチルアミノベンゾフェノン、ジアザビシクロオクタン等の非重合性低分子系アミン化合物、N,N―ジメチルアミノエチルメタアクリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタアクリレート等の重合性基を有するアミン化合物、n−(ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシフェニル−2−ピペリジノエトキシシラン、N,N−ジエチルアミノメチルトリメチルシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン等のシリル基を有するアミン化合物が挙げられる。
【0206】
これらアミン化合物は単独もしくは数種混合して使用することができる。これらアミン化合物の配合量としては、全ラジカル重合性単量体100重量部に対して0.1〜20重量部である。好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の範囲である。
【0207】
本発明の硬化性組成物における本発明のフォトクロミック組成物の使用量は、(I)ラジカル重合性単量体100重量部に対して0.001〜50重量部であれば特に限定されないが、発色濃度の観点からは0.1〜50重量部、特に1〜50重量部であるのが好ましく、さらにフォトクロミック化合物の分散性(分散または溶解性の容易性)を考慮すると、1〜30重量部、特に1〜20重量%であるのが好適である。なお、本発明のフォトクロミック組成物を従来のフォトクロミック硬化性組成物の成分として使用する場合、その添加量は従来のフォトクロミック化合物を用いた場合と特に変わらない。
【0208】
本発明の硬化性組成物を硬化させ硬化体を得る方法としては特に制限は無く、一般的な手法を用いることができる。例えば、上記重合性単量体に重合触媒を加え熱または光にて重合させる方法、上記硬化性組成物に重合触媒を加え、基材表面にコーティングを施したのち、熱または光にて重合させる方法等を挙げることができる。
【0209】
本発明の硬化性組成物を硬化させ硬化体を得る方法としては、基材選択の幅が広く様様な用途に用いることが出来るという点から、上記硬化性組成物に重合触媒を加え、基材表面にコーティングを施したのち、熱または光にて重合させる方法が最も優れている。
【0210】
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルオキシカーボネート等のパーカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0211】
これらラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、重合性単量体の種類や組成によって異なり、一概に限定できないが、一般には、全重合性単量体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。上記ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0212】
また紫外線等の光照射により重合させる場合には、光重合開始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アエトフェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等を使用することが好ましい。
【0213】
これら光重合開始剤は、全単量体100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲で用いるのが一般的である。
【0214】
特に好ましい重合方法は、上記光重合開始剤を配合した本発明の硬化性組成物に対し紫外線を照射し硬化させた後、さらに加熱して重合を完結させる方法である。
【0215】
本発明の硬化性組成物は、上記重合開始剤等を用いることにより硬化させて、それ単独でフォトクロミック性の材料として用いることも可能であるが、眼鏡レンズ等の光学材料をコーティングするコーティング剤として使用するのが特に好ましい。
【0216】
該光学材料としては、特に限定されず、眼鏡レンズ、家屋や自動車の窓ガラス等公知の光学材料が挙げられる。
【0217】
眼鏡レンズとしては、(メタ)アクリル樹脂系、ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂等のプラスチック系の眼鏡レンズ、ガラス系の眼鏡レンズが公知であり、本発明の硬化性組成物を眼鏡レンズのコーティング材として用いる場合には、特に制限されることなくいずれの眼鏡レンズにも使用できるが、プラスチック系の眼鏡レンズ用のコーティング材として使用することがより好ましく、(メタ)アクリル樹脂系ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂等の眼鏡レンズのコーティング材として使用することがより好ましい。
【0218】
眼鏡レンズ等の光学材料のコーティング材として用いる場合には、該光学材料へ本発明の硬化性組成物をスピンコーティング、ディッピング等で塗布し、その後、光照射して硬化させる方法、あるいは加熱硬化させる方法が好適であり、より好ましくは光照射により硬化させた後、さらに加熱して重合を完結させる方法である。
【0219】
このようなコーティング層の厚さは特に限定されないが、フォトクロミック化合物濃度が低くても充分な発色濃度が得られ、またフォトクロミック特性の耐久性も良好なため、該厚さは比較的厚い方が好ましい。しかしながら一方で、コーティング層の厚さが厚い方が初期の黄色さも増加するため、該コーティング層厚さは10〜100μmであるのが好ましく、20〜50μmであるのがより好ましい。このような厚めのコーティング厚さとするには、硬化性組成物の25℃における粘度を20〜500cp、好適には50〜300cp、より好適には60〜200cpとすることによって容易に達成できる。なお従来知られている各種コーティング組成物(ただしシリルモノマー、フォトクロミック材料等が含まれていない)は均一な膜を得るために溶媒等が含まれており、このためこのような組成物の粘度は通常5cp以下であり、またそれにより得られるコーティング層の厚さも数μm以下である。
【0220】
本発明のフォトクロミック組成物には、さらに紫外線安定剤、染料、顔料、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料等の各種安定剤、添加剤(アミン)を必要に応じて添加しても良い。
【0221】
本発明の硬化性組成物には、フォトクロミック化合物の耐久性の向上、発色速度の向上、退色半減期の向上や成形性の向上のために、さらに界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤、密着性向上剤等の添加剤を添加しても良い。また、硬化性組成物を硬化させるために後述する重合開始剤を配合することも極めて好ましい。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
【0222】
例えば、界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の何れも使用できるが、重合性単量体への溶解性からノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。好適に使用できるノニオン正解面活性剤を具体的に挙げると、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエーテル等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0223】
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェーノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用しても良い。さらにこれらの非重合性化合物の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用しても良い。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤の添加量は、全重合性単量体100重量部に対し、0.001〜20重量部の範囲が好ましい。
【0224】
本発明のフォトクロミック組成物は、フォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば銀塩感光剤に替わる各種の記録材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記録材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料、光スイッチ材料などの種々の記録材料調製方法として利用できる。その他本発明のフォトクロミック材料を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレー材料、フォトクロミックガラス材料、光量計、装飾品、ファンシーグッズなどの材料としても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフォトクロミック組成物を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウイッチする方法、あるいは、本発明のフォトクロミック組成物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、あるいは、この組成物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
【0225】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」の意である。
【0226】
以下に使用した化合物の略号と名称を示す。ラジカル重合性単量体については、括弧内に「ホモ−HL」として、各化合物(モノマー)を注型重合(30℃から90℃まで20時間かけて昇温し、さらに120℃で2時間重合した。)して単独重合したときに得られる硬化体のLスケールでのロックウエル硬度を記載した。該硬度の測定方法は、硬化体を25℃の室内で1日保持した後、明石ロックウエル硬度計(形式:AR−10)を用いて測定した。なお、グリシジルメタアクリレートはエポキシ系モノマーである。
(1)ラジカル重合性単量体
・シリルモノマー
TMSiMA:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
・その他のラジカル重合性単量体
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート(ホモ−HL=122)オリゴBPE:平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン(ホモ−HL<40)
EB6A:ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ホモ−HL=100)(ダイセル・ユーシービー社:EB1830)
9GDA:平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート(ホモ−HL<20)
GMA:グリシジルメタアクリレート(ホモ−HL=80)
以下に実施例及び比較例で使用したフォトクロミック化合物の略号及び構造を示す。
ナフトピラン化合物1(NP1)
【0227】
【化40】
Figure 0004152714
【0228】
ナフトピラン化合物2(NP2)
【0229】
【化41】
Figure 0004152714
【0230】
ナフトピラン化合物3(NP3)
【0231】
【化42】
Figure 0004152714
【0232】
ナフトピラン化合物4(NP4)
【0233】
【化43】
Figure 0004152714
【0234】
ナフトピラン化合物5(NP5)
【0235】
【化44】
Figure 0004152714
【0236】
ナフトピラン化合物6(NP6)
【0237】
【化45】
Figure 0004152714
【0238】
ナフトピラン化合物7(NP7)
【0239】
【化46】
Figure 0004152714
【0240】
スピロオキサジン化合物1(SP1)
【0241】
【化47】
Figure 0004152714
【0242】
参考例1
TMSiMA5重量部、TMPT20重量部、オリゴBPE35重量部、EB6A10重量部、9GDA20部、GMA10部からなる重合性単量体100重量部に、N−メチルジエタノールアミンを5重量部、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5重量部、重合開始剤としてチバスペシャリティーケミカル社製CGI184[1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン]を0.4重量部およびチバスペシャリティーケミカル社製CGI403[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド]を0.1重量部添加し、さらに表1に示した単一のフォトクロミック化合物が全組成物量に対して2重量%となるように添加し、十分に混合した。
【0243】
続いて、上記方法で得られた混合液の約2gをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、厚さ2mmのプラスチックレンズ(CR39;アリル樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.50)の表面に、回転数60r.p.mで40秒→500r.p.mで2秒→1000r.p.mで2秒の条件でスピンコートした。この表面がコートされたレンズを窒素ガス雰囲気中で出力120/cmのメタルハライドランプを用いて、2分間照射し、塗膜を硬化させた。その後さらに120℃で3時間加熱することにより、フォトクロコーティング層を有するレンズを得た。フォトクロコーティング層の厚さは約40μmであった。なお、用いたプラスチックレンズは、あらかじめその表面をキーエンス社製、大気圧プラズマ装置を用いてプラズマ処理し、表面状態を改質したものを用いた。
【0244】
得られた厚み約40μmのコーティング層を有するレンズを、キセノンランプ(ビーム強度2.4mW/cm、波長365nm)で2分間発色させたときの最大吸収波長及び発色後に遮光して退色させたときにおける退色半減期を測定した。その結果を表1に示す。
【0245】
【表1】
Figure 0004152714
【0246】
実施例1〜3
参考例1とフォトクロミック化合物の添加量を変えた以外は、同じ方法でフォトクロミック性コーティング層を有するレンズを調製した。即ち、フォトクロミック組成物をラジカル重合性単量体に対して、表2に記した組成および所定量(添加量は全ラジカル重合性単量体に対する重量部)を用いてレンズを調製した。
【0247】
得られたフォトクロレンズの発色時色調は、気温は20℃以上、25℃以下、UV365nm以上における紫外線強度1.0mW/cm以上の条件を満たす晴天時に太陽光下、白色紙上で発色させ、0.5分後の発色の色調を目視で比較し、その発色過程の均一性を評価した。さらに15分発色させた後、すぐに屋内の蛍光灯下に移動し約23℃の室温静置し、1分後の退色色調を目視で比較した。
【0248】
評価結果を表3に示した。発色過程および退色過程における色調安定性は、良好(1)、わずかに色ずれあり(2)、明らかに色ずれあり(3)の3段階で示した。いずれのレンズも、発色状態で良好な色調を示し、発色過程および退色過程ともに色調が発色状態と色ずれが見られず、かつ速い退色半減期を示した。
【0249】
【表2】
Figure 0004152714
【0250】
【表3】
Figure 0004152714
【0251】
比較例1〜3
実施例1と添加するフォトクロミック組成物の種類を表2に示すように変えた以外は全て同じ方法で、フォトクロコーティング層を有するレンズを調製した。評価も同様な方法を行った。評価結果を表3に示す。
【0252】
比較例1に示したように(c)成分を含まない場合には、特に退色時の色調にずれが生じ、比較例2に示したように(a)成分を含まない場合には、発色時の色調がグレーではなく赤みがかっており好ましい色調ではなかった。さらに比較例3に示したように、インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物でなく、スピロオキサジン化合物を用いた場合には発色過程での色調がグレーからずれており、好ましい色調ではなかった。
【0253】
実施例4
実施例1で得られたレンズに大気圧プラズマ処理を行ないレンズを水洗した後に、オルガノポリシロキサン系コーティング材であるTS−56H(トクヤマ(株)製)室温でディッピング法(引き上げ速度20cm/分)にて塗布し、これを120℃で2時間加熱硬化させた。こうして得られた表面硬化被膜付きレンズの評価結果は、実施例1のレンズと同様、発退色の反応速度、退色途中の色調が良好であり、眼鏡用レンズとして好適に使用できるものであった。
【0254】
【発明の効果】
本発明のフォトクロミック組成物は、基材との密着性が改良された「接着性モノマーおよびアミン化合物を含有してなるフォトクロミック硬化性組成物」からなる新規なコーティング剤のフォトクロミック化合物成分として使用したときに、グレー、ブラウン等の中間色に高濃度で発色するばかりでなく、その発・退色時に色調の変化(色ずれ)が起こり難いという特徴を有する。そして、本発明のコーティング組成物を用いることにより、コーティング法という簡便な手法で高品質のフォトクロミック性眼鏡レンズを得ることが可能となる。

Claims (6)

  1. (a)シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体及び/又はイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を0.01〜20重量%含有するラジカル重合性単量体100重量部並びにアミン化合物0.01〜20重量部を含有してなる硬化性組成物を硬化させて得られるマトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が585nm〜650nmの範囲である、アミノ基置換アリール基を有するフォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物、
    (b)前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が430nm〜540nmの範囲であり、且つ該マトリックス樹脂中での20℃における退色半減期が上記(a)成分の同退色半減期の1.5〜5倍であるフォトクロミック性ナフトピラン化合物並びに
    (c)前記マトリックス樹脂中での発色時の最大吸収波長が540nm〜585nmの範囲であり、更に該マトリックス樹脂中での20℃における退色半減期が上記(a)成分の同退色半減期の1.5〜5倍であり且つ上記(b)成分の同退色半減期の0.5〜3倍である、フォトクロミック性インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピラン化合物
    を含有してなることを特徴とするフォトクロミック組成物。
  2. ラジカル重合性単量体100重量部及び請求項1記載のフォトクロミック組成物0.001〜50重量部を含有してなることを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物。
  3. 前記ラジカル重合性単量体がシラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体および/またはイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を0.01〜20重量%含有し、更にアミン化合物0.01〜20重量部を含有する請求項2に記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  4. 請求項2又は請求項3記載の硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミック硬化体。
  5. 請求項2又は請求項3記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
  6. 基材の少なくとも一方の表面上に請求項5記載のコーティング剤の硬化体からなる被膜が形成されてなることを特徴とするフォトクロミック光学物品。
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