JP4133306B2 - ワイヤ式ウィンドレギュレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ワイヤ式ウィンドレギュレータに関し、特に開閉窓ガラスを固定するスライダベースに対する駆動ワイヤの結合構造に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
ワイヤ式ウィンドレギュレータは一般に、開閉窓ガラスをスライダベースに固定し、このスライダベースを駆動ワイヤを介して昇降させることで窓ガラスの開閉を行っている。スライダベースに対して駆動ワイヤを結合する一態様として従来、スライダベースに上下に離隔させてワイヤエンド保持部を形成し、この一対のワイヤエンド保持部にそれぞれ端部を保持した一対の駆動ワイヤをドアの厚み方向から見て互いに交差させた後、該ドア内の上下のワイヤガイド部材に導く構成が知られている。このように、一対の駆動ワイヤを交差させて上下のワイヤガイド部材に導くと、スライダベースをワイヤガイド部材に接近させることができ、スライダベース(窓ガラス)の昇降ストロークを稼ぐことができる。
【0003】
ところが、このような駆動ワイヤ交差タイプでは、駆動ワイヤが金属製のスライダベースのどこかと接触して、長期の使用の間に傷がつくおそれがあり、傷がつくと、耐久性が損なわれる。
【0004】
特開2002‐36871号公報は、駆動ワイヤの端部ニップルを支持する支持溝(穴)と、交差するワイヤを収納する溝を有するエンドホルダーをスライダベースに固定する技術を開示している。しかし、このエンドホルダーは、形状が複雑であり、端部ニップルを含む駆動ワイヤを交差状態で収納した後、スライダベースに固定しなければならないため、作業性が悪い。
【0005】
【特許文献】
特開2002‐36871号公報
【0006】
【発明の目的】
本発明は、以上の問題意識に基づき、駆動ワイヤがスライダベースに接触するのを容易に防ぐことができる、組立性に優れたワイヤ式ウィンドレギュレータを得ることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明によるワイヤ式ウィンドレギュレータは、車両用ドアの開閉窓ガラスに固定されるスライダベース;このスライダベースに、上下に離隔させて形成した一対のワイヤエンド保持部;この上下のワイヤエンド保持部に端部が支持され、ドア厚み方向から見て互いに交差した後、該ドア内の上下のワイヤガイド部材に導かれる一対の駆動ワイヤ;及び上記スライダベースに上下のワイヤエンド保持部の間に位置させて固定され、一対の駆動ワイヤに交差部において接触し、該駆動ワイヤをスライダベースのいずれの部分とも非接触とするワイヤガイドピース;を有し、スライダベースに対するワイヤガイドピースの固定手段として、スライダベースが、その表裏平面に対して直交する部分と平行をなす部分とを有する略L字形状をなす切り起こし片を有し、ワイヤガイドピースが、このL字状切り起こし片の表裏平面平行部分が嵌合する嵌合溝と、駆動ワイヤの張力により表裏平面直交部分に当接する当付面とを有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、上記のようなスライダベースと、該スライダベース上の一対のワイヤエンド保持部と、該スライダベース上のワイヤガイドピースと、一対の駆動ワイヤとを有するワイヤ式ウィンドレギュレータにおいて、スライダベースに対するワイヤガイドピースの固定手段として、スライダベースが、その表裏平面に対して直交する切り起こし片を有し、ワイヤガイドピースが、この切り起こし片が嵌合する嵌合溝と、スライダベースの切起し片形成穴に係止される抜け止め爪とを有することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、上記のようなスライダベースと、該スライダベース上の一対のワイヤエンド保持部と、該スライダベース上のワイヤガイドピースと、一対の駆動ワイヤとを有するワイヤ式ウィンドレギュレータにおいて、一対の駆動ワイヤがその端部に、ワイヤ延長方向と直交する円柱状ニップルを有し、スライダベースのワイヤエンド保持部は、該スライダベースを構成する金属材料をコ字状に曲折してなる一対の平行部分に形成した、この円柱状ニップルの両端部を支持する一対の支持穴から構成されることを特徴としている。
【0010】
また、スライダベースの上下一対のワイヤエンド保持部は、窓ガラスの表裏平面と直交する方向に位置を異ならせ、一対の駆動ワイヤを接触させずに交差させるのがよい。
【0011】
ガイドレールを用いるワイヤ式ウィンドレギュレータでは、スライダベースは、このガイドレールにスライド自在に支持するのがよいが、本発明は、ガイドレールを用いないレギュレータにも適用可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図示実施形態は、本発明をバックドア用のワイヤ式ウィンドレギュレータに適用した実施形態である。このワイヤ式ウインドレギュレータは、車両後部の左右いずれかの枢軸を中心に開閉されるバックドア(車両ドア)内に、図1に示すように、ドア幅方向に離隔させて固定した上下方向(縦方向)の一対のガイドレール10を有し、この一対のガイドレール10にはそれぞれ、その長手方向に摺動自在にしてスライダベース20が案内されている。この左右のスライダベース20には、その表裏の一方に窓ガラスWが固定されており(図6、図7、図10参照)、他方にガイドレール10に摺動自在に嵌まるスライダ30が固定されている。
【0013】
左右のガイドレール10の上下にはそれぞれ、上ブラケット11と下ブラケット12が溶接固定されている。上ブラケット11にはそれぞれ、固定位置に軸13aでガイドプーリ(ワイヤガイド部材)13が回転自在に支持されており、下ブラケット12にはそれぞれ、固定位置に軸14aでガイドプーリ(ワイヤガイド部材)14が回転自在に支持されている。ガイドプーリ13と14はそれぞれ、左右のガイドレール10の内側位置に位置している。
【0014】
左右のガイドレール10の一方には、駆動ユニットブラケット15が溶接固定されており、この駆動ユニットブラケット15に、巻取ドラム16aとその駆動モータ16bを有する正逆巻取駆動ユニット16が固定されている。巻取ドラム16aには、巻取駆動ワイヤ(以下単に駆動ワイヤ)17が巻回されており、巻取ドラム16aから出た駆動ワイヤ17の一端部は、図1の左方のガイドレール10の下方のガイドプーリ14を経て左方のスライダベース20に結合され、同じく巻取ドラム16aから出た駆動ワイヤ17の他端部は右方のガイドレール10の上方のガイドプーリ13を経て右方のスライダベース20に結合されている。また、別の接続駆動ワイヤ(以下単に駆動ワイヤ)18の一端部は、図1の左方のガイドレール10の上方のガイドプーリ13を経て左方のスライダベース20に結合され、他端部は右方のガイドレール10の下方のガイドプーリ14を経て右方のスライダベース20に結合されている。すなわちこの実施形態では、駆動ワイヤ17と18が左右のガイドレール10の間でX字状に交差している。
【0015】
従って、駆動モータ16bにより巻取ドラム16aが正逆に回転駆動されると、駆動ワイヤ17が一方で巻取ドラム16aに巻き取られ、他方で巻取ドラム16aから繰り出される。その結果、左右のガイドレール10に摺動自在に支持され、駆動ワイヤ17と18に結合されているスライダベース20が同時に同方向に移動し、左右のスライダベース20に固定されている窓ガラスWが昇降する。なお、駆動ワイヤ17は、一方のスライダベース20から巻取ドラム16aに至る一本と、他方のスライダベース20から巻取ドラム16aに至る一本との二本から構成するのが普通である。
【0016】
駆動ワイヤ17(18)は、図8、図9、図10に最もよく見られるように、そのスライダベース20との接続端部に、駆動ワイヤ17(18)の延長方向と直交する金属又は金属と同等の材料からなる円柱状ニップル19を有しており、円柱状ニップル19にはその基部に、駆動ワイヤ17(18)の外囲を覆うワイヤ端部保護部19aが一体に形成されている。円柱状ニップル19とワイヤ端部保護部19aは鋳込みにより一体に成形され、このワイヤ保護端部内に駆動ワイヤ17(18)を挿入し、該保護端部19aをかしめることで駆動ワイヤと一体化している。また駆動ワイヤ17(18)は、左右の上ブラケット11と下ブラケット12の間においてはアウタケーシング(シース)17a(18a)に覆われており、このアウタケーシング17a(18a)の両端部には、上ブラケット11(下ブラケット12)(または駆動ユニットブラケット15)に固定されるエンドブラケット17b(18b)が固定されている。すなわち、駆動ワイヤ17(18)は、スライダベース20から上下の上ブラケット11(下ブラケット12)のエンドブラケット17b(18b)に至る部分のみが露出している。
【0017】
左右のスライダベース20は、実質的に同一(対称)形状である。このスライダベース20は金属材料のプレス成形品からなるもので、図2、図10に最もよく見られるように、ガイドレール10を挟む左右方向の両端部に一対のガラス支持面21を有している。この左右のガラス支持面21には、窓ガラスWを固定するためのボルト穴21aが形成されている。また、この左右のガラス支持面21の間に位置させて、ガイドレール10に向けて(窓ガラスWの反対側に)突出させたスライダ支持面22と、駆動ワイヤ17(18)に対応させて、スライダ支持面22よりさらに窓ガラスWの反対側に突出させたワイヤ支持部23とが曲折形成されている。
【0018】
ワイヤ支持部23には、その上方から順に、上側ワイヤエンド保持部24、樹脂ピース保持部25及び下側ワイヤエンド保持部26が形成されている。上側ワイヤエンド保持部24は、図5、図10に明らかなように、スライダベース20をコ字状に曲折成形した一対の平行部分24a、24bを有し、平行部分24aには、円柱状ニップル19の端部を挿入する完全支持穴24cが形成され、平行部分24bには、円柱状ニップル19の端部を軸線と直交する横方向から挿入可能な開放支持穴24dが形成されている。この上側ワイヤエンド保持部24の完全支持穴24cと開放支持穴24dとの間には、下方からスライダベース20に導かれる駆動ワイヤ17または18の先端の円柱状ニップル19が支持される。
【0019】
同様に、下側ワイヤエンド保持部26は、スライダベース20をコ字状に曲折成形した一対の平行部分26a、26bを有し、平行部分26aには、円柱状ニップル19の端部を挿入する完全支持穴26cが形成され、平行部分26bには、円柱状ニップル19の端部を軸線と直交する方向から挿入可能な開放支持穴26dが形成されている。この下側ワイヤエンド保持部26の完全支持穴26cと開放支持穴26dとの間には、上方からスライダベース20に導かれる駆動ワイヤ17または18の先端の円柱状ニップル19が支持される。つまり、駆動ワイヤ17と18は、ドアの厚み方向から見たとき、スライダベース20部分(上側と下側のワイヤエンド保持部24と26の間)で交差する。上側ワイヤエンド保持部24と下側ワイヤエンド保持部26は、駆動ワイヤ17と18とが互いに接触することなく交差するように、窓ガラスWの表裏平面と直交する方向に位置が異なっている。
【0020】
スライダ支持面22には、ガイドレール10に摺動自在に嵌まるスライダ30の固定穴22aが形成されている。スライダ30は、図10に最もよく示されるように、チャンネル材からなるガイドレール10の幅狭開口部10a(図7)に対応するネック部31と、上端部にスライダ支持面22の上端部に掛け止めるフック部32を有しスライダ支持面22に沿う延長部33と、ガイドレール10内に摺動自在に嵌まる摺動部34とを一体に有する合成樹脂材料の成形品からなっている。摺動部34は、そのガイドレール10の内面との摺接部を一対の一部円筒面34aとしており、この一部円筒面34aが弾性変形してガイドレール10との円滑な摺動を確保する。また、この摺動部34の中心部には、ネック部31に至るかしめピン穴35が穿設されている。
【0021】
このスライダ30のかしめピン穴35(かしめピン36)とフック部32とは上下方向に離隔していて、フック部32がスライダベースの上端部に掛け止められ、かしめピン穴35から固定穴22aに挿通したかしめピン36がスライダベース20にかしめられる。つまり、スライダ30はフック部32とかしめピン36との上下方向に離間した2箇所でスライダベース20に固定される。また、延長部33は、摺動部34とフック部32を接続するもので、スライダベース20の表裏平面と直交する方向の一対の補強リブとして形成されている。この一対の補強リブ33は、左右方向の接続リブ33aで接続されている。これらの補強リブ(延長部)33は、スライダ30がスライダベース20から脱落するのを確実に防ぐ作用をする。すなわち、スライダベース20の表裏に窓ガラスWとスライダ30を固定するこの種(実施形態)のワイヤ式ウィンドレギュレータでは、スライダベース支持面22(摺動部34)とワイヤエンド保持部24(26)(及び摺動部34と窓ガラスW)がオフセットしている結果、スライダ30がスライダベース20から離れようとする力が加わるため、長期の使用によりかしめピン36にガタが生じてスライダ30が脱落するおそれがあるが、フック部32と延長部(補強リブ)33は、この力に抗し、長期に渡りスライダ30を安定させて支持する作用をする。スライダベース支持面22とワイヤエンド保持部24(26)、駆動ワイヤ17(18)とのオフセット量OS1、OS2を図6に示した。
【0022】
スライダベース20の樹脂ピース保持部25は、切り起こし片からなるもので、スライダ支持面22に直交する部分25aと、平行をなす部分25bとを有するL字形状をなしている。
【0023】
この樹脂ピース保持部25に支持されるワイヤガイドピース40は、駆動ワイヤ17と18をスライダベース20のどの部分にも接触させることなく保持する作用をするもので、表裏平面平行部分25bを嵌合させる嵌合溝41(図3、図5)と、表裏平面直交部分25aに当接する当付面42(図3)とを有している。また、その外面には、軸線が窓ガラスWの表裏平面と直交する方向の円筒状ワイヤ支持面43が形成されており、この円筒状ワイヤ支持面43の両端部に、外れ防止突起44と傾斜保護面45とが形成されている。傾斜保護面45は、ガラス支持面21からワイヤ支持部23に至るスライダベース20の傾斜面に沿って位置する。円筒状ワイヤ支持面43と当付面42(表裏平面直交部分25a)との位置関係は、駆動ワイヤ17と18が円筒状ワイヤ支持面43に当接する結果ワイヤガイドピース40に与えられる力を表裏平面直交部分25a(当付面42)が受ける関係、つまり駆動ワイヤ17、18と表裏平面直交部分25aとの間にワイヤガイドピース40が挟着される位置関係である。そして、表裏平面平行部分25bは嵌合溝41に嵌まっているため、ワイヤガイドピース40が樹脂ピース保持部25(スライダベース20)から外れることはない。また、ワイヤガイドピース40自体のスライダベース20上の位置は、上側ワイヤエンド保持部24から円筒状ワイヤ支持面43を経て下方のガイドプーリ14に至る駆動ワイヤ17または18が下側ワイヤエンド保持部26を含むスライダベース20のいずれの部分にも接触することがなく、同様に、下側ワイヤエンド保持部26から円筒状ワイヤ支持面43を経て上方のガイドプーリ13に至る駆動ワイヤ17または18が上側ワイヤエンド保持部24を含むスライダベース20のいずれの部分にも接触することがないように定められている。
【0024】
上記構成の本ワイヤ式ウィンドレギュレータは従って、組立にあたっては、スライダベース20の上端部にスライダ30のフック部32を掛け止めた状態で、かしめピン穴35から固定穴22aにかしめピン36を挿入してかしめて、該スライダ30を固定する。そしてそのネック部31をガイドレール10の幅狭開口部10aに位置させ、摺動部34をガイドレール10に摺動自在に嵌める。スライダベース20のガラス支持面21には窓ガラスWを固定する。
【0025】
また、樹脂ピース保持部25の表裏平面平行部分25bをワイヤガイドピース40の嵌合溝41に嵌め、表裏平面直交部分25aを当付面42に当接させた状態で、スライダベース20の下方から導かれる駆動ワイヤ17または18の先端の円柱状ニップル19をスライダベース20の上側ワイヤエンド保持部24に支持し、上方から導かれる駆動ワイヤ17または18の先端の円柱状ニップル19を下側ワイヤエンド保持部26に支持する。すなわち、円柱状ニップル19の一端部を開放支持穴24d(25d)から完全支持穴24c(26c)に挿入し、その後、該支持穴を中心に上又は下に回動させる。すると、上下の円柱状ニップル19から出る駆動ワイヤ17と18がワイヤガイドピース40部分で交差し、円筒状ワイヤ支持面43に押し付けられる。この力により、当付面42が表裏平面直交部分25aに当接する。このとき嵌合溝41と表裏平面平行部分25bとの嵌合関係で、ワイヤガイドピース40の窓ガラスWの表裏平面と直交する方向の抜けが防止される。
【0026】
上側と下側のワイヤエンド保持部24と26は、窓ガラスWの表裏平面と直交する方向に離隔しているので、この状態では、駆動ワイヤ17と18は円筒状ワイヤ支持面43上の異なる位置に接触して互いに当接することがない。また、円柱状ニップル19を上側と下側のワイヤエンド保持部24と26に係止する際には、ワイヤ端部保護部19aがスライダベース20のいずれかの部分に当接するが、駆動ワイヤ17(18)が当接することはない。よって、露出している駆動ワイヤ17(18)に組立時に傷がつくことを防止でき、長期の使用によっても駆動ワイヤ17(18)が発錆して弱化することがない。
【0027】
そして、図1の組立完了状態で正逆巻取駆動ユニット16を正逆に駆動すると、駆動ワイヤ17の一方が巻取ドラム16aから繰り出され、他方が巻き取られ、左右のガイドレール10に摺動自在に支持されたスライダ30(摺動部34)を有するスライダベース20(窓ガラスW)が同時に同方向に移動し、窓ガラスWが開閉される。このとき、スライダベース支持面22(摺動部34)とワイヤエンド保持部24(26)(及び摺動部34と窓ガラスW)の間にはオフセットが存在するため、スライダ30にはスライダベース20(ガラス支持面21)から離れようとする力が加わるが、スライダ30はスライダ支持面22に沿う延長部33と、スライダ支持面22の上端部に係止されるフック部32とを有するため、この力によく抵抗する。
【0028】
図11は、スライダベース20の樹脂ピース保持部25とワイヤガイドピース40の変形例を示している。樹脂ピース保持部25は、スライダベース20(ガラス支持面21またはスライダ支持面22)の表裏平面と直交する表裏平面直交部分25aのみを有しており、ワイヤガイドピース40には、この表裏平面直交部分25aに対応する挿入溝46が形成されている。この表裏平面直交部分25aと挿入溝46の嵌合関係によって、駆動ワイヤ17、18の張力によりワイヤガイドピース40がスライダベース20の表裏平面方向に移動するのが防止される。またワイヤガイドピース40には、スライダベース20の切起し片形成穴25cに係止される一対の抜け止め爪47が形成されている。この抜け止め爪47と切起し片形成穴25cの係合関係により、スライダベース20の表裏平面と直交する方向へワイヤガイドピース40が抜けるのが防止される。この実施形態においても、第一の実施形態と同様の作用を得ることができる。
【0029】
以上の実施形態では、本発明を車両のバックドアに適用したが、本発明は車両の左右の開閉ドアにも同様に適用できる。左右ドアへ適用した態様では、一対のガイドレール10は車両の前後方向に位置することになるが、ガイドレールをドアの幅方向に離隔して設けるという概念では一致する。また、以上の実施形態では、スライダベース20をガイドレール10に摺動自在に支持したが、ガイドレール10を設けることなく、ガイドプーリ13、14を車両ドア内にその幅方向に離隔させて上下に配置する構成も可能であり、この構成においても、本発明は成立する。つまり、ガイドレール10にスライダベース20を摺動自在に支持すること、あるいはガイドレール10の上下にガイドプーリ13、14を支持することは必須ではない。スライダベース20をガイドレール10に支持しない態様(ガイドレール10を設けない態様)では、窓ガラスWのガイドを別のガイド部材で行えばよい。また、図示例では、スライダベース20に直接窓ガラスWを固定しているが、ブラケットを介在させてもよいことは勿論である。
【0030】
さらに、駆動ワイヤ17、18の配索構造及び正逆巻取駆動ユニット16の設置位置には自由度がある。要は、スライダベース20に対して上方から導かれる駆動ワイヤをスライダベース20の下側ワイヤエンド保持部26に保持し、下方から導かれる駆動ワイヤを上側ワイヤエンド保持部24に保持し、両駆動ワイヤをドアの厚み方向から見て交差させるタイプのワイヤ式ウィンドレギュレータであれば、本発明は広く適用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動ワイヤがスライダベースに接触するのを容易に防ぐことができる、組立性に優れたワイヤ式ウィンドレギュレータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるワイヤ式ウィンドレギュレータの一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のワイヤ式ウィンドレギュレータのスライダベース部分の拡大断面図である。
【図3】図2のIII‐III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV‐IV線に沿う断面図である。
【図5】図2のV‐V線に沿う断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】図1、図2のVII矢視拡大平面図である。
【図8】ワイヤエンドの平面図である。
【図9】図8のIX‐IX線に沿う断面図である。
【図10】本発明によるワイヤ式ウィンドレギュレータの要部の分解斜視図である。
【図11】本発明によるワイヤ式ウィンドレギュレータの別の実施形態を示す、図10に対応する分解斜視図である。
【符号の説明】
10 ガイドレール
11 上ブラケット
12 下ブラケット
13 14 ガイドプーリ(ワイヤガイド部材)
15 駆動ユニットブラケット
17 18 駆動ワイヤ
17a 18a アウタケーシング
17b 18b エンドブラケット
19 円柱状ニップル
19a ワイヤ端部保護部
20 スライダベース
21 ガラス支持面
22 スライダ支持面
23 ワイヤ支持部
24 上側ワイヤエンド保持部
26 下側ワイヤエンド保持部
24a 24b 26a 26b 平行部分
24c 26c 完全支持穴
24d 26d 開放支持穴
25 樹脂ピース保持部
25a 表裏平面直交部分
25b 表裏平面平行部分
25c 切起し片形成穴
30 スライダ
31 ネック部
32 フック部
33 延長部
34 摺動部
35 かしめピン穴
36 かしめピン
40 ワイヤガイドピース
41 嵌合溝
42 当付面
43 円筒状ワイヤ支持面
44 外れ防止突起
45 傾斜保護面
46 挿入溝
47 抜け止め爪
W 窓ガラス

Claims (4)

  1. 車両用ドアの開閉窓ガラスに固定されるスライダベース;
    このスライダベースに、上下に離隔させて形成した一対のワイヤエンド保持部;
    この上下のワイヤエンド保持部に端部が支持され、ドア厚み方向から見て互いに交差した後、該ドア内の上下のワイヤガイド部材に導かれる一対の駆動ワイヤ;及び
    上記スライダベースに上下のワイヤエンド保持部の間に位置させて固定され、上記一対の駆動ワイヤに交差部において接触し、該駆動ワイヤをスライダベースのいずれの部分とも非接触とする合成樹脂製のワイヤガイドピース;
    を有し、
    スライダベースに対するワイヤガイドピースの固定手段として、スライダベースは、その表裏平面に対して直交する部分と平行をなす部分とを有する略L字形状をなす切り起こし片を有し、ワイヤガイドピースは、このL字状切り起こし片の表裏平面平行部分が嵌合する嵌合溝と、上記駆動ワイヤの張力により表裏平面直交部分に当接する当付面とを有することを特徴とするワイヤ式ウィンドレギュレータ。
  2. 車両用ドアの開閉窓ガラスに固定されるスライダベース;
    このスライダベースに、上下に離隔させて形成した一対のワイヤエンド保持部;
    この上下のワイヤエンド保持部に端部が支持され、ドア厚み方向から見て互いに交差した後、該ドア内の上下のワイヤガイド部材に導かれる一対の駆動ワイヤ;及び
    上記スライダベースに上下のワイヤエンド保持部の間に位置させて固定され、上記一対の駆動ワイヤに交差部において接触し、該駆動ワイヤをスライダベースのいずれの部分とも非接触とする合成樹脂製のワイヤガイドピース;
    を有し、
    スライダベースに対するワイヤガイドピースの固定手段として、スライダベースは、その表裏平面に対して直交する切り起こし片を有し、ワイヤガイドピースは、この切り起こし片が嵌合する嵌合溝と、スライダベースの切起し片形成穴に係止される抜け止め爪とを有することを特徴とするワイヤ式ウィンドレギュレータ。
  3. 請求項1または2記載のワイヤ式ウィンドレギュレータにおいて、上記一対の駆動ワイヤはその端部に、ワイヤ延長方向と直交する円柱状ニップルを有し、スライダベースの上記ワイヤエンド保持部は、該スライダベースを構成する金属材料をコ字状に曲折してなる一対の平行部分に形成した、この円柱状ニップルの両端部を支持する一対の支持穴からなっていることを特徴とするワイヤ式ウィンドレギュレータ。
  4. 車両用ドアの開閉窓ガラスに固定されるスライダベース;
    このスライダベースに、上下に離隔させて形成した一対のワイヤエンド保持部;
    この上下のワイヤエンド保持部に端部が支持され、ドア厚み方向から見て互いに交差した後、該ドア内の上下のワイヤガイド部材に導かれる一対の駆動ワイヤ;及び
    上記スライダベースに上下のワイヤエンド保持部の間に位置させて固定され、上記一対の駆動ワイヤに交差部において接触し、該駆動ワイヤをスライダベースのいずれの部分とも非接触とする合成樹脂製のワイヤガイドピース;
    を有し、
    上記一対の駆動ワイヤはその端部に、ワイヤ延長方向と直交する円柱状ニップルを有し、スライダベースの上記ワイヤエンド保持部は、該スライダベースを構成する金属材料をコ字状に曲折してなる一対の平行部分に形成した、この円柱状ニップルの両端部を支持する一対の支持穴からなっていることを特徴とするワイヤ式ウィンドレギュレータ。
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