JP4132983B2 - クリップの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体パネルなどのパネル部材に係止される可撓性の係止部を有するクリップを、プロテクタなどの組付部材に取り付けるクリップの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のクリップの取付構造に関連する技術の一例として、図8に示すものが知られている。
【0003】
図示するように、クリップ50は、一方に可撓性のパネル係止部51を有し、他方に板状の座部55を有している。パネル係止部51は、図示しないパネル部材に形成された係止孔に先端側から挿入されて、一対の羽根部53が支柱部52側に付勢された状態で係合するようになっている。
【0004】
座部55は、組付部材57のクリップホルダ58にスライド挿入されて、係止手段で保持固定されるようになっている。係止手段は、座部55の下面に突設された爪部56と、クリップホルダ58の基壁59に突設された突起部60とからなっている。爪部56と突起部60の各突出代は、略同等に形成されている。
【0005】
クリップ50とクリップホルダ58の作用について説明すると、クリップホルダ58にクリップ50を対向配置させ、クリップホルダ58の一側開口から座部55をスライド挿入させる。そして、クリップ50を奧所に押し込むと、座部55の爪部56がクリップホルダ58の突起部60に乗り上げ、爪部56が突起部60を完全に乗り越えることで、爪部56が突起部60に係止されて、クリップ50がクリップホルダ58に保持されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のクリップの取付構造では、解決すべき以下の問題点がある。
【0007】
一つには、クリップホルダ58の基壁59が薄肉であるため、基壁59の強度不足により、撓みやすくなり、爪部56と突起部60の係止が不用意に解除されて、クリップホルダ58からクリップ50が抜け出る心配がある。
【0008】
また、爪部56と突起部60の係止保持力が弱いため、車両等の走行時の振動によって、組付部材57ががたついて、異音を生ずることがある。さらに、振動に起因する繰り返し応力によって、クリップホルダ58又はクリップ50の何れか一方又は双方に、変形や破損を生ずることがある。
【0009】
本発明は、上記した点に鑑み、係止保持力の向上を図ることができ、クリップ保持部の強度の向上を図ることができ、しかも係止の信頼性を高めることができるクリップの取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、座部と、該座部の一方に設けられたパネル係止部とを有し、組付部材をパネル部材に固定するクリップの取付構造であって、前記組付部材の基壁に立ち上がり形成された一対の側壁を有し、前記側壁の先端部に互いに対向する鍔部をそれぞれ設けたクリップ保持部を設け、前記側壁の間に挿入された前記座部を、該座部の他方の面に突設された係合部と係合して前記基壁と前記鍔部との間に保持する係止部を前記基壁に突設し、前記係止部が突設された前記基壁の部分に設けた前記鍔部を形成するための一対の型抜きスリットにより、前記基壁に撓み性を持たせてなり、前記座部の板厚と前記基壁の係止部の突出代との合計寸法が、前記基壁と前記鍔部との間の高さ寸法より大きく形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、クリップは、一方に座部、他方にパネル係止部を有していて、座部は組付部材に取り付けられ、パネル係止部はパネル部材に取り付けられる。座部とクリップ保持部の係止状態を保持させる係止部と係合部は、双方が突出形成され、係止部が突設された基壁の部分に設けた鍔部を形成するための一対の型抜きスリットにより、基壁に撓み性を持たせてなり、座部の板厚と基壁の係止部の突出代との合計寸法が、基壁と鍔部との間の高さ寸法より大きく形成されているから、座部がクリップ保持部に保持された状態で、座部の下面に基壁の係止部の先端面が当接して基壁が外側に撓むようになり、撓んだ基壁の弾性復元力で座部が基壁と鍔部との間に挟持されて、係止保持力が向上する。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のクリップの取付構造において、前記座部は、板厚方向に段状に重なる幅広部と幅狭部とを有し、該幅広部が該鍔部と前記基壁との間に位置し、該幅狭部が相対向する該鍔部の間に位置することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、座部の幅狭部がクリップ保持部の相対向する鍔部の間に位置することで、座部が挿入方向にスライドガイドされ、また、座部の幅広部が鍔部と基壁との間に位置することで、座部がクリップ保持部から抜け出すことが防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係るクリップの取付構造の第1の実施形態を示すものである。
【0019】
図示するように、係止部材としてのクリップ10は、ハーネス用プロテクタ等の組付部材30とは別部材であって、組付部材30に着脱自在に取り付けて使用されるものである(図2)。組付部材30は、クリップ10を車体パネル等の図示しないパネル部材に取り付けることで、パネル部材に固定されるようになっている。
【0020】
組付部材30とクリップ10とを別体に形成した場合は、組付部材とクリップとを一体に形成した場合に比べて、部品点数が多くなるという欠点はあるものの、ハーネス用プロテクタに限らず電気接続箱やその他の自動車部品にクリップ10を取り付けることができ、クリップ10の応用が広がるという利点がある。また、廃車時には、組付部材30からクリップ10を取り外すことで、クリップ10のリサイクル化が促進される利点がある。さらに、クリップ10や組付部材30は、合成樹脂材料を構成材料とし、射出成形法により成形されているため、クリップ10と組付部材30の成形性が向上するという利点もある。
【0021】
一例として、組付部材30としての図示しないハーネス用プロテクタについて説明する。ハーネス用プロテクタは、信号線や電源線からなるワイヤハーネスを集束保持するとともに、ワイヤハーネスを外部干渉から保護する収納部品である。ワイヤハーネスが集束保持されることで、電線の絡み付きなどが防止されて、メンテナンス性が向上するとともに、自動車の振動に起因する電線の擦れや異音の発生が防止される。
【0022】
また、ワイヤハーネスが外部干渉から保護されることで、断線などを生ずることが防止されて、電線の電気的接続の信頼性が維持されるようになっている。殊に、車両のドア開口部下面に設けられているサイドシルの内側に配索されるワイヤハーネスは、外側がキッキングプレートにより覆われて保護されてはいるものの、キッキングプレートの変形を考慮して、プロテクタに収納されて保護されている。
【0023】
ワイヤハーネスは、数10本の被覆電線が束ねられた線状体である。電線間には隙間が生じないように、ワイヤハーネスの外側は絶縁性のテープで緊密に巻かれている。自動車等の車両に配索される通常のワイヤハーネスは、30〜100本程度の被覆電線の束である。被覆電線には、電気信号を伝える信号線や、バッテリからの電気を給電する電源線などが含まれている。
【0024】
一般的なハーネス用プロテクタの構造について説明すると、ハーネス用プロテクタは、合成樹脂材料を構成材料とし、一端から他端にかけて長尺状に形成されている。ワイヤハーネスの配索経路が曲がっている場合には、曲がった形状のものもある。
【0025】
ハーネス用プロテクタの内側には、ハーネス挿通空間が形成されていて、ワイヤハーネスとハーネス挿通空間との間に余分な隙間が出来ないようにして、ワイヤハーネスが挿通される。隙間を形成しないことで、ワイヤハーネスにばたつきが生じなくなり、異音の発生等が防止されるようになっている。
【0026】
このようなハーネス用プロテクタには、筒状の筒壁を有する一体成形品と、本体と蓋とを有しこれらを組み立てて構成した別体成形品とがある。一体成形品は、簡易な構造であるため、成形が容易で、コストが低いという利点がある。別体成形品は、開閉自在な蓋を開けることで、ワイヤハーネスを容易に収納することができ、収納作業性が良いという利点がある。何れにしても、ハーネス用プロテクタの両端部は、開口されていて、一端部の開口からハーネスが通されて、他端部の開口からハーネスが導出されるようになっていて、ワイヤハーネスの胴体部分が保護されるようになっている。
【0027】
ハーネス用プロテクタには、後に詳述するクリップ10を取り付けるためのクリップホルダ(クリップ保持部)32が設けられている。クリップホルダ32は、ハーネス用プロテクタの壁部又は壁部に突出して形成された取付ステム31に設けられている。
【0028】
図1又は図2に示すクリップホルダ32は、組付部材30の取付ステム31に一体に設けられている。クリップホルダ32は、薄肉壁である基壁33と、基壁33から立ち上がる枠壁35と、枠壁35の端部に内向きに連なる鍔部38とを有している。枠壁35は、互いに平行な一対の側壁36(一方のみを図示する)と、これらの側壁36の一側端部を連ねる連結壁37とを有している。連結壁37に対向する一対の側壁36の他側端部は、解放されていて開口部40となっていて、この開口部40からクリップ10がスライド挿入するようになっている。
【0029】
側壁36と基壁33の交差部には、型抜きスリット41が形成されている。型抜きスリット41は、互いに平行に一対形成されている。基壁33は、一対の型抜きスリット41,41(一方のみを図示する)の間に位置している。この型抜きスリット41は、側壁36に連なる鍔部38を形成するために形成されたものであり、積極的に形成されたものではない。型抜きスリット41があるために、基壁33は撓み易くなっている。
【0030】
基壁33には、係止突起(係止部)34が突出して形成されている。この係止突起34は、内向きに突出形成されていて、クリップ10の係止爪(係合部)24(図3)と係合する。後述するが、係止突起34の突出代b(図3)は、係止爪24の突出代a(図3)より長く形成されている。
【0031】
係止突起34は、傾斜面34a(図3)と、傾斜面34aに続く係止面34b(図3)とを有している。傾斜面34aは、係止爪24が乗り上げる斜面であり、クリップ10の挿入方向X前方に傾斜している。クリップ10が押し込まれて、係止爪24が係止突起34に乗り上げた際には、基壁33が外側に撓むことで、クリップ10が奥側にスライド挿入するようになっている。係止面34bは、係止爪24が挿入方向Xの反対方向に抜け出ることを防止する当接面であり、基壁33に対する垂直面となっている。
【0032】
クリップホルダ32の内側は、挿入される座部20の挿入空間42になっている。この挿入空間42は、座部20に対応する形状に形成されている。すなわち、座部20はクリップホルダ32にがたつきなく嵌合する。がたつきがあると、車両走行中の振動に起因して、クリップ10が抜け外れる心配があるためである。座部20は、基壁33と鍔部38とに挟まれながら奥へスライドして、挿入空間42に収容される。
【0033】
次に、クリップ10について説明する。図1に示すように、クリップ10は、一側に可撓性のパネル係止部11が形成され、他側に座部20が形成されている。パネル係止部11と座部20との間には、環状の押圧片25が形成されている。
【0034】
パネル係止部11は、錨状又は笠形状を成しており、図示しない車体パネルに形成された取付孔に取り付けられるようになっている。車体パネルは、金属板等からなっていて、パネル係止部11が取り付けられる取付孔が所定の位置に複数設けられている。複数の各取付孔は貫通した孔になっていて、パネル係止部11が取付孔の縁部に付勢されることにより係止されるようになっている。取付孔が複数設けられているのは、複数の取付ステム31が設けられた組付部材30を、複数の位置で確実に固定するためである。
【0035】
パネル係止部11は、支柱部12と、支柱部12の先端に連なる一対の羽根部13,13とを有している。支柱部12は、板状をなしており、基端から先端にかけて真直に延びている。支柱部12の板厚方向は、一対の羽根部13,13の配設される方向に一致する。
【0036】
羽根部13,13は、一方の端部が支柱部12の先端部に繋がっている。各羽根部13の他方の端部は、斜め下方に延びている。すなわち、羽根部13,13は、支柱部12の先端から基端に向かって、漸次支柱部12から離れる方向に傾斜している。言い換えると、羽根部13,13と支柱部12との間に形成される間隙が拡大する方向に傾斜している。
【0037】
羽根部13,13は、支柱部12に近づく方向に可撓性を有しているゆえ、間隙は一対の羽根部13,13の撓みスペースとして機能している。一対の羽根部13,13の向きは、任意であるが、クリップ挿入方向Xに並設されている。一対の羽根部13,13をクリップ挿入方向Xに直交する方向に配設してもよい。
【0038】
各羽根部13は、支柱部12に繋がる一方の端部が薄肉に形成され、他方の端部が厚肉に形成されている。このように、一方の端部を薄肉に形成したのは、羽根部13,13の可撓性を良くするためであり、厚肉に形成すると、可撓性が低下して、車体パネルに対する取付性が悪くなるからである。
【0039】
言い換えると、各羽根部13の撓み支点となる一方の端部を薄肉に形成することで、適度な弾性変形が許容されて、クリップ10を車体パネルに容易に取り付けることができる。なお、各羽根部13は、弧状のコーナを介して支柱部12に繋がっているため、羽根部13と支柱部12の繋ぎ目に応力の集中することが回避されて、クラックが発生したり、破損したりすることが防止されている。
【0040】
各羽根部13の他方の端部には、突出部16を残して切欠状の係止段部15が形成されている。この係止段部15は、各羽根部13の外側面に連なり、クリップ挿入方向Xに略平行に水平係止面15a(図3)を有している。係止段部15を形成することで、クリップ10が車体パネルの取付孔に挿通された際に、水平係止面15aが取付孔の縁部に当接して、クリップ10が車体パネルから抜け外れないようになっている。
【0041】
突出部16は、下方に延出していて、パネル部材の取付孔の孔深さより長く形成されている。すなわち、突出部16は取付孔を貫通する程度に長く形成されている。突出部16は、取付孔の内壁から各羽根部13が窄む方向の付勢を受ける部分であり、外側面は、取付孔の孔壁に対応するように湾曲に形成されている。
【0042】
押圧片25は、支柱部12の基端側に襟状に形成されている。パネル部材にクリップ10を取り付けられると、パネル部材は押圧片25と係止段部15との間に挟まれて、クリップ10の取付方向に付勢される。このため、クリップ10はパネル部材にがたつきなく取り付けられ、車両振動などによって係止の外れることが防止される。
【0043】
座部20は、段状を成していて、クリップホルダ32に取り付けられる部分である。この座部20は、下側部分の幅広部21と、上側部分の幅狭部22と、幅広部21の下面に形成された係止爪24を有するガイド溝23とを有している。
【0044】
幅広部21の幅は、クリップホルダ32の相対向する側壁36間の長さと同等の寸法に形成され、幅狭部22の幅は、クリップホルダ32の相対向する鍔部38間の長さと同等の寸法に形成され、ガイド溝23の幅は、係止突起34の幅と同等の寸法に形成されている。また、幅広部21の板厚cは、クリップホルダ32の基壁33と鍔部38との間の高さdと同等の寸法に形成されている。このため、座部20はクリップホルダ32に緊密に嵌合するようになっている(図2)。
【0045】
図3〜図5に示すように、ガイド溝23の下面23aには、クリップホルダ32の係止突起34と係合する係止爪24が形成されている。上述したように、係止爪24の突出代aは、係止突起34の突出代bより短い寸法に形成されている。座部20とクリップホルダ32の係止状態を保持させる係止突起34と係合爪24は、双方が突出形成され、係止突起34が突設された基壁33の部分に設けた鍔部38を形成するための一対の型抜きスリット41により、基壁33に撓み性を持たせてなり、座部20の板厚と基壁33の係止突起34の突出代との合計寸法が、基壁33と鍔部38との間の高さ寸法より大きく形成されている。このため、基壁33が撓み、基壁33の弾性復元力で座部20が付勢されるようになっている。すなわち、座部20の下面20bが係止突起34の先端部に付勢され、座部20の上面20aが鍔部38に押し付けられて、係止保持力が向上するようになっている。つまり、座部20がクリップホルダ32に保持された状態で、座部20の下面に基壁33の係止突起34の先端面が当接して基壁33が外側に撓むようになり、撓んだ基壁33の弾性復元力で座部20が基壁33と鍔部38との間に挟持されて、係止保持力が向上するようになっている。
【0046】
図4は、クリップ10をクリップホルダ32に取り付けている状態を示す断面図であり、係止突起34の頂部に係止爪24が乗り上げて、基壁33が外側に撓んだ状態が示されている。すなわち、クリップ10をクリップホルダ32に対向させた状態から押し込むと、座部20がクリックホルダ32の開口部40(図1)にスライド挿入し、さらに、クリップ10を押し込むと、座部20が奥所に移動し、係止突起34の傾斜面34aに沿って係止爪24がスライドし、係止突起34に係止爪24が乗り上げる。
【0047】
図5は、クリップ10をクリップホルダ32に取り付けた状態を示す断面図であり、座部20が係止突起34と鍔部38とに挟まれて、クリップホルダ32の基壁33が僅かに外側に撓み、基壁33が元の形状に復元することなく、座部20が係止された状態が示されている。すなわち、図4に示された状態から、クリップ10を奥所へ押し込むと、座部20の先端がクリップホルダ32の連結壁37に当接してスライド方向の位置決めが行われるとともに、係止爪24が係止突起34を乗り越え、ガイド溝23の下面23aが係止突起34の先端部に付勢された状態で、クリップ10がクリップホルダ32に完全嵌合する。
【0048】
このため、クリップ10はクリップホルダ32にがたつきなく保持固定され、不用意な外力が作用した場合であっても、クリップ10が抜け外れないようになっている。
【0049】
次に、図6及び図7に基づいて、本発明の参考例について説明する。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一符号を付す。本参考例が第1の実施形態と相違する点は、取付ステム31の裏側に補強リブ45が設けられていて、クリップホルダ32(図7)の基壁33が第1の実施形態のように撓まない点である。
【0050】
補強リブ45は、枠状をなし、クリップホルダ32に対応する基壁33の裏面43に突設されている。枠の大きさは、クリップ10の座部20と同等の大きさに形成されている。枠の内側には、基壁33の中央部で、クリップ10のスライド挿入方向Xに延びる中央リブ45aが設けられている。
【0051】
中央リブ45aの両端部には、クリップ挿入方向Xに直交する垂直リブ45bが連なっている。一対の垂直リブ45bの両端部には、中央リブ45aと平行に水平リブ45cが設けられている。このように、補強リブ45が枠状に形成されることにより、取付ステム31及び基壁33の断面係数が大きくなり、曲げ応力及びねじり応力が低下して、基壁33の撓み及びねじりが規制される。
【0052】
クリップホルダ32からクリップ10が外れるのは、基壁33が外側に撓んで係止突起34と係止爪24の係止が解除されるためである。しかし、本参考例のように補強リブ45を設けて、基壁33の撓みが規制されるようにすれば、係止突起34と係止爪24の係止保持力が向上し、不用意に係止が解除されることが防止される。
【0053】
なお、垂直リブ45b及び水平リブ45cを設けず、中央リブ45aだけでも曲げ応力が低下して、基壁33の撓みを規制することができ、本参考例の効果を得ることができる。クリップ10やクリップホルダ32その他の構成部分については、第1の実施形態と共通するため、本参考例での説明を省略することとする。
【0054】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、前記組付部材の基壁に立ち上がり形成された一対の側壁を有し、前記側壁の先端部に互いに対向する鍔部をそれぞれ設けたクリップ保持部を設け、前記側壁の間に挿入された前記座部を、該座部の他方の面に突設された係合部と係合して前記基壁と前記鍔部との間に保持する係止部を前記基壁に突設し、前記係止部が突設された前記基壁の部分に設けた前記鍔部を形成するための一対の型抜きスリットにより、前記基壁に撓み性を持たせてなり、前記座部の板厚と前記基壁の係止部の突出代との合計寸法が、前記基壁と前記鍔部との間の高さ寸法より大きく形成されているから、座部がクリップ保持部に保持された際に、クリップ保持部の基壁が外側に撓み、座部がクリップ保持部の基壁から付勢される。従って、係止保持力が向上し、係止の信頼性が高くなる。
【0055】
また、請求項2記載の発明によれば、座部の幅狭部がクリップ保持部の相対向する鍔部の間に位置することで、座部が挿入方向にスライドガイドされ、また、座部の幅広部が鍔部と基壁との間に位置することで、座部がクリップ保持部から抜け出すことが防止される。従って、クリップの取付性が向上するとともに、クリップをクリップ保持部に確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリップの取付構造の第1の実施形態を示し、クリップとクリップホルダを対向させた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すクリップをクリップホルダに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すクリップとクリップホルダのA−A線に沿って切断した断面図である。
【図4】図3に示すクリップをクリップホルダに取り付けている状態を示す断面図である。
【図5】図3に示すクリップをクリップホルダに取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】 本発明に係るクリップの取付構造の参考例を示す斜視図である。
【図7】図6に示すクリップとクリップホルダの側面図である。
【図8】従来の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 クリップ
11 パネル係止部
20 座部
21 幅広部
22 幅狭部
24 係止爪(係合部)
30 組付部材
32 クリップホルダ(クリップ保持部)
33 基壁
34 係止突起(係止部)
35 枠壁
38 鍔部
40 開口部
Claims (2)
- 座部と、該座部の一方に設けられたパネル係止部とを有し、組付部材をパネル部材に固定するクリップの取付構造であって、
前記組付部材の基壁に立ち上がり形成された一対の側壁を有し、前記側壁の先端部に互いに対向する鍔部をそれぞれ設けたクリップ保持部を設け、
前記側壁の間に挿入された前記座部を、該座部の他方の面に突設された係合部と係合して前記基壁と前記鍔部との間に保持する係止部を前記基壁に突設し、
前記係止部が突設された前記基壁の部分に設けた前記鍔部を形成するための一対の型抜きスリットにより、前記基壁に撓み性を持たせてなり、
前記座部の板厚と前記基壁の係止部の突出代との合計寸法が、前記基壁と前記鍔部との間の高さ寸法より大きく形成されていることを特徴とするクリップの取付構造。 - 前記座部は、板厚方向に段状に重なる幅広部と幅狭部とを有し、
該幅広部が該鍔部と前記基壁との間に位置し、該幅狭部が相対向する該鍔部の間に位置することを特徴とする請求項1記載のクリップの取付構造。
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