JP4132147B2 - 艶消し塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼き付け硬化により、艶消し、さらには艶なし(デッドフラット)特性をもたらす塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料は、種々の材料の表面に所望の性質を与えるために古くから用いられている。例えば、外界の影響から保護する為、表面の凹凸を隠蔽する為、意匠性を付与する為、或いは、後処理の為により伝導性の表面を提供する為、等に用いられている。従来の多くの塗料は、塗装後に蒸発してしまう液状媒体を含んでいた。しかしながら、環境上、健康上、さらに性能上の観点から、特に自動車産業に於いて、無溶媒型の塗料が求められている。
【0003】
多くの場合、塗料は、塗装面に高い光沢を与えることが望まれる。例えば、米国特許第5,407,706号は、特開昭49−47456号、同49−53239号、同51−125109号及び同56−136857号がいずれも、分子中にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂と、グリシジル基を有するアクリル樹脂とからなり、高光沢の塗膜を与える粉末塗料組成物について記載していることを述べている。
【0004】
また、高い光沢で、且つ優れた耐溶剤性、塗膜硬度を与える粉体塗料について米国特許第5,380,804号に記載されている。ここで用いられている塗料は、(i)架橋剤としての1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、(ii)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート又はそれらの混合物を例とするグリシジル基含有モノマー類と、グリシジル基を有さない、アクリルエステルのようなオレフィン性不飽和類から得られた低分子量の共重合物であるポリエポキシド、及び(iii)任意の硬化触媒、から成る。
【0005】
一方、艶消し粉体塗料の分野においても種々の組成物が開発されている。例えば、米国特許第5,436,311号にはバインダとしての線状カルボキシル基含有ポリエステルと、グリシジル基含有アクリル共重合物との混合物を含む粉末状の熱硬化性組成物が記述されている。このポリエステルは20ないし50mgKOH/gの酸価を有する。また、アクリル共重合物は4,000から10,000までの数平均分子量を有し、5〜30重量%のグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート、及び70〜95重量%のメチルメタクリレートから得られている。また、そのメチルメタクリレートの25重量%までは、他のビニルモノマーによって置き換え可能であることが記載されている。
【0006】
先述の米国特許第5,407,706号にも低光沢を与える粉体塗装組成物が記載されている。この組成物は、(A)10〜50重量%のグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを、これと共重合可能な90〜50重量%の他のモノマーと共重合させることによって得られる140℃に於ける溶融粘度が100〜800ポイズであるアクリル樹脂10〜90重量%と、140℃に於ける溶融粘度が1,000〜5,000ポイズである他のアクリル樹脂90〜100重量%とからなる樹脂、及び(B)140℃に於ける溶融粘度が100〜2,000ポイズである多塩基酸化合物、とから成る。ここで、多塩基酸化合物の酸基に対するグリシジル基の当量比は1.5〜0.5と記載されている。
【0007】
また、ヨーロッパ特許第220637号には、別の艶消し塗料組成物が記述されている。ここでは、エポキシ当量111〜350であるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(1)を用い、これをアクリル酸のようにグリシジル基と反応し得る官能基、及び重合可能なエチレン性不飽和基を含む化合物(2)と反応させて一次変性エポキシ樹脂(A)を得、さらに、この(A)を、適当なラジカル重合開始剤の存在下に、少なくとも1つのビニル芳香族モノマー(1)、グリシジル基と反応し得る官能基、及び重合可能なエチレン性不飽和基を含む化合物(2)、さらに場合により、ヒドロキシアルキルアクリレート又は同メタクリレート(3)から成るモノマー群(B)と共重合反応させ、次いで、得られたこの共重合体を、さらに、所定の触媒の存在下に、ビスフェノールAのごとき2官能フェノール化合物(C)と反応させた二次変性エポキシ樹脂を得、この二次変性エポキシ樹脂を主剤樹脂として調製したエポキシ系粉体塗料について記載されている。
【0008】
また、同じく、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂に基づくエポキシ系艶消し粉体塗料については、他に米国特許第4,835,228号にも記載されている。
【0009】
また、米国特許第4,419,495号においては、同じく、グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂に対して、エチレン−アクリル酸共重合体のような、グリシジル基と反応可能な官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを一種類以上含むモノマー群から得られた共重合体を、光沢制御機能を有する補助架橋剤として、一般的に知られている架橋剤と併用使用する技術が開示されている。
【0010】
米国特許第4,137,277号は、モノエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、及び、α,β−オレフィン系アミドを必須のモノマー成分として得られた、分子中にグリシジル基とアミド基の両方を有するアクリル系共重合体を、カルボキシル基を分子末端に有する架橋剤と組み合わせて硬化させる粉体塗料についても述べられており、架橋剤として、ジエポキシドとジカルボン酸とのエステル化合物、及び末端にカルボキシル基を有する飽和ポリエステル化合物からなる群から選ばれるカルボキシル末端化合物が用いられている。
【0011】
また、グリシジル基を有するアクリル樹脂とカルボキシル末端化合物との組み合せで硬化させる粉末塗料組成物としては、米国特許第4,091,049号にも紹介されている。ここでは、カルボキシル末端化合物の例として、一般的なポリエステル樹脂の他に、E.I. DuPont de Nemours & Co.が市販しているような、1,12−ドデカンジカルボン酸も挙げられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
低光沢の、いわゆる「艶消し塗膜」を与える粉体塗料の分野においては、これまで、等方性の艶消し塗膜を、非常に低い光沢域で再現性よく得ることが困難で、しかも、種々使用される添加物の種類、量の違いにより光沢値が劇的に変動し、要求する光沢値を得るために、塗料組成物の配合を、逐次調整する必要があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、焼き付け硬化により得られる塗膜の60°光沢値が60以下である「艶消し塗膜」を与える塗料組成物を提供するものである。この塗装組成物はその一つの態様として、
a)少なくとも一種のグリシジル基を分子内に有するアクリル共重合体、
b)少なくとも一種の芳香族ポリエステル、及び
c)一般式[化2]で表される、少なくとも一種のイソシアヌレート架橋剤
【0014】
【化2】
Figure 0004132147
(ここで、R1−R3は、独立して、炭素原子数1〜18の2価のアルキレン基、及び、炭素原子数3〜21で、少なくとも一つのエステル結合を有する2価の官能基から成る群から選択されたものであり、並びに、R4−R6は、独立して、H、有機化合物との塩、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び、C(O)R7からなる群から選択されたものであり、ここで、R7は、炭素原子数1〜22のアルキル基である)
を含む。
【0015】
また、さらに別の態様として、
a)少なくとも一種のグリシジル基を分子内に有するアクリル共重合体、
b)少なくとも一種の芳香族ポリエステル、及び
c)一般式[化3]で表される、少なくとも一種のイソシアヌレート架橋剤
【0016】
【化3】
Figure 0004132147
(ここで、R1−R3は、独立して、炭素原子数1〜18の2価のアルキレン基、及び、炭素原子数3〜21で、少なくとも一つのエステル結合を有する2価の官能基から成る群から選択されたものであり、並びに、R4−R6は、独立して、H、有機化合物との塩、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び、C(O)R7からなる群から選択されたものであり、ここで、R7は、炭素原子数1〜22のアルキル基である)
d)酸性アクリル化合物、及び
e)顔料
を含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明の態様の1つは、焼き付け硬化により、60°光沢値が60以下の、好ましくは50以下の、より好ましくは30以下の「艶消し塗膜」を与える塗料組成物に関し、その一つの態様として、
a)少なくとも一種のグリシジル基を分子内に有するアクリル共重合体、
b)少なくとも一種の芳香族ポリエステル、及び
c)一般式[化4]で表される、少なくとも一種のイソシアヌレート架橋剤
【0018】
【化4】
Figure 0004132147
(ここで、R1−R3は、独立して、炭素原子数1〜18の2価のアルキレン基、及び、炭素原子数3〜21で、少なくとも一つのエステル結合を有する2価の官能基から成る群から選択されたものであり、並びに、R4−R6は、独立して、H、有機化合物との塩、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び、C(O)R7からなる群から選択されたものであり、ここで、R7は、炭素原子数1〜22のアルキル基である)
を含む。
【0019】
グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)は、次の式(I)で示される化合物の1つ以上の化合物を、これと共重合可能な1つ以上のエチレン性不飽和化合物と共重合させることによって得られる。式(I)は次の通りである。
【0020】
【化5】
Figure 0004132147
この式においてR8は水素、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、また、R9は炭素原子数1〜20の分岐状、又は非分岐状のアルキル基を表わす。式(I)で示される代表的な化合物としてはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及び1,2−エポキシブチルアクリレートがある。
【0021】
式(I)で示される化合物の使用量は、グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)を構成するモノマー類の全量に対して、約10〜約65重量%、好ましくは、約20〜約50重量%である。また、式(I)の化合物と共重合し得るエチレン性不飽和化合物の量は、グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)を構成するモノマー類の全量に対して、の約35〜約90重量%、好ましくは、約50〜約80重量%である。
【0022】
式(I)の化合物と共重合し得るエチレン性不飽和化合物としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、及びイソボルニルメタクリレートのようなアクリル酸、又はメタクリル酸のアルキルエステル類、例えばスチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレンのようなビニルモノマー類、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなアクリロニトリル類、例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミドのようなアクリルアミド類、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシプロピルメタクリレートのようなアクリル酸、又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類、並びに不飽和2塩基酸のジアルキルエステル類、を挙げることができる。上述したように、式(I)の化合物と共重合し得るエチレン性不飽和化合物としては、上に挙げた種々の化合物を混合して使用することもできる。
【0023】
これらエチレン性不飽和化合物の中で、特に、メチルメタクリレートについては、先述の米国特許第5,436,311号に使用量の限定の記述が見られる。ここでは、グリシジル基を有するアクリル共重合体中に、70〜95重量%のメチルメタクリレートが使用され、そのうち特定比率以下の範囲については、他のビニルモノマーで置き換え可能であることが示されている。つまり、グリシジル基を有するアクリル共重合体を構成するモノマー類の中でメチルメタクリレートが占める重量割合は45%を越えており、このことは、線状カルボキシル基含有ポリエステルとの組み合せに於いて、十分に光沢を低下させる為の必須要件となっている。これに対し、本発明においては、アクリル共重合体(a)を構成する重合性モノマーの中のメチルメタクリレートが45重量%以下であっても十分に低光沢が達成できる。本発明で、メチルメタクリレート含有率が低い領域でも低光沢が達成されている理由は、特定の構造を有するイソシアヌレート架橋剤(c)の作用によるものである。
【0024】
グリシジル基を有するアクリル共重合体を構成するモノマー類のうち、ガラス転移温度の高いポリマーを与えるメチルメタクリレートの含有量を低下させる場合、イソシアヌレート架橋剤(c)そのものの作用も加わって、得られる塗膜の脆さが抑制でき、特に優れた耐衝撃強度を併せ持った艶消し塗膜を得ることが可能である。
【0025】
但し、グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)は、GPCによりポリスチレン換算の重量平均分子量として、約3,000から約200,000まで、好ましくは約3,000から約20,000までの分子量を有する。この範囲より高い分子量を有する場合、溶融粘度の高い共重合物を与え、塗料組成物の溶融粘度も高くなる結果、硬化により得られる塗膜の平滑性が損われる傾向にあり、好ましくない。この観点から、グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)は、上に挙げた種々の化合物の構成比が異なる、複数の共重合体の混合物であっても構わないが、その溶融粘度が、約10〜約500ポイズ、好ましくは、約30〜約300ポイズであることが好ましい。尚、この溶融粘度は、ICI Cone and Plate Viscometerにより、150℃で測定された値である。
【0026】
グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)の製造は、周知の反応方法により可能である。例えば、モノマー類をキシレンのような有機溶媒に加え、アゾビスイソブチロニトリル、又は過酸化ベンゾイルのような重合開始剤の存在下で、還流状態で重合反応させることができる。代表的な製造方法は、米国特許第5,407,706号、及び同第5,436,311号に記述されており、参考の為に引用する。加えて、種々のアクリル共重合物が市販品としても入手でき、例えばミシガン州Adrian の Anderson Development Company から商標「ALMATEX」として市販されている。
【0027】
グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)は、塗料組成物中に、20〜80重量%、好ましくは約25〜約60重量%の範囲で存在する。前に述べたように、いくつかのグリシジル基を有するアクリル共重合体の混合物も使用することができる。但し、ここの含有率の値については、塗料組成物中に顔料が含まれていない場合のものである。
【0028】
本発明で使用される芳香族ポリエステル(b)は、カルボキシル基を有し、その酸価は約10〜約300mgKOH/g、好ましくは約20〜約150mgKOH/gである。本明細書に於ける酸価は、米国特許第5,431,311号に記述されているDIN 53402 によって求められた値である。また、本芳香族ポリエステル(b)は、GPCによりポリスチレン換算の重量平均分子量として、約2,000〜約20,000、好ましくは、約3,000〜約12,000の重量平均分子量を有する。グリシジル基含有アクリル共重合物の場合と同様に、この範囲より高い分子量を有する場合、溶融粘度の高いポリエステル成分となり、塗料組成物の溶融粘度も高くなる結果、硬化により得られる塗膜の平滑性が損われる傾向にあり、好ましくない。この観点から、芳香族ポリエステル(b)は、ポリエステル類の混合物であっても構わないが、その溶融粘度が、約5〜約100ポイズ、好ましくは約10〜約50ポイズであることが好ましい。尚、この溶融粘度は、ICI Cone and Plate Viscometerにより、200℃で測定された値である。
【0029】
芳香族ポリエステル(b)は、芳香族多価カルボン酸、及び/又はその無水物と、ポリヒドロキシ化合物との反応によって得ることができる。好適な芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ピロメリット酸ジ無水物、及び、例えばパラヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸類が挙げられる。このうち、特に好ましい芳香族多価カルボン酸は、テレフタル酸、及びイソフタル酸である。これらの酸、及び無水物は、混合して使用することもできる。
【0030】
ところで、芳香族ポリエステル(b)の原料である芳香族多価カルボン酸は、その約50当量%までは、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、又はアジピン酸のような非芳香族多価カルボン酸類と置き換えることができる。また、使用可能な他の非芳香族多価カルボン酸類としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、エイコサンジカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及びフマル酸のような脂肪族カルボン酸類、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、3,6−エンドメチレン−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物、りんご酸、酒石酸、及び12−ヒドロキシステアリン酸のようなヒドロキシカルボン酸類、がある。これらの化合物は混合して使用することができる。
【0031】
芳香族ポリエステル(b)の原料となるポリヒドロキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、水素化ビスフェノールA、または、水素化ビスフェノールAとエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとの付加物、等が使用できる。また、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル(Eastman Chemical Co.から入手)、及びヒドロキシエチル化ビスフェノールA(Akzo Chemical Co.から入手)のような芳香族ポリヒドロキシ化合物も使用できるが、これらはあまり好ましくはない。これらポリヒドロキシ化合物は、いくつかを混合して使用することもできる。ポリヒドロキシ化合物としては、2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、及びビスフェノールA又は水素化ビスフェノールAとアルキレンオキサイドとの付加物が好ましい。さらに、これらの化合物の中ではエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び1,4−ブタンジオールがより好ましい。。
【0032】
多価カルボン酸及び/又はその無水物と、ポリヒドロキシ化合物との比率は、得られる芳香族ポリエステルが、米国特許第5,436,311等に記述されているDIN 53402により求められる酸価として、10〜300mgKOH/g、好ましくは、約20〜約150mgKOH/gとなるように選ばれる。
【0033】
また、好ましくはないが、芳香族ポリエステルの少なくとも1部を、少なくとも1つのヒドロキシカルボン酸から作ることも可能である。さらには、得られる芳香族ポリエステルの粘性が塗料組成物の流動性を妨げないのであれば、1分子当たりの平均官能基量を約3.0より大きくなるように、3官能、又はそれ以上の官能性の原料を用いることもできる。
【0034】
芳香族ポリエステル(b)は、例えば前述した米国特許第5,407,706号に記述されているような、周知の方法により調製することができる。さらに、適当ないくつかの芳香族ポリエステル類が市販されており、例えば米国ミシガン州 Adrian の Anderson Development Company や、日本の Nippon Ester Company から入手できる。
【0035】
芳香族ポリエステル(b)は、塗料組成物中に、顔料を除いた濃度として、20〜80重量%、好ましくは、約40〜約75重量%の範囲で使用される。また、いくつかの芳香族ポリエステルを混合して使用することもできる。硬化させた組成物の屋外耐候性、及び衝撃抵抗性を改善するために、脂肪族多価カルボン酸又はその無水物とポリヒドロキシ化合物とから調製された、一種類、またはそれ以上の脂肪族ポリエステルによって、芳香族ポリエステル(b)の1部を置き換えることができる。この目的で使用できる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ミシガン州 Adrian の Anderson Developing Company から AP 8500 の商品名で市販品が入手できる。
【0036】
正確な量は塗料組成によって変動するが、芳香族ポリエステル中の反応基(カルボン酸基)当量見合いで、約15〜約30%(場合によってはそれ以上)相当分を、脂肪族ポリエステル(市販品、等)で置き換え、低光沢レベルを実質的に損なわせることなく、屋外耐候性、及び衝撃抵抗性を改善することができる。
【0037】
イソシアヌレート架橋剤(c)は下記式[化6]
【0038】
【化6】
Figure 0004132147
を有し、ここで、R1−R3は、それぞれ独立して炭素原子数1〜18個の2価のアルキレン基、及び炭素原子数3〜21で、少なくとも一つのエステル結合を有する2価の官能基から成る群から選択されたものであり、また、R4−R6は、独立して、H、有機化合物との塩、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び、C(O)R7からなる群から選択されたものである。尚、R7は、炭素原子数1〜22のアルキル基である。
【0039】
イソシアヌレート硬化剤(c)は、塗料組成物中に、顔料を除いた濃度として、1〜30重量%、好ましくは約3〜約15重量%の範囲で使用される。また、いくつかのイソシアヌレート架橋剤を混合して使用することができる。
【0040】
上記の式から、このイソシアヌレート架橋剤としては、前に参考の為に引用した米国特許第5,380,804号の中で高光沢を与える塗料組成物の原料として用いられている1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートも使用できることが理解できる。また、それに記述されているように、この1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートは、米国特許第3,485,833号及び同第3,235,553号(これらの内容も参考のために引用する)に記述されているように、シアヌル酸とアクリロニトリルとの反応によって得られる。さらに、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートは、コネチカット州スタンフォードの Cytec Industries Inc.から入手できる。
【0041】
また、上記の式で表され、公知の方法により製造される他のトリカルボキシルイソシアヌレート架橋剤としては、1,3,5−トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート及び1,3,5−トリス(2−カルボキシブチル)イソシアヌレートも使用できる。
【0042】
カルボキシル基末端のイソシアヌレート化合物を塩とすることで、対応するトリカルボキシルイソシアヌレート架橋剤の融点を低下することができる。例えば、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートは225℃の融点を有するが、そのカルボキシル基の1つをN,N−ジメチルドデシルアミンと反応させることにより調製された有機塩は103℃まで融点が低下する。その為、従来一般的であった焼き付け、硬化温度範囲約145℃〜約185℃に於いても、このイソシアヌレート架橋剤が有効に使用できる。
【0043】
イソシアヌレート硬化剤の有機塩の調製は、トリカルボキシルイソシアヌレート化合物をベースに、これと有機塩を形成し得る公知の化合物と反応させることで可能である。そのような化合物としては、例えば、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリブチルアミン、及びこれらと類似の化合物のようなアミン類、好ましくは第3級アミン類が挙げられる。またこれらの替わりに、イミダゾール類、及びイミダゾール類のN−アルキル誘導体も有機塩の形成のために使用できる。このイソシアヌレート架橋剤の有機塩は適当な方法であれば、様々な方法で調製できる。例えば、まず、トリカルボキシイソシアヌレート化合物を、例えばメタノールのような適当な溶媒に加熱溶解し、次いで、この溶液に第3級アミンを滴加し、滴加が終了した後、溶媒を蒸発乾固させることで有機塩を回収することができる。トリカルボキシルイソシアヌレート化合物中の3つのカルボキシル基は、全てを塩の形に変えることができるが、一般には、トリカルボキシルイソシアヌレートと、塩形成の為の化合物との比率は、塩生成後に、平均2個のカルボキシル基が残るように設定される。
【0044】
より低い融点のイソシアヌレート硬化剤を得るためには、R1−R3の1つ以上が炭素原子数3〜21の2価の官能基であって、イソシアヌレート環とカルボキシル基、有機塩、又はC(O)OC(O)R7基との間に少なくとも1個のエステル結合を有するような化合物を使用することができる。このタイプの化合物は、ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物とカルボン酸無水物との反応によって調製できる。例えば、ヒドロキシル末端イソシアヌレート化合物が1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、無水カルボン酸が無水コハク酸であり、全ての水酸基が無水コハク酸と反応した場合には、トリス(3−カルボキシ−1−イル−プロポキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンと称する、初融点90℃のイソシアヌレート架橋剤が得られる。反応式は次のように示すことができる:
【0045】
【化7】
Figure 0004132147
このタイプのイソシアヌレート架橋剤を得るために使用できる、その他の適当なヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物としては1,3,5−トリス(4−ヒドロキシブチル)イソシアヌレートがある。ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物は適当な方法で得られ、例えばBASF Corp.から市販品を入手できる。
【0046】
ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物と反応させ得るその他の適当な酸無水物としては、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物のような環状無水物、1,12−ドデカンジカルボン酸ポリ無水物(Hoechst より Additol VXL 1381として市販品を入手できる)のような線状酸無水物、及び、フタル酸無水物のような芳香族系酸無水物などが挙げられる。更に、ポリセバシン酸無水物やポリアゼライン酸無水物(これらも市販品を入手できる)などの酸無水物も使用できる。線状ポリ無水物とヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物との反応は、典型的には所望の生成物とジカルボン酸との混合物を与える。この混合物はそのままでも使用できるし、又は、副生ジカルボン酸を除去することにより精製して使用することもできる。
【0047】
飽和の環状酸無水物が一般に好ましいが、例えば無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物のような不飽和の酸無水物も或る場合には有用となろう。また、理論的には種々のジカルボン酸も使用することができるが、それらは一般に副生物の量が多くなるためにあまり好ましくないであろう。同様に、理論的には例えば1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートのようなカルボン酸末端のイソシアヌレート化合物を、例えばラウリン酸、グリコール酸、それらの環状ダイマー、或いは4−ヒドロキシ酪酸のようなヒドロキシカルボン酸と反応させることにより、エステル基を有するイソシアヌレート硬化剤を作ることができるであろうが、この方法は副生成物量が多い為、一般的にはあまり好ましいとは言えない。
【0048】
本発明で使用するイソシアヌレート架橋剤を得るために種々の原料成分を混合して使用することもできる。いずれの場合にも、得られたイソシアヌレート架橋剤は、塗料組成物の他の成分との反応性を有し、所望の低光沢レベルを達成する必要があり、そして好ましくは約200℃よりも低く、より好ましくは150℃よりも低く、そして更に好ましくは100℃よりも低い融点を有することが好ましい。
【0049】
ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物と酸無水物との反応は、ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物を、例えばアセトニトリルのような適当な溶媒に加熱下で溶解させることにより行なうことができる。この溶液に酸無水物を加え、還流下で所定時間保持する。上述の反応では約6時間が適当な保持時間と思われる。また、反応成分の比率は、平均的に水酸基の少なくとも95%、好ましくは99%以上が酸無水物と反応するように選ばれる。反応後に、溶媒を真空下で蒸発させ、回収した粗生成物を、例えば酢酸エチルのような適当な溶媒の中に溶解して再結晶させる。生成物中の無水物基の残存は、FT−IRによって分析することができ、また、融点は示差走査熱量計(DSC)によって求めることができる。
【0050】
少なくとも1つ以上のC(O)R7基を有するイソシアヌレート架橋剤を調製するためには、種々の方法がある。例えば、上述のようなカルボキシル末端のイソシアヌレート化合物を、例えばNaOHのような塩基性化合物と反応させてカルボン酸の無機塩を生成し、次いでこの塩をハロゲン化アシル化合物と反応させて末端C(O)R7基を与えることができる。出発物質が1,3,5−トリス(カルボキシエチル)イソシアヌレートであり、全てのカルボキシル基を反応させる場合、反応過程は次のように示すことができる:
C3N3O3[CH2CH2C(O)OH]3 + 3MOH → C3N3O3[CH2CH2C(O)OM]3 + 3H2O
C3N3O3[CH2CH2C(O)OM]3 + 3XC(O)R7 → C3N3O3[CH2CH2C(O)OC(O)R7]3 + 3MX
この反応においてMは1価の金属、中でもアルカリ金属、好ましくはNaであり、そしてXはハロゲン、好ましくはClである。
【0051】
1−R3のうちの1つ以上がエステル基を含むようなイソシアヌレート架橋剤にこの技術を適用できることも自明であろう。具体的には、ヒドロキシル末端のイソシアヌレート化合物より出発して、これを前述した態様でカルボン酸無水物と反応させ、次に、得られたカルボキシル末端のイソシアヌレート化合物を上述した反応過程により、1つ以上の末端カルボキシル基のアシル化が行える。例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを無水コハク酸と反応させ、これを次にMOH化合物と反応させ、次いでその生成物をXC(O)R7化合物と反応させることができる。全てのカルボキシル基を反応させた場合には下記の反応となるであろう:
C3N3O3[CH2CH2OC(O)CH2CH2C(O)OH]3 + 3MOH →
C3N3O3[CH2CH2OC(O)CH2CH2C(O)OM]3 + 3H2O
C3N3O3[CH2CH2OC(O)CH2CH2C(O)OM]3 + 3XC(O)R7
C3N3O3[CH2CH2OC(O)CH2CH2C(O)OR7]3 + 3MX
カルボキシル末端のイソシアヌレート化合物を塩基性化合物と反応させ、そして得られた無機塩をハロゲン化アシル化合物と反応させるための反応条件は、当業者によって容易に決定することができる。
【0052】
7がCH3である場合、カルボキシル末端のイソシアヌレート化合物をケテン[すなわち CH2=C(O) ]又は無水酢酸と反応させることで製造でき、その反応条件は当業者によって容易に決定できる。この反応に用いられるケテンはケテンダイマーを約450℃で熱分解することによって作り出すことができる。出発物質が1,3,5−トリス(カルボキシエチル)イソシアヌレートであり、全てのカルボキシル基を反応させた場合、反応過程は次のように示すことができる:
C3N3O3[CH2CH2C(O)OH]3 + 3CH2=(O)→ C3N3O3[CH2CH2C(O)OC(O)CH3]3
C3N3O3[CH2CH2C(O)CH]3 + 3CH3C(O)OC(O)CH3
C3N3O3[CH2CH2C(O)OC(O)CH3]3 + 3CH3C(O)OH
後者の反応については、高級の酸無水物を使用できるが、この場合は除去が困難な種々の酸性副生物を生成する。アシル基末端のイソシアヌレート化合物を形成する技術も、当業者に公知の種々の方法が用いられる。末端トリアシル型イソシアヌレート化合物を架橋剤として用いた場合には、アミン、好ましくは第3級アミンのような塩基性触媒が塗料組成物に添加される。他の公知の酸/エポキシ反応触媒、例えばアルキルイミダゾール類や錫化合物も同様に使用することができる。触媒の量を調節することによって、硬化反応の速度を制御することができる。
【0053】
この点について、迅速な硬化反応は好ましいが、塗料組成物が流動して均一な塗装となり、所望のレベリング状態に達する為の十分な時間も必要である。当業者が理解するであろうように、この触媒の量は、イソシアヌレート架橋剤や、その他の塗料成分の量及び種類、並びに硬化条件のような、種々の因子に左右される。しかしながら触媒の量の一般的な範囲は塗料組成物の重量(顔料の重量を除く)の約0.05ないし約5.0重量%であり、その範囲の中でさらに好ましい範囲は塗料組成物の重量(顔料の重量は除く)の約0.1ないし約2.0重量%である。
【0054】
以上のことから、先述の米国特許第5,380,804号が、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの有する高い官能性(3官能)を利用し、高光沢塗膜の分野に於いて優れた耐溶剤性、硬度を達成しているのに対し、本発明は、次の点で非常に優れている。まず第1に、グリシジル基を有するアクリル共重合体とカルボキシル基を有する芳香族ポリエステルとの組合せに於いて、主に、塗膜の柔軟性を改善する目的でアクリル共重合体のメチルメタクリレート含有率を低下させた場合に、十分な艶消し効果とその再現性を得られていなかった技術的課題に対して、特定の構造を有するトリカルボキシイソシアヌレート化合物を用いることで、極めて、再現性よく艶消し塗膜を得、さらに、塗膜の柔軟性をも同時に達成された点、第2に、トリカルボキシイソシアヌレートの選択範囲が広く、特に、融点を低下させた有機塩の選択により、経済的に艶消し塗膜が得られるようになった点である。
【0055】
所望の場合、少量の他の物質をその塗料組成物に加えて補足的な硬化作用を与えることができる。例えば、上述のように、ヒドロキシイソシアヌレートとポリ無水物との未精製の反応生成物はジカルボン酸の副生物を含むが、このものは低い光沢を保ちながら補足的な硬化作用を与えることができる。
【0056】
本発明の塗料組成物は、顔料を含まず、しかも低い光沢を有するクリア塗膜を与えるのに用いることができる。しかしながら、低い光沢を維持したまま、着色するためには、本発明の組成物にさらに種々の顔料(e)を加えることもできる。それら顔料(e)は、一般に全塗料組成物の重量(すなわち顔料を含めて)に対して約5〜約60重量%、好ましくは約15〜約40重量%の範囲の量で存在する。本発明の塗料組成物に対しては通常の顔料が使用でき、特に有用な顔料としては、例えばカーボンブラック、二酸化チタン、硫酸バリウム、各種酸化鉄、酸化クロム、タルク、粘土、シリカ及び炭酸カルシウムのような無機顔料、及び例えばフタロシアニン類、ベンズイミダゾロン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリノン類、ジスアゾ類、ビラゾロン類、ジアリーリド類及びジアニシジン類のような有機顔料が挙げられる。
【0057】
本発明の塗料組成物の中に顔料を使用する場合には、分子内にカルボキシル基を有するアクリル樹脂(d)を顔料分散剤として使用するのが好ましい。このようなアクリル樹脂(d)は、顔料の均一な分散を助け、顔料の隠蔽力を高める。アクリル樹脂(d)は、アクリル酸又はメタクリル酸と、エチレン性不飽和化合物との共重合によって調製され、このエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ビニル芳香族モノマー等、が一般には使用される。代表的なエチレン性不飽和化合物としては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、スチレン、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0058】
このアクリル樹脂(d)を構成する原料は、得られた樹脂の酸価が、約10〜150mgKOH/g、好ましくは約30〜約100mgKOH/gとなるように選定される。更に、アクリル樹脂(d)は、GPCにより測定される重量平均分子量として、約2,000〜約20,000、好ましくは約3,000〜約10,000の分子量を有する。
【0059】
アクリル樹脂(d)は、公知の技術で合成でき、適当な市販品が、例えば S.C. Johnson 社製の Joncryl SCX 815、817及び819の名称で入手できる。
【0060】
アクリル樹脂(d)は、組成物重量(顔料の重量を除く)の約1〜約15重量%、好ましくは約1〜約8重量%の範囲の量で使用される。
【0061】
本発明の塗料組成物はまた、公知の種々の添加物をも含むことができる。例えば、Rohm & Haas のKM 334のようなインパクトモディファイヤー、耐食性改良用のエポキシ樹脂、塗膜の焼き付け・硬化過程で、空気や他の揮発性成分を塗膜中から排除して、塗膜にワキが発生するのを防ぐためのベンゾイン、第3級アミン類やN−アルキルイミダゾールのような硬化反応を促進させるための触媒、シリコーン化合物やアクリル化合物(例えば ModaflowPowder IIIの名称で市販されているような、2−エチルヘキシルアクリレート/エチルアクリレート共重合体を、粉末状シリカに担持させ、共重合体分が65重量%を占めるもの)のような流動調整剤、Tinuvin 900 のような紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物(例えば Tinuvin 144)のような光安定剤、帯電防止剤、及び他の種々の物質を、本発明の効果を実質的に阻害しないような範囲で配合することができる。
【0062】
本発明の塗装組成物の製造に際しては、まず、各構成成分を適当量選び、それら各成分を充分に予備混合して実質的に均質な混合物を調製することから始まる。この予備混合は、いかなる適当な手段によっても可能であり、代表的な小規模ミキサとして、オハイオ州クリーブランドの Vitamix Corporation の Vitamixer ブレンダがある。次に、この予備混合された組成物を、加熱された押出し機へ挿入し、溶融状態で混練しながら押し出す。用いることのできる押出し機の例としては、APV Model 19PC 2軸押出し機があり、軸の回転は可変であり、個々に調節可能な2つの加熱ゾーンが設けられいてる。加熱ゾーンで溶融混練された塗料組成物は、その後に設けられた、冷却ローラで冷却され、一対のピンチローラに通されることでリボン状の固形物として取り出される。次に、溶融混練されたリボン状の塗料組成物を、適当な手段、例えばハンマーミル(又は少量用の Vitamexer ブレンダ)のような手段により粉末状に粉砕し、そして140メッシュ又は170メッシュの篩を通過する粉体塗料を捕集する。集められた粉体塗料は梱包され、種々の物品、例えば自動車部品、工業用機器、建設資材、屋外用家具、等を塗装するために用いることができる。
【0063】
この塗料組成物を被塗物に塗装するためには、公知の技術が用いられ、一般には、焼き付けにより、膜厚約1.0〜約10mil、好ましくは約2.0〜約4.0milの、平滑で、実質的に均質な塗膜が得られるように塗装される。塗料を例えば鋼鉄製の部品(典型的には燐酸鉄または、燐酸亜鉛で前処理されたもの)のように導電性を有する基材に塗装する場合には、静電スプレー法を用いることができる。スプレー塗装の装置は、例えばインジアナ州インジアナポリスの GEMA Volstatic や オハイオ州 Amherst の Nordson Corp.のようなメーカーより市販品として入手ができる。予め処理された種々の表面も本発明の塗料組成物で塗装することができる。例えば、予め着色塗装された表面の上に、本発明のクリア塗装を施し、表面に低光沢特性を与えることができる。
【0064】
硬化は、塗装された表面を、塗料組成物が充分に硬化するだけの時間にわたって加熱することによって行える。個々の硬化条件は、硬化触媒の有り、無し、等、組成物の細かい配合の差に左右されるが、触媒を含まない典型的な硬化条件としては、約165℃では約25〜約30分間、約205℃では約15〜約20分間、さらに約135℃では約40分間である。実施例の中では、2.5ミルの硬化塗膜を得るために、典型的な硬化条件として、165℃で30分間、及び185℃で30分間を採用した。
【0065】
本発明の詳細な開示により、硬化により低光沢塗膜を与えるような塗料組成物を得ることができる。特に、本発明で得られた硬化塗膜は、米国特許第5,436,311号に記載のASTM D523に準拠して測定された60°光沢値として、60より低く、好ましくは50より低く、さらにより好ましくは30よりも低い光沢値を示す。
【0066】
さらに、本発明の塗料組成物は、硬化した際の60°光沢値が0から10までとなるような、いわゆる「デッドフラット」(艶無し)塗膜を与え得る点でも有用である。本発明を制限するものではないが、本発明の塗料組成物が低光沢の塗膜を与える理由については、硬化の時間差により、塗膜表面に3次元的なミクロ収縮減少を生じることによるものと思われる。顕微鏡観察(例えば倍率約200倍)でのみこのミクロ収縮は確認されるが、このミクロ収縮表面が入射光を分散し、しかも、この乱反射が塗膜上で等方的に生じる為、低光沢が均質に得られることになる。このような効果は、肉眼で観測できるような巨視的な収縮しか与えない塗料組成物とは対照されるべきである。加えて、本発明の塗装組成物は、過去の低光沢用の塗料配合を用いた場合に見られたバッチ間のバラツキの問題を克服し、極めて良好な再現性を与える。更に、本発明の塗料組成物は、種々の添加剤(例えば、酸官能性のアクリル樹脂)の添加量の変動に対して、光沢値の変動幅が小さい為、配合のやり直しも要さない。特に、この最後の特長については、艶消し塗料組成物については、非常に難しい課題であった。
【0067】
本発明で得られる硬化組成物は、例えば自動車部品の分野で重要なファクターとなるような衝撃抵抗性についても良好な結果を与える。硬化組成物で塗装された表面が、少なくとも約50in・lb、より好ましくは約80in・lb以上のガードナー衝撃強度を示すことが好ましい。加えて、この硬化組成物は外界に曝される部材にとって重要な、良好な屋外耐候性、及び、H−B又はFの鉛筆硬度で示されるような良好な塗膜硬度を有する。
【0068】
【実施例】
本発明の内容を説明するために以下の諸例をあげる。本発明はこれらの諸例によって何ら制限されない。下記の諸材料を比較例、並びに実施例で使用する。
【0069】
[製造例1]〔アクリル共重合体(a)の製造;A−1〕
攪拌機、還流コンデンサを備えた反応器にキシレン700部を加え、加熱還流しながら、表−1に示したモノマー、開始剤からなる混合物を4時間にわたって反応器中に滴下し、さらに還流下で1時間保持した後、冷却し、さらにアゾビスイソブチロニトリル5部を加えて100℃で2時間反応させた。得られた、樹脂溶液を加熱により脱キシレンし、次いで減圧下でキシレンを除去した。このようにして得られたアクリル共重合体A−1は、エポキシ当量510、重量平均分子量7,960、ガラス転移温度43〜46℃、180℃の溶融粘度41ポイズであった。
【0070】
[製造例2〜4]〔アクリル共重合体(a)の製造;A−2〜A−4〕
製造例1と同様な方法で、表−1に示した単量体、及び開始剤を用いて、アクリル共重合体A−2〜A−4の合成を行った。得られた樹脂の特性値も、表−1にまとめて整理する。尚、製造例1、2の樹脂については、ミシガン州 Adrian の Anderson Development Company から市販品を入手できる。
【0071】
【表1】
Figure 0004132147
※ ST ・・・ スチレン
MMA ・・・ メチルメタクリレート
n−BMA ・・・ n−ブチルメタクリレート
n−BA ・・・ n−ブチルアクリレート
AIBN ・・・ アゾビスイソブチロニトリル。
【0072】
[製造例5]〔芳香族ポリエステル(b)の製造;B−1〕
攪拌機、還流コンデンサを備えた反応器に、テレフタル酸645部、イソフタル酸135部、エチレングリコール90部、ネオペンチルグリコール295部を仕込み、250℃にてエステル化反応を行い、理論量の水を系外に除去した後、三酸化アンチモンを0.3部加え、270℃で減圧度20mmHgに制御して5時間反応を行った。得られた芳香族ポリエステルB−1は、重量平均分子量約5,550、酸価約45、及び200℃における溶融粘度約155ポイズであった。
【0073】
脂肪族ポリエステル(d):
市販品を使用した。使用したポリエステルは、酸価約45−58、OH価3.0以下、APHA色数50以下、25℃における比重1.162、融点(示差走査熱量計で測定)約102℃、100℃における溶融粘度(ICI Corn and Plate Viscometer で測定)約240−270ポイズであった。
【0074】
[製造例6]〔CEIアミン塩の製造〕
コネチカット州スタンフォードの Cytec Industries Inc.から市販品として入手した、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート(CEI)を用意した。攪拌機、還流コンデンサを備えた反応器に、400mlのメタノール、90.51gのCEIを仕込み65℃にて溶解させた。この溶液に56.07gのN.N−ジメチルドデシルアミンを滴下し、滴下終了後に、メタノールを蒸発させ、回収したワックス状の生成物を一晩乾燥してCEIアミン塩を調製した。得られたCEIアミン塩の融点は93℃であった。
【0075】
[製造例7]〔1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと無水コハク酸の反応物(THEI−SUC)の調製〕
BASF Corp.より入手したTHEIと無水コハク酸(SUC)の反応物(THEI−SUC)を合成した。まず、131.9gのTHEIを、280gのアセトニトリルの中に投入し、70℃で溶解させた。次いで、この溶液に150.15gのSUCを加え、還流下に6時間反応させた。溶媒であるアセトニトリルを、110−120℃、2mmHgの減圧度にて40分間かけて追い出した。回収したこの粗反応物の全量を423gの酢酸エチルに溶解して再結晶し、精製THEI−SUCを得た。得られたTHEI−SUCの融点は、90℃であった。
【0076】
カルボキシル基を有するアクリル共重合体(d):
S.C. Johnson から市販されている「Joncryl SCX 817」を使用。
【0077】
カーボンブラック:
Cabot Corp.から市販されている「Regal 400R」を使用。
【0078】
硫酸バリウム:
イリノイ州クインシーの JM Huber Corp.より市販されている「Huberite−1」を使用。
【0079】
二酸化チタン:
E.I. Dupont de Nemours & Co.より市販されている「R960」を使用。
【0080】
塗料組成物のサンプル調製は、まず多量に使用される成分から順番にVitamixerブレンダに投入した。全成分投入後に、このブレンダを高速回転にセットし、5秒間順方向へ、その後5秒間逆方向へ回転し、この操作を2回繰り返した。この操作は、予備混合物の10分間が終了した後にも、同様に行った。
【0081】
予備混合された塗料組成物は、押出し混練機(2つの加熱ゾーンを有する APV Model 19 PC 2軸押出し機)のホッパの中に投入される。混練機の2つの加熱ゾーンを、後に示す表中に記載した温度(℃で表わしたT1及びT2)に設定し、同表に示した軸回転数(rpm)にて溶融混練を実施した。溶融混練された塗料組成物は、直ちにピンチローラにより冷却され、リボン状となって回収された。
【0082】
冷却されたリボン状の塗料組成物を、粗砕してから、Vitamix ブレンダ中に投入し(全容積の1/3以下の投入量)、5秒間前順方向へ、その後5秒間逆方向へ高速度回転し、この操作を何度か繰り返した。また、この操作は10分間の粉砕操作の後にも実施した。粉砕された粉体は、振盪機上の篩の中に投入され、140メッシュ又は170メッシュの篩を通過した分が、粉体塗料として回収された。
【0083】
塗装は、各種塗料組成物を、インジアナ州インジアナポリスの GEMA Volstatic より入手した MPS−1Lのハンドガンを用いて静電スプレーする方法により行い、試験パネルは、燐酸鉄により前処理された研磨鋼板を用いた。静電スプレー塗装された鋼板は、165℃で30分間、及び、185℃で30分間焼き付け硬化させ、2.5milの厚さの塗膜を得た。
【0084】
塗装試料をASTM D523に従い60°光沢を測定試験した。更に、ガードナー衝撃試験による衝撃強度 鉛筆硬度、及び ASTM D3359の平行溝接着試験により接着性を評価した。また、塗膜の平滑性については肉眼にて評価した。
【0085】
塗料の組成、及び試験結果を以下の表2〜表7にあげる。これらの表では、各樹脂成分、及びイソシアヌレート系架橋剤の量については、重量%、及び( )内の当量比で示されている。また、その他の添加剤や顔料は、樹脂成分+イソシアヌレート系架橋剤の100部に対する部数(phr)で示している。尚、実際の検討については、各成分の量を示した重量表示の数字の6倍で実施した。
【0086】
また、艶消し光沢を有するクリア塗膜(無顔料)の実施例として2つの配合を同様の一般的な操作で調製し、厚さ2.7milの塗膜を得た。これらの例の結果を表8に示す。
【0087】
【表2】
Figure 0004132147
【0088】
【表3】
Figure 0004132147
【0089】
【表4】
Figure 0004132147
【0090】
【表5】
Figure 0004132147
【0091】
【表6】
Figure 0004132147
【0092】
【表7】
Figure 0004132147
【0093】
【表8】
Figure 0004132147
【0094】
以上の結果から分かる様に、まず、白色塗膜の場合、イソシアヌレート系架橋剤を使用しない比較例1の場合、光沢、耐衝撃性ともに不十分であるのに対し、これを使用した実施例1〜3に於いては、さらなる光沢の低下と、衝撃強度の向上が見られる。また、特に、イソシアヌレート架橋剤がエステル結合を有する実施例2、及び、アミン塩の構造を有する実施例3の場合に、低い溶融混練温度でも十分な性能が発揮されており、架橋剤の融点低下のメリットが表れている。また、実施例3、4、または実施例5では、本発明で特定するイソシアヌレート架橋剤の使用量、あるいは組合せの選定により、塗膜の衝撃強度、他を高水準に維持したままで、光沢値を任意に選定できることが示されている。
【0095】
一方、グリシジル基を有するアクリル共重合体(a)の選定については、本発明の範囲の中で、単独、または複数の樹脂の使用が可能であり、実施例7では単独使用の場合が示されている。
【0096】
さらに、芳香族ポリエステルの一部を脂肪族ポリエステルに置き換えた実施例9では、低光沢、平滑性が維持されており、本発明の効果を保持した上で、さらに屋外耐候性の向上も期待できる。
【0097】
一方、黒色塗膜の例示についても白色塗料と同様の傾向が得られるが、黒色塗料の場合、イソシアヌレート架橋剤を使用しない場合、比較例2で判るように「艶消し」光沢は得られないのに対し、これを使用した実施例6、10では、極めて低光沢の塗膜が得られており、衝撃強度、塗膜硬度、平滑性、のいずれもが高いレベルにあることが示されている。
【0098】
以上、本発明の好ましい具体例について記述したが、本願特許請求の範囲に定義された本発明の技術的範囲から逸脱することなくその種々の修飾態様及び変形態様を作り出すことが当業者にとって容易であることは明らかである。

Claims (10)

  1. a)少なくとも一種のグリシジル基を分子内に有するアクリル共重合体、
    b)少なくとも一種の芳香族ポリエステル、及びc)一般式[化1]で表される、少なくとも一種のイソシアヌレート架橋剤
    Figure 0004132147
    (ここで、R1−R3は、独立して、炭素原子数1〜18の2価のアルキレン基、及び、炭素原子数3〜21で、少なくとも一つのエステル結合を有する2価の官能基から成る群から選択されたものであり、並びに、R4−R6は、独立して、H、有機化合物との塩、炭素原子数1〜20のアルキル基、及び、C(O)R7からなる群から選択されたものであり、ここで、R7は、炭素原子数1〜22のアルキル基である)を含有し、芳香族ポリエステル(b)が、少なくとも一種の多価アルコールと、芳香族多価カルボン酸、及び、非芳香族多価カルボン酸からなる群から選択された少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸との反応により得られたもので、その酸価が10〜300mgKOH/gの範囲であり、焼き付け硬化により得られる塗膜の60°光沢値が30以下である艶消し塗膜を与える塗料組成物。
  2. グリシジル基を分子内に有するアクリル共重合体(a)を構成する重合性モノマーの中で、メチルメタクリレートの占める重量割合が、45%以下である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 少なくとも一種類の脂肪族ポリエステルを、さらに含有するものである請求項1に記載の塗料組成物。
  4. R1−R3が、エチレン基である請求項1に記載の塗料組成物。
  5. R4−R6がHである請求項1に記載の塗料組成物。
  6. R4−R6のうちの少なくとも1つが有機化合物との塩でありその架橋剤(c)の融点が200℃以下である請求項1に記載の塗料組成物。
  7. R4−R6のうちの少なくとも1つが、第3級アミンとの塩である請求項5に記載の塗料組成物。
  8. R4−R6のうちの少なくとも1つが、ジメチルドデシルアミンとの塩である請求項5又は6に記載の塗料組成物。
  9. C(O)R7がアセチル基である請求項1に記載の塗料組成物。
  10. 顔料を除いた塗料組成物重量の1〜15%に相当する、少なくとも一種類の分子内にカルボキシル基を有するアクリル共重合体(d)、及び、顔料(e)をさらに含有するものである請求項1に記載の塗料組成物。
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