JP4130249B2 - 直流避雷器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流送電や周波数変換装置等に使用される直流避雷器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流送電システムの線路側の保護に直流避雷器が使用されており、主に碍管内に酸化亜鉛素子を収納した構成の碍子形避雷器が適用されてきている。しかし、直流送電も±500kVと高電圧化され、ガス絶縁装置が適用されるようになり、タンク形避雷器が必要とされるようになってきた。
【0003】
従来のタンク形避雷器として、図4に示すものが交流用として使用されている。同図において、タンク本体1の中に金属フランジ2を有する絶縁筒3が固定されており、その絶縁筒3内に酸化亜鉛素子を積層した内部要素4が収納され、その高圧側電極10は絶縁スペーサ5に支持された高圧側導体6により図示しないガス絶縁開閉装置に接続されている。タンク本体1内にはSF6 ガス7が封入され、金属製シールド9が高圧側の電界緩和のために設けられている。
しかしながら、従来の避雷器は耐電圧試験の中の極性反転試験において絶縁筒3がフラッシオーバを起こすという問題があった。
【0004】
図5は絶縁筒3の長さ方向に沿った電位分布図を示している。
通常、交流やインパルス波形に対しては静電容量分布により電位分布が決まるが、直流に対しては抵抗分布で決まるという違いがあり、図は抵抗分布により決まる電位分布を示している。図の中で、カーブaとカーブbは避雷器高圧側にそれぞれ−500kV、+500kVの直流電圧が印加された場合の定常状態の絶縁筒3の長さ方向に沿った電位分布を示している。これに対して極性反転が発生した場合には電荷の移動があるが時定数があるために、極性反転直後にはカーブCのように不平等な電位分布となり、高圧側の金属フランジ2の近傍に非常に高い電界が発生する。
【0005】
一方、金属フランジ2の先端8はガス,絶縁物,金属が交わるトリプルジャンクションになっており、高い電界が発生しやすく、上記の極性反転時の不平等電位分布と相俟って極めて高い電界が発生し、ここを起点としてフラッシオーバが発生するという問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の交流用避雷器では静電容量分布により電位分布が決まるため、金属シールドにより覆われていることから、この金属フランジの先端8には高い電界は発生しない。また従来から直流避雷器として適用されてきた碍子形避雷器では、碍子の絶縁体効率が低いため電荷の移動の時定数が早く、上記のような問題は発生しなかった。従って、かかる問題はガス絶縁タンク形直流避雷器特有の問題である。
【0007】
本発明(請求項1乃至請求項対応)は、上記問題を解消するためになされたもので、その目的は、直流極性反転時にもフラッシオーバを発生しない直流避雷器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1は、絶縁筒内部に酸化亜鉛素子を積層した内部要素を収納する一方、前記絶縁筒の高圧側フランジおよび接地側フランジが前記絶縁筒の接着面において切り溝部を有する直流避雷器において、前記内部要素の高圧側電極を前記高圧側フランジ先端よりも低圧側に配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2は、絶縁筒内部に酸化亜鉛素子を積層した内部要素を収納する一方、前記絶縁筒の高圧側フランジおよび接地側フランジが前記絶縁筒の接着面において切り溝部を有すると共に、前記切り溝部と絶縁筒の間に樹脂を充填した直流避雷器において、前記内部要素の高圧側電極を前記高圧側フランジ先端よりも低圧側に配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項1または2によれば、内部要素の高圧側電極を高圧側フランジ先端よりも低圧側に配置したため、トリプルジャンクション部分が内部要素高圧側電極の奥に逃げる形になるため電界が緩和され、耐電圧が上昇する。
【0014】
本発明の請求項は、請求項1乃至請求項記載の直流避雷器において、前記絶縁筒の表面に当該絶縁筒の表面抵抗より抵抗値の低いコーティングを施すことを特徴とする。
【0015】
この請求項によれば、絶縁筒の表面に絶縁筒の表面抵抗より抵抗値の低いコーティングを施したため、絶縁筒に帯電した電荷の移動を早め、電位分布の不平等を緩和できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態およびその前提となる技術を図を参照して説明する。図1は本発明の第1の前提となる技術の断面図である。同図において、本第1の前提となる技術の直流避雷器が図4の従来の避雷器と異なる構成は、絶縁筒3の高圧側及び接地側の金属フランジ2a及び2b(図示せず)の絶縁筒3との接着面において切り溝部11を設けている点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0017】
第1の前提となる技術は上記のような構成とすることにより、ガス,絶縁物,金属で形成されるトリプルジャンクション部分がフランジの奥に逃げる形になるため電界が緩和され、フラッシオーバ電圧が上昇する。また、内部要素4の高圧側電極10の位置を高圧側フランジ先端8よりも低圧側に下げるようにしても本実施例と同様な効果が得られる。
【0018】
図2は本発明の第2の前提となる技術の主要部の断面図である。同図において、本第2の前提となる技術の直流避雷器が図4の従来の避雷器と異なる構成は、絶縁筒3の高圧側及び接地側の金属フランジ2a及び2b(図示せず)の絶縁筒3との接着面において切り溝部11を設け、かつ切り溝部11と絶縁筒3の間に樹脂12を充填している点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0019】
第2の前提となる技術は上記のような構成とすることにより、トリプルジャンクション部分が樹脂12の奥に逃げる形になるため電界が緩和され、フラッシオーバ電圧が上昇する。
【0020】
図3は本発明の第実施例(請求項1または2対応)の主要部の断面図である。同図において、本実施例の直流避雷器が上記第2実施例の避雷器と異なる構成は、内部要素4aの高圧側電極10の位置を高圧側フランジ先端8よりも低圧側に下げている点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0021】
本実施例は上記のような構成とすることにより、トリプルジャンクション部分が高圧側電極10の奥に逃げる形になるため電界が緩和され、フラッシオーバ電圧が上昇する。
【0022】
本発明の第実施例(請求項対応)の避雷器は特に図に示していないが、上記した図1乃至図3の直流避雷器の構成において、絶縁筒3の表面に絶縁筒3の表面抵抗より抵抗値の低いコーティングを施すようにしたものである。
【0023】
通常、交流用に適用される絶縁筒3はFRPでできており、その表面抵抗率は1017Ω・cm以上あるが、これに1015Ω・cm以下の絶縁コーティングを施すものである。この1015Ω・cmはエポキシ注形品の値であり、エポキシ注形品では極性反転による耐電圧の低下はないことが実験により確認されている。
【0024】
図5のカーブdはこの場合の電位分布を示しており、不平等率が大幅に改善され耐電圧が向上していることが分る。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明(請求項1乃至請求項対応)によれば、極性反転時にも十分な耐電圧を有し、信頼性の高い直流避雷器を提供することができるので、交直変換所,周波数変換所のガス絶縁開閉装置化を可能にし、設備,建屋の小形化などに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の前提となる技術の断面図。
【図2】 本発明の第2の前提となる技術の主要部の断面図。
【図3】 本発明の第実施例の主要部の断面図。
【図4】 従来の避雷器の断面図。
【図5】 絶縁筒の長さ方向に沿った電位分布図。
【符号の説明】
1…タンク、2,2a,2b…金属フランジ、3…絶縁筒、4,4a…内部要素、5…絶縁スペーサ、6…高圧側導体、7…SF6 ガス、8…金属フランジの先端、9…金属製シールド、10…高圧側電極、11…切り溝部、12…樹脂。

Claims (3)

  1. 絶縁筒内部に酸化亜鉛素子を積層した内部要素を収納する一方、前記絶縁筒の高圧側フランジおよび接地側フランジが前記絶縁筒の接着面において切り溝部を有する直流避雷器において、
    前記内部要素の高圧側電極を前記高圧側フランジ先端よりも低圧側に配置したことを特徴とする直流避雷器。
  2. 絶縁筒内部に酸化亜鉛素子を積層した内部要素を収納する一方、前記絶縁筒の高圧側フランジおよび接地側フランジが前記絶縁筒の接着面において切り溝部を有すると共に、前記切り溝部と絶縁筒の間に樹脂を充填した直流避雷器において、
    前記内部要素の高圧側電極を前記高圧側フランジ先端よりも低圧側に配置したことを特徴とする直流避雷器。
  3. 請求項1または請求項2記載の直流避雷器において、前記絶縁筒の表面に当該絶縁筒の表面抵抗より抵抗値の低いコーティングを施すことを特徴とする直流避雷器。
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