JP4129907B2 - 非移行性の鎖片を有するフッ化ビニリデンポリマーと、その製造方法 - Google Patents

非移行性の鎖片を有するフッ化ビニリデンポリマーと、その製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は非移行性の鎖片(fraction de chaines non transferees)を有するフッ化ビニリデンポリマーと、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フッ化ビニリデン(VF2)をベースとするポリマー、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)は機械的安定性に優れ、化学的不活性が非常に高く、耐老化性が良いことで知られている。こうした特性は種々の分野の用途で利用され、例えば化学工学の分野、マイクロエレクトロニクスでの押出し成形品または射出成形品の製造、ガスや炭化水素の移送用密封パッキンの形での使用、建築分野での土壌保護用フィルムや被覆材の製造、電気分野の用途での保護部品等が挙げられる。
VF2ベースのフルオロポリマー、特にPVDFの衝撃強度は必ずしも十分ではない。機械的な衝撃を受けた後や材料の強靭性が一般に非常に小さくなる温度範囲(T=−30℃)に予想外の長時間放置した後にフルオロポリマーで作られた部品が破損し、その結果、深刻な自体に至ることがあった。PVDF組成物の耐衝撃性に関して記載した文献は既に存在する。
【0003】
欧州特許第884,358号には柔軟で強靭なポリ(フッ化ビニリデン)ベースの組成物が記載されている。この組成物は100重量部のフッ化ビニリデン(VF2)のホモポリマー(A)またはVF2とVF2と共重合可能な少なくとも1種のモノマーとのコポリマー(A)であり、前記モノマーは100重量部のVF2に対して0〜30重量部の量で存在し、さらに0.5〜10重量部のエラストマーBと、0.5〜10重量部の可塑剤Cとを含み、BとCの合計は1〜10.5重量部であり、フッ化ビニリデンのホモポリマー(A)は230℃、荷重5kgでISO1133規格で測定したメルトフローインデックスが5g/10分以下で、190℃で溶融剪断弾性率GとGの交差で測定した臨界弾性率Gcが5〜22kPaとなるように選択する。この組成物は一般に板、フィルム、パイプの外装、ホース等の高温および/または低温条件下で攻撃的な物質(炭化水素、強酸、溶媒、無機および有機塩基等)と接触し、応力を受ける強靭性および柔軟性を特に必要とする物品の製造に適している(石油およびガス産業、化学工業、建設工業および土木工業)。
【0004】
国際特許第WO99/29772号には、ポリ(スチレン)−ポリ(ブタジエン)−ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーを用いけPVDFを強化する方法が記載されている。こうして改良されたPVDFはその耐薬品性を保持する。
可塑剤またはエラストマーを混和することは有効であるが、添加剤の種類によっては混合物の均質性および熱または化学的な安定性に問題を生じる。さらに、可塑剤および/またはエラストマーを含む配合物を作るために追加の製造段階を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、非移行性の鎖断片を有するPVDFは可塑剤や強化剤を添加しなくても非常に優れた衝撃強度を示すということを見出した。
以下、本明細書ではこのポリマーを「非移行性の鎖断片(fraction de chaines non transferees)(FNTC)を有するPVDF」いう。
すなわち、本発明のPVDFは質量が極めて大きな鎖すなわち非移行性の鎖と、開始および移行によって作られるPVDFの他の鎖とからなる。
本発明のFNTCを有するPVDF(以下、特にことわらない場合にはホモポリマーおよびコポリマーの両方を意味する)を製造する極めて簡単な方法は、先ず最初に、移行剤の不存在下で移行反応を引き起こさない開始剤を用いてVF2を重合し、次に、モル質量が極めて大きなPVDFの一部が生成した後に移行剤(連鎖調節剤ともよばれる)を添加する方法である。FNTCに相当する極めて大き鎖はPVDFの一般的な溶媒、例えばDMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)およびNMP(N−メチルピロリドン)に全く不溶である。このFNTに対応するポリマーは230℃、100s-1の剪断速度での動的粘度が50kポアズ以上である。
【0006】
米国特許第4,076,929号にはビモダルとよばれるPVDFが記載されているが、これは本発明のPVDFとは全く異なるものである。この従来技術では界面活性剤と開始剤としてのジ−tert−ブチルペルオキシドとの存在下で連鎖移行剤を添加せずにVF2を重合している。すなわち、tert−ブチルペルオキシドはその炭化水素部分の水素が不安定なため連鎖移行剤としても作用する。この移行作用は、酢酸エチル等の特定の移行剤よりかなり弱く、十分に作用してPVDF鎖の質量を極めて大きくすることはない。この特許で作られる基本的に高質量の鎖で、その特許公報の第2欄、第45〜52行目に記載の通り、高質量の鎖の比率は30〜70%、好ましくは少なくとも45%である。
PVDFの製造方法は種々記載されているが、移行反応を引き起こさない水溶性の非有機開始剤で重合を開始した後に移行剤を添加するという方法は記載がない。従来方法としては例えば下記の特許を挙げることができる。
【0007】
欧州特許第387,938号には乳化剤無しのVF2の重合方法が記載されている。この特許では開始剤としてペルオキシ二硫酸塩を用い、最初のモノマー原料に連鎖調整剤を加える。
欧州特許第655,468号には、移行剤としてのラジカル開始剤とクロロフルオロアルカン(HCFC 123)との存在下でのVF2の重合方法が記載されている。重合開始時にHCFC 123を全て添加するか、重合中に分けて添加する。実施例1では重合前に一部を添加していることは明らかである。
欧州特許第169,328号には、界面活性剤、開始剤、トリクロロフルオロメタンとイソプロピルアルコール(最後の2つは移行剤である)の存在下でのVF2の重合方法が記載されている。開始剤は常に移行剤の一部または全て添加した後に添加する。
フランス国特許第2,259,114号ではラジカル開始剤と連鎖移行剤との存在下でのVF2の重合方法が記載されている。この明細書では少量のVF2を反応器に加えるのと同時に重合反応器に開始剤と移行剤を少しずつ加える。
【0008】
本発明は上記以外の技術的問題も解決した。PVDFの結晶形態は大抵の場合、粗過ぎる、すなわち結晶単位(球晶、spherulites)の平均粒度が大き過ぎるか、粒度分布が広過ぎる。この不利な結晶形態の結果、例えば溶融状態から作った物品はミクロ的にザラザラしており(microrough)、光沢が不足し、表面仕上げ悪く、完成品の透明度が低い。さらに、腐蝕性化学物質と長期間接触した時の機械特性の劣化もこの表面の結晶形態が十分に微細でないために生じる。
球晶の平均寸法を小さくする方法についての記載した従来技術はなく、これまでは、一般にフッ素ベースのマトリクスに核剤を導入していた。
【0009】
特開昭48−34956号には、PVDF粒子またはラテックスにPVDFより融点の高い0.05%〜30%のフッ素樹脂ラテックスを混合してPVDFベースの化合物を製造する方法が記載されている。このフッ素樹脂はポリ(フッ化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレンか、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VF2)およびジフルオロジクロロエチレン(VF2Cl2)のホモポリマーおよびコポリマーから選択される樹脂で、融点がPVDFより高い樹脂である。一般に、PVDFに対して0.05〜30重量%のフッ化樹脂を添加する。樹脂の粒子は0.05〜1μmの粒径である。実施例8では、0.05μmのPTFE粒子と混合したPVDFを250℃で溶融して厚さ1mmの板を成形している。この板の球晶の寸法は1μm以下である。
【0010】
ドイツ国特許第2,116,847号およびフランス国特許第2,721,036号には芳香族または複素環式化合物を添加することが記載されている。所定の核剤の有効性についても明らかにされているが、核剤をポリフッ化ビニリデンのマトリクスに混和する段階は常に困難な操作である。すなわち、濃度が非常に低く、一般に約0.1重量%程度であるため均一に分散するのは困難である。
本発明者は、球晶の平均寸法がμmオーダーのPVDF、すなわち、非移行性の鎖断片を有する上記本発明のPVDFを見出した。本発明のPVDFは核剤を添加しないで得られる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)(2)を特徴とするPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のホモポリマー、または、コモノマーがラジカルの作用で開いて重合するビニル基を含む化合物の中から選択され、このビニル基に直接結合した少なくとも1つのフッ素原子、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基を含むコポリマーを提供する:
(1) PVDFの一般的な溶媒、例えばDMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)およびNMP(N−メチルピロリドン)には全く不溶なモル質量が極めて高い非移行性の鎖断片を含み、この高分子量の鎖断片を含むポリマーは230℃、100S-1の剪断速度での動的粘度が50kポアズ以上であり、
(2) 球晶の寸法は0.5〜4μmである。
【0012】
本発明はさらに、上記のPVDFのホモポリマーまたはコポリマーと、ABCトリブロックコポリマーとの混合物とを提供する。この場合、3つのブロックA、BおよびCはこの順番で結合され、各ブロックはホモポリマーか、2種以上のモノマーから得られるコポリマーであって、ブロックAは共有結合を介してブロックBに結合され、ブロックBはブロックCに共有結合結合されるか、ブロックの1方に共有結合を介して結合し且つ他方のブロックに他の共有結合を介して結合された中間分子を介して結合され、
ブロックAはPVDFと相溶性があり、
ブロックBはPVDFと非相溶性があり且つブロックAとは非相溶性であり、
ブロックCはPVDF、ブロックAおよびブロックBと非相溶性がある。
【0013】
本発明はさらに、上記組成物から製造された部品にも関するものである。部品としてはシート、フィルム、チューブ、ロッド、遠心ポンプ部品および容器等がある。
本発明はさらに、上記PVDFのホモポリマーまたはコポリマーの製造方法を提供する。本発明方法は下記の(1)と(2)を特徴とする:
(1)VF2(フッ化ビニリデン)および必要に応じて用いられる単数または複数のコモノマーの水中分散体を必要に応じて界面活性剤を用いて作り、この分散体を最初にモノマーの重合を誘導できる水溶性の非有機開始剤と接触させ、
(2)次に、生成したPVDFの一部に水溶性の非有機開始剤の存在下で下記(i)または(ii)のいずれかを添加する:
(i)重合を伝播できる連鎖移動剤(重合は水溶性の非有機開始剤または有機開始剤で開始させる)、
(ii)連鎖移動反応を行わせることができる有機開始剤(必要な場合にはさらに水溶性の非有機開始剤)。
【0014】
本発明方法の原理は、重合開始時に移行剤無し(鎖長の長さ大きく限定させることに寄与する移行、停止型の二次的反応無し)で且つ移行反応を引き起す開始剤無しで、モル質量が極めて大きいの高分子鎖の断片を形成することにある。従って、本発明では移行剤(agent transfert, CTA)無しで反応を開始し、CTAを最初に添加するのはモノマー変換度が所定の値になった時、例えば約5重量%になった時である。CTAの所望量を少しずつ、または、連続的に導入し、総量でポリマーの平均モル質量を調製することができる。移行剤を1回で注入する場合に得られる生成物はモル質量がビモダル(2頂分散)を示し、第1群は非常に高質量で、第2群の質量は限定される。移行剤を最初に投与した後の重合段階は有機開始剤の作用下で実施してもよい。この開始剤の移行反応への貢献はほどほどである。
モル質量を調整するのに十分な移行効果のある有機開始剤の場合には、本発明の特性を変えずに、いわゆる移行剤を使わなくすることもできる。この場合でもFNTCは依然として非有機開始剤の存在下での重合の最初の段階中に得られ、中位のモル質量の第2断片は有機開始剤単独作用下で形成される。
本発明では、製造条件を変えるだけ、特に重合中での移行剤の導入方法を最適化し、最初に水溶性の非有機開始剤を用いることによって、PVDFの衝撃強度と微細形態とを改良することができる。このプロセスの変更はポリマー製造装置を全く変えずに実施でき、直ちに工場生産ラインに移すことができる。
【0015】
【実施の態様】
コモノマーの例としては、フッ化ビニル;トリフルオロエチレン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE);1,2−ジフルオロエチレン;テトラフルオロエチレン(TFE);ヘキサフルオロプロピレン(HFP);ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)およびペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)等のペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル;ペルフルオロ(1,3−ジオキソール);ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD);式CF2=CFOCF2(CF3)OCF2X(ここでXはSO2F、CO2H、CH2OH、CH2OCNまたはCH2OPO3H)の化合物;式 CF2=CFOCF2CF2SO3F)OCF2の化合物;式 F(CF2)nCH2OCF=CF2(ここで、nは1,2,3,4または5)の化合物;式R1CH2OCF=CF2(ここで、R1は水素またはF(CF2)zであり、zは1,2,3または4)の化合物;式 R3OCF=CH2(ここで、R3はF(CF2)z−であり、zは1,2,3または4)の化合物;ペルフルオロブチルエチレン(PFBE);3,3,3−トリフルオロプロペンおよび2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン等を挙げることができる。
【0016】
PVDFはフッ化ビニリデン(VF2)のホモポリマーおよび好ましくは少なくとも50重量%のVF2を含むそのコポリマーの中から選択するのが有利である。コモノマーはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン(VF3)およびテトラフルオロエチレン(TFE)から選択される。
非移行性鎖(モル質量が極めて大きいの)の比率はPVDFの50重量%以下、有利には2〜30重量%にすることができる。この比率はPVDFの総量に対するものである。すなわち、モル質量が極めて大きいの鎖が2〜30重量%の場合、他の鎖は98〜70重量%存在する。上記の比率は好ましくは5〜30%、さらに好ましくは15〜25%にする。PVDFの一般的な溶媒中に上記モル質量が極めて大きいの鎖が不溶性であるということは公知である。
【0017】
球晶の寸法は0.8〜2μmにするのが有利である。界面活性剤、開始剤および移行剤の存在下で乳化法で80℃で製造した標準的PVDFの一般的な平均粒径は2〜10ミクロンである。この粒径はPVDFのホモポリマーであるカイナ(Kynar、登録商標) 740およびカイナ(Kynar、登録商標) 1000で見られる。これに対して、モル質量が極めて大きいの鎖を25重量%含む本発明のPVDFでは平均粒径が約1μmになる。カイナ(Kynar、登録商標) 740およびカイナ(Kynar、登録商標) 1000は以下で本発明の比較例として説明する。
【0018】
MFI(メルトフローインデックス)は1〜50(g/10分、230℃、/5kg)にするのが有利である。本発明のPVDFのMFIは1〜3、好ましくは1.5〜2.5にするか、10〜50、好ましくは15〜40のいずれかにするのがよい。
本発明のPVDFの衝撃強度は極めて高い。さらに、本発明のPVDFは本質的にかなり偽可塑性(剪断速度に伴って粘度が大きく減少する)であり、このことは溶融加工の点から一般に有利である。また、ニュートニアン領域が低剪断速度側へ戻ることは例えばフィルムを押出し吹込み成形するのに有用である。
【0019】
ABCトリブロックコポリマー、すなわち少なくとも3つのブロックA、BおよびCのブロックを含むブロックコポリマーでは、少なくとも一つまたは複数のモノ共有結合によってブロックAがブロックBに結合し、ブロックBがブロックCに結合する。ブロックAとブロックBとの間および/またはブロックBとブロックとのC間に複数の共有結合を有する場合には、2つのブロックを互いに連結させる一つの単位または複数の単位が存在してもよい。一つの単位はトリブロックの合成に用いられる減速材と呼ばれるモノマーに由来するものであってもよい。複数単位の場合の鎖は少なくとも2つの異なるモノマーから成るブロックまたはランダムな一連のモノマーを結合して得られるオリゴマーでもよい。このオリゴマーはAブロックをBブロックに結合し、同じオリゴマーまたは別のオリゴマーがブロックをブロックCに結合することができる。
【0020】
ABCコポリマーのブロックAは、このブロックと同じポリマーA(すなわちB、Cの単位が無いポリマー)が溶融状態でこの樹脂と相溶性がある場合、PVDFと相溶性があると見なされる。同様に、ブロックA、Bと同じポリマーA、Bが相溶性である場合に、ブロックA、Bは相溶性があると見なされる。一般に2つのポリマーの相溶性とは溶融状態で一方が他方に溶解するか、全体的に混和することを意味する。そうでない場合、ポリマーまたはブロックは非相溶性であるという。
【0021】
2つのポリマーの混合エンタルピーが小さければ小さいほど相溶性は大きくなる。場合によってはモノマー間に固有の相互作用があって、それが対応するポリマーに対する負の混合エンタルピーになる。本発明では混合エンタルピーが負またはゼロである相溶性ポリマーを用いるのが好ましい。
しかし、全てのポリマーの混合エンタルピーを従来法で測定することはできないので、例えば捻れ粘弾性または振動粘弾性測定または示差熱分析で間接的に相溶性を決定するしかない。相溶性ポリマーでは混合物に2つのガラス遷移温度またはTg値が検出される。2つのTg値の少なくとも一方は純粋な化合物のTg値と異なり、その温度範囲は2つの純粋な化合物のTg値の間にある。完全混和性のある2つのポリマーは1つのTg値しかない。
【0022】
濁度測定、光散乱法または赤外線測定等の他の実験方法を用いてポリマーの相溶性を証明することもできる(L. A. Utracki, Polymer Alloys and Blends, pp
64-117)。
混和性または相溶性のあるポリマーは文献に報告されている。例えば J. Brandup and E. H. Immergut: Polymer Handbook, 3rd edition、Wiley & Sons 1979、New York 1989, VI/348-VI/364頁;O. Olabisi, L. M. Robeson and M. T. Shaw: Polymer Miscibility, Academy Press, New York 1979, pp 215-276頁; L. A. Utracki: Polymer Alloys and Blends, Hanser Verlag, Munch 1989年が参照される。これらの参考文献リストは説明のために挙げられたものであって、全てを網羅しているわけではない。
【0023】
ブロックAはアルキル(アルキル)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、例えばメチルメタクリレート(MMA)および/またはメチルまたはエチルアクリレートおよび/または酢酸ビニルから選択するのが有利である。
ブロックAはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)であるのが有利である。
このPMMAはシンジオタクチックで、示差熱分析で測定したそのガラス遷移温度Tg(A)は120℃〜140℃であるのが好ましい。
ブロックBのTgは0℃以下、好ましくは−40℃以下であるのが有利である。
【0024】
エラストマーブロックBを合成するのに用いるモノマーはブタジエン、イソプレン、2、3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよび2−フェニール−1,3−ブタジエンから選択されるジエンにすることができる。ブロックBはポリジエン、特にポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらのランダムコポリマーあるいは部分的または全体的に水素化されたポリジエンから選択するのが有利である。有利なポリブタジエンはTgが低く、例えばポリ(1,2−ブタジエン)のTg(約0℃)より低いTg(約−90℃)を有するポリ(1,4−ブタジエン)である。ブロックBは水素化されていてもよい。この水素化は一般的な方法で実施する。
【0025】
エラストマーブロックBを合成するのに用いるモノマーは下記のようなアルキル(メタ)アクリレートでもよい(以下、アクリレートのTg値を括弧内に示す):エチルアクリレート(−24℃)、ブチルアクリレート(−54℃)、2−エチルへキシルアクリレート(−85℃)、ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃)および2−エチルへキシルメタクリレート(−10℃)。ブチルアクリレートを用いるのが有利である。これらのアクリレートはブロックA、Bは非相溶性であるという条件から、ブロックAのアクリレートとは相違している。
ブロックBは主にポリ(1,4−ブタジエン)で構成するのが好ましい。
【0026】
ブロックCはブロックBのTg(B)より高いガラス遷移温度Tg(C)または融点Tm(C)を有するのが好ましい。この特性から同じ使用温度TsでブロックCはガラス状または部分結晶状になり、ブロックBはエラストマー状にすることができる。
本発明では、ブロックBが所定のTgを有し且つ材料または混合物から得られる物品の使用温度でB−ブロックポリマーのエラストマーまたは可撓性状態となるようにブロックBの種類を選択することができる。これに対して、CブロックポリマーはTSより大きいTg(C)またはTmを有することができ、同じ使用温度で相対的に硬いガラス状態にすることができる。
【0027】
ブロックCはPVDF、ブロックAおよびブロックBと非相溶性であるので、材料内部に互いに離散した硬い相が形成され、材料中にナノ領域が形成され、これは各ブロックBの一端部の領域でのアンカーの役目をする。各ブロックBの他端はフルオロポリマーとの親和性が高いブロックAに結合される。この強力な親和性によってブロックBの第2端部領域に第2のアンカー点が得られる。
ブロックCはスチレンまたはα−メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマーから選択するのが有利である。
【0028】
アルキル(アルキル)アクリレート由来の単位を含むトリブロックは陰イオン重合、例えば欧州特許出願第0,524,054号および第0,749,987号に記載の方法で製造することができる。
このトリブロックABCはポリ(メチルメタクリレート−b−ブタジエン−b−スチレン)であるのが好ましい。
このトリブロックコポリマーABCはその合成副生成物としてBCジブロックコポリマー(場合によってはさらにホモポリマーC)を含むことができる。このトリブロックコポリマーABCはその合成副生成物としてABジブロックコポリマー(場合によってはさらにホモポリマーA)を含むことがある。
【0029】
すなわち、このトリブロックコポリマーはブロックA、BおよびCの種類に応じて、ブロックAをブロックBに結合させ、次にブロックCに結合させるか、逆にブロックCをブロックBに結合させ、次にブロックAに結合させて合成するのが好ましい。ブロックAはPVDFと相溶性のあるブロックである(定義から)。トリブロックコポリマーABCはABA型またはCBC型の星形または対称的な直鎖ブロックコポリマーを含むことができる。
【0030】
合成副生成物すなわちホモポリマーA、CまたはブロックコポリマーAB、BC、ABAおよびCBCの全重量はトリブロックABCの重量の2倍以下にするのが有利である。この重量はトリブロックABCの重量の1倍以下、さらには0.5倍以下であるのが好ましい。さらに、副生成物は主としてジブロックBCであり、BCの重量はABC75〜65重量部に対して25〜35重量部、有利にはABC70重量部に対して30重量部にする。
【0031】
合成副生成物を含めたトリブロックコポリマーの数平均分子量(Mn)は20,000g/mol-1以上、好ましくは50,000〜200,000g/mol-1である。ABCトリブロックコポリマー(合成副生成物を含む)は下記で構成されるのが有利である:
1) 20〜93、好ましくは30〜70重量部のブロックA、
2) 5〜68、好ましくは10〜40重量部のブロックB、
3) 2〜65、好ましくは5〜40重量部のブロックC。
【0032】
PVDF中でのトリブロックABCの比率は70重量%以上のPVDFに対して30重量%以下にできる。有利にはトリブロックの比率を98〜70%のPVDFに対して2〜30%、好ましくは95%〜85%のPVDFに対して5〜15%にする。
PVDFに、ABCトリブロックを含む、含まないに関わらず、安定剤、難燃剤、可塑剤および強化剤を添加しても本発明を逸脱するものではない。
【0033】
PVDF合成方法の基本は、移行(または停止)反応に関与する化学構造または分解生成物を出さない(ラジカル)開始剤系を用いる点にある。すなわち、CTA無しの反応期間中に、移行反応または停止反応の介入は最小限度にする。従って、本発明は特に乳化重合法に適しており、本発明方法によって例えば過硫酸塩または過酸化水素のような2次的な移行作用が全くない水溶性の非有機化合物で重合を開始できる。これとは対照的に、乳化法および/または懸濁法で使用可能な有機開始剤の大部分は移行反応または停止反応を邪魔するので(主鎖の炭化水素部分に存在する不安定な水素のため)適切でない。主鎖の炭化水素部分に不安定な水素を有する開始剤の例としてはジ−tert−ブチルペルオキシドが挙げられる。もちろん、移行(または停止)反応に寄与しない開始剤の影響下で生成すすべきものはモル質量が極めて大きいの最初の鎖断片(fraction de chaine initiale)のみである。移行剤の存在下で生成されるその後の断片には同じ開始剤または有機型の開始剤を無制限に用いることができる。超高分子の鎖が生成してからCTAを添加する。移行に関与する開始剤、例えば有機型の開始剤を用いても本発明を逸脱するものではない。追加の量の開始剤を1段階または複数段階で加えたり、同じ開始剤または移行に関与する開始剤、場合によってはさらに追加の量のモノマーを1段階またはそれ以上の段階で加えたり、これらの可能な任意の組み合わせを加えても本発明を逸脱するものではない。
【0034】
CTAの1回目の注入前のVF2および任意成分のコモノマーの変換度によって移行剤無しで生成した鎖断片の比率が決まる。超高質量の鎖を生成した後のCTAの注入回数または導入速度によって超高質量でないPVDF断片のモル質量分布が決まる。CTAの総容積は重要なパラメータではない。この容積を調整して溶融粘度に関連するポリマーの平均モル質量を調節しなければならない。モノマーが分散される水の容積と、界面活性剤、開始剤およびCTAの量は当業者が容易に決めることができる。重合は撹拌反応器内で実施し、PVDF(固体粒子状)を任意の手段で水から単離する。この方法自体は公知であり、米国特許第4,025,709号、第4,569,978号、第4,360,652号、欧州特許第626,396号および第656,468号に記載されている。
水性エマルションを50〜130℃の温度で重合するのが有利である。
さらに、40〜120バールの絶対圧力で重合するのが好ましい。
【0035】
界面活性剤はモノマーを水中に分散させて重合を容易にさせることができる任意の化合物である。米国特許第4,025,709号、第4,569,978号、第4,360,652号、欧州特許第626,396号および第656,468号には水性エマルションにVF2を投入し、重合してPVDFを合成する方法が記載されている。これらの特許には多くの界面活性剤の式が記載されている。例えば下記のような一般式が挙げられる:ZCn2nCOOM(Zはフッ素または塩素原子であり、nは6〜13の範囲の整数であり、Mは水素またはアルカリ金属原子またはアンモニウム基または少なくとも1種の低級アルキル置換基を有するアンモニウム基である)。
また、式:F3C(CF2n-2CO2Li(n=7,8,9または10)のリチウムペルフルオロアルカノエート(perfluoroalkanoate)を挙げることもできる。重合開始時または重合中に導入される界面活性剤量は反応器の初期原料中に存在する水100部につき0.01〜5部である。
【0036】
モノマーの重合を可能にする水溶性の非有機開始剤としては主として無機の過酸化水素、例えば塩の形の無機過酸化水素、例えば過硫酸ナトリウムまたはカリウム等が挙げられる。開始剤の量は反応で消費されるモノマー100部につき0.002〜0.2部にすることができる。当業者に周知の各種の共反応物をこの無機過酸化水素に加えて分解速度を加速したり、使用温度を低くしたりすることもできる。
反応を続けるために必要に応じて用いられる有機開始剤には主として過酸化炭化水素、例えばジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドまたはベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルカーボネート、例えばジエチルペルカーボネートまたはジイソプロピルペルカーボネート、過酸または過酸エステル、例えばt−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレートまたはt−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0037】
移行剤(agent de transfert)は重合反応を促進すると同時にポリマーのモル質量を制限できる任意の化合物である。その例としてはアセトン、イソプロパノル、メチルアセテート、エチルアセテート、ジエチルエーテル、n−ブチルアセテート、ジエチルマロネートおよびジエチルカーボネートおよび各種のクロロフルオロカーボン化合物を挙げることができる。移行剤の量は主としてその種類および得られるポリマー断片の所望平均モル質量に依存する。最終生成物の平均粘度はこのモル質量によって決まる。反応中に消費されるモノマー100部につき0.01〜5部の移行剤が存在するのが好ましい。
【0038】
【実施例】
実施例1
18.6リットルの脱イオン水と、50gのC817CO2NH4型過フッ素化陰イオン界面活性剤とを30リットルのオートクレーブに導入した。
オートクレーブを閉じ、機械的に断続撹拌した後、真空脱気して10バール以下の圧力で窒素を充填し、再度、真空脱気し、5バール以下の圧力でVF2を充填し、最後に真空脱気をした。次に、150rpmで機械撹拌しながらオートクレーブを85℃に加熱し、85バール以下の絶対圧力でVF2を充填した。
過硫酸カリウムの0.5重量%水溶液を50mlを1段階で加えて反応を開始した。VF2を充填して圧力を85バールに維持した。
【0039】
2.25gのVF2を消費した時に、250mlの酢酸エチル(EA)と、70mlの過硫酸カリウムを同じ水溶液で添加した。
9kgのVF2を消費した時に、20mlの過硫酸塩水溶液を加えて変換率を毎時1.5〜3.5kgの範囲内に維持した。
9kgのVF2を消費した時点でVF2の供給を停止し、温度が23℃に下がるまで42バール以下の圧力で反応を続けてから、オートクレーブから残留モノマーを取り出した。
【0040】
この試験によって、固体含有量が39.5%のラテックスを31.2kg、すなわち12.3kgの乾燥PVDFが生成した。移行剤導入前に得られるポリマー断片は2.9kgすなわち全生成物の23.6%であった。230℃、5kgの荷重下でISO1133規格に従って測定したメルトフローインデックスは1.7kg/10分であった。
【0041】
実施例2
9kgのVF2を消費した時に200mlのEAをさらに導入する以外は実施例1と同じ手順を行った。
【0042】
実施例3
VF 2 /HFPコポリマー
最初の脱気後、85バールに加圧する前に105gのヘキサフルオロプロピレン(HFP)を導入し、1重量%のHFPを含むVF2/HFP混合物を2.25kgの混合物が消費されるまで供給する以外は実施例1と同じ手順を行った。EA導入後、VF2/HFP混合物添加後はVF2だけで反応を続けた。
【0043】
実施例4
2.25kgのVF2を消費した時に480mlのEAを導入する以外は実施例1と同じ手順を行った。
【0044】
実施例5
1.2kgのVF2を消費した時に150mlのEAを導入し、2.25kgのVF2を消費した時に250mlのEAを導入する以外は実施例1と同じ手順を行った。
【0045】
実施例6
VF 2 /CTFEコポリマー
実施例1と同じ手順を行ったが、最初の脱気後、加圧を85バールにする前に50gのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)を導入し、2重量%のCTFEを含むVF2/CTFE混合物を2.25kgの混合物が消費されるまで供給する。EA導入後、VF2/CTFE混合物添加後はVF2だけで反応を続けた。
【0046】
実施例7
実施例1と同じ手順を行ったが、45バールの絶対圧で反応を実施し、VF2を連続的に供給してこの圧力を常に一定に保つた。また、最初にオートクレーブに入れる脱イオン水の量を17.6リットルに減らした。さらに50mlの用量の0.5%過硫酸水溶液の代わりに80mlの同じ水溶液を添加した。最後に、1.7kgのVF2を消費した時に60mlの容積のEAを注入し、オートクレーブに2重量%のn−プロピルペルカーボネート(n−PP)を含む水性エマルションを毎時300mlの速度で供給して反応を続けた。
7.1kgのVF2を消費した時にVF2の供給を停止し、温度が23℃に下がるまでn−PPエマルションの添加を10バール以下になるまで維持し、残留モノマーをオートクレーブから取り出した。
【0047】
ABCトリブロック
ABCトリブロックは下記の性質を有するPMMA−PB−PS(PMMA−ポリブタジエン−ポリスチレン)トリブロックである:PMMAブロックの数平均分子量(Mn)が65,700g/mol、PBブロックのMnが22,800、PSブロックのMnが25,000。すなわち、ABCトリブロックは60重量%の純粋なABCブロックと、40%の純粋なBCジブロックとの混合物である。BCジブロックは合成中間体で、25,000MnのPCブロックと、22,800MnのPBブロックとからなる。
【0048】
PMMAブロックの質量分率はトリブロックの全質量(すなわち、純トリブロックと純ジブロックとの合計)の58%であり、PBブロックの質量分率はトリブロックの上記全質量の20%であり、PSブロックの質量分率は残りの22%である。欧州特許第524,054号または第749,987号に記載の方法を用いて作ることができる。
【0049】
[表1]〜[表3]はPVDFの性質を示す。これらの表は、PVDF(またはHFPまたはCTFE含有率が非常に低いコポリマー)の機械性質または流動特性を示す。ここに示すデータを同等なメルトフローインデックスを有する標準的な工業製品と比較されたい。
まず、押出し成形に適したポリマー(MFI=2)、すなわち実施例1〜3および実施例6〜7で、室温での破壊エネルギー(energie de fracture a lambiante)はカイナ(Kynar、登録商標)1000の2倍、カイナ(Kynar、登録商標)740の4倍となることが分かる。
【0050】
−30℃では効果はあまり現れないが、破壊エネルギーが約50%増加することが分かる。引張特性を調べると、実施例2〜3の降状応力が大きく増加(+8%)し、材料の可塑変形に対する粘性が大きいことが分かる。
射出成形または共押出し用のポリマー(MFI=15〜20)の場合、市販のカイナ(Kynar) 720と比較した実施例4〜5の場合に得られる値によって表されるように、破壊エネルギーに対する効果は室温より−30℃で大きくなる。
【0051】
[表3]は10%のABCトリブロックを配合した同じ化合物で得られたデータから、添加剤で得られる衝撃挙動の改良がFNTCの存在下で室温において分断されることを示している。
最後に、光学顕微鏡を用いて偏光を当てた射出成形試料のミクロトーム断面から得られた2枚の写真によって、カイナ(Kynar) 740の結晶形態を実施例1の化合物と比較することができる。FNTCを含むPVDFの球晶の平均寸法が小さいことが分かる。
【0052】
【表1】
Figure 0004129907
【0053】
【表2】
Figure 0004129907
【0054】
【表3】
Figure 0004129907

【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光光学顕微鏡を用いて撮ったカイナ(Kynar) 740の写真
【図2】 偏光光学顕微鏡を用いて撮った実施例1の化合物の写真

Claims (6)

  1. フッ化ビニリデン(VF2)のホモポリマー、または、コモノマーがラジカルの作用で開いて重合するビニル基を含む化合物の中から選択され、このビニル基に少なくとも1つのフッ素原子、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基が直接結合しているフッ化ビニリデンのコポリマーであって、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)およびNMP(N−メチルピロリドン)から成るPVDFの一般的溶媒には全く不溶なモル質量が極めて高い非移行性の鎖断片(FNTC)を含み、この高分子量の鎖断片(FNTC)に対応するポリマーの230℃、100S-1の剪断速度での動的粘度が50kポアズ以上で且つ球晶の寸法が0.5〜4μmであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のホモポリマーまたはコポリマーの製造方法であって:
    (1)VF 2 (フッ化ビニリデン)と必要に応じて用いられる単数または複数のコモノマーとの水中分散体を作り、得られた水中分散体を最初にモノマーの重合を誘導できる水溶性の非有機開始剤と接触させ、
    (2)次に、生成したPVDFの一部に水溶性の非有機開始剤の存在下で下記(i)または( ii ):
    (i)水溶性の非有機開始剤または有機開始剤で開始させた重合を伝播できる連鎖移動剤、
    ii )連鎖移動反応を行わせることができる有機開始剤
    のいずれかを添加することを特徴とする方法
  2. 上記( ii )の連鎖移動反応を行わせることができる有機開始剤と一緒に水溶性の非有機開始剤をさらに用いる請求項1に記載の方法。
  3. VF2のコポリマーのコモノマーがクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン(VF3)およびテトラフルオロエチレン(TFE)の中から選択され、コポリマーの少なくとも50重量%がVF2である請求項1または2に記載の方法
  4. モル質量が極めて高い非移行性の鎖断片(FNTC)の割合が2〜30重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法
  5. モル質量が極めて高い非移行性の鎖断片(FNTC)の割合が5〜30重量%である請求項に記載の方法
  6. モル質量が極めて高い非移行性の鎖断片(FNTC)の割合が15〜25重量%である請求項に記載の方法
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