JP4129721B2 - 透析液調製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透析液調製装置に関する。更に詳しくは、透析液原液の濃度が安定していない場合や、透析液原液を収容した容器を取り間違えた場合など、供給される透析液原液に異常がある場合に、その異常を検知して透析液原液の供給を停止し、延いては調製された透析液の患者への供給を停止するようにした透析液調製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
透析液の調製は、複数の透析液原液をそれぞれ希釈水で希釈し、この希釈された複数の透析液原液を混合することにより行われている。
透析液原液(通常、A原液とB原液を採用している)の希釈方法としては、従来、希釈水を計量シリンダで計量して希釈水供給ラインに送り、希釈水の流量に比例して希釈水供給ラインにA原液とB原液を給液するという方法が知られている。この方法では、A原液の給液部分とB原液の給液部分の間およびA原液の給液部分の下流に濃度計が設けられており、希釈されたB原液の濃度と、希釈されたB原液とA原液の混合により調製された液の濃度が測定され、この測定された濃度により透析液原液の正常・異常が検知されるようになっている。
しかしながら、この方法は、給水ポンプとして計量シリンダを使用しているため、ピストンの摩耗が速く、寿命が短いという欠点を有しており、また、下流で給液されるA原液の濃度が変わったときにA原液の流量も変わり、その結果、上流で供給されるB原液の流量も変わるようになっており、何らかの原因により下流で供給されるA原液の濃度がかわったときに、濃度合わせをする必要があり煩雑であった。
【0003】
透析液原液の希釈方法としては、希釈水と所定量のA原液とB原液とを定量混合容器に給液し、これらを混合する方法も良く知られている。
しかしながら、この方法は、定量混合容器とA、B原液の希釈水供給ラインへの給液部分との間に濃度計が設けられていないので、A、B原液の正常・異常をチェックすることが出来なかった。そして、そのため、透析液原液の濃度が安定していない場合や、透析液原液を収容した容器を取り間違えた場合などには、そのまま異常のある液体を正常な透析液として使用してしまう虞があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、透析液原液の異常を検知して透析液原液の供給を停止し、延いては調製された透析液の患者への供給を停止するようにした透析液調製装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、希釈水供給ライン上、透析液原液供給ラインとの接続部より下流に濃度センサーを設け、この濃度センサーによって測定された透析液の濃度と、希釈水の流量および透析液原液の流量から、実際に前記バッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出することができ、また、こうして算出された透析液原液の濃度と実際に供給しようとしている透析液原液の濃度の比較から、実際に供給された透析液原液の異常を発見することができることに想到し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、透析液を透析装置に供給する透析液供給ラインと異常な透析液を廃棄する廃棄ラインを備える一定容量の混合容器と、この混合容器に接続された希釈水供給ラインと、この希釈水供給ラインに接続された透析液原液供給ラインを含んでなり、希釈水供給ラインは、透析液原液供給ラインの接続部より下流にバッファタンクと濃度センサーをこの順序で備えており、この濃度センサーによって測定された透析液の濃度と希釈水の流量および透析液原液の流量から、実際にバッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出する濃度計と、異常な濃度の透析液の廃棄を指示する廃棄ボタンと、透析液原液の補給を指示する補給ボタンと算出された原液濃度と予めインプットされ予め定められた供給すべき原液濃度とを比較し、該濃度計によって算出された算出濃度が供給しようとしている透析液原液の濃度(予定濃度)と等しい場合には、前記混合容器のチャンバーに透析液の供給が行われ、前記算出濃度が予定濃度と異なっている場合には異常と判定して透析液原液の供給が停止されると共に、前記異常が透析液原液の接続ミスの場合、廃棄ボタンの操作により異常な濃度の透析液を廃棄し、前記異常が接続ミスによるものでない場合、算出濃度が予定濃度より小さい場合、補給ボタンの操作により原液の補給を行い、算出濃度が予定濃度より大きい場合、補給ボタンの操作により、異常な濃度の透析液を廃棄する制御機構が設けられてなる透析液調製装置に関する。
【0006】
ここで、希釈水供給ラインは、これを2つ以上のラインに分岐して、その分岐した希釈水供給ラインの各々に異なる透析液原液供給ラインを接続してもよい。また、透析液原液の濃度の算出は、透析液の濃度と希釈水の流量および透析液原液の流量から、混合容器に供給された1バッチ当たりの電解質量を算出し、該電解質量と混合容器に供給された透析液原液の量から透析液原液の濃度を算出するようにしても、濃度センサーにより測定される透析液の濃度が安定状態になったときの平均濃度を基に、バッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出するようにしてもよい。
また、濃度計の上流には定流量弁を設けるのが好ましく、さらにこの定流量弁は、濃度計の上流かつ透析液原液供給ラインの接続部より下流に設けるのがよい。
混合容器は、可動隔壁によって2室に区切られた密閉定量容器が好ましい。
また、本発明の透析液調製装置は、補給ボタンを押すことにより必要量の透析液原液が補給されるようにしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す概略説明図であり、図2および図3は本発明の他の実施例を示す概略説明図である。また、図4は本発明の透析液調製装置において、透析液濃度の測定に基く制御機構のフローチャートである。
図1に示すものは、希釈水供給ライン3が1本のものであり、図2、図3に示すものは、希釈水供給ライン31、32が複数(2本の)のものである。そして、図2に示すものは、希釈水供給ライン31、32の定流量弁311、321が透析液原液の接続部より上流に設けられたものであり、透析液原液の接続部より下流かつ濃度計313、323の上流には、好ましくは流量計314、324が設けられている。また、図3に示すものは、希釈水供給ライン31、32の定流量弁311、321が、透析液原液の接続部より下流かつ濃度計313、323より上流に設けられたものである。
【0008】
図2に示す透析液調製装置は、定流量弁311、321が透析液原液の接続部より上流に設けられたものであり、一般に希釈水供給ライン31、32に供給される透析液原液が定流量に制御されていないことから、透析液原液の接続部より下流かつ濃度計313、323の上流には、好ましくは流量計314、324が設けられている。図では説明の簡単のため、流量計314、324をバッファタンク312、322と濃度計の間に設けている。
開閉弁V1〜V4、V6、V7、V9を開き、開閉弁V5、V8、V10を閉じた状態で定量ポンプ12、22を駆動させると、希釈水供給ライン31に供給された希釈水は、定流量弁311で定流量に制御されてバッファタンク312に供給される。また、原液A容器11の透析液原液A(以下、原液Aという)は、定量ポンプ12で定量に制御されて、透析液原液供給ライン1から希釈水供給ライン31を通ってバッファタンク312に供給される。原液Aはこのバッファタンク312に供給された希釈水と混合して希釈され、混合容器4のチャンバー42に供給される。そしてこの時、希釈された原液Aの流量および濃度は、それぞれバッファタンク312の下流に設けられた流量計314および濃度計313で測定される。
一方、希釈水供給ライン32に供給された希釈水は、定流量弁321で定流量に制御されてバッファタンク322に供給される。また、原液B容器21の透析液原液B(以下、原液Bという)は、定量ポンプ22で定量に制御されて、透析液原液供給ライン2から希釈水ライン32を通ってバッファタンク322に供給される。原液Bはこのバッファタンク322に供給された希釈水と混合して希釈され、混合容器4のチャンバー42に供給される。
そしてこの時、希釈された原液Bの流量および濃度は、それぞれバッファタンク322の下流に設けられた流量計324および濃度計323で測定される。
尚、図1〜図3に示すタイプの混合容器(可動隔壁43により2室に仕切られた密閉定量容器)では当然のことではあるが、チャンバー42への透析液の供給があると、チャンバー41内の同量の液体(洗浄に使用された希釈水)が開閉弁V7のラインおよびV9のラインを通って排出される。
【0009】
ここで、濃度計313(323)により測定された原液A(原液B)の希釈された濃度と、希釈水の流量および原液A(原液B)の濃度から、実際にバッファタンク312(322)に供給された原液A(原液B)の濃度が算出され、この算出濃度と供給すべき原液A(原液B)の予め装置にインプットされている予定濃度とを比較し、両者が異なる場合に原液A(原液B)の異常(透析液原液容器の取り違えや透析液原液の濃度異常など)を検知し、原液A(原液B)の供給が停止される。
バッファタンクに供給された透析液原液の算出濃度は、透析液(希釈された透析液原液)の濃度と希釈水の流量および透析液原液の流量から、混合容器4に供給された1バッチ当たりの電解質量を算出し、この電解質量と混合容器4に供給された透析液原液の量から算出することができる。また、濃度センサーにより測定される透析液の濃度が安定状態になったときの平均濃度を基に、バッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出するようにしてもよい。
【0010】
混合容器4に供給された1バッチ当たりの電解質量を算出し、この電解質量と混合容器4に供給された透析液原液の量から透析液原液の濃度を算出する方法は、算出濃度を正確に求めることが出来る方法であり、1バッチ当たりの電解質量は、濃度と透析液の流量の積を積分することにより求めることが出来る。
すなわち、1バッチ当たりの電解質量をD、希釈水の供給開始から時間t経過後における透析液の濃度をct、バッファタンクの下流の透析液流量をvt、供給された透析液原液の全量をV、透析液原液の濃度をCとすると、
D=Σct・vt
C=D/V=Σct・vt/V
ここで、透析液原液の接続部より下流かつ濃度計313(323)の上流に定流量弁311(321)が設けられている場合には、vtは一定(v0)なので、
C=v0Σct/V
【0011】
また、濃度センサーにより測定される濃度が安定したときの平均濃度を基に、バッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出する方法は、簡便法であり、希釈水の供給速度が一定(定流量)であること、および、透析液原液の供給速度が略一定であることが前提になる。この方法では、最初は供給される透析液原液の量が少ないので濃度が低いが、やがて濃度が高くなり安定した状態(透析液の供給速度が安定していない場合、上下に若干振れるが、この場合の安定した振れになった状態を含む)になる。このときの平均濃度と透析液原液の濃度の相関を予め求めておけば、透析液の平均濃度から透析液原液の濃度を求めることができる。尚、この方法では、透析液原液の供給速度を一定(定流量)にすれば、平均濃度を求める必要が無いので、より正確に透析液原液の濃度を求めることができる。
【0012】
透析液調製装置は、透析液濃度の測定に基き制御装置(図示していない)により制御される。図4はその濃度制御機構を示すフローチャートである。
濃度計313(323)によって算出された算出濃度が、供給しようとしている透析液原液の濃度(予定濃度)と等しい場合には(S1)、開閉弁V6、V7、V9が閉じ、開閉弁V5、V8、V10が開いて(S2)、混合容器4のチャンバー41に透析液の供給が行われる。ここで、混合容器4は可動隔壁43(柔軟な隔膜など)により2室に仕切られた密閉定量容器なので、チャンバー41に供給された透析液と等しい量の透析液が、チャンバー42から排出され、開閉弁V10のラインを通って下流の透析装置(図示していない)に供給される。
【0013】
算出濃度が予定濃度と異なっている場合には(S1)、透析液原液の供給が停止される(S3)。この時警報ブザーや警報ランプなどにより、異常が報知されるようにしてもよい。操作者が透析液原液の接続ミスが無かったかどうかを確認し、透析液原液が違っていた場合、廃棄ボタンを押す(S4)。すると、開閉弁V1、V2が閉じ、開閉弁V8が開いて(S8)チャンバー42内の液が廃棄され、同時に希釈水供給ライン31、32およびチャンバー42が洗浄される。透析液原液が違っていなかった場合、補給ボタンを押す(S5)。すると、算出濃度が予定濃度より小さい場合(S6)原液の補給が行われる(S7)。また、算出濃度が予定濃度より大きい場合には(S6)、開閉弁V1、V2が閉じ、開閉弁V8が開いて(S8)チャンバー42内の液が廃棄され、同時に希釈水供給ライン31、32およびチャンバー42が洗浄される。
【0014】
図3に示す透析液調製装置は、定流量弁311、321が透析液原液の接続部より下流かつ濃度計313、323より上流に設けられたものであり、濃度計313、323を通過する透析液の流量が一定になるので、図2の場合と異なり、流量計は不用である。装置の運転操作は図1の場合と同じなので説明を省略する。
また、図1に示す透析液調製装置は、希釈水供給ライン3が1本のものであり、始めに、開閉弁V1、V3、V6、V7、V9を開き、開閉弁V2、V5、V8、V10を閉じた状態で定量ポンプ12、22を駆動させて、原液Aを流し、次いで、開閉弁V1を閉じ、V2を開いて原液Bを流すという点が異なるだけで、その濃度制御機構については、図2や図3に示すものと同様である。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、透析液原液の異常を検知して透析液原液の供給を停止し、延いては調製された透析液の患者への供給を停止することができるので、透析液の異常に起因する医療ミスを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略説明図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す概略説明図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す概略説明図である。
【図4】本発明の透析液調製装置において、透析液濃度の測定に基く制御機構のフローチャートである。
【符号の説明】
1、2 透析液原液供給ライン
11、21 原液容器
12、22 定量ポンプ
3、31、32 希釈水供給ライン
311、321 定流量弁
312、322 バッファタンク
313、323 濃度計
314、324 流量計
4 混合容器
41、42 チャンバー
43 可動隔壁
V1〜V10 開閉弁
Claims (8)
- 透析液を透析装置に供給する透析液供給ラインと異常な透析液を廃棄する廃棄ラインを備える一定容量の混合容器と、該混合容器に接続された希釈水供給ラインと、該希釈水供給ラインに接続された透析液原液供給ラインを含んでなり、前記希釈水供給ラインは、前記透析液原液供給ラインの接続部より下流にバッファタンクと濃度センサーをこの順序で備えており、該濃度センサーによって測定された透析液の濃度と希釈水の流量および透析液原液の流量から、実際に前記バッファタンクに供給された透析液原液の濃度を算出する濃度計と、異常な濃度の透析液の廃棄を指示する廃棄ボタンと、透析液原液の補給を指示する補給ボタンと算出された原液濃度と予めインプットされ予め定められた供給すべき原液濃度とを比較し、該濃度計によって算出された算出濃度が供給しようとしている透析液原液の濃度(予定濃度)と等しい場合には、前記混合容器のチャンバーに透析液の供給が行われ、前記算出濃度が予定濃度と異なっている場合には異常と判定して透析液原液の供給が停止されると共に、前記異常が透析液原液の接続ミスの場合、廃棄ボタンの操作により異常な濃度の透析液を廃棄し、前記異常が接続ミスによるものでない場合、算出濃度が予定濃度より小さい場合、補給ボタンの操作により原液の補給を行い、算出濃度が予定濃度より大きい場合、補給ボタンの操作により、異常な濃度の透析液を廃棄する制御機構が設けられてなる透析液調製装置。
- 希釈水供給ラインが2つ以上のラインに分岐されると共に、該分岐された希釈水供給ラインの各々に異なる透析液原液供給ラインが接続されてなる請求項1に記載の透析液調製装置。
- 透析液の濃度と希釈水の流量および透析液原液の流量から、混合容器に供給された1バッチ当たりの電解質量を算出し、該電解質量と混合容器に供給された透析液原液の量から透析液原液の濃度が算出される請求項1または2に記載の透析液調製装置。
- 濃度センサーにより測定される透析液の濃度が安定状態になったときの平均濃度を基に、バッファタンクに供給された透析液原液の濃度が算出される請求項1または2に記載の透析液調製装置。
- 濃度計の上流に定流量弁が設けられてなる請求項1〜4のいずれかに記載の透析液調製装置。
- 透析液原液供給ラインの接続部より下流に定流量弁が設けられてなる請求項5に記載の透析液調製装置。
- 混合容器が可動隔壁によって2室に区切られた密閉定量容器である請求項1〜6のいずれかに記載の透析液調製装置。
- 補給ボタンを押すことにより必要量の透析液原液が補給されるようにしてなる請求項1に記載の透析液調製装置。
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