JP4129636B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置に関するものであり、特に液体燃料を気化して燃焼する燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、給湯装置等には、下記特許文献1に開示されているような、液体燃料を気化して燃焼する燃焼装置が採用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−124309号公報
【0004】
上記特許文献1の燃焼装置は、気化器に電気ヒータを設け、この電気ヒータが発する熱によって燃料を気化した燃料ガスと空気とを予混合した混合ガスを燃焼部へ供給し、この混合ガスを炎孔から噴出させて火炎を発生させる、いわゆる気化式の燃焼装置である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来技術における気化式の燃焼装置において、気化器の加熱のために採用されていた電気ヒータは、通電開始から気化器を所定の温度まで上昇させるまでに要する時間が長い。そのため、従来技術の燃焼装置では、燃焼要求に対して迅速かつ的確に対応すべく、燃焼要求のない燃焼休止時も電気ヒータによって気化器の温度を液体燃料が気化可能な程度に高温に維持しておく必要がある。従って、電気ヒータを備えた燃焼装置は、燃焼休止時に消費される電力が多く、ランニングコストが高くついてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した問題を解決すべく、消費電力が低く、ランニングコストが安価な燃焼装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させる燃焼装置において、前記気化部は、内側で液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記誘導発熱部の外側に配置されて誘導発熱部を発熱させる電磁誘導加熱手段と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部とを有し、前記空気供給手段から気化部に供給される空気の一部が誘導発熱部の内側を通って自己発熱部に至り、残りの空気が誘導発熱部の外側を通って自己発熱部に至る構造であり、燃焼開始時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域以上に温度制御し、燃焼休止時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御し、燃焼開始後には自己発熱部が所定の温度に昇温されることを条件として電磁誘導加熱手段による加熱を停止するかあるいは誘電発熱部の制御温度を低下させる誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置である。
【0008】
本発明の燃焼装置では、気化部に誘導発熱部を設け、この誘導発熱部を電磁誘導加熱手段によって発熱させることにより気化部を使用燃料の沸点領域以上に加熱し、液体燃料を気化する構成となっている。ここで、本発明において採用されている誘導発熱部は、電磁誘導を利用して誘導加熱するものであり、通電開始が開始されると所定の温度まで急速に昇温する。即ち、誘導発熱部は、温度制御特性に優れており、加熱対象となる気化部を所望の温度まで迅速かつ的確に昇温させることができる。そのため、上記した構成によれば、燃焼要求のない燃焼休止時は気化部の温度を使用燃料の沸点領域未満に維持させておいても、燃焼要求に対応して気化部を迅速に昇温させ、液体燃料を気化させることができる。従って、本発明の燃焼装置によれば、燃焼休止中における消費電力を最小限に抑制できる。
【0009】
上記したように、誘導発熱部は、電磁誘導を利用したものであるため、所望の部位を局所的に加熱でき、加熱効率が極めて高い。換言すれば、誘導加熱部によれば、周囲への熱の漏洩を最小限に抑制でき、所望の部位を集中的に加熱できる。そのため、上記した構成によれば、気化部を迅速かつ高効率に加熱でき、気化部の加熱に要する消費電力を最小限に抑制できる。
【0010】
またさらに、本発明の燃焼装置では、燃焼開始時に誘導発熱部が使用燃料の沸点領域以上に温度制御されるものの、燃焼休止時には誘導発熱部は使用燃料の沸点領域未満に温度制御される。そのため、上記した構成によれば、燃焼休止中における電力消費量を最小限に抑制できる。
【0011】
上記したように、本発明の燃焼装置では、加熱手段として、急速に気化部を昇温可能な誘導発熱部を備えている。そのため、本発明の燃焼装置は、燃焼休止時に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御しておいても、燃焼開始時に直ちに気化部を昇温させることができる。従って、本発明によれば、動作安定性を損なうことなく、誘導発熱部における電力消費量を最小限に抑制可能な燃焼装置を提供できる。
【0012】
また、上記したように、本発明の燃焼装置では、誘導加熱部への通電により気化部が集中的に加熱されるが、周囲はさほど高温にはならない。そのため、上記した構成によれば、気化部の加熱に伴って発生する熱が気化部の周囲にある部材に与える影響を最小限に抑制できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記自己発熱部の上流側に配され、内部に前記誘導熱源部を収容して空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒が設けられ、前記空気導入筒内には、空気供給手段から供給される空気の流路として、誘導発熱部の内側を通る内側流路と、誘導発熱部の外側を通る外側流路とが形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0014】
また請求項4に記載の発明は、熱交換器と、熱交換器を流れる湯水の流量が所定の燃焼開始流量に達したときに燃焼開始信号をオン状態にする最小作動水量検知手段と、液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させて熱交換器内の湯水を加熱する燃焼装置において、前記気化部は、電磁誘導加熱手段によって発熱し、液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部と、空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒とを有し、前記自己発熱部は、誘導熱源部の下方に配置され、開口が前記誘導熱源部に向けられた有底筒状であり、自己発熱部の内部であって前記誘導熱源部の直下には、誘導熱源部から滴下される液体燃料を飛散させると共に、燃料ガスと空気との撹拌混合を行う回転部材が配置され、自己発熱部の開口は、前記空気導入筒によって内側開口と外側開口とに分けられ、空気導入筒を通って供給される空気が、内側開口から自己発熱部内に導入され、自己発熱部内の混合ガスが、外側開口を通って燃焼部に供給され、前記最小作動水量検知手段の燃焼開始信号がオフ状態の場合、誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御する誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置である。
【0015】
上記請求項2に記載の燃焼装置についても、気化部に誘導発熱部が設けられており、この誘導発熱部の発熱によって気化部を使用燃料の沸点領域以上に加熱し、液体燃料を気化する構成となっている。上記したように、誘導発熱部は、電磁誘導を利用して誘導加熱するものであるため、温度制御特性に優れており、気化部を所望の温度まで急速に昇温させることができる。そのため、例えば最小作動水量検知手段の燃焼開始信号がオフ状態である場合のような燃焼休止時に誘導発熱部の温度を使用燃料の沸点領域未満に維持させておいても、所定の端緒信号を受けることを条件として温度制御することにより、誘導発熱部を直ちに沸点領域以上に昇温し、液体燃料を気化できる。このような構成によれば、従来技術の燃焼装置のように気化部を燃焼開始に備えて高温に維持させておく必要がなく、燃焼休止中における消費電力を最小限に抑制できる。
【0016】
本発明の燃焼装置は、加熱手段として、急速に気化部を昇温可能な誘導発熱部を備えている。そのため、上記したように、燃焼休止時に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御する構成としても、例えば最小作動水量検知手段の燃焼開始信号がオン状態となる等の所定の端緒信号を受けることを条件として直ちに気化部を昇温させ、液体燃料を気化させることができる。このような構成にすれば、動作安定性を損なうことなく、誘導発熱部における電力消費量を最小限に抑制可能な燃焼装置を提供できる。
【0017】
また、誘導発熱部は、電磁誘導を利用して気化部を加熱するものであるため、気化部以外の部分を高温にすることなく、気化部を集中的に加熱することができる。そのため、上記した構成によれば、気化部を迅速かつ高効率に加熱でき、気化部の加熱に要する消費電力を最小限に抑制すると共に、気化部の加熱に伴う気化部周囲の他部材に与える熱の影響を最小限に抑制できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、燃焼動作の終了後に空気供給手段によるポストパージ動作を行い、前記誘導発熱部温度制御手段は、ポストパージ動作中に誘導発熱部を沸点領域以上であって燃焼開始時よりも低い温度に温度制御し、燃焼動作およびポストパージ動作の休止中に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0019】
本発明の燃焼装置では、燃焼開始時に、一旦誘導発熱部が使用燃料の沸点領域以上となるように温度制御され、気化部が急速に高温となる。そのため、本発明の燃焼装置は、燃焼開始時に気化部や気化部周辺の雰囲気温度が低温になっていても、直ちに液体燃料を気化し、燃焼動作を開始できる。
【0020】
本発明の燃焼装置は、電磁誘導を利用して気化部を誘導加熱する誘導加熱部を具備しているため、気化部を所望の温度まで急速に昇温させることができる。そのため、燃焼動作の休止中に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に維持させておいても、燃焼開始時に迅速に誘導発熱部を沸点領域以上に昇温させて液体燃料を気化できる。
【0021】
一方、燃焼動作の終了後ポストパージを行っている間は、雰囲気温度が比較的高温であるため、誘導発熱部を沸点領域以上に温度制御すべく誘導加熱部に通電を行ったとしても、これに要する電力はさほど大きくない。また、ポストパージ中に誘導発熱部を沸点領域以上に維持しておけば、ポストパージ中に燃焼要求が出されたとしても、迅速に燃焼動作に移行できる。即ち、ポストパージ中に誘導発熱部を沸点領域以上に温度制御しておけば、気化部は高温に維持されるため、この状態で燃焼要求が出されたとしても誘導発熱部を燃焼開始時ほど高温にする必要がない。そのため、ポストパージ中に燃焼動作が開始される場合を想定した場合、燃焼動作の開始に要する時間および電力消費量を最小限に抑制するためには、ポストパージ中に誘導加熱部を沸点領域以上であって燃焼開始時よりも低い温度に温度制御しておくことが望ましい。
【0022】
本発明の燃焼装置は、かかる知見に基づいて提供されるものであり、燃焼開始時およびポストパージ動作中に誘導発熱部が使用燃料の沸点領域以上に温度制御され、燃焼動作およびポストパージ動作の休止中に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御する構成となっている。従って、上記した構成によれば、消費電力を抑制しつつ、万一ポストパージ中に再度燃焼を開始する場合であっても直ちに液体燃料を加熱して気化させ、スムーズに燃焼動作に移行可能な燃焼装置を提供できる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させる燃焼装置において、前記気化部は、電磁誘導加熱手段によって発熱し、液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部と、空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒とを有し、前記自己発熱部は、前記空気導入筒の下流に配置され、開口が空気導入筒に向けられた有底筒状であり、自己発熱部の開口は、前記空気導入筒によって内側開口と外側開口とに分けられ、空気導入筒を通って供給される空気が、内側開口から自己発熱部内に導入され、自己発熱部内の混合ガスが、外側開口を通って燃焼部に供給され、燃焼休止時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御し、燃焼開始直後には誘導発熱部を一旦高温の初期温度に立ち上げ、その後、燃焼動作を行う場合には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域以上であって初期温度よりも低い温度に温度制御する誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置である。
【0024】
一般的に、燃焼開始直後は、火炎の形成に必要とされる空気が外部から供給され、燃焼装置の内部温度が低下する。そのため、燃焼開始直後は、外部から供給された空気の影響で気化部が比較的低温になってしまい、液体燃料をスムーズに気化できないおそれがある。
【0025】
一方、燃焼開始からある程度の時間が経過した後は、燃料の燃焼により発生する熱等の影響で気化部が高温になる。そのため、燃焼開始から所定時間が経過した後は、誘導発熱部は、使用燃料の沸点領域以上の温度になっておればよく、必要以上に高温にしなくてもよい。
【0026】
上記したように、本発明の燃焼装置は、誘導発熱部の温度を燃焼開始直後に一旦、使用燃料の沸点領域以上で高温の初期温度まで立ち上げ、気化部を予熱しておく構成となっている。そのため、上記した構成によれば、燃焼開始直後であっても、空気の影響を受けることなく液体燃料がスムーズに気化し、燃焼状態が安定した燃焼装置を提供できる。
【0027】
また、本発明の燃焼装置は、燃焼開始直後に誘導発熱部が一旦高温の初期温度に立ち上げられるが、その後、誘導発熱部は、使用燃料の沸点領域以上であって、初期温度よりも低温になるように温度制御される。そのため、上記した構成によれば、燃焼状態の安定性を確保しつつ、気化部における消費電力を最小限に抑制できる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、燃焼終了後、所定の条件が満たされるまで、誘導発熱部は沸点領域であって燃焼開始時よりも低い温度に温度制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0029】
かかる構成によれば、燃焼終了後から所定の条件が満たされるまでの間に万一再度燃焼を開始する場合であっても直ちに液体燃料を加熱して気化させ、スムーズに燃焼動作に移行できる。
【0030】
【0031】
請求項1の燃焼装置は、気化部において液体燃料を気化して燃焼動作するものであるが、燃焼動作が継続されると、気化部の自己加熱部は燃焼部において発生した熱により高温になる。即ち、本発明の燃焼装置は、液体燃料をスムーズに気化するために燃焼開始直後まで気化部を電磁誘導発熱手段によって加熱する必要があるが、燃焼開始後は自己発熱部が燃焼部の熱を受けて昇温するため、電磁誘導発熱手段による気化部の加熱を継続すると、燃料を気化させるのに必要な熱量を遙かに超えてしまう可能性がある。
【0032】
上記したように、本発明の燃焼装置は、自己加熱部が所定の温度に達することを条件として電磁誘導発熱手段による加熱を停止するかあるいは誘導発熱部の制御温度を低下させる構成となっている。そのため、上記した構成によれば、気化部において燃料をスムーズに気化できると想定される場合に誘導発熱部への通電を停止することができる。従って、本発明によれば、液体燃料を気化するのに要する電力の消費量を最小限に抑制できる。
【0033】
請求項8に記載の発明は、外気温度又は給気温度を検知する空気温度検知手段を有し、空気温度検知手段の検知温度に応じて燃焼休止時における誘導発熱部の制御温度を変更することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0034】
従来技術の燃焼装置では、燃焼休止時における外気温度や給気温度が低いと、気化部が低温になってしまい、次回の燃焼開始直後に液体燃料が十分に気化できないおそれがある。一方、外気温度や給気温度が低温になることを見越して燃焼休止時における誘導発熱部の制御温度を常に高温に調整しておくと、燃焼開始直後であっても液体燃料の気化を確実に行えるが、燃焼休止時に誘導発熱部において電力を浪費してしまうおそれがある。
【0035】
上記したように、本発明の燃焼装置は、空気温度検知手段によって検知される外気温度や給気温度に応じて燃焼休止時における誘導発熱部の制御温度が変更される。従って、上記した構成によれば、燃焼開始直後における液体燃料の気化をスムーズに行えると共に、燃焼休止時における電力消費量を最小限に抑制できる。
【0036】
請求項9に記載の発明は、入水路と出湯路又は循環路の少なくともいずれかを有し、これらを流れる湯水を燃焼部によって加熱して出湯させる一連の流路を有し、前記流路のいずれかに湯水温度検知手段を有し、湯水温度検知手段の検知温度が所定の条件を満たす場合に、誘導発熱部の制御温度が使用燃料の沸点領域未満となるように変更されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0037】
本発明の燃焼装置は、燃焼部において加熱された湯水を出湯させる一連の流路を有しているため、この流路内の湯水の温度を検知することにより、燃焼装置の使用状況を推定できる。
【0038】
上記したように、本発明の燃焼装置では、湯水温度検知手段の検知温度が所定の条件を満たす場合に、誘導発熱部の制御温度が使用燃料の沸点領域未満となるように変更される。即ち、本発明の燃焼装置では、燃焼装置の使用状況に応じて誘導発熱部の制御温度が調整される。そのため、上記した構成によれば、燃焼装置の使用状況に応じて誘導発熱部の制御温度を調整し、誘導発熱部における電力消費量を最小限に抑制できる。
【0039】
請求項10に記載の発明は、燃焼装置の一部に装置温度検知手段が設けられ、装置温度検知手段の検知温度が所定の条件を満たす場合に、誘導発熱部の制御温度が使用燃料の沸点領域未満となるように変更されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0040】
一般的に、燃焼装置は、燃焼休止から時間が経過するにつれて低温になるため、燃焼装置の温度を検知することにより燃焼装置の使用状況を推定できる。上記したように、本発明の燃焼装置は、燃焼装置の一部に装置温度検知手段が設けられている。そのため、上記した構成によれば、装置温度検知手段の検知結果によって燃焼装置の使用状況を推定できる。従って、本発明によれば、直ちに気化部において液体燃料を気化する必要がないと想定される場合に誘導発熱部の制御温度を使用燃料の沸点領域未満となるよう制御し、電力消費量を最小限に抑制できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的実施形態について説明する。なお以下の説明において上下の関係は、燃焼装置を給湯器等に設置した状態を基準とする。
図1は、本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。図2は、本発明の実施形態の燃焼装置の全体的な部品構成を表す分解斜視図である。
【0042】
図1において、1は、本発明の実施形態の燃焼装置を示す。本実施形態の燃焼装置1は、図9の様に炎孔を下に向けて給湯装置2に内蔵されるものであり、上から送風機3、駆動機械部5、空気量調整部6が積層され、その下部に燃焼部7及び気化部8が設けられたものである。
気化部8は、後記する様に誘導熱源部10と自己発熱部11を持つ。そして誘導熱源部10は、前記した空気量調整部6と燃焼部7の間にあり、自己発熱部11は、燃焼部7に位置している。
【0043】
上部側から順次説明すると、送風機3は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング12の中にファン13が回転可能に配されたものである。ハウジング12の中央部には、開口15が設けられている。
【0044】
駆動機械部5は、箱体16を有し、その天板17の中央にモータ18が取り付けられている。モータ18は、両端部から回転軸20,21が突出しており、回転軸20,21は、燃焼装置1の略全長を貫通している。そして後記する様に、モータ18の上方側の回転軸20は、ファン13に接続され、下方側の回転軸21は、気化部8の第一回転部材23及び第二回転部材25に接続されている。
【0045】
空気量調整部6は、図2に示すように、固定側板状部材27の上に円盤状の移動側板状部材26が重ねられている。移動側板状部材26は、中央の軸挿通孔28の周りに略三角形の開口30を放射状に複数個設けたものである。また、固定側板状部材27には、移動側板状部材26の軸挿通孔28および開口30に相当する位置に軸挿通孔35および開口33が設けられている。また、固定側板状部材27には、移動側板状部材26を重ね合わせた時に両者が重複しない位置に多数の小孔36が設けられている。
【0046】
空気量調整部6は、ハウジング12に外付けされたステップモータ38の回転軸40が回転すると、回転軸40および移動側板状部材26に係合した駆動片37が揺動する。その結果、移動側板状部材26が、固定側板状部材27の上で中央の軸挿通孔28を中心として相対的に回転する。
移動側板状部材26の回転により、移動側板状部材26と固定側板状部材27を連通する開口の面積が変化し、これによって空気量が調節される。
【0047】
燃焼部7は、図1,2に示すように分流部材41と炎孔ベース43及び炎孔部材45によって作られている。そしてこれらの構成部品が燃焼用ハウジング14(図1)内に収納されたものである。
【0048】
分流部材41、炎孔ベース43および炎孔部材45は、いずれも長方形をした板状の部材であり、それぞれ中央部に大きな開口46,52,58が設けられている。分流部材41は、平板状の部材であり、開口46の周囲に多数の開口47,48,50が設けられたものである。
【0049】
炎孔ベース43は、アルミダイカストによって作られたものであり、複雑な枠組みと開口及び溝が設けられている。炎孔ベース43の上面側は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として機能し、下面側は炎孔取付け面として機能する。即ち、炎孔ベース43は、図1に示す様に外周を囲む外側燃焼壁49を有し、その内部に実際に火炎が発生する燃焼部7が形成される。炎孔ベース43には、気化部8において気化された燃料ガスと空気との混合ガスが流れる流路と、分流部材41の開口47,48,50から流入する二次空気が流れる流路とが形成されている。炎孔ベース43には、図1に示すように温度センサー59(炎孔ベース温度検知手段)が取付けられている。
【0050】
炎孔部材45は、図2に示すように炎孔ベース43と重ね合わせられる板状の部材であり、中央に設けられた自己発熱部11用の開口58を取り巻いて多数の丸孔60と小孔61とが規則正しく配列されている。
【0051】
燃焼部7は、炎孔ベース43、分流部材41および炎孔部材45を上記した状態に組み合わせた状態で燃焼用ハウジング14内に配置されている。そして、燃焼部7には、分流部材41側から炎孔ベース43を通過し炎孔部材45側に抜ける二次空気流路と、炎孔ベース43内の流路および炎孔部材45の小孔61を介して外部に連通した燃料ガス流路が形成されている。
【0052】
次に気化部8について説明する。図3は、本実施形態の燃焼装置の気化器周辺の分解斜視図である。図4は、気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の斜視図である。図5は、気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の正面図、平面図、左右側面図及び底面図である。図6は、気化部の誘導熱源部の一部断面斜視図である。図7は、気化部の誘導熱源部の変形例を示す一部断面斜視図である。図8は、図1の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。
【0053】
本実施形態の燃焼装置1で採用する気化部8は、二種類の熱源を持つ。即ち本実施形態で採用する気化部8は、図1,2,3の様に誘導熱源部10と、自己発熱部11を有する。そして両発熱部の近傍にそれぞれ第一回転部材23と第二回転部材25が設けられている。また誘導熱源部10と自己発熱部11に適切な一次空気を供給するための空気導入筒71が設けられている。
【0054】
即ち気化部8は、図3の様に、第一回転部材23、ドーナツ状断熱材73、燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75、円筒状断熱材76、コイル部材77、第一空気導入筒78、第二空気導入筒80、第二回転部材25、及び自己発熱部11によって形成されている。
そして前記した燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者によって誘導熱源部10が構成され、第一空気導入筒78及び第二空気導入筒80によって空気導入筒71が構成されている。
【0055】
順次説明すると、燃料通過筒75は、誘導発熱部及び予備発熱部として機能するものであり、電気伝導性があり、かつある程度の電気抵抗を有する素材で作られた筒である。より具体的には、燃料通過筒75は、誘導加熱し易いように薄い磁性体のステンレス鋼材で作られている。
燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75は、両端が開口するものではあるが、図3,4,5の様な特殊な形状をしており、上部側と下部側で形状が大きく異なる。即ち燃料通過筒75の上部側約半分の領域81は、直径が略一定の円筒形状である。燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)は、燃料通過筒75の軸線X−X(図5a)方向に開口している。また燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)には、フランジ部83が形成されている。
【0056】
これに対して燃料通過筒75の下部側約半分の領域82は、円錐形をしている。そして燃料通過筒75の下部側の開口85は、図5の様に燃料通過筒75の軸線X−X(図5)に対して傾斜方向に開口している。
即ち燃料通過筒75は、使用時の姿勢を基準として、下部側の開口85が傾斜しており、下部側の開口端に高低差がある。
また下部側の開口85は、その内側部分が折り返されており、開口端内部の樋状の溝87が形成されている。即ち燃料通過筒75の内面は、予備発熱周壁64として機能するものであり、本実施形態では、予備発熱周壁64たる燃料通過筒75の内面の下部に樋状の溝87が形成された構造である。
そして開口85の最も下部に位置する部位の溝87には開口88が形成されている。開口88は、具体的には小孔であり、気化しなかった燃料を集めて下部の自己発熱部11側に滴下するために設けられている。
【0057】
円筒状断熱材76は、耐熱性と断熱性を兼ね備えた素材で作られ円筒である。円筒状断熱材76の内径は、前記した燃料通過筒75の上部側の領域81の外径と等しい。また円筒状断熱材76の高さは、燃料通過筒75の上部側の領域81の長さに等しい。
円筒状断熱材76は、前記した様に耐熱性と断熱性を兼ね備えた素材で作られ、具体的にはグラスウールやセラミック等が採用されている。
【0058】
ドーナツ状断熱材73は、円盤状であり、中央に大きな開口が設けられている。ドーナツ状断熱材73もグラスウールやセラミックのように耐熱性と断熱性を兼ね備えた材質で作られている。
【0059】
コイル部材77は、図6の様にボビン90とコイル線91によって構成されたものである。ボビン90は、これ自体が断熱部材としての機能を兼ね備えるものであり、断熱性と耐熱性を兼ね備えた不飽和ポリエステルを素材としている。ボビン90の形状は、図6の様に筒体部92の両端にフランジ部93,94が設けられたものである
【0060】
コイル線91は、通常の銅線であり、螺旋状に巻き付けられている。なおコイル線の形状は、螺旋形に限定されるものではなく、例えば鞍形であってもよい。 コイル線91は、リッツ線であり、ボビン90の筒体部92の外周に螺旋状に巻き付けられ、さらにコイル線91が解けないようにシリコンワニス等で固められている。また、コイル線91の外周部には、通電により発生する磁界を加熱すべき燃料通過筒75に集中させるために、数個(本実施形態では8個)のフェライトガイド95が固定されている。
【0061】
誘導熱源部10は、前記した燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者によって構成されており、燃料通過筒75の外周に円筒状断熱材76が設けられ、さらにその外周にコイル部材77が設けられている(図6では、作図の関係上、円筒状断熱材76を略している)。従ってコイル線91と燃料通過筒75の間には、円筒状断熱材76と断熱材としての機能を備えたボビン90が介在されており、コイル線91と燃料通過筒75の間は両者によって二重に断熱されている。
また燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)のフランジ部83と、ボビン90のフランジ部93の間にはドーナツ状断熱材73が介在されている(図6では、作図の関係上、ドーナツ状断熱材73を略している)。
【0062】
また誘導熱源部10には、発熱部材たる燃料通過筒75の温度を検知する温度センサー(誘導発熱部温度検知手段)100が設けられている。
温度センサー100は、具体的にはサーミスタであり、平板状の温度検知部101を持つ。
本実施形態では、図6の様に、ボビン90のフランジ部93に貫通孔102を設け、温度センサー100の一部を保持すると共に信号線等を当該貫通孔102から外部に導出している。また温度検知部101とボビン90のフランジ部93の間にはクッション材103が設けられ、温度検知部101を燃料通過筒75のフランジ部83に押圧している。クッション材103は具体的にはシリコンゴムやステンレススチール等の皿バネや板バネ等である。またこれらに代わって小径のオーリングの様なものをクッション材として使用することもできる。
【0063】
即ち本実施形態では、断熱材としての機能を備えたボビン90によって温度センサー(誘導発熱部温度検知手段)100が保持されている。そしてさらに温度検知部101は、断熱材としての機能を備えたボビン90から反力を受けて燃料通過筒75の外側表面に押し当てられている。また温度検知部101の表面にはシリコン等の熱伝導性に優れたぺーストを塗布しておくことが望ましい。
【0064】
本実施形態では、温度センサー100を燃料通過筒75のフランジ部83に当接させているが、温度センサー100の取付け位置は任意であり、例えば図7の様に燃料通過筒75の胴部分(側面部分)に温度検知部101を押し当てる構造としてもよい。
図7に示す誘導熱源部105では、ボビン90の筒体部92であってその端部近傍に貫通孔106を設け、さらにフランジ部93の平面部分に溝107を設けている。言い換えると、一方のフランジ部93の内側面に周端部から中心に向かう溝107を設け、当該溝107の延長線上に当たる筒体部92に貫通孔106が設けられている。そして温度センサー100の温度検知部101をボビン90のフランジ部93の内側に配し、さらに温度センサー100の一部をボビン90の貫通孔106及び溝107で保持する。
本実施形態においても、温度検知部101とボビン90の筒体部92の間にクッション材103が設けられ、温度検知部101を燃料通過筒75の胴体部に押圧している。
【0065】
自己発熱部11は、図1,2の様に底部96と周部97を持つ円筒体であり、底部96は閉塞し、上部は開口している。即ち自己発熱部11は窪んだ形状をしており、底部96及び周部97は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放されている。
自己発熱部11は、前記した様に底部96及び周部97を持ち、あたかもコップの様な形状をしていて、図1,2の様に、炎孔ベース43の中央の開口52部分に取り付けられている。自己発熱部11の位置は、炎孔ベース43の中央にあり、炎孔(小孔61)に囲まれていて燃焼部7に近接して位置する。また自己発熱部11の大部分は、燃焼部7側に露出する。より具体的には、自己発熱部11の底部96の全部と、周部97の大部分が燃焼部7側に露出する。従って後記する様に燃焼時には炎孔(小孔61)から発生する火炎により、自己発熱部11が外側から加熱される。その結果、自己発熱部11の内周面(自己発熱周壁)66及び奥面部67が加熱され、昇温する。
【0066】
また自己発熱部11には、温度センサー(自己発熱部温度検知手段)115が埋め込まれている(図1)。
【0067】
第一回転部材23は、燃料通過筒75の内部で液体燃料を効率良く気化させるために、燃料パイプ116から噴射された液体燃料(本実施形態では灯油を使用)を微粒子状にし、燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75の予備発熱周壁64に向かって飛散させると共に、気化した燃料ガスと一次空気とを撹拌させて均一に混合する働きを行うものである。
【0068】
一方、第二回転部材25は、上方から滴下される液体燃料を自己発熱部11の自己発熱周壁66へ向けて飛散させると共に、燃料ガスと一次空気との撹拌混合を行うためのものである。
【0069】
図3に示すように、第一空気導入筒78及び第二空気導入筒80によって空気導入筒71が構成される。
第一空気導入筒78は、薄板を曲げて作られたものであり、図3の様に外フランジ部127と円筒部128及び内フランジ部129によって構成されている。即ち外フランジ部127は、円筒部128の一方の開口端にある。外フランジ部127は、使用時には上部側に位置する。
円筒部128は、内径が前記した誘導熱源部10の外径よりも大きく、空気の流れ方向の先端側は、やや内径が絞られている。
【0070】
そして円筒部128の空気流の先端側には内フランジ部129が設けられている。
これに対して第二空気導入筒80は円錐形をしている。第二空気導入筒80の上部の開口130は、前記した第一空気導入筒78の先端部の開口径に等しい。また第二空気導入筒80の下部の開口径は、前記した自己発熱部11の開口径よりも小さい。
第一空気導入筒78と第二空気導入筒80は重ねられて一連の空気流路を構成する。第一空気導入筒78の接合部分には図示しないパッキンが介在されている。
【0071】
気化部8は、前記した様に誘導熱源部10と自己発熱部11を持つ。そして誘導熱源部10は、前記した空気量調整部6と燃焼部7の間にあり、自己発熱部11は、燃焼部7に位置している。
気化部8は、前記した様に、第一回転部材23、ドーナツ状断熱材73、燃料通過筒75、円筒状断熱材76、コイル部材77、第一空気導入筒78、第二空気導入筒80、第二回転部材25、及び自己発熱部11によって構成されているが、これらはいずれも同一軸線状に並べて配されている。即ち第一空気導入筒78と第二空気導入筒80によって構成される空気導入筒71の内部に燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者から成る誘導熱源部10が配されており、空気導入筒71の中心軸と、誘導熱源部10の中心軸は一致する。
【0072】
空気導入筒71と誘導熱源部10の下部に自己発熱部11があり、空気導入筒71の先端部は、自己発熱部11の開口(奥側)に向かって開いている。また誘導熱源部10を構成する燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75についても自己発熱部11の奥側に向かって開いている。
また第一回転部材23は誘導熱源部10の内部に位置し、第二回転部材25は自己発熱部11の内部に位置する。より詳細には、第一回転部材23は誘導熱源部10を構成する燃料通過筒(予備発熱部)75内にあり、予備発熱周壁64に囲まれた空間に位置する。また第二回転部材25は自己発熱部11の自己発熱周壁66に囲まれた空間に位置する。
【0073】
また誘導熱源部10の内部には燃料パイプ116が挿入され、燃料パイプ116は図2の様に第一回転部材23の上部に至っている。
より具体的に説明すると、燃料パイプ116は誘導熱源部10の上部の開口から真っ直ぐに垂下され、上から第一回転部材23の上部に至る。そして燃料パイプ116から第一回転部材23に灯油等の液体燃料が滴下される。
【0074】
また誘導熱源部10には前記した様に開口85に傾斜した溝87があり、当該溝87には開口88が形成されているが、この開口88は、第二回転部材25の上部に位置する。即ち開口88は、第二回転部材25の中心近傍の上部にある。
【0075】
次に、本実施形態の燃焼装置1の各部の組み立て構造について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、送風機3、駆動機械部5、空気量調整部6及び気化部8が中心軸を一致させて順次積み重ねられたものであり、駆動機械部5の天板17に送風機3が直接的にネジ止めされている。即ち本実施形態では、送風機3の回転中心と空気量調整部6の軸挿通孔28,35と気化部8の中心軸が同一軸線上に直線的に並べられている。なお気化部8自体の構成部品についても同一軸線状に並べて配されているので、前記した送風機3の回転中心と空気量調整部6の軸挿通孔28,35と気化部8の中心軸に対して気化部8の二つの回転部材23,25の回転中心軸も一致する。
【0076】
そして駆動機械部5の上部に空気量調整部6がネジ止めされている。
また空気量調整部6の下部には、気化部8が位置する。
即ち空気量調整部6の中心部に、パッキンを介して空気導入筒71の大きいほうの開口が取り付けられている。
【0077】
空気導入筒71の中心軸は、空気量調整部6の移動側板状部材26および固定側板状部材27の軸挿通孔28,35と一致し、空気導入筒71は固定側板状部材27の中心側のエリアを覆う様に位置することとなる。従って空気量調整部6の中心側のエリアから排出された空気は、空気導入筒71によって捕捉される。
なお空気導入筒71内には前記した様に誘導熱源部10があり、誘導熱源部10は、中心に燃料通過筒75があって上下に連通するため、空気量調整部6の中心側のエリアから排出された空気は、空気導入筒71によって捕捉され、中心部の燃料通過筒75を流れる空気と、誘導熱源部10の周辺部を流れる空気に分流される。
【0078】
即ち空気導入筒71内には燃料通過筒75があるため、空気の一部は燃料通過筒75を通過して自己発熱部11に至る。
また空気導入筒71の内面と誘導熱源部10の外周との間には環状の空間部131が有るため、空気の残部は当該空間部131を通過して直接的に自己発熱部11に入る。
空気導入筒71に入った空気は、いずれの経路を通る場合でも、一次空気として燃焼に寄与する。
【0079】
また駆動機械部5のモータ18の回転軸21は、空気量調整部6の中央の軸挿通孔28,35を連通して空気導入筒71及び誘導熱源部10を通過し、自己発熱部11の内部に至る。
そしてモータ18の回転軸21は、誘導熱源部10の内部、より詳細には燃料通過筒75の内部において第一回転部材23と係合している。またモータ18の回転軸21は、自己発熱部11の内部において第二回転部材25と係合している。
即ち駆動機械部5のモータ18の回転軸21は、その先端部分が第二回転部材25と係合し、中間部分が第一回転部材23と係合している。そして第一回転部材23は誘導熱源部10の燃料通過筒75内に位置し、第二回転部材25は自己発熱部11内に位置し、いずれもモータ18によって回転される。
【0080】
またモータ18の後端側の回転軸20は、ファン13にも接続されているから、本実施形態では、単一のモータ18によって気化部8の二つの回転部材23,25とファン13の三者が駆動される。
なお軸挿通孔28,35は、移動側板状部材26の回転中心でもあるから、移動側板状部材26が回転する際に移動することはない。そのため軸挿通孔28,35にモータ18の回転軸21があっても、移動側板状部材26の回転の妨げとならない。
【0081】
本実施形態の燃焼装置1は、炎孔を下に向けて使用される。以下、燃焼装置1の取付方向について説明する。
図9は、図1の燃焼装置を採用した給湯器の配管系統図である。
本実施形態の燃焼装置1は、図9の様な給湯装置2に使用される。
そして燃焼装置1は、熱交換器135が内蔵された缶体136の上部に設置され、下部の熱交換器135に向かって火炎を発生させる。
【0082】
給湯装置2は、図9に示すように、本実施形態の燃焼装置1と、燃焼装置1において発生した燃焼ガスと湯水などの熱媒体とが熱交換を行う熱交換器135と流水回路141及び燃料供給部142によって構成されている。また流水回路141は、外部から湯水を供給する流入側流路143と、熱交換器135において加熱された湯水を外部に流出させる流出側流路145とを備えている。流入側流路143は熱交換器135の入水口146に接続されており、流出側流路145は熱交換器135の出水口147に接続されている。
【0083】
流入側流路143の中途には、水量センサー150(最小作動水量検知手段)と入水サーミスタ151(入水温度検知手段)とが設けられている。水量センサー150は、流入側流路143を介して供給される湯水の量を検知するものであり、当該水量センサー150が所定の水量を検知すると、燃焼装置1が点火動作を開始する。
また、入水サーミスタ151は、外部から供給される湯水の水温を検知するものである。
【0084】
流出側流路145は、熱交換器135において燃焼ガスとの熱交換により加熱された高温の湯水を給湯栓152に供給するものである。流出側流路145の中途には、湯温検知サーミスタ153と、攪拌部154と、水量調整弁155(出湯量制限手段)と、出湯サーミスタ156(出湯温度検知手段)とが設けられている。水量調整弁155は、流出側流路145の流路を開閉することにより、給湯栓152から出湯される湯の総量を規制するものである。
また、湯温検知サーミスタ153は、熱交換器135において加熱された高温の湯水の温度を検知するものである。
【0085】
攪拌部154は、流出側流路145と、後述するバイパス流路158との接続部に設けられている。攪拌部154では、熱交換器135において加熱された高温の湯水と、バイパス流路158を介して流入する比較的低温の湯水とが混合される。攪拌部154の下流側には、出湯サーミスタ156が設けられている。出湯サーミスタ156は、攪拌部154において攪拌された湯水の温度を検知するものである。
【0086】
流入側流路143と流出側流路145とは、バイパス流路158によってバイパスされている。バイパス流路158の流出側流路145側の端部は、上記した攪拌部154に接続されている。バイパス流路158の中途には、バイパス水量調整弁159が設けられている。バイパス水量調整弁159は、攪拌部154に流れ込む水量を調整するものである。
また他に、熱交換器135の近傍あるいは熱交換器135中の流路に缶体温度センサー160が設けられ、燃焼装置1の給気口近傍に外気温度(給気温度)を測定する空気温度センサー161が設けられている。さらに給湯装置2には凍結防止センサー162が設けられている。
【0087】
次に本実施形態の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施形態の燃焼装置1では、モータ18を起動してファン13と第一回転部材23及び第二回転部材25を回転させる。
ファン13の回転により、図1の矢印の様に送風機3のハウジング12の中央部に設けられた開口15から空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部5に入る。そして空気は、駆動機械部5から上部の空気量調整部6を経て気化部8及び燃焼部7に流れるが、本実施形態では空気量調整部6によって流量調整される。即ち、気化部8および燃焼部7側に流れる空気量は、ステップモータ38を動作させ、移動側板状部材26を固定側板状部材27に対して回転させて開口面積を変化させることにより調整される。
【0088】
空気量調整部6を通過した空気は、一次空気として燃焼に寄与するものと、二次空気として燃焼に寄与するものに別れる。即ち空気量調整部6の中心部のエリアを通過した空気は、直接的に空気導入筒71に捕捉され、その一部は燃料通過筒75に入って燃料ガスと混合され、残部は直接的に自己発熱部11の中に入って燃料ガスと混合される。
【0089】
また送風の残部は、図8に示すように分流部材41に列状に設けられた長孔状の開口48から、炎孔ベース43を横切って流れ、炎孔部材45の丸孔60へ経て燃焼部7に至る。
【0090】
そして送風機3の送風により、上記した様に気化部8内に大量に一次空気が導入され、誘導熱源部10の燃料通過筒75内及び自己発熱部11を通風雰囲気とする。
また誘導熱源部10のコイル線91に図示しない高周波インバータから高周波電流を流し、高周波誘導加熱の原理によって誘導熱源部10の燃料通過筒75を発熱させる。
【0091】
即ちコイル線91に高周波電流を流すことにより、コイルの内部に変動磁場が生成し、当該変動磁場中に置かれた燃料通過筒75を変動する磁力線が貫く。ここで燃料通過筒75はステンレス鋼で作られており、導電性を有するから、燃料通過筒75の内部に渦電流が生じる。そして前記した様に燃料通過筒75はステンレス鋼で作られており、相当の電気抵抗を有するから、渦電流に起因するジュール熱によって燃料通過筒75が発熱する。
また高周波誘導加熱による発熱は、熱効率が高く、且つ早期に昇温する。そのため燃料通過筒75は、従来の電気ヒータを使用した場合に比べて極めて短時間の間に昇温し、液体燃料を気化し得る温度に達する。
【0092】
なお本実施形態では、高周波誘導加熱によって燃料通過筒75を加熱する際に、コイル線91が昇温しない様に工夫がなされている。
即ち本実施形態の様に燃焼装置1の内部に誘導加熱用のコイル線91を設けると、内部の熱によってコイル線91が加熱され、断線等のおそれが生じる。そこで本実施形態では、コイル線91が過度に加熱されない様に工夫がなされている。
即ち本実施形態では、コイル線91は、ボビン90に巻かれているが、ボビン90は、樹脂で作られており、導電性がないので発熱しない。またボビン90は断熱性と耐熱性を具備した不飽和ポリエステルを素材としている。そのためボビン90が断熱材として機能し、燃料通過筒75の熱をコイル線91に伝えない。
【0093】
またボビン90と燃料通過筒75の間にも発熱せず、且つ断熱性に優れた断熱材(円筒状断熱材76)が介在されている。
また燃料通過筒75は、フランジ部83を有するが、当該フランジ部83とコイル線91との間にも、ドーナツ状断熱材73とボビン90のフランジ部93が存在し、コイル線91の昇温を防いでいる。
さらに本実施形態では、後記する様に誘導熱源部10の外側に一次空気が流れる構造となっているので、当該一次空気によってもコイル線91が冷却される。
【0094】
上記した様に、コイル線91に通電し、高周波誘導加熱によって燃料通過筒75を発熱させ、燃料通過筒75の内壁全体を昇温させる。この状態において、燃料パイプ116から灯油を第一回転部材23に対して滴下する。
滴下された灯油は、第一回転部材23から遠心力を受け、燃料通過筒(誘導発熱部)75の予備発熱周壁64に向かって飛散する。なお本実施形態で採用した第一回転部材23は、上下方向へ延びる回転軸と一体的に回転する板体の外縁から放射状に撹拌羽根を延出させて形成され、当該撹拌羽根は、板体の外縁に沿って全周に渡って複数設けられると共に、板体に対して所定角度だけ傾斜させた構成とされている。
【0095】
そのため第一回転部材23の板体の表面に噴射された液体燃料は、遠心力によって板体の表面を流動し、一部は傾斜した撹拌羽根の表面に沿って流動して撹拌羽根の先端から燃料通過筒75の予備発熱周壁64へ向けて飛散する。
従って、撹拌羽根の先端が板体に対して回転軸方向(上下方向)に位置する構成とすれば、板体に対して上方や下方に位置する部位から液体燃料を分散させて飛散させることができ、飛散した液体燃料に気化部内周壁の熱エネルギーを効率良く加えて気化を促進させることが可能となる。
【0096】
そして飛散した灯油は、第一回転部材23の周囲に配された燃料通過筒75の内面に接触し、熱を受けて気化する。
また前記した様に空気導入筒71に捕捉された空気の一部が燃料通過筒75の内部を通過するので、燃料通過筒75の内面から熱を受けて気化した燃料は、燃料通過筒75を通過する空気と混合される。
【0097】
ここで本実施形態では、第一回転部材23に撹拌羽根が設けられているから、第一回転部材23の内面に設けられた撹拌羽根によって燃料通過筒75内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
また本実施形態では、燃料通過筒75が筒状であるから、飛散された燃料及び気化した燃料は、筒状の部分を通過する間、加熱され続ける。即ち本実施形態では、誘導発熱部分が筒状であるから、燃料が当該筒状の部分を通過する際に加熱昇温される。そのため本実施形態の燃焼装置は、燃料と発熱体との接触距離及び接触時間が長く、燃料の気化が確実であるばかりでなく、気化した燃料ガスの温度が高い。
【0098】
こうして発生した混合ガスは、燃料通過筒75を通過して自己発熱部11内に入る。
一方、前記した様に、空気導入筒71に捕捉された空気の残部は、空気導入筒71の内面と誘導熱源部10の外周との間に形成された空間部131を通過して自己発熱部11に入る。
また本実施形態では、自己発熱部11内にも回転部材が設けられている。即ち本実施形態では、二段に回転部材が設けられ、その一つたる第二回転部材25は、自己発熱部11の中で回転する。
そのため自己発熱部11内に入った燃料ガスと空気との混合ガスは、再度第二回転部材25によって攪拌混合される。
【0099】
特に本実施形態では、燃料通過筒75の先端側が絞られており、前記した第一回転部材23によって混合攪拌された燃料ガスは、狭い燃料通過筒75の先端を通過する際に互いに激しく衝突し、混合が進む。そして当該燃料ガスは、狭い部分から第二回転部材に対して吹き込まれ、再度第二回転部材25によってかき混ぜられる。また燃料ガスは、自己発熱部11内において、新たに空間部131を通過して自己発熱部11に導入された空気とも混合される。
こうして発生し、さらに一次空気と混合された燃料ガスは、図1の矢印の様に、第二回転部材25の外壁と自己発熱部11の内周面66によって形成される空隙138を流れて下流に向かう。即ち混合ガスは、自己発熱部11の円筒状の内周面66に沿って一旦上方に流れる。ここで自己発熱部11の開口部近傍には空気導入筒71の吹き出し口側があるので、混合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌は、当該部位においてさらに進行する。
【0100】
こうして空気導入筒71から自己発熱部11の内部に供給された空気は、飛散した燃料と混合され、高温状態となって自己発熱部11の上部の開口部140から排出される。そして自己発熱部11を出た混合ガスは、炎孔ベース43に流れ込む。
【0101】
そして混合ガスは、炎孔ベース43の下部に設けられた炎孔(小孔61)から放出される。
前記した様に、本実施形態の燃焼装置1では、気化部8で液体燃料が気化されて炎孔ベース43を流れ、炎孔(小孔61)から放出されるが、気化部8を出る際における燃料ガスの温度が高いので、炎孔(小孔61)に至るまでの間で再液化することはない。
【0102】
一方、他の部位から下流側に流れた空気は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部7側に流れ込み、二次空気として燃焼に寄与する。
【0103】
そして図示しない点火装置によって燃料ガスに点火されると、炎孔(小孔61)から下向きの火炎が発生する。
【0104】
ここで本実施形態の燃焼装置1では、気化部8が、燃焼部7の中央に直接的に露出しているので、燃焼が開始されると、自己発熱部11が火炎によって加熱される。そのため自己発熱部11内の温度が上昇し、燃料の気化がさらに促進される。
【0105】
所定時間の間、燃焼が行われ、自己発熱部11の温度が十分に昇温すると、
誘導熱源部10のコイル線91への通電を停止し、誘導加熱を終了する。そして以後は、自己発熱部11の発熱だけに頼って燃料を気化させる。
【0106】
即ち誘導加熱を停止すると、燃料通過筒75の温度が低下し、誘導熱源部10での気化量は急激に減少する。しかしながら、誘導熱源部10では、前記した様に第一回転部材23によって液体燃料が飛散されるため、霧状となった燃料のいくらかは自然に気化する。
気化できない液体燃料は、燃料通過筒75の内面を伝い、重力によって下方に至る。ここで本実施形態では、燃料通過筒75の下端部に樋状の溝87が形成されている。そのため燃料通過筒75の内面を伝い落ちた燃料は、下部の溝87に集められる。さらに本実施形態では、下部側の開口85が傾斜しているから、端部の溝87にも傾斜があり、集められた燃料は、溝87内を流れてさらに下方に集まる。そして本実施形態では、溝87の最下部に開口88が設けられているから、溝87を流れた燃料は、最終的に溝87の最下部に形成された開口88から滴下する。
【0107】
ここで燃料通過筒75に設けられた開口88は、第二回転部材25の上部であってさらに第二回転部材25の中心近傍に開いているから、開口88から滴下した燃料は、常に一定の位置に落下し、第二回転部材25と接触する。より具体的には、気化されなかった燃料は、すべて第二回転部材25の中央部分に集中的に滴下され、第二回転部材25に巻き込まれて飛散する。
【0108】
そして飛散した燃料は、自己発熱部11の内周面66に衝突し、自己発熱部11から熱を受けて気化する。
また前記した空気導入筒71の内外を流れて自己発熱部11に入った空気とも混合される。
また燃料の一部は、遠心力によって飛散する前に第二回転部材25から零れ落ちるが、このように落下した燃料は、自己発熱部11の奥面部67に接触し、熱を受けて気化する。
そして第一回転部材23の内面に設けられた羽根部によって自己発熱部11内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
その後の燃料ガスの流れは、前述した通りであり、高温状態となって自己発熱部11の上部の開口部140から排出される。そして自己発熱部11を出た混合ガスは、一旦炎孔ベース43の上部側の通路に流れ込み、炎孔ベース43の炎孔(小孔61)から放出され、燃焼する。
【0109】
以下、さらに本実施形態の燃焼装置に特有の動作について詳細に説明する。
図10は、図1の燃焼装置の動作を示すフローチャート図である。図11は、図1の燃焼装置が備える気化器の温度変化を示す模式図である。図12は、図1の燃焼装置が備える気化器の温度変化を示す模式図である。図13は、図10のフローチャート図の変形例を示す図である。図14は、図10のフローチャート図の変形例を示す図である。
【0110】
上記した燃焼装置1は、制御装置(図示せず)によって駆動制御され、燃焼指令に対して所定の動作を順次行っている。即ち、燃焼装置1は、大別して燃焼装置1を起動する起動段階S1と、燃焼要求を待つ待機段階S2と、燃焼要求に対して燃料の着火準備を行う着火準備段階S3と、燃焼要求に応じて燃焼動作を行う燃焼段階S4と、燃焼動作の終了後に掃気を行うポストパージ段階S5の5段階から構成される運転モードで動作する。
【0111】
さらに詳細に説明すると、起動段階S1は、燃焼装置1の運転スイッチ(図示せず)がオン状態になった直後の状態であり、制御装置は、起動段階S1において誘導熱源部10のコイル線91に通電して気化部8を予熱しておく。また、待機段階S2は、起動段階S1において気化部8の予熱が完了した後の状態であり、燃焼装置1に対する燃焼要求を待っている状態である。着火準備段階S3は、燃焼装置1に対する燃焼要求が出された時に、燃焼動作に先だって行われる動作段階である。さらに具体的には、燃焼装置1は、着火準備段階S3において、従来公知の燃焼装置と同様に、主としてプリパージ動作を行う。燃焼段階S4は、気化部8において気化された燃料を燃焼する動作段階である。ポストパージ段階S5は、燃焼段階S4の完了後に行われる動作段階であり、従来公知の燃焼装置において行われているのと同様の掃気動作を行うものである。
【0112】
本実施形態の燃焼装置1は、制御装置により、上記した運転モードの各段階に応じて気化部8の誘導熱源部10および自己発熱部11からなる2つの発熱部が温度制御されている点に特徴を有する。以下に、本発明の燃焼装置1の特徴部分である誘導熱源部10および自己発熱部11の温度制御について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0113】
図10は、制御装置による誘導熱源部10および自己発熱部11の温度制御方法を示すフローチャート図である。図10に示すように、誘導熱源部10および自己発熱部11の温度制御は、燃焼装置1の運転モードに対応しており、大別して5段階から構成されている。さらに具体的には、図10のステップ1〜5が燃焼装置1の起動段階S1に相当し、ステップ6〜10が待機段階S2に相当する。また、ステップ6,11〜18が着火準備段階S3に相当する。図10のステップ19〜23は燃焼段階S4に相当し、ステップ24〜28はポストパージ段階S5に相当する。以下、各段階における誘導熱源部10および自己発熱部11の温度制御について順を追って説明する。
【0114】
燃焼装置1の運転モードが起動段階S1である場合、制御装置は、誘導熱源部10のコイル線91に通電することにより、気化部8を一旦液体燃料が容易に気化可能な温度(気化可能温度B)を越える温度(初期加熱温度A)、即ち液体燃料の沸点領域以上の温度に昇温させて予熱しておき、燃焼動作に備える。さらに詳細には、本実施形態の燃焼装置1では、液体燃料として灯油が採用されているため、気化可能温度Bは245℃に設定されており、初期加熱温度Aは300℃に設定されている。制御装置は、誘導熱源部10への通電後、誘導熱源部10に設置された温度センサー100の検知温度TH1が300℃に達すると誘導熱源部10のコイル線91への通電を停止する。
【0115】
さらに具体的に説明すると、制御装置は、ステップ1において運転スイッチがオンになっているかを確認する。ここで運転スイッチがオンになっていることが確認されると、制御装置は、ステップ2において誘導熱源部10の発熱目標温度を初期加熱温度Aに設定すると共に、ステップ3において誘導熱源部10への通電を開始し、誘導熱源部10を発熱させる。
【0116】
制御装置は、誘導熱源部10への通電が開始されると、誘導熱源部10の温度は、図11に示すように急激に上昇する。さらに具体的には、燃焼装置1では運転スイッチがオンになって誘導熱源部10への通電が開始されてから約8秒後に気化可能温度Bを越える。制御装置は、誘導熱源部10への通電が開始されると、ステップ4において誘導熱源部10の温度を監視する。ここで、誘導熱源部10の温度が初期加熱温度Aに達すると、燃料パイプ116を介して気化部8に供給された燃料をスムーズに気化できる。そのため、ステップ4において温度センサー100の検知温度TH1が初期加熱温度A以上になったことが確認されると、制御装置は、ステップ5において誘導熱源部10への通電を一時停止し、気化部8の予熱を完了する。
【0117】
ステップ5において気化部8の予熱が完了すると、制御装置は、ステップ6において燃焼要求がオン状態であるかを確認する。さらに具体的には、制御装置は、ステップ6において流入側流路143に設けられた水量センサー150によって検知される入水量Qが所定の最低作動水量(Minimum Operation Quantity:以下、最小作動水量と称す)に達しているかを確認する。ここで、入水量Qが最小作動水量(MOQ)に達していない場合、燃焼装置1に対する燃料要求はオフ状態であり、運転モードは待機段階S2にある。そのため、入水量QがMOQ未満である場合、制御装置は、制御フローをステップ7に進め、気化部8の温度調整を行う。
【0118】
制御フローがステップ7に進行すると、制御装置は、誘導熱源部10の目標温度を液体燃料の沸点領域以下の温度(待機温度F)に設定し、燃焼装置1に対して燃焼要求が出されるのを待つ。本実施形態の燃焼装置1において、待機温度Fは、液体燃料がスムーズに気化可能な温度領域、即ち液体燃料の沸点領域よりも低温に設定されている。さらに詳細には、待機温度Fは、燃焼装置1の動作状態が着火準備段階S3に移行すると同時に誘導熱源部10の誘導熱源部10への通電を開始した場合に、送風機3の回転数が所定の回転数に達するまでの間(本実施形態では3秒)に気化部8の温度を気化可能温度B以上の温度まで上昇可能な温度に設定される。
【0119】
上記したステップ1〜5に示した予熱動作により初期加熱温度Aまで加熱された気化部8の温度は、ステップ5において誘導熱源部10への通電が停止されると、図11に示すように徐々に低下する。ここで、ステップ8において温度センサー100の検知温度TH1が待機上限温度Gを下回ると、気化部8の温度を待機温度Fに維持すべく、制御装置は、誘導熱源部10のオン・オフ制御を開始する。即ち、制御装置は、内部に設けられたインバータ回路を用いて誘導熱源部10をオン・オフさせ、温度センサー100の検知温度TH1が待機温度Fを中心とする温度範囲内に納まるように誘導熱源部10における発熱量を調整する。
【0120】
さらに具体的に説明すると、制御装置は、ステップ7において気化部8の設定温度を待機温度Fとすると、ステップ8において温度センサー100の検知温度TH1がオン・オフ制御の上限の閾温度たる待機上限温度Gよりも高温であるかを確認する。ここで、温度センサー100の検知温度TH1が待機上限温度Gよりも高温である場合、制御装置は、誘導熱源部10をオフ状態にしたまま温度センサー100TH1による温度検知を継続する。
【0121】
一方、ステップ8において、温度センサー100の検知温度TH1が待機上限温度G以下である場合、気化部8の温度が低く、燃焼要求が出された際に直ちに液体燃料を気化できないおそれがある。そこで、制御装置は、ステップ9において温度センサー100の検知温度TH1がオン・オフ制御の下限の閾温度たる待機下限温度Hよりも低温であるかを確認する。
【0122】
ステップ9において、温度センサー100の検知温度TH1が待機下限温度Hよりも高温である場合、気化部8は、誘導熱源部10への通電により直ちに高温になり、液体燃料の気化および燃焼動作に影響がないものと想定される。そのため、制御装置は、温度センサー100の検知温度TH1が待機下限温度Hよりも高温である限り、誘導熱源部10をオン状態にせず、温度センサー100TH1による気化部8の温度検知を継続する。
【0123】
一方、ステップ9において温度センサー100の検知温度TH1が待機下限温度H以下になっている場合、燃焼要求があってから誘導熱源部10に通電を行っても、気化部8が気化可能温度Bに達するまでに時間がかかり、燃焼動作に影響が出てしまうおそれがある。そこで、制御装置は、ステップ9において温度センサー100の検知温度TH1が待機下限温度H以下であることを検知すると同時に、誘導熱源部10をオン状態にして気化部8を加熱する。
【0124】
制御装置は、燃焼装置1の動作状態が待機状態S2である間、ステップ7〜10に示す制御フローを繰り返し、図11に示すように気化部8の温度が待機温度Fになるように誘導熱源部10の動作を制御する。
【0125】
燃焼装置1の動作段階が起動段階S1あるいは待機段階S2である時に給湯栓152が開栓され、水量センサー150が検知する水量がMOQを越えると、燃焼装置1の動作段階は着火準備段階S3へと進行する。即ち、図10のステップ6において燃焼装置1に対する燃焼指令が出されると、制御装置は、制御フローをステップ11に進め、誘導熱源部10の設定温度を運転温度Cに設定する。ここで、運転温度Cは、気化部8に供給された液体燃料がスムーズに気化可能な温度である気化可能温度Bよりやや高温に設定されている。さらに具体的には、気化可能温度Bは、250℃に設定されている。さらに詳細には、運転温度Cは、仮に燃焼装置1の動作状態が着火準備段階S3に移行すると同時に誘導熱源部10の誘導熱源部10への通電を開始した場合に、送風機3の回転数が所定の回転数に達するまでの間に上昇可能な温度に設定されている。
【0126】
ステップ11において誘導熱源部10の設定温度が運転温度Cに設定されると、制御装置は、ステップ11においてプリパージが完了しているかを確認する。ここで、燃焼装置1がプリパージ中である場合、制御装置は、ステップ13〜16に示す制御フローに則って誘導熱源部10をオン・オフさせ、気化部8の温度が運転温度Cを中心とする所定の温度範囲内に納まるように温度制御を行う。
【0127】
さらに具体的に説明すると、制御装置は、ステップ13において温度センサー100の検知温度TH1がオン・オフ制御の上限の閾温度である運転上限温度Dよりも高温であるかを確認する。ここで、温度センサー100の検知温度TH1が運転上限温度Dよりも高温である場合、制御装置は、ステップ16において誘導熱源部10をオフ状態にし、制御フローをステップ12に戻して温度センサー100による温度検知を継続する。
【0128】
一方、ステップ13において温度センサー100の検知温度TH1が運転上限温度D以下である場合、気化部8の温度が低く、液体燃料が供給されてもこの液体燃料をスムーズに気化できないおそれがある。そこで、制御装置は、ステップ14において温度センサー100の検知温度TH1がオン・オフ制御の下限の閾温度である運転下限温度E以下まで低下していないかを確認する。
【0129】
ステップ14において、温度センサー100の検知温度TH1が運転下限温度Eより高温である場合、気化部8は少なくとも気化可能温度B以上であり、気化部8に供給された液体燃料はスムーズに気化される。そのため、制御装置は、ステップ16において誘導熱源部10をオフ状態にすると共に、制御フローをステップ12に戻して温度センサー100による温度検知を継続する。
【0130】
一方、ステップ14において温度センサー100の検知温度TH1が運転下限温度E以下である場合、気化部8に液体燃料が供給されてもスムーズに気化されず、燃焼動作に支障を来すおそれがある。そのため、制御装置は、ステップ15において誘導熱源部10への通電を行い、気化部8を加熱する。
【0131】
制御装置は、上記したステップ13〜16の制御フローに則って気化部8の温度制御を行い、燃焼装置1のプリパージが完了するのを待つ。そして、ステップ12においてプリパージが完了すると、制御装置は、ステップ17において温度センサー100の検知温度TH1が気化可能温度B以上になっているかを確認する。即ち、制御装置は、プリパージが完了すると、気化部8に供給された燃料がスムーズに気化可能であるかを確認する。ここで、プリパージが完了しているにもかかわらず温度センサー100の検知温度TH1、即ち気化部8の温度が気化可能温度B未満である場合、制御装置はステップ18において誘導熱源部10に通電を行い、温度センサー100の検知温度TH1が気化可能温度B以上になるのを待つ。
【0132】
ステップ17において温度センサー100の検知温度TH1が気化可能温度B以上である場合、制御装置は、ステップ19において水量センサー150が検知する水量がMOQ以上であるかを確認する。ここで、水量センサー150の検知水量がMOQ以上である場合、制御装置は、燃焼装置1に対して燃焼要求があるものと判断し、ステップ20以降において自己発熱部11の温度が液体燃料を最低限、気化可能な温度(気化可能温度B)以上になるように気化部8の温度制御を行う。即ち、ステップ21において気化部8が気化可能温度B以上であれば、すでに液体燃料をスムーズに気化可能な温度であるため、誘導熱源部10への通電を遮断する。また、ステップ21において、気化部8の温度が気化可能温度Bよりも下がっていることが確認されると、誘導熱源部10への通電を開始し、気化部8の加熱を行う。要するに、ステップ20〜23では、必要に応じて誘導熱源部10への通電をオン・オフすることにより、気化部8を気化可能温度B以上に維持する。
【0133】
さらに具体的には、制御装置は、ステップ20において自己発熱部11の最低目標温度を気化可能温度Bに設定すると共に、ステップ21において自己発熱部11に設置された温度センサー115の検知温度TH2が気化可能温度B以上であるかを確認する。ここで、温度センサー115の検知温度TH2が気化可能温度B以上である場合、気化部8は、誘導熱源部10に設けられた誘導熱源部10を発熱させなくても十分高温であり、液体燃料をスムーズに気化することができる。そのため、制御装置は、ステップ22において誘導熱源部10への通電を停止し、消費電力を抑制する。一方、ステップ21において温度センサー115の検知温度TH2が気化可能温度B未満である場合、気化部8は、自己発熱部11の熱だけで液体燃料をスムーズに気化できない可能性が高い。そのため、制御装置は、制御フローをステップ23に進め、温度センサー115の検知温度TH2が気化可能温度B以上になるまで誘導熱源部10の誘導熱源部10に通電し、液体燃料の気化を促進する。
【0134】
制御装置は、燃焼装置1の燃焼動作中に上記ステップ19〜23に示す制御フローに則って気化部8の温度制御を行い、液体燃料を気化させる。即ち、制御装置は、ステップ19において燃焼装置1に対して燃焼指令が出されている限り、気化部8において液体燃料を気化させて燃焼動作を継続する。
【0135】
ステップ19において燃焼装置1に対する燃焼指令が停止すると、燃焼装置1の動作段階は燃焼段階S4からポストパージ段階S5へと進行する。制御装置は、ステップ19において燃焼装置1に対する燃焼指令が停止すると、ステップ24以降において気化部8の温度が最低限、気化可能温度B以上となるように温度制御を行う。即ち、燃焼動作の停止中にひとたび自己発熱部11の温度が低下すると、誘導熱源部10に通電しても液体燃料を気化可能な温度まで自己発熱部11を昇温させることは困難である。そのため、制御装置は、ポストパージ段階S5において燃焼指令が出されたとしても、送風機3が所定の回転数に達する頃に直ちに液体燃料を気化可能なように、気化部8が気化可能温度B以上となるように温度制御を行い気化部8の保温を行う。
【0136】
さらに具体的に説明すると、制御装置は、ステップ19において燃焼装置1に対する燃焼要求が停止したことを確認すると、ステップ24において自己発熱部11の最低目標温度を待機温度Fに設定すると共に、ステップ25において温度センサー115の検知温度TH2が待機温度F以上であるかを確認する。
【0137】
ステップ25において、温度センサー115の検知温度TH2が待機温度F以上である場合、万一ポストパージ段階S5において燃焼指令が出された時点で誘導熱源部10への通電を開始したとしても、送風機3が所定の回転数に達する頃までに気化部8を気化可能温度B以上まで加熱できるものと想定される。そのため、制御装置は、消費電力を抑制すべく、ステップ26において誘導熱源部10への通電を停止する。
【0138】
一方、ステップ25において、温度センサー115の検知温度TH2が待機温度F未満である場合、燃焼指令が出されると同時に誘導熱源部10への通電を開始しても気化部8を気化可能温度B以上まで加熱できないおそれがある。即ち、温度センサー115の検知温度TH2が待機温度F未満である場合、燃焼指令に対してスムーズに液体燃料を気化できず、燃焼動作に支障を来すおそれがある。そのため、制御装置は、ステップ27において誘導熱源部10への通電を開始する。
【0139】
制御装置は、ステップ26,27において誘導熱源部10への通電制御を行った後、ステップ28において燃焼装置1のポストパージ動作が完了しているかを確認する。ここで、燃焼装置1がポストパージ中である場合、制御装置は、上記したステップ25〜27に示す制御フローに則って気化部8の温度制御を行い、ポストパージ中における燃焼指令に備える。一方、ステップ28において燃焼装置1のポストパージ動作が完了していることが確認されると、制御装置は、上記した一連の制御フローを完了すると共に、制御フローをステップ6に戻す。
【0140】
上記したように、本実施形態の燃焼装置1では、気化部8に誘導熱源部10が設けられており、自己発熱部11が低温である場合に誘導熱源部10に通電して気化部8内に供給された液体燃料を気化する構成となっている。上記したように、誘導熱源部10は、電磁誘導を利用して気化部8を誘導加熱するものであるため、誘導熱源部10への通電が開始されると、気化部8は液体燃料が気化可能な温度(液体燃料の沸点領域)まで急速に温度上昇する。そのため、本実施形態の燃焼装置1は、燃焼動作の休止中に気化部8の温度を液体燃料の沸点領域未満の待機温度Fに維持させておいても、燃焼装置1に対して燃焼要求が出されてから直ちに気化部8を昇温させ、燃焼動作の開始までに液体燃料を気化させることができる。従って、上記した構成によれば、誘導熱源部10における消費電力を最小限に抑制できる。
【0141】
またさらに、燃焼装置1では、誘導熱源部10を気化部8の熱源として採用しているため、気化部8のみを加熱でき、加熱効率が極めて高い。また、気化部8と誘導熱源部10との間には、円筒状断熱材76とボビン90とが介在しており、これらにより断熱層が形成されているため、気化部8をより一層効率よく加熱できる。従って、上記した構成によれば、燃焼動作の休止中における気化部8の待機温度Fを気化可能温度Bよりも相当低温に設定することができ、誘導熱源部10における消費電力をより一層低減できる。
【0142】
また、気化部8の周囲には、円筒状断熱材76とボビン90とにより断熱層が形成されているため、気化部8の温度低下は比較的緩やかである。そのため、上記した構成によれば、気化部8の加熱に要する電力を最小限に抑制できる。
【0143】
上記したように、燃焼装置1では、ポストパージ段階S5における気化部8の最低目標温度を気化可能温度Bに設定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図12に一点鎖線で示すように、ポストパージ段階S5における気化部の最低目標温度を液体燃料の沸点領域よりも低温の待機温度Fや、気化可能温度Bと運転温度Cとの中間の温度となるように制御することも可能である。また、燃焼装置1は、ポストパージ段階S5において液体燃料の沸点領域であって燃焼開始時よりも低い温度に気化部8を温度制御するものであってもよい。かかる構成によれば、気化部8の加熱に要する消費電力を最小限に抑制しつつ、ポストパージ段階S5において再度燃焼を開始する場合であっても直ちに液体燃料を加熱して気化させ、スムーズに燃焼動作に移行できる。
【0144】
上記したように、燃焼装置1は、動作状態が待機段階S2やポストパージ段階S5である場合に気化部8を気化可能温度Bよりも相当低温の待機温度F近傍に維持した状態で燃焼要求を待つ構成であるため、誘導熱源部10における消費電力が低い。しかし、上記した燃焼装置1は、例えばユーザーが運転スイッチを切り忘れるなどして燃焼装置1が待機段階S2のまま長時間放置される場合のように、直ちに燃焼動作に移る可能性が低い場合であっても、気化部8を待機温度F近傍に維持し続けることになり、電力を浪費しかねない。
【0145】
そのため、燃焼装置1における待機電力の観点からすると、待機段階S2やポストパージ段階S5のように燃焼要求を待つ動作段階では、その待機状況に応じて気化部8の設定温度を変更することが望ましい。
【0146】
さらに具体的には、例えば上記した燃焼装置1は、燃焼要求が停止した時点で温度センサー100や温度センサー115、缶体温度センサー160のような燃焼装置1の一部に設けられた温度センサー(装置温度検知手段)の検知温度を基準温度Mとして制御装置に記憶させておき、この基準温度Mと温度センサー115により検知される実際の検知温度TH2とを比較することにより燃焼指令の待機状況を判断して気化部8の目標温度を調整する構成としてもよい。
【0147】
さらに詳細に説明すると、例えば図10のステップ6あるいはステップ19において燃焼要求がなく、動作状態が待機段階S2に移行する場合、図13に示すように誘導熱源部10や自己発熱部11の目標温度を設定する前に、燃焼装置指令の待機状況を判断して気化部8の目標温度を設定するステップを設けても良い。即ち、図13に示すように、ステップ6あるいはステップ19において燃焼指令が停止状態であることを検知すると、ステップaにおいてこの時点における温度センサー100の検知温度TH1(温度センサー115の検知温度TH2)を基準温度Mとして制御装置が記憶する。その後、制御装置は、ステップbにおいて温度サーミスタTH1により検知される温度が(Mーα)℃以下であるかを確認する。
【0148】
ステップbにおいて温度センサー100の検知温度TH1(温度センサー115の検知温度TH2)が(M−α)℃より高温である場合、待機時間が短いものと想定されるため、制御フローを図10のステップ7あるいはステップ24に進め、気化部8の目標温度をF℃に設定して所定の動作を行わせる。
【0149】
一方、ステップbにおいて温度センサー100の検知温度TH1(温度センサー115の検知温度TH2)が(M−α)℃以下である場合、待機時間が長いものと想定されるため、制御フローをステップcに進め、気化部8の目標温度を低温待機温度Jに設定し、燃焼装置1に対して燃焼要求が出されるのを待つ。ここで、低温待機温度Jは、待機温度Fよりも低温であり、例えば100℃程度の低温に設定することが可能である。
【0150】
ステップcにおいて気化部8の目標温度が低温待機温度Jに設定されると、図10のステップ8〜10と同様に、ステップd,eにおいて誘導熱源部10をオン・オフさせて低温待機温度Jを中心とする所定の温度範囲内(低温待機上限温度K≦低温待機温度J≦低温待機加減温度L)に納まるように誘導熱源部10における発熱量を調整する。なお、ステップd,e,fにおいて、気化部8の温度は図10のステップ8〜10と同様にして制御されるため、詳細の説明については省略する。
【0151】
上記したように、図13に示す制御フローでは、気化部8の温度履歴に基づいて待機状況を確認し、待機段階S2やポストパージ段階S5のような燃焼要求を待つ待機段階における気化部8の設定温度を変更する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図14に示す制御フローに則って待機段階における気化部8の設定温度が変更されるものであってもよい。
【0152】
さらに具体的に説明すると、燃焼装置1が図9に示すような給湯装置2の熱源として採用される場合、流入側流路143や流出側流路145、熱交換器135等の温度あるいはこれらの内部の湯水の温度に応じて燃焼装置1に対する燃焼要求の待機状態を判断し、この待機状態に応じて気化部8の設定温度を変更する構成としてもよい。
【0153】
さらに詳細に説明すると、図14に示す制御フローに則って燃焼装置1の動作が制御される場合、ステップ6あるいはステップ19において燃焼要求がないことが確認されると、制御装置は制御フローをステップAに進める。ここで、制御装置は、出湯サーミスタ156の検知温度(出湯温度H)が、図示しないリモコン等を介して設定された出湯設定温度Xより所定温度βだけ低温の(X−β)℃以下であるかを確認し、これにより燃焼動作の待機状態を確認する。即ち、出湯サーミスタ156の検知温度(出湯温度H)が(X−β)より高温である場合、燃焼装置1により加熱された湯水の出湯停止から間がないものと想定される。そのため、制御装置は、制御フローを図10のステップ7あるいはステップ24に戻し、気化部8の目標温度をF℃に設定して所定の動作を行わせる。
【0154】
一方、出湯温度Hが(X−β)以下である場合、燃焼装置1により加熱された湯水が外部に放出されることなく流出側流路145内に長期にわたって残留している、即ち長期にわたって燃焼要求がないものと想定される。そのため、制御装置は、制御フローをステップCに進め、気化部8の目標温度を低温待機温度Jに設定し、誘導熱源部10における消費電力を最低限に抑制した状態で燃焼装置1に対する燃焼要求が出されるのを待つ。
【0155】
ステップBにおいて気化部8の目標温度が低温待機温度Jに設定されると、図10のステップ8〜10と同様に、ステップC,D,Eにおいて誘導熱源部10をオン・オフさせて誘導熱源部10における発熱量を調整する。なお、ステップC,D,Eにおける温度制御は、図10のステップ8〜10と同様にしてなされるため、詳細の説明については省略する。
【0156】
上記したように、気化部8の温度履歴や給湯装置2内の湯水の温度を検知することにより待機段階S2やポストパージ段階S5での待機状態を確認し、この待機状態に応じて気化部8の設定温度を調整する構成にすれば、直ちに気化部において液体燃料を気化する必要がないと想定される場合における消費電力を抑制できる。
【0157】
上記した燃焼装置1は、動作段階が燃焼段階S4に移行すると気化部8の最低目標温度を気化可能温度Bに設定し、燃焼動作中に気化部8が気化可能温度B以下にならないように温度制御するものであった。しかし、燃焼動作を開始した直後は、外部から低温の空気が導入されるため、この空気によって気化部8が一時的に冷却され、液体燃料の気化に支障を来す可能性がないとは限らない。そこで、かかる問題を解決すべく、燃焼装置1は、燃焼動作の開始直後に、気化部8の最低目標温度を一時的に気化可能温度Bよりも高温に設定する構成としてもよい。かかる構成によれば、燃焼動作の開始直後における液体燃料の気化不良を確実に防止できる。
【0158】
また、上記実施形態では、燃焼装置1に導入される空気の温度や外気温によらず気化部8を所定の温度となるように温度制御するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば燃焼装置1内に導入される空気の温度を検知する空気温度センサー161の検知温度等に基づき、気化部8の設定温度を上下させる構成としてもよい。かかる構成によれば、液体燃料の気化不良を確実に防止すると共に、液体燃料の気化に要する消費電力を最小限に抑制できる。
【0159】
上記した実施形態において、燃焼装置1は、運転スイッチがオン状態になることを条件として起動段階S1において気化部8の予熱動作を行うものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば運転スイッチ以外のボタン操作等を契機として予熱動作を開始するものであってもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、各動作段階において誘導熱源部10を所定の温度範囲内でオン・オフ制御させて気化部8が所定の温度となるように温度制御する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば温度センサー100,115等のような各部に設けられた温度検知手段の検知信号に応じて誘導熱源部10の動作を比例制御等の公知の制御方法で制御するものであってもよい。
【0161】
上記実施形態では、図10のフローチャート図に示すように、運転スイッチがオン状態になった後に直ちに誘導熱源部10に通電を行い、初期加熱温度Aになるまで加熱(予熱)してから燃焼指令の有無を確認し、気化部8の目標温度を設定するものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例えば運転スイッチがオン状態になった時点から燃焼指令の有無の確認を開始し、気化部8が初期加熱温度Aに至る前に燃焼指令がオン状態になれば、温度センサー100の検知温度TH1が気化可能温度Bを越えることを条件として燃焼動作を開始してもよい。この時、燃焼動作の開始と共に気化部8の目標温度を気化可能温度Bや運転温度Cに変更してもよいが、燃焼指令のオン・オフにかかわらず一旦気化部8が初期加熱温度Aになるまで誘導熱源部10に通電を行い気化部8の加熱を行うことが望ましい。かかる構成によれば、例えば初期加熱温度Aに至る前に開始された燃焼動作が短時間で、燃焼により発生する熱で気化部8を十分加熱(予熱)できない場合であっても、気化部8を確実に予熱し、次回の燃焼動作に備えることができる。
【0162】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、最低限の消費電力で液体燃料を気化可能な燃焼装置を提供できる。
【0163】
【0164】
請求項4に記載の発明によれば、気化部を迅速かつ高効率に加熱でき、気化部の加熱に要する消費電力を最小限に抑制できる
【0165】
請求項5に記載の発明によれば、消費電力を抑制しつつ、万一ポストパージ中に再度燃焼を開始する場合であってもスムーズに燃焼動作に移行可能な燃焼装置を提供できる。
【0166】
請求項6に記載の発明によれば、燃焼開始直後であっても、空気の影響を受けることなく液体燃料がスムーズに気化し、燃焼状態が安定した燃焼装置を提供できる。
【0167】
請求項7に記載の発明によれば、燃焼終了後から所定の条件が満たされるまでの間に万一再度燃焼を開始する場合であっても直ちに液体燃料を加熱して気化させ、スムーズに燃焼動作に移行可能な燃焼装置を提供できる。
【0168】
請求項1に記載の発明によれば、気化部が高温で燃料をスムーズに気化できると想定される場合に誘導発熱部への通電を停止し、液体燃料を気化するのに要する電力の消費量を最小限に抑制できる。
【0169】
請求項8に記載の発明によれば、燃焼開始直後における液体燃料の気化をスムーズに行えると共に、燃焼休止時における電力消費量を最小限に抑制可能な燃焼装置を提供できる。
【0170】
請求項9に記載の発明によれば、燃焼装置の使用状況に応じて誘導発熱部の制御温度を調整し、誘導発熱部における電力消費量を最小限に抑制できる。
【0171】
請求項10に記載の発明によれば、直ちに気化部において液体燃料を気化する必要がないと想定される場合に誘導発熱部の制御温度を使用燃料の沸点領域未満となるよう制御し、電力消費量を最小限に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。
【図2】 本発明の実施形態の燃焼装置の全体的な部品構成を表す分解斜視図である。
【図3】 図1の燃焼装置の気化器周辺の分解斜視図である。
【図4】 気化部の誘導加熱部を構成する燃料通過筒の斜視図である。
【図5】 気化部の誘導加熱部を構成する燃料通過筒の正面図、平面図、左右側面図及び底面図である。
【図6】 気化部の誘導加熱部の一部断面斜視図である。
【図7】 気化部の誘導加熱部の変形例を示す一部断面斜視図である。
【図8】 図1の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。
【図9】 図1の燃焼装置を採用した給湯器の配管系統図である。
【図10】 図1の燃焼装置の動作を示すフローチャート図である。
【図11】 図1の燃焼装置が備える気化器の温度変化を示す模式図である。
【図12】 図1の燃焼装置が備える気化器の温度変化を示す模式図である。
【図13】 図10のフローチャート図の変形例を示す図である。
【図14】 図10のフローチャート図の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2 給湯装置
3 送風機
8 気化部
10,105,110 誘導発熱部(予備発熱部)
11 自己発熱部
100 温度センサー
115 温度センサー(自己発熱体温度検知手段)
135 熱交換器
141 流水回路
143 流入側流路
145 流出側流路
150 水量センサー(最小作動水量検知手段)
151 入水サーミスタ(入水温度検知手段)
156 出湯サーミスタ
160 缶体温度センサー
Claims (10)
- 液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させる燃焼装置において、
前記気化部は、内側で液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記誘導発熱部の外側に配置されて誘導発熱部を発熱させる電磁誘導加熱手段と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部とを有し、前記空気供給手段から気化部に供給される空気の一部が誘導発熱部の内側を通って自己発熱部に至り、残りの空気が誘導発熱部の外側を通って自己発熱部に至る構造であり、
燃焼開始時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域以上に温度制御し、
燃焼休止時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御し、
燃焼開始後には自己発熱部が所定の温度に昇温されることを条件として電磁誘導加熱手段による加熱を停止するかあるいは誘電発熱部の制御温度を低下させる誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置。 - 前記自己発熱部の上流側に配され、内部に前記誘導熱源部を収容して空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒が設けられ、
前記空気導入筒内には、空気供給手段から供給される空気の流路として、誘導発熱部の内側を通る内側流路と、誘導発熱部の外側を通る外側流路とが形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。 - 前記自己発熱部は、誘導熱源部の下方に配置され、開口が前記誘導熱源部に向けられた有底筒状であり、
自己発熱部の開口は、前記空気導入筒によって内側開口と外側開口とに分けられ、
自己発熱部の内部であって前記誘導熱源部の直下には、誘導熱源部から滴下される液体燃料を飛散させると共に、燃料ガスと空気との撹拌混合を行う回転部材が配置され、
空気導入筒を通って供給される空気が、内側開口から自己発熱部内に導入され、自己発熱部内の混合ガスが、外側開口を通って燃焼部に供給されることを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。 - 熱交換器と、熱交換器を流れる湯水の流量が所定の燃焼開始流量に達したときに燃焼開始信号をオン状態にする最小作動水量検知手段と、液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させて熱交換器内の湯水を加熱する燃焼装置において、
前記気化部は、電磁誘導加熱手段によって発熱し、液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部と、空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒とを有し、
前記自己発熱部は、誘導熱源部の下方に配置され、開口が前記誘導熱源部に向けられた有底筒状であり、
自己発熱部の内部であって前記誘導熱源部の直下には、誘導熱源部から滴下される液体燃料を飛散させると共に、燃料ガスと空気との撹拌混合を行う回転部材が配置され、
自己発熱部の開口は、前記空気導入筒によって内側開口と外側開口とに分けられ、
空気導入筒を通って供給される空気が、内側開口から自己発熱部内に導入され、自己発熱部内の混合ガスが、外側開口を通って燃焼部に供給され、
前記最小作動水量検知手段の燃焼開始信号がオフ状態の場合、誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御する誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置。 - 燃焼動作の終了後に空気供給手段によるポストパージ動作を行い、
前記誘導発熱部温度制御手段は、ポストパージ動作中に誘導発熱部を沸点領域以上であって燃焼開始時よりも低い温度に温度制御し、燃焼動作およびポストパージ動作の休止中に誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼装置。 - 液体燃料を加熱して気化させる気化部と、空気を供給する空気供給手段とを有し、空気供給手段から供給された空気と気化部で気化された燃料ガスとを混合して燃焼部に供給し、燃焼させる燃焼装置において、
前記気化部は、電磁誘導加熱手段によって発熱し、液体燃料を加熱する誘導発熱部と、前記燃焼部における燃焼によって昇温される自己発熱部と、空気供給手段から供給される空気を誘導発熱部および自己発熱部に導入する空気導入筒とを有し、
前記自己発熱部は、前記空気導入筒の下流に配置され、開口が空気導入筒に向けられた有底筒状であり、
自己発熱部の開口は、前記空気導入筒によって内側開口と外側開口とに分けられ、
空気導入筒を通って供給される空気が、内側開口から自己発熱部内に導入され、自己発熱部内の混合ガスが、外側開口を通って燃焼部に供給され、
燃焼休止時には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域未満に温度制御し、燃焼開始直後には誘導発熱部を一旦高温の初期温度に立ち上げ、その後、燃焼動作を行う場合には誘導発熱部を使用燃料の沸点領域以上であって初期温度よりも低い温度に温度制御する誘導発熱部温度制御手段を備えることを特徴とする燃焼装置。 - 燃焼終了後、所定の条件が満たされるまで、誘導発熱部は沸点領域であって燃焼開始時よりも低い温度に温度制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼装置。
- 外気温度又は給気温度を検知する空気温度検知手段を有し、空気温度検知手段の検知温度に応じて燃焼休止時における誘導発熱部の制御温度を変更することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の燃焼装置。
- 入水路と出湯路又は循環路の少なくともいずれかを有し、これらを流れる湯水を燃焼部によって加熱して出湯させる一連の流路を有し、前記流路のいずれかに湯水温度検知手段を有し、湯水温度検知手段の検知温度が所定の条件を満たす場合に、誘導発熱部の制御温度が使用燃料の沸点領域未満となるように変更されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の燃焼装置。
- 燃焼装置の一部に装置温度検知手段が設けられ、装置温度検知手段の検知温度が所定の条件を満たす場合に、誘導発熱部の制御温度が使用燃料の沸点領域未満となるように変更されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の燃焼装置。
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